JP4149015B2 - 超音波診断装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、探触子から被検体に対して超音波を送受信して断層面を走査し、該走査によって得られた断層像を表示装置に2次元画像として表示する超音波診断装置に関し、特に、断層像に基づく被検体の体格計測において、標準値との比較が容易な超音波診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、断層像に基づいて胎児の児頭大横径(BPD)等の計測を行う機能を有した超音波診断装置が知られており、この胎児体格計測機能を備えた超音波診断装置においては、胎児の標準発育値を示すデータテーブルを予め記憶し、実際の計測値と共に妊娠週数に応じた標準発育値をそれぞれ数値として表示できるものがあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の超音波診断装置においては、上記の標準発育値は数値として表示される構成であったため、実際の胎児の体格と標準発育状態とを視覚的に比較して発育状況の診断を行うことができなかった。
【0004】
また、胎児の児頭大横径(BPD)等の計測を行う場合には、表示装置に表示される断層像に、計測開始位置及び計測終了位置を指示するためのキャリパーを重ねて表示し、該キャリパーを画面上で動かして計測位置を特定させる構成であったが、計測位置設定の指標となるものがなかったため、キャリパーを不適当な部位に設定してしまい、これによって体格の計測を誤り、延いては、発育状況を誤診断してしまう可能性があった。
【0005】
そこで、本発明は、このような問題点に対処し、被検体の体格と標準値との比較を視覚的に行え、また、体格計測のためのキャリパーの的確な位置設定を容易に行える超音波診断装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、探触子から被検体としての胎児に対して超音波を送受信して断層面を走査させる超音波送受信手段と、該走査によって得られた断層像を表示する表示手段と、前記表示手段に表示された断層像に映し出される胎児の発育状態を、計測キャリパを用いて計測する計測手段と、前記計測手段によって計測される前記胎児の発育の正常域範囲を記憶する記憶手段と、前記超音波送受信手段、前記表示手段、前記計測手段及び前記記憶手段を制御するものであって、前記断層像とその断層像の計測始点の第1の計測キャリパ及び計測終点の第2の計測キャリパとを結ぶ線分とを重ねて前記表示手段に表示させると共に、前記記憶手段に記憶された前記正常域範囲を読み出し、前記読み出された正常域範囲を示すマーカを生成し、前記生成されたマーカを前記表示手段に表示させる制御手段と、を有した超音波診断装置において、前記制御手段は、前記マーカによって区分けされる前記線分を前記正常域範囲に基づき色分けし、前記色分けされた線分を前記断層像と重ねて前記表示手段に表示させることで達成される。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明による超音波診断装置を示すブロック図である。この超音波診断装置は、探触子から被検体に対して超音波を送受信して断層面を扇状に走査し、該走査によって得られた断層像を2次元画像として表示装置に表示させるものである。
【0008】
前記図1において、超音波診断装置は、被検体に対して超音波を送受信する探触子11と、該探触子11に対して信号を送受信する送受信部12と、該送受信部12を介して得られる反射エコー信号を表示信号に変換する画像処理部13と、前記表示信号に基づいて断層像を表示する表示装置14と、装置各部の動作を制御する制御部15と、データを格納しておくための記憶装置16と、トラックボール,ファンクションキーなどからなる操作卓17とから構成される。
【0009】
前記記憶装置16には、被検体としての胎児の体格計測における標準値が前記制御部15による読み出し可能な形式で予め格納してある。前記標準値のデータとして本実施の形態では、胎児の児頭大横径(BPD)の計測結果から胎児の発育状態を評価するためのデータテーブル(以下、「標準発育テーブル」という)が記憶されている。
【0010】
前記標準発育テーブルは、図2に示すように、各妊娠週数に対して、パーセンタイルランキングによって5%,50%(mean),95%における児頭大横径(BPD)の大きさをそれぞれ示したものであり、5%〜95%の範囲内を正常域としている(参考文献:篠塚憲男 他「超音波胎児計測における基準値の作成」Jpn Med Ultrasonics 1996 Vol.23)。但し、図2に示した例は、児頭大横径(BPD)の標準発育テーブルの一例を示したものであり、各%値及び正常域が図2に示したものに限定されるものではなく、また、パーセンタイルランキングではなく、標準偏差によって正常域における大きさを示すものであっても良い。
【0011】
また、計測対象部位を、胎児の児頭大横径(BPD)に限定するものではなく、胎児の眼球間隔,大腿骨長さ,上腕骨長さ,胴回りなどを計測対象とするものであっても良く、この場合には、それぞれの計測部位に対応する標準発育テーブル(標準値)を予め前記記憶装置16に記憶させておけば良い。
【0012】
図3は、本発明による超音波診断装置で胎児の体格測定時の画面の表示例を示す。
【0013】
表示装置14の画面には断層像22が表示され、操作者は予め基準となる妊娠週数を操作卓17を介して入力しておく。そして、断層像22に重ねて表示される第1計測キャリパ23(図3に示す十字のマーカ)を、操作者がトラックボールなどを操作して初期位置(例えば画面中央)から計測したい部位の始点に移動させて確定させ、同様に、計測したい部位の終点に第2計測キャリパ24(図3に示す十字のマーカ)を移動させて確定させると、前記第1計測キャリパ23と第2計測キャリパ24との距離が計測部位の距離とされて、画像処理によって前記距離が計測される。
【0014】
前記キャリパ操作の間、前記制御部15は、入力された妊娠週数に対する5%,50%,95%の児頭大横径(BPD)を前記記憶装置16に記憶されている標準発育テーブル(図2参照)から検索する。そして、前記第1計測キャリパ23と第2計測キャリパ24とを結ぶ線上の5%,50%,95%の児頭大横径(BPD)に対応する位置に、5%マーカ25,50%マーカ26,95%マーカ27をそれぞれ断層像22に重ねて表示する。即ち、前記第1計測キャリパ23と第2計測キャリパ24とを結ぶ線上に、5%,50%,95%の児頭大横径(BPD)を示すスケール(目盛り)が胎児の断層像22に重ねて表示される。
【0015】
前記5%マーカ25,50%マーカ26,95%マーカ27は、第2計測キャリパ24の位置が確定された後にのみ表示させるのではなく、第1計測キャリパ23の位置が確定された後であって第2計測キャリパ24の位置が確定される前においても、第1計測キャリパ23と移動操作中の第2計測キャリパ24とを結ぶ線上に表示されるようにしてもよい。
【0016】
上記構成によると、胎児の断層像22に重ねて標準発育状態での大きさがスケールとして表示されるから、胎児の発育状況と標準発育状態とを視覚的に比較判断することができ、発育状態の診断が容易に行えるようになる。
【0017】
また、第2計測キャリパ24の位置が確定される前に前記マーカ25〜27が表示されるようにしてあれば、第2計測キャリパ24の位置を移動させるときの目安となり、第2計測キャリパ24の移動操作が容易になると共に、第2計測キャリパ24の設定位置の誤りを抑制でき、更に、第2計測キャリパ24の位置を確定する前に異常の有無を診断し得る。
【0018】
尚、前記マーカ25〜27の形状は図3に示したものに限定されず、例えば5%,50%,95%の文字をそのままマーカとして表示させる構成であっても良い。更に、前記マーカ25〜27をそれぞれ異なる色に色分けして表示させたり、正常域(5%〜95%)範囲の線を色分けして見やすくしても良い。
【0019】
また、上記実施の形態では、2点間の距離計測により胎児の児頭大横径(BPD)を計測する例を示したが、楕円を使用した周囲長計測や断面積の計測に適用することも可能であり、例えば周囲長計測を行わせる楕円と同心に標準値を示す楕円をスケールとして表示させれば良い。
【0020】
また、スケールが診断上不要ならば、スケールを表示しないこともできる。
【0021】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成されたので、体格計測において標準値を示すスケールが断層像に重ねて表示されることにより、実際の体格と標準値とを視覚的に比較でき、体格の診断が容易に行えるようになる。また、体格計測を行わせる位置の設定を行うときの指標として前記スケールを用いることが可能で、これによって計測位置の設定誤りの発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による超音波診断装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図2】体格の標準値の例として胎児の児頭大横径(BPD)をパーセンタイルランキングで示すデータテーブルを示す図である。
【図3】本発明による超音波診断装置で体格計測時の画面表示例を示す図である。
【符号の説明】
11 探触子
12 送受信部
13 画像処理部
14 表示装置
15 制御部
16 記憶装置
17 操作卓
22 断層像
23 第1計測キャリパ
24 第2計測キャリパ
25 5%マーカ
26 50%マーカ
27 95%マーカ

Claims (1)

  1. 探触子から被検体としての胎児に対して超音波を送受信して断層面を走査させる超音波送受信手段と、該走査によって得られた断層像を表示する表示手段と、前記表示手段に表示された断層像に映し出される胎児の発育状態を、計測キャリパを用いて計測する計測手段と、前記計測手段によって計測される前記胎児の発育の正常域範囲を記憶する記憶手段と、前記超音波送受信手段、前記表示手段、前記計測手段及び前記記憶手段を制御するものであって、前記断層像とその断層像の計測始点の第1の計測キャリパ及び計測終点の第2の計測キャリパとを結ぶ線分とを重ねて前記表示手段に表示させると共に、前記記憶手段に記憶された前記正常域範囲を読み出し、前記読み出された正常域範囲を示すマーカを生成し、前記生成されたマーカを前記表示手段に表示させる制御手段と、を有した超音波診断装置において、
    前記制御手段は、前記正常域範囲を前記第1の計測キャリパからの距離でもって位置させ、その正常域範囲に基づき前記マーカによって区分けされる前記線分を色分けし、前記色分けされた線分を前記断層像と重ねて前記表示手段に表示させることを特徴とする超音波診断装置。
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