以下、本発明をその一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」と示す)に具体化した一実施形態を図1〜図8に基づき説明する。
図1には、パチンコ機10の機表側が略示されており、機体の外郭をなす外枠11の開口前面側には、各種の遊技用構成部材をセットする縦長方形の中枠12が開閉及び着脱自在に組み付けられている。中枠12の前面側には、機内部に配置された遊技盤13を透視保護するためのガラス枠を備えた前枠14と上球皿15が共に横開き状態で開閉可能に組み付けられている。前枠14の前面側には、各種遊技の状態(大当り状態など)に応じて点灯(点滅)又は消灯し、発光装飾に基づく遊技演出(発光演出)を行う枠ランプ(発光表示装置)16aが設けられている。また、遊技盤13の遊技領域13aには、各種遊技の状態(大当り状態など)に応じて点灯(点滅)又は消灯し、発光装飾に基づく遊技演出(発光演出)を行う遊技盤ランプ(発光表示装置)16bが設けられている。尚、枠ランプ16a及び遊技盤ランプ16bは、複数の発光ダイオードにて構成されている。また、外枠11の下部(パチンコ機10の下部)には、前記遊技の状態に応じて各種音声を出力し、音声出力に基づく遊技演出(音声演出)を行うスピーカ17が配置されている。中枠12の下部には、下球皿18及び発射装置19が装着されている。
また、遊技盤13の遊技領域13aの略中央には、入賞装置20が配設されている。入賞装置20の下方には、始動入賞口21,22,23が配設されている。前記各始動入賞口21〜23の奥方には、入賞した遊技球を検知する始動入賞スイッチSW1,SW2,SW3(図5に示す)が設けられている。そして、前記各始動入賞口21〜23は、入賞した遊技球の検知を契機に入賞装置20を開放する補助遊技の始動条件を付与し得る。
次に、入賞装置20の構成について図2に従って説明する。
前記入賞装置20は、当該入賞装置20を遊技盤13に取り付けるための取付基板24を備えている。取付基板24には、入賞装置20の入賞空間25を形成する筺体26が取着されている。筺体26には、上球受板27、中球受板28及び下球受板29が設けられている。また、筺体26には、入賞装置20内に配設された各種の可動装置の駆動源となる各種のアクチュレータ(ソレノイドSOL1)が装着されている。
上球受板27の左右両側には、左右一対の開閉羽根30,31が取り付けられている。開閉羽根30,31は、ソレノイドSOL1により開閉動作(開動作及び閉動作)するようになっている。開閉羽根30,31の開動作は、閉状態(図2に二点鎖線で示す)から開状態(図2に実線で示す)を取り得る動作であり、この開動作により入賞装置20は開放され、遊技盤13に発射された遊技球が入賞装置20に流入可能な状態となる。また、開閉羽根30,31の閉動作は、開状態から閉状態を取り得る動作であり、この閉動作により入賞装置20は閉鎖され、遊技球が入賞装置20に流入することが不可能な状態となる。従って、開閉羽根30,31は、閉状態→開状態→閉状態を取り得るように動作すると、1回の開閉動作を行ったことになる。また、上球受板27には、入賞装置20に流入した遊技球を検知するカウントスイッチSW4,SW5が設けられている。このカウントスイッチSW4,SW5で遊技球が検知されると、入賞装置20に流入した遊技球の個数がカウントされると共に、所定個数(例えば10個)の賞球が払い出されるようになっている。
また、上球受板27の上方には、所定の遊技演出(発光演出)を行う表示装置(発光表示装置)32が設けられている。この表示装置32は、複数個の発光ダイオードLED1〜LED20を横5列、縦4列のマトリクス状(格子状)に配列することで構成されている(図4参照)。また、表示装置32の左右両側には、入賞装置20に流入した遊技球の個数を報知するカウントランプ(発光表示装置)33が配置されている(図3参照)。カウントランプ33は、複数個(本実施形態では、10個)の発光ダイオードLED31〜LED40を左右対称に配置することで構成されている。
また、中球受板28は、カウントスイッチSW4,SW5で通過検知されて落下した遊技球を受け入れ、当該遊技球を入賞装置20の後方に向かって案内するようになっている。また、下球受板29は、中球受板28で案内された遊技球を受け入れ、当該遊技球を入賞装置20の前方に向かって案内するようになっている。下球受板29の前方には、特別入賞口40と、普通入賞口41とが設けられている。特別入賞口40は、普通入賞口41の略中央に配置され、入賞した遊技球を入賞装置20の後方に案内し得るように通路状をなす案内部材40aに設けられている。そして、案内部材40aの奥方には、入賞した遊技球を検知する特別入賞口スイッチSW6が設けられている(図5に示す)。
このように構成されたパチンコ機10では、始動入賞口21〜23への遊技球の入賞を契機に、開閉羽根30,31が所定回数だけ開閉動作し、入賞装置20を開放する補助遊技が生起されるようになっている。補助遊技では、入賞装置20を開放し、当該入賞装置20に遊技球を流入し易くして特別遊技(大当り)を生起させるチャンスを遊技者に付与するようになっている。本実施形態では、始動入賞口21,22に遊技球が入賞すると、開閉羽根30,31を第1の開パターン(1回の開閉動作)に基づいて開閉動作させるようになっている。また、始動入賞口23に遊技球が入賞すると、開閉羽根30,31を前記第1の開パターンよりも有利な第2の開パターン(間欠的に2回の開閉動作)に基づいて開閉動作させるようになっている。
そして、補助遊技中に入賞装置20に流入した遊技球が特別入賞口40に入賞して検知されると、大当りが生起されるようになっている。大当りは、所定回数(例えば15回)のサイクル遊技(ラウンド遊技)からなり、多数の賞球を獲得できるチャンスを遊技者に付与するようになっている。サイクル遊技では、前記第1,第2の開パターンよりも有利な第3の開パターンに基づいて、開閉羽根30,31が所定回数(例えば18回)開閉動作するまでの間又は遊技球が入賞装置20に所定個数(例えば10個)流入するまでの間、開閉羽根30,31が繰り返し開閉動作するようになっている。
また、表示装置32では、様々な表示演出が行われるようになっている。具体的には、前記補助遊技中に特別入賞口40へ遊技球が入賞し、大当りが生起され、サイクル遊技が始まると、サイクル演出が行われる。サイクル演出では、現在のサイクル遊技の回数(何回目のサイクル遊技か)を表示装置32に表示して報知する演出が行われるようになっている。また、カウントランプ33は、1回のサイクル遊技において、カウントスイッチSW4,SW5で通過検知した遊技球の個数に対応した数だけ発光ダイオードLED31〜LED40を発光(点灯)することで、入賞装置20に流入した遊技球の個数を報知するようになっている。
以下、本実施形態におけるパチンコ機10の制御構成を図5に従って詳述する。
パチンコ機10の機裏側には、遊技機全体を制御する主制御基板50が装着されている。主制御基板50は、遊技機全体を制御するための各種処理を実行し、該処理結果に応じて各種の制御コマンドを所定の制御信号として出力する。また、機裏側には、表示装置32、枠ランプ16a、遊技盤ランプ16b、カウントランプ33を制御する表示ランプ制御基板52、及びスピーカ17を制御する音声制御基板53が装着されている。前記各制御基板52,53は、主制御基板50が出力した各種の制御信号を入力し、該制御信号に基づいて所定の制御を実行する。
次に、主制御基板50の構成について説明する。主制御基板50は、メインCPU(主制御手段)50aを備えており、該メインCPU50aにはROM50b及びRAM50cが接続されている。ROM50bには、パチンコ機10を制御するための各種制御プログラムが記憶されている。RAM50cには、パチンコ機10の動作中に適宜書き換えられる各種情報が記憶(設定)されるようになっている。また、主制御基板50(メインCPU50a)には、前記各スイッチSW1〜SW6、ソレノイドSOL1が接続されている。そして、メインCPU50aは、前記各スイッチSW1〜SW6からの検知信号を入力し、補助遊技及び特別遊技(各サイクル遊技)を制御する。例えば、サイクル遊技中に、カウントスイッチSW4,SW5からの検知信号を入力したとき、メインCPU50aは、カウントランプ33を発光制御させてカウント演出を行わせるための制御信号を表示ランプ制御基板52(サブCPU52a)に出力するようになっている。また、メインCPU50aは、始動入賞スイッチSW1〜SW3からの検知信号を入力したとき、開閉羽根30,31が所定の開閉動作を取り得るようにソレノイドSOL1を制御するようになっている。
次に、表示ランプ制御基板52の構成について説明する。表示ランプ制御基板52は、サブCPU(演出制御手段)52aを備えており、該サブCPU52aには、ROM52b及びRAM52cが接続されている。ROM52bには、メインCPU50aから出力された制御信号に対応した演出を行うための制御データ等が記憶されている。該制御データは、サブCPU52aが枠ランプ16a、遊技盤ランプ16b、表示装置32、カウントランプ33の発光態様を制御するための情報であり、サブCPU52aは、メインCPU50aから制御信号を入力すると、該制御信号に対応づけられた演出を行うための制御データに基づき発光制御を行う。また、RAM52cには、パチンコ機10の動作中に適宜書き換えられる各種情報が記憶(設定)されるようになっている。また、サブCPU52aには、ダイナミック駆動方式(ダイナミック点灯方式)にて、枠ランプ16a、遊技盤ランプ16b、表示装置32、カウントランプ33を構成する発光ダイオードを発光させる駆動回路55が接続されている。そして、サブCPU52aは、該駆動回路55に対して所定のタイミングで各種信号(コモン信号、セグメント信号、放電信号)を出力することで枠ランプ16a、遊技盤ランプ16b、表示装置32、カウントランプ33を発光制御するようになっている。
ここで、駆動回路55の構成について説明する。尚、本実施形態では、枠ランプ16a、遊技盤ランプ16b及びカウントランプ33と表示装置32との相違点は、パチンコ機10における発光ダイオードの配列だけである。従って、以下の説明では、表示装置32の発光態様を制御するための駆動回路55の構成だけを説明する。即ち、枠ランプ16a、遊技盤ランプ16b及びカウントランプ33の発光態様を制御するための駆動回路55の構成、例えば、枠ランプ16a、遊技盤ランプ16b及びカウントランプ33を構成する発光ダイオードに接続されるセグメントドライバ等の構成は省略する。また、図6は、表示装置32の発光態様を制御するための駆動回路55の構成を示すブロック図である。
駆動回路55は、コモンドライバ56と、放電回路57と、セグメントドライバ58から構成されており、該駆動回路55には、表示装置32を構成する発光ダイオードLED1〜LED20が接続されている。尚、発光ダイオードLED1〜LED20は、図4に示すように、縦4列、横5列のマトリクス状に配列されることにより、表示装置32を構成している。
次に、表示装置32の発光態様を制御するための駆動回路55の回路構成を図7の回路図に従って説明する。
コモンドライバ56は、複数(本実施形態では、4つ)のpnp型トランジスタTR1〜TR4から構成される。pnp型トランジスタTR1〜TR4のエミッタ側は電源VBの正極性端子に接続されていると共に、ベース側は、サブCPU52aが接続され、コモン信号COM1〜COM4が入力されるようになっている。pnp型トランジスタTR1〜TR4のコレクタ側には、走査線としてのコモンラインCL1〜CL4がそれぞれ接続されている。従って、pnp型トランジスタTR1〜TR4は、コモン信号COM1〜COM4を入力する(コモン信号COM1〜COM4がHレベル(ハイレベル、以下同じ)になる)と、オフからオンに切り替わり、コレクタ側に接続された各コモンラインCL1〜CL4に電源VBの電源電圧Vb(本実施形態では、12V)を印加するようになっている。
また、コモンラインCL1〜CL4には、表示装置32を構成する発光ダイオードLED1〜LED20が接続されている。即ち、各コモンラインCL1〜CL4には複数(本実施形態では、各5つずつ)の発光ダイオードLED1〜LED20のアノード側が接続されている。より詳しくは、コモンラインCL1には、発光ダイオードLED1〜LED5のアノード側が接続されている。コモンラインCL2には、発光ダイオードLED6〜LED10のアノード側が接続されている。コモンラインCL3には、発光ダイオードLED11〜LED15のアノード側が接続されている。コモンラインCL4には、発光ダイオードLED16〜LED20のアノード側が接続されている。
また、表示装置32を構成する発光ダイオードLED1〜LED20のカソード側は、信号線としての信号ラインSL1〜SL5に接続されている。詳しくは、発光ダイオードLED1,LED6,LED11,LED16のカソード側は、信号ラインSL1に接続されている。また、発光ダイオードLED2,LED7,LED12,LED17のカソード側は、信号ラインSL2に接続されている。発光ダイオードLED3,LED8,LED13,LED18のカソード側は、信号ラインSL3に接続されている。発光ダイオードLED4,LED9,LED14,LED19のカソード側は、信号ラインSL4に接続されている。発光ダイオードLED5,LED10,LED15,LED20のカソード側は、信号ラインSL5に接続されている。
次に、コモンラインCL1〜CL4に接続される放電回路57について説明する。放電回路57は、複数(本実施形態では、4つ)のnpn型トランジスタTR5〜TR8及び複数の(本実施形態では、4つ)抵抗R1〜R4から構成される。
npn型トランジスタTR5のコレクタ側は、抵抗R1を介してコモンドライバ56に接続されたコモンラインCL1に接続されている。また、npn型トランジスタTR5のエミッタ側は基準電圧端子としてのグランド端子に接続されていると共に、ベース側はサブCPU52aが接続され、放電信号が入力されるようになっている。尚、グランド端子は、所定の基準電位(本実施形態では、0V(ゼロボルト))を与えるようになっている。同様に、npn型トランジスタTR6〜TR8のコレクタ側は、それぞれ抵抗R2〜R4を介してコモンラインCL2〜CL4に接続されている。また、npn型トランジスタTR6〜TR8のエミッタ側はそれぞれグランド端子に接続されていると共に、ベース側はサブCPU52aがそれぞれ接続され、放電信号が入力されるようになっている。従って、npn型トランジスタTR5〜TR8は、放電信号を入力する(放電信号がHレベルになる)と、オフからオンに切り替わり、コレクタ側に接続されたコモンラインCL1〜CL4をグランド端子に接地することとなる。
次に、信号ラインSL1〜SL5に接続されるセグメントドライバ58について説明する。セグメントドライバ58は、npn型トランジスタTR11〜TR15及び抵抗R11〜15から構成される。
npn型トランジスタTR11のコレクタ側は、抵抗R11を介して、表示装置32に接続された信号ラインSL1に接続されている。また、該npn型トランジスタTR11のエミッタ側はグランド端子に接続されていると共に、ベース側はサブCPU52aが接続され、セグメント信号SEG1が入力されるようになっている。同様に、npn型トランジスタTR12〜TR15のコレクタ側は、それぞれ抵抗R12〜R15を介して信号ラインSL2〜SL5に接続されている。また、npn型トランジスタTR12〜TR15のエミッタ側はグランド端子に接続されており、ベース側はサブCPU52aが接続され、セグメント信号SEG2〜SEG5がそれぞれ入力されるようになっている。従って、npn型トランジスタTR11〜TR15は、セグメント信号SEG1〜SEG5を入力する(セグメント信号SEG1〜SEG5がHレベルになる)と、オフからオンに切り替わり、コレクタ側に接続された信号ラインSL1〜SL5をグランド端子に接地することとなる。
従って、コモンラインCL1〜CL4は、電源電圧が供給される走査線となり、信号ラインSL1〜SL4は、グランド端子に接地される信号線となる。また、pnp型トランジスタTR1〜TR4は、コモン信号COM1〜COM4の入力によりオン・オフが切り替わるスイッチング素子(第1スイッチング素子)となり、npn型トランジスタTR11〜TR15は、セグメント信号SEG1〜SEG4の入力によりオン・オフが切り替わるスイッチング素子(第2スイッチング素子)となる。また、npn型トランジスタTR5〜TR8は、放電信号が入力されることにより、走査線をグランド端子に接地するように切り替えて走査線の電荷を放電するスイッチング素子(第3スイッチング素子)となる。そして、発光ダイオードLED1〜LED20は、前記走査線と前記信号線との間に生じる電位差により発光する発光素子となる。また、コモン信号COM1〜COM4は、pnp型トランジスタTR1〜TR4に入力されるので、第1信号となり、セグメント信号SEG1〜SEG5は、npn型トランジスタTR11〜TR15に入力されるので、第2信号となる。さらに、放電信号は、npn型トランジスタTR5〜TR8に入力されるので、第3信号となる。
次に、駆動回路55の動作について説明する。
メインCPU50aから制御信号を入力したサブCPU52aは、ROM52bから該制御信号に対応する演出を行うための制御データを読み出し、該制御データに基づき、駆動回路55に各種信号を順番に出力する。
より詳しくは、サブCPU52aは、メインCPU50aから制御信号を入力すると、ROM52bから該制御信号に対応する演出を行うための制御データを読み出す。そして、該制御データに基づき、サブCPU52aは、pnp型トランジスタTR1〜TR4にコモン信号COM1〜COM4を一方向に順次択一的に一定期間(水平走査期間)ずつ入力(コモン信号COM1〜COM4をHレベルに)するようになっている。従って、コモンラインCL1〜CL4には、一方向に順次択一的に一定期間ずつ電源電圧Vbが印加される。尚、サブCPU52aは、コモン信号COM1〜COM4をHレベルにする前に放電信号をHレベルにして、npn型トランジスタTR5〜TR8をオフからオンに切り替えて、コモンラインCL1〜CL4をグランド端子に接地し、コモンラインCL1〜CL4の電荷を放電するようになっている。そして、各水平走査期間内に、サブCPU52aは、前記制御データに基づきセグメント信号SEG1〜SEG4をHレベルにする。これにより、電源電圧Vbが印加されているコモンラインCL1〜CL4の発光ダイオードLED1〜LED20であって、セグメント信号SEG1〜SEG4がHレベルにされたnpn型トランジスタTR11〜TR15に信号ラインSL1〜SL4を介して接続している発光ダイオードLED1〜LED20が発光する。つまり、サブCPU52aは、所望の発光ダイオードLED1〜LED20を発光させる。
この駆動回路55の動作をより具体的に説明する。以下では、メインCPU50aが表示装置32に数字の「1」を発光表示させると決定し、サブCPU52aが表示装置32に「1」を発光表示させる場合(発光ダイオードLED3,LED7,LED8,LED13,LED17,LED18,LED19を発光させる場合)の駆動回路55の動作について図4及び図8に従って説明する。尚、図4では、表示装置32に「1」を発光表示させる場合に発光させる発光ダイオードLED3,LED7,LED8,LED13,LED17,LED18,LED19に斜線を付している。また、図8は、発光ダイオードLED3,LED7,LED8,LED13,LED17,LED18,LED19を発光させる場合における各種信号の入力タイミングを示すタイミングチャートである。
サブCPU52aは、まず、放電信号を立ち上げてHレベルにする(時刻A)。このとき、npn型トランジスタTR5〜TR8はオフからオンに切り替わり、コモンラインCL1〜CL4がnpn型トランジスタTR5〜TR8を介してグランド端子に接地されるので、コモンラインCL1〜CL4に正電荷が蓄積されていた場合は放電される。その後、サブCPU52aは、コモン信号COM1を立ち上げてHレベルにする(時刻B)。そして、コモン信号COM1がHレベルになった後、サブCPU52aは、放電信号を立ち下げてLレベル(ローレベル、以下同じ)にする(時刻C)。このときに発光ダイオードLED1〜LED5に電源電圧Vbが印加されることとなる。尚、放電信号がHレベルのときに、コモン信号COM1を立ち上げてHレベルにし、その後、放電信号をLレベルにするのは、pnp型トランジスタTR1のスイッチング特性を良くし、電源電圧Vbを瞬時に発光ダイオードLED1〜LED5に印加するためである。即ち、電源電圧Vbの立ち上がりが良くなるからである。
そして、サブCPU52aは、コモン信号COM1をHレベルにし、放電信号をLレベルにした後、セグメント信号SEG3を立ち上げてHレベルにする(時刻D)。尚、サブCPU52aが、コモン信号COM1をHレベルにした後、セグメント信号SEG3を立ち上げてHレベルにするのは、発光ダイオードLED1〜LED20に逆電流が流れるのを防止するためである。コモン信号COM1及びセグメント信号SEG3をHレベルにしたとき、pnp型トランジスタTR1及びnpn型トランジスタTR13がオフからオンに切り替わる。すると、電源電圧VbがコモンラインCL1に印加され、コモンラインCL1と信号ラインSL3との間の電位差が電源VBから印加される電源電圧Vb(12V)と同じになる(つまり、発光ダイオードLED3に電源電圧Vbが印加される)。従って、発光ダイオードLED3に電源電圧Vb(12V)が印加されることにより電流が流れ、発光ダイオードLED3が発光する。尚、発光ダイオードは、アノード側とカソード側の電位差が所定の閾値以上のときに電流が流れるようになっており、本実施形態の発光ダイオードLED1〜LED20の閾値は、同じ製品であっても個体によって差があるが、およそ1.8V〜2.2Vである。
このとき、発光ダイオードLED1,LED2,LED4,LED5のアノード側(コモンラインCL1)は、電源電圧Vbが給電される一方で、カソード側(信号ラインSL1,SL2,SL4,SL5)は、グランド端子に接地されておらず、フローティング状態に置かれている。このため、コモンラインCL1と信号ラインSL1,SL2,SL4,SL5との間の電位差により、発光ダイオードLED1,LED2,LED4,LED5は等価的にコンデンサとなる。即ち、発光ダイオードLED1,LED2,LED4,LED5のカソード側に信号ラインSL1,SL2,SL4,SL5上の負電荷が集まり、その電荷量の分だけ充電される。
前記発光ダイオードLED3が発光してから所定時間経過後、サブCPU52aは、コモン信号COM1を立ち下げてLレベルにする(時刻E)。つまり、pnp型トランジスタTR1をオンからオフに切り替える。このとき、電源電圧Vbが印加されなくなるので、コモンラインCL1と信号ラインSL3との間の電位差が小さくなり、発光ダイオードLED3に印加される電圧が発光ダイオードLED1〜LED20の閾値以下となる。つまり、発光ダイオードLED3に電流が流れなくなり、発光ダイオードLED3が消灯する。次に、サブCPU52aは、セグメント信号SEG3を立ち下げてLレベルにする(時刻F)。つまり、npn型トランジスタTR13をオンからオフに切り替える。そして、npn型トランジスタTR13をオフにした後、サブCPU52aは、放電信号を立ち上げてHレベルにする(時刻G)。即ち、サブCPU52aは、コモン信号COM1とセグメント信号SEG3を両方Lレベルにし、pnp型トランジスタTR1〜TR4及びnpn型トランジスタTR11〜TR15を全てオフにした状態で、放電信号をLレベルからHレベルにする。このとき、npn型トランジスタTR5〜TR8はオフからオンに切り替わり、コモンラインCL1〜CL4が、npn型トランジスタTR5〜TR8を介してグランド端子に接地されるので、コモンラインCL1に蓄積されていた正電荷が放電される。即ち、カソード側に集まっていた負電荷により等価的にコンデンサとなっていた発光ダイオードLED1,LED2,LED4,LED5のアノード側に蓄積されていた正電荷が、npn型トランジスタTR5を介してグランド端子に流れ込み、放電する。尚、サブCPU52aが、セグメント信号SEG3をLレベルにした後、放電信号を立ち上げてHレベルにするのは、確実にコモンラインCL1に蓄積された電荷を放電するためと、発光ダイオードLED1〜LED20に逆電流が流れるのを防ぐためである。また、サブCPU52aが、コモン信号COM1とセグメント信号SEG3の両方をLレベルにした後、放電信号を立ち上げてHレベルにするのは、上記の理由に加え、コモンラインCL1に印加される電源VBの電流消費を抑えるためである。
因みに、npn型トランジスタTR5〜TR8をオンにしたとき、npn型トランジスタTR5〜TR8のコレクタ側からエミッタ側に電流を流すためには、npn型トランジスタTR5〜TR8の特性によりコレクタ側とエミッタ側との間に約0.6V(これも個体により差が存在する。実験値では0.56〜0.66V)以上の電位差が必要である。このため、発光ダイオードLED1,LED2,LED4,LED5のアノード側(コモンラインCL1上)に最大で0.66Vの電位が残る場合がある。従って、npn型トランジスタTR11〜TR15をオフからオンにし、発光ダイオードLED1,LED2,LED4,LED5のカソード側(信号ラインSL11,SL12,SL14,SL15)を接地したときに、放電しきれなかった電荷により、発光ダイオードLED1,LED2,LED4,LED5に最大で0.66Vの電圧が印加される。しかし、発光ダイオードLED1〜LED20に電流を流すには最低でも閾値(1.8〜2.2V)以上の電圧を印加しなくてはならないため、放電後は、発光ダイオードLED1,LED2,LED4,LED5に電流が流れることが無い。つまり、npn型トランジスタTR5〜TR8は、発光ダイオードLED1〜LED20に電流が流れるために必要な電位差(1.8〜2.2V)よりも少ない電位差(0.56〜0.66V)で電流が流れる特性を有するため、放電後は、コモンラインCL1〜CL4に発光ダイオードLED1〜LED20を発光させるほど電荷が残っていない。従って、放電後は確実に発光ダイオードLED1〜LED20の誤点灯が無くなる。
続いて、サブCPU52aは、コモン信号COM2を立ち上げHレベルにし(時刻H)、その後、放電信号を立ち下げLレベルにする(時刻I)。そして、サブCPU52aは、セグメント信号SEG2,SEG3を立ち上げてHレベルにする(時刻J)。そのため、pnp型トランジスタTR2及びnpn型トランジスタTR12,TR13がオフからオンとなり、コモンラインCL2と信号ラインSL2,SL3との間に電位差が発生し、発光ダイオードLED7,LED8に電源電圧Vbが印加される。即ち、発光ダイオードLED7,LED8に電流が流れ、発光ダイオードLED7,LED8が発光する。このとき、時刻Gから時刻Iの間で放電回路57によってコモンラインCL1〜CL4の電荷が放電されているので、信号ラインSL2が接地されても発光ダイオードLED2は発光しない。尚、コモン信号COM2及びセグメント信号SEG2,SEG3がHレベルになると、発光ダイオードLED6,LED9,LED10のカソード側に負電荷が集まり、発光ダイオードLED6,LED9,LED10は等価的にコンデンサとなる。
その後、サブCPU52aは、コモン信号COM2を立ち下げてLレベルにする(時刻K)。このとき、pnp型トランジスタTR2はオンからオフとなり、コモンラインCL2と信号ラインSL2,SL3との間の電位差が発光ダイオードLED1〜LED20の閾値以下になり、発光ダイオードLED7,LED8に電流が流れなくなる。従って、発光ダイオードLED7,LED8が消灯する。次に、サブCPU52aは、信号ラインSL2,SL3を立ち下げてLレベルにする(時刻L)。つまり、npn型トランジスタTR12,TR13をオンからオフに切り替える。そして、コモン信号COM2とセグメント信号SEG2,SEG3を全てLレベルにした後、サブCPU52aは、放電信号を立ち上げてHレベルにし、カソード側に集まっていた負電荷により等価的にコンデンサとなっていた発光ダイオードLED6,LED9,LED10のアノード側の正電荷を放電する(時刻M)。
続いて、サブCPU52aは、コモン信号COM3を立ち上げHレベルにし(時刻N)、その後、放電信号を立ち下げLレベルにする(時刻O)。そして、サブCPU52aは、セグメント信号SEG3を立ち上げてHレベルにする(時刻P)。そのため、pnp型トランジスタTR3及びnpn型トランジスタTR13がオフからオンとなり、コモンラインCL3と信号ラインSL3との間に電位差が発生し、発光ダイオードLED13に電源電圧Vbが印加される。即ち、発光ダイオードLED13に電流が流れ、発光ダイオードLED13が発光する。尚、コモン信号COM3及びセグメント信号SEG3がHレベルになると、発光ダイオードLED11,LED12,LED14,LED15のカソード側に負電荷が集まり、発光ダイオードLED11,LED12,LED14,LED15は等価的にコンデンサとなる。
その後、サブCPU52aは、コモン信号COM3を立ち下げてLレベルにする(時刻Q)。このとき、pnp型トランジスタTR3はオンからオフとなり、コモンラインCL3と信号ラインSL3との間の電位差が発光ダイオードLED1〜LED20の閾値以下になり、発光ダイオードLED13に電流が流れなくなる。従って、発光ダイオードLED13が消灯する。次に、サブCPU52aは、信号ラインSL3を立ち下げてLレベルにする(時刻R)。つまり、npn型トランジスタTR13をオンからオフに切り替える。そして、コモン信号COM3とセグメント信号SEG3を両方Lレベルにした後、サブCPU52aは、放電信号を立ち上げてHレベルにし、カソード側に集まっていた負電荷により等価的にコンデンサとなっていた発光ダイオードLED11,LED12,LED14,LED15のアノード側の正電荷を放電する(時刻S)。
続いて、サブCPU52aは、コモン信号COM4を立ち上げHレベルにし(時刻T)、その後、放電信号を立ち下げLレベルにする(時刻U)。そして、サブCPU52aは、セグメント信号SEG2,SEG3,SEG4を立ち上げてHレベルにする(時刻V)。そのため、pnp型トランジスタTR4及びnpn型トランジスタTR12,TR13,TR14がオフからオンとなり、コモンラインCL4と信号ラインSL2,SL3,SL4との間に電位差が発生し、発光ダイオードLED17,LED18,LED19に電源電圧Vbが印加される。即ち、発光ダイオードLED17,LED18,LED19に電流が流れ、発光ダイオードLED17,LED18,LED19が発光する。このとき、時刻Sから時刻Uの間で放電回路57によってコモンラインCL1〜CL4の電荷が放電されているので、信号ラインSL2,SL4が接地されても発光ダイオードLED12,LED14は発光しない。尚、コモン信号COM4及びセグメント信号SEG2,SEG3,SEG4がHレベルになると、発光ダイオードLED16,LED20のカソード側に負電荷が集まり、発光ダイオードLED16,LED20は等価的にコンデンサとなる。
その後、サブCPU52aは、コモン信号COM4を立ち下げてLレベルにする(時刻W)。このとき、pnp型トランジスタTR4はオンからオフとなり、コモンラインCL4と信号ラインSL2,SL3,SL4との間の電位差が発光ダイオードLED1〜LED20の閾値以下になり、発光ダイオードLED17,LED18,LED19に電流が流れなくなる。従って、発光ダイオードLED17,LED18,LED19が消灯する。次に、サブCPU52aは、信号ラインSL2,SL3,SL4を立ち下げてLレベルにする(時刻X)。つまり、npn型トランジスタTR12,TR13,TR14をオンからオフに切り替える。そして、コモン信号COM4とセグメント信号SEG2,SEG3,SEG4を全てLレベルにした後、サブCPU52aは、再び、放電信号を立ち上げてHレベルにし(時刻A)、カソード側に集まっていた負電荷により等価的にコンデンサとなっていた発光ダイオードLED16,LED20のアノード側の正電荷を放電する。その後、時刻A〜時刻Xまでの動作がメインCPU50aから次の制御信号が入力されるまで繰り返し行われる。
そして、これら時刻Aから時刻Xまでの動作は極めて短い時間の間に行われ、また、時刻Aから時刻Xまでの動作は繰り返し行われるので、人間の視覚に対しては残像現象により1コマの画像として認識させることができる。つまり、人間の視覚に対しては、発光ダイオードLED3,LED7,LED8,LED13,LED17,LED18,LED19が同時に点灯しているように認識させることができ、表示装置32に数字の「1」が発光表示されたように視認させることが可能となる。このように、点灯・消灯動作を繰り返し、残像現象により発光ダイオードLED1〜LED20が同時に点灯しているように認識させるような駆動方式をダイナミック駆動方式(ダイナミック点灯方式)という。
尚、本実施形態では、時刻A、時刻G、時刻M、時刻Sにおいて、放電信号を立ち上げてHレベルにしてnpn型トランジスタTR5〜TR8をオンに切り替え、コモンラインCL1〜CL4の電荷を放電する処理が第1ステップとなる。また、時刻B、時刻H、時刻N、時刻Tにおいて、コモン信号COM1〜COM4をHレベルにしてpnp型トランジスタTR1〜TR4をオンに切り替える処理が第2ステップとなる。また、時刻C、時刻I、時刻O、時刻Uにおいて、放電信号をLレベルにして、npn型トランジスタTR5〜TR8をオフに切り替える処理が第3ステップとなる。また、時刻D、時刻J、時刻P、時刻Vにおいて、セグメント信号SEG1〜SEG5をHレベルにしてnpn型トランジスタTR11〜TR15をオンに切り替え、発光ダイオードLED1〜LED20を発光させる処理が第4ステップとなる。また、時刻E及び時刻F、時刻K及び時刻L、時刻Q及び時刻R、時刻W及び時刻Xにおいて、コモン信号COM1〜COM4及びセグメント信号SEG1〜SEG5をLレベルにして、pnp型トランジスタTR1〜TR4及びnpn型トランジスタTR11〜TR15をオフに切り替え、発光ダイオードLED1〜LED20を消灯させる処理が第5ステップとなる。
また、枠ランプ16a、遊技盤ランプ16b及びカウントランプ33と、表示装置32との相違点は、パチンコ機10における発光ダイオードの配列だけである。従って、詳細な説明は省略するが、サブCPU52aは、枠ランプ16a、遊技盤ランプ16b及びカウントランプ33を構成する発光ダイオードに対しても、同様の回路構成の駆動回路55に対して同様の順序で各種信号を出力することによって発光制御している。
従って、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)発光ダイオードLED1〜LED20の発光を制御する駆動回路55に、コモンラインCL1〜CL4の電荷を放電するようにコモンラインCL1〜CL4に接続された放電回路57を備えた。このため、コモンラインCL1〜CL4(より詳しくは、発光ダイオードLED1〜LED20のアノード側)に余分な電荷が蓄積することにより発生する発光ダイオードLED1〜LED20の誤点灯を防止することができる。即ち、表示装置32、枠ランプ16a、遊技盤ランプ16b、カウントランプ33のちらつきを防止することができる。
(2)放電信号を入力する(Hレベルにする)ことにより、pnp型トランジスタTR1〜TR4はオフからオンに切り替わり、コモンラインCL1〜CL4がグランド端子に接地し、コモンラインCL1〜CL4に蓄積された電荷が放電される。従って、放電信号を入力にするタイミングを制御することにより、コモンラインCL1〜CL4に蓄積される余分な電荷を確実に取り除くことが可能となり、発光ダイオードLED1〜LED20の誤点灯を防止することができる。
(3)放電回路57は、信号ラインSL1〜SL4がグランド端子に接地されていないときにコモンラインCL1〜CL4の電荷を放電するため、コモンラインCL1〜CL4上に蓄積された電荷を確実に放電することができる。また、信号ラインSL1〜SL4が接地されていないときにコモンラインCL1〜CL4に蓄積された電荷を放電することで発光ダイオードLED1〜LED20に逆電流が流れることを防止することができる。従って、逆電流が流れることによって発生する発光ダイオードLED1〜LED20の誤点灯を防止することができる。また、逆電流の発生を防止するので、逆電流による発光ダイオードLED1〜LED20の故障(破損)を抑制することができる。
(4)npn型トランジスタTR5〜TR8がオンのときに、そのコレクタ側からエミッタ側に電流を流すために必要な電位差(0.56〜0.66V)は、発光ダイオードLED1〜LED20のアノード側からカソード側に電流を流すために必要な電位差(1.8〜2.2V)よりも小さくした。このため、放電回路57がコモンラインCL1〜CL4の電荷を放電すると、発光ダイオードLED1〜LED20のアノード側とカソード側との間の電位差が、pnp型トランジスタTR1〜TR4のコレクタ側とエミッタ側との間の電位差と同じになる。従って、放電後、アノード側に電源電圧Vbが印加されていない発光ダイオードLED1〜LED20のカソード側をグランド端子に接地しても、該発光ダイオードLED1〜LED20に印加される電圧は、発光ダイオードLED1〜LED20に電流が流れるほどの電圧とはならない。このため、放電後に、選択されていない発光ダイオードLED1〜LED20が発光することがなくなり、枠ランプ16a、遊技盤ランプ16b、表示装置32、カウントランプ33のちらつき(誤点灯)を抑えることができる。
(5)表示装置32を構成する発光ダイオードLED1〜LED20をマトリクス状に配置接続した。このため、発光させる発光ダイオードLED1〜LED20を選択することにより、数字や文字等を表現することが可能になる。
(6)パチンコ機10に、発光ダイオードLED1〜LED20の誤点灯を防止する駆動回路55を備えたので、遊技中の発光演出において、枠ランプ16a、遊技盤ランプ16b、表示装置32、カウントランプ33のちらつきを抑えることができる。従って、遊技者に対し、ちらつきによる不快感や、遊技に関する情報を提供する表示装置32やカウントランプ33が誤点灯することによる混乱を防止することができる。また、ちらつきがなくなるので、発光演出を鮮やかに行うことができ、遊技者の興趣を向上させることができる。
(7)放電信号をHレベルにして放電回路57のnpn型トランジスタTR5〜TR8をオンにしている間に、コモン信号COM1〜COM4をHレベルにしてコモンドライバ56のpnp型トランジスタTR1〜TR4をオンにし、当該pnp型トランジスタTR1〜TR4をオンにした後に、放電信号をLレベルにした。このため、pnp型トランジスタTR1〜TR4のスイッチング特性が良くなり、瞬時に電源電圧Vbが発光ダイオードLED1〜LED20に印加されるので(即ち、電源電圧Vbの立ち上がりが良くなるので)、発光させる発光ダイオードLED1〜LED20を迅速に切り替えることができる。
(8)駆動回路55は、ダイナミック駆動方式にて、表示装置32を構成する発光ダイオードLED1〜LED20を発光させるので、多数の発光ダイオードLED1〜LED20を容易に多色発光させて発光装飾のパターンを増やすることができる。このため、遊技者の興趣を向上することができる。
(9)発光ダイオードLED1〜LED20を発光させる前に必ず放電信号を入力し、コモンラインCL1〜CL4に蓄積された余分な電荷を放電させるので、発光ダイオードLED1〜LED20の誤点灯を確実に防止することができる。つまり、コモンラインCL1〜CL4に余分な電荷が蓄積された状態であっても、発光ダイオードLED1〜LED20を発光させる前に放電させるので、発光ダイオードLED1〜LED20のちらつきを確実に防止することができる。
(10)コモン信号COM1〜COM4及びセグメント信号SEG1〜SEG5の全てをLレベルにしてpnp型トランジスタTR1〜TR4及びnpn型トランジスタTR11〜TR15の全てをオフにした後、放電信号をHレベルにしてnpn型トランジスタTR5〜TR8をオンにし、コモンラインCL1〜CL4の電荷を放電させた。このため、確実にコモンラインCL1〜CL4に蓄積された電荷を放電し、発光ダイオードLED1〜LED20に逆電流が流れるのを防ぐことができると共に、コモンラインCL1〜CL4に印加される電源VBの電流消費を抑えることができる。
(11)発光ダイオードLED1〜LED20のアノード側からカソード側に電流を流すために必要な電位差(1.8〜2.2V)よりも小さい電位差でコレクタ側からエミッタ側に電流が流れるnpn型トランジスタTR5〜TR8をコモンラインCL1〜CL4のそれぞれに接続して放電回路57を構成した。このため、誤点灯を確実に防止し、かつ、製造コストの低減に貢献し得る放電回路57を提供することができる。
例えば、各コモンラインCL1〜CL4に放電用ダイオードLED21〜LED24のアノード側を接続し、カソード側にnpn型トランジスタTR21を接続した放電回路71の場合(図9参照)、放電用ダイオードLED21〜LED24を発光ダイオードLED1〜LED20と同じ製品を使用することで製造コストを低減することはできる。
しかしながら、発光ダイオードLED1〜LED20の電流を流すために必要な電圧の閾値は、同一製品であっても個体差があるため、同じ製品を使用した場合には、誤点灯を防止できない場合がある。例えば、放電用ダイオードLED21の閾値が2.2Vである場合、npn型トランジスタTR21をオンにして、放電したとしても、コモンラインCL1に2.2Vの電位が残ることとなる。そして、仮に発光ダイオードLED1の閾値が1.8Vである場合、発光ダイオードLED1のカソード側がグランド端子に接地したときに、発光ダイオードLED1には、2.2Vという発光ダイオードLED1の閾値以上の電圧が印加されることから、発光ダイオードLED1が誤点灯するおそれがある。これを防止するためには、発光ダイオードLED1〜LED20とは別に、閾値が1.8Vより小さい特別な放電用ダイオードLED21〜LED24を用意しなくてはならない。そのため、放電回路71では、誤点灯を防止しようとすると、前述のように特別な放電用ダイオードLED21〜LED24が必要となり、部品の種類及び組み立ての手間が多くなるので、製造コストが高くなってしまう。即ち、図9に示す放電回路71では、誤点灯を確実に防止し、かつ、製造コストの低減に貢献することができないので、本実施形態の放電回路57のような構成にした。
尚、上記実施形態は、次のような実施形態(別例)に変更することができる。
○上記実施形態の表示装置32を構成する発光ダイオードLED1〜LED20は、横5列、縦4列のマトリクス状に配置接続されているが、横5列、縦4列に限らず、例えば、横16列、縦16列のマトリクス状に配置接続されるようにしてもよい。
○上記実施形態では、放電信号がHレベルである間にコモン信号COM1〜COM4をHレベルにし、その後放電信号をLレベルにしたが、放電信号をHレベルからLレベルにした後に、コモン信号COM1〜COM4をHレベルにしても良い。
○上記実施形態では、発光素子として発光ダイオードLED1〜LED20を採用したが、これに限らず、例えば、EL素子を用いても良い。
○上記実施形態では、枠ランプ16a、遊技盤ランプ16b、カウントランプ33及び表示装置32の駆動回路55を一体に構成して、枠ランプ16a、遊技盤ランプ16b、カウントランプ33及び表示装置32を全て駆動できる駆動回路55を設けるようにした。この別例として、枠ランプ16a、遊技盤ランプ16b、カウントランプ33、表示装置32に対してそれぞれ個別の駆動回路を設けるようにしてもよい。
○上記実施形態において、放電する際、サブCPU52aは、放電回路57を構成する全てのnpn型トランジスタTR5〜TR8をオフからオンにし、全てのコモンラインCL1〜CL4を放電するように放電信号をHレベルにしていた。この別例として、サブCPU52aは、前の水平走査期間に電源電圧Vbが印加されて正電荷が蓄積されたコモンラインCL1〜CL4のみを放電するように、放電信号をHレベルにしても良い。
○上記実施形態において、グランド端子を所定の基準電位を与える基準電圧端子としたが、コモンラインCL1〜CL4に蓄積された電荷を放電することができるならば、グランド端子でなくても良い。例えば、所定の基準電位として0.1Vの電位を与える電圧端子を基準電圧端子としても良い。
○上記実施形態は、第2種に分類されるパチンコ機10(いわゆる羽根モノ)に設けられた発光表示装置の駆動回路55に具体化したが、第1種に分類されるパチンコ機(いわゆるデジパチ)や、第3種に分類されるパチンコ機(いわゆる権利物)に設けられた発光表示装置の駆動回路に具体化しても良い。また、パチスロ(回胴式遊技機)に設けられた発光表示装置の駆動回路に具体化してもよい。
○上記実施形態において、放電信号とコモン信号COM1〜COM4を同時にHレベル、又は、コモン信号COM1〜COM4をHレベルにしてから放電信号をHレベルにしても良い。このようにしても、放電信号とコモン信号COM1〜COM4がHレベルになっているときに、放電信号をLレベルにすることで、pnp型トランジスタTR1〜TR4のスイッチング特性が良くなり、瞬時に電源電圧VbがコモンラインCL1〜CL4に供給される。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想の創作を以下に追記する。
(イ)第1信号の入力によりオン又はオフに切り替わる複数の第1スイッチング素子と、前記第1スイッチング素子ごとにそれぞれ接続され、該第1スイッチング素子がオンに切り替わったときに電源電圧がそれぞれ供給される複数の走査線と、第2信号の入力によりオン又はオフに切り替わる複数の第2スイッチング素子と、前記第2スイッチング素子ごとにそれぞれ接続され、該第2スイッチング素子がオンに切り替わったときに基準電圧端子にそれぞれ接続される複数の信号線とを備え、前記走査線と前記信号線との間に接続された複数の発光素子を、前記第1信号の入力により電源電圧が供給された前記走査線と前記第2信号の入力により基準電圧端子に接続された前記信号線との間に生じる電位差により発光させる駆動回路において、前記走査線の電荷を放電するように前記走査線に接続された放電回路を備えた駆動回路。
(ロ)前記放電回路は、第3信号の入力によりオン又はオフに切り替わる複数の第3スイッチング素子を備え、該第3スイッチング素子は、前記走査線ごとに直列に接続されており、前記第3信号の入力によりオンに切り替わったときに前記走査線を前記基準電圧端子に接続して前記走査線の電荷を放電することを特徴とする技術的思想(イ)に記載の駆動回路。
(ハ)前記第3スイッチング素子は、前記信号線が前記基準電圧端子に接続されていないときに、前記第3信号の入力によりオンに切り替わり、前記走査線を前記基準電圧端子に接続させることを特徴とする技術的思想(ロ)に記載の駆動回路。
(ニ)前記第3スイッチング素子は、前記走査線に電源電圧が供給されていないときであって、前記信号線が前記基準電圧端子に接続されていないときに、前記第3信号の入力によりオンに切り替わり、前記走査線を前記基準電圧端子に接続させることを特徴とする技術的思想(ロ)に記載の駆動回路。
(ホ)前記第3スイッチング素子は、前記走査線を前記基準電圧端子に接続して前記走査線の電荷を放電しているときであって、前記第1スイッチング素子が前記第1信号を入力してオンであるときに、前記第3信号の入力によりオフに切り替わることを特徴とする技術的思想(ロ)〜(ニ)のうちいずれか一に記載の駆動回路。
(ヘ)第1信号の入力によりオン又はオフに切り替わる複数の第1スイッチング素子と、前記第1スイッチング素子ごとにそれぞれ接続され、該第1スイッチング素子がオンに切り替わったときに電源電圧がそれぞれ供給される複数の走査線と、第2信号の入力によりオン又はオフに切り替わる複数の第2スイッチング素子と、前記第2スイッチング素子ごとにそれぞれ接続され、該第2スイッチング素子がオンに切り替わったときに所定の基準電圧が与えられる基準電圧端子にそれぞれ接続される複数の信号線と、前記走査線ごとに直列に接続されており、第3信号の入力によりオン又はオフに切り替わると共に、オンに切り替わったときに前記走査線を前記基準電圧端子に接続して前記走査線の電荷を放電する第3スイッチング素子とを備え、前記走査線と前記信号線との間に接続された複数の発光素子を、前記第1信号の入力により電源電圧が供給された前記走査線と前記第2信号の入力により基準電圧端子に接続された前記信号線との間に生じる電位差により発光させる駆動回路の制御方法において、前記第2スイッチング素子がオフになっているときに、前記第3スイッチング素子をオンに切り替えて前記走査線の電荷を放電し、前記第3スイッチング素子がオンである間に、前記第1スイッチング素子をオンに切り替え、前記第1スイッチング素子がオンに切り替わった後に、前記第3スイッチング素子をオフに切り替え、前記第3スイッチング素子がオフに切り替わった後であって、前記第1スイッチング素子がオンになっている間に、前記第2スイッチング素子をオンに切り替えて前記発光素子を発光させる駆動回路の制御方法。
(ト)複数の発光素子から構成される発光表示装置と、該発光表示装置に遊技演出を行わせる演出制御手段とを備えた遊技機において、前記発光表示装置の発光素子は、技術的思想(イ)〜(ホ)のいずれか一項に記載された駆動回路により発光し、前記演出制御手段は、前記駆動回路に対して前記第1信号、前記第2信号、前記第3信号を出力することにより、発光表示装置の発光による遊技演出を行わせることを特徴とする遊技機。
10…パチンコ遊技機(遊技機)、16a…枠ランプ(発光表示装置)、16b…遊技盤ランプ(発光表示装置)、32…表示装置(発光表示装置)、33…カウントランプ(発光表示装置)、55…駆動回路、56…コモンドライバ、57…放電回路、58…セグメントドライバ、TR1〜TR4…pnp型トランジスタ((第1)スイッチング素子)、TR5〜TR8…npn型トランジスタ((第3)スイッチング素子)、TR11〜TR15…npn型トランジスタ((第2)スイッチング素子)、CL1〜CL4…コモンライン(走査線)、SL1〜SL4…信号ライン(信号線)、LED1〜LED20,LED31〜LED40…発光ダイオード(発光素子)。