JP4147408B2 - フッ酸排水処理方法及び装置 - Google Patents

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Description

本発明は、フッ酸を含むフッ酸排水を処理するフッ酸排水処理方法及び装置に関する。
半導体や液晶などの電子部品の製造工程で排出されるフッ酸排水は、希薄化されて再利用が困難であることから、通常、消石灰(水酸化カルシウム)でフッ酸を中和して不溶性のフッ化カルシウムにした後、これを水酸化カルシウムと共に沈殿させ、汚泥として排水から分離する方法で処理されていた。
しかしながら、この方法では沈殿や脱水に要する設備スペースが過大になるという問題があった。また、水酸化カルシウムを過剰に供給する必要があるので汚泥が多量に生成される結果、脱水後であっても多量の廃棄物が残存するという問題があった。更に、処理水に15〜20ppmのフッ素が残留するので、水質向上の観点から更に改良の余地があった。
そこで、特許文献1には、苛性ソーダ水溶液や苛性カリ水溶液のようなアルカリ性水溶液をフッ酸排水に添加した後、蒸発濃縮して蒸留水を生成するフッ酸排水の処理方法が開示されている。
特開平9−271785号公報
ところが、上記特許文献1に開示された方法は、フッ酸排水にアルカリ性水溶液を添加して中和するようにしているので、蒸発により得られた濃縮水にはNaFなどの塩が溶解しており、濃縮水からフッ酸を回収して再利用することはできないという問題があった。また、蒸留水のフッ酸濃度を環境保全に適合するよう維持するためのアルカリ性水溶液の添加量制御が困難であるという問題もあった。
本発明は、このような問題を解決すべくなされたものであって、フッ酸排水に含まれるフッ酸を効率よく回収すると共に、処理後の脱フッ酸水のフッ酸濃度を十分低減することができるフッ酸排水処理方法及び装置の提供を目的とする。
本発明の前記目的は、フッ酸を含有するフッ酸排水を処理するフッ酸排水処理方法であって、フッ酸排水を蒸発濃縮することにより、濃縮フッ酸水及びフッ酸含有蒸気を生成するフッ酸濃縮工程と、前記フッ酸濃縮工程で生成されたフッ酸含有蒸気を溶解用水に接触させて溶解させる溶解工程と、前記溶解工程で残留したフッ酸含有蒸気をアルカリと接触させることにより、中和液及び脱フッ酸蒸気を生成する中和工程と、前記中和工程で生成された脱フッ酸蒸気を凝縮することにより凝縮水を生成する凝縮工程とを備えるフッ酸排水処理方法により達成される。
このフッ酸排水処理方法は、前記中和工程で生成された中和液を、イオン交換膜を用いてフッ酸含有水、アルカリ含有水及び脱塩水に分離する中和液分離工程を更に備えることが好ましい。
また、前記凝縮工程で生成された凝縮水をアルカリと接触させ、及び/又は、前記凝縮工程で凝縮する前に脱フッ酸蒸気をアルカリと接触させることにより、中和液を生成し、該中和液を蒸発濃縮することにより濃縮中和液及び再脱フッ酸蒸気を生成する中和液濃縮工程と、前記中和液濃縮工程で生成された濃縮中和液を、イオン交換膜を用いてフッ酸含有水、アルカリ含有水及び脱塩水に分離する濃縮中和液分離工程とを更に備えることが好ましい。
また、前記フッ酸濃縮工程は、前記溶解工程で生成されたフッ酸含有蒸気の溶解液を蒸発濃縮する工程を備えることが好ましい。
あるいは、本発明の前記目的を達成するためのフッ酸排水処理方法は、フッ酸排水を蒸発濃縮することにより、濃縮フッ酸水及びフッ酸含有蒸気を生成する第1濃縮工程と、前記第1濃縮工程で生成されたフッ酸含有蒸気を中和凝縮し、中和液を生成する中和凝縮工程と、前記中和凝縮工程で生成された中和液を濃縮して濃縮中和液を生成する第2濃縮工程と、前記第2濃縮工程で生成された濃縮中和液を、イオン交換膜を用いてフッ酸含有水、アルカリ含有水及び脱塩水に分離する分離工程とを備えてもよい。
また、本発明の前記目的は、フッ酸を含有するフッ酸排水を処理するフッ酸排水処理装置であって、フッ酸排水を蒸発濃縮することにより、濃縮フッ酸水及びフッ酸含有蒸気を生成するフッ酸濃縮装置と、前記フッ酸濃縮装置で生成されたフッ酸含有蒸気を溶解用水に接触させて溶解させる水接触装置と、前記水接触装置で残留したフッ酸含有蒸気をアルカリと接触させることにより、中和液及び脱フッ酸蒸気を生成するアルカリ接触装置と、前記アルカリ接触装置で生成された脱フッ酸蒸気を凝縮することにより凝縮水を生成する凝縮装置とを備えるフッ酸排水処理装置により達成される。
このフッ酸排水処理装置は、前記アルカリ接触装置で生成された中和液を、イオン交換膜を用いてフッ酸含有水、アルカリ含有水及び脱塩水に分離する分離装置を更に備えることが好ましい。
また、前記凝縮装置で生成された凝縮水をアルカリと接触させ、及び/又は、前記凝縮装置で凝縮する前に脱フッ酸蒸気をアルカリと接触させることにより、中和液を生成し、該中和液を蒸発濃縮することにより濃縮中和液及び再脱フッ酸蒸気を生成する中和濃縮装置を更に備えることが好ましく、前記分離装置は、前記中和濃縮装置で生成された濃縮中和液を、前記アルカリ接触装置で生成された中和液と共に、イオン交換膜を用いてフッ酸含有水、アルカリ含有水及び脱塩水に分離することが好ましい。
あるいは、本発明の前記目的を達成するためのフッ酸排水処理装置は、フッ酸排水を蒸発濃縮することにより、濃縮フッ酸水及びフッ酸含有蒸気を生成する第1濃縮装置と、前記第1濃縮装置で生成されたフッ酸含有蒸気を中和凝縮し、中和液を生成する中和装置及び凝縮装置と、前記中和装置及び凝縮装置により生成された中和液を濃縮して濃縮中和液を生成する第2濃縮装置と、前記第2濃縮装置で生成された濃縮中和液を、イオン交換膜を用いてフッ酸含有水、アルカリ含有水及び脱塩水に分離する分離装置とを備えてもよい。
本発明によれば、フッ酸排水に含まれるフッ酸を効率よく回収すると共に、処理後の脱フッ酸水のフッ酸濃度を十分低減することができるフッ酸排水処理方法及び装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るフッ酸排水処理装置を示す全体構成図である。このフッ酸排水処理装置は、図1に示すように、フッ酸濃縮装置1と、水接触装置2と、アルカリ接触装置3と、凝縮装置4と、分離装置5とを備えている。
フッ酸濃縮装置1は、例えばフラッシュ式蒸発フッ酸濃縮装置であり、フッ酸排水を収容する蒸発缶11と、電子部品工場などで排出されたフッ酸排水を蒸発缶11に供給するフッ酸排水供給ライン12と、蒸発缶11に収容されたフッ酸排水を加熱し蒸発させる加熱装置13と、蒸発により濃縮されたフッ酸排水を排出するフッ酸回収ライン14とを備えている。加熱装置13は、蒸発缶11内のフッ酸排水が循環ライン15に設けた加熱器16を通過するように構成され、加熱器16で加熱されたフッ酸排水は、減圧下においてノズル(図示せず)を介して蒸発缶11内に散布される。フッ酸回収ライン14又は循環ライン15におけるフッ酸排水の搬送は第1のポンプ17によって行われ、各ラインの切り替えは切替弁(図示せず)の手動操作又は自動操作によって行われる。蒸発缶11や加熱装置13は、フッ酸排水との接触面をフッ素樹脂ライニングや不浸透黒鉛などで保護することが好ましく、これによって濃縮フッ酸水に対する十分な耐食性を得ることができる。
水接触装置2は、例えば、スプレー式、充填塔式、トレー式など各種の純水スクラバーを使用することができる。水接触装置2は、溶解用水供給ライン(図示せず)を介して純水などの溶解用水が供給される水洗塔21と、蒸発缶11で生じたフッ酸を含む蒸気を水洗塔21に供給する生成フッ酸蒸気供給ライン22と、水洗塔21に収容された溶解用水を散布する溶解用水散布装置23と、散布水とフッ酸蒸気とが接触して生成されたフッ酸水を蒸発缶11に供給する戻しライン24とを備えている。溶解用水散布装置23は、散布ライン25を介して水洗塔21内の溶解用水を上方へ搬送し、散布ライン25の先端に設けたノズル26から散布することにより水洗塔21内のフッ酸蒸気をミスト状の微小液滴に溶解させ、フッ酸水を生成するように構成されている。戻しライン24又は散布ライン25におけるフッ酸水の搬送は第2のポンプ27によって行われ、各ラインの切り替えは切替弁(図示せず)の手動操作又は自動操作によって行われる。
アルカリ接触装置3は、例えば、純水スクラバーと同様の構成を備えるアルカリスクラバーであり、図示しない中和用水供給ラインを介してKOH水溶液やNaOH水溶液などのアルカリ性水溶液が供給される中和塔31と、水洗塔21に残留するフッ酸蒸気を中和塔31に供給する残留フッ酸蒸気供給ライン32と、中和塔31に収容されたアルカリ性水溶液を散布する中和用水散布装置33と、フッ酸蒸気がアルカリ性水溶液と接触して生成された中和液を中和塔31から排出する中和液排出ライン34とを備えている。中和用水散布装置33は、散布ライン35を介して中和塔31内のアルカリ性水溶液を上方へ搬送し、散布ライン35の先端に設けたノズル36から散布することにより、中和塔31内のフッ酸蒸気をミスト状の微小液滴と接触させて反応させ、中和塩を生成するように構成されている。中和液排出ライン34又は散布ライン35におけるアルカリ性水溶液の搬送は第3のポンプ37によって行われ、各ラインの切り替えは切替弁(図示せず)の手動操作又は自動操作によって行われる。
凝縮装置4は、中和塔31においてフッ酸蒸気がほぼ完全に除去された後の脱フッ酸蒸気を、脱フッ酸蒸気供給ライン41を介して導入し、真空ポンプ(図示せず)による減圧下において冷却水で冷却することにより、脱フッ酸蒸気凝縮水を生成する。冷却水としては、図示しない冷却塔等で冷却された工業用水や冷凍装置で冷却された冷水(チラー水)等を使用できる。生成された脱フッ酸凝縮水は、凝縮水排出ライン42を介して排出される。
分離装置5は、中和塔31から中和液排出ライン34を介して排出された中和液を分離する装置であり、例えば、バイポーラ膜分離装置である。このバイポーラ膜分離装置は、図2に示すように、一対のアニオン交換膜51及びカチオン交換膜52により中和塩室53を形成し、中和塩室53の反対側においてアニオン交換膜51及びカチオン交換膜52とそれぞれ対向するようにバイポーラ膜54,55を配置することにより構成されており、一対の電極(図示せず)を備える電気透析装置である。中和塩室53は、アルカリ接触装置3の中和液排出ライン34が一端側に接続されており、中和塩室53を通過後の脱塩水を排出する脱塩水排出ライン56を他端側に備えている。アニオン交換膜51とバイポーラ膜54との間、及び、カチオン交換膜52とバイポーラ膜55との間には、希薄フッ酸含有水供給管57a及び希薄アルカリ含有水供給管57bがそれぞれ接続されている。生成されたフッ酸含有水及びアルカリ含有水は、それぞれフッ酸含有水排出ライン58及びアルカリ含有水排出ライン59を介して排出することができる。分離装置5として、本実施形態では1つのセルのみを示しているが、通常は複数のセルが積層されて構成される。
次に、以上の構成を備えたフッ酸排水処理装置の作動を、図3に示すフローチャートを適宜参照しながら説明する。処理対象となるフッ酸排水は、例えば、電子部品の製造工程でシリコンの酸化皮膜を除去するための洗浄工程に使用された後のフッ酸排水など、半導体や液晶などの製造工程で排出される重量濃度が0.1〜3wt%(以下、重量濃度を単に%で表す)程度の希薄濃度のフッ酸排水が好適である。また、蒸発缶11、水洗塔21及び中和塔31には、それぞれフッ酸排水、溶解用水(本実施形態では純水)及び中和用水(本実施形態ではKOH水溶液)を予め所定量貯留しておく。
まず、フッ酸濃縮装置1においてフッ酸濃縮工程が行われる(ステップS1)。すなわち、フッ酸排水の温度が飽和温度となるように蒸発缶11の圧力を調整し、第1のポンプ17の作動によりフッ酸排水を加熱器116で加熱して、5℃程度の過飽和液にする。この過飽和液は、ノズル(図示せず)から散布されて過飽和分が蒸気となる一方、蒸発缶11に貯留されたフッ酸排水が徐々に濃縮される。こうして、フッ酸排水から、濃縮フッ酸水及びフッ酸含有蒸気が生成される。
蒸発缶11内の圧力は、例えば飽和温度が40℃程度の飽和圧力に相当する0.0074MPa程度に設定することが好ましく、この場合、缶内液濃度が約3%におけるフッ酸含有蒸気のフッ酸濃度は0.2%程度である。フッ酸含有蒸気は、生成フッ酸蒸気供給ライン22を経て水洗塔21に供給される。
水接触装置2においては、溶解工程が行われる(ステップS2)。すなわち、第2のポンプ27を作動させて、溶解用水を散布ライン25に通過させることにより、ノズル26から散布されて水洗塔21内に充満した純水などの溶解用水の液滴にフッ酸含有蒸気が接触する。この結果、蒸気中に含まれるフッ酸の大部分(例えば缶内液濃度条件によって異なるが60〜90%程度)が溶解用水に溶解して除去される。
水洗塔21に貯留される溶解用水のフッ酸濃度は徐々に増加し、希薄濃度のフッ酸水となる。このフッ酸水は、切替弁(図示せず)を操作して散布ライン25を戻しライン24に切り替えることにより、蒸発缶11に供給することができる。また、水洗塔21には、純水または後述する脱フッ酸凝縮水を溶解用水として補充することができる。
このように、水接触装置2を設けることによってフッ酸の回収率は飛躍的に向上する。さらにフッ酸排水中には珪フッ酸が含まれることが多く、その一部はフッ化珪素となって蒸気に同伴するが、これらは希薄フッ酸水が生成される水洗塔21においてほとんどがシリカとなって捕集されるので、後工程で用いられる電気透析装置等においてシリカが及ぼす悪影響を防止することができる。
アルカリ接触装置3においては中和工程が行われる(ステップS3)。すなわち、第3のポンプ37を作動させて、中和用水を散布ライン35に通過させることにより、ノズル36から散布されて中和塔31内に充満したKOHなどの中和用水の液滴にフッ酸含有蒸気が接触して、フッ化カリウム(KF)などの中和塩が生成される。この結果、中和用水に溶解した中和塩の濃度が徐々に増加し、PHが9〜12程度の中和液となる。中和液の中和塩濃度は、例えば10%程度である。中和塔31においてフッ酸が除去された後の脱フッ酸蒸気は、脱フッ酸蒸気供給ライン41を介して凝縮装置4に供給される。
凝縮装置4においては凝縮工程が行われる(ステップS4)。すなわち、供給された脱フッ酸蒸気を減圧下における冷却水との熱交換により冷却し、脱フッ酸凝縮水を生成する。脱フッ酸凝縮水は、フッ酸濃度が十分低減されており、凝縮水排出ライン42を介して放流するかまたは低レベルの純水として回収することができる。
分離装置5においては中和液分離工程が行われる(ステップS5)。中和塔31において生成された中和液は分離装置5に供給され、図2に示すように、中和塩室53において陽イオンK+はカチオン交換膜52を透過し、陰イオンF-はアニオン交換膜51を透過する。一方、希薄フッ酸含有水供給管57a及び希薄アルカリ含有水供給管57bを介して供給された希薄フッ酸含有水及び希薄アルカリ含有水は、バイポーラ膜54,55においてH+やOH-などに解離されて、H+がF-と結合してHFを含むフッ酸含有水が生成され、OH-がK+と結合してKOHを含むアルカリ含有水が生成される。フッ酸含有水及びアルカリ含有水は、それぞれフッ酸含有水排出ライン58及びアルカリ含有水排出ライン59を介して排出される。中和塩室53を通過して中和塩が除去された後の脱塩水は、脱塩水排出ライン56を介して排出される。
フッ酸含有水排出ライン58を介して排出されるフッ酸含有水の濃度は、例えば4%程度であり、金属の酸洗用途など各種用途に利用可能である。フッ酸含有水排出ライン58は、例えばフッ酸濃縮装置1の蒸発缶11に接続してもよく、分離装置5で生成されたフッ酸含有水を再度濃縮することもできる。この過程において、フッ酸含有水排出ライン58から排出されたフッ酸含有水の一部に純水を適宜補給して所定の希薄濃度とした後に、希薄フッ酸含有水供給管57aから再び供給するようにしてもよい。
アルカリ含有水排出ライン59は、本実施形態では中和塔31に接続することにより、アルカリ接触装置3における中和用アルカリとして利用しているが、中和塔31に接続せずにアルカリ含有水を他の用途に用いることも可能である。この過程において、アルカリ含有水排出ライン59から排出されたアルカリ含有水の一部に純水を適宜補給して所定の希薄濃度とした後に、希薄アルカリ含有水供給管57bから再び供給するようにしてもよい。
脱塩水排出ライン56は、本実施形態においては脱塩水をそのまま廃棄するように案内するが、中和塔31に接続することにより脱塩水を分離装置5に再度導入することもできる。或いは、脱塩水排出ライン56を中和液排出ライン34に配置した中和液タンク(図示せず)に接続して、この中和液タンクの中和液濃度が所定濃度に低下するまで液循環させるようにしてもよい。
フッ酸濃縮装置1へのフッ酸排水の供給は、第1のポンプ17を作動後すぐに停止してもよいが、本実施形態においては、蒸発缶11におけるフッ酸排水の蒸発量に相当する量を補充するようにフッ酸排水の供給を継続し、これによって蒸発缶11内におけるフッ酸排水の液面を略一定に保つようにしている。このように、フッ酸排水を供給しながら蒸発濃縮する前濃縮工程を行った後、フッ酸濃縮装置1へのフッ酸排水の供給を停止し、加熱装置13によるフッ酸排水の加熱蒸発は継続して、後濃縮工程を行う。このような後濃縮工程を付加することにより、高いフッ酸回収率のもとに、濃縮されるフッ酸排水の濃度を目的とする最終濃度に短時間で容易に到達させることができる。
前濃縮工程から後濃縮工程への切り替えや後濃縮工程の終了は、所定時間の経過によって行うことが可能であり、或いは、循環ライン15を流れるフッ酸濃縮水の濃度検出(例えば電気伝導度の測定)に基づいて行うことも可能である。フッ酸排水処理装置の作動は、例えば1日を単位とした場合に19時間作動させ、残りの時間をフッ酸排水などの液張り、濃縮フッ酸水の送出、残留する不純物の排出などに当てることができる。
以上のような操作方法はフッ酸の最も高い回収率を達成する場合に有効な方法として記載したが、蒸発缶11や水洗塔21内のフッ酸濃度をあらかじめ定めた濃度に維持しながら連続的にフッ酸排水を供給し、蒸発缶11から濃縮フッ酸水を取り出しつつ、水洗塔21に溶解用水を補充しながらフッ酸水を蒸発缶11にもどす連続の運転方法であってもよい。
後濃縮工程の終了後における濃縮フッ酸水の濃度は、例えば10〜14%程度である。この濃縮フッ酸水は、フッ酸濃縮装置1の切替弁(図示せず)を操作して循環ライン15からフッ酸回収ライン14に切り替えることにより回収することができ、高濃度のフッ酸水として各種産業用途(例えば、さらに精製工程を経た後の半導体等電子部品の洗浄や、金属の酸洗)に利用することができる。
以上のように、第1の実施形態のフッ酸排水処理装置によれば、フッ酸濃縮装置1において生成されたフッ酸蒸気を、水接触装置2において溶解用水と接触させて溶解させることにより回収することができるので、高いフッ酸回収効率を得ることができる。また、水接触装置2において溶解せずに残留するフッ酸蒸気をアルカリ接触装置3において中和することにより除去することができるので、凝縮装置4において生成された凝縮水のフッ酸濃度を十分低減することができる。
また、生成された中和液を、分離装置5においてフッ酸含有水、アルカリ含有水及び脱塩水に分離することができるので、フッ酸の回収効率をより高めることができる。さらに、中和液の処理に消石灰などを用いる必要がないので、廃棄物の発生を防止することができる。
本実施形態に係るフッ酸排水処理装置の実施例を以下に示す。フッ酸濃度が1%のフッ酸排水をフッ酸濃縮装置1に10000kg/day供給したところ、フッ酸濃度が14%の濃縮フッ酸水をフッ酸濃縮装置1から630kg/day回収することができた。凝縮装置4からは、12,300kg/dayの凝縮水が排出され、この凝縮水のKF濃度は約0.005%であった。分離装置5からは、濃度が3.85%のフッ酸含有水を270kg/day、濃度が11%のアルカリ含有水を280kg/day、それぞれ回収することができた。
(第2の実施形態)
図4は、本発明の第2の実施形態に係るフッ酸排水処理装置を示す全体構成図である。このフッ酸排水処理装置は、図1に示す構成において、凝縮装置4で凝縮して得られた脱フッ酸凝縮水を中和して濃縮する中和濃縮装置6を更に備えるものである。したがって、図1に示す構成と同様の構成部分に同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
中和濃縮装置6は、例えば減圧水平管単効蒸気加熱式の装置であり、図示しない中和用水供給ラインを介して中和用水であるアルカリ性水溶液(例えば、KOH水溶液やNaOH水溶液)が供給される蒸発缶61を備え、この蒸発缶61に凝縮水排出ライン42が接続されて、凝縮装置4から脱フッ酸凝縮水が供給される。蒸発缶61は、加熱管62、エゼクタ63及び蒸留水槽64を備えており、蒸発缶61に供給された脱フッ酸凝縮水は、図示しない循環ポンプの作動により加熱管62に散布され、加熱管62の表面で蒸発する。こうして発生した蒸気は、エゼクタ63に吸引されて、エゼクタ63の駆動蒸気(例えば水蒸気)と共に加熱管62の内部を通過することにより、加熱管62表面への散布水を蒸発させると共に自らは凝縮して蒸留水となり、蒸留水槽64に導入されるように構成されている。
蒸留水槽64に貯留された蒸留水は、蒸留水排出ライン65を介して排出され、蒸発缶61において蒸発濃縮される濃縮中和液は、濃縮液供給管66を介して中和液排出ライン34から排出される中和液と合流し、中和液タンク(図示せず)に貯留された後、分離装置5に供給される。
蒸発缶61で発生する蒸気は、フッ酸濃度が十分低減されており腐食のおそれが少ないので、加熱管62を例えばステンレスなどにより形成することが可能であり、フッ素樹脂ライニングや不浸透黒鉛などを施す必要はない。中和濃縮装置6としては、多重効用式や蒸気圧縮式など他の蒸発濃縮装置を用いることも可能である。
このように構成されたフッ酸排水処理装置によれば、図5のフローチャートに示すステップで処理が行われる。すなわち、ステップS11〜S14のフッ酸濃縮工程、溶解工程、中和工程及び凝縮工程は、上記第1の実施形態のステップS1〜S4と同様であり、本実施形態においては、凝縮工程(ステップS14)の後に、中和液濃縮工程(ステップS15)及び濃縮中和液分離工程(ステップS16)を備えている。
凝縮工程(ステップS14)において凝縮される脱フッ酸蒸気は、フッ酸濃度が十分低減されているが、完全には除去されない場合がある。そこで、中和液濃縮工程(ステップS15)においては、中和濃縮装置6の蒸発缶61に中和用水としてアルカリ性水溶液を予め所定量貯留しておき、凝縮装置4の凝縮水排出ライン42を介して蒸発缶61に供給された脱フッ酸凝縮水を、アルカリ性水溶液と混合する。これにより、脱フッ酸凝縮水がフッ酸を僅かに含有する場合であっても、これが中和されて中和塩となる。蒸発缶61に供給するアルカリ性水溶液は、供給される脱フッ酸凝縮水のフッ酸濃度に応じた低濃度でよく、例えば0.1%程度である。
こうして得られた中和液は、加熱管62による加熱で蒸発濃縮されて濃縮中和液となる。濃縮中和液におけるKFの濃度は、例えば10〜15%(濃縮倍率が100〜150倍)であり、飽和溶解度(30%程度)に比べると十分低い濃度である。
一方、蒸発缶61において加熱により発生した蒸気は、凝縮工程の脱フッ酸蒸気から更びフッ酸が除去された再脱フッ酸蒸気であり、エゼクタ63の駆動蒸気の気流により生じた負圧で吸引され、凝縮水となって蒸留水槽64に収容される。蒸留水排出ライン65を介して排出される凝縮水は、凝縮装置4から排出される脱フッ酸凝縮水と比べてフッ酸濃度が更に低減され、例えば純水として利用可能であり、或いは、水接触装置2における溶解用水として用いることもできる。
濃縮中和液分離工程(ステップS16)においては、中和液濃縮工程において生成された濃縮中和液が分離装置5に供給され、第1の実施形態におけるステップS5の中和液分離工程と同様にして、フッ酸含有水、アルカリ含有水及び脱塩水が排出される。
本実施形態においては、アルカリ接触装置3で生成された中和液と中和濃縮装置6で生成された濃縮中和液とを、図示しない中和液タンクに収容した後に分離装置5に供給することにより、ステップS5と同様の中和液分離工程と、ステップS15の濃縮中和液分離工程とを同時に行っている。中和液及び濃縮中和液の分離装置5への供給は、別々のラインを介して行うことも可能であり、中和液分離工程と濃縮中和液分離工程とを個別に行うようにしてもよい。
また、本実施形態においては、凝縮装置4の下流側に中和濃縮装置6を配置し、凝縮装置4で生成された凝縮水にアルカリを接触させることにより中和液を生成するようにしているが、脱フッ酸蒸気供給ライン41を通過する脱フッ酸蒸気に対して濃度が10%程度のアルカリ液を噴霧可能に構成し、脱フッ酸蒸気を中和した後に凝縮装置4で凝縮することにより生成した中和液を蒸発濃縮するように中和濃縮装置を構成することも可能である。中和液の生成は、凝縮装置4に供給される前の脱フッ酸蒸気、及び、凝縮装置4で生成された凝縮液の双方にアルカリを接触させることにより行ってもよい。
以上のように、第2の実施形態のフッ酸排水処理装置によれば、凝縮工程で生成された微量のフッ酸を含む脱フッ酸凝縮水を中和濃縮して濃縮中和液を生成し、フッ酸含有水、アルカリ含有水及び脱塩水に分離することができるので、フッ酸の回収効率を更に高めることができる。
また、中和濃縮の際に発生した再脱フッ酸蒸気を凝縮して得られた凝縮水は、凝縮工程で生成された脱フッ酸凝縮水と比較して、フッ酸濃度を更に低減したものとすることができる。
(第3の実施形態)
図6は、本発明の第3の実施形態に係るフッ酸排水処理装置を示す全体構成図である。このフッ酸排水処理装置は、希薄濃度のフッ酸を含むフッ酸排水を処理する装置であり、第1濃縮装置101、凝縮装置102、中和装置103、第2濃縮装置104、分離装置106、等で構成されている。
第1濃縮装置101には、フッ酸排水供給装置107からフッ酸排水が供給される。フッ酸排水供給装置107は、本実施形態においては、電子部品製造工場等から導設されたフッ酸排水供給系171、原液タンク172、原液ポンプ173、等で構成されている。
第1濃縮装置101は、前記フッ酸排水を蒸発させて濃縮し、所望濃度(例えば10%)のフッ酸濃縮液とフッ酸含有蒸気(例えば、0.7%程度の濃度)とに分離する。第1濃縮装置101は、液状のフッ酸排水が貯留される缶体111、貯留液を缶体111から取り出して再度缶体111に戻す循環加熱系に設けられる循環ポンプ112及び加熱器113、フッ酸濃縮液を最終濃縮液として取り出し可能にする再生フッ酸水系114、等を備えたフラッシュ式蒸発濃縮装置である。循環加熱系の循環液は、散布ノズル115から散布される。缶体111の内面は、フッ素樹脂ライニングや不浸透黒鉛などで保護することが好ましく、これによりフッ酸排水による腐食を防止することができる。
凝縮装置102は、第1濃縮装置101から蒸発したフッ酸含有蒸気を取り入れて凝縮させた後に送出する装置であり、蒸気を導入して減圧下において凝縮する凝縮器121、凝縮器121の内部を減圧するための真空ポンプ122,凝縮液を送出する凝縮液ポンプ123、等で構成されている。凝縮器121には、冷却水管121aが導設される。冷却水としては、例えば、図示しない冷却装置などで冷却された工業用水や冷水(チラー水)を使用することができる。
中和装置103は、フッ酸含有蒸気をアルカリ(例えば、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)等)と反応させて、水溶性の高い塩を生成する装置であり、本実施形態においてはフッ酸含有蒸気にKOHを加えてフッ化カリウム水溶液(以下、「KF液」という)の中和液を生成する。この中和装置103は、アルカリタンク131、供給配管系132等で構成されている。
供給配管系132は、本実施形態では凝縮装置102から第1濃縮装置101にフッ酸含有蒸気を供給する蒸気管124に接続されているが、図6に二点鎖線で示すように、凝縮器121の胴体部分や凝縮水出口管125、又は後述する第2濃縮装置104の本体部分141に結合されていてもよい。
第2濃縮装置104は、中和液(KF液)を蒸発濃縮することによって濃縮中和液(濃縮KF液)を生成する装置であり、本体部分141、加熱蒸気室142、加熱管143、凝縮水室144、エゼクタ145aを備えた加熱蒸気系145、濃縮液を貯留する濃縮液溜部146、凝縮器147、真空ポンプ148、蒸留水ポンプ149、冷却水系150、加熱蒸気ドレン系151、濃縮液循環ポンプ152を含む濃縮液循環系153、濃縮液送出系154、濃縮液送出ポンプ155、等で構成されている。
第2濃縮装置104におけるフッ酸含有蒸気の濃度は、第1濃縮装置101のそれと比べて十分低く、フッ酸による腐食のおそれが少ないので、例えば加熱管143をステンレス鋼管とすることができる。第2濃縮装置104としては、多重効用式や蒸気圧縮式等の高効率の蒸発濃縮装置を使用することもできる。
分離装置106は、イオン交換によって濃縮KF液をフッ酸含有水、アルカリ含有水及び脱塩水に分離する装置であり、被処理液である濃縮KF液が通過する中和塩室161を形成するように配置された一対のアニオン交換膜162及びカチオン交換膜163、これらの膜に対向してそれぞれ配設されたカチオン型バイポーラ膜164及びアニオン型バイポーラ膜165、等を備えた3室式バイポーラ膜分離装置である。
分離装置106には、フッ酸含有水及びアルカリ含有水を、それぞれ回収フッ酸水及び中和用アルカリ(KOH)として回収するための回収系166及び167が導設されている。回収フッ酸水は高濃度且つ少量であり、回収系166は利用場所まで適宜導設される。例えば、図6に二点鎖線で示すように、戻りフッ酸系174を介して原液タンク172に戻し、再処理するようにしてもよい。これにより、回収フッ酸水の特段の利用方法がない場合も、これを廃棄することなくフッ酸水の処理を行うことができる。
回収系167は、KOHタンク131に接続され、中和用アルカリが再利用される。又、希薄化された脱塩水を取り出す脱塩水取出系168を第2濃縮装置104の本体部分141に接続することにより、脱塩水を再び蒸発させて濃縮可能としている。分離装置106において発生した酸素及び水素は、直接又は配管を介して大気中に放出される。尚、図6においては分離装置106を1つのセルのみ示しているが、通常は複数設けられる。
上記フッ酸排水処理装置において、電気系統、手動弁や自動弁を含む装備品、運転操作装置などの設備が必要に応じて設けられる。そして、本装置は、自動運転や手動運転など、使用目的に適合した運転操作が可能なように構成される。
次に、以上の構成を備えたフッ酸排水処理装置の作動を、図7に示すフローチャートを適宜参照しながら説明する。本実施形態に係るフッ酸排水処理方法は、第1濃縮工程(ステップS21)、中和凝縮工程(ステップS22)、第2濃縮工程(ステップS23)及び分離工程(ステップS24)を備えている。
第1濃縮工程(ステップS21)では、第1濃縮装置101においてフッ酸排水を蒸発濃縮し、所望の濃度(例えば10%)に濃縮された濃縮フッ酸水と、0.3%程度のフッ酸を含有するフッ酸含有蒸気とに分離する。フッ酸排水供給系171を介して供給されるフッ酸排水(原液)の濃度は、例えば0.5〜1%程度の低濃度である。
原液は、原液ポンプ173で第1濃縮装置101の缶体111に供給され、最初に一定量を缶体111に張り込んだ後、缶体111での蒸発量に相当する量が連続供給される。
本実施形態において、第1濃縮工程は、原液を供給しながら蒸発濃縮する前濃縮工程と、原液の供給を停止して蒸発濃縮する後濃縮工程とから構成されており、前者が主工程、後者が付加工程となっている。前濃縮工程及び後濃縮工程の管理は、例えば缶体111の濃縮液の濃度検出に基づいて行うことができ、この濃度検出は、循環される濃縮液の濃度を電気伝導度で検出する等の方法で行うことができる。このような後濃縮工程を付加することにより、高いフッ酸回収率のもとに濃縮液の所望濃度を短時間で容易に達成することができる。
第1濃縮装置101がフラッシュ式の濃縮装置である場合、原液が飽和温度となるように缶体111の圧力を調整し、循環ポンプ112の作動により原液を加熱器113で加熱昇温させて5℃程度の過飽和液にする。この過飽和液は、散布ノズル115から散布されて、ほぼ過飽和分が水蒸気として原液から分離される。蒸発缶11内の圧力は、例えば飽和温度が40℃程度の飽和圧力に相当する0.0074MPa程度に設定することが好ましく、この場合、缶内液濃度が約3%におけるフッ酸排水の蒸気に含まれるフッ酸の濃度は0.2%程度である。
中和凝縮工程(ステップS22)では、第1濃縮工程(ステップS21)で蒸発させたフッ酸含有蒸気を中和凝縮する。すなわち、真空ポンプ122を運転すると共に凝縮器121に冷却水を流し、凝縮器121内の真空度を缶体111の真空度よりも若干高くして、缶体111から凝縮器121に蒸気が流れるようにする。そして、アルカリタンク131に貯留されたKOHなどのアルカリを、供給配管系132を介してフッ酸含有蒸気に添加し、凝縮器121で蒸気を凝縮して、中和塩であるフッ化カリウム(KF)が溶解した中和液を生成する。中和液の濃度は例えば0.3%程度であり、pHは10程度である。
こうして得られる中和液を凝縮液ポンプ123で送出し、残りの空気を真空ポンプ122で排出する。尚、凝縮液ポンプ123は、凝縮器121内の圧力が第2濃縮装置104の本体141内の圧力より高い場合には、省略することも可能である。また、溶解タンク131には、分離装置106で回収されたKOHや不足分として補充されるKOHが供給される。
本実施形態においては、フッ酸含有蒸気にアルカリを添加した後で凝縮することにより、中和液を生成するようにしているが、供給配管系132によるアルカリの供給位置を図6に二点鎖線で示す位置に変更することにより、フッ酸含有蒸気の凝縮中または凝縮後にアルカリを添加することも可能である。添加するアルカリは、水溶液や蒸気の状態でフッ酸含有蒸気と反応させることができる。
第2濃縮工程(ステップS23)では、第2濃縮装置104において中和液を濃縮することにより、濃縮中和液である濃縮KF液を生成する。例えば、中和工程で得られた中和液の濃度が0.3%である場合、濃縮倍率を30〜50倍として、10〜15%程度の高濃度に濃縮する。この濃度は、飽和溶解度(30%程度)に比べると十分低い濃度である。このような濃縮工程において、濃縮前のKF濃度は十分低く、蒸気となるフッ酸はほとんど存在しないので、フッ酸に起因する腐食などの問題は生じない。濃縮液溜部146に貯留される濃縮液は、所定の時間間隔で少量ずつ排出することにより、不純物が一定以上溜まるのを防止することができる。濃縮KF液の生成時に発生する蒸気は、凝縮器147で凝縮されて高純度の蒸留水となり、純水として再利用可能である。
分離工程(ステップS24)では、分離装置106において、バイポーラ膜164,165に純水を供給しつつ、中和塩室161を通過するように濃縮KF液を供給し、イオン交換により、濃縮KF液をフッ酸含有水、アルカリ含有水及び脱塩水に分離する(図3参照)。生成されたフッ酸含有水及びアルカリ含有水は、フッ酸(HF)及びアルカリ(KOH)を高濃度に含有しているので、それぞれ再利用可能である。また、脱塩水(希薄KF液)は、再び蒸発させて濃縮するように、第2濃縮工程(ステップS23)に戻される。この結果、廃棄物をほとんど発生させることなくフッ酸排水を処理することができる。
以上のように、第3の実施形態のフッ酸排水処理装置によれば、第1濃縮装置101において生成されたフッ酸蒸気を凝縮装置102及び中和装置103において中和凝縮することにより中和液を生成し、この中和液を第2濃縮装置104において濃縮して濃縮中和液とした後、分離装置105においてフッ酸を回収するようにしているので、高いフッ酸回収効率を得ることができる。また、第2濃縮装置104で発生した蒸気の凝縮水は、フッ酸濃度が十分低減されたものとすることができる。
発明者らは、本実施形態に係るフッ酸排水処理装置の実施例として、以下に示す条件に基づき実際に排水処理を行った。フッ酸排水処理装置の作動時間は、例えば1日を単位とした場合に19時間として、残りの時間でフッ酸排水などの液張り、濃縮フッ酸水の送出、残留する不純物の排出などを行った。10000 kg/dayのフッ酸排水(濃度1%)に対し、濃度14%の濃縮フッ酸水が630kg/day得られており、フッ酸回収効率は良好であった。また、第2濃縮工程で排出される凝縮水のフッ酸濃度は0.3ppmであり、十分低レベルであった。
[実施例]
フッ酸排水(原液)処理量 :10000 kg/日
フッ酸排水(原液)濃度 :1%
・第1濃縮工程
原液初期張り込み量 :2400kg
原液連続供給時濃縮量 :650kg/h
連続供給時間 :16.3h
連続供給停止後濃縮時間 :2.7h
器内飽和温度 :50℃(圧力0.012MPa)
循環液加熱温度(加熱器出口) :55℃
循環液量 :75m3/h
フッ酸濃度(連続供給後) :4.2%
フッ酸濃度(最終濃縮後) :14%
最終濃縮後フッ酸水量 :630kg/日
・中和凝縮工程
発生蒸気量(凝縮量) :12300kg/日(19h)
発生蒸気(凝縮液)のフッ酸濃度:0.1%
KOH注入量 :40kg/日
上記のうち補充KOH量 :10kg/日
中和液(希薄KF)量 :350kg/日
KF液濃度 :12%
・第2濃縮工程(装置)
中和液連続供給量 :12300kg/日
器内蒸発温度 :70℃(圧力0.031MPa)

濃縮中和液(濃縮KF液)排出量:5kg/h
濃縮KF液の濃度 :10.4%
凝縮水のHF濃度 :0.3ppm
・分離工程
分離HF(回収フッ酸水)供給量:50kg/h
回収フッ酸水濃度 :3.85%
分離KOH量 :50kg/h(450kg/日)
分離KOH濃度 :11%
本発明の第1の実施形態に係るフッ酸排水処理装置を示す全体構成図である。 図1に示すフッ酸排水処理装置の要部概略構成図である。 図1に示すフッ酸排水処理装置の作動を説明するためのフローチャートである。 本発明の第2の実施形態に係るフッ酸排水処理装置を示す全体構成図である。 図2に示すフッ酸排水処理装置の作動を説明するためのフローチャートである。 本発明の第3の実施形態に係るフッ酸排水処理装置を示す全体構成図である。 図3に示すフッ酸排水処理装置の作動を説明するためのフローチャートである。
符号の説明
1 フッ酸濃縮装置
2 水接触装置
3 アルカリ接触装置
4 凝縮装置
5 分離装置
6 中和濃縮装置
101 第1濃縮装置
102 凝縮装置
103 中和装置
104 第2濃縮装置
106 分離装置

Claims (9)

  1. フッ酸を含有するフッ酸排水を処理するフッ酸排水処理方法であって、
    フッ酸排水を蒸発濃縮することにより、濃縮フッ酸水及びフッ酸含有蒸気を生成するフッ酸濃縮工程と、
    前記フッ酸濃縮工程で生成されたフッ酸含有蒸気を溶解用水に接触させて溶解させる溶解工程と、
    前記溶解工程で残留したフッ酸含有蒸気をアルカリと接触させることにより、中和液及び脱フッ酸蒸気を生成する中和工程と、
    前記中和工程で生成された脱フッ酸蒸気を凝縮することにより凝縮水を生成する凝縮工程とを備えるフッ酸排水処理方法。
  2. 前記中和工程で生成された中和液を、イオン交換膜を用いてフッ酸含有水、アルカリ含有水及び脱塩水に分離する中和液分離工程を更に備える請求項1に記載のフッ酸排水処理方法。
  3. 前記凝縮工程で生成された凝縮水をアルカリと接触させ、及び/又は、前記凝縮工程で凝縮する前に脱フッ酸蒸気をアルカリと接触させることにより、中和液を生成し、該中和液を蒸発濃縮することにより濃縮中和液及び再脱フッ酸蒸気を生成する中和液濃縮工程と、
    前記中和液濃縮工程で生成された濃縮中和液を、イオン交換膜を用いてフッ酸含有水、アルカリ含有水及び脱塩水に分離する濃縮中和液分離工程とを更に備える請求項1又は2に記載のフッ酸排水処理方法。
  4. 前記フッ酸濃縮工程は、前記溶解工程で生成されたフッ酸含有蒸気の溶解液を蒸発濃縮する工程を備える請求項1から3のいずれかに記載のフッ酸排水処理方法。
  5. フッ酸を含有するフッ酸排水を処理するフッ酸排水処理方法であって、
    フッ酸排水を蒸発濃縮することにより、濃縮フッ酸水及びフッ酸含有蒸気を生成する第1濃縮工程と、
    前記第1濃縮工程で生成されたフッ酸含有蒸気を中和凝縮し、中和液を生成する中和凝縮工程と、
    前記中和凝縮工程で生成された中和液を濃縮して濃縮中和液を生成する第2濃縮工程と、
    前記第2濃縮工程で生成された濃縮中和液を、イオン交換膜を用いてフッ酸含有水、アルカリ含有水及び脱塩水に分離する分離工程とを備えるフッ酸排水処理方法。
  6. フッ酸を含有するフッ酸排水を処理するフッ酸排水処理装置であって、
    フッ酸排水を蒸発濃縮することにより、濃縮フッ酸水及びフッ酸含有蒸気を生成するフッ酸濃縮装置と、
    前記フッ酸濃縮装置で生成されたフッ酸含有蒸気を溶解用水に接触させて溶解させる水接触装置と、
    前記水接触装置で残留したフッ酸含有蒸気をアルカリと接触させることにより、中和液及び脱フッ酸蒸気を生成するアルカリ接触装置と、
    前記アルカリ接触装置で生成された脱フッ酸蒸気を凝縮することにより凝縮水を生成する凝縮装置とを備えるフッ酸排水処理装置。
  7. 前記アルカリ接触装置で生成された中和液を、イオン交換膜を用いてフッ酸含有水、アルカリ含有水及び脱塩水に分離する分離装置を更に備える請求項6に記載のフッ酸排水処理装置。
  8. 前記凝縮装置で生成された凝縮水をアルカリと接触させ、及び/又は、前記凝縮装置で凝縮する前に脱フッ酸蒸気をアルカリと接触させることにより、中和液を生成し、該中和液を蒸発濃縮することにより濃縮中和液及び再脱フッ酸蒸気を生成する中和濃縮装置を更に備え、
    前記分離装置は、前記中和濃縮装置で生成された濃縮中和液を、前記アルカリ接触装置で生成された中和液と共に、イオン交換膜を用いてフッ酸含有水、アルカリ含有水及び脱塩水に分離する請求項7に記載のフッ酸排水処理装置。
  9. フッ酸を含有するフッ酸排水を処理するフッ酸排水処理装置であって、
    フッ酸排水を蒸発濃縮することにより、濃縮フッ酸水及びフッ酸含有蒸気を生成する第1濃縮装置と、
    前記第1濃縮装置で生成されたフッ酸含有蒸気を中和凝縮し、中和液を生成する中和装置及び凝縮装置と、
    前記中和装置及び凝縮装置により生成された中和液を濃縮して濃縮中和液を生成する第2濃縮装置と、
    前記第2濃縮装置で生成された濃縮中和液を、イオン交換膜を用いてフッ酸含有水、アルカリ含有水及び脱塩水に分離する分離装置とを備えるフッ酸排水処理装置。
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