JP4146165B2 - 構造物とその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シングルスキンパネル(板状パネル)若しくはダブルスキンパネル(二面中空パネル)を用いて形成した側構体、床構体、屋根構体等を組み合わせて車両、航空機、建物等の構造体とその製造方法にかかり、特に摩擦撹拌接合により製造される構造物とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば鉄道車両構造において、特開平2−246863号には、車両の左右の側構体、床構体、屋根構体等を長手方向に延在する長尺のダブルスキンパネル若しくはシングルスキンパネルを長手方向にのみ接合するだけで、前記側構体、床構体、屋根構体等が形成され、作業性の向上とともに、溶接ひずみの発生が少なくなり、歪取り、仕上げ作業の削減を図った技術が開示されている。
【0003】
一方、特表平7−505090号公報には、摩擦攪拌による固相接合方法として長尺材同士の新規な接合方法が開示されており、かかる接合方法は、加工物より実質的に硬い材質からなる回転ツ−ルを加工物の溶接部に挿入し、回転ツ−ルを回転させながら移動することにより、回転ツ−ルと加工物との間に生じる摩擦熱による塑性流動によって加工物を接合する接合方法で、かかる摩擦溶接法は、溶接部材を固相状態で、回転ツ−ルを回転させながら移動させて軟化させた固相部分を一体化しながら接合できるために、熱歪みがなく溶接方向に対して実質的に無限に長い長尺材でもその長手方向に連続的に固相接合できる利点がある。さらに、回転ツ−ルと溶接部材との摩擦熱による金属の塑性流動を利用した固相接合のため、接合部を溶融させることなく接合できる。また、加熱温度が低いため、接合後の変形が少ない。接合部は溶融されないため、欠陥が少ないなどの多くの利点がある。
【0004】
さらに、かかる摩擦接合を利用して、鉄道車両等の構造物に用いられる長尺のダブルスキンパネルからなる中空型材を複数平行に配設したものを突き合わせ接合して構成摩擦撹拌接合による広幅の二面構造体(パネル)を形成する技術が特許第3152420号公報に開示されている。
しかしながらかかる技術においては、前記側構体、床構体、屋根構体等の平面状の広幅パネルを製造する場合には有効であるが、L形状若しくはR部を介してを矩形状に折れ曲がった部分においては、回転ツールをその接合面に当接出来ず、実質的に接合させることが出来ない。
【0005】
かかる欠点を解消するために、特許3224092号において、側構体、屋根構体、床構体、妻構体からなる鉄道車両の構体において、前記側構体は、複数の型材を並べたものを摩擦接合したものであり、前記側構体と前記屋根構体との接続は、MIG溶接で接続することによって達成できる技術が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらかかる特許3224092号に示す技術は、前記側構体と前記屋根構体との接続のようにL形状若しくはR部を介してを矩形状に折れ曲がった部分の摩擦撹拌接合に適さない部分の溶接をMIG溶接で行うものであるが、MIG溶接は、溶接速度が遅いために、入熱量が高く熱歪みが生じやすい。
特に夫々の構体の広幅平面パネルが熱歪みの少ない摩擦撹拌接合で形成されているのに、最も強度の必要な折曲部分に熱歪みが高く且つ溶け込みが浅いMIG溶接を行っているために、鉄道車両全体の強度低下が生じる。
【0007】
本発明は特許3224092号と同様に、摩擦撹拌接合の利点を生かしつつ、L形状若しくはR部を介してを矩形状に折れ曲がった部分においては入熱量が低い状態でも溶け込みが深く、結果として低い熱歪みで高強度の車両、航空機、建物等の構造体とその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる課題に鑑み、側構体、床構体、屋根構体等の広幅パネル体の組み合わせからなる車両、航空機、建物等の構造物において、
前記構体を構成する広幅パネル体の内、平面状の広幅パネル体を形成する部位若しくはパネル幅方向に曲率を持たせた広幅パネルを形成する部位は、複数の型材を並べて隣接する同士の接合が摩擦撹拌接合により行われ形成され、一方略L、へ、V字形状の矩形状折曲部位若しくは角Rを介して矩形状に折曲させた部位(以下両者を含めて折曲部位という)における接合が埋もれアーク溶接により接合されていることを特徴とする。
【0009】
この場合前記埋もれアーク溶接とは、アルゴン、ヘリウム若しくはこれらの混合ガスに1〜40体積%、好ましくは5〜20体積の窒素ガスを添加したシールドガス雰囲気中で、電極先端から母材表面までのアーク長さを2mm以下に維持してアークが母材内部にまで発生する溶接手段である。
【0010】
又前記折曲部位部は一般に構体同士の接合部で形成され、更に請求項1記載の平面状若しくは大きな曲率を有する広幅パネルは、複数の型材を並べて摩擦撹拌接合により製造されたパネル形成され、更に前記複数の型材が、シングルスキンパネル若しくはダブルスキンパネルからなるのがよい。
【0011】
かかる発明によれば、摩擦撹拌接合により接合される部分は平面状若しくは曲率の大きいほぼ平面状部分であるために、摩擦撹拌接合が容易であり、一方、折曲部位は埋もれアーク溶接により溶接されるために、MIG溶接に比較して溶け込みが深く、且つ入熱が低いために、熱歪みが生じることなく、該折曲部位に荷重集中しても強度低下が生じることはない。
又埋もれアーク溶接は既存の溶接装置で実現できるために、設備の負担も生じることはない。
【0012】
次にかかる構造物を製造するための好適な製造方法について説明する。
図1は摩擦撹拌接合にボビンツール10を用い、構体を構成する型材にダブルスキンパネルを用いた製造方法を示し、複数の型材を並べて摩擦撹拌接合Mにより、図2に示すような側構体1、床構体2、屋根構体3等の平面状若しくは大きな曲率を有する広幅パネル1、2、3を製造する工程と、
該広幅パネル1、2、3同士を直接若しくは補助型材4、5、6を介して接合する際にその補助型材4、5、6と広幅パネル1、2、3若しくは広幅パネル1、2、3同士を直接接合する際に埋もれアーク溶接Aにより接合する工程とよりなる。
図1においては、摩擦撹拌接合Mにより形成した広幅パネル同士1〜3を所定角度を持って接合する際に、その角度接合部に埋もれアーク溶接Aを行うことを特徴とするもので、特に図1(A)においては、屋根構体からなる広幅パネル端3aに、側構体として形成される他の広幅パネル1の取付角度と一致するように所定角度傾けてダブルスキンパネルからなる補助型材4を取付た後、前記補助型材4の自由端4aと側構体の広幅パネル1の自由端を摩擦撹拌接合Mにより接合したものである。
【0013】
図1(B)は、側構体と屋根構体夫々の広幅パネル1、3を複数の型材を並べて摩擦撹拌接合により製造した後、該一の広幅パネル3の内側の一端に、直角に延在するダブルスキンパネルからなる補助型材4の角隅を埋もれアーク溶接Aにより又表面側を摩擦撹拌接合Mにより夫々接合して、前記補助型材4の自由端4aと側構体からなる広幅パネル1との面板を一致させた状態で、摩擦撹拌接合Mにより接合されている。
図1(C)は床構体からなる広幅パネル2の両端に固設される方形支持枠5の上面に前もって側構体のダブルスキンパネルの面幅と一致させて摩擦撹拌接合によりシングルスキンからなる補助型材6を接合して支持枠ユニットを形成した後、床構体2の広幅パネルと、角隅を埋もれアーク溶接Aにより又表面側を摩擦撹拌接合Mにより夫々接合して、床構体ユニットを構成した後、シングルスキンからなる補助型材6自由端と側構体の広幅パネル1の自由端とを摩擦撹拌接合Mにより接合する。
【0014】
かかる発明においては、複数の型材同士を、互いの面板が異なる方向になるように、埋もれアーク溶接Aにより接合して折曲構体を製造した後、前記折曲構体の両自由端側に複数の型材を略面一状態で並べて摩擦撹拌接合Mにより製造してもよい。
図1では、構体はダブルスキンパネル同士の接合を示しているが、側梁型材若しくはシングルスキンパネル、ダブルスキンパネル、補助型枠との接合も同様に構成される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載される構成部品の寸法、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図8は本発明の埋もれアーク溶接Aに使用される溶接装置で、同図において、溶接機51は、補助型材4、5、6と広幅パネル1、2、3との接合部にアークを作用させるアーク溶接装置52と、溶接部分近傍に所定のシールドガスを供給し、この溶接部分近傍を所定ガス雰囲気下にするガス供給装置53を備えている。
【0016】
アーク溶接装置52は、構体を構成する型材の接合に近接して設けられた溶接トーチ54と、この溶接トーチ54から突出する溶接電極(ワイヤ)55と、溶接トーチ54にワイヤ55を連続的に供給可能なワイヤ送給装置57と、ワイヤ55及びワイヤ送給装置57に電力を供給する駆動電源56と、この駆動電源56と母材とを連結する給電ケーブル58と、この給電ケーブル58に設けられた電流計59及び電圧計50とを備えている。
尚、ワイヤ5は直径1.2mmのアルミニウム合金を使用した。
【0017】
ガス供給装置53は、溶接部近傍にシールドガスを供給し、この溶接部近傍をシールドガス雰囲気とするものである。ガス供給装置53は、シールドガスを収容したガス収容部(シールドガスボンベ)53aと、このシールドガスボンベ53aと溶接トーチ54とを接続する配管53bとを備えている。そして、シールドガスは、溶接トーチ54から溶接部分に供給されるようになっており、溶接部近傍はこのシールドガスによってシールドされる。なお、溶接部分近傍をシールドボックスで囲み、このシールドボックス内にシールドガスを供給する構成とすることも可能である。
【0018】
シールドガスは、アルゴンに対して窒素添加量を1から60体積%までの範囲で種々変えたものである。
【0019】
上記シールドガスの雰囲気下でアーク溶接を行った場合、アークは構体を構成する型材の接合部の内部(深部)で発生可能となる。すなわち、通常のアーク溶接では、アーク14は型材の表面よりも出た状態となるが、シールドガスとして上記所定ガスを用いるとともに所定の条件下(所定の駆動電力)で溶接を行うことにより接合部の内部でアークを発生させることができる。ここで型材内部にアークが発生する状態を「埋もれアーク状態」と称することとする。このような「埋もれアーク状態」となる溶接条件を把握することにより、アルミニウムの深溶込み溶接が可能になる。
【0020】
ここで、埋もれアーク状態とするための所定の条件は、使用するシールドガスの種類やアークの駆動電源の出力に応じて変化するものであるので、予め実証試験によって得ることが可能である。この所定条件を設定するための実証試験結果の一例を図9に示す。
【0021】
図9は、横軸に溶接電流(A)をとり、縦軸にアーク電圧(V)をとって、シールドガスとしてアルゴンに10体積%の窒素を添加した混合ガス(Ar+10体積%N2)を用いてワイヤ送給速度を種々変えた場合の溶接電流とアーク電圧との相関を示す特性線図である。
図中にて特性線Aはワイヤ送給速度14.1m分としたときの電流電圧特性を、と特性線Bはワイヤ送給速度を15.6m/分とした時の電流電圧特性を、特性線Cはワイヤ送給速度を17.1m/分としたときの電流電圧特性をそれぞれ示す相関線図である。
【0022】
図中にて2つの破線D、Eの間に挟まれた斜線領域では埋もれアーク状態の生成が確認された。ちなみに、図中の丸(○)はアーク長さが2mm以下となり、「埋もれアーク状態」となったサンプルを、四角(□)はアーク長さが2mm超となり「オープンアーク状態」となったサンプルを示す。なお、前記「アーク長さ」とは、電極先端から母材表面までの距離を称する。
【0023】
図から明かなようにシールドガスの組成やアーク駆動電力をはじめとする溶接時における様々な条件によって、埋もれアーク状態が生成されるか否かが決定される。
【0024】
例えば、ワイヤ送給速度15.6m/分の時には、アーク電圧が19Vを超える領域では埋もれアーク状態からオープンアーク状態に移行するので、深い溶け込みは得られなくなる。また、アーク電圧が15Vを下回る領域ではアークが不安定になるので、ビード外観が不良となる。
【0025】
図10は、横軸に窒素混合量(体積%)をとり、縦軸に溶け込み深さ(mm)をとって、シールドガス中の窒素ガス混合量に対する溶け込み量深さの変化をそれぞれ示す特性線図である。
本図では、溶接電流を230A、アーク電圧を19V、溶接速度を3m/分、ワイヤ送給速度を15.6m/分とする条件下で、シールドガスの窒素混合量を1から60体積%までの間で種々変化させて溶接を行った。図中にて特性線R1は溶け込み深さ/窒素混合量の関係を示す相関曲線である。また、図中にて破線Fは、ビード外観の良好と不良との境界を示す臨界線である。この臨界線Fよりも図中の右側領域(窒素混合量が過大な領域)に斜線を施して示したが、この斜線領域ではビード外観が不良になることが判明した。
【0026】
この図から明かなように、シールドガスの窒素添加量に応じて溶け込み深さは変化する。例えば、窒素添加量を10体積%としたもの(Ar+10体積%N2)と窒素添加量ゼロとしたもの(純アルゴンガス)とを比較してみると、前者の溶け込み深さは後者のそれの約2倍に増加する結果となった。さらに、ビード外観においても良好であった。これらのことから、アルゴンガスに10体積%の窒素ガスを添加することによりアルミニウムの深溶け込みが可能になることが判明した。
【0027】
そして本実施例の場合、窒素ガスの添加量を40体積%よりさらに大きくすると、溶接金属内部に粗大な窒素物が発生し、曲げ延性が低下するようになる。すなわち、隅肉継手のような曲げ延性が必要でなく、深い溶け込みを得たい場合は、窒素ガス添加量の上限値は40体積%とすることが肝要である。一方、突合せ継手のような曲げ延性が必要な継手では窒素ガス添加量の上限値は20体積%とすることが肝要である。一方、窒素ガスの添加量が5体積%未満になると、母材の溶け込みが極端に低下するので、その下限値は5体積%とする。したがって窒素ガスの添加量は5体積%以上40体積%以下の範囲とすることが望ましい。
【0028】
なお、上記実施例ではシールドガスとしてアルゴンに窒素を添加した2種混合ガスを用いた場合について説明したが、本発明はこれのみに限られることなく、ヘリウムガス単体に窒素を添加した2種混合ガス、アルゴンの一部をヘリウムに置き換えた3種類混合ガスをシールドガスに用いた場合も同様の深溶け込み効果が得られる。He+N2からなる2種混合ガスをシールドガスとして用いる場合は、He:N2=80〜95:5〜20の体積比率で混合することが望ましい。
【0029】
そして好ましくはAr+He+N2からなる3種混合ガスをシールドガスとして用いる場合は、Ar:He:N2=5〜65:30〜75:5〜20の体積比率で混合することが望ましい。
【0030】
次に摩擦撹拌接合について説明する。摩擦撹拌接合は、特表平7−505090に開示されているように、ブローブ型とボビンツール型の回転工具が存在し、プローブ型工具20は図3(A)に示すように、ショルダ部21とこのショルダ部21に備えられたプローブ22とを備えており、このショルダ部21は円形ショルダ面を有している。そして、複数の型材を突き合わせ、若しくは嵌合された状態の接合線上面より、前記回転工具を回転させて、プローブ22を被加工物の接合線に設けた不図示の孔に侵入させるとともに、被加工物の接合線上で摺接回転する円形ショルダ面によって被加工物に摩擦熱が付与されるとともに、プローブ22周囲が塑性流動化し、この状態で回転工具20を接合線に沿って移動させることにより、接合線周囲が塑性流動化しながら接合線に沿って2つの素材が圧力を受けながら撹拌混練され、プローブ22の後方側に移行する。この結果塑性流動した素材は後方側で摩擦熱を失って急速に冷却固化するので両パネル板は素材同士が混じり合って完全に一体化した状態で接合される。
又プローブ22に回転方向に対する逆ネジ22aを設けることにより下向きの塑性流動が出来、裏面側に巣や融合不良の欠陥の防止が出来る。
【0031】
しかしながらかかる接合方法では接合時に摩擦熱を発生させるために、回転工具を接合線側に押しつける必要があり、従ってこの反力に対処するために、裏当金が使用されている。この裏当金は被加工物の面板の裏面に密着させて設置するものであり、大きな加圧力を必要とする。
【0032】
一方図3(B)に示すように、ボビンツール10と呼ばれる回転工具には接合する金属板の表裏両面を挟持するように一定間隔を設けた一対のショルダ10A、10Bが設けられているとともに、該上下一対のショルダ10A、10B間にプローブ11が設けられているので、接合面の両面において摩擦発熱させることが出来、裏面側の融合不良が生じないのみならず、上下一対のショルダ10A、10B間で互いの反力を受けているために、裏当金が不要になる。
【0033】
図2は本発明に適用される車両構造体で、側構体1、床構体2、屋根構体3等の平面状若しくは大きな曲率を有する広幅パネル体の組み合わせからなる。
床構体2は、広幅のダブルスキンパネル25同士を面一状に直接摩擦攪拌接合により接合するとともに、その両端側に方形枠状の側梁補助型材5を埋もれアーク溶接Aにより接合する。
側構体1は窓部型材15と腰部型材16及び広い曲率を有する上部型材17からなり、いずれもダブルスキンパネルで形成され、その表側の角パネルの突き合わせ線(接合線)は面一であるために、摩擦撹拌接合Mで接合し、裏面側の角パネルの突き合わせ線(接合線)はへ字形状の矩形状折曲されているために埋もれアーク溶接Aにて接合させている。
【0034】
側構体1の上部型材17と、屋根構体3を構成する大きな曲率を有する広幅のダブルスキンパネル35は、面一状に直接摩擦攪拌接合Mにより接合する。
その接合は図4(A)に示すように、裏当て部材23を用いたプローブ型回転ツール20を用いても又図4(B)に示すように、ボビンツール10を用いても良いが、そのダブルスキンパネル17、35の自由端17a、35aが、その内部にリブが存在しない中空状であることが必要である。
屋根構体3は、大きな曲率を有する広幅のダブルスキンパネル35同士を面一状に直接摩擦攪拌接合Mにより接合する。
【0035】
次に種々のパネルの接合構成について説明する。
図5から図7はダブルスキンパネル13とシングルスキンパネル14を直接若しくは補助型材4、5、6を介して接合する構成を示し、
図5はダブルスキンパネル13端部に、ダブルスキン幅Wより大、好ましくはダブルスキン幅Wに加えてボビンツール10若しくはプローブツール20のショルダ直径D(D+W)の幅を有する、シングルスキンからなる補助型材6を直交して配設して(図5(A)参照)接合したものである。
【0036】
接合は凹角部及び角隅突端を有するダブルスキンパネル13と補助型材6は埋もれアーク溶接Aにて溶接を行うとともに、前記補助型材6を接合後シングルスキンパネル14を摩擦撹拌接合Mにより接合する。
摩擦撹拌接合Mはボビンツール10を用いても良く(図5(C)参照)、又裏当て部材23を用いたプローブ回転工具20により行うことも出来る(図5(B)参照)。
【0037】
図6は床構体2のように、ダブルスキンパネル13端部13aに、中空方形枠状の側梁補助型材(支持枠)5を介してシングルスキンパネル14を補助型材6を介して接合する構成を示し、(図6(A)参照)
前記支持枠5は、上面側を床面と面一に構成し、摩擦撹拌接合Mにより接合する。一方下面側は、凹角部であるために、埋もれアーク溶接Aにて接合する。
そして支持枠5端面に補助型材6を垂直に立設する如く摩擦撹拌接合Mにより支持枠5と接合する。
補助型材6の高さは、ボビンツール10若しくはプローブツール20のショルダ直径Dより大なる突出高さを有する。そして前記補助型材6接合後側構体1を構成するシングルスキンパネル14を摩擦攪拌接合により接合する。
摩擦攪拌接合はボビンツール10を用いても良く(図6(C)参照)、又裏当て部材23を用いたプローブ回転工具20により行うことも出来る(図6(B)参照)ことは前記したとおりである。
【0038】
図7は屋根構体3と側構体1のような、ダブルスキンパネル13とシングルスキンパネル14を接合する構成を示し、図7(A)に示すように、傾斜させたダブルスキンパネル13の屋根構体3の端部に、ダブルスキンパネルからなる補助型材4を配設して両者を埋もれアーク溶接Aにて接合した後、この補助型材4と側構体1を構成するシングルスキンパネル14を垂直に摩擦撹拌接合Mにより接合させるものである。
補助型材6は、屋根構体3との接合した際に垂直下方に延在するように、上面側を斜め角度で切断して両者を位置決めした後、屋根構体3との接合位置内面側の凹角部及び外面側の角隅突端をいずれも埋もれアーク溶接Aにて溶接を行う。
【0039】
そして該ダブルスキンパネルを構成する補助型材4の下側自由端4a、4bは、その内部にリブが存在しない構成となっており、前記パネルの内面側自由端をカットして前記補助型材4の外面の下側自由端4aと側構体1を構成するシングルスキンパネル14を摩擦攪拌接合Mにより接合する。
【0040】
摩擦撹拌接合Mはボビンツール10を用いても良く(図7(C)参照)、又裏当て部材23を用いたプローブ回転工具20により行うことも出来る(図7(B)参照)ことは前記したとおりである。
【0041】
【発明の効果】
以上記載のごとく本発明によれば、摩擦撹拌接合の利点を生かしつつ、矩形状に折曲させた折曲部位においては入熱量が低い状態でも溶け込みが深く、結果として低い熱歪みで高強度の車両、航空機、建物等の構造体を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の基本構成図を示す概略図である。
【図2】 本発明に適用される車両構造体を示す断面斜視図である。
【図3】 本発明に適用される摩擦撹拌接合の基本構成図である。
【図4】 大きな曲率を有する広幅のダブルスキンパネル同士を面一状に直接摩擦撹拌接合により接合させた概略図である。
【図5】 図5から図7はダブルスキンパネルとシングルスキンパネルを直接若しくは補助型材を介して接合する構成を示し、図5はダブルスキンパネル端部に、シングルスキンからなる補助型材を用いたものである。
【図6】 床構体のように、ダブルスキンパネル端部に、中空方形枠状の側梁型材(支持枠5)を介してシングルスキンパネルを補助型材を介して接合する構成を示す。
【図7】 ダブルスキンパネルの屋根構体とシングルスキンパネルの側構体を接合する構成を示す。
【図8】 本発明の埋もれアーク溶接Aに使用される溶接装置を示す。
【図9】 横軸に溶接電流(A)をとり、縦軸にアーク電圧(V)をとって溶接電流とアーク電圧との相関を示す特性線図である。
【図10】 横軸に窒素混合量(体積%)をとり、縦軸に溶け込み深さ(mm)をとって、シールドガス中の窒素ガス混合量に対する溶け込み量深さの変化をそれぞれ示す特性線図である。
【符号の説明】
1 側構体
2 床構体
3 屋根構体
4、5、6 補助型材
13 ダブルスキンパネル
14 シングルスキンパネル
M 摩擦攪拌接合
A 埋もれアーク溶接

Claims (7)

  1. 側構体、床構体、屋根構体等の広幅パネル体の組み合わせからなる車両、航空機、建物等の構造物において、
    前記構体を構成する広幅パネル体の内、平面状の広幅パネル体を形成する部位若しくはパネル幅方向に曲率を持たせた広幅パネルを形成する部位は、複数の型材を並べて隣接する同士の接合が摩擦撹拌接合により行われ形成され、一方略L、へ、V字形状の矩形状折曲部位若しくは角Rを介して矩形状に折曲させた部位(以下両者を含めて折曲部位という)における接合が埋もれアーク溶接により接合されていることを特徴とする構造物。
  2. 前記埋もれアーク溶接が、アルゴン、ヘリウム若しくはこれらの混合ガスのシールドガスに1〜40体積%の窒素ガスを添加したシールドガス雰囲気中で、電極先端から母材表面までのアーク長さを2mm以下に維持してアークが母材内部にまで発生する溶接方法である請求項1記載の構造物。
  3. 請求項1記載の広幅パネルが、シングルスキンパネル若しくはダブルスキンパネルからなることを特徴とする請求項1記載の構造物。
  4. 側構体、床構体、屋根構体等の広幅パネル体の組み合わせからなる車両、航空機、建物等の構造物を製造する方法において、
    複数の型材を並べて摩擦撹拌接合により側構体、床構体、屋根構体等の平面状の広幅パネル体若しくはパネル幅方向に曲率を持たせた広幅パネルを製造する工程と、
    該広幅パネル同士を直接若しくは補助型材を介して接合する際にその補助型材と広幅パネル若しくは広幅パネル同士を、所定角度を持って接合する際に少なくともその1の接合が、埋もれアーク溶接により接合する工程とよりなることを特徴とする構造物の製造方法。
  5. 摩擦撹拌接合により前記広幅パネルを製造する工程と、該一の広幅パネルの少なくとも一端に補助型材を埋もれアーク溶接により、面板方向が前記一の広幅パネルと異なる方向に延在するように接合する工程と、前記補助型材の自由端と他の広幅パネルとを略面一にした状態で、摩擦撹拌接合により接合する工程よりなることを特徴とする請求項4記載の構造物の製造方法。
  6. 側構体、床構体、屋根構体等の平面状の広幅パネル体若しくはパネル幅方向に曲率を持たせた広幅パネル体の組み合わせからなる車両、航空機、建物等の構造物を製造する方法において、
    複数の型材同士を、互いの面板が異なる方向になるように、埋もれアーク溶接により接合して折曲構体を製造する工程と、
    複数の型材を並べて摩擦撹拌接合により側構体、床構体、屋根構体等の平面状の広幅パネル体若しくはパネル幅方向に曲率を持たせた広幅パネル体を製造する工程と、
    該広幅パネルと前記折曲構体の自由端同士を面板面をほぼ一致させて摩擦撹拌接合により接合する工程とよりなることを特徴とする構造物の製造方法。
  7. 側構体、床構体、屋根構体等の平面状若しくは大きな曲率を有する広幅パネル体の組み合わせからなる車両、航空機、建物等の構造物を製造する方法において、
    複数の型材同士を、互いの面板が異なる方向になるように、埋もれアーク溶接により接合して折曲構体を製造する工程と、
    前記折曲構体の両自由端側に夫々複数の型材をほぼ面一状態で並べて摩擦撹拌接合により製造する工程とよりなることを特徴とする構造物の製造方法。
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