JP4145689B2 - 屋内の空気流通システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、屋内の複数の部屋間で相互に室内空気を流通させるシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
屋内の複数の部屋の暖房や冷房を行う空調システムとしては、例えば特開平11−241849号公報に見られるように、和室、洋室等の主要な部屋毎に空調装置を設けたものが一般に知られている。このようなシステムでは、人が在室する部屋において空調装置を運転させて、その部屋の暖房や冷房が行われる。
【0003】
また、例えば特開平5−172371号公報に見られるように、各部屋に通じる給気ダクトおよび排気ダクトを備えた一体型集中空調システムも知られている。このシステムでは、人が在室する部屋において、給気口および排気口に備えられたダンパを所望の開度で開くことにより、その部屋の暖房や冷房が行われる。
【0004】
しかしながら、これらのシステムでは、例えば冬季において、人が在室していない不在部屋が昼間に太陽熱により十分に暖かい温度に暖められていたり、該不在部屋での過去の暖房の熱が十分に残っている状態であっても、該不在部屋の熱エネルギーの多くは、単に自然放熱によって失われてしまう。また、例えば夏季において、北向きの部屋等の不在部屋が十分に涼しい室温になっていたり、該不在部屋での過去の冷房により該不在部屋に十分に涼しい冷気が残っている状態であっても、該不在部屋の冷気は、単に外気との間の自然な熱伝達によって失われてしまう。
【0005】
従って、従来のシステムは、屋内の不在部屋の熱エネルギーの多くを自然に消失させており、エネルギーの利用効率が悪いものとなっていた。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−241849号公報
【特許文献2】
特開平5−172371号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、屋内の不在部屋の熱エネルギーを有効に活用し、人が在室している部屋での室温環境を快適な環境に高めることができる空気流通システムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の屋内の空気流通システムは、前記の目的を達成するために、屋内の4以上の複数の部屋を互いに連通させる空気流通路を介して該複数の部屋間で相互に室内空気を移動可能に設けられた空気移動手段と、前記複数の部屋のそれぞれにおける人の在室および不在を判断する在室不在判断手段と、前記複数の部屋のそれぞれの室温を検出する室温検出手段と、前記複数の部屋のそれぞれの目標室温を所定の操作により設定する室温設定手段と、前記在室不在判断手段の判断結果から前記複数の部屋に在室部屋と不在部屋とが存在することが把握された場合において、不在部屋から在室部屋に室内空気を移動させるように前記空気移動手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記在室部屋と不在部屋とがそれぞれ複数存在する場合において、該在室部屋のうち、目標室温と検出室温との差の絶対値が最も大きい部屋を前記室内空気の供給先の在室部屋として決定すると共に、該供給先の在室部屋の目標室温が該在室部屋の検出室温よりも高いときには、該在室部屋の検出室温よりも検出室温が高い不在部屋のうち、最も検出室温が高い不在部屋を前記室内空気の供給元として決定し、該供給先の在室部屋の目標室温が該在室部屋の検出室温よりも低いときには、該在室部屋の検出室温よりも検出室温が低い不在部屋のうち、最も検出室温が低い不在部屋を前記室内空気の供給元として決定し、前記決定した供給元の不在部屋から前記決定した供給先の在室部屋に室内空気を移動させるように前記空気移動手段を制御することを特徴とする。
【0009】
かかる本発明によれば、在室不在判断手段の判断結果から、前記複数の部屋に在室部屋と不在部屋とが存在することが前記制御手段により把握されると、該制御手段は、在室部屋の目標室温と検出室温とを比較する。そして、前記在室部屋と不在部屋とがそれぞれ複数存在する場合には、制御手段は、該在室部屋のうち、目標室温と検出室温との差の絶対値が最も大きい部屋を前記室内空気の供給先の在室部屋として決定する。さらに、該供給先の在室部屋の目標室温が検出室温よりも高いときには、該供給先の在室部屋の検出室温よりも検出室温が高い不在部屋のうち、最も検出室温が高い不在部屋を前記室内空気の供給元として決定する。そして、空気移動手段の運転制御によって、該供給元の不在部屋から該供給先の在室部屋に室内空気を移動させる。これにより、在室部屋よりも暖かい不在部屋の空気が在室部屋に移動して、在室部屋の室温が目標室温側に向かって上昇する。従って、不在部屋の熱エネルギーが在室部屋の昇温に活用される。なお、不在部屋から在室部屋への空気の移動が進行すると、在室部屋の検出室温が該在室部屋の目標室温まで上昇するか、もしくは、不在部屋の室温が在室部屋の検出室温よりも低下するので、このときには、上記不在部屋から在室部屋への室内空気の移動は終了される。
【0010】
また、前記供給先の在室部屋の目標室温が検出室温よりも低いときには、該供給先の在室部屋の検出室温よりも検出室温が低い不在部屋のうち、最も検出室温が低い不在部屋を前記室内空気の供給元として決定する。そして、空気移動手段の運転制御によって、該供給元の不在部屋から該供給先の在室部屋に室内空気を移動させる。これにより、在室部屋よりも冷えている不在部屋の空気が在室部屋に移動して、在室部屋の室温が目標室温側に向かって下降する。従って、不在部屋の冷気が在室部屋の室温を目標室温側に下げるために活用される。なお、不在部屋から在室部屋への空気の移動が進行すると、在室部屋の検出室温が該在室部屋の目標室温まで低下するか、もしくは、不在部屋の室温が在室部屋の検出室温よりも上昇するので、このときには、上記不在部屋から在室部屋への室内空気の移動は終了される。
【0011】
以上のように、本発明によれば、不在部屋の熱エネルギーを有効に活用し、在室部屋の室温を該在室部屋の目標室温に近づけることができる。その結果、その在室部屋での室温環境を快適な環境に高めることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の屋内の空気流通システムの一実施形態を図1〜図4を参照して説明する。
【0013】
図1は本実施形態における屋内としての家屋1の内部の概略構成を示す平面図であり、この家屋1内には、和室2、洋室3(この例では居室、兼食堂の部屋)、脱衣室4、バス・トイレ室5等の部屋が備えられ、それらの部屋2〜5が壁やドア、ふすま等を介して区画されている。なお、この例では、脱衣室4は、玄関6に通じている。
【0014】
これらの部屋2〜5のうち、和室2には、冷暖房運転が可能なエアコン装置7(図では室外機は省略している)が配置されていると共に、和室2内の映像を撮像する撮像装置8が和室2の壁に取り付けられている。撮像装置8はCCDカメラ等により構成されたものである。また、和室2の壁には、和室2内と屋外との間の空気の流通を可能とする通気口9が設けられている。なお、この例では、和室2の空調手段として、冷暖房運転が可能なエアコン装置7を備えたが、冷房、暖房のいずれかのみが可能なものであってもよく、あるいは、エアコン装置、ファンヒータ、ホットカーペット、ストーブ等(電気式、燃焼式を問わない)、複数種類の空調手段が備えられていてもよい。
【0015】
洋室3には、空調手段として、冷暖房運転が可能なエアコン装置10(図では室外機は省略している)、ファンヒータ11、および床暖房装置12が設けられている。さらに、和室2の撮像装置8と同様に洋室3内の映像を撮像する撮像装置13が洋室3の壁に取り付けられていると共に、洋室3内の換気を行うための換気扇装置14が洋室3の壁に取り付けられている。また、洋室3内の壁には、洋室3内と屋外との間の空気の流通を可能とする通気口15が設けられている。
【0016】
なお、洋室3の空調手段は、和室2の場合と同様、冷房、暖房のいずれかのみが可能なものであってもよく、あるいは、エアコン装置、ファンヒータ、ホットカーペット、ストーブ等(電気式、燃焼式を問わない)、複数種類の空調手段が備えられていてもよい。
【0017】
脱衣室4およびバス・トイレ室5のそれぞれの壁には、それぞれの部屋に人が居ることを後述するコントローラ23に知らせるための在室報知操作スイッチ(ON/OFFスイッチ)16,17が取り付けられている。この場合、各在室報知操作スイッチ16,17のON操作は、該スイッチ16,17を有する部屋に人が在室していることを意味し、OFF操作は、該スイッチ16,17を有する部屋から人が出ていき、その部屋に人が不在となることを意味する。また、脱衣室4に通じる玄関6の壁と、バス・トイレ室5の壁とには、それぞれの部屋内と屋外との間の空気の流通を可能とする通気口18,19が設けられている。
【0018】
なお、本実施形態では、和室2、洋室3、玄関6(脱衣室4に通じる箇所)、およびバス・トイレ室5にそれぞれ通気口9,15,18,19を備えているが、それらは、各部屋2〜5に外気が流通し得る程度のものであればよく、単なる隙間等であってもよい。
【0019】
また、前記和室2、洋室3、脱衣室4およびバス・トイレ室5には、それぞれの部屋の室温を検出する室温検出手段としての室温センサ20a,20b,20c,20dがそれぞれ設けられている。
【0020】
さらに、和室2、洋室3、脱衣室4およびバス・トイレ室5の天井には、これらの部屋にまたがってダクト21が配管されている。このダクト21は、各部屋2〜5の内部空間を相互に連通させるものであり、各部屋2〜5の箇所に給排気口21a,21b,21c,21dを備えている。そして、各給排気口21a〜21dには、図示を省略するファンおよびその駆動モータにより構成された給排気装置22a,22b,22c,22dが装着されている。この場合、各給排気装置22a〜22dのファンは、正逆両方向に回転可能となっており、例えば該ファンの正転によって、ダクト21内からそれぞれの部屋2〜5に空気を給気し、また、ファンの逆転によって、それぞれの部屋2〜5内の空気をダクト21内に吸引する。また、ダクト21の各給排気口21a〜21dは、それぞれに対応する給排気装置22a〜22dの運転停止中は、図示しない電磁弁等により閉塞されるようになっている。なお、上記ダクト21は本発明における空気流通路に相当し、また、該ダクト21および給排気装置22a〜22dは、本発明における空気移動手段を構成するものである。
【0021】
家屋1内の適所、例えば洋室3には、本実施形態のシステムの制御を行なうコントローラ23が設けられている。さらに、該コントローラ23の外面部には、各部屋2〜5の目標室温(希望室温)の設定操作等を行うための操作器24が装着されている。なお、操作器24はコントローラ23とは別の箇所に設置されていてもよく、各部屋2〜5毎に設けられていてもよい。
【0022】
操作器24には、例えば図2に示すように、部屋名や設定されている目標室温を表示する表示部25、目標室温を設定する部屋を選択するための部屋選択スイッチ26、目標室温の設定値を上下させるためのアップダウンスイッチ27等が備えられている。この場合、部屋選択スイッチ26を操作する毎に、あらかじめ登録された部屋2〜5の部屋名(和室、洋室等)と、その部屋に対応して現在設定されている目標室温とが表示部25に表示されるようになっている。そして、その表示状態で、アップダウンスイッチ27を操作することで、表示中の部屋の目標室温が変更・設定されるようになっている。
【0023】
なお、操作器24は、本発明における室温設定手段に相当するものであり、各部屋2〜5の目標室温の設定操作を行うことができるものであれば、どのような形態のものであってもよい。
【0024】
コントローラ23は、マイクロコンピュータ等で構成された電子回路ユニットであり、本発明における在室不在判断手段および制御手段としての機能を有するものである。このコントローラ23は、図3のブロック図で示すように、前記撮像装置8,13、在室報知操作スイッチ16,17、室温センサ20a〜20d、操作器24および給排気装置22a〜22dとの間で、有線もしくは無線のLAN(図3では矢印線で表す)等を介して通信(各種データの授受)を行うことができるようになっている。その通信データをより具体的に説明すると、例えば、各撮像装置8,13による和室2、洋室3の映像情報データが、各撮像装置8,13からコントローラ23に与えられ、在室報知操作スイッチ16,17のON/OFF操作データが、これらのスイッチ16,17からコントローラ23に与えられる。さらに、各室温センサ20a〜20dによる検出室温データが各室温センサ20a〜20dからコントローラ23に与えられる。さらに、操作器24から各部屋2〜5の目標室温の設定データがコントローラ23に与えられる。そして、コントローラ23は、これらの与えられるデータに基づいて給排気装置22a〜22dにこれらの運転動作を規定する運転指令を送出して、該給排気装置22a〜22dの運転を制御する。
【0025】
なお、エアコン装置7を有する和室2の室温センサ20aについては、該エアコン装置7に備えられたものを代用し、エアコン装置7およびファンヒータ11を有する洋室3の室温センサ20bについては、該エアコン装置7あるいはファンヒータ11に備えられたものを代用してもよい。この場合には、コントローラ23と、エアコン装置7,10やファンヒータ11との間で無線もしくは有線で通信を行うようにして、エアコン装置7,10やファンヒータ11から、コントローラ23に検出室温データを与えるようにすればよい。さらに、コントローラ23と、エアコン装置7,10やファンヒータ11との間で通信を行うようにした場合においては、エアコン装置7,10やファンヒータ11で設定されている目標室温をそれぞれに対応する部屋の目標室温として、コントローラ23に与えるようにしてもよい。
【0026】
次に、コントローラ23の詳細な制御処理の説明と併せて本実施形態のシステムの作動を説明する。コントローラ23は、図4のフローチャートに示す処理を実行して、給排気装置22a〜22dの運転を制御する。
【0027】
まず、コントローラ23は、撮像装置8,13の映像情報データ並びに在室報知操作スイッチ16,17のON/OFF操作データに基づいて、各部屋2〜5に人が在室しているか、不在であるかを判断する(STEP1)。さらに詳細には、コントローラ23は、和室2および洋室3については、それぞれ撮像装置8,13の映像情報データを画像処理することで、それぞれの部屋2,3に人が在室しているか不在であるかを判断する。例えば、和室2の撮像装置8に人が所定時間以上、継続的に写っている場合に、該和室2に人が在室していると判断し、それ以外では、人が不在であると判断する。
【0028】
また、コントローラ23は、脱衣室4およびバス・トイレ室5については、それぞれ在室報知操作スイッチ16,17のON/OFF操作データに基づいて、それぞれの部屋4,5に人が在室しているか不在であるかを判断している。例えば、脱衣室4に居る人が在室報知操作スイッチ15をON操作し、そのON状態が所定時間以上、継続した場合に、該脱衣室4に人が在室していると判断し、それ以外では、人が不在であると判断する。
【0029】
なお、和室2、洋室3での人の在室/不在の判断は、脱衣室4等と同様に、在室報知操作スイッチを用いて判断するようにしてもよい。また、脱衣室4、バス・トイレ室5での人の在室/不在の判断は、和室2等と同様に、撮像装置を用いて判断するようにしてもよい。また、撮像装置を用いる場合においては、在室/不在の判断を撮像装置で行い、その判断結果をコントローラ23に出力するようにしてもよい。さらに、各部屋における在室/不在の判断は、赤外線感知装置等を用いて行うようにすることも可能である。
【0030】
次いでコントローラ23は、上記STEP1の判断結果から、全ての部屋2〜5が在室状態であるか、もしくは、全ての部屋2〜5が不在状態であるか、あるいは、これら以外の状態(在室部屋と不在部屋とが混在している状態)であるかを判断する(STEP2)。このとき、全部屋2〜5が在室状態もしくは不在状態である場合(STEP2の判断結果がYESである場合)には、コントローラ23は、給排気装置22a〜22dのうち、運転中のものがあるか否かを判断する(STEP3)。そして、運転中の給排気装置があれば、それをSTEP4で停止させた後、STEP1の処理に戻り、運転中の給排気装置が無ければ、そのままSTEP1の処理に戻る。従って、全ての部屋2〜5が人の在室状態であるか、もしくは、全ての部屋2〜5が不在状態であれば、給排気装置22a〜22dの運転は行われない。
【0031】
一方、在室部屋と不在部屋とが混在し、STEP2の判断結果がNOとなった場合には、コントローラ23は、次に、各部屋2〜5の検出室温データをそれぞれの部屋の室温センサ20a〜20dから取得すると共に、各部屋2〜5の目標室温データを操作器24から取得する(STEP5)。そして、コントローラ23は、不在部屋の中から、室内空気の供給元とする不在部屋を決定する処理を実行する(STEP6)。このSTEP6の処理は本実施形態では、例えば次のように行われる。
【0032】
すなわち、まず、現在の在室部屋の中から、目標室温と検出室温との差の絶対値が最も大きい部屋を、室内空気を供給すべき供給先候補部屋として仮決定し、この仮決定した供給先候補部屋の目標室温がその供給先候補部屋の検出室温よりも高いか低いかを判断する。なお、在室部屋のうち、目標室温と検出室温との差の絶対値が最も大きい部屋が2つ以上ある場合には、あらかじめ定められた優先順位に従って供給先候補部屋が仮決定される。
【0033】
そして、上記のように仮決定した供給先候補部屋の目標室温が検出室温よりも高い場合には、現在の不在部屋の中から(但し、バス・トイレ室5は除く)、供給先候補部屋の検出室温よりも所定値以上(例えば2℃以上)、検出室温が高いという条件(以下、第1条件という)を満たし、且つ該第1条件を満たす不在部屋の中で最も検出室温が高いという条件(以下、第2条件という)を満たす不在部屋を室内空気の供給元の不在部屋として決定する。また、該供給先候補部屋の目標室温が検出室温よりも低い場合には、現在の不在部屋の中から(但し、バス・トイレ室5は除く)、供給先候補部屋の検出室温よりも所定値以上(例えば2℃以上)、検出室温が低いという条件(以下、第3条件という)を満たし、且つ該第3条件を満たす不在部屋の中で最も検出室温が低いという条件(以下、第4条件という)を満たす不在部屋を室内空気の供給元の不在部屋として決定する。
【0034】
なお、仮決定した供給先候補部屋に対して、該供給先候補部屋の目標室温が検出室温よりも高い場合における上記第1及び第2条件、あるいは、該供給先候補部屋の目標室温が検出室温よりも低い場合における上記第3条件及び第4条件を満たす不在部屋が2つ以上ある場合には、あらかじめ定められた優先順位に従って、1つの供給元の不在部屋が決定される。また、仮決定した供給先候補部屋に対して、上記第1条件または第3条件を満たす不在部屋が1つである場合には、上記第2条件または第4条件に関係なく、その1つの不在部屋が供給元の不在部屋として決定される。
【0035】
さらに、仮決定した供給先候補部屋に対して、上記第1条件または第3条件を満たす不在部屋が存在しない場合もある。このような場合には、コントローラ23は、先に仮決定した供給先候補部屋の次に、目標室温と検出室温との差の絶対値が大きい在室部屋を改めて供給先候補部屋として仮決定し、上記と同じように、その仮決定した供給先候補部屋に対して、前記第1及び第2条件、または第3及び第4条件を満たす供給元の不在部屋を決定する。そして、このようにして、在室部屋の中から、供給先候補部屋を順番に仮決定していき、最終的に、どの在室部屋に対しても、上記第1条件または第3条件を満たす不在部屋が存在しないときには、供給元とし得る不在部屋は無しとする。
【0036】
より具体的な例を以下に説明する。例えば不在部屋が和室2とバス・トイレ室5、在室部屋が洋室3と脱衣室4であるとし、在室部屋である洋室3の目標室温と検出室温との差の絶対値は、脱衣室4の目標室温と検出室温との差の絶対値よりも小さいものとする。また、脱衣室4の目標室温は該脱衣室4の検出室温よりも高く、洋室3の目標室温は該洋室3の検出室温よりも低いものとする。この場合、脱衣室4に対して前記第1及び第2条件を満たす不在部屋、あるいは、洋室3に対して前記第3及び第4条件を満たす不在部屋が次のように供給元の不在部屋として決定される。
【0037】
すなわち、まず、在室部屋のうち、脱衣室4が第1番目の供給先候補部屋として仮決定される。そして、和室2の検出室温が脱衣室4の検出室温(<脱衣室4の目標室温)よりも所定値以上、高ければ、和室2が脱衣室4に対して前記第1条件及び第2条件を満たすため、該和室2が供給元の不在部屋として決定される。また、和室2の検出室温が脱衣室4の検出室温よりも所定値以上高い温度でない場合には、供給先候補部屋として仮決定された脱衣室4に対して前記第1条件及び第2条件を満たす不在部屋(バス・トイレ室5を除く)は存在しない。この場合には、次に洋室3が第2番目の供給先候補部屋として仮決定される。そして、和室2の検出室温が洋室3の検出室温(>洋室3の目標室温)よりも所定値以上、低ければ、洋室3に対して和室2が前記第3条件及び第4条件を満たすため、該和室2が供給元の不在部屋として決定される。また、和室2の検出室温が洋室3の検出室温よりも所定値以上、低い温度でない場合には、供給先候補部屋として2番目に仮決定された洋室3に対して前記第3条件及び第4条件を満たす不在部屋(バス・トイレ室5を除く)は存在しない。結果的には、いずれの在室部屋(洋室3及び脱衣室4)に対しても、第1条件及び第2条件、あるいは第3条件及び第4条件を満たす不在部屋は存在しない。従って、この場合には、供給元とし得る不在部屋は無しとされる。
【0038】
次いで、コントローラ23は、上記のSTEP6の処理によって供給元の不在部屋として決定した不在部屋が有るか無いかを判断し(STEP7)、供給元とし得る不在部屋が無かった場合には、前記STEP3、4の処理を経てSTEP1の処理に戻る。
【0039】
また、供給元の不在部屋として決定した不在部屋が有る場合には、コントローラ23は、現在の在室部屋の中から、供給元の不在部屋の室内空気を実際に供給する在室部屋を決定する(STEP8)。この場合、例えば前記STEP6の処理で最終的に供給先候補部屋として仮決定された在室部屋が実際に供給先とする在室部屋として決定される。
【0040】
上記のようにして室内空気の供給元の不在部屋と供給先の在室部屋とを決定した後、コントローラ23は、供給元の不在部屋の給排気装置の吸引運転を行わせ、且つ、供給先の在室部屋の給排気装置の給気運転を行なわせる(STEP9)。これにより、供給元の不在部屋の室内空気が、前記ダクト21を通って供給先の在室部屋に移動する。例えば、決定した供給元、供給先の部屋がそれぞれ和室2、洋室3である場合には、コントローラ23は、和室2の給排気装置22aの吸引運転を行なわせて、和室2の室内空気をダクト21内に吸引させる。同時に、コントローラ23は、洋室3の給排気装置22bの給気運転を行なわせて、和室2の給排気装置22aによりダクト20内に取り込まれた和室2の室内空気を洋室3に給気させる。これにより和室2の室内空気が洋室23に移動する。
【0041】
以後は、コントローラ23は、STEP1からの処理を繰り返す。
【0042】
以上説明した本実施形態によれば、室内空気の供給先として決定した在室部屋の目標室温が検出室温よりも高い場合には、その在室部屋の検出室温よりも所定値(例えば2℃)以上、高い検出室温を有する不在部屋が存在すれば、その不在部屋を供給元として、その不在部屋の暖かい(供給先の在室部屋よりも暖かい)室内空気が供給先の在室部屋に供給される。これにより、供給先の在室部屋の室温を上昇させ、目標室温に近づけることができる。また、室内空気の供給先として決定した在室部屋の目標室温が検出室温よりも低い場合には、その在室部屋の検出室温よりも所定値(例えば2℃)以上、低い検出室温を有する不在部屋が存在する場合には、その不在部屋を供給元として、その不在部屋の冷えた(供給先の在室部屋よりも冷たい)室内空気が供給先の在室部屋に供給される。これにより、供給先の在室部屋の室温を下げ、目標室温に近づけることができる。
【0043】
従って、本実施形態によれば、不在部屋の熱エネルギー(暖気あるいは冷気)を無駄に消失させることなく、人が居る在室部屋の室温環境を快適なものとするために、有効に活用される。
【0044】
なお、前記実施形態では、ダクト21を用いて各部屋相互間で室内空気を移動させる例を示したが、例えば、複数の部屋が一つの廊下に臨んで配置されているような家屋においては、各部屋と廊下との間の仕切り壁やドア等に、双方向の空気移動が可能な送風装置(例えば正逆両方向に回転可能なファン)を備えておき、供給元の部屋と供給先の部屋との間で廊下を介して室内空気を移動させるようにしてもよい。この場合には、供給元の部屋の送風装置を該部屋から廊下に向かって送風するように作動させると同時に、供給先の部屋の送風装置を廊下から該部屋に向かって送風するように作動させることで、供給元の部屋から供給先の部屋への室内空気の移動を行うことができる。
【0045】
また、例えば2つの隣接する部屋間でのみ、室内空気を移動させるようにする場合には、それらの2つの部屋間の仕切り壁やドア等に、双方向の空気移動が可能な送風装置を備えておき、その送風装置により両部屋間の室内空気の移動を行うようにしてもよい。
【0047】
また、図4のSTEP8で供給先の在室部屋を決定する際にあっては、在室部屋が2つ以上ある場合には、STEP6の処理で最終的に供給先候補部屋として仮決定された在室部屋だけでなく、さらに、目標室温よりも低い検出室温を有し、且つその検出室温が供給元の不在部屋の検出室温よりも低い他の在室部屋、あるいは、目標室温よりも高い検出室温を有し、且つその検出室温が不在部屋の検出室温よりも高い他の在室部屋をも供給先の在室部屋として加えてもよい。
【0048】
いずれにせよ、供給元の不在部屋と供給先の在室部屋とを決定する場合においては、基本的には、目標室温が検出室温よりも高い在室部屋と、この在室部屋の検出室温よりも高い(好ましくは所定値以上、高い)検出室温を有する不在部屋との組、あるいは、目標室温が検出室温よりも低い在室部屋と、この在室部屋の検出室温よりも低い(好ましくは所定値以上、低い)検出室温を有する不在部屋との組を、供給元の不在部屋及び供給先の在室部屋の組として決定するようにすればよい。そして、上記のように組合わせ得る不在部屋と在室部屋の組が存在しないときには、供給元とし得る不在部屋を無しとすればよい。この場合、供給先とする在室部屋の中には、前記実施形態の如く、目標室温と検出室温との差の絶対値がより大きなものとなっているような在室部屋が優先的に含まれることが好ましい。これは、そのような在室部屋は、室温を目標室温により近づける必要性が高いからである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のシステムを備えた家屋の内部構成を概略的に示す平面図。
【図2】実施形態のシステムに備えた操作器の要部構成を示す図。
【図3】実施形態のシステムに備えたコントローラと各種機器との関係を表すブロック図。
【図4】図3のコントローラの制御処理を示すフローチャート。
【符号の説明】
1…家屋、2,3,4,5…部屋、20a〜20d…室温センサ(室温検出手段)、21…ダクト(空気流通路、空気移動手段)、22a〜22d…給排気装置(空気移動手段)、23…コントローラ(在室不在判断手段、制御手段)、24…操作器(室温設定手段)。
Claims (1)
- 屋内の4以上の複数の部屋を互いに連通させる空気流通路を介して該複数の部屋間で相互に室内空気を移動可能に設けられた空気移動手段と、前記複数の部屋のそれぞれにおける人の在室および不在を判断する在室不在判断手段と、前記複数の部屋のそれぞれの室温を検出する室温検出手段と、前記複数の部屋のそれぞれの目標室温を所定の操作により設定する室温設定手段と、前記在室不在判断手段の判断結果から前記複数の部屋に在室部屋と不在部屋とが存在することが把握された場合において、不在部屋から在室部屋に室内空気を移動させるように前記空気移動手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記在室部屋と不在部屋とがそれぞれ複数存在する場合において、該在室部屋のうち、目標室温と検出室温との差の絶対値が最も大きい部屋を前記室内空気の供給先の在室部屋として決定すると共に、該供給先の在室部屋の目標室温が該在室部屋の検出室温よりも高いときには、該在室部屋の検出室温よりも検出室温が高い不在部屋のうち、最も検出室温が高い不在部屋を前記室内空気の供給元として決定し、該供給先の在室部屋の目標室温が該在室部屋の検出室温よりも低いときには、該在室部屋の検出室温よりも検出室温が低い不在部屋のうち、最も検出室温が低い不在部屋を前記室内空気の供給元として決定し、前記決定した供給元の不在部屋から前記決定した供給先の在室部屋に室内空気を移動させるように前記空気移動手段を制御することを特徴とする屋内の空気流通システム。
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