JP4149672B2 - ランフラットタイヤのためのインサート構造を有する改良されたサイドウォール - Google Patents

ランフラットタイヤのためのインサート構造を有する改良されたサイドウォール Download PDF

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  • Tires In General (AREA)

Description

【0001】
技術分野
本発明は、空気入りラジアルタイヤに関し、特に、タイヤが非膨張状態で使用されることが可能であるように、タイヤのサイドウォールに金属補強プライと周囲に配置されたインサートとを備えることによってランフラット能力を有する空気入りラジアルタイヤに関する。
【0002】
発明の背景
タイヤが圧力を失った場所から、タイヤ交換が可能なサービスステーションのような、運転者が望む場所に至る距離全体にわたって、タイヤをさらに破損させることなしに、かつ、ハンドル操作を困難にすることなしに、圧力が欠如したまたは圧力が不足した乗用車タイヤが安全に連続的に作用することを可能にするために、様々な方法がすでに提案されている。タイヤ圧力の損失は、乗物に装着されている空気入りタイヤに穴をあける釘または他の鋭利な物体のような外部からの物体によるパンクを含む様々な原因によって引き起こされ得る。
【0003】
圧力欠如または圧力不足という条件下での連続動作を可能にするように設計されている空気入りタイヤは、非膨張状態で走行させられることが可能なので、ランフラットタイヤとも呼ばれている。従来の空気入りタイヤは、非膨張状態で使用される場合には、乗物の荷重を支えている時に潰れる。一般的に、「ランフラット」という用語は、タイヤ構造そのものが、タイヤが非膨張状態で働く時に、そのタイヤが潰れることを防止するための何らかの内部支持装置の相互作用に依存せずに、タイヤのサイドウォールおよび内部表面が潰れたり曲がることがないように乗物の荷重を支えるのに十分な強度を有するということを意味する。
【0004】
ランフラットタイヤ構造の研究の1つが、トレッドと概ね同じ幅のフープすなわち環状バンドがトレッドの下に配置された、「バンド付きタイヤ(Banded Tire)」という名称の米国特許第4,111,249号に開示されている。このフープは、タイヤ構造の他の部分との組合せによって、非膨張状態で乗物の荷重を支えることが可能であった。実際に、このバンド付きタイヤは、非膨張状態においてさえプライコードに張力を与えている。
【0005】
実行可能なランフラットタイヤ構造を実現するために、他の様々な方法が使用されている。一般的に、こうしたタイヤは、より厚いおよび/またはより高剛性のサイドウォール構造を含み、したがって、そのタイヤの荷重は、そのタイヤの修理または交換が可能になる適切な時点まで、他の点では乗物の操縦性を低下させることなしに、非膨張状態のタイヤによって支持されることが可能である。サイドウォールに補強材を用いた方法は、一般的に三日月形の断面を有するインサートまたはフィラを組み込むことを含む。こうしたインサートまたはフィラは、タイヤの中で通常は最も剛性が低い領域であるカーカスのサイドウォール部分の内周表面に配置される。こうしたランフラットタイヤ構造では、サイドウォール全体が、剛性を与えるように三日月形の断面を有する。こうしたタイヤのサイドウォールは、非膨張状態で使用される時に正味の圧縮荷重を受けるが、しかし、サイドウォールの外側部分は、特にトレッドの接地部分に隣接したサイドウォール領域内においては、撓み変形のために必然的に引っ張られた状態にある。特に、非膨張状態のこのタイヤが高速度でかつ長時間にわたって動作させられる場合には、サイドウォール部材を補強するために必要な多量のゴムによる蓄熱がタイヤ故障の主要因となる。
【0006】
グッドイヤー(Goodyear)社の特許(米国特許第5,368,082号)は、最初に商業的に受け入れられたランフラット空気入りラジアルプライタイヤである、アスペクト比が比較的低い、Eagle GSC−EMTタイヤを開示した。この米国特許第5,368,082号は、剛性を向上させるための特殊なサイドウォールインサートの使用を開示している。この非膨張状態のタイヤで800ポンド(lb)の荷重を支えるためには、タイヤ1つ当たり約6ポンドの追加重量が必要とされた。この初期の発明は、ランフラットタイヤ構造におけるそれ以前の試みよりも優れてはいたが、依然として重量上の欠点をもたらし、この欠点は、スペアタイヤとタイヤジャッキの排除によって相殺されることが可能であった。しかし、この重量上の欠点は、より大型の高級セダンに適した高アスペクト比のランフラットタイヤを技術者が製造しようとする時に、より深刻な問題をもたらした。非膨張状態の高級車用タイヤに必要とされる支持重量は約1400lbである。55%から65%の範囲またはそれ以上のアスペクト比を有する、より縦長のサイドウォールを持つタイヤは、そのサイドウォール曲げ応力が、より以前のコルベット(Corvette)タイプの低アスペクト比ランフラットタイヤのそれの数倍であることを意味する。こうした荷重は、乗り心地を損なう程度にまでサイドウォールとタイヤ全体とが補強されなければならないということを意味した。高級車の所有者はランフラット能力のために乗り心地の良さを犠牲にすることは望まないので、ランフラットタイヤ構造に関する設計要件は、乗り心地と性能の両方が低下しないことを要求する。Corvetteおよび様々なスポーツユーティリティ車のような、サスペンションが非常に堅い高性能車タイプの車両では、こうしたランフラットタイヤの提供を実現することは、より柔らかな乗り心地特性を必要とする高級セダンのための同様のランフラットタイヤを実現することに比べて比較的容易である。軽量トラックおよびスポーツユーティリティ車は、乗り心地性能はそれほど問題とならないので、より堅い乗り心地を許容することから、より柔軟な高級車タイプの乗り心地の要望までの範囲内の、ランフラットタイヤ市場をもたらす。
【0007】
例えば、本発明と共通の譲受人を有しかつ引用文献として全体が本明細書に組み入れてある「改良されたカーカスを有するランフラットタイヤ(RUNFLAT TIRE WITH IMPROVED CARCASS)」の米国特許出願番号08/865,489に開示されているようなランフラットタイヤ構造は、複数の重量プライ楔形フィラすなわちインサートを各々のサイドウォール撓み領域の内側に取り付けることに基づいている。このインサートは、ランフラット動作中において、タイヤに空気圧がない状態でサイドウォールに剛性を与える。インサートウェッジの配合物が持つ圧縮に対する高い抵抗力が、空気圧がない状態で荷重がかかったタイヤの潰れを防ぐために必要な抵抗力を与えるが、この方法は幾つかの欠点を有する。最も重大な2つの欠点は、大きなタイヤ重量と、ウェッジインサート内での蓄熱である。
【0008】
発明の目的
本発明の目的は、添付の請求項の1つまたは複数で定義されているとおりであり、かつ、後述の付随する目的の1つまたは複数を実現するように構成されることが可能な、空気入りラジアルプライランフラットタイヤを提供することである。
【0009】
本発明の目的は、ランフラットタイヤ構造で通常使用されるインサート材料の量を減少させる圧縮荷重支持能力を有する、ワイヤで補強された最内部のラジアルプライを組み入れることによって、優れたタイヤ寿命と乗物操縦特性と申し分のない乗り心地とを有する空気入りラジアルランフラットタイヤを提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、2つのカーカスプライによって構成されることが可能であり、その最内部が金属ワイヤによって補強されており、その最外部が織物によって補強されており、2つプライがサイドウォール撓み領域内に配置されているインサートによって各サイドウォール内で隔てられている、空気入りラジアルランフラットタイヤを提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、ランフラット状態で動作している時に、最外部の織物プライが引張り応力を支える一方、ワイヤで補強されたインナープライとインサートの一部分とが圧縮応力を支える、空気入りラジアルランフラットタイヤを提供することである。
【0012】
本発明のさらに他の目的は、通常のタイヤ動作中に、特にランフラット動作中に、蓄熱を再分散させるために、高い伝導性を有する、ワイヤで補強されたインナープライを使用する、ラジアルランフラットタイヤを提供することである。
【0013】
本発明のさらに他の目的は、ランフラット荷重の圧縮部分の大部分を支えるためにワイヤ補強インナープライを使用することによって、インサート内での蓄熱を最小限にすることである。
【0014】
発明の概要
本発明は、トレッドと、2つのサイドウォールを有するケーシングと、2つの環状ビードから延びる2つのラジアルプライと、トレッドとプライとの半径方向の間に位置しているベルト補強構造とを有する、空気入りラジアルプライランフラット乗用車タイヤに関する。そのランフラットサイドウォール構造は、インナーラジアルプライが金属補強コードを有し、かつ、アウターラジアルプライが有機繊維補強コードを有することを特徴とする。インサートが、トレッドショルダに隣接した各サイドウォールの領域内において、インナープライとアウタープライとの間に周方向に配置されている。各サイドウォール内のインサートは、高い引張り強度と、低いヒステリシスと、軽い重量とを特徴とする特性を有する。インサートの強度および剛性は、概ね半径方向に方向付けられた有機繊維をインサート中に組み込むことによって調節することが可能である。インナーラジアルプライ中の金属補強コードは、高い弾性率と、ランフラット動作中にインサート上の圧縮荷重を支えることに関する剛性と、ランフラット動作中にインサート内で発生する熱を分散させる優れた熱伝導性とを特徴とする特性を有する。ランフラット動作中は、インナープライの補強金属コードの高い弾性率が大きな圧縮荷重を支え、それによって、各サイドウォール内の単一のインサートによって支えられている圧縮荷重を減少させる。さらに、ランフラット動作中は、有機繊維で補強されたアウタープライは、優れた可撓性と、高い引張り応力支持能力とを有する。
【0015】
本発明の一実施態様では、空気入りラジアルランフラット乗用車タイヤは、スポーツタイプの車両で使用するための、美観的および/または実用的に適している低プロファイル構造の形状寸法を有する。
【0016】
他の実施態様では、空気入りラジアルプライランフラット乗用車タイヤは、高級車と高背型スポーツユーティリティ車とで使用するための、美観的および/または実用的に適している高プロファイル構造の形状寸法を有する。
【0017】
本発明によるタイヤ構造は、各サイドウォール内のインサートの組成に対する調節と、高プロファイル、低プロファイル、または、中プロファイルのタイヤ構造における使用意図にしたがった最内部プライの金属補強材の総断面積に対する調節とを含む。
【0018】
添付図面を参照しながら下記の説明を考察することによって、本発明の現時点で好ましい実施形態の構造と動作と利点とが、さらに詳細に明らかになるであろう。
【0019】
定義
「アスペクト比」は、タイヤの断面幅に対する断面高さの比を意味する。
【0020】
「軸方向の」および「軸方向に」は、タイヤの回転軸に平行なラインまたは方向を意味する。
【0021】
「ビード」または「ビードコア」は、タイヤを保持した状態でリムと結合されている半径方向内側のビードの環状の引張部材を有するタイヤ部分を一般的に意味し、ビードは、プライコードによって被覆されており、フリッパ、チッパ、エイペックスもしくはフィラ、トウガードおよびチェーファーのような他の補強要素を含む形に、または含まない形に形成されている。
【0022】
「ベルト構造」または「補強ベルト」は、トレッドの下に存在し、ビードに固定されておらず、タイヤの赤道面に対して17°から27°の範囲内の左および右のコード角度を有する、織物または不織布の平行コードの少なくとも2つの環状の層またはプライを意味する。
【0023】
「カーカス」は、ベルト構造とトレッドとプライ上のアンダートレッドとを除くが、ビードは含むタイヤ構造を意味する。
【0024】
「ケーシング」は、カーカス、ベルト構造、ビード、サイドウォール、および、トレッドとアンダートレッドとを除く他の全てのタイヤ構成要素を意味する。
【0025】
「周方向」は、軸線方向に対して垂直な環状トレッドの表面の周囲に沿って延びているラインまたは方向を意味する。
【0026】
「コード」は、タイヤのプライを構成している補強ストランドを意味する。
【0027】
「赤道面」は、タイヤの回転軸線に対して垂直であり、タイヤのトレッドの中心を通る平面を意味する。
【0028】
「インナーライナ」は、チューブレスタイヤの内側表面を形成しかつタイヤ内に膨張気体を収容する、エラストマーまたは他の材料からなる1つまたは複数の層を意味する。
【0029】
「インサート」は、ランフラットタイプのタイヤのサイドウォールを補強するために通常使用されている三日月形または楔形の補強材を意味する。
【0030】
「横方向の」は、軸線方向に対して平行な方向を意味する。
【0031】
「標準空気圧」は、タイヤの使用条件についての、然るべき標準化機構によって決められた特定の設計空気圧および荷重を意味する。
【0032】
「プライ」は、ゴムで被覆された平行コードの層を意味する。
【0033】
「ラジアル(半径方向の)」および「半径方向に」は、タイヤの回転軸線に半径方向に向かう方向、または、タイヤの回転軸線から半径方向に離れる方向を意味する。
【0034】
「ラジアルプライ構造」は、少なくとも1つのカーカスプライが、タイヤの赤道面に対して65°から90°の間の角度に配置された補強コードを有する、1つ以上のカーカスプライを意味する。
【0035】
「ラジアルプライタイヤ」は、少なくとも1つのプライがビードからビードに延びるコードを有し、かつ、タイヤの赤道面に対して65°から90°の間のコード角度で配置されている、ベルトが巻かれているか、または、周方向に制限された空気入りタイヤを意味する。
【0036】
「断面高さ」は、タイヤの赤道面におけるタイヤの公称リム直径からタイヤの外径までの半径方向の距離を意味する。
【0037】
「断面幅」は、標準膨張圧で空気を入れられてから24時間経過した後の、荷重がかけられていない状態での、サイドウォールのラベル、装飾または保護バンドによる隆起部を除いた、タイヤの軸線に平行な、サイドウォールの外側間の最大直線距離を意味する。
【0038】
「ショルダ」は、トレッドエッジの真下のサイドウォールの上部部分を意味する。
【0039】
「サイドウォール」は、トレッドとビードとの間のタイヤ部分を意味する。
【0040】
好ましい実施形態の詳細な説明
従来例
現在、Extended Mobility Tireとしても知られている従来技術のランフラットタイヤの構成は、サイドウォールの撓み領域内に配置されているインサートの使用に基づいている。各インサートは、一般的に三日月形の断面を有し、サイドウォールの周りに周方向に配置されている。タイヤが非膨張状態になった時に、各サイドウォール内のインサートは、タイヤが潰れることを防ぐために必要な抵抗力を提供する。
【0041】
図1を参照すると、米国特許第5,368,082号に開示されている空気入りランフラットタイヤによる、乗用車で使用するための従来の空気入りランフラットタイヤ100の断面の一部分が示されている。タイヤ100は、トレッド102と、ベルト構造104と、1対のサイドウォール部106、108と、1対のビード部110、112と、ラジアルプライ構造113と、カーカス補強構造114とを有する乗用車タイヤである。カーカス114は、ラジアルプライ構造113の第1のプライ116および第2のプライ118と、インナーライナ120と、1対のビード122、124と、1対のビードフィラエイペックス126、128と、1対の第1のインサートフィラ130、132と、1対の第2のインサートフィラ134、136とを含む。第1のインサートフィラ130、132は、インナーライナ120と第1のプライ116との間に配置されており、第2のインサートフィラ134、136は、第1および第2のプライ116、118の間に配置されている。このカーカス構造114は、制限されたランフラット能力をタイヤ100にもたらす。
【0042】
図1から理解できるように、タイヤ100のサイドウォール領域内の構造補強材は、サイドウォール全体の厚さをかなり増大させる。この従来技術の特許は、サイドウォールがショルダと合体する箇所でのサイドウォールの総厚が、サイドウォールの総厚の少なくとも100%、好ましくは125%でなければならないということを開示した。これは、非膨張状態で荷重を十分に支えるために必要であると考えられた。しかし、付加的なサイドウォールの材料が、ランフラットタイヤの総重量を増大させる。例えば、典型的なP275/40ZR17低プロファイル形ランフラットタイヤの重量は、これに対応する非ランフラットタイプのタイヤの重量よりも約6.0ポンド重い。より高いアスペクト比を有するGoodyear P235/55R17ランフラットタイヤにおいてこの当初の従来技術の概念を利用することは、総タイヤ重量が、対応する非ランフラット型タイヤよりも約6.8ポンド重いことを意味した。
【0043】
こうした従来技術のランフラット構造は、そのアスペクト比に係わらず、幾つかの欠点を有する。最も重大な2つの欠点は、撓みによるインサート内での蓄熱と、大きな重量である。
【0044】
ランフラットタイヤ構造
図2は、各サイドウォール20内で独特な内部構造を用いる、本発明によるタイヤ10を示す。この改良されたランフラットタイヤ構造は、上述の従来技術のタイヤと同じ構成要素の幾つかを使用するが、配置また数量の変化が、本発明の概念が具体化されることが可能な別の構造をもたらす。
【0045】
タイヤ10は、図2に示されているように、ランフラットラジアル乗用車タイヤまたは軽量トラックタイヤである。タイヤ10は、トレッド部の側方端縁においてショルダ部11、11Aを末端とする、路面係合トレッド部12を備えている。図2は、トレッド部の側方端縁から延びて、それぞれ環状の非伸長性ビードコア26を有するビード領域22内を末端とする、サイドウォール部20を示す。タイヤ10は、更に、ビード領域22から一方のサイドウォール部20、トレッド部12、反対側のサイドウォール部20を通ってビード領域22にまでタイヤ構造全体にわたって延びるカーカス補強構造30を備えている。カーカス補強構造30は、2つのプライ38、40と、各サイドウォールの撓み領域45内においてその2つのプライの間に密着して配置されているインサート42とを有する、ラジアルプライ構造37を含む。ラジアルプライ構造37の少なくとも一方のプライ38または40の折り返し端32または34は、タイヤの両側においてビードコア26の周りに巻き付けられている。少なくとも折り返し端部32がビードコアの周りに巻き付けられていることが好ましく、折り返し端部32、34の両方がビードコアの周りに巻き付けられていることが最も好ましい。タイヤ10は、そのタイヤがチューブレスタイプでなければならない場合には、タイヤ10の内周表面を形成する従来通りのインナーライナ35を含んでもよい。カーカス補強構造30の半径方向に外側の表面の周りに周方向に、かつ、トレッド部12の下方に、トレッド補強ベルト構造36が配置されている。図示した特定の実施形態では、ベルト構造36は2つの切断されたベルトプライ50、51を含む。ベルトプライ50、51のコードは、タイヤの中央円周の中心線(C/L)に対して約15度から約35度の角度で、好ましくは約20度から約28度の角度で方向付けられている。しかし、ベルト構造36は、所望の形状でありかつ約0度から約90度の範囲内に方向付けられている任意の本数のベルトプライを含んでもよい。非膨張状態でのタイヤの動作中に路面からのトレッドの浮上を最小限にするように、ベルト構造36はベルト幅全体にわたって横方向の剛性を与える。図示した実施形態では、横方向の剛性は、ガラス繊維、アラミドおよび/または金属、好ましくはスチール、さらに好ましくはスチールケーブル構造でベルトプライ50、51のコードを形成することによって実現される。
【0046】
カーカス補強プライ構造
図2に示すように、好ましい実施形態のタイヤ10のラジアルプライ構造37は、2つの補強プライ構造38、40を含む。図2に示す特定の実施形態では、半径方向内側の第1の補強プライ構造38と、半径方向外側の第2の補強プライ構造40とが存在する。図3に示すように、各プライ構造38、40はそれぞれ平行コードの1つの層41、43を有することが好ましい。図示した特定の実施形態では、コード41、43は、中央円周の赤道面に対して約65度から約90度、好ましくは約90度の角度に方向付けられている。両プライ38、40は、ゴムに対する高い接着性と高い耐熱性とを有するエラストマー材料で被覆されていることが好ましい。
【0047】
アウタープライコード構造
図3では、アウタープライ40内のコード43が、ゴム製品のコード補強のために一般的に使用される材料のような材料、例えば、非限定的に、スチール、アラミド、レーヨン、ナイロン、ポリエステル、ガラス繊維、または、約2.5GPaから約124GPaの範囲内の弾性率を有する他の有機繊維コードで形成されている。コードのための他の適切な高弾性率の繊維は、ビニロン、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、炭素繊維、ガラス繊維、およびポリアミドを含む。
【0048】
図2に示す実施形態では、プライ40の補強コード43はレーヨンで形成されており、以下に詳述するように、ランフラット状態と通常の膨張との両方において引張り応力を支える働きをする。
【0049】
インナープライコード構造
図3を再び参照すると、インナープライ38の金属コード41は、実質的に非伸長性の金属であり、プライ40の補強コード43である有機繊維の弾性率よりも著しく高い弾性率を有するスチールであることが好ましい。プライ38は、ランフラット状態での補強コード41の屈曲に対する圧縮荷重支持抵抗を増大させるように、インサート42に接触して配置されて接着されている。カーカス30のプライ38で使用するための金属コード41の各々は、1本のワイヤすなわちモノフィラメントから、後でさらに詳細に説明するように特にランフラット状態において圧縮応力を支える働きをするマルチプルフィラメントまでを含んでよい。金属コード41内のワイヤフィラメントの総数は1本から19本の範囲内であってよい。好ましくは、コード1本当たりのワイヤフィラメントの本数は6本から9本の範囲内である。各フィラメントの個別の直径は一般的には約0.10から約0.30ミリメートル(mm)の範囲内であり、各フィラメントが、約2000MPaから約5000MPa、好ましくは少なくとも約3000MPaの引張り強さを少なくとも有する場合には、約0.15mmであることが好ましい。金属コードは、150ギガパスカル(Gpa)より大きい弾性率を有するスチールワイヤで構成されていることが好ましい。カーカスプライ38で使用するための特定の金属コード構造41には、多くの種類がある。特定のコード構造の代表的な例は、1×、2×、3×、4×、5×、6×、7×、8×、11×、12×、1+2、1+4、1+5、1+6、1+7、1+8、2+1、3+1、5+1、6+1、11+1、12+1、2+7、2+7+1、3+8、3+9、1+5+1および1+6+1、1+6+12または3+9+1を含み、アウターラップフィラメントは、0.15mmのフィラメント直径に基づいて2500MPa以上の引張り強度を有してもよい。フィラメント直径を含む最も好ましいコード構造は、3×.18、1+5×.18、2+7×.15、2+7×.15+1×.15、3+9×.15+1×.15、3×.20+9×.18、および、3×.20+9×.18+1×.15である。上述のコード呼称から得られる構造は当業者によって容易に識別される。例えば、2×、3×、4×および5×のような呼称は、複数のフィラメント、すなわち、2本のフィラメント、3本のフィラメント、4本のフィラメント等を意味する。1+4および1+5のような呼称は、例えば、4本または5本のフィラメントが巻き付けられている単一のフィラメントを表す。
【0050】
カーカスプライ38は、タイヤの赤道面で測定した時に1インチ当たり約5個から約100個の端部(1cm当たり約2個から約39個の端部)を有するように構成されている上述の金属コードの層を有する。このコードの層は、赤道面において1インチ当たり約7個から約60個の端部(1cm当たり約2.7個から約24個の端部)を有するように構成されていることが好ましい。1インチ当たりの端部に関する上述の計算は、カーカスプライ38、40に関する、コードの直径の範囲と、コードの強度と、実際の強度の必要条件とに基づいている。例えば、1インチ当たりの端部の個数が多いことは、所定の強さの場合にはより直径が小さいコードを使用することを含むのに対し、1インチ当たりの端部の個数がより少ないことは、同じ強さの場合には、より大きい直径のワイヤを使用することを含む。あるいは、特定の直径のコードを使用することを選択する場合には、そのコードの強さに応じて、1インチ当たりの端部の数を多くまたは少なくしてもよい。カーカスプライ38の金属コード41は、本発明によるタイヤ10が一般的にラジアルと呼ばれているタイヤであるように方向付けられており、すなわち、カーカスプライ38の金属コード41は、約75°から約105°の範囲内の角度でタイヤの赤道面と交差する。金属コードは82°から98°の角度で交差することが好ましい。最も好ましい範囲は88°から92°である。
【0051】
第1および第2の補強プライ構造38、40はそれぞれ単一のプライ層を含む。しかし、スチール補強プライ構造38の軸線方向に外方に向いているように配置されている任意の個数の追加の補強プライ構造を含むことが、本発明の範囲に包含されている。
【0052】
図2にさらに示されるように、最内部のスチール補強プライ構造38は、各々のビードコア26の周りに巻き付く1対の折り返し端32を有する。有機繊維コードによって補強されている第2のプライ40の端部34は、ビードコア26に近接して位置しており、かつ、ビードコア26の一方の側で軸方向に隣接しておよび/またはビードコア26の上方を末端とし、または、図に示してあるように、ビードコア26の周りに巻き付けられて、第1のプライ38の折り返し端32の軸方向に下方を末端とすることが可能である。第1のプライ38の折り返し端32は、第2のプライの端部34およびビードコア26の周りに巻き付く。
【0053】
サイドウォールインサート
さらに図2に示すように、サイドウォール部20は、それぞれフィラすなわちサイドウォールインサート42を備えている。各インサート42は、ビード26とエイペックス48とを含む各ビード領域22から、各サイドウォール内の補強ベルト構造36の下に半径方向に延びている。インサート42は、最内部のプライ38と有機繊維で補強されたプライ40との間に位置している。
【0054】
各サイドウォール20内の単一のインサート42は、エラストマー材料で作られていることが好ましい。インサート42のエラストマー材料は、ショアA硬さで比較的柔らかい約50から非常に硬い85までの広範囲のエラストマーから選択されることが可能である。三日月形の断面輪郭を有して示されているインサートの形状は、優れた乗り心地性能と許容可能なサイドウォールばね率とを確保するように変更されることが可能である。このエラストマーコンパウンドは約0.02から約0.06の範囲内のタンジェントデルタを有し、約2MPaから約8MPaのモジュラスGを有する(90℃、0.2%でMetravibで測定する場合)。
【0055】
インサート42のためのエラストマー材料を選択する際の重要な見知は、ヒステリシスである。エラストマー材料のヒステリシスは、曲げ動作条件においてそのエラストマー材料が内部熱を発生させる傾向の尺度である。ヒステリシスは、加えられた仕事によって材料(例えば、硬化ゴム配合物)中で消費される熱エネルギーを表す用語であり、ゴム配合物の低ヒステリシスは、比較的高い反発弾性と、比較的低い内部摩擦と、比較的低い損失弾性率との特性値とによって表される。相対的に述べると、より低いヒステリシスを有するゴムまたはエラストマー材料は、使用状態において、それよりも著しく高いヒステリシスを有するという点を除いて同等であるエラストマーまたはゴムに比べて、より少ない内部熱を発生させる。したがって、インサート42とプライ38、40のプライコートとのためのゴム配合物に関しては、比較的低いヒステリシスが望ましい。
【0056】
特に本発明の目的のためには、上述のサイドウォールインサート42は高い剛性を有すると同時に比較的低いヒステリシスを有することが好ましい。これは、特にタイヤが膨張不足状態またはランフラット状態で動作させられる時に、インサート42の撓みによる発熱作用をさらに減少させる。これによって、特にランフラット動作中のタイヤの寿命が、従来技術のランフラットタイヤのこうした寿命に比べて向上させられる。
【0057】
一般的に、インサート42のためのゴム配合物が硬いことが、タイヤのサイドウォールの強さと寸法安定性とにとって望ましい。したがって、インサート42およびプライ38、40のプライコートのためのゴム配合物またはエラストマー配合物が、比較高い剛性と低いヒステリシスという両方の特性を有することが重要である。
【0058】
インサート42に関する重要な動作上の基準は、インサート42が、ランフラット動作状態で、低い動作温度を維持すると同時に、サイドウォールの潰れを抑制することが可能であることである。インサート42は、圧縮荷重を支える金属補強プライ38と協働して、膨張圧がゼロであるランフラット状態または膨張圧が不足した状態でタイヤが動作している時に、タイヤのサイドウォールが潰れることを防止する。さらに、本発明の各サイドウォールに単一のインサートを使用することは、圧縮荷重を支えるスチール補強インナープライ38との組合せにおいて、従来技術のランフラットタイヤ構造と比較して総タイヤ重量を減少させる。
【0059】
インサート42の圧縮および/または引張り荷重支持能力をさらに増強するために、図3に示してあるように、エラストマー材料に短い補強繊維82を充填することが可能である。その短い繊維82は、インサート42の半径方向および横方向の剛性を増強し増大させるように、および、アウターライナの半径方向の引張り支持強度を増大させるように配列されることが好ましい。すなわち、図4bに示すように、中立撓み軸線A−Aがプライ38とプライ40との間に位置する曲げ応力を伴うランフラット状態で動作する時に、プライ38から最も遠く離れているインサート42の部分の引張り強度特性を増強または増大させるように、繊維82は半径方向に配列されている。
【0060】
補強繊維82は、上述のコード43のために使用される材料と同様のレーヨン、ポリエステル、ナイロン、アラミド、および、他の有機繊維から成る材料のグループから選択された材料で作られていることが好ましい。これらの短い繊維82は、少なくとも45゜であることが好ましい斜めの角度で半径方向に方向付けられまたは配置されることが可能であるが、周方向に方向付けられてはならない。
【0061】
製造を容易にするために、および、スチールプライをライナの進出から保護するために、インナーライナ35とプライ38との間のサイドウォール領域内にエラストマーインサートを加えることが重要であろう。
【0062】
好ましい実施形態の機能的動作
本発明の着想は、金属コードで補強されたインナープライ38の圧縮支持能力を利用して、特にランフラット動作中のインサート42上の圧縮荷重の大部分をプライ38上へ移動させることによって、インサート42に必要な材料の量を減少させることである。したがって、サイドウォールのインサート42は、従来技術のランフラットタイヤ構造における対応するインサートよりも軽量とすることが可能であり、タイヤのサイドウォール20上の圧縮荷重の大部分がプライ38の金属補強コード41によって支持されるので、ランフラット動作中にインサートが受ける周期的な撓みがより少なくなり、したがって発熱がより少なくなる。プライ38の金属コード41は、タイヤ10およびインサート42のゴムおよび他のエラストマー材料に比較して、相対的に熱伝導率が高いという追加の利点を有する。したがって、プライ38の金属コード41は、その熱伝導率の効果によって、ランフラット動作中にインサート42から熱を伝達し、それによって、ランフラット動作中におけるインサートのより長いランフラット使用寿命をもたらす。
【0063】
図4aは、本発明による正常な膨張状態のランフラットタイヤのサイドウォール20を部分断面図の形で示す。タイヤ10は、互いに隣り合うプライ38、40の間にインサート42を含む。図4bは、タイヤ10が非膨張状態にあり、かつ、図4aに示すようにサイドウォール20が軸線方向外方に撓んでいる時の、インサート42および互いに隣り合うプライ38、40の一部分における応力の配分を示している。図4bでは、中立撓み軸線(A−A)の一方の側において引張り応力(T)を発生させる一方、中立撓み軸線の他方の側には圧縮応力(C)が存在する、軸線方向外方へのサイドウォールの撓みが示されている。
【0064】
図4bでは、ランフラット状態においてスチールプライ38がタイヤの圧縮荷重の大部分を支えることが可能なので、中立軸線(A−A)がアウター織物プライ42からより遠く離れた形で示されている。したがって、タイヤのサイドウォールの撓み剛性が大きく増大させられ、その結果としてタイヤの撓みが減少させられる。
【0065】
各サイドウォール20内のインサート42は、互いに隣り合うプライ38、40の間のスペーサとして機能する。タイヤが膨張不足状態または非膨張状態で動作させられる時には、有機繊維で補強されたプライ40のコード43は引っ張られた状態にされる。インサートは、各サイドウォール内の繊維82(図3)で補強されている時には、特に金属補強プライ38の圧縮荷重支持特性との組合せにおいて、サイドウォール支持構造内のインサートの引張り応力支持強さを与える。
【0066】
上述のランフラットタイヤ10は、タイヤ設計者が特定のユーザの必要に応じて個々のタイヤ構造を、例えば、スチール補強プライ38の強さを変化させる圧縮荷重を増大させることによって、および/または、インサート42内の補強繊維82の量を増減させることによって、「チューン(tune)する」ことを可能にする。独特な特徴の組合せは、ランフラット性能の向上、使用寿命、およびタイヤの軽量化の中から設計者が選択することが可能であるということを意味する。タイヤの構造は、例えば、非膨張状態または膨張不足状態での走行時にタイヤの荷重の大部分をインサート42が支えることを常時補助する場合にも、快適な乗り心地と操縦性とを得るように、設計者によって「チューンされる」ことが可能である。
【0067】
金属コード41の明らかな利点の1つは、タイヤ10が非膨張状態で走行する時に、金属コード41を有するプライ38の動作が蓄熱を伴わないだけでなく、金属コードが、さらに詳細に後述するように、カーカス構造30(図2)全体にわたって熱を均一に分散させる働きもするということである。これは、軽量のランフラットタイヤ構造でランフラットタイヤ性能の向上が実現可能であることを意味する。
【0068】
本発明者は、タイヤ10が非膨張または膨張不足のランフラット状態で動作させられる時に、プライ38内の圧縮応力支持金属補強コード41が、サイドウォール20を強化する圧縮応力支持部材として機能するので、最内部のプライ38に金属コード41を使用することは、米国特許出願第08/865,489号に開示されているような、アウタープライ40内に金属コード41が存在する場合よりも有益であると考える。ゴムで被覆されている金属コード41は、サイドウォールの実質的な圧縮荷重支持サポートであることが可能である。
【0069】
ランフラットが非膨張状態で動作させられる時には、高モジュラスのプライ38の圧縮荷重支持能力が、タイヤの屈曲または潰れを防止するのに十分である。
【0070】
本発明者は、さらに、インナープライ38の金属補強コード41の高い熱伝導率が、各サイドウォール内のインサート42から熱を分散させて取り除くという追加の利点を提供すると考える。通常の動作状態においてはインサートの撓みによりインサート42内に熱が発生するが、インサート42の曲げ荷重および撓みが完全膨張状態での通常動作時よりも大きくなるランフラット状態では、熱は特に発生する。
【0071】
本発明のタイヤ10は、インサート42とプライ38、40のためのプライコートとが各々に明確に異なっており、かつ、所望の乗り心地と操縦性と必要なランフラット性能とを得るように選択されるように、様々な物理的特性を有する広範囲の材料を使用することが可能である。言い換えると、設計者は、所望のタイヤ性能特性を実現するために、材料を個別に選択的に調整することが可能である。
【0072】
要約して述べると、本発明は、サイドウォール撓み領域内のインサート42によって互いに隔てられている、金属コード補強41と織物補強コード43とを有する2つのカーカスプライ38、40を有するランフラットタイヤ10から成る。ランフラット動作時には、有機繊維補強プライ40が引張り応力を支える一方、インサート42の一部分と、特に金属コードで補強されたプライ38とが、圧縮応力を支える。ワイヤで補強されたプライ38はさらに、カーカス30全体にわたってインサート42によって発生する熱を再分散させるであろう。さらに、インサート42内での蓄熱は、タイヤの総重量の減少と厚さの減少との組合せ効果、およびインサートおよびサイドウォール撓み領域45とから熱を分散させて取り除く働きをする金属コード41の熱伝導率によって減少される。その結果として、通常の膨張圧力状態での動作とランフラット動作という両方の条件の下で優れた性能能力を有する軽量ランフラットタイヤが実現される。
【0073】
実施形態1
図2を参照すると、約30から約55の範囲内の低アスペクト比構造を有するランフラットタイヤ10を組み込んだ本発明の第1の実施形態が示されている。この実施形態は、高性能スポーツタイプ車または軽量トラックにおける軽量ランフラット能力を得る上で有効である。低アスペクト比のランフラットラジアルプライ空気入りタイヤ10は2つのラジアルプライ38、40を含む。最内部のプライ38は、ランフラット動作時の圧縮応力、および、通常の膨張状態での動作時の圧縮応力と引張り応力の両方に耐えるように設計されている、高モジュラスかつ実質的に非伸張性の金属コード41によって補強されている。最外部のプライ40は、通常の膨張状態での動作時のみならずランフラット動作時にも引張り応力に耐えるように配列さられている有機繊維コード43によって補強されている。1対のサイドウォール20はそれぞれ単一のサイドウォールインサート42によって補強されている。ランフラット動作時には、金属コードで補強されたインナープライは、車両重量と、この車両重量に起因するサイドウォールの撓みとの両方から生じるサイドウォールの圧縮荷重の大部分を支える。インサート42は、プライ38に隣接したその側部で圧縮荷重を支え、かつ、プライ40に隣接したその側部で引張りを支えるように補強されている。圧縮支持コード41は、低ヒステリシスと高剛性とを有する単一のインサート42との組合せにおいて、ランフラット能力を有する軽量タイヤタイプを実現する。
【0074】
実施形態2
図2に示されている低アスペクト比構造に類似した約60から約80の範囲内の高アスペクト比構造が高プロファイルのタイヤを実現する、本発明の第2の実施形態(図示していない)が、構想されている。高プロファイルの実施形態の一例は、高級車、高背型のスポーツユーティリティ車、および特定の軽量トラックで使用されることになるだろう。実施形態1と同様に、ランフラット動作時には、金属コードで補強されたインナープライ38が、車両重量とこの車両重量によるサイドウォールの撓みとの両方に起因するサイドウォールの圧縮荷重の大部分を支える。本発明の高プロファイルの実施形態は、本発明を採用する高プロファイルタイヤに関連したタイヤの形状寸法の変化に適合するために必要とされるような、繊維含量量の調節またはインサート42の配合物の他の組成を組み入れることになるだろう。したがって、ユーザが求めている乗り心地を提供するために、通常の非膨張状態での動作時における、重量の大きい高級車での高プロファイルのランフラットタイヤの使用に関連したより大きな曲げ応力と圧縮応力とに適合するように、タイヤの設計者は、プライ38の実質的に非伸張性のコード41の、ワイヤの断面またはワイヤ本数を調整することが可能である。
【0075】
本発明をその実施形態に関連付けて説明してきたが、上述の説明から様々な代案と変更と変型とが当業者には明らかであることは自明である。したがって、本発明は、添付した特許請求項の思想と範囲とに含まれるこうした代案と変更と変型の全てを包含することが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来技術のランフラットタイヤの断面図である。
【図2】 本発明の好ましい実施形態のタイヤのトレッドショルダ、サイドウォールおよびビード領域の断面図である。
【図3】 インサート内の繊維補強材に加え、ラジアルプライおよびその各々の補強コードの拡大図を示す。
【図4a】 一方のサイドウォールとインサートとプライとを示す部分断面図である。
【図4b】 インサートと互いに隣り合うプライとの一部分と、インサート内の圧縮応力と引張り応力の分布と、インサート内の中立撓み軸線の概ねの位置とを示す略断面図である。

Claims (3)

  1. トレッドと、2つのサイドウォールを有するケーシングと、2つの環状ビードと、前記2つの環状ビードの間延びているラジアルプライ構造と、前記トレッドと前記ラジアルプライ構造との間に位置しているベルト構造とを有する、空気入りラジアルプライランフラット乗用車タイヤにおいて、
    前記ラジアルプライ構造は、
    ランフラット動作状態で圧縮荷重を支えることが可能な金属補強コードを有するインナーラジアルプライと
    ランフラット動作状態で引張り荷重を支えることが可能な有機繊維補強コードを有するアウターラジアルプライと、
    中立撓み軸線が通るインサートであって、前記サイドウォールの撓みを減少させるために、前記中立撓み軸線が、ランフラット動作状態においては前記アウターラジアルプライからより遠くに位置しているように、前記インナーラジアルプライおよびアウターラジアルプライので、かつ、各サイドウォールの撓み領域内周方向に配置されているインサートと
    を有することを特徴とする空気入りラジアルプライランフラット乗用車タイヤ。
  2. 前記インサートは前記インナーラジアルプライおよびアウターラジアルプライを互いに隔てるように配置されている、請求項1に記載の空気入りランフラットラジアルプライタイヤ。
  3. 前記インサートは、前記インナーラジアルプライおよびアウターラジアルプライに直接隣接して周方向に配置されている、請求項1に記載の空気入りランフラットラジアルプライタイヤ。
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