JP4147333B2 - シリコーンゴム質素材を用いた装身具、及び、その製造方法 - Google Patents
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Description
[発明の属する技術分野]
本発明は、ネックレス、ブレスレット、指輪、腕時計のバンド、数珠等のシリコーンゴム質素材から成る新規な装身具、及び、その製造方法に関するものである。
【0002】
[従来の技術]
シリコーンゴム質素材は、広範な用途の構成部材として使用されており、近年の技術傾向として、健康向上効果等の目的としてのゴム質素材の提案が、特開平11−43558号公報によって示され、又、同目的の装身具の提案が、特開平9−253218号、実用新案登録第3010873号公報によって示されている。
【0003】
[発明が解決しようとする課題]
以上のシリコーンゴム質素材を用いた装身具は、健康向上効果等の目的でありながら、健康向上を自覚認識するまでには至っていない場合が多く、さらに装身具でありながら、シリコーンゴム質素材への添加剤色調の影響により、美観を損ない、この為、健康向上の為の機能と、美的性能を両立させる技術の追求に欠ける。
【0004】
本発明は、以上の従来技術の傾向に鑑みて、健康効果向上としてのシリコーンゴム質素材の物理的性質を向上させるとともに、かつ、人体に装着した際の美的性能とを両立させる装身具、及び、その製造方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は「光透過性のシリコーンゴム質素材の母材層が、0.45×10−3cal/cm・sec・℃以上の熱伝導率で、かつ、室温における空気の透過性が、26×10−7cm3/cm2/cm/sec以上の常圧熱気加硫可能なメチルビニルシリコーンゴムから成る材料で構成され、かつ、マイナスイオン発生剤の希有元素類を含む鉱物、トルマリン、遠赤外線セラミックスの少なくとも一つを添加して、その含有量が1.5重量%以上とし、かつ、加硫剤に2・4ジクロルベンゾイルパーオキサイドを用いて短時間加硫による2粍以上の厚物成形加工を容易としたことを特徴とする装身具」と、「光透過性のシリコーンゴム質素材の母材層が、0.3×10 −3 cal/cm・sec・℃以上の熱伝導率で、常圧熱気加硫可能なメチルビニルシリコーンゴムから成る材料で構成され、かつ、希有元素類を含む鉱物、トルマリン、遠赤外線セラミックスの少なくとも一つを添加し、かつ、無機顔料、又は、有機顔料と、板状パール顔料、加硫剤、及び、メチルビニルシリコーンゴム質を混練する工程と・混練したゴム材料の一定量を、メッキ処理を施した成形金型内に置く工程と・成形金型内に置いたゴム材料を、型内で圧縮、加熱する工程と・かかる型内から取り出す工程から成る装身具の製造方法」から成っている。
【0006】
即ち、前記構成のメチルビニルシリコーンゴム質素材は、熱伝導率が0.45×10−3cal/cm・sec・℃以上の熱伝導率で、かつ、室温における空気の透過性が、26×10−7cm3/cm2/cm/sec以上の常圧熱気加硫可能なメチルビニルシリコーンゴムから成る材料で構成される。この材料は、ジメチルシリコーンゴム、及び、メチルフェニルシリコーンゴムよりも気体透過性が高く、かつ、側鎖にビニル基を導入することによって、常圧熱気加硫が可能となって、厚物(2粍以上)成形加工が容易となり、さらに、圧縮永久歪み等の特性が、ジメチルシリコーンゴム、及び、メチルフェニルシリコーンゴムよりも優れている。又、後述するマイナスイオンを発生剤の機能を、より高めるとともに、パール顔料と、有機顔料、又は、無機顔料を加えることによる美的性能の、これら双方の性能を両立させ、かつ、発揮させることを、その基本技術思想とするものである。
【0007】
そして、マイナスイオン発生の添加剤としては、「希有元素類を含む鉱物、トルマリン、遠赤外線セラミックスの少なくとも一つを含む」態様とする。
【0008】
そして、美的性能の向上、及び、機械的強度特性向上の為、「シリコーンゴム質素材の母材層に、煙霧質シリカを用いて成る装身具」の態様とする。
【0009】
そして、美的性能を向上させる為の添加剤としての顔料は、雲母の外周に酸化チタン、又は、酸化鉄、若しくは、これらの双方を重合被覆して成るパール顔料、及び、有機顔料、若しくは、無機顔料のいずれかを含む」態様とする。
【0010】
そして、「前記パール顔料と無機顔料を加え、無機顔料として、白色、又は、黒色を用いて成る装身具」の態様とする。
【0011】
そして、本発明のメチルビニルシリコーンゴム質素材を用いて、健康効果向上、美的性能のさらなる向上を図る意図から、「ゴム質素材をリング体として、その外表面に微小凸凹の動物肌、人工幾何模様等の『シボ』を形成した装身具」、及び、「マイナスイオン発生の添加剤含有量が、1.5重量パーセント以上の装身具」、並びに、「該シリコーンゴム質素材を用いた装身具の製造方法」の態様を採択する。
【0012】
[作用]
以上の本発明の装身具は、メチルビニルシリコーンゴム質母材として、天然ゴムと比較して、約3倍の高熱伝導率材料を用いている為、生体(体温)、又は、太陽光等による外界からの受熱による熱エネルギーにより、後述するマイナスイオンと遠赤外線双方の発生を高め、かつ、それを生体へ吸収させることにより、健康効果を高める作用効果がある。
【0013】
そして、該装身具のシリコーンゴム質母材は、常圧熱気加硫可能な材料からなっている為、有機過酸化物加硫剤との併用により、短時間加硫を容易とし、厚物(肉厚2粍以上)成形加硫を可能ならしめる。その結果、後述する美麗な放彩形態とするパール顔料の一律配向を短時間で安定姿勢とさせる特段の作用効果がある。
【0014】
さらに、補足すれば、該シリコーンゴム質母材は、一般のシリコーンゴムと比較して、圧縮永久歪みが低い為(一般のシリコーンゴムの約20〜30%)、長時間弾縮変形復元力を維持し、この復元力により後述するマイナスイオン発生効果を高める作用があり、又、該シリコーンゴム質母材の空気の透過性は、ウレタンゴムの約520倍(ウレタンゴムの室温での空気の透過性は、0.05×10−7cm3/cm2/cm/sec)、天然ゴムの約40倍(天然ゴムの室温での空気の透過性は、0.67×10−7cm3/cm2/cm/sec)、ジメチルシリコーンゴム、及び、メチルフェニルシリコーンゴムの約1.5倍である。このように、該シリコーンゴム質素材は、気体透過性が高い為、空気中に含まれる水分と、マイナスイオン発生剤との電気分解によるイオン発生の作用効果、及び、生体への通気性の高さから、違和感のない装身具の装着感を高める双方の作用効果を奏するものである。これは、シリコーンゴム質母材として、側鎖に、ビニル基を導入したゴム材料であることによる、と考えられる。
【0015】
そして、前記態様の装身具は、希有元素類を含む鉱物等を添加している為、マイナスイオン発生作用、遠赤外線作用があり、身体に装着すると、マイナスイオンによる神経調整作用、細胞活性作用、血液浄化作用、抗菌作用、又、遠赤外線による温熱効果等の諸作用を享受することができる。これは、希有元素類を含む鉱物等と水分との電気分解によって生じたヒドロキシルイオンであるマイナスイオンが、電気抵抗の低い人体のツボへ作用する結果、と考えられるからである。
【0016】
そして、前記態様の装身具は、「雲母核に酸化チタン、又は、酸化鉄、若しくは、これら双方の重合被覆して成る板状パール顔料」を添加している為、この顔料による「被覆膜厚に応じた可視光線全波長域の色彩、及び、「単層、複層被覆の板状パール顔料の組合わせ」により、波長の異なる多彩な放彩形態を自在に設定できる作用効果がある。
【0017】
又、有機顔料、若しくは、無機顔料を添加させて所定の該シリコーンゴム質素材の基調色と成し、この基調色の色調をパール顔料透過光の反射材料、又は、吸収材料として機能させることにより、パール顔料からの反射光の所定の波長の光を強調、又は、相殺させて明暗色を際立たせることにより、美麗な色彩を視覚認識させる作用効果がある。
【0018】
と同時に、マイナスイオン発生剤は、数ミクロンから数十ミクロンの粒状であり、かつ、火山灰色、若しくは、淡灰黄色をしている為、前記したようなマイナスイオン発生による健康効果を期待する為には、少なくとも1.5重量%以上添加しなければならず、この量を加えると汚濁色となって外観を損ない、装身具として不適であり、一定の装身具としての、透明、又は、半透明感を維持する為には、0.3重量%を越えて加えることができないのが実情である。
【0019】
しかし、前記したように、該シリコーンゴム質素材の基調色を有機顔料、若しくは、無機顔料により一定の基調色となして、その基調色とパール顔料との反射光の波長の光を、強調、又は、相殺させることにより、装身具としての美麗な放彩形態を奏するとともに、マイナスイオン発生剤の添加量を増大ならしめ、装身具としての美的作用と、自覚認識できるマイナスイオンによる健康効果向上の、双方を両立させる特段の作用効果を奏するものである。
【0020】
そして、該シリコーンゴム質素材を用いて、リング体装身具として、その外表面積を増大させて、受熱、放熱機能を高めることにより、マイナスイオンの発生を活性化させる作用効果がある。
【0021】
と同時に、人体との接触を微小凸部との最小限とすることにより、装着感を高め、かつ、人体との接触磨耗による外表面の乱反射化による、いわゆる艶落ちを、微小凸部のみとして、多彩な放彩形態を長期に亙つて、維持する作用がある。つまり、人体と接触磨耗すると、その部分は艶落ちして、初期の色彩を損ない易く、この接触磨耗部分を微小凸部のみとし、凹部の鏡面状による全反射放彩形態を長期に亙って、視覚認識できる特段の作用効果がある。
【0022】
そして、補足すれば、母材のシリコーンゴムは、引張強度が劣る定性があり、補強剤として、一般にシリカを用いるが、本発明に用いるパール顔料は、酸化チタンで被覆されており、この酸化チタンは、準補強剤として引張強度を向上させる作用があり、又、本発明に用いるマイナスイオン発生剤に含まれるセリウム、ランタン等の希有元素を添加することにより、シリコーンゴムの耐熱性向上等の物理的性質を向上させる作用効果がある。さらに補足すれば、補強剤として用いられるシリカは、湿式シリカよりも乾式(煙霧質)シリカを用いると、成形物の輝度感が高く、後述する金型鏡面による成形物の全反射機能を際立たせ、極めて高質な艶を出す作用効果がある。これは、煙霧質シリカは遊離水や結合水が少なく、吸湿性が低いことによる、と考えられる。尚、シリカは、遠赤外線セラミックであり、遠赤外線を発生するとともに、比誘電率の小ささから、例えば、トルマリン等による電流発生作用を維持、増強させる作用をも、併せもつものである。
【0023】
そして、本発明のブレスレット、ネックレス、指輪、時計バンド、数珠等の装身具は、マイナスイオン発生による健康効果向上機能を高める作用と成し、かつ、装身具としての美的性能、及び、身体装着性等に優れる作用と成す。
【0024】
[発明の実施の形態]
まず、本発明の一実施形態のシリコーンゴム質素材を用いた装身具を、図1(A)〜(B)を参照して、説明する。即ち、図1の例は、リング体としてブレスレットの図面である。
【0025】
これに用いるシリコーンゴム質母材は、熱伝導率が、0.45×10−3cal/cm・sec・℃、室温における空気の透過性が、26×10−7cm3/cm2/cm/secを用い、常圧熱気加硫可能な材料として、メチルビニルシリコーンゴムを用いる。又、加硫剤として、有機過酸化物が好ましく、2・4ジクロルベンゾイルパーオキサイド、パラクロルベンゾイルパーオキサイド等を用いる。尚、後述するパール顔料の一律配向を容易と成し、この配向を早期に安定させる為には、低温で加硫反応の速い2・4ジクロルベンゾイルパーオキサイドが好適である。
【0026】
そして、「希有元素類を含む鉱物、トルマリン、遠赤外線セラミックスの少なくとも一つを含む」構造とする。即ち、具体的には、「株式会社ユニチカリサーチラボの商品名セランライト(火山灰色)」、又は、「神戸イオン商会KSパウダー(火山灰黄色)」を1.5〜7重量%添加した構成とする。尚、マイナスイオン発生剤の含有量が、1.5重量%以上としたのは、これを下回ると、後述する健康向上効果が得られなかった為である。
【0027】
以上の態様による本発明は、高熱伝導率材料を用いることによる、受熱、放熱によるマイナスイオン発生の活性化作用として働き、又、シリコーンゴム質母材の中でも、気体透過性の高いメチルビニルシリコーンゴムを使用することにより、空気中に含まれる水分と、希有元素類を含む鉱物等による静電作用によるマイナスイオン発生作用をさらに活性化して、さらに、後述するパール顔料の一律配向を、加硫剤2・4ジクロルベンゾイルパーオキサイドとの併用により、低温で早期に加硫させ、架橋構造体とすることにより、安定した一律配向を可能ならしめる特段の作用効果を奏する。尚、マイナスイオン発生による健康向上効果は、必ずしも明確ではないが、酸化還元の平衡理論が成り立つものと推察される。
【0028】
そして、本発明に用いるメチルビニルシリコーンゴム質素材の母材層の熱伝導率が、0.45×10−3cal/cm・sec・℃以上で、かつ、室温における空気の透過性が、26×10−7cm3/cm2/cm/sec以上としたのは、これ下回ると、後述する健康向上効果が得られなかった為である。
【0029】
次に、前記シリコーンゴム質素材に、パール顔料、及び、有機顔料、若しくは、無機顔料を用いた実施態様を図2を参照して説明する。即ち、図2は、透明性、又は、半透明性のメチルビニルシリコーンゴム質母材に、「平板状の雲母7に酸化チタン被覆、又は、酸化鉄被覆、若しくは、これらを重合被覆して、一定膜厚Tとしたパール顔料4を、2〜10重量%添加した構成とする。即ち、具体的いは、「メルクジャパン株式会社製の登録商標名イリオジン」を用い、表1に例示すように、「反射光と透過光のパール調色彩」に応じた膜厚の顔料を選択使用する。
【0030】
又、無機顔料としては、白色系でチタン白を2〜5重量%、黒色系では、カーボンブラックを0.5〜1.5重量%用い、又、青色系では、有機顔料のフタロシアニンブルー等を所望の色彩に応じて、任意選択使用する。白色系でチタン白を2〜5重量%としたのは、マイナスイオン発生剤を1.5〜7重量%添加すると「セランライト」を使用した場合には、暗灰色化が進み、又、「KSパウダー」を用いた場合には、暗灰黄色化が進む為、これらにチタン白を加えることにより、かかる汚濁色を薄めて白色化させ、かつ、後述するパール顔料の多重干渉作用による色彩効果を高める為である。又、これとは逆に、カーボンブラックを添加する理由は、マイナスイオン発生剤による汚濁色を、より汚濁化、つまり、汚濁色を目立たなくさせる為に黒色化させ、かつ、これも後述するパール顔料の多重干渉作用による色彩効果を高める為である。尚、カーボンブラックの添加量は5重量%以下が望ましい。5重量%を越えると、体積抵抗率が急激に低下して導電性を帯び、これによりマイナスイオン発生作用を低下させる、と考えられるからである。
【0031】
続いて、図2(A)(C)を参照して、パール顔料と着色顔料(無機顔料5、又は有機顔料6)との組合わせによる色彩効果を、パール顔料の一律配向と併せて、説明する。
【0032】
即ち、透明性、又は、半透明性の光透過性メチルビニルシリコーンゴム質母材層3に、「平板状の雲母7に、酸化チタン等で一定膜厚被覆した公知のパール顔料4が内在し、母材の少なくとも表面に、概ね一様密度でランダム姿勢で配設されている。(図2(A)(B))
【0033】
そして、外部からのパール顔料への入射光は、パール顔料表面の正反射光と、平板状雲母7の酸化チタン(又は、酸化鉄)との界面からの反射光とが干渉し、所定の厚さをもつこれらの各界面からの光多重干渉作用により、真珠のような色と艶を生み、酸化チタンの膜厚Tの差により、干渉色の色相が変化した放彩形態として、視覚認識される。
【0034】
かかる場合において、パール顔料4の界面からの反射光による干渉色色相は、このパール顔料を包被するシリコーンゴム質素材の色調による光に対する性質を利用することにより、さらに、一層多様に変化させることができる。
【0035】
即ち、シリコーンゴム質素材としての基調色を、チタン白等を用いて白色となしてパール顔料透過光9を反射させ、若しくは、カーボンブラック等を用いて黒色とすることにより、かかる透過光9を吸収させることにより、明暗彩色を視覚認識させることができる。具体的には、図2(D)の酸化チタン単純モデル図において、例えば、一定厚さの酸化チタン表面の正反射光が80〜100nm(ナノメートル)の緑色正反射光11で、このときの透過光は、120〜160nmの赤色透過光12である。つまり、シリコーンゴム質素材の基調色が白色のとき、この赤色透過光12を反射させることにより、相殺作用として働き、淡い緑色として、軽快な明度感のある色相として視覚認識でき、又、この素材の基調色が黒色のとき、かかる透過光12を吸収させることにより、緑色正反射光11をより強調させ、濃い緑色として深み、重量感のある色相として、視覚認識させることができる。以上述べたことと同様の現象がパール顔料4において発生する。
【0036】
そして、これに使用するパール顔料を表1〜3に示す。この中で、表2に示すような雲母の外表面を酸化チタンで被覆後、さらに、その外表面に酸化鉄を被覆したパール顔料を用いると、赤味のある金色を得ることができる。又、表3に示すような雲母7の外表面に酸化鉄を被覆したパール顔料を用いれば、金属光沢色を得ることができる。さらに、これによって得られる金色、金属光沢色のパール顔料と、前記した表1のパール顔料とを組合わせることにより、金属光沢色と虹彩色との多彩な放彩形態を得ることができる。尚、このような所望の色彩形態を得る為、パール顔料4の断面積に対する酸化チタン等の面積比率が異なるものを選択して使用する。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
次に、図3を用いて、他の実施例を説明する。図3(A)〜(D)に示すものは、図1の実施例ブレスレット1において、その表面を凸凹状のいわゆる「シボ13」形態とする。具体的には、動物肌模様の、例えば、棚沢社発行のシボ見本No.TH1017、TH857、又、幾何模様として、同シボNo.TH−331Aとする。特に、好ましい形態としては、凸部14の表面積を小、凹部15の表面積を大とし、かつ、金型鏡面加工により、装着磨耗による表面反射の劣化(艶落ち)を、この凸部14よる最小限となし、又、凹部15の鏡面部により、表面全反射機能を維持することにより、光の多重干渉作用による多彩な放彩形態を長期に亙り維持することができる。又、表面凸凹状とすることにより、生体(体温)、又は、太陽光等による自然界からの受熱、放熱作用、並びに、外表面積増加による外表面部の水分子滞留を増加させることにより、マイナスイオン発生剤の水分子電気分解を促進させて、かかるイオン発生効果を補助する、と考えられる。尚、上下分割金型からの取り出し容易、及び、成形物のバリ発生防止の為、成形物軸方向と平行な細長環状部16を対象位置に設けた構造としてもよい。(図3(C)(D))
【0041】
次に、図4を用いて、他の実施例を説明する。図4(A)は、前記したシリコーンゴム質素材に貫通孔19を設けた球20とし、この貫通孔19に繊維紐18を通して複数個の球20を連設して数珠17と成したものである。又、図4(B)は、繊維紐18を用いず、この紐部と球20とを、かかるゴム質素材で一体化構造と成した数珠形状装身具21である。拝礼時の数珠球状部刺激によるマイナスイオン発生増大の補助作用、外表面積増大による受熱、放熱作用効果については、前記同様である。又、金型に経文を彫り込んで、球部に経文文字等を浮き出し、又は、凹み文字形態としてもよい。
【0042】
次に、図5を用いて、他の実施例を説明する。図5は、前記したシリコーンゴム質素材を、平板状に所定形状に成形し、ネジ止め等により、時計本体部と連結させて成る腕時計22のバンド部23の実施例である。
【0043】
このように、本発明の装身具は、リング体状のブレスレット、指輪、ネックレス、時計バンドのみではなく、球部連設状と成した「数珠」、又は数珠状の球部連設形態を包含する。
【0044】
次に、本発明の他の実施形態を、図6(A)〜(C)を参照して説明する。即ち、図6は、シリコーンゴム質素材を用いた装身具成形方法の、主に金型の図面である。
【0045】
図2の実施例で述べたような光の多重干渉作用を利用して多彩な放彩形態を視覚認識させる為には、平板状のパール顔料4がシリコーンゴム質母材層3の表面と概ね平行に、一律配向させた形態(図2(E))が望ましい。この為には、シリコーンゴムと加硫剤、及び、パール顔料とを混練して、シート状にした後、所定量の材料29を成形金型上に置き(図6(B))、加圧、加熱成形するとき、少なくとも成形キャビテイ面の環状凹部27を鏡面状と成して流動性を高めた型構造とする。好ましくは、クロム等のメッキ処理による鏡面加工が望ましい。又、パール顔料4は、平板状と成している為、成形型内流動時、加圧することにより、流動抵抗最小となる姿勢、即ち、該キャビティ周面に平行する姿勢を保つ工法と成す。さらに、常圧熱気加硫可能なメチルビニルシリコーンゴム、及び、加硫剤として有機過酸化物、特に、2・4ジクロルベンゾイルパーオキサイドとの併用により、低温で早期に加硫させて架橋構造体とすることにより、このパール顔料の一律配向をより早く安定させることができ、かかる工法を用いる。
【0046】
つまり、無機顔料、又は、有機顔料と、板状パール顔料、加硫剤、及び、メチルビニルシリコーンゴム質を混練する工程と・混練したゴム材料の一定量を、メッキ処理を施した成形金型内に置く工程と(図6(B))・成形型内に置いたゴム材料を型内で圧縮、加熱する工程と(図6(C))・前記型内から取り出す工程から成り、必要に応じて成形物30のバリ取り工程を伴うものである。尚、補足すれば、メッキ処理を施した金型を用いれば、多量生産による金型表面劣化による成形物の艶落ちを防ぐことができ、その結果、美麗な放彩形態を長期に亙り、品質維持することができる。
【0047】
次に、図1に示すブレスレット1を表4で示す成分で成形加工し、実際に人体に装着した結果について説明する。表5は、実施例1〜3、及び、比較例1〜2の、7日毎70日間までの、健康向上効果の官能5段階評価の5人の平均値を上段に示し、又、装飾美を含む装着感の前記同様の平均値を下段に示したものである。尚、ここでいう健康向上効果とは、「肌の艶」、「イライラ感」、「肩こり」等の10項目に対する自覚症状の程度をいい、又、装着感とは、「ベトツキ感」、「かゆみ」等の5項目に対する自覚症状の程度をいい、これらを最も良い自覚症状を5とし、逆の場合を1とした。
【0048】
【表4】
【0049】
尚、表4中の熱伝導率の単位は、cal/cm・sec・℃であり、又、気体透過比とは、ウレタンゴムの室温における空気の透過性に対する比率のことをいい、その単位は倍数で示す。又、2・4DCBとは、2・4ジクロルベンゾイルパーオキサイドのことをいう。
【0050】
【表5】
【0051】
尚、表5中の上段の数値は、健康効果向上の5段階官能評価の5人の平均値を示し、下段の数値は、装着感の前記同様の平均値を示す。
【0052】
この結果より、実施例1は、全員7日以内で健康向上効果を自覚し、又、実施例2では、全員が14日以内、又、実施例3においても、概ね28日以内で全員が効果を自覚した。又、装着感については、気になるような違和感は認められず、良好であった。これに対し、比較例2においては、70日間経過しても、殆ど効果がみられず、比較例1においては、「ベトツキ感」、「かゆみ感」が発生し、15日目で使用を中止した。
【0053】
[発明の効果]
以上説明のとおり、本発明は、マイナスイオン発生による健康向上効果を高める為の、シリコーンゴム質素材の最適な物理的性質と、光の多重干渉作用利用により多彩な放彩形態を得る為の美的性質とを両立させた装身具、及び、その製造方法を提供するものであり、装身具としての美的性能の向上、及び、健康効果向上を図ることができる。以上の諸効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のブレスレットの一実施形態を示し、(A)はその外観図、(B)はその断面図である。
【図2】図1実施例に用いるゴム質素材の実施形態を示し、(A)(B)(E)は、その構造説明の断面図、(C)はパール顔料断面図、(D)は、光透過作用、反射作用の説明図である。
【図3】本発明の他の実施例を示し、(A)は図1形状での拡大表面図、(B)はその断面図、(C)(D)も同様に、図1形状での拡大表面図とその断面図である。
【図4】本発明の他の実施例を示し、(A)は繊維紐を貫通させた数珠、(B)は球と紐とを同材質一体形状とした数珠状装身具である。
【図5】本発明の他の実施例を示し、バンドに用いたときの腕時計の斜視図である。
【図6】本発明の他の実施例を示し、シリコーンゴム質素材を用いた装身具の、成形方法の斜視図である。
【符号の説明】
1 ブレスレット
2 ゴム質素材
3 母材
4 パール顔料
5 無機顔料
6 有機顔料
7 雲母
8 被覆
9 パール顔料透過光
10 酸化チタン
11 緑色正反射光
12 赤色透過光
13 シボ
14 凸部
15 凹部
16 細長環状部
17 数珠
18 繊維紐
19 貫通孔
20 球
21 数珠状装身具
22 腕時計
23 バンド
24 金型
25 上型
26 下型
27 環状凹部
28 金型合わせ面
29 所定量の材料
30 成形物
Claims (8)
- 光透過性のシリコーンゴム質素材の母材層が、0.45×10−3cal/cm・sec・℃以上の熱伝導率で、かつ、室温における空気の透過性が、26×10−7cm3/cm2/cm/sec以上の常圧熱気加硫可能なメチルビニルシリコーンゴムから成る材料で構成され、かつ、マイナスイオン発生剤の希有元素類を含む鉱物、トルマリン、遠赤外線セラミックスの少なくとも一つを添加して、その含有量が1.5重量%以上とし、かつ、加硫剤に2・4ジクロルベンゾイルパーオキサイドを用いて短時間加硫による2粍以上の厚物成形加工を容易としたことを特徴とする装身具。
- メチルビニルシリコーンゴム質素材の母材層に、雲母核に酸化チタン、又は、酸化鉄、若しくは、これら双方の重合被覆して成る板状パール顔料を添加し、かつ、無機顔料として白色を用いてマイナスイオン発生剤添加による汚濁色を薄めて白色化させ、透過光の反射による前記パール顔料の多重干渉作用により色彩効果を高めたことを特徴とする請求項1に記載の装身具。
- メチルビニルシリコーンゴム質素材の母材層に、雲母核に酸化チタン、又は、酸化鉄、若しくは、これら双方の重合被覆して成る板状パール顔料を添加し、かつ、無機顔料として黒色を用いてマイナスイオン発生剤添加による汚濁色をより汚濁化させ、透過光の吸収による前記パール顔料の多重干渉作用により色彩効果を高めたことを特徴とする請求項1に記載の装身具。
- メチルビニルシリコーンゴム質素材の母材層に、煙霧質シリカを用いて引張強度を高め、かつ、成形物の輝度感を高めたことを特徴とする請求項2又は3に記載の装身具
- 外表面に凸部と凹部から成るシボを形成し、前記凸部の表面積は小とし、前記凹部の表面積は大として前記凹部での鏡面部により表面全反射機能を維持して光の多重干渉作用による多彩な放彩形態を長期にわたり維持することを特徴とする請求項2〜4に記載のいずれかの装身具。
- 光透過性のシリコーンゴム質素材の母材層が、0.3×10 −3 cal/cm・sec・℃以上の熱伝導率で、常圧熱気加硫可能なメチルビニルシリコーンゴムから成る材料で構成され、かつ、希有元素類を含む鉱物、トルマリン、遠赤外線セラミックスの少なくとも一つを添加し、かつ、無機顔料、又は、有機顔料と、板状パール顔料、加硫剤を添加して成る装身具の製造方法において、前記希有元素類を含む前記鉱物、前記トルマリン、前記遠赤外線セラミックスの少なくとも一つを添加し、かつ、前記無機顔料、又は、前記有機顔料と、前記板状パール顔料、前記加硫剤、及び、前記メチルビニルシリコーンゴム質を混練する工程と・混練したゴム材料の一定量を、メッキ処理を施した成形金型内に置く工程と・成形金型内に置いたゴム材料を、型内で圧縮、加熱する工程と・かかる型内から取り出す工程から成ることを特徴とする装身具の製造方法。
- 装身具がメチルビニルシリコーンゴム質素材の母材層の補強剤が煙霧質シリカを用いて成ることを特徴とする請求項6に記載の装身具の製造方法。
- 装身具の外表面にシボを形成したことを特徴とする請求項6に記載の装身具の製造方法。
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