JP4144425B2 - 施錠装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅・事務所開口部(戸、窓、棚扉)、事務用収納機器(ロッカー、机、棚、収納箱、扉付き収納庫、金庫など)、産業用機器(自動販売機、電気制御板、配電盤、工作機械などの扉、戸口部等)に設ける施錠装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、施錠装置としては、特許文献1記載の施錠装置が公知である。この公知文献にかかる施錠装置は、設置が簡易で既存の錠にも後付け出来、窓の解、施錠の状態を検知し、さらに、人体が検知信号を遮断することによるシステムの不動作を回避することにより、不安感を取り除くことを目的とするものである。この施錠装置は、左右にスライドさせて開閉させる2枚窓の一方の窓枠体に設けるものであって、窓を施解錠させる回動式錠爪の操作片に接着させたマグネットと、上記2枚窓の他方の窓枠体の側縁部に、マグネットに対応させて設置され、上記回動式錠爪の操作片の回動位置の変化によって窓の正しい閉じ位置での施、解錠を検知する磁力作動型の近接センサ部を内蔵させたワイヤレス送信器を設けた構成となっている。
【0003】
【特許文献】
特開平6−309572号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この公知文献にかかる施錠装置は施錠・解錠の検出のみを行い、施錠自体は人間が手動で行うものであって、施錠を遠隔操作できるものではない。
【0005】
遠隔操作により施錠を行う電気錠としては、ソレノイドによってデッドボルトを軸方向に動かして、受け金具の受け穴や筒状部に差し込むことが多く、デッドボルトが動作して正常の位置に施錠したかどうかは施錠機構自身が判断することは出来なかった。
【0006】
また、例えば、経年変化等により窓のサッシ同士の隙間が広がった場合、従来の電気錠や手動錠ではデッドボルトが出ているか収まっているかのどちらかの状態である。このため、サッシ同士のがたつきに対応しようとすれば、受け穴の穴の深さに余裕を持たせなければならず、隙間が少なく、設置部自体の厚みが小さい窓用サッシなどでは対応が難しいという問題があった。
【0007】
本発明は、このような問題に着目してなされたものであり、様々な寸法の戸やドア或いは引出等に対応でき、開閉部と開口部のがたつきや経時変化による寸法の狂いや隙間の大小に拘わらず施錠可能であり、設置空間が小さく、後付が簡単であり、正常に施錠したことを判断可能であり、開閉部と開口部とが閉まっているときだけ施錠し、しかも小電力な施錠装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明第1の施錠装置は、少なくとも一方が戸とされ、他方が戸又は戸口部の何れかとされる開閉装置の一方に設けられる基板と、該基板に装備され、前記開閉装置の開閉動作領域に出入可能なデッドボルトと、前記基板に装備され、前記デッドボルトを前記開閉装置の開閉動作領域に突出させるように押し出すための駆動機構と、前記開閉装置の他方に設けられ、前記駆動機構により突出した前記デッドボルトを受けて前記開閉装置の開放を規制する受け部材とを備えた施錠装置であって、
前記駆動機構に、前記デッドボルトが前記受け部材に当接したときに、前記デッドボルトを更に前記受け部材側に付勢する付勢手段を備え、
前記駆動機構の駆動源を制御する制御装置と、前記デッドボルトが前記受け部材に当接したことを検出して前記制御装置に送信する施錠センサを備え、
前記制御装置は、前記デッドボルトが前記受け部材に向かって移動してから前記施錠センサが施錠を検出した後に、所定時間前記デッドボルトを前記受け部材に押し当てて前記付勢手段に付勢力を蓄積させる機能を有することを特徴とする。
【0010】
本発明の第2の施錠装置は、第1の施錠装置において、前記デッドボルトが前記受け部材に当接した位置の適否を検出して前記制御装置に送信するエラーセンサを備え、前記制御装置は、前記施錠センサが施錠を検出すると共に前記エラーセンサが適正な当接を検出したときに、所定時間前記デッドボルトを前記受け部材に押し当てて前記付勢手段に付勢力を蓄積させる機能を有することを特徴とする。
【0011】
本発明の第3の施錠装置は、第2の施錠装置において、前記受け部材は、前記デッドボルトが前記開閉装置の前記開放動作領域に突出したときに前記デッドボルトと当接する施錠突起を備え、前記デッドボルトは、前記デッドボルトと共に移動する接触子を保持しており、該接触子に前記受け部材と接触するための第1突起部と前記施錠突起と接触するための第2突起部とが形成されていると共に、前記接触子に、該第1突起部が前記受け部材に接触したときに信号を出力する第1接点と、前記第2突起部が前記施錠突起に接触したときに信号を出力する第2接点とを設け、前記第1突起部と前記第1接点により前記エラーセンサが構成され、前記第2突起部と前記第2接点とにより前記施錠センサが構成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の第5の施錠装置は、本願の第1乃至第4の何れかの施錠装置において、前記付勢手段は前記デッドボルトと前記駆動機構とを連結する部位に設けられており、前記駆動機構が前記デッドボルトを前記受け部材側に移動させて前記デッドボルトが前記受け部材に当接したときの抵抗力に抗して駆動力を蓄積可能なバネにより構成されていることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態にかかる施錠装置を図面を参照にして説明する。
【0014】
図1はこの実施の形態にかかる施錠装置の主要構成を平面的に示した図である。図2は施錠装置の側面構成を示す図、図3はサッシ戸に施錠装置を適用した状態の斜視図である。
【0015】
本件実施の形態において、少なくとも一方が戸とされ、他方が戸又は戸口部の何れかとされる開閉装置の一例としては図3に示す引き違い式のサッシ戸1L、1Rを挙げて説明するが、ヒンジドア、ショーケースのドア、ロッカーのドア、机の引出等に施錠装置を適用することも可能である。
【0016】
図3において、引き違い式のサッシ戸1L,1Rの開閉動作領域はレール2,2の長手方向であり、サッシ戸1L,1Rのスライド方向である。勿論、ヒンジドアの場合は、ヒンジドアの回動方向となる。尚、このサッシ戸1L、1Rには図示しないクレセント錠が設けられており、施錠装置3はこのクレセント錠の補助錠とされている。
【0017】
施錠装置3は、施錠装置本体4と受け部材5とからなる。さらに、施錠装置本体4は、図1,図2に示すように、基板6と第1支持板部7及びデッドボルト8と駆動機構10を備える。
【0018】
基板6はサッシ戸1Rの縦框部1Aにネジ止めされるための取付穴6Aを上下両端部に備えている。取付穴6Aは基板6の水平方向の位置調整のために縦框部1Aの断面方向に延びる長穴とされており、傾斜状態の調節等も可能とされている。
【0019】
基板6には第1支持板部7がボルト7Bにより取り付けられている。第1支持板部7は、デッドボルト8をスライド自在に保持するものであり、相対向する一対の縦板部7Aと底板部が第1支持板部7のコの字形の断面形状を形成している。第1支持板部7の対向する一対の縦板部7Aはデッドボルト8をスライド可能に保持する開口部8Aを備えている。開口部8Aは後述する第2突起部12Bをスライド可能な形状を有している。
【0020】
受け部材5は、サッシ戸1LのガラスGに両面粘着テープやネジ等の周知手段で取り付けられ平板部5Aとデッドボルト8の移動を規制するための施錠突起5Bを有する。施錠突起5Bは平板部5Aの端部において略L字型形状に突出している。受け部材5の施錠突起5Bは、デッドボルト8が施錠突起5Bと平板部5Aの隅角部に当接したときに、サッシ戸1L,1Rを施錠状態とする。
【0021】
デッドボルト8は、サッシ戸1L、1Rのスライド領域である開閉動作領域に出入可能とされ、受け部材5の施錠突起5B近傍の平板部5Aに当接して一対のサッシ戸1L、1Rを施錠する。
【0022】
デッドボルト8は、溝状の断面形状を有した金属(例えば鋼板)からなり、図6に示すように、溝の内部にデッドボルト8と共に移動するホルダーケース11と接触子12とを保持している。デッドボルト8の溝内にコの字形断面を有する金属のホルダーケース11が装着され、ホルダーケース11内に接触子12がホルダーケース11の長手方向にスライド可能に保持されている。
【0023】
図4,図5は接触子12を示す。接触子12はこの実施の形態ではプラスチックからなるものであり、接触子12には受け部材5の平板部5Aと接触するための第1突起部12Aと、施錠突起5Bと接触するための第2突起部12Bとが形成されている。又、接触子12には、第1突起部12Aが受け部材5或いはガラスGに接触したときに信号を出力する第1接点13と、第2突起部12Bが施錠突起5Bに接触したときに信号を出力する第2接点14とが設けられている。
【0024】
エラーセンサは、第1突起部12Aと第1接点13と後述する導通突起部28Aにより構成される。施錠センサは、第2突起部12Bと第2接点14と後述する導通突起部28Bにより構成される。
【0025】
接触子12の凹部17とホルダーケース11の底部11Aの起立板部18との間にはコイルスプリング19が圧縮して配設されている。接触子12は、コイルスプリング19によってサッシ戸1L側に向かって突出するように付勢されている。
【0026】
接触子12の先端部にはストッパー20が形成されており、ストッパー20はホルダーケース11の開口部21内を移動可能になっている。開口部21の奥の縁部には起立板部22が形成されており、起立板部22はストッパー20の戻りを規制できるようになっている。
【0027】
接触子12のサッシ戸1L側の端部は第1突起部12Aとされており、第1突起部12Aの角部に第2突起部12Bが突出して形成されている。第2突起部12Bは接触子12の上面部12Cから突出している。第2突起部12Bは前述のように第1支持板部7の開口部8Aを通過可能とされている。
【0028】
第1突起部12Aと第2突起部12Bとの離間距離は、第2突起部12Bが施錠突起5Bに押されたときに、第1突起部12Aがホルダーケース11内部に埋没可能な深さとされている。
【0029】
すなわち、第2突起部12Bが施錠突起5Bに押されたことにより、施錠突起5Bと平板部5Aの角部にデッドボルト8が位置し、適正に施錠されたことが検出可能となる。デッドボルト8がサッシ戸1L側に進出しても、第1突起部12Aがサッシ戸1Lに当たらなかったり、ガラスGや平板部5Aに当たっているときは、エラーとなる。
【0030】
第1接点13,第2接点14は接触子12の側面部には設けられている。この第1接点13、第2接点14はリード線23A、23Bを介して制御装置としてのマイクロコンピュータ24に接続されている。第1接点13、第2接点14は接触子12の側面に設けられた凹部25A、25B内部に軸止される可撓舌片26A、26Bに取り付けられている。
【0031】
可撓舌片26A、26Bの自由端部間にはコイルスプリング27が配設されている。可撓舌片26A、26Bの自由端部は互いにホルダーケース11の側壁部11Bに向かって付勢されている。導通接点22A、22Bは接触子12の側面より僅かに内側に位置しており、通常時はホルダーケース11と導通しないように保持されている。
【0032】
ホルダーケース11の側壁部11Bにはそれぞれ導通突起部28A、28Bがコの字形断面の内側に向かって突出している。接触子12のスライド時の位置によって導通突起部28A、28Bが第1接点13、第2接点14の何れか若しくは両者に接触して導通するようになっている。
【0033】
導通突起部28A、28Bの形成位置は、エラーセンサが導通した所定時間後に施錠センサが導通するように、ホルダーケース11の長手方向に距離が設けられており、ホルダーケース11から突出する第1突起部12Aの突出量と、第1突起部12Aから第2突起部12Bまでの段差の距離だけ開けられている。
【0034】
即ち、デッドボルト8が何も当たっていないとき、ホルダーケース11の端部から第1突起部12Aが突出しており、このとき導通突起部28Aは第1接点13に接触していないが、デッドボルト8がガラスGか受け部材5の平板部5Aに当たったとき、第1突起部12Aはホルダーケース11の端部と同じ位置まで後退する。このとき、導通突起部28Aは第1接点13に接触導通する。
【0035】
また、デッドボルト8が受け部材5に当たり、接触子12の第2突起部12Bが施錠突起5Bに当たっているとき、第1突起部12Aはホルダーケース11の内部に後退し、導通突起部28Aが第1接点13に接触導通すると共に、導通突起部28Bが第2接点14に接触導通する。
【0036】
この間の導通するための時間的ずれを形成するために、導通突起部28A、28Bの接地位置が決められている。
【0037】
ホルダーケース11は、デッドボルト8と導通可能とされており、接地されている。マイクロコンピュータ24は図示しないバッテリー電源から駆動電力を給電されており、第1接点13、第2接点14と導通突起部28A、28Bとの接触により、導通状態を検出可能となっている。
【0038】
マイクロコンピュータ24は第1接点13、第2接点14の電圧のH,Lにより接触子12が第1突起部12Aに当たっているか、第2突起部12Aに当たっているかを判断する。第1突起部12Aが受け部材5に当たっていなければ、エラーであり、第1突起部12Aがサッシ戸1LのガラスG或いは平板部5Aに当たっているときもエラーである。
【0039】
又、例えば、受け部材5に第1突起部12Aとデッドボルト8が侵入できる孔だけが設けられている場合、第1突起部12Aが何も当たっていないにも拘わらず、第2突起部12Bが施錠突起5Bに当たるという状態が生じる。この場合は、孔部分にデッドボルト8と第1突起部12Aが入り、孔の縁に第2突起部12Bが接触すると、先ず第1接点13が通電し、更にデッドボルト8は孔の先に進んでゆくために、続いて第2接点14も通電することとなり、第1接点13と第2接点14の通電の時間差が生じ、マイクロコンピュータ24の論理積も正常施錠として判断する。
【0040】
第1突起部12Aが平板部5Aに当たった後に、第2突起部12Bが施錠突起5Bに当たったときは、正常に施錠されたとマイクロコンピュータ24は判断する。
[駆動機構]
駆動機構10は、デッドボルト8をサッシ戸1L,1Rがスライドする開閉動作領域に突出させるように押し出すものであり、駆動源となるモーター30と、ギア機構と、リンクレバー32及び付勢手段としての弦巻バネ34とを備えている。
【0041】
モーター30はDCモーターであり、基板6の表面に固定されたベース31に取り付けられている。ベース31は例えば接着剤若しくはボルト等により基板6に固定されている。ベース31はギア機構を支持するための支持板部35A、35Bを有している。支持板部35Aには軸36が固定されている。軸36にはギア37が回転時材に保持されている。ギア37は小口径のギア37Aと大口径のギア37Bを二段にして一体に形成したものであり、大口径のギアにモーター30の出力軸に取り付けられたギア38が噛み合っている。
【0042】
また、支持板部35A、35B間には軸39が回転自在に取り付けられている。軸39の端部にはギア40が固定されており、軸39の中間部にはウォームギア41が固定されている。39A、39Bは軸39の軸方向の位置ずれを防止するリングであり、41A、41Bはウォームギア41の軸方向の位置ずれを防止するリングである。
【0043】
ウォームギア41にはリンクレバー32を駆動するギア42が噛み合っている。ギア42は固定軸43に回転自在に支持されている。固定軸43の根元部には段部43Aが形成されており、段部43Aがベース31に当たっている。固定軸43の根元部の中心には図示しないボルトがねじ込まれており、固定軸43はベース31に固定されている。
【0044】
リンクレバー32に一体に形成されたリング44には固定軸43が通されており、リング44は固定軸43に対して回転自在とされている。リンクレバー32の上には弦巻バネ34が配置されている。弦巻バネ34は固定軸43に通されており、固定軸43の周りを回動可能とされている。弦巻バネ34の一方の端部はリンクレバー32の片方の端部の穴32Aに掛けられており、弦巻バネ34の他方の端部はギア42の裏面に形成されたスペーサ部44の突起44Aに掛けられている。
【0045】
弦巻バネ34は、駆動機構10の動きをデッドボルト8に伝達する部位に設けられており、駆動機構10がデッドボルト8を受け部材5側に移動させてデッドボルト8が受け部材5に当接したとき、その抵抗力に抗して駆動力を蓄積可能とされ、デッドボルト8を更に受け部材5側に付勢して押し当てることにより、サッシ戸1L,1Rの隙間拡大を解消する。又、デッドボルト8と受け部材5との間が狭くなった場合でも、付勢力により狭くなった分が吸収される。このように、隙間に大小が生じても付勢手段の付勢力により対応することが出来る。
【0046】
この付勢手段は、弦巻バネ34に構成されているが、他の手段、例えば、コイルスプリングや板バネ、ゴム等の弾性体であっても良い。
【0047】
スペーサ部44はギア42に対して一体に固定されており、ギア42の回転に伴って弦巻バネ34を回転させるようになっている。弦巻バネ34の回転はリンクレバー32に伝達され、リンクレバー32はデッドボルト8を押し出す。
【0048】
リンクレバー32の片方の端部には軸32Bが突出するように設けられており、この軸32Bがデッドボルト8の長穴8Bに移動可能に嵌め込まれている。リンクレバー32の他方の端部にはベース31側に向かって突出するストッパー部32Cが形成されている。ストッパー部32CはホームポジションセンサHPの接触片HP1を押し付けてホームポジションセンサHPをONさせる。ベース31にはストッパー部32CがホームポジションセンサHPに当たったときに、リンクレバー32を支えるストッパー部45が立設されている。ホームポジションセンサHPは図示しないリード線を介してマイクロコンピュータ24に接続されている。
【0049】
駆動機構10の駆動源であるモーター30を制御する制御装置は、ベース31上に配設されるマイクロコンピュータ24により構成される。このマイクロコンピュータ24は、デッドボルト8が受け部材5に向かって移動してから、第1突起部12Aが平板部5Aに当たった後に、施錠センサの一部を構成する第2突起部12Bが施錠突起5Bに当たったときは、正常に施錠されたと判断する。
【0050】
マイクロコンピュータ24は第2突起部12Bが施錠突起5Bに当たって施錠を検出した後に、所定時間だけデッドボルト8を受け部材5に押し当てて付勢手段である弦巻バネ34に付勢力を蓄積させる機能を有する。
【0051】
又、マイクロコンピュータ24の周辺回路には、無線通信器が設けられており、建物内に設けられた図示しない集中施錠装置から無線により施錠命令信号を、無線通信器で受信して施錠を行うようになっている。
[動作]
次に、施錠する場合の一連の動作を図8のタイミングチャートを用いて説明する。このタイミングチャートは正常の施錠したときの状態を示している。
【0052】
先ず、建物の集中施錠装置から施錠命令を受信すると、モーター30が正転してギア38,37B、37A、40を介してウォームギア41を回転させ、ギア42を回転させる。ギア42の回転により弦巻バネ34が回転してリンクレバー32がホームポジションから離れ、ホームポジションセンサHPがやや時間を開けてLとなる。
【0053】
モーター30の正回転が継続されると、リンクレバー32がデッドボルト8を受け部材5側に押し出す。デッドボルト8の第1突起部12Aが受け部材5の平板部5Aに当たると、エラーセンサを構成する第1接点13に導通突起部28Aが接触して、第1接点13と導通突起部28Aとが導通する。第1接点13と導通突起部28Aとが導通した時点から所定時間(ガラスGから受け部材5の突出する高さから生じる時間差)経過してから、施錠センサを構成する第2接点14に導通突起部28Bとが接触して、第2接点14と導通突起部28Bとが導通する。
【0054】
この第1接点13と導通突起部28Aとの導通(H)と、第2接点14と導通突起部28Bとの導通(H)との論理積が(H)となった後に、所定時間だけ経過した後に、第1接点13と導通突起部28Aへの給電と、第2接点14と導通突起部28Bへの給電を停止する。また、第1接点13と導通突起部28Aとの導通(H)と、第2接点14と導通突起部28Bとの導通(H)との論理積が(H)となった後に、所定時間(弦巻バネ34にデッドボルト8を押し出す付勢力を蓄える時間)モーター30を正転させる。
【0055】
弦巻バネ34にデッドボルト8の押出力を十分に蓄積させたら、モーター30を停止させる。これによって、施錠状態が維持される。
【0056】
前述の集中施錠装置から解錠命令が出力されたら、モーター30を逆回転させ、ホームポジションセンサHPがオン(H)になって、ホームポジションセンサHPがオンを持続可能な安定状態まで少し時間をおいてから、モーター30を停止させる。
【0057】
エラーのときには、エラーセンサを構成する第1接点13と導通突起部28Aとが接触しないか、若しくは、第2接点14と導通突起部28Aとが接触導通しても第2接点14と導通突起部28Bとが接触しない状態となる。このエラーの場合には、無線通信機により集中施錠装置にエラーである旨を送信し、集中施錠装置はエラーを音、無線、表示装置により出力する。
[効果]
上記の施錠装置は、サッシ戸1Rに設けられる基板6と、基板6に装備され、サッシ戸1L、1Rの開閉動作領域に出入可能なデッドボルト8と、基板6に装備され、デッドボルト8をサッシ戸1L、1Rの開閉動作領域に突出させるように押し出すための駆動機構10と、サッシ戸1Lの他方に設けられ、駆動機構10により突出したデッドボルト8を受けてサッシ戸1L、1Rの開放を規制する受け部材5とを備えた施錠装置3において、駆動機構10にデッドボルト8が受け部材5に当接したときに、デッドボルト8を更に受け部材5側に付勢する弦巻バネ34を設けたので、デッドボルト8が受け部材5とがサッシ戸1L,1Rを施錠しているときに、閉じているサッシ戸1L,1R同士が離れようとしても弦巻バネ34(付勢部材)がデッドボルト8を受け部材5側に押し出すので、強制的に解錠されてしまうことが防止される。
【0058】
又、何らかの原因でサッシ戸1L、1R間が狭くなった場合でも、付勢手段付勢力により狭くなった分を吸収できる。
【0059】
また、施錠装置3が施錠センサにより施錠の適否を検出できる。また、エラーセンサによる施錠のエラーをも検出できる。デッドボルト8が施錠センサとエラーセンサとを備えているときには、デッドボルト8の動きに伴って施錠の適否を的確且つ容易に検出できる。更に、施錠の適否を検出し、デッドボルト8を駆動する駆動機構10をシンプルな構成とすることが出来、耐久性が向上すると共に低コストなものとすることが出来る。
【0060】
【発明の効果】
以上述べたように、本願の請求項1〜請求項5の施錠装置によれば、デッドボルトが受け部材とが開閉装置を施錠しているときに、閉じている開閉装置同士間の距離の大小に対応して付勢部材がデッドボルトを進退させるので、強制的に解錠されてしまうことが防止される。
【0061】
加えて、請求項2の施錠装置によれば、施錠センサにより施錠の適否を検出できる。
【0062】
また、請求項3の施錠装置によれば、施錠のエラーをも検出できる。
【0063】
請求項4の施錠装置によれば、デッドボルトが施錠センサとエラーセンサとを備えており、デッドボルトの動きに伴って施錠の適否を的確且つ容易に検出できる。
【0064】
請求項5の施錠装置によれば、施錠の適否を検出し、デッドボルトを駆動する駆動機構をシンプルな構成とすることが出来、耐久性が向上すると共に低コストなものとすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかる施錠装置本体の構成を示す平面図。
【図2】本発明の施錠装置本体の側面図。
【図3】開閉装置としてのサッシ戸に施錠装置を接地する状態を示す斜視図。
【図4】施錠装置の接触子の断面構成を示す図。
【図5】接触子とホルダーケースの導通接点及び導通突起部の配置状態を示す断面図。
【図6】デッドボルトとホルダーケース及び接触子の取付状態を示す斜視図。
【図7】(a)はデッドボルトがガラスに当たっていない状態の図、(b)はデッドボルトが受け部材に当たってエラーとなっている状態の図、(c)はデッドボルトの接触子が施錠突起に当たって正常な施錠状態となっている状態図、(d)はデッドボルトがガラスに当たってエラーとなったときの状態図。
【図8】本実施の形態の施錠装置のタイミングチャート。
Claims (4)
- 少なくとも一方が戸とされ、他方が戸又は戸口部の何れかとされる開閉装置の一方に設けられる基板と、該基板に装備され、前記開閉装置の開閉動作領域に出入可能なデッドボルトと、前記基板に装備され、前記デッドボルトを前記開閉装置の開閉動作領域に突出させるように押し出すための駆動機構と、前記開閉装置の他方に設けられ、前記駆動機構により突出した前記デッドボルトを受けて前記開閉装置の開放を規制する受け部材とを備えた施錠装置であって、
前記駆動機構に、前記デッドボルトが前記受け部材に当接したときに、前記デッドボルトを更に前記受け部材側に付勢する付勢手段を備え、
前記駆動機構の駆動源を制御する制御装置と、前記デッドボルトが前記受け部材に当接したことを検出して前記制御装置に送信する施錠センサを備え、
前記制御装置は、前記デッドボルトが前記受け部材に向かって移動してから前記施錠センサが施錠を検出した後に、所定時間前記デッドボルトを前記受け部材に押し当てて前記付勢手段に付勢力を蓄積させる機能を有することを特徴とする施錠装置。 - 請求項1の施錠装置において、前記デッドボルトが前記受け部材に当接した位置の適否を検出して前記制御装置に送信するエラーセンサを備え、前記制御装置は、前記施錠センサが施錠を検出すると共に前記エラーセンサが適正な当接を検出したときに、所定時間前記デッドボルトを前記受け部材に押し当てて前記付勢手段に付勢力を蓄積させる機能を有することを特徴とする施錠装置。
- 請求項2の施錠装置において、前記受け部材は、前記デッドボルトが前記開閉装置の前記開閉動作領域に突出したときに前記デッドボルトと当接する施錠突起を備え、前記デッドボルトは、前記デッドボルトと共に移動する接触子を保持しており、該接触子に前記受け部材と接触するための第1突起部と前記施錠突起と接触するための第2突起部とが形成されていると共に、前記接触子に、該第1突起部が前記受け部材に接触したときに信号を出力する第1接点と、前記第2突起部が前記施錠突起に接触したときに信号を出力する第2接点とを設け、前記第1突起部と前記第1接点により前記エラーセンサが構成され、前記第2突起部と前記第2接点とにより前記施錠センサが構成されていることを特徴とする施錠装置。
- 請求項1乃至第請求項3の何れかの施錠装置において、前記付勢手段は前記デッドボルトと前記駆動機構とを連結する部位に設けられており、前記駆動機構が前記デッドボルトを前記受け部材側に移動させて前記デッドボルトが前記受け部材に当接したときの抵抗力に抗して駆動力を蓄積可能なバネにより構成されていることを特徴とする施錠装置。
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