JP4146906B2 - インプラント装置 - Google Patents

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Description

本発明はインプラント装置に関し、特に、一部又は全部の歯を無くした患者のための歯科インプラント装置に関する。前記インプラント装置は、患者の上顎骨又は下顎骨の骨組織にインプラントし、上部構造を支えるための支台を含み、前記上部構造が1本以上の人工インプラントを含む歯の補てつ装置を支持又は構成する。例えば上部構造は、それに守られるように冠又は橋のような形をした修復構造のために、上顎骨及び下顎骨の上の柔らかい組織層(歯肉)に橋を架けるため、インプラントされた支台へのかみ合わせに利用できるようにされた橋脚歯であってもよい。
典型的な歯科インプラント装置においては、前記上部構造はねじで支台に固定されている。この目的のために、前記支台は、該支台の末端に開けられた、内側にねじ山のついたソケットを持つ。内側のねじ山は、前記ソケット全体にあるか又は前記ソケットの一部分にだけあってもよい。前記上部構造は、(i)前記支台に対して前記上部構造が確実に取り付けられるように、内側にねじ山のついたソケットにねじで留めるため、外側にねじ山のついた突出部と一体に形成されているか、又は(ii)横方向の面がそこに作られるような管腔のある管部分、及び管腔を通って前記内部に通されたソケットに至る通路のためのねじ部分を含んでいる。前記ねじには管腔内の横方向面の支持に利用できるようにされた、大きくなった頭部があり、それによって前記上部構造を前記内側にねじ山のついたソケットにねじで締め付けることで前記支台に固定される。
他のインプラント装置では、前記上部構造は、例えばセメントで固めることにより、ねじ山のない連結で支台に固定される。
支台への上部構造の固定の仕方がどうであれ、前記上部構造は接触する面を通してインプラント方向の荷重を支台に対して与える。
上顎骨又は下顎骨の骨組織への歯科インプラント装置の前記支台の固定は、まず、支台の外面への骨組織の機械的なかみ合わせにかかっている。支台の外面と上顎骨又は下顎骨の骨組織との確実なかみ合わせは、例えば、ねじ山、窪み、穴等を支台の外面につけることによって外面が粗くされたときに実現する。粗い凹凸をつける場合、ブラスト、プラズマスプレー、エッチング、ハイドロクシアパタイト・コーティングにより支台の外面に穴を形成し、外面に突起をつける。細かい凹凸をつける場合、支台の外面を機械加工する。支台の外面と、該支台がインプラントされた上顎骨又は下顎骨の骨組織とのかみ合わせは、支台がより大きなせん断力に耐えることを可能にする。これは、凹凸をつけることによって作られた支台の外面の窪みに伸びる骨組織のためであると考えられる。
粗い凹凸のつけられた支台外面は、細かい凹凸のつけられた支台外面よりも効果的なかみ合わせを作り出し、細かい凹凸のつけられた支台外面は機械加工された支台外面よりもより効果的なかみ合わせを作り出す。しかしながらそれら全てが、例えば磨かれた外面のような、滑らかな外面を持つ支台よりも、より効果的なかみ合わせを作り出す。かみ合わせを促進するため、1以上の形状の表面の凹凸を支台に施すことが可能である。例えば、粗い凹凸と細かい凹凸が両方ついた外面を持つ支台を提供することが知られている。
1892年にJ.Wolff(Das Gesetz der Transformation der Knochen.Berlin:A.Hirschald,1892)によって、骨組織は、骨の機械的に荷重のかかる過程に対応し、数学的法則にのっとって、それ自体で再造形するということが発表された。以来これは正しいことが証明され、そして現在はWolffの法則として知られる。Wolffの法則のいくつかの結論は以下の通りである。
1.骨組織がらされた応力又は引っ張り力が弱くなると、応力又は引っ張り力が正常となる新たな安定状態が得られるまで、骨組織の網(net)の損失(骨吸収)(bone resorption)が生ずる。
2.骨組織がさらされた応力又は引っ張り力が正常であれば、骨組織に対する網の変化は生じない。
3.骨組織がさらされた応力又は引っ張り力が、生理学的限界の範囲内で強まっていくなら、応力又は引っ張り力が正常となる新たな安定状態が得られるまで、骨組織は強化される。
4.骨組織がさらされた応力又は引っ張り力が極端に強い場合、骨吸収が生ずる。
Wolffの法則は、このように、骨組織の安定状態を保つのに好都合となる、インプラント支台に隣接する骨組織での応力状態の必要性を指示している。そうでなければ、限界的な骨吸収を生じ、骨組織に取り付けた支台の骨との統合が不安定になると共に、市販するに当たって重大な考慮事項である、インプラントされたときの歯科インプラント装置の美感を損なうことになる。
このことを頭に入れ、出願人は、インプラントの支台に隣接する骨組織における応力状態と、かみ合わせが始まる支台外面上のレベルに対向する、上部構造がインプラント方向で前記支台に接触する方法との間の相互依存を明らかにした。本発明は、インプラントの支台の外面に隣接する骨組織における応力状態の改善に役立つよう、この相互依存を考慮に入れる。
本発明により、上部構造を支えるため、先端方向へ変位させることにより上顎骨又は下顎骨の骨組織にインプラントするための支台が提供される。該支台には先端、前記上部構造の接触面(interfacing surface)と接触する(interface)ための接触面をなす末端、及び、前記外面上の予め定められた位置より先端側では前記上顎骨又は下顎骨の骨組織とかみ合うようにされた外面があり、前記支台の前記接触面が、前記支台外面から、前記接触面及び前記支台外面上の前記予め定められた位置の双方よりも先端側であるレベルの方へ、構造上分離していることに特徴がある。
このような接触の配置の結果、前記上顎骨又は下顎骨の隣接する骨組織における改善された応力分布が得られる。例えば、せん断力のピークは、骨吸収を引き起こす応力を生ずるきっかけとなる危険がより少ない点へと、移動する。さらに、せん断力のピークの値は通常小さくなる。加えて、骨組織中の縦方向の圧縮力(上顎骨又は下顎骨の隆起と比較して)及び、水平方向の荷重又は前記支台上の曲げモーメントによって引き起こされる応力は、前記骨組織の奥へ移動するに従って小さくなっていき、そのため前記骨組織中で生ずる接触面の最大のせん断力は、そこではより簡単に順応される。
本発明による一つの実施の態様において、前記支台の前記接触面は、前記外面上の前記予め定められた位置又はその末尾側のレベルにある。
後に述べる本発明による一つの実施の態様において、前記接触面は前記支台の前記末端にあるランドであり、該ランドは該ランドを取り囲む前記末端の無端状の窪みにより前記外面から構造上分離している。前記窪みには前記支台外面上の前記予め定められた位置より先端側に位置する底面があり、前記ランドは該底面より末尾側のレベルに配置されている。前記無端状の窪みは、例えば環状といった、様々な断面形状をとることができる。
本発明による一つの実施の態様において、前記窪みには無端状の内側及び外側のエッジがあり、前記ランドは、前記無端状の外側エッジに一致するレベル、外側エッジの先端側のレベル、又は外側エッジの末尾側のレベルに配置されている
本発明による一つの実施の態様において、前記ランドは前記窪みの前記無端状の内側エッジと一致するレベルに配置されている。
本発明による一つの実施の態様において、前記上部構造及び支台は、前記接触面全面のみで接触する。
本発明による一つの実施の態様において、前記支台の前記外面の少なくとも一部分は、前記骨組織とかみ合うように凹凸がつけられ、前記外面の前記少なくとも一部分には末端及び先端があり、前記外面上の前記予め定められた位置は、前記末端又は、前記末端と先端との中間の位置に配置されている。後者の例は、前記支台のインプラント時に前記末端が前記上顎骨又は下顎骨から突き出すような例であろう。前記凹凸は、例えばねじ山、窪み、穴、などにより粗い凹凸を付けるか、あるいは、ブラスト、プラズマ・スプレー、エッチング、ハイドロクシアパタイト・コーティングにより、前記外面等の玉状突起に細かい凹凸をつける、あるいは双方を組み合わせることによって、完成されるであろう。前記凹凸はまた機械加工によっても完成される。
前記支台外面上での前記予め定められた位置又は付着レベルが末尾側であればあるほど、骨組織は荷重を支えるのに荷担させられる。限定要素分析はまた、前記支台外面上での前記付着レベルが末尾側であればあるほど、せん断力のピークの数値は小さくなることも示している。末尾側に位置する付着レベルはこのように好ましいものであり、従って本発明による一つの実施の態様において、前記先端をなす前記支台の少なくとも先端部分は、前記支台のインプラントのために骨組織の中に差し込むようにして使用される。前記先端部分には末端があり、前記支台外面の前記予め定められた位置は、前記先端部分の末端に配置され、該末端によって、前記支台外面の前記予め定められた位置が、前記支台のインプラント時に前記上顎骨又は下顎骨の外面として現れるか、実質的に現れる。
好ましくは、前記支台外面は、前記支台外面の前記予め定められた位置と前記支台先端との間で骨組織とかみ合うようにされる。前記支台外面の前記予め定められた位置は前記支台末端と一致していてもよい。
後に述べる本発明による実施の態様において、前記支台及び上部構造の前記接触面はねじ山の無い面である。
本発明による一つの実施の態様において、前記支台は歯根形状の骨内膜支台である。「歯根形状」が意味するのは、前記支台には、支台としての使用時には前記上顎骨又は下顎骨の骨組織にインプラントされる、通常円筒形のシャフトがあるということである。前記シャフトの外面は、骨組織とかみ合うように凹凸がつけられている。例えば前記シャフトはねじの形であってもよい。用語「歯根形状」は、前記支台を骨内膜刃型支台と区別するために用いられている。これら2つの骨内膜支台の形状の違いが、Biomaterials Science: An Introduction to Materials in Medicine, Ratner, Buddy D. et al, Chapter 7.4, Academic Press, 1996に示されている。
本発明はさらに、本発明による支台及び該支台に装着する上部構造を含むインプラント装置を提供する。前記上部構造には、前記支台の前記接触面と先端方向で接触するための接触面をなす先端がある。
本発明はまたさらに、患者の口腔内に歯の補てつ装置を取り付ける方法をも提供する。該方法が含む各工程は、
少なくとも一部は上顎骨又は下顎骨の骨組織とかみ合うようにされている、外面のある支台を用意する工程、
歯の補てつ装置が形成されるか又は装着される上部構造を用意する工程、
前記外面の少なくとも一部分の少なくとも先端部分が上顎骨又は下顎骨の骨組織に隣接して配置されるように、患者の上顎骨又は下顎骨に先端方向に前記支台をインプラントする工程、及び、
前記支台外面から、前記支台の前記接触面及び、前記支台外面と骨組織とのかみ合わせが始まる位置の双方よりも先端側のレベルの方へ構造上分離された前記支台の前記接触面上で、前記上部構造が先端方向で前記支台に接するように、前記上部構造を前記支台に装着する工程である。
前記上部構造は、前記上顎骨又は下顎骨の上に横たわる前記柔らかい組織層に橋を掛ける橋脚歯の形をしていてもよい。
例として、本発明による実施の各態様が、添付図面を参照しながら以下に述べられる。
図1は、上顎骨又は下顎骨の骨組織にインプラントされた、従来技術による歯科インプラント装置の支台の末端の一部分の断面図で、前記支台の前記外面は滑らかな末尾部分及びかみ合う先端部分を含み、また、前記外面の前記かみ合う先端部分の末尾側に配置された接触面全体に、インプラント方向の荷重を前記支台にかけるようにして、前記装置の上部構造が前記支台の末端に接触する。
図2は、前記接触面全面に渡ってインプラント方向の荷重1000Nが前記支台にかけられるように、前記上部構造が前記支台に接するときの、図1の前記支台に隣接する骨組織に生ずる応力分布の、限定要素分析である。
図3は、上顎骨又は下顎骨の骨組織にインプラントされた、従来技術による歯科インプラント装置のもう1つの支台の末端の一部分の断面図で、前記末尾部分には付着レベルが前記骨組織への支台の入口に一致する、かみ合う外面があり、それとともに前記装置の上部構造が、前記付着レベルに一致して配置された接触面全体に渡って、インプラント方向の荷重を前記支台にかけるような形で前記外面に接触する。
図4は、前記接触面全面に渡ってインプラント方向の荷重1000Nが前記支台にかけられるように、前記上部構造が前記支台に接するときの、図3の前記支台に隣接する骨組織に生ずる応力分布の、限定要素分析である。
図5Aは末端のある支台を含む、従来技術による歯科インプラント装置の概要図であり、前記支台のインプラント時には、前記末端は上顎骨又は下顎骨の骨組織外面の末尾側に突出し、また前記末尾部分には雌凹部があり、さらにインプラント時に前記骨組織中の前記支台入口部分から始まる付着レベルを持つ、かみ合う外面を持つ。前記先端に雄凸部を持つ補てつ装置を支えるため、前記上顎骨又は下顎骨の上に横たわる柔らかい組織層に橋を掛けるための橋脚歯がある。前記橋脚歯は、前記付着レベルの末尾側に配置された接触面全面に渡って、前記支台がインプラント方向の荷重をかけられるような形で、前記支台と橋脚歯が接するように、前記雌凹部と向かい合って構成され方向づけられている。
図5Bは、図5Aの前記支台と橋脚歯との接触部分の拡大図である。
図6は、前記接触面全面に渡ってインプラント方向の荷重1000Nが前記支台にかけられるように、前記上部構造が前記支台に接するときの、図5A及び5Bの前記支台に隣接する骨組織に生ずる応力分布の、限定要素分析である。
図7は、上顎骨又は下顎骨の骨組織にインプラントされた、本発明による歯科インプラント装置の支台の断面図で、前記支台には、付着レベルが前記骨組織への支台の入口に一致するかみ合う外面があり、前記支台に対して前記装置の上部構造が、前記支台の接触面と接触するようにされており、該接触面は、前記支台外面から、前記支台の前記接触面及び前記付着レベルの双方よりも先端側のレベルの方へ、構造上分離している。
図8は、図7の前記支台の平面図である。
なお、図において、同じ数字はそれぞれ同じ部材を示している。
図1は、従来の歯科インプラント装置による歯根形状の橋脚歯支台1の末端の一部分の断面図を示す。これは皮質性骨組織12及び格子状骨組織14の双方に及ぶ広がりを持って、上顎骨又は下顎骨にインプラントされる。前記支台1には、該支台1の外面を提供する本体6があり、該本体6は骨組織12、14に面し、前記本体6の内部にはソケット8が、前記支台1の末端の開口から、前記支台1の前記末端と先端との中間の位置に向かって伸びている。前記ソケット8は、前記支台1の末端に対する橋脚歯のような上部構造(図示せず)を連結するのに利用される。
前記支台1の前記外面は、皮質性骨12に隣接する滑らかな末尾部分3、及び、皮質性骨組織12及び格子状骨組織14の双方に及ぶ軸方向の広がりを持つ、かみ合わせのためのねじ山がついた先端部分5に分けられる。前記支台外面と周りの骨組織12、14との本質的かみ合わせは、このようにレベル7(「付着レベル」)から始まって前記骨組織12、14に入り込み、該レベル7は前記支台1の入口の末尾側又は先端方向のレベル上に配置される。
この歯科インプラント装置において、前記上部構造は、前記ソケット8のねじ山の無い端面9上の支台1と接する、ねじ山の無い接触面を提供する。それにより、前記インプラント装置1は、図1の矢印に示すように、前記付着レベル7の十分上又は末尾側で、前記上部構造により、インプラント部分又は先端方向に向かって荷重がかけられる。
図2は、前記端面9上で先端方向の荷重1000Nが支台1にかけられた時の、図1のインプラント装置の前記支台1に隣接する骨組織に生ずる応力分布の限定要素の分析である。前記分析におけるx軸は支台外面からの距離D1を示し、一方y軸は骨組織表面Bから骨組織までの距離D2を示す。右手にある縦のバーチャートは、分析で表われた応力(MPa)の指標である。
図2に見られるように、前記支台1に隣接する上顎骨又は下顎骨の骨組織において、比較的高いせん断力のピークが、前記付着レベル7又はその直下で生ずる。限定要素の分析はまた、骨組織において、非常に低い応力が滑らかな末尾側外面部分3に隣接して生ずることも明らかにしている。なぜ限界的な骨の吸収(marginal bone resorption)が実際に前記末尾部分3の周りで見られたのかを説明するには、Wolffの法則が役立つ。すなわち、前記上部構造と前記支台1との接触かみ合わせが、前記滑らかな末尾側外面部分3及び前記付着レベル7に隣接する骨組織における、骨組織の安定状態を保つのに好ましくない応力分布をもたらすからである。
図3では、他の従来提案された歯科インプラント装置における歯根形状の橋脚歯支台101のための、接触面にかかる荷重と骨組織とのかみ合い状態が示されている。前記支台101は、付着レベル107と共に、機械加工でかみ合わされた外面105とを備える。前記付着レベル107は、前記支台101が骨組織内部に入り、上部構造(図示せず)がねじ山の無い表面を持つ地点から始まり、前記ねじ山の無い表面は、前記付着レベル107と一致するレベル上にある、前記支台101のソケット108のねじ山の無い端面109に接触する。インプラント部分又は先端方向の、支台101への荷重はこのように前記付着レベル107上にも生ずる。
先端方向の荷重1000Nが前記端面109上で前記支台101にかけられた時の、図3のインプラント装置における前記支台101に隣接する骨組織に生ずる応力分布の、限定要素分析が図4に示される。最大のせん断力は、付着レベルが支台外面上でより先端近くに位置している図1の装置に比べて減少しているとはいえ、やはり前記付着レベル107で生ずる。加えて、全ての冠状皮質はこの配置において上部構造の荷重を支えることができる。それにより、ハイポトロフィ(hypotrophy)の不使用による限界的な骨の吸収の危険は、この配置においては小さくなる。
ところが、せん断力のピークはまだかなり高い。さらに、骨組織におけるせん断力のピークは、支台の骨組織への入口のすぐ下という好ましくない位置にある。このようなせん断力のピークの位置が好ましくないのは、前記支台101の骨組織への入口が、外傷によって起こる軽い炎症のために傷つきやすいからである。
図5A及び図5Bは、他の従来技術のインプラント装置における、歯根形状の骨内膜支台201及び橋脚歯202を示している。前記装置における前記支台201は末端230にソケット208があり、該ソケット208には円錐形のねじ山の無い末尾部分211と、前記橋脚歯202の先端の突出部のため内側にねじ山のついた先端部分213がある。前記橋脚歯202には、ねじ山の無い円錐形の末尾部分215と、前記橋脚歯202が前記支台201とかみ合うように外側にねじ山のついた先端部分217がある。前記支台201にはさらに、接する外面205及び、前記支台201が骨組織の中に入り込む地点から始まる付着レベル207がある。
図5Bでさらに明らかなように、前記ソケット208及び突出部の円錐形末尾部分211、215の側面の角度は、前記円錐形末尾部分215が前記ソケット208の開口端で前記円錐形末尾部分211の端面209に接するようにされている。前記ソケット208は付着レベル207及び骨組織外面216双方より末尾側のレベル上にある。
注目すべきことは、前記橋脚歯202は、橋脚歯の集合体という形態であることも可能であるということである。その場合、前記集合体は、その先端に円錐部分215のあるスリーブ部分と、ねじ山の付いた先端部分217という形で前記スリーブ部分を通り抜けるねじ部分を含んでいる。
前記橋脚歯202により、接触面209上で前記支台201に先端方向荷重1000Nがかけられた時の、図5A及び5Bのインプラント装置における前記支台201に隣接する骨組織に生ずる応力分布の限定要素分析が、図6に示されている。この装置における前記支台201と橋脚歯202の接触面は、荷重1000Nのもとでの、前記支台201周辺の骨組織における応力のピークの減少、及び、図1から4参照のすでに上述した従来技術による装置と比べた場合に、せん断力のピークが前記付着レベル207の少し先端側へと移動する結果となる。とはいえ、せん断力のピークはやはり前記付着レベル207のすぐ近くで、このように前記支台201の前記骨組織216への入口地点に位置している。
図7及び図8では、前記上顎骨又は下顎骨の前記骨組織312、314にインプラントされた、本発明による円柱形の歯根形状の骨内膜支台301が、示されている。前記支台301には、前記骨組織外面316と実質的に接触する末端330、先端370、及び、前記支台301の前記末端330で付着レベル307を持つ、かみ合う外面305がある。前記かみ合う面305は、粗い凹凸をつける、細かい凹凸をつける、機械加工する、又はこれら表面の特徴のいずれかを組み合わせることによって作られる。前記支台301の前記末端330には環状窪み360があり、該窪みは前記末端330から、前記付着レベル307より先端側の位置又はレベルに配置される底面380へ、この場合、前記皮質骨層312と前記格子状骨層314との間の遷移に一致するレベルへと、伸びる。前記末端330はこのように環状外周面340を備え、内側の面350は前記環状窪み360によって前記環状外周面340から分離される。
前記支台301が構成部分をなす前記装置の橋脚歯(図示せず)の前記先端は、前記橋脚歯が、少なくとも、前記支台301の前記末端330上にある前記内側の面350上で、先端方向で前記支台301と接触するように構成され方向づけられている。図7において前記支台301の右側の応力分布図が示すように、この配置の結果、前記支台外面305に隣接する前記上顎骨又は下顎骨の前記骨組織312、314中のせん断力σのピークは、前記付着レベル307及び、前記上顎骨又は下顎骨の前記骨組織312、314への前記支台の入口の双方よりも、十分先端側に位置する。これは前記窪み360が、前記内側の面350を前記支台外面305から前記付着レベル307より先端側のレベルの方へ構造上分離させ、それにより、前記橋脚歯によって前記内側の面350にかけられる先端方向荷重を抑制又は防止した結果である。前記先端荷重は、前記窪み360の前記底面380より末尾側の前記支台外面に隣接する前記骨組織312に伝達される。前記支台301を通る、前記支台外面のその部分への伝達経路がないからである。これは、前記内側の面350が、前記骨組織316の上に前記内側の面350を持っていることにより、前記付着レベル307よりも上にあったとしても言えることである。というのは、前記支台の荷重を支えるこの面が、前記支台外面から、前記付着レベル307より先端側の位置の方へ、構造上分離しているという事実に、このことが影響を与えたりはしないからである。
さらに、本発明によれば、前記内側の面350は、示されているよりも先端側のレベル、言いかえれば前記付着レベル307より先端側に配置されることができる。図1から6を参照しながら今まで述べられた従来技術による装置と比べても、前記支台301に隣接する前記骨組織中の改善された応力分布がやはり生ずる。というのも、限定要素分析は、上部構造が支台に対して先端方向荷重をかける位置が、前記付着レベルと比べてより先端側であればあるほど、前記骨組織中のせん断力のピークは減少かつ前記骨組織の面316から離れるということを示しているからである。
前記橋脚歯は、前記支台301の前記窪み360の中に設置されるため、その前記先端に環状突起があってもよい。好ましくは、前記突起は前記窪み360の最も奥の境界壁のみと接触するようにされている。なぜなら、前記橋脚歯は前記支台の表面に先端方向の荷重をかけるが、前記支台の前記表面は前記付着レベルより下であるばかりでなく、前記支台外面から、前記窪み底面380より先端側のレベルの方へさらに構造上分離されているからである。たとえ前記橋脚歯が、前記窪み360の最も奥の境界壁と共に、又は代わりに、前記窪み360の最も外側の境界壁に接触するようにされていても、前記支台301に隣接する前記骨組織中では改善された応力分布が生ずる。その代わり、前記橋脚歯は前記窪み360内部では全く接触しない。
前記内側の面350は、前記橋脚歯を前記支台301にねじで固定するため、ねじで締めるための前記橋脚歯のねじ突起のための、内側にねじ山の付いた先端方向の穴が備わっていてもよい。前記ねじは、当業者の間で知られるように、前記橋脚歯と一体成形された部分であるか,または多数の部品からなる橋脚歯の一つの部品であってもよい。
前記インプラント装置の部品は、例えば市販の純チタンあるいはその合金のような、当業者が従来使用してきた材料から、従来通りの方法で作ることが可能である。
まとめると、本発明は、かみ合う外面を持つ歯科インプラント装置の支台を提供するものであり、前記かみ合う外面の周りでは、インプラントされ上部構造が乗せられたときの応力分布が、前記上部構造がその接触面で前記支台と接触するような形で、前記支台と上部構造との間に接触面の接触を適用することにより、向上される。前記接触面は、前記支台外面から、前記支台の前記接触面及び前記付着レベルの双方よりも先端側のレベルの方へ、構造上分離している。

Claims (17)

  1. 先端方向への変位による上顎骨又は下顎骨の骨組織(312,314)へのインプラントのためのインプラント装置における、上部構造を支える支台(301)であって、該支台は、
    先端、
    前記上部構造の接触面と接触するための接触面(350)を含む末端(330)、及び、
    外面上の予め定められた位置(307)より先端側では、上顎骨又は下顎骨の骨組織とかみ合うようにされた外面(305)を持ち、
    前記支台の前記接触面は、前記支台の前記末端にあるランド(350)であり、該ランドは該ランドを取り囲む前記末端の無端状の窪み(360)により前記外面から構造上分離していて、前記窪みには前記支台外面上の前記予め定められた位置より先端側に位置する底面(380)があり、前記ランドは該底面より末尾側のレベルに配置されていることを特徴とする、前記支台。
  2. 前記支台の前記接触面が、前記外面上で前記予め定められた位置又はその末尾側のレベルにあることを特徴とする、請求項1に記載の支台。
  3. 前記窪みには無端状の内側及び外側のエッジがあり、前記ランドは、前記無端状の外側エッジに一致するレベル、外側エッジの先端側のレベル、又は外側エッジの末尾側のレベルに配置されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の支台。
  4. 前記ランドは前記窪みの前記無端状の内側エッジと一致するレベルに配置されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の支台。
  5. 前記支台の前記外面の少なくとも一部分は、前記骨組織とかみ合うように凹凸がつけられ、前記外面の前記少なくとも一部分には末端及び先端があり、前記外面上の前記予め定められた位置は、前記外面の前記少なくとも一部分の前記末端又は、前記外面の前記少なくとも一部分の前記末端と先端との中間の位置にあることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の支台。
  6. 前記支台外面の少なくとも一部分は粗い凹凸がつけられていることを特徴とする、請求項5に記載の支台。
  7. 前記支台外面の少なくとも一部分は細かい凹凸がつけられていることを特徴とする、請求項5又は6に記載の支台。
  8. 前記支台外面の少なくとも一部分は機械加工により凹凸がつけられていることを特徴とする、請求項5に記載の支台。
  9. 前記先端をなす前記支台の少なくとも先端部分は、前記支台のインプラントのために骨組織の中に差し込むようにして使用され、前記少なくとも先端部分には末端があり、また、前記支台外面の前記予め定められた位置は、前記少なくとも先端部分の末端に配置され、それにより、前記支台外面の前記予め定められた位置が、前記支台のインプラント時に前記上顎骨又は下顎骨の外面として現れることを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載の支台。
  10. 前記支台外面の全面が、前記支台外面上の前記予め定められた位置及び前記支台の前記先端との間において、前記骨組織とかみ合うようにされていることを特徴とする、請求項1から9のいずれかに記載の支台。
  11. 前記支台外面上の前記予め定められた位置が前記支台外面の前記末端に一致することを特徴とする、請求項1から10のいずれかに記載の支台。
  12. 前記支台の前記接触面がねじ山のついていない面であることを特徴とする、請求項1から11のいずれかに記載の支台。
  13. 前記支台は歯根形状の骨内膜支台であることを特徴とする、請求項1から12のいずれかに記載の支台。
  14. 先端方向への変位による上顎骨又は下顎骨の骨組織(312,314)へのインプラントのための、請求項1から13のいずれかに記載の支台(301)、及び、該支台に装着するための上部構造であって、先端方向で前記支台の前記接触面と接触するための接触面を含む先端を持つ前記上部構造を含む、インプラント装置。
  15. 前記上部構造が、前記上顎骨又は下顎骨の上に横たわる柔らかい組織層に橋を掛けるための橋脚歯の形をしていることを特徴とする、請求項14に記載の装置。
  16. 前記支台及び上部構造の前記接触面がねじ山のついていない面であることを特徴とする、請求項14又は15に記載の装置。
  17. 前記支台及び上部構造の前記接触面のみが接触面であることを特徴とする、請求項14から16のいずれかに記載の装置。
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