JP4145744B2 - 金属波板の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、湾曲部および接続部が交互に形成された金属板を、その湾曲部が径方向外向きに突出するように全体として弧状に湾曲させた金属波板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
回転するジャーナルの外周を環状の空隙を存して囲む静止保持部材と、前記空隙に配置されてジャーナルを支持するフォイルアセンブリとを備えたフォイル式流体軸受が、下記特許文献1により公知である。このフォイル式流体軸受のフォイルアセンブリは、半径方向内側に配置された環状のトップフォイルと、半径方向中間に配置された環状のミッドフォイルと、半径方向外側に配置された複数の波板状のバンプフォイルとから構成されている。
【0003】
またフォイル式流体軸受の波板状のバンプフォイルをプレス成形するための方法および装置が、下記特許文献2により公知である。
【0004】
またプレス成形した製品のスプリングバックによる変形を矯正するために、製品の曲げ部の凸部側外面にショットブラストを施すものが、下記特許文献3により公知である。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−372042号公報
【特許文献2】
特開2002−331311号公報
【特許文献3】
特開平7−155841号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献2に記載されているように、帯状の金属板に所定間隔で部分円筒状の溝をプレス加工して金属波板(フォイル式流体軸受のバンプフォイル)を製造する場合、プレス加工後のスプリングバックでバンプフォイルが所望の方向と逆方向に円弧状に湾曲してしまう問題があった。そこで従来は、逆方向に湾曲したバンプフォイルを手で正常な湾曲方向に修正していたが、その作業が面倒で多くの労力を要するだけでなく、バンプフォイルを手作業で正しい形状に修正することは極めて困難であり、更にバンプフォイルに残留歪みが残り、歪みの解放に伴って逆方向に湾曲した元の形状に変形する恐れがあり、それらの形状の誤差によりフォイル式流体軸受の性能が低下する可能性があった。
【0007】
またスプリングバックによるバンプフォイルの変形を矯正するために、上記特許文献3に記載されたショットブラストを採用すると、表面に細かい凹凸が生じてバンプフォイルとして使用できなくなってしまう問題がある。
【0008】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、プレス成形した金属波板のスプリングバックによる変形を、その金属波板を傷付けずに矯正することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、湾曲部および接続部が交互に形成された金属板を、その湾曲部が径方向外向きに突出するように全体として弧状に湾曲させた金属波板の製造方法であって、金属板に湾曲部および接続部をプレス成形する工程と、スプリングバックにより前記湾曲方向と逆方向に湾曲した金属板を前記湾曲方向に湾曲した金型に挟持する工程と、金型に挟持した金属板を溶体化処理する工程とを含むことを特徴とする金属波板の製造方法が提案される。
【0010】
上記構成によれば、湾曲部および接続部が交互に形成された金属板をプレス成形し、スプリングバックにより逆方向に湾曲した金属板を金型に挟持して溶体化処理することにより、金属板を本来の方向に湾曲した正しい形状に残留歪みを残さないで矯正することができ、しかも金属板の表面を傷付けることもない。
【0011】
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、金属板は、フォイル式流体軸受の環状の静止保持部材の内周面に湾曲部が接するように配置されたバンプフォイルであることを特徴とする金属波板の製造方法が提案される。
【0012】
上記構成によれば、プレス成形後のスプリングバックで変形した金属板を金型を用いた溶体化処理で矯正した後に、フォイル式流体軸受のバンプフォイルとして用いるので、残留歪みが解放するのに伴ってバンプフォイルが逆方向に湾曲した元の形状に戻ることがなく、バンプフォイルの精度を高めてフォイル式流体軸受の性能を高めることができる。
【0013】
また請求項3に記載された発明によれば、請求項2の構成に加えて、バンプフォイルの一方の端部に静止保持部材の内周面と同じ曲率半径の固定部を設け、この固定部を静止保持部材の内周面に溶接したことを特徴とする金属波板の製造方法が提案される。
【0014】
上記構成によれば、バンプフォイルの一方の端部に設けられた静止保持部材の内周面と同じ曲率半径の固定部を該静止保持部材の内周面に溶接するので、前記固定部における溶接位置に若干のずれがあっても、バンプフォイルの湾曲部を静止保持部材の内周面に隙間なく接触させることができる。
【0015】
尚、実施例のバンプフォイル16は本発明の金属板に対応する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0017】
図1〜図9は本発明の一実施例を示すもので、図1はフォイル式流体軸受の縦断面図、図2は図1の2部拡大図、図3はバンプフォイルの熱処理用金型の平面図、図4は図3の4−4線断面図、図5は図4の5部拡大図、図6はバンプフォイルの熱処理用金型の作用説明図、図7はミッドフォイルの熱処理用治具の縦断面図、図8は内径測定治具の縦断面図、図9は図8の9−9線断面図である。
【0018】
図1および図2に示すように、円形断面のジャーナル11を回転自在に支持するフォイル式流体軸受Bは、ジャーナル11の外周を囲むように回転不能に固定された円筒状の静止保持部材12と、静止保持部材12の内周面およびジャーナル11の外周面間に形成された環状の空隙に配置されるフォイルアセンブリ13とから構成される。フォイルアセンブリ13は、半径方向内側に配置された1枚のトップフォイル14と、その外側に配置された3枚のミッドフォイル15A,15B,15Cと、その外側に円周方向に離間して配置された7個のバンプフォイル16…とから構成される。トップフォイル14、ミッドフォイル15A,15B,15Cおよびバンプフォイル16…は、厚さが0.1mm程度の金属薄板で構成される。
【0019】
トップフォイル14は平坦なシートを略360°の中心角を有する環状に湾曲させたもので、その一端の固定部14aが静止保持部材12の内周面の上部(重力の方向に対して)に溶接W1される。各々のミッドフォイル15A,15B,15Cは平坦なシートを略360°の中心角を有する環状に湾曲させたもので、3枚重ねにされて予め一体に溶接W2,W2されたミッドフォイル15A,15B,15Cの一端の固定部15a…が、静止保持部材12の内周面に前記溶接部W1に隣接するように溶接W3される。トップフォイル14は溶接W1された一端部から他端部に向けて時計方向に巻かれており、3枚のミッドフォイル15A,15B,15Cは溶接W3された一端部から他端部に向けて反時計方向に巻かれている。そしてトップフォイル14の外周面および最内層のミッドフォイル15Aの内周面は円周方向に摺動自在に接触する。
【0020】
7個のバンプフォイル16…は、それらの一端の固定部16a…が静止保持部材12の内周面に溶接W4…される。各々のバンプフォイル16は、半径方向外側に向けて突出する5個の湾曲部16b…と、それらの湾曲部16b…に対して交互に配置される6個の接続部16c…とが連続する波板状の部材である。部分円筒状の湾曲部16b…の頂点は静止保持部材12の内周面に円周方向に摺動自在に接触し、静止保持部材12と中心Obを共有する円弧状の接続部16c…は最外層のミッドフォイル15Cの外周面に円周方向に摺動自在に接触する。
【0021】
トップフォイル14、ミッドフォイル15A,15B,15Cおよびバンプフォイル16…には、耐熱Ni合金等の硬度が高く耐熱性に優れた材料が使用される。
【0022】
トップフォイル14の内周面、つまりジャーナル11に対向する面には、優れた潤滑特性(低摩擦係数、表面平滑性、高摩耗寿命)を有するDLC(ダイヤモンドライクカーボン)またはPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)がコーティングされており、ジャーナル11が回転を開始してトップフォイル14の内周面との間に安定した流体膜層が形成されるまでの間、その摺動面に焼きつき等の異常が発生するのを防止している。尚、トップフォイル14の内周面だけでなく、それに対向するジャーナル11の外周面にもDLCあるいはPTFEのコーティングを施すことにより、更に優れた潤滑特性を得ることができる。
【0023】
また最内層のミッドフォイル15Aに対向するトップフォイル14の外周面と、3枚のミッドフォイル15A,15B,15Cの内周面および外周面と、バンプフォイル16…の湾曲部16b…および接続部16c…と、静止保持部材12の内周面とには、例えば銅よりなる金属コーティングが施されており、これにより摺動面の摩擦係数を増加させてジャーナル11の変位に対抗する大きな摩擦減衰力を発生させることができる。
【0024】
フォイルアセンブリ13の内部空間、つまり円筒状のトップフォイル14の内部空間にジャーナル11が僅かな隙間を存して回転自在に支持される。前記隙間は平均して20μm程度であるが、図では誇張して示されている。重力により下向きの荷重Wを受けるジャーナル11が、その中心Osを静止保持部材12の中心Obから距離εだけ偏心させた平衡位置で矢印R方向(反時計方向)に回転すると、トップフォイル14との間に介在する空気がジャーナル11に引きずられて該ジャーナル11の下方の楔状空間に押し込まれて正圧が発生し、逆にジャーナル11の上方の楔状空間に負圧が発生する。そして前記空気力と荷重Wとが釣り合う前記平衡位置においてジャーナル11はフォイルアセンブリ13の内部に非接触状態で支持される。
【0025】
外力の作用や空気力の変動でジャーナル11が平衡位置から半径方向外側に変位すると、空気膜層を介してジャーナル11に押圧されたフォイルアセンブリ13が変形し、その際に発生する摺動面の摩擦抵抗によりジャーナル11の移動を阻止する復元力が発生する。そして前記フォイルアセンブリ13による復元力でジャーナル11は平衡位置に安定して保持される。
【0026】
ところで、バンプフォイル16…は平坦な金属板に湾曲部16b…を所定間隔でプレス加工して製造されるが、図6(A)に示すプレス加工後の形状は、スプリングバックにより、図6(D)に示す最終的な形状に対して逆方向に湾曲してしまう。即ち、最終的な形状はバンプフォイル16…の全体的な湾曲方向に対して湾曲部16b…が外向きに突出しているが(図6(D)参照)、プレス加工後の形状はバンプフォイル16…の全体的な湾曲方向に対して湾曲部16b…が内向きに突出している(図6(A)参照)。そこで、スプリングバックにより変形したプレス加工後のバンプフォイル16…を、金型21を用いて正しい形状に矯正する。
【0027】
図3〜図5に示すように、略長方形の金型21は下型22および上型23からなり、下型22および上型23は対角位置に2本のノックピン24,24を備えるとともに、長手方向両端位置に下型22および上型23を締め付ける2本の締め付けボルト25,25を備える。また金型21の中央部には、上型23だけに螺合して下型22の上面に当接する1本のスペーサボルト26が設けられる。そして下型22および上型23間に、2列に配置した16個のバンプフォイル16…を同時に挟持することができる。
【0028】
しかして、2本の締め付けボルト25,25を緩めた状態で、図5(A)および図6(B)に示すように、スペーサボルト26をねじ込むと下型22に対して上型23が離間して隙間が形成されるため、その隙間に金型21の両側縁からバンプフォイル16…を正常な方向に湾曲させながら挿入する。続いて、図5(B)および図6(C)に示すように、スペーサボルト26を緩めた後に、2本の締め付けボルト25,25を締め付けて下型22および上型23間に16個のバンプフォイル16…を挟持する。
【0029】
続いてバンプフォイル16…を金型21ごと炉内に挿入し、所定の温度に加熱して合金元素を固溶させた後に急冷する溶体化処理(固溶化熱処理)を行い、プレス成形後のスプリングバックで変形したバンプフォイル16…を最終的な形状に矯正する。このとき、熱処理により歪みを解放させながら最終的な形状を出すため、残留歪みは残らない。以上の熱処理を終えたバンプフォイル16…の形状は、図6(D)に示す最終形状に極めて精度良く一致しており、しかもショットブラストを行うとバンプフォイル16…の表面に傷が生じるが、上記熱処理を採用したことにより残留歪みが残ることもなく、かつバンプフォイル16…の表面に傷が生じることもない。
【0030】
次に、7個のバンプフォイル16…の固定部16a…を静止保持部材12の内周面に溶接W4…する。このとき、前記固定部16a…は静止保持部材12の内周面の曲率半径と同じ曲率半径を持つように成形されているため、溶接W4…の位置が円周方向に若干ずれた場合でも、湾曲部16b…の頂点が静止保持部材12の内周面から浮き上がったり、前記内周面に強く押し付けられて変形したりする不具合が解消される。このようにして7個のバンプフォイル16…が静止保持部材12の内周面に沿って正しく装着されることで、その内側に配置されるミッドフォイル15A,15B,15Cおよびトップフォイル14の真円度が影響を受けるのを防止し、フォイル式流体軸受Bの性能を高めることができる。
【0031】
続いて重ね合わせた3枚のミッドフォイル15A,15B,15Cの固定部15a…を一体に溶接W2,W2したものを、その固定部15a…において静止保持部材12の内周面に溶接W3する。このとき、3枚のミッドフォイル15A,15B,15Cは真円であることが望ましいが、実際にはかなりの寸法誤差が存在することが避けられない。そこで、図7に示す熱処理用治具31を用いてミッドフォイル15A,15B,15Cを真円に近づけるように矯正する。
【0032】
熱処理用治具31は、ベース部32から上方に立ち上がる円筒状の心軸33を備えており、その心軸33の外径寸法は、静止保持部材12の内周面に固定された3枚のミッドフォイル15A,15B,15Cのうちの、最内層のミッドフォイル15Aの内径の設計寸法に等しくなるように設定されている。
【0033】
しかして、静止保持部材12のフォイルアセンブリ13のうち、トップフォイル14を除いたバンプフォイル16…およびミッドフォイル15A,15B,15Cよりなるフォイルアセンブリ13′を熱処理用治具31の心軸33の外周に嵌合させる。この状態で、熱処理用治具31に支持されたバンプフォイル16…およびミッドフォイル15A,15B,15Cに前述と同じ溶体化処理および時効硬化処理を施すことにより、最内層のミッドフォイル15Aの内径が設計寸法の真円に近づくように矯正するとともに強度を増加させる。
【0034】
続いて固定部14aを静止保持部材12の内周面に溶接W1したトップフォイル14を、最内層のミッドフォイル15Aの内周面に接するように配置することで、フォイル式流体軸受Bの組み立てを完了する。熱処理用治具31による熱処理をトップフォイル14の溶接W1後に行わない理由は、トップフォイル14の内周面に施されたDLCやPTFEのコーティングが熱処理の熱で損傷するのを防止するためである。ミッドフォイル15A,15B,15Cが3層であるのに対し、トップフォイル14は1層であるため、溶体化処理を施さなくても真円度を許容範囲に収めることができる。
【0035】
このようにして組み立てを完了したフォイル式流体軸受Bは、図8および図9に示す内径測定治具41に装着し、そのトップフォイル14の内径を拡張して最終寸法に仕上げるとともに、その内径寸法の評価を行う。
【0036】
内径測定治具41は、中心に雌ねじ部42aを有する円板状のベース部材42と、ベース部材42の上面に固定された下部ガイド部材43と、ベース部材42にボルト44…,45,45で固定されて下部ガイド部材43の上面に隙間を存して対向する上部ガイド部材46と、円周方向に6分割され、その下部に設けたフランジ47a…が下部ガイド部材43および上部ガイド部材46間に挟まれて摺動自在に案内される、全体として円筒状の治具本体47…と、治具本体47…の中心を貫通してベース部材42の雌ねじ部42aに螺合する雄ねじ部48aを有するボルト部材48と、上部ガイド部材46に固定され、その測定子49aが一つの治具本体47の環状突起部47bに当接するマイクロメータ49とを備える。
【0037】
全体として円筒状を成す治具本体47…の外周にトップフォイル14の内周を嵌合させたフォイル式流体軸受Bは、その静止保持部材12が治具本体47…の環状突起部47b…の上面に支持される。ボルト部材48の中間部には下向きに僅かにテーパしたテーパ部48bが設けられており、このテーパ部48bは治具本体47…の内周の被当接部47c…に当接する。従って、ボルト部材48の上端のノブ48cを回転させて雄ねじ部48aを雌ねじ部42aにねじ込むと、テーパ部48bが被当接部47c…を押圧することで、6個の治具本体47…の外周面を円筒状に保持しながら径方向外側に一斉に移動させることができる。
【0038】
次に、内径測定治具41の使用方法を説明する。
【0039】
先ず、トップフォイル14の内径の設計寸法に等しい内径を有する環状のマスターリングを、内径測定治具41の円筒状を成す6個の治具本体47…の外周に嵌合させる。続いてボルト部材48のノブ48cを回転させて雄ねじ部48aを雌ねじ部42aにねじ込むことで、ボルト部材48のテーパー部48bで被当接部47c…を押圧して治具本体47…を径方向外側に移動させ、マスターリングの内周面に押し付ける。そしてマスターリングの内周面と治具本体47…の外周面との間の摩擦力が所定値になるように、つまりマスターリングを治具本体47…まわりに回転させるのに必要なトルクが所定値になるように、ボルト部材48のねじ込み量を調整し、この状態でマイクロメータ49の指針が0を指すように較正する。
【0040】
続いてボルト部材48を緩めて内径測定治具41からマスターリングを取り外した後に、マスターリングの代わりにフォイル式流体軸受Bを内径測定治具41に装着し、フォイル式流体軸受Bを治具本体47…まわりに回転させるのに必要なトルクが前記所定値に一致するまで、再びボルト部材48をねじ込んでゆく。そしてフォイル式流体軸受Bを回転させるのに必要なトルクが前記所定値に一致したときに、マイクロメータ49の指針が指す値を読み取り、その値が0であればフォイル式流体軸受Bのトップフォイル14の内径が設計寸法に一致していることが確認され、0でなければその値に応じた寸法誤差が存在することが確認される。
【0041】
このように、内径測定治具41を用いてフォイル式流体軸受Bのトップフォイル14の内径寸法を評価する際に、治具本体47…でトップフォイル14を径方向外側に拡張させるので、トップフォイル14の歪みを修正して真円度を更に高めることができる。
【0042】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0043】
例えば、実施例では金属波板としてフォイル式流体軸受Bのバンプフォイル16を例示したが、本発明は他の任意の用途の金属波板の製造に適用することができる。
【0044】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載された発明によれば、湾曲部および接続部が交互に形成された金属板をプレス成形し、スプリングバックにより逆方向に湾曲した金属板を金型に挟持して溶体化処理することにより、金属板を本来の方向に湾曲した正しい形状に残留歪みを残さないで矯正することができ、しかも金属板の表面を傷付けることもない。
【0045】
また請求項2に記載された発明によれば、プレス成形後のスプリングバックで変形した金属板を金型を用いた溶体化処理で矯正した後に、フォイル式流体軸受のバンプフォイルとして用いるので、残留歪みが解放するのに伴ってバンプフォイルが逆方向に湾曲した元の形状に戻ることがなく、バンプフォイルの精度を高めてフォイル式流体軸受の性能を高めることができる。
【0046】
また請求項3に記載された発明によれば、バンプフォイルの一方の端部に設けられた静止保持部材の内周面と同じ曲率半径の固定部を該静止保持部材の内周面に溶接するので、前記固定部における溶接位置に若干のずれがあっても、バンプフォイルの湾曲部を静止保持部材の内周面に隙間なく接触させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フォイル式流体軸受の縦断面図
【図2】図1の2部拡大図
【図3】バンプフォイルの熱処理用金型の平面図
【図4】図3の4−4線断面図
【図5】図4の5部拡大図
【図6】バンプフォイルの熱処理用金型の作用説明図
【図7】ミッドフォイルの熱処理用治具の縦断面図
【図8】内径測定治具の縦断面図
【図9】図8の9−9線断面図
【符号の説明】
12 静止保持部材
16 バンプフォイル(金属板)
16a 固定部
16b 湾曲部
16c 接続部
21 金型
B フォイル式流体軸受

Claims (3)

  1. 湾曲部(16b)および接続部(16c)が交互に形成された金属板(16)を、その湾曲部(16b)が径方向外向きに突出するように全体として弧状に湾曲させた金属波板の製造方法であって、
    金属板(16)に湾曲部(16b)および接続部(16c)をプレス成形する工程と、
    スプリングバックにより前記湾曲方向と逆方向に湾曲した金属板(16)を前記湾曲方向に湾曲した金型(21)に挟持する工程と、
    金型(21)に挟持した金属板(16)を溶体化処理する工程と、
    を含むことを特徴とする金属波板の製造方法。
  2. 金属板(16)は、フォイル式流体軸受(B)の環状の静止保持部材(12)の内周面に湾曲部(16b)が接するように配置されたバンプフォイルであることを特徴とする、請求項1に記載の金属波板の製造方法。
  3. バンプフォイルの一方の端部に静止保持部材(12)の内周面と同じ曲率半径の固定部(16a)を設け、この固定部(16a)を静止保持部材(12)の内周面に溶接したことを特徴とする、請求項2に記載の金属波板の製造方法。
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