JP4147493B2 - 乾燥有機顔料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、従来より少量のエネルギー消費かつより優れた生産性で得るための乾燥有機顔料の製造方法に関する。
有機顔料は、その使用に際して、色相、隠ぺい力、分散性、流動性、耐溶剤性、耐光性、耐候性、耐熱性、耐水性などに優れたものであることが要求される。所望の顔料を得るため粗顔料を合成時あるいは合成後に種々の顔料化処理が施され、乾燥顔料、ウエットケーキ又はその中間等種々の形で使用されている。
乾燥有機顔料は、その合成方法や仕上げ処理により多様な製造方法があるが、大別すると、有機溶剤や水との接触を伴う仕上げ処理を経由し、濾過して湿潤した状態の固形物(ウエットケーキまたはプレスケーキと呼ばれる。以下、ウエットケーキと略記する。)を得て、それを乾燥することで製造される。この製造方法は、例えば、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、ジケトピロロピロール顔料でも概ね共通している。
例えば、溶性アゾ顔料や不溶性アゾ顔料の様なアゾ顔料は、通常、水中においてカップリング反応が行われるため、反応後の生成物形態が顔料水懸濁液となる。この顔料水懸濁液は、必要に応じて仕上げ処理のために熟成され、その後、濾過してウエットケーキの状態で、或いはまた、このウエットケーキを更に乾燥粉砕して、グラニュールやパウダーの様な乾燥粉体の状態で、着色剤としての使用に供される。乾燥されたアゾ顔料は、実質的に水を含んでいないので、湿潤状態のそれに比べて、雑菌発生防止や凍結防止等の管理が不要であり、しかも単位重量当たりの搬送費用を低減できる長所がある。
この様な乾燥アゾ顔料を得る方法としては、前記した様なウエットケーキを、例えば、箱型乾燥装置や通気バンド乾燥装置の様な熱風加熱形式の乾燥装置にて乾燥した後、所望の粒子径となる様に粉砕する方法が知られている。しかしながら、これらの方法は、含水率10%程度までは比較的短時間かつ少ないエネルギー消費量にて乾燥することが出来るが、それから継続して更に含水率2%未満となる様に乾燥しようとすると、含水率10%程度までの乾燥よりも遥かに長時間かつ多くのエネルギー消費を伴い、トータルの乾燥時間が長く、かつ消費エネルギーも大きいという欠点があった。
特許文献1には、被乾燥物の温度が20〜50℃となる様に、噴霧乾燥装置でそれを乾燥する方法が記載されている。噴霧乾燥装置は、高含水状態から含水率2%未満に急激に乾燥するため、熱風加熱形式の乾燥装置以上に多くのエネルギー消費を伴うという欠点があった。
前記した従来技術は、いずれも一つの乾燥装置を用いて、ウエットケーキまたはスラリーを一気に乾燥させて乾燥アゾ顔料を得るものである。
これに対して特許文献2には、異なる二つの乾燥機を組み合わせて、段階的な熱履歴を被乾燥物に与えて乾燥する方法が提案されている。この特許文献2では、例えば、第一工程として高温短時間で粉砕しながら顔料の乾燥を行い、次いで第二工程として前工程で得られた乾燥顔料を前工程よりも低温にて前工程より長時間かけて更に乾燥する、という方法が提案されている。この方法は、第一工程で比較的高温にて顔料の乾燥が行われるため多くのエネルギー消費を伴い、かつ第二工程では、より低温にて第一工程より長時間かけて更に乾燥が行われるので、やはり、トータルの乾燥時間が長く、かつ消費エネルギーも大きいという欠点があった。
結局、これら従来の方法は、いずれも、トータルの乾燥時間が長く、かつ消費エネルギーが大きいという欠点があった。
特開昭59−191765号公報 特開平7−278458号公報
本発明者等は、段階的な熱履歴を被乾燥物に与えて乾燥する方法において、従来より少量のエネルギー消費かつより優れた生産性を有する乾燥有機顔料の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、段階的な熱履歴を被乾燥物に与えて乾燥する方法において、乾燥初期を比較的低温で生乾きのままで終え、次いでそれを粉砕しながらより高温で乾燥を行うという、逆転の発想を採用することで、特許文献2の方法における欠点を解決できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、有機顔料ウエットケーキを70〜150℃で含水率5〜30%となる様に乾燥させ湿潤した有機顔料を得る第一工程、及び、第一工程で採用したのより高温かつ有機顔料の分解温度よりも低温にて、湿潤した有機顔料を粉砕しながら乾燥して乾燥有機顔料を得る第二工程を含み、これらの工程をこの順において連続的に行うことを特徴とする、乾燥有機顔料の製造方法を提供するものである。
本発明の製造方法では、段階的な熱履歴を被乾燥物に与えて乾燥する方法において、乾燥初期を比較的低温で生乾きのままで終え、次いでそれを粉砕しながらより高温で乾燥を行うので、乾燥有機顔料を、従来より少量のエネルギー消費かつより優れた生産性で得ることができるという格別顕著な効果を奏する。
以下、本発明につき詳細に説明する。以下、有機顔料ウエットケーキ、湿潤した有機顔料及び乾燥有機顔料を、それぞれ、ウエットケーキ、湿潤顔料、乾燥顔料と略記するものとする。
本発明は、有機顔料ウエットケーキを70〜150℃で含水率5〜30%となる様に乾燥させ湿潤した有機顔料を得る第一工程、及び、第一工程で採用したのより高温かつ有機顔料の分解温度よりも低温にて、湿潤した有機顔料を粉砕しながら乾燥して乾燥有機顔料を得る第二工程を含み、これらの工程をこの順において連続的に行うことを特徴とする、乾燥有機顔料の製造方法に関する。
本発明の乾燥顔料の製造方法は、公知慣用の乾燥有機顔料、例えばアゾ、フタロシアニン、キナクリドン、ジケトピロロピロール、ペリレン、ジオキサジン、インダンスロン、ペリノン、アントラキノン系の各種の乾燥有機顔料等の製造に適用することが出来る。
この際のアゾ顔料としては、例えばC.I.ピグメントイエロー12、13、14等の不溶性アゾ顔料、C.I.ピグメントレッド48:1、48:2、48:3、52:1、57:1等の溶性アゾ顔料、フタロシアニン顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6等の銅フタロシアニン顔料、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36等のポリハロゲン化銅フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料としては、例えばC.I.ピグメントバイオレット19の無置換キナクリドン顔料、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド202等のジメチル又はジクロロキナクリドン顔料、ジケトピロロピロール顔料としては、例えばC.I.ピグメントレッド254、ペリレン顔料としては、例えばC.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントレッド179が、ジオキサジン顔料としては、例えばC.I.ピグメントバイオレッド23、インダンスロン顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー60等が、それぞれ挙げられる。これらの有機顔料は、単一種の顔料だけでなく、異なるカラーインデックスや結晶型の顔料の混合物であっても良い。
これら有機顔料の中でも、乾燥の熱履歴で粒子の凝集や結晶成長がより起こりやすく、その結果被着色媒体への分散性や着色物の透明性を損ないやすいことから、従来、比較的低温で長時間かけて乾燥し乾燥工程においてかなりの時間とエネルギー消費を必要としていた乾燥アゾ顔料の製造に、本発明の乾燥顔料の製造方法を適用するとより効果的である。
化学構造中に結晶水を有するアゾ顔料は、例えば乾燥により顔料として通常用いられる結晶水数に制御し、その後の実使用時等における加熱にて色相が変化しない様にする必要がある。この様な観点から、含水率の上限値を2%未満にするためにより多くのエネルギー消費を従来は必要としていた溶性アゾ顔料が、本発明の製造方法においてエネルギー消費の削減効果が顕著であるため、より好ましい。化学構造中の保有結晶水数の違いで色相が大きく異なることが許容されないC.I.ピグメントレッド48:2、57:1の製造に対して、本発明の製造方法はより効果的に適用出来る。
本発明の第一工程では、前記した有機顔料を含有するウエットケーキを湿潤顔料となる様に乾燥させる。ウエットケーキとは、固形分である有機顔料と、水を主成分とする液媒体とを含有するものである。また、水を主成分とする液媒体とは、水のみ又は質量換算で水を90%以上含有する液媒体を言う。ウエットケーキに含まれる液媒体が、有機溶剤のみ又は有機溶剤を主成分とする液体媒体であると、後記する乾燥により顔料の結晶変化が起こりやすくなるので好ましくない。
本発明における含水率は、日本工業規格JIS K5101−23「加熱減量」に従って測定された顔料の加熱減量(%)から求められる。本発明においては、ウエットケーキに含まれる液媒体を全て水とみなし、ウエットケーキに含まれる液媒体の含有率を、含水率と称するものとする。また%は、質量基準とする。
本発明において乾燥を行うためのウエットケーキは、その含水率の点において制限されるものではないが、例えば含水率50〜85%のウエットケーキを用いることが出来る。具体的に、通常、アゾ顔料ウエットケーキとしては含水率55〜80%、フタロシアニン顔料ウエットケーキとしては含水率55〜70%、キナクリドン顔料ウエットケーキとしては含水率55〜85%、ジケトピロロピロール顔料ウエットケーキとしては含水率55〜70%のものが好適に用いられる。
乾燥に用いるウエットケーキの含水率によって、乾燥の消費エネルギー絶対値は異なるが、本発明では、前記した様な有機顔料の種類を問わず、乾燥時の消費エネルギーの相対的な削減を図ることが出来る。同一種かつ同一の含水率のウエットケーキを用いた場合、従来の乾燥に要していた消費エネルギー対比で、本発明の製造方法は、相対的に大幅なエネルギー削減を図ることが出来る。
本発明で用いるウエットケーキに含まれる有機顔料は、前記した有機顔料のみから構成されていても良いし、各種の表面改質剤にて被覆された有機顔料であっても良い。この表面被覆剤としては、例えばロジン類、ワックス類、界面活性剤、皮膜形成性樹脂の他、前記有機顔料のスルホン酸誘導体、スルホンアミド誘導体、アミン誘導体、フタルイミドメチル誘導体等の各種誘導体が挙げられる。
本発明の方法において使用されるウエットケーキに含有されるアゾ顔料が、C.I.ピグメントレッド57:1の様な溶性アゾ顔料の場合、例えば、アビエチン酸を主成分とするロジン、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、フマル酸変性ロジン、マレイン酸変性ロジンから選ばれるロジン類を、その製造の任意工程で併用すると、そこからの乾燥顔料からは、透明性や着色力に優れた平版印刷用インキを得ることが出来るので好ましい。
これら表面改質剤の含有量は、質量換算で有機顔料100部当り、0.01〜50部の範囲とすることが好ましい。
この様なウエットケーキは、有機顔料合成後もしくは種々の仕上げ処理後の顔料液媒体懸濁液を濾過し、水洗し再度濾過することで得ることが出来る。水洗や濾過は必要に応じて繰り返し行っても良い。この水洗により、有機顔料を被覆していない表面改質剤や含有されている場合がある各種不純物等は洗い流され、また液媒体は実質的に水のみに置換される。こうして、濾過における絞りの程度を調整することで、所望の含水率のウエットケーキを得ることが出来る。
本発明における第一工程では、例えば質量換算で含水率50〜85%のウエットケーキを乾燥させて、同含水率5〜30%となる様に乾燥させる。本発明においては、この含水率5〜30%の湿潤した顔料の状態を、湿潤顔料と称する。湿潤顔料を得るための本発明の第一工程での乾燥温度は、乾燥効率の観点だけで見れば比較的低温に属するものであり、70〜150℃である。
本発明の第一工程で使用出来る乾燥装置は、前記ウエットケーキを70〜150℃で含水率5〜30%となる様に乾燥させた顔料を得ることが出来る装置である。この様な乾燥装置としては、例えば、回分式熱風乾燥装置、或いは連続熱風乾燥装置に属する通気バンド乾燥装置を用いることが出来る。
回分式熱風乾燥装置とは、乾燥装置内に、複数の棚段を有し、その棚上に、必要に応じて成型したウエットケーキが置ける様になっており、熱風を通気して乾燥を行う仕組みの乾燥装置である。熱風は装置内空気温湿度が適当となる様にするのが好ましい。この装置では、所要含水率になるまで、乾燥を行ったのちに、この棚段を装置外部に取り出し、個々の棚から回収することになる。そのため台車の上にこの棚段が設けられているものが装置外への取り出しが容易で、顔料の回収もしやすい。
ウエットケーキの仕込みと、任意の含水率の湿潤顔料の仕込みと乾燥顔料の回収をその度毎に行うことが必要な回分式熱風乾燥装置に対して、連続熱風乾燥装置は、仕込みと回収を一連の操作として連続的に行える点で優れている。
この連続熱風乾燥装置には、気流乾燥装置、噴霧乾燥装置、通気バンド乾燥装置、円筒乾燥装置が含まれるが、本発明の第一工程においては、通気バンド乾燥装置を用いることが好ましい。噴霧乾燥装置や円筒乾燥装置は、ウエットケーキの単位質量当たりの乾燥に要する消費エネルギーが極めて大きいため、本発明の第一工程にせよ第二工程にせよ用いるのは好ましくない。または気流乾燥装置は、少量のウエットケーキを短時間のうちに乾燥するのには適しているが、通気バンド乾燥装置に比べてウエットケーキの単位質量当たり乾燥顔料の生産性は低いという特徴を有している。
そのため、本発明においては、第一工程及び第二工程において、例えばこれら通気バンド乾燥装置と気流乾燥装置とをこの順となる様に組み合わせて使用することで、任意の含水率の湿潤顔料及び乾燥顔料を、より消費エネルギー、かつより高い生産性でもって得ることが出来る。
この通気バンド乾燥装置とは、ベルトコンベアの様にバンド(無端ベルトとも呼ばれる)が循環回転できる様にした横長のバンド上に、必要に応じて成型したウエットケーキが置ける様になっており、このバンドを動かすことでウエットケーキを運搬しながら熱風を当て、熱風雰囲気下で乾燥を行う仕組みの乾燥装置である。通気性のあるバンド素材を用いれば、通常のウエットケーキにこの熱風を当てるだけでなく、バンドの下方からもバンドを介してウエットケーキに熱風を当てることが出来る。
横長式の通気バンド乾燥装置は、移動するバンド上を覆う様に複数の部屋が設けられており、複数のファンによって熱風の循環が行われる様になっている。そして、バンドの移動による運搬で、入口の最初の部屋に入ったウエットケーキは、複数の部屋の下を通過して、出口である最後の部屋の下を通過した後には、必要とする含水率の乾燥顔料が得られる様になっている。最初の部屋にある状態のウエットケーキは、含水率が極めて高く、出口に近い部屋であるほど含水率が低くなる様に、吸排気を制御することが好ましい。出口に近い部屋の熱風ほど、水蒸気の含有率が低いので、その様な水蒸気の含有率が低い熱風を入口に近い部屋に戻す様に熱風の循環を行うのも効果的である。予め加熱した熱風を吸気して部屋内に通気しても良いが、部屋内に熱交換器を設けて、外気を吸気してこれで加熱して熱風となして用いることも出来る。熱交換器を用いて熱風の温度を制御する場合は、熱交換器の運転条件と部屋内の熱風の温度との関係を事前に把握して、条件を選定することが好ましい。中でも、排気された水蒸気を含む熱風、もしくはそれから水分を除いた熱風と外気とを混合して、この熱風を入口に近い部屋に戻す様に熱風の循環を行うことが、より好ましい。
通気バンド乾燥装置は、大量のウエットケーキをより短時間で含水率30%以下の所望の含水率まで乾燥させるのに適しており、その仕組み上、バンド上のウエットケーキが移動しながら乾燥が行われるため、バンドの搬送速度と、上記したバンド上の部屋における吸排気を制御することで、準備された乾燥すべきウエットケーキを入口側のバンド上に暫時継続して仕込むことが出来、かつ出口からは意図した含水率の湿潤顔料又は乾燥顔料が自動的に搬出されるという優れた長所を有する。
この様な、横長式の通気バンド乾燥装置としては、例えば、不二パウダル社製バンドドライヤー、ナニワ乾燥機社製バンド式スルードライヤー等が挙げられる。
横長式の通気バンド乾燥装置に対して、縦型の多段バンド乾燥装置は、乾燥部屋内の熱風環境を微調整することが難しいので、本発明の第一工程の使用には適していない。
本発明の第一工程で得るべき湿潤顔料の含水率は、実質的に顔料の種類や乾燥条件により変わりうるが、第一工程と第二工程の消費エネルギーの合計を少なく出来るという点で、5〜30%、好ましくは5〜15%、さらに好ましくは5〜10%である。到達含水率を5%未満とするには、第一工程の消費エネルギーが増大し、乾燥対象の顔料の単位質量当たりより多くのエネルギー消費を伴う第二工程を行う実益がないし、逆に30%を超えると、第一工程の消費エネルギーに比べて第二工程の消費エネルギーが同等ないしは増大するので、省エネルギーの観点からは、いずれも好ましくない。
通気バンド乾燥装置は、それのみを用いてウエットケーキから乾燥顔料を得ることも十分に出来、この様な使い方をする場合には、通常、ウエットケーキを温度90℃〜150℃で含水率2%未満となる様に乾燥される。しかしながら、この様な通気バンド乾燥装置のみを用いて行う従来の乾燥の場合には、乾燥装置出口側に近い部屋に位置する顔料ほど、隣接する部屋に位置する各々顔料の含水率の相違は微差であり、顔料のごく僅かの含水率の低下に大きなエネルギーを消費するという不都合が生じる。
そこで本発明者等は、最終的に得られる顔料品質を劣化させることなく、この大きなエネルギー消費を如何にしたら低減できるかについて鋭意検討した。その課題解決アプローチが、本来一段階で行っているウエットケーキの乾燥操作を、乾燥条件を変えて、第一工程と第二工程の二段階に分けて行うというものである。従って本発明の第一工程では、ウエットケーキを乾燥するにしても、従来の乾燥における常識では中途半端で特異的な、乾燥顔料の状態の手前、湿潤顔料の状態までに留める様な乾燥を行うわけである。
第一工程と第二工程の消費エネルギーの合計を少なくするという観点からは、ウエットケーキを70〜150℃で含水率5〜30%となる様に乾燥させた湿潤顔料を第一工程にて得た後、この第一工程と連続させて、第一工程で採用したのより高温かつ顔料の分解温度よりも低温にて、湿潤顔料を粉砕しながら乾燥して乾燥顔料を得る第二工程を行う必要がある。本発明においては、この第一工程と第二工程とをこの順において連続的に行うことで、意図した技術的効果がはじめて発現するものであって、公知技術にある様な第一工程と第二工程を逆に行うのでは、本発明の技術的効果は奏されない。
ここで乾燥顔料とは、含水率が0%以上2%未満の範囲にある顔料を意味する。前記した様に、乾燥顔料が溶性アゾ顔料の場合は、結晶水の含有率で、着色剤としての色相は大きく変わってしまうため、ロット振れを考慮すると、含水率が上限値1.8%となる様に制御するのが好ましい。
本発明の第二工程では、前記第一工程で採用したのより高温かつ顔料の分解温度よりも低温にて、湿潤顔料を粉砕しながら乾燥して乾燥顔料を得る。本発明においては、第一工程にてある程度含水率が低減された湿潤顔料を得てしまうので、第二工程はこの湿潤顔料を乾燥顔料とするための乾燥に専念させることが出来る。よって、第二工程のみを独立に行ってウエットケーキから乾燥顔料を得る場合に比べて、第二工程における乾燥を、より軽微な作業、より少ないエネルギー消費で行うことが出来る。
第一工程において用いられた乾燥装置から得られた湿潤顔料は、連続的に、第二工程において用いる乾燥装置に供給され乾燥顔料とされる。第一工程と第二工程とをこの順にて連続的に行うには、第一工程において用いられた乾燥装置の湿潤顔料の排出口と、第二工程において用いる乾燥装置の導入口とを配管接続してやれば良いが、それら配管の途中に、湿潤顔料を貯蔵するホッパー及びホッパーから排出される湿潤顔料を、定量的に、第二工程において用いる乾燥装置の導入口に送り込むフィーダーを配置することにより、乾燥装置の移し変えによる作業者の負担をより軽減することも出来る。
第一工程と第二工程とを滞留なく連続的に遂行して意図した乾燥顔料を得るためには、第一工程における湿潤顔料の排出速度と、第二工程における湿潤顔料の乾燥顔料への乾燥排出速度が同一ないし略同一となる様に、両工程で用いた乾燥装置の運転条件を調整することが好ましい。
第二工程の乾燥温度については、乾燥に当たり固形分である顔料が分解されてしまうのでは、得られた乾燥顔料を、例えば着色剤への使用に供することが出来ないから、第二工程の乾燥温度の上限が顔料の分解温度よりも低温であることは、当然のことである。
また、本発明において第二工程における前記第一工程で採用したのより高温とは、第一工程が行われる上限温度である150℃を越える温度を意味するものではなく、第一工程で規定する温度範囲内から選定した実際の温度より相対的に高い温度であることを意味する。第一工程における乾燥温度が、例えば70℃で行われた場合に、第二工程の乾燥温度は70℃を越えていれば良く、150℃を越えていなければならないということ意味するものではない。
しかしながら、第一工程における乾燥温度と第二工程における乾燥温度との差は、+60〜+240℃、中でも+80〜+180℃の範囲となる様にすることが好ましい。この様な大きな乾燥温度の温度差を一つの乾燥装置で達成することは難しいし、この温度差が小さいと乾燥効率の改善はあまり無く、また、二つの乾燥装置を組み合わせて用いるにしてもその実益がなくなる。
尚、第一工程で採用したのより高温かつ顔料の分解温度よりも低温であるという第二工程の乾燥温度は、例えば155〜330℃、中でも190〜280℃であることが好ましい。第一工程を経ることで、既に、顔料形態は湿潤顔料である含水率5〜30%の範囲となっているので、この第二工程では、この湿潤顔料を乾燥顔料の状態に至るまで乾燥を行えば良い。
本発明を行うには、第一工程と同じ乾燥装置を第二工程にも用いて、第二工程で粉砕しながら、それら二台を並列にして用いても良いが、第一工程と第二工程とで最適な乾燥装置同士を組み合わせて用いて本発明の乾燥を行う方が、より消費エネルギー小さく乾燥を行うことが出来、しかも乾燥顔料の生産性を高めることが出来るので好ましい。この様な観点から、第二工程では、連続熱風乾燥装置として、気流乾燥装置を用いるのが好ましい。
この気流乾燥装置とは、縦型の乾燥管の下方から熱風を放出し、その気流中に任意の形態の顔料を投入することで、含水率がより低くなった顔料粒子だけを、重力に抗してこの熱風の力でそれと並流に乾燥管の上方から放出して捕集回収し、含水率がより高い顔料粒子だけがこの乾燥管内で滞留され乾燥される仕組みの乾燥装置である。
含水率がより高い顔料粒子は、乾燥に当たり、乾燥管の上方に吹き上げられながら乾燥されるが、含水率が高いままであると、並流に逆らって重力により乾燥管下方に落下してくる。それらは熱風で再度上方に吹き上げられ乾燥される。この装置は、熱風の送気と排気とを調整して利用することが好ましい。熱風は水蒸気の飽和量となるまで繰り返し使用することも出来る。
乾燥管の上方に分級部を設けておけば、そこで所望の粒子径範囲の乾燥顔料のみを捕集回収することが可能であるので好ましい。この分級部は、必要な粒子径範囲に分級できるブレードが設けられたものであれば良い。この様なブレードが設けられた回転体からなる分級部を回転させることで必要な粒子径範囲の乾燥顔料のみを効率的に回収することも出来る。
また、含水率がより高い顔料粒子が乾燥管下方に塊となって堆積しない様にするために、粉砕部を設けて、常に含水率がより高い顔料が粒子状に乾燥管内を上方に向けて吹き上げられている様にすることが好ましい。
この粉砕部は、どの様な機構によるものであっても良いが、例えば複数の突起が設けられた円盤状回転体や、複数のブレードが設けられた円盤状回転体等が挙げられる。この円盤状回転体が回転することで、前記突起やブレードに乾燥対象の顔料が接触することで、その衝撃力により顔料は粉砕され、回転体上への堆積や塊状化を防止することが出来る。また、この回転体は回転させると、管内に旋回流を生じさせることが出来る。回転数が大きいほど管内の旋回流は大きくなる。
そこで、メッシュが設けられた回転体からなる分級部と、突起やブレードが設けられた円盤状回転体からなる粉砕部とを同期させて回転させる様にすると、常態における、乾燥管下方から上方への熱風の並行流が、乾燥管内で大きな旋回流となり、管内上方に巻き上げられる。そうすると、顔料は気流中にあっても解されながら乾燥されるため、熱風の並行流に頼った乾燥に比べれば、より一層、乾燥効率を向上させることが可能となる。また、顔料の乾燥に伴う乾燥管の内壁への顔料付着も少なくなるので好ましい。
この様な気流乾燥装置としては、例えば、後記する図2で示される実施例で用いている様な気流乾燥装置や、特開2001−41652公報、特開2004−69115公報等に記載されている気流乾燥装置を用いることが出来る。
本発明の第二工程で得る乾燥顔料の平均粒径は、特に制限されないが、例えば、5〜100μmであるものが挙げられる。中でも、平均粒径5〜80μmの乾燥顔料が粉末(パウダー)であり好ましい。尚、この平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定される乾燥顔料の粉体の粒度分布において、その積算分布が50%の値をとる粒子径を意味する。本発明における乾燥顔料の定義は、前記した通りである。
こうして本発明の製造方法で得られた乾燥顔料は、被着色媒体の着色に使用することが出来、具体的には、印刷インキ、塗料、成形品の各種着色の用途、インクジェット記録用インク、静電荷像現像用トナー、液晶カラーフィルタの調製等に用いることが出来る。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。尚、文中、部又は%とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
以下、本発明における優れた生産性とは、乾燥工程における単位時間当たりの乾燥顔料の処理量(kg/hr)が高いことを示す。
乾燥顔料の処理量としては、装置の大きさにもよるが、操作性や作業性を考慮した一般的に市販されている装置において、例えば、横長式の通気バンド乾燥装置の場合、含水率60〜75%のウエットケーキを90〜130℃で乾燥した時の乾燥顔料処理量は、70〜200kg/hrであり、噴霧乾燥装置の場合、含水率85〜90%の顔料スラリーを熱風温度320℃且つ排気される熱風温度110℃で乾燥した時の乾燥顔料処理量は、70〜150kgである。
また、本発明における消費エネルギーとは、乾燥工程における異なるエネルギー量を原油の量(リットル)に換算したものをいい、原油換算値が少ないほど、乾燥に要した消費エネルギーが少ないことを意味する。
乾燥を行うためのエネルギー源は、用いる乾燥装置により異なり、例えばLNG、電力、蒸気、LPG、都市ガスなどがある。そこで、エネルギー源の種類の相違に影響されることなく消費エネルギー量を定量的に評価するため、本発明では、乾燥に要した装置固有の各エネルギー量をいずれも原油換算値にて評価した。
尚、各エネルギーの原油換算値の算出にあたっては、以下の原油換算係数を用いて算出した。標準単位発熱量は、総合エネルギー統計(平成16年度版)、(株)通商産業研究社(2006.01)を参照した。
LNG;1.41 L/kg
電力;0.232 L/kwh
蒸気;0.0691 L/kg
LPG;1.30 L/kg
第一工程で用いた通気バンド乾燥装置1を図1に、第二工程で用いた気流乾燥装置2を図2に示す。これら各乾燥装置を1台づつ準備し、図示はしないが、通気バンド乾燥装置の湿潤顔料の排出口とホッパーとスクリューフィーダーと気流乾燥装置の導入口とをこの順にて接続し、本発明における第一工程と第二工程を連続的に行える様にした。
尚、図1にある様に通気バンド乾燥装置1は、図面左端にウエットケーキを導入する導入口3が設けてあり、その下にはベルトコンベアの様に、図面左側から右側にウエットケーキを搬送するバンド4を有している。通気バンド乾燥装置1のバンド移動速度は、必要に応じて調節出来る様になっている。ウエットケーキの導入口3の上部には、成型されたウエットケーキをバンド上に散布するローリング押出機5が設けられており、バンド4上へは、ムラにならない様にウエットケーキが散布される。また、そのバンド4上にはU1〜U9で表される9つの部屋が設けられており、その個々の部屋には、熱交換器ユニット6が設けられており、図示しないが、ファンにて、下方にあるバンド4上に向けて、熱風が給気出来る様になっている。この熱交換器ユニット6とファンとで部屋内の温度が制御される。この熱交換器ユニット6は、給気する熱風の温度を調整出来る様になっている。ウエットケーキの乾燥により発生した水蒸気を含んだ熱風は、バンド4下方に設けられた排気口7から排気でき、一方、適宜、給気口8から外気を取り入れた上で、新たに熱交換器ユニット6にて加熱された熱風が部屋内に満たされる様になっている。個々の部屋は連通しており、湿潤顔料の排出口に近い方の部屋のみから排気を行って、導入口に近い方の部屋のみに給気される様になっている。
一方、気流乾燥装置2は複数の筒状の部材を連結した筐体9を備えている。筐体9内部が乾燥管になっている。筐体の真ん中には、気流乾燥装置の湿潤顔料の供給部13が設けられ、筐体の下部には図示しない熱風発生源より供給される熱風を筐体9内に取入れる流入口10が設けられている。また流入口10の上方には、粉砕部として円盤状回転体11からなる粉砕ロータ12が設けられており、この粉砕ロータ12は、外部動力源により回転出来る様になっている。
粉砕ロータ12と熱風の流入経路との配置は、円盤状回転体11からなる粉砕ロータ12の外周円よりも内側に向かって、筐体9内部の乾燥管の内壁面円周に沿った平坦な突条14を設けて、その突条14の平坦面と円盤状回転体11との外周円とが上方からの投影面で見た時に重複する様に配置することで、円盤状回転体11の外周より外側に落下した湿潤顔料が、熱風は乾燥管に向けて無理なく通過出来るが、落下してくる湿潤顔料が流入口10方向に逆流したり流入口10を直ちには閉塞しない様な仕組みになっている。
粉砕ロータ12は、上方から見ると図3上に示す様に、円周に沿って一定間隔で8つの突起15と、断面から見ると図3下に示す様に、中心部分に三角錐状の突起16とが設けられた円盤状回転体11からなっている。この粉砕ロータ12が回転し、前記突起15に湿潤顔料が接触することで、その衝撃力により顔料は粉砕される。また落下してきた湿潤顔料の粉砕ロータ中心部への湿潤顔料は、三角錐状の突起16により円周方向に強制移動させられ、堆積が防止されると共に、流入口10から放出される熱風により、中心部よりは容易に上方に吹き上げられ、解されながら乾燥される。
粉砕ロータ12の上方には湿潤顔料を供給する供給部13が設けられている。この供給部13には図示しないがスクリューフィーダが設けられ、同様に図示しないホッパーに蓄えられる湿潤顔料を導入口17から送出して粉砕ロータ12上に落下させるようになっている。
また図2に示す様に、筐体9の乾燥管上部には乾燥顔料の分級を行う分級部18が設けられている。上方から見ると図4に示す様に、この分級部18は複数の薄板19から成る分級ブレードが放射状に立設されて、外部動力源により回転出来る様になっている。薄板からなる分級ブレードは図4に示すように中心線に対してα=45°となる様に傾斜して配されている。
これにより、分級ブレードの回転速度を抑制するとともに分級部18の内部への乾燥顔料の侵入を制限するようになっている。また、分級部18の上方に設けられる排気ダクト20は、図示しない送風機により吸引されており、乾燥顔料が空気及び水蒸気とともに排出されるようになっている。
また、回転する分級ブレードは旋回気流を発生させる。上昇して分級部付近に到達した乾燥顔料には該旋回気流による遠心力が働く。空気及び水蒸気を排出して軽量化した乾燥顔料には分級部18に吸引される向心力が働く。分散が充分でない湿潤顔料は遠心力の作用の方が大きく、分級部18の外側に飛ばされ落下し粉砕部に送られて更に熱風に曝される。
再度解され乾燥された乾燥顔料は向心力の作用の方が大きくなり、分級ブレード間の隙間ら分級部18の内部に侵入する。そして、排気ダクト20の排気口から排出されて均一な粒径の乾燥顔料だけが得られるようになっている。
尚、通気バンド乾燥装置の排出口から排出される湿潤顔料が、直ちに気流乾燥装置に導入され、通気バンド乾燥装置の排出口からの湿潤顔料が滞留しない様に、それぞれの乾燥装置の運転条件を調整して、連続的に本発明の第一工程と第二工程とをこの順で行って乾燥顔料を得る様にした。各図中の矢印は、回転方向又は流れ方向を意味する。
公知の方法で合成したC.I.ピグメントレッド57:1を含む懸濁液をろ過、水洗して顔料ウエットケーキ(含水率70%)1850kgにつき、図1に示す通気バンド乾燥装置で第一工程の乾燥を行った後、得られた湿潤顔料を図2に示す気流乾燥装置を使用して第二工程の乾燥を行い、C.I.ピグメントレッド57:1の乾燥顔料粉末554kgを得た。
(通気バンド乾燥装置の運転条件)
供給した顔料ウエットケーキ; 含水率70%
熱交換器で制御された熱風温度; U1〜U9の全ユニットにつき 110℃
排出口から取り出された湿潤顔料; 含水率8.1%
上記湿潤顔料の生産性;319kg/hr
(気流乾燥装置の運転条件)
供給した湿潤顔料; 第一工程で得られた湿潤顔料(含水率8.1%)
導入口からの湿潤顔料の供給速度; 330kg/hr
流入口における熱風温度; 230℃
排出口における熱風温度; 110℃
粉砕ロータの回転数; 4000rpm
分級ブレードの回転数; 1800rpm
乾燥顔料の生産性;304kg/hr
こうして第一工程及び第二工程を経由して乾燥することで得られた乾燥顔料は、含水率0.7%かつ平均粒径10μmであった。
比較例1
実施例1と同様に合成したC.I.ピグメントレッド57:1を含む懸濁液をろ過、水洗して顔料ウエットケーキ(含水率70%)1850kgを得た。これに水を加えて、含水率88%まで希釈した顔料スラリーを、ニロ ジャパン社製スプレードライヤ SD−100R−S1(連続式噴霧乾燥装置)で次の条件で乾燥を行い、乾燥顔料粉末554kgを得た。尚、この乾燥装置では、実施例1の様にウエットケーキからの乾燥は行えない。
(連続式噴霧乾燥装置の運転条件)
供給した顔料スラリー; 含水率12%
熱風温度; 320℃
排気される熱風温度; 110℃
乾燥顔料の生産性;79kg/hr
こうして噴霧乾燥を行うことで得られた乾燥顔料は、含水率0.8%かつ平均粒径6μmであった。
比較例2
実施例1と同様に合成したC.I.ピグメントレッド57:1を含む懸濁液をろ過、水洗して顔料ウエットケーキ(含水率70%)1850kgを得た。実施例1で使用した通気バンド乾燥装置のみを用いて、実施例1と同様な乾燥顔料を得る様に、従来の条件に相当する次の条件で乾燥を行った後、粉砕して乾燥顔料粉末554kgを得た。
(通気バンド乾燥装置の運転条件)
供給した顔料ウエットケーキ; 含水率70%
各ユニットの温度;U1〜U4 130℃、U5〜U9 110℃
乾燥顔料の生産性;120kg/hr
こうして通気バンド乾燥装置のみを用いて従来通りの乾燥を行うことで得られた乾燥顔料は、含水率0.9%かつ平均粒径9μmであった。
比較例3
公知の方法で合成したC.I.ピグメントレッド57:1を含む懸濁液をろ過、水洗して顔料ウエットケーキ(含水率70%)1850kgを実施例1で用いたのと同一の気流乾燥装置を用いて、次の条件で乾燥を行い、C.I.ピグメントレッド57:1の乾燥顔料粉末554kgを得た。さらに得られた顔料をチャン・ゾウ・シュン・ファ・ドライング・イクイップメント(Chang Zhou Shuang Hua Drying Equipment Co.Ltd)社製RXH−32(箱型乾燥装置)の棚段に入れて、85℃で4時間加熱した。
(気流乾燥装置の運転条件)
供給した顔料ウエットケーキ; 含水率70%
導入口からの湿潤顔料の供給速度; 93kg/hr
熱風温度; 270℃
排出口における熱風温度; 110℃
粉砕ロータの回転数; 4000rpm
分級ブレードの回転数; 1800rpm
乾燥顔料の生産性;28kg/hr
こうして気流乾燥装置と箱型乾燥装置とを組み合わせて乾燥を行うことで得られた乾燥顔料は、含水率0.8%かつ平均粒径18μmであった。
尚、箱型乾燥装置での乾燥を行わない以外はこの比較例3と全く同一の操作を行った場合であっても、乾燥顔料の生産性は、依然として実施例1のそれより著しく劣っていた。また、この場合における後記する消費エネルギーの原油換算値も、実施例1のそれよりかなり大きかった。
まず最初に、実施例1、比較例1、2及び3における乾燥顔料の生産性を、単位時間当たりの乾燥顔料の得量で表され、実施例1の乾燥顔料の生産性は、比較例1、2及び3の乾燥顔料の生産性に比べて、著しく優れていることがわかる。
また、実施例1、比較例1、2及び3における乾燥工程の消費エネルギー(蒸気、電力、LPG)を測定し、原油量に換算した。その結果を表1に示した。
表1(乾燥工程の消費エネルギーと原油換算値)
Figure 0004147493
試験例1
実施例1、比較例1、比較例2及び比較例3で得られたC.I.ピグメントレッド57:1の乾燥顔料粉末(以下、顔料)6g、ロジン変性フェノール樹脂を含有する平版印刷インキ用ビヒクル39g、軽油5gをビュラー社の3本ロールにて40℃、圧縮圧15バールで、まず2本ロールで5分間分散させた後、3本ロールに3回パスし分散させて模擬平版印刷インキ(ドライヤーを含める前の平版印刷インキ)を調整した。
(着色力)
各模擬平版印刷インキ0.2gと、酸化チタンを含む白インキ2.0gを混ぜ合わせ淡色インキを作製した。グレタグSPM50(GRETAG Limited製分光光度計)により判定した。比較例1の模擬平版印刷インキの着色力を100とした場合における、実施例1、比較例2および比較例3のインキの着色力を数字で表示した。
次に、各模擬平版印刷インキを用いて、インキ中の顔料の分散性とインキの着画像の透明性を評価した。その結果を表2に示した。分散性と透明性の評価方法と評価基準は下記の通りである。
(分散性)
グラインドゲージを用いて各模擬平版印刷インキの分散性を評価した。
◎:特に良好 ○:良好 △:やや良好 ×:劣る
(透明性)
各模擬平版印刷インキを展色し、着色画像の透明性を目視により判定した。
◎:特に良好 ○:良好 △:やや良好 ×:劣る
表2(平版印刷インキ特性)
Figure 0004147493
本発明の製造方法によれば、段階的な熱履歴を被乾燥物に与えて乾燥する方法において、乾燥初期を比較的低温で生乾きのままで終え、次いでそれを粉砕しながらより高温で乾燥を行うため、従来より少量のエネルギー消費かつより優れた生産性にて、従来と同等の着色力、透明性および分散性を有する印刷インキを調製することが出来る乾燥顔料を製造することができる。
実施例における、本発明の第一工程で用いた通気バンド乾燥装置の断面図である。 実施例における、本発明の第二工程で用いた粉砕部と分級部を有する気流乾燥装置の断面図である。 実施例における、本発明の第二工程で用いた気流乾燥装置の粉砕部の上面図と、断面図である。 実施例における、本発明の第二工程で用いた気流乾燥装置の粉砕部の上面図である。
符号の説明
1 通気バンド乾燥装置
2 気流乾燥装置
3 導入口
4 バンド
5 ローリング押出機
6 熱交換器ユニット
7 排気口
8 給気口
9 筐体
10 流入口
11 円盤状回転体
12 粉砕ロータ
13 供給部
14 突条
15 突起
16 三角錐状の突起
17 導入口
18 分級部
19 薄板
20 排気ダクト

Claims (4)

  1. 有機顔料ウエットケーキを70〜150℃で含水率5〜30%となる様に乾燥させ湿潤した有機顔料を得る第一工程、及び、第一工程で採用したのより高温かつ有機顔料の分解温度よりも低温にて、湿潤した有機顔料を粉砕しながら乾燥して乾燥有機顔料を得る第二工程を含み、これらの工程をこの順において連続的に行うことを特徴とする、乾燥有機顔料の製造方法。
  2. 第一工程を、回分式熱風乾燥装置または通気バンド乾燥装置のいずれか一種の乾燥装置で行い、かつ第二工程を、粉砕部を有する縦型気流乾燥装置で行う請求項1記載の製造方法。
  3. 有機顔料が、アゾ顔料である請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 有機顔料が、溶性アゾ顔料である請求項1又は2記載の製造方法。
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