JP4143717B2 - 導電性発泡ロール及び該導電性発泡ロールを用いた画像形成装置 - Google Patents

導電性発泡ロール及び該導電性発泡ロールを用いた画像形成装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性発泡ロール及び該導電性発泡ロールを用いた画像形成装置に関し、詳しくは、複写機、ファクシミリ、プリンター等の電子写真装置の画像形成機構等に用いられる帯電ロール、現像ロール、トナー供給ロール、転写ロール等に有効に用いられ、環境に優しく、電気抵抗の調整が可能で、優れた物性を実現するものである。
【0002】
【従来の技術】
複写機、ファクシミリ、プリンター等の電子写真装置において、帯電部、現像部、転写部では弾性を有する導電性発泡ロールが用いられることが多い。このような導電性発泡ロールは、一般的に、円柱状の芯金とこの芯金の周囲に同心円状に積層された加硫発泡ゴム層とから構成されており、その用途に応じて、電気抵抗等の導電性、低硬度、及び寸法安定性を得るための低圧縮永久ひずみ等の種々の性能が要求されている。中でも、転写ロールは、感光体に形成された静電潜像を紙へ転写するために用いる部材であり、特に上記のような性能が要求される。
【0003】
この種の導電性発泡ロールにおいては、導電性を付与するため、カーボンブラック又は金属酸化物等の導電付与剤をゴム中に練りこみ、分散させることによりロールの電気抵抗を制御する方法がある。しかし、この方法では、導電付与剤の分散のコントロールが難しく、また、成形・加硫時のゴム流動によって、導電付与剤の分散状態が変化するという問題がある。また、カーボンブラックの添加量のわずかな変化により電気抵抗値が急激に変化する領域があるため、電気抵抗値の制御が非常に困難になる。
【0004】
一方、導電性を付与するためには、ポリエチレンオキサイド等のポリエーテル構造を含む導電性オリゴマーや導電性可塑剤(いずれもMnが10000以下)を用いることも考えられるが、これらは、ブリードしやすいため感光体汚染を生じる可能性がある。また、電離度の高い第4級アンモニウム塩を配合することにより、電気抵抗の制御を行うことも考えられる。しかし、このようなアンモニウム塩は、陰イオンが過塩素酸イオンや塩化物イオン等からなることが多いがこのようなイオンからなるものは、機械的特性、特に圧縮永久ひずみが悪化しやすいという問題がある。このように、電気抵抗の低減と、他の物性値との両立が困難であり、従来、ゴム組成物において種々の提案がなされている。
【0005】
例えば、特開2002−20537号においては、カーボンブラック及びシリカから選ばれる一種以上の充填剤や特定の硫黄化合物を含有するゴム組成物が開示されており、この組成物に、シランカップリング剤、可塑剤、滑剤としてフルオロアルキルスルホン酸塩等が配合されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−20537号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開2002−20537号のゴム組成物では、カーボンやシリカ等の充填剤を多く配合すると組成物の柔軟性が損なわれると共に、低電気抵抗を実現できないという問題がある。即ち、低電気抵抗と、硬度や圧縮永久ひずみ等の他の物性との両立が困難であり、弾性が要求される導電性ロール等には適用できないという問題がある。
【0008】
上記以外に、エピクロルヒドリンゴム等の低抵抗イオン導電性ポリマーと、NBR等の高抵抗イオン導電性ポリマーとをブレンドすることにより抵抗を調整する方法があり、ブレンド比を変化させるだけで抵抗を調整することができるので、電気抵抗の制御が容易である。しかし、エピクロルヒドリンゴムは、塩素系であるため、使用後に焼却処理したり、熱やせん断で分解してリサイクルしようとすると、処理条件によっては、燃焼時に塩化水素等の有害ガスやダイオキシンが発生する恐れがある。昨今の環境問題への意識の高まりより、その廃棄時の取り扱いに難点がある。
【0009】
本発明は、上記した問題に鑑みてなされたものであり、電気抵抗値の調整が可能であり、かつ、良好な機械物性(圧縮永久ひずみが低く、低硬度)を有する上に、環境に配慮した導電性発泡ロールを提供することを課題としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、エチレン−プロピレン―ジエン共重合ゴムとアクリロニトリルブタジエンゴムとの混合物を含むゴム成分を主成分とし、該ゴム成分100重量部に対して、フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩を0.01重量部以上20重量部以下の割合で含有し、化学発泡剤を用いて発泡させた発泡層を備え、該発泡層はJISK6262に記載の「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの永久ひずみ試験方法」で測定温度70℃、測定時間24時間、圧縮率25%で測定した圧縮永久歪みの大きさが30%以下であることを特徴とする導電性発泡ロールを提供している。
【0011】
上記のように、本発明の導電性発泡ロールは、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)とアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)との混合物を含むゴム成分を主成分とし、化学発泡剤を配合すると共に、上記ゴム成分との親和性に優れるフルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩を、上記規定量にて含有している。これにより、発泡層の硬度を低減し、導電性ロールとしての適切な硬度を実現すると共に、このフルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩は、少量の添加で非常に大きく抵抗値を下げることができるため、その場合の各種物性値(硬度や圧縮永久ひずみ等)の悪化も抑制することができる。その結果、物性の低下をあまり伴わずに、抵抗調整が可能であり低い電気抵抗を実現することができる。
【0012】
また、発泡層には、EPDMとNBRとをブレンドしたゴム成分を用いているので、耐オゾン性にも優れる上に、非塩素・非臭素系のゴムであるため、この非塩素・非臭素成分が副反応を起こすことがなく、低圧縮永久ひずみの実現と電気抵抗の低減を両立することができる。さらに、使用後に焼却等の処理を行う場合においても、塩化水素ガス等の有害物質を発生する恐れが無く環境にも優しい製品とすることができる。
【0013】
さらには、NBRは、フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩との相容性を高くできる上に、EPDM・NBR共に汎用ゴムであり、原材料コストを低減することができる。以上の理由により、エチレン−プロピレン―ジエン共重合ゴムとアクリロニトリルブタジエンゴムとの混合物は、ゴム成分の全重量の60重量%以上としていることが好ましく、ゴム成分は上記混合物のみとするのが最適である。その他のゴムとして混合可能なゴムは、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、シリコンゴム、イソプレンゴム、天然ゴム等が挙げられる。
なお、EPDMの代わりにエチレンプロピレンゴム(EPM)や、SBR、シリコンゴムを用いてもよい。また、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)に類するものとしてアクリロニトリルブタジエンゴムの水素化物、カルボキシル変性アクリロニトリルブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンイソプレン共重合ゴム(NBIR)、液状ニトリルゴム等をNBRの代わりに用いてもよいし、必要量をNBRとブレンドしてもよい。
さらには、塩素が含まれることが問題とならない場合であれば、エピクロルヒドリンゴムやクロロプレンゴムを混合してもよい。
【0014】
従って、電気抵抗値を低抵抗領域で調整できる上に、導電性発泡ロールとしての良好な機械的物性(圧縮永久ひずみが小さく、低硬度)を得ることができ、実用に適した環境に優しい導電性発泡ロールを提供することができる。
【0015】
フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩は、強い電子吸引効果によって電荷が非局在化するため、陰イオンが安定なためゴム組成物中で高い解離度を示し、高いイオン導電性を実現できる。このように、フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩を配合することで効率良く低電気抵抗を実現することが可能になるため、ゴム成分の配合を適宜調整することで、他の物性を悪化させることなく、低電気抵抗を実現し、かつ、感光体汚染の問題も抑制することができる。
【0016】
上記ゴム成分100重量部に対して、フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩を0.01重量部以上20重量部以下の割合で含有しているのは、0.01重量部より小さいと導電性向上の効果がほとんど見られないためであり、20重量部より大きいと圧縮永久ひずみが大きくなったり、得られる導電性向上の効果に比べてコストが増加するデメリットの方が大きくなるためである。
なお、好ましくは0.1重量部以上10重量部以下、より好ましくは0.2重量部以上6重量部以下、さらに好ましくは0.3重量部以上4重量部以下である。
【0017】
また、フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩は、分子量1万以下の低分子量ポリエーテル化合物や低分子量極性化合物からなる群から選択される媒体を介さずに配合されていることが好ましい。
本発明では、NBRを主成分としているため、NBR中に含まれるシアン基により、塩から解離して生じる陽イオンを安定化できる。よって、媒体を用いずに塩を均一に分散溶解させることができる。
ポリエーテル含有化合物や低分子量極性化合物等の媒体を介した場合には、それらにより物性(圧縮永久歪み等)が悪化したり、感光体を汚染したり、長時間電界(電流、電圧)をかけた場合に、抵抗値の上昇幅が大きくなったりするという問題が生じる。
具体的には、分子量1万以下の低分子量ポリエーテル含有化合物としては、低分子量(一般に分子量が数百から数千)のポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール、ポリエーテルポリオール等が挙げられ、低分子量極性化合物としては、ポリエステルポリオール、アジピン酸エステル及びその誘導体、フタル酸エステル及びその誘導体等が挙げられる。
【0018】
上記フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩としては、特に、ビスフルオロアルキルスルホニルイミドの塩、フルオロアルキルスルホン酸の塩、トリス(フルオロアルキルスルホニル)メチドの塩からなる群から選ばれる少なくとも一種の塩を含んでいることが好ましい。
【0019】
また、上記塩としては、リチウム塩が好ましいが、アルカリ金属、2A族、或はその他の金属の塩でも良い。さらには、第4級アンモニウム塩やイミダゾリウム塩等の有機陽イオンの塩でもよい。
具体的には、上記フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩としては、例えば、LiCFSO、LiN(SOCF、LiC(SOCF、LiCH(SOCF、LiSFCFSO等が挙げられる。なお、上記フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩は、ポリマー組成物中に均一に分散していることが好ましい。特に、ビスフルオロアルキルスルホニルイミドの塩、中でも、リチウム−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドは、シアン基を有するポリマーに直接添加することにより、容易に均一分散し、物性への影響を抑えながらにして電気抵抗値を低下できるため、より好ましい。
【0020】
上記エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴムと上記アクリロニトリルブタジエンゴムの重量比が、(エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム:アクリロニトリルブタジエンゴム)=(75:25)〜(20:80)であることが好ましい。これにより、良好な耐オゾン性、低電気抵抗を得ることができる。また、ゴム混合物総重量中、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴムが20重量%より少ないと耐オゾン性が低下しやすくなる。一方、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴムが75重量%より多いと、導電性ローラとして必要な低い抵抗値が得られなかったり、あるいは、圧縮永久歪みが悪くなったり、感光体汚染を生じたりするという問題がある。
なお、さらには、(エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム:アクリロニトリルブタジエンゴム)=(55:45)〜(25:75)が好ましい。
【0021】
ゴム成分以外のポリマー成分として、EO(エチレンオキサイド)−PO(プロピレンオキサイド)−AGE(アリルグリシジルエーテル)三元共重合体、E−AGE二元共重合体、PO−AGE二元共重合体等を配合しても良い。これにより、フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩の安定性をさらに向上することができる。ゴム成分以外の上記ポリマー成分は、ゴム成分100重量部に対して1重量部以上30重量部以下が好ましい。
【0022】
化学発泡剤は、発泡剤の種類や量、配合比率、あるいは発泡助剤の比率を変えることで発泡開始温度を調整できるという理由により、化学反応型の有機系発泡剤であるアゾジカルボンアミド(ADCA)及び/又は4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)であることが好ましい。これらを併用すると発泡ガスの発生曲線を調整することができる。その他、化学発泡剤としては、N,N−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)等が挙げられる。
【0023】
発泡助剤は、上記化学発泡剤の内、ADCAの発泡開始温度を低下させることができるという理由により尿素であることが好ましい。発泡助剤である尿素はADCAに対して用いるのが好ましく、OBSHのみで発泡させる場合には発泡助剤を配合しても良いし、配合しなくても良い。
【0024】
ゴム成分100重量部に対して、化学発泡剤が3重量部以上12重量部以下の割合で配合されていることが好ましい。上記範囲としているのは、上記範囲より小さいと発泡が不十分となり柔軟性が不足するためである。一方、上記範囲より大きいと発泡剤が加硫を阻害して加硫が不十分になり強度が不足するおそれがあるためである。さらには4重量部以上8重量部以下が好ましい。
これにより、柔軟性が向上し、転写ロール等に使用したときに、転写部材を押圧した時のトナー画像の乱れが生じにくく、良好な画像を得ることができる。
なお、発泡倍率(体積%)は100%以上500%以下,好ましくは200%以上300%以下が良く、発泡セル(気泡)は発泡層中に均一に存在しており、発泡セル径は10μm以上300μm以下、好ましくは20μm以上200μm以下であるのが良い。
【0025】
ゴム成分100重量部に対して、発泡助剤が12重量部以下の割合で配合されていることが好ましい。これは、12重量部より多いと加硫阻害を起こしやすいためである。なお、発泡温度を下げる効果を得るには1重量部以上配合するのが良い。
【0026】
ゴム成分としてEPDMを用いるのは以下の理由による。すなわち、EPDMは主鎖が飽和炭化水素からなり、主鎖に二重結合を含まない。このため、高濃度オゾン雰囲気、光線照射等の環境下に長時間曝されても、分子主鎖切断が起こりにくい。従って、複写機等の画像形成装置内でオゾンが発生してもオゾンによる劣化を低減することができ、得られる導電性発泡ロールの耐候性を高めることができる。
【0027】
EPDMとしては、そのジエン成分に特に限定はなく、エチリデンノルボルネン(ENB)、ジクロロペンタジエン(DCPD)、ビニルノルボルネン等が使用可能である。なお、EPDMは油展、非油展のいずれをも使用できるが、油展EPDMの場合、EPDMの重量とは、オイルを除いたゴム分のみの重量を指す。
【0028】
ゴム成分としてNBRを用いるのは、圧縮永久歪みや硬度を低くすることが可能であるためである。また、NBRはポリマー自体がイオン導電性を有している上に、本発明において添加する塩との相容性が高く、また、汎用ゴムであり原材料コストを抑えることができるため好ましい。なお、EPDMとの相容性の点から低ニトリルのNBRが好ましい。また、低ニトリルNBRを用いた場合、中高ニトリルや高ニトリルのNBRに比べて分子の運動性の温度依存を実用領域で小さくできるため、電気抵抗値の環境依存性を小さくできるという利点もある。その他、中ニトリル、中高ニトリル、高ニトリル、極高ニトリルの各種NBRを用いても良い。
【0029】
また、化学発泡剤を配合することで、ロールがスポンジ化され、JIS K6253に記載のタイプE デュロメータで測定した硬度が20以上40以下、好ましくは25以上35以下であるのが良い。転写ロールなどのニップ幅を必要とする部材にも応用することができる。これにより、導電性発泡ロールが静電潜像保持体に押しつけられた場合のニップ幅を大きくすることができる。
上記範囲としているのは、上記範囲より小さいと柔らかすぎて圧縮歪みが大きくなりすぎるためである。一方、上記範囲より大きいと硬すぎて剛直な感光体と接触した時の摩耗が大きく且つ画像上の欠陥が発生し易いことによる。
【0030】
発泡層は、JISK6262に記載の加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの永久ひずみ試験法において、測定温度70℃、測定時間24時間、圧縮率25%で測定した圧縮永久歪みの大きさを30%以下としている。これは、上記圧縮永久ひずみの値が30%より大きいと、寸法変化が大きくなりすぎて実用に適さないためである。発泡倍率や発泡形態によって幾分の差は生じるが、上記範囲としている。なお、好ましい範囲としては25%以下、さらに好ましい範囲としては20%以下である。
【0031】
導電性発泡ロールは、印加電圧1000Vでの電気抵抗値が10Ω以上10Ω以下であることが好ましく、さらには10Ω以上108.5Ω以下が良い。これにより、カラー複写機あるいはカラープリンタ用の現像ロール、帯電ロール、転写ロール等として特に好適に用いることができる。
【0032】
また、10℃相対湿度15%、32.5℃相対湿度90%の条件下で、印加電圧1000Vでの電気抵抗値R(Ω)を測定し、Δlog10R=log10R(10℃相対湿度15%)−log10R(32.5℃相対湿度90%)の値を1.4以下、好ましくは1.3以下とし、温度や湿度の影響を受けない導電性発泡ロールを実現している。
【0033】
本発明の導電性発泡ロールを得るために、必要に応じて加硫剤、充填剤等の各種添加剤を配合することができる.その他、オイル等の軟化剤、老化防止剤等を配合しても良い。
【0034】
加硫剤としては、特に、低電気抵抗を実現できるため、硫黄が好ましい。また、硫黄、有機含硫黄化合物の他、過酸化物なども使用可能である。有機含硫黄化合物としては、例えば、テトラエチルチウラムジスルフィド、N,N−ジチオビスモルホリンなどが挙げられる。過酸化物としてはベンゾイルペルオキシド、ジクシルペルオキシド等を挙げることができる。なお、これらのうち、加硫とともに発泡を行う場合には、加硫速度と発泡速度のバランスが良くなる点から硫黄を用いるのが好ましい。加硫剤の添加量は、ゴム成分100重量部に対して、0.5重量部以上5重量部以下、好ましくは1重量部以上3重量部以下がよい。
【0035】
また加硫促進剤を配合してもよく、消石灰、マグネシア(MgO)、リサージ(PbO)等の無機促進剤や以下に記す有機促進剤を用いることができる。
有機促進剤としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール系、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド等のスルフェンアミド系、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム系、チオウレア系等を適宜組み合わせて用いることができる。
また、加硫促進剤は、ゴム成分100重量部に対して、1重量部以上5重量部以下、さらには2重量部以上4重量部以下が好ましい。
【0036】
また、加硫促進助剤を配合しても良く、例えば亜鉛華等の金属酸化物、ステアリン酸、オレイン酸、綿実脂肪酸等の脂肪酸、その他従来公知の加硫促進助剤が挙げられる。
【0037】
本発明の導電性発泡ロールは、常法により作製でき、例えば、上記ゴム組成物(混合物)を所要の配合でオープンロール、バンバリーミキサー、ニーダー等のゴム混練装置に投入し、1〜20分程度混練りした後、単軸押出機でチューブ状に予備成形し、この予備成形品を160℃、10〜70分加硫したのち、芯金を挿入し表面を研磨した後、所要寸法にカットしてロールとする等の従来公知の種々の方法を用いることができる。混練物の加硫は、例えば、電気プレス機、缶加硫、電子線の照射等により行うとよい。加硫時間等の加硫条件は、ゴム成分、加硫剤、加硫促進剤等の種類や配合比、発泡剤と発泡助剤の種類と量によって異なるが、加硫試験用レオメータ(例:キュラストメータ)により最適加硫時間を求めて決めるとよい。また、加硫温度は必要に応じて上記温度に上下して定めてもよい。感光体汚染を低減させるため、なるべく十分な加硫量を得られるように加硫条件を設定することが好ましい。
なお、発泡体形成用未加硫ゴム組成物は、直接加圧水蒸気で加硫する加硫缶を用いて加硫することができる。
【0038】
成形は加硫前又は加硫と同時に行うことができる。例えば、混練物をロール形状の金型内に圧縮成形した後、金型を加熱することにより加硫する。またはインジェクション成形、トランスファー成形、押出成形により、チューブ状(ロール状)に成形しながら加硫を行ってもよい。
【0039】
導電性発泡ロールは、円筒状に成形された発泡層の肉厚が2mm〜8mm、好ましくは3mm〜5mmであるのが好ましい。これは、肉厚が上記範囲より小さいと適当なニップを得にくいためであり、上記範囲より大きいと部材が大きすぎて小型軽量化を図りにくいためである。
【0040】
導電性発泡ロールの機械的強度を向上させるため、あるいは未加硫状態での加工性を向上させるため、必要に応じて、電気抵抗に影響を与えない範囲内で充填剤を配合することができる。充填剤としては、例えば、シリカ、カーボンブラック、クレー、タルク、炭酸カルシウム、二塩基性亜リン酸塩(DLP)、塩基性炭酸マグネシウム、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム等の粉体を挙げることができる。充填剤を配合する場合、充填剤は導電性発泡ロール全体当たり30重量%以下とするのが好ましい。これは充填剤の配合はゴムの引っ張り強度及び引き裂き強度の改善には有効であるものの、余り多く配合するとゴムの柔軟性を大きく低下させるためである。
なお、チタン酸バリウムを充填材として使用し、本発明で用いているフルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩を併用した場合、チタン酸バリウムが導電性を向上させる働きをするためさらに好ましい。
【0041】
本発明の導電性発泡ロールは発泡層1層のみとしても良いし、発泡層以外に、ロールの抵抗調整や、表面保護等のために2層、3層等の複層構造としても良く、要求性能に応じて各層の配合、積層順序、積層厚み等を適宜設定することができる。なお、導電性発泡ロールは、ゴム成分のみならず全体として非塩素・非臭素系であることが好ましい。また、発泡層は最内層であるのが良い。芯金は、アルミニウム、アルミニウム合金、SUS、鉄等の金属製、セラミック製等とすることができる。
【0042】
また、本発明は、本発明の導電性発泡ロールを用いていることを特徴とする画像形成装置を提供している。上述したように本発明の導電性発泡ロールは、発泡層として適切な硬度を実現すると共に、各種物性値(硬度や圧縮永久ひずみ等)の悪化を抑制しながら抵抗調整を可能とし低い電気抵抗を実現している。さらに、特筆すべき特徴として、本発明の導電性発泡ロールは、主としてイオン導電により低抵抗化されており、しかも表面積が大きくなることから、一般には非常に実現の難しい導電性発泡ローラで、非常に小さい環境依存性を実現できている。よって、これを用いた画像形成装置は、主としてイオン導電により低抵抗化されたローラの抵抗が非常に小さいため、均一な画像を得られる。また、イオン導電主体で、かつ、発泡ロールにもかかわらず、抵抗値の環境依存性が小さいため、ローラの抵抗値変化をカバーするためにより大きな電源にする必要がなく、装置全体としての消費電力も小さくできる。さらに制御系をより簡略化できたり、開発時の環境試験を軽減することにより、開発の時間やコストをおさえたりもできる。硬度や圧縮永久ひずみが小さいため、まわりの部材への負担が小さく、より長時間に渡って安定した画像を供給する画像形成装置とすることができる。導電性ローラとしては、具体的には、感光ドラムを一様に帯電させるための帯電ローラ、トナーを感光体に付着させるための現像ローラ、トナー像を感光体から用紙または中間転写ベルト等に転写するための転写ローラ、トナーを搬送させるためのトナー供給ローラ等が挙げられ、導電性ローラの表面を被帯電体と接触させることにより、帯電又は放電が行われている。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の第1実施形態の導電性発泡ロール10を示す。導電性発泡ロール10は、導電性を有する円柱状のアルミニウム製の芯金2と、芯金2の外周面上に円筒状の導電性を有する発泡層1を備えている。発泡層1の中空部に芯金2が圧入して取り付けられている。
【0044】
導電性発泡ロール10は、ゴム成分として、非塩素・非臭素系であるEPDMとNBRとを重量比(EPDM:NBR)=(30:70)等にて混合した混合物100重量部に対して、フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩を0.01重量部以上20重量部以下含み、化学発泡剤を用いて発泡させた非塩素・非臭素系のゴム組成物を用いて形成された発泡層1を備えている。フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩として、ビスフルオロアルキルスルホニルイミドの塩及び/又はフルオロアルキルスルホン酸の塩、及び/又はトリス(フルオロアルキルスルホニル)メチドの塩を用い、さらに具体的にはこの塩としては、リチウム−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド及び/又はリチウムトリフルオロメタンスルフォネート、及び/又はリチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンを用いている。また、上記化学発泡剤としてADCA及び/又はOBSHを用い、発泡助剤として必要に応じて尿素を用いている。
【0045】
さらに、上記ゴム組成物には、加硫剤(硫黄及び/又はジクミルペルオキシド)、加硫促進剤(ジベンゾチアジルジスルフィド及びテトラメチルチウラムモノスルフィド)、無機充填剤(軽質炭酸カルシウム)、酸化亜鉛を各所要量で配合しており、組成物全体として非ハロゲン系としている。
【0046】
このゴム組成物を混練した後、押出機で円筒状に押出して予備成形し、これを所定寸法に裁断して予備成形体を得ている。この予備成形体を加圧水蒸気式加硫缶に投入し、化学発泡剤がガス化して発泡すると共に、ゴム成分が架橋する温度で加硫している。
【0047】
加硫処理の条件は、ゴム成分、化学発泡剤、発泡助剤、加硫剤、加硫促進剤等の添加剤の種類や配合比によって異なり、適宜調整される。この加硫成形された円筒形状の発泡層1の中空に金属製のシャフトからなる芯金(φ6mm)2を挿入し、研磨すると共にカットして仕上げている。
【0048】
導電性発泡ロール10は、上記化学発泡剤を配合し、スポンジ化することにより、JIS K6253に記載のデュロメータ タイプEで測定された硬度を40以下とし、1kV印加時の電気抵抗値を10Ω以下、圧縮永久ひずみを30以下としている。
【0049】
このように導電性発泡ロール10は、EPDMとNBRとを上記重量比にてブレンドしたポリマー100重量部に対して、フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩を0.01重量部以上20重量部以下含み、化学発泡剤を用いて発泡させたゴム組成物より成形されているため、塩素・臭素を含まず、電気抵抗の調整が可能で、かつ優れた物性(圧縮永久ひずみが低く、低硬度)を得ることができる。従って、複写機、ファクシミリ、プリンタなどの電子写真装置の現像ロール、帯電ロール、転写ロール等に好適に用いることができる。
【0050】
本発明の導電性ローラが用いられる画像形成装置として、図2に示すように、中間転写ベルトを用いたカラープリンター用の構造が挙げられる。本発明の導電性ローラを転写ローラとして用いている。本発明の画像形成装置であるカラー用プリンターは、転写ローラ1a、1b、帯電ローラ11、感光体12、中間転写ベルト13、定着ローラ14、4色のトナー15(15a、15b、15c、15d)、鏡16を備えている。
【0051】
このカラー用画像形成装置によって画像が形成される場合、まず、感光体12が図中の矢印の方向に回転し、帯電ローラ11によって感光体12が帯電された後に、鏡16を介してレーザー17が感光体12の非画像部を露光して除電され、画線部に相当する部分が帯電した状態になる。次に、トナー15aが感光体12上に供給されて、帯電画線部にトナー15aが付着し1色目の画像が形成される。このトナー画像は一次転写ローラ1aに電界がかけられることにより中間転写ベルト13上へ転写される。同様にして、感光体12上に形成されたトナー15b〜15dの各色の画像が中間転写ベルト13上に転写され、転写ベルト13上に4色のトナー15(15a〜15d)からなるフルカラー画像が一旦形成される。このフルカラー画像は二次転写ローラ1bに電界がかけられることにより被転写体(通常は紙)18上へ転写され、所定の温度に加熱されている定着ローラ14を通過することで被転写体18の表面へ定着される。なお、両面印刷を行う場合には、定着ローラ14を通過した被転写体18がプリンター内部で反転され、上記画像形成工程を繰り返し、再度裏面に画像が形成される。
【0052】
また、本発明の導電性ローラである転写ローラが用いられる画像形成装置として、図3に示すように、中間転写ベルトを用いず、転写ローラを用いたモノクロ(白黒)プリンター用の構造も挙げられる。本発明の画像形成装置である該モノクロ用プリンターは、転写ローラ1’、帯電ローラ21、感光体22、定着ローラ24、トナー25、鏡26を備えている。
【0053】
このモノクロ用画像形成装置によって画像が形成される場合、まず、感光体22が図中の矢印の方向に回転し、帯電ローラ21によって感光体22が帯電された後に、鏡26を介してレーザー27が感光体22上に露光される。その後、トナー25がそれぞれ必要に応じて感光体22上に供給され、トナー像が現像される。次に、感光体22上に現像されたトナー像が感光体22と共に回転し、感光体22と転写ローラ1’との間を通過する紙28に転写される。その後、紙28が図中の矢印の向きに搬送され、定着ローラ24にてトナー像が紙28に定着される。なお、両面印刷を行う場合には、定着ローラ24を通過した被転写体28がプリンター内部で反転され、上記画像形成工程を繰り返し、再度裏面に画像が形成される。以上の様に、複写機、プリンタ等の各種画像形成装置として用いることができる。
【0054】
なお、ビスフルオロアルキルスルホニルイミドの塩と、フルオロアルキルスルホン酸の塩と、トリス(フルオロアルキルスルホニル)メチドの塩とは併用しても良いし、単独で用いても良い。これらフルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩は、分子量1万以下の低分子量ポリエーテル化合物や低分子量極性化合物からなる群から選択される媒体を介さずに配合されている。また、化学発泡剤として、アゾジカルボンアミド(ADCA)と、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)とは併用しても良いし、単独で用いても良い。また、各種配合材料の配合種や配合量は適宜設定することができ
【0055】
以下、本発明の導電性発泡ロールの実施例1〜12および比較例1〜6について、詳述する。
実施例1〜12および比較例1〜6について、表1に記載の各配合を常法により混練、押出、加硫、成形加工、研磨して導電性発泡ロールを作製した。詳しくは、表1の各配合をニーダに投入し、1〜20分程度混練りした後、上記混練機から取り出し、オープンロール等を用いて未加硫配合ゴムをリボン取りした。未加硫リボンゴムを単軸押出機でチューブ状に押し出して予備成形体を得た。次いで、この予備成形体を加硫缶に投入して160℃、30分加硫した後、金属製のシャフト(径φ6mm)を挿入し、研磨、カットして導電性ロール(外径φ15mm、長さ230mm)を作製した。この各実施例および各比較例の導電性発泡ロールについて、下記の試験を行った。その結果を表1に示す。
【0056】
【表1】
Figure 0004143717
【0057】
上記各表中の上段(加硫促進剤まで)の数値単位は重量部である。また、略語DMはジベンゾチアジルジスルフィドを、略後TSはテトラメチルチウラムモノスルフィドを表す。発泡剤1はOBSHであり、発泡剤2はADCAである。発泡助剤セルペースト101とは尿素である。NBRは、アクリロニトリル量(中心値)18.0%の低ニトリルNBRである。
【0058】
表1中、フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩である、高性能イオン導電性添加塩1としてはリチウム−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを、高性能イオン導電性添加塩2としてはリチウムトリフルオロメタンスルフォネートを、高性能イオン導電性添加塩3としてはリチウム−トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンを用いた。
【0059】
また、表1中、比較例5にて配合されている非塩素系第4級アンモニウム塩としては、下記の化学式1からなる塩素を含まない構造のもの(KP4729、M:グルコン酸の陰イオン、花王(株)製)を用いた。
【0060】
【化1】
Figure 0004143717
【0061】
また、比較例6において配合されている、イオン導電性添加剤1として、アジピン酸ジブトキシエトキシエチルにリチウム−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを20重量%溶解分散させたものを用いた。
【0062】
(実施例1乃至実施例12)
EPDM及びNBRの混合物(ブレンドゴム)100重量部に、フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩を、0.01重量部〜20重量部混合し、化学発泡剤としてADCAあるいは/及びOBSHを用い、発泡助剤として必要に応じて尿素を用いて発泡させ、本発明の導電性発泡ロールを得た。
【0063】
(比較例1乃至比較例6)
比較例1〜3は、フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩の配合量が本発明の規定範囲外である点で本発明の範囲外の組成物である。比較例4はEPDMを用いずNBRのみとした。比較例5は、フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩のかわりに、非塩素系第4級アンモニウム塩である花王製KP−4729を用いている点で本発明の範囲外の組成物である。比較例6はフルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩として、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを用いているが、低分子量のエーテル構造をもつ極性化合物であるアジピン酸ジエトキシブトキシエチルを分散媒体として用いたために、圧縮永久歪みが本発明の規定の範囲外となった組成物である。
【0064】
上記のように作製した各実施例及び各比較例の導電性発泡ロールについて、下記の特性測定を行った。その結果を上記表の下段に示す。
【0065】
(電気抵抗値の測定)
温度23℃、相対湿度55%雰囲気下で、図4に示すように、芯金32を通した発泡層31を金属製円筒33上に当接搭載し、電源34の+側に接続した内部抵抗r(100Ω〜10kΩ)の導線の先端を金属製円筒33の一端面に接続すると共に電源34の−側に接続した導線の先端を発泡層31の他端面に接続して通電を行った。芯金32の両端部に500gずつの荷重Fをかけ、芯金32と金属製円筒33間に1kVの電圧をかけながら金属製円筒33を回転させることで間接的に導電性発泡ロール30を回転させた。このとき周方向に36回抵抗測定を行い、その平均値を求めた。この値は10の9.0乗以下であるのが適している。表中には、その常用対数値を用いて示している。
【0066】
(環境依存性の測定)
図4に示す装置を各測定環境に置き、印加電圧1000Vのもとで、10℃相対湿度15%(LL条件)あるいは32.5℃相対湿度90%(HH条件)の条件下でローラの電気抵抗値R(Ω)を測定し、Δlog10R=log10R(10℃相対湿度15%)−log10R(32.5℃相対湿度90%)の式に従い、環境依存性を算出した。なお、表中には、その常用対数値を用いて示している。
【0067】
(硬度)
23℃相対湿度55%の恒温恒湿条件下、500gの荷重をかけ、JIS K6253に記載のタイプEデュロメータにて硬度測定を行った。この硬度が40度以下であるのが適している。
【0068】
(圧縮永久ひずみ(圧縮歪)の測定)
JIS K6262「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの永久ひずみ試験方法」の記載に従い、測定温度70℃、測定時間22時間、圧縮率25%でその変化量を測定した。この値が30%以下であるのが適している。
【0069】
(感光体汚染試験)
導電性発泡ロールをヒューレットパッカード社製LaserJet4050型、レーザービームプリンターのカートリッジ(カートリッジタイプC4127X)にセットされている感光体に500gの荷重で押し付け、32.5℃90%RH下に2週間放置し、感光体表面の汚染を目視にて確認し、以下の様に評価した。
○:汚染なし
×:汚染あり
【0070】
(塩素あるいは臭素の有無)
導電性発泡ロールに塩素あるいは臭素が含まれている場合には「有」、含まれていない場合には「ナシ」と表1中に記載した。
【0071】
(オゾン劣化試験)
70℃、オゾン濃度50pphmの槽内に、96時間ローラを放置し、ローラ表面にオゾンによるクラックが生じるかどうかを調べた。クラックが無い場合は○、クラックが有る場合は×とした。
【0072】
(判定)
上記の全試験の結果を総合判断して、導電性発泡ロールとして実用上、優れている場合には○、実用に耐えない場合には×として表1中に記載した。
【0073】
表1に示される様に、実施例1〜実施例12の導電性発泡ロールは、電気抵抗値の常用対数の値が全て9以下であり、且つ、圧縮永久ひずみは全て30以下であり小さく、良好であった。さらに感光体汚染試験の評価も、全て○であり、感光体汚染が全くなかった。硬度も全て40以下であり、低硬度であった。
【0074】
このように、実施例1〜実施例12は全て、電気抵抗値が10の9乗以下に調整でき、圧縮永久ひずみが小さく、感光体汚染がなくて、低硬度であるという優れた特性を有していることが確認できた。
【0075】
さらには、実施例1〜実施例12は、塩素あるいは臭素を含有していないので、使用後の焼却等の処理時における塩化水素、臭化水素、ダイオキシン等の有毒ガスや有毒物の発生の問題がなく、環境に優しい点でも優れていた。
【0076】
そして実施例1〜実施例12の導電性発泡ロールにおいては、フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩を本発明の規定範囲内にて増量することにより、圧縮永久ひずみが小さく、感光体汚染がなく、低硬度である導電性発泡ロールにおいて、電気抵抗値をより低く調整することができる。
【0077】
一方、表1に示すように、比較例1、2は、フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩の配合量が規定量よりも少ないため、電気抵抗の値が10の9.0乗よりも高くなってしまった。また、環境依存性もやや大きかった。逆に、比較例3は、フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩の配合量が規定量よりも多いため、塩がブルームし感光体汚染が生じた。
【0078】
また、比較例4は、EPDMを用いなかったため、耐オゾン性が悪かった。比較例5はフルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩のかわりに非塩素系第4級アンモニウム塩を用いたため、所望の抵抗値を得るのに、大量に配合する必要が生じ、感光体汚染を生じてしまった。比較例6では、低分子量の化合物を塩の分散媒体として用いたために、圧縮永久歪みが悪化するとともに感光体汚染も生じてしまった。
【0079】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明によれば、発泡層において、化学発泡剤を配合することでスポンジ化して硬度を低減し、転写ロール等のニップ幅を必要とする場合に特に有効な硬度を実現すると共に、フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩を含有することで、各種物性値を低下させることなく、少量の添加で非常に大きく抵抗値を下げることができる。
【0080】
また、EPDMとNBRとをブレンドしたゴム成分を主成分として用いているので、耐オゾン性にも優れる上に、非塩素・非臭素系ゴムであるため、塩素・臭素成分が副反応を起こすことがなく、圧縮永久ひずみの低減と電気抵抗低値の低減を両立して実現することができる。さらに、使用後に焼却等の処理を行う場合においても、塩化水素ガスやダイオキシン等の有害物質を発生する恐れが無く環境にも優しい製品とすることができる。
【0081】
従って、本発明の導電性発泡ロールは、レーザービームプリンター、複写機、ファクシミリ,ATMなどのOA機器における電子写真装置等の導電性機構に好適に用いることができる。具体的には、トナーを感光体に付着させるための現像ロール、感光ドラムを一様に帯電させるための帯電ロール、トナー像を感光体から用紙に転写するための転写ロール、トナーを搬送させるためのトナー供給ロール、転写ベルトを内側から駆動するための駆動ロール等の導電性ロールとして極めて有用である。特に、ニップ幅を大きくすることができるため、効率良くトナー像を紙に転写することができ、転写ロールに好適である。
【0082】
また、本発明の導電性発泡ロールを用いた複写機やプリンタ等の画像形成装置は、主としてイオン導電により低抵抗化されているにもかかわらず、ローラの電気抵抗値の環境依存性が小さく、ローラの硬度や圧縮永久歪みも小さいため、均一な画像が得られるだけでなく、小さな電源で対応できることから画像形成装置全体としての消費電力をおさえることができる。さらには、制御系を簡略化できたり、開発時の環境試験を軽減することができるので、開発に要する時間やコストをおさえたりすることができる。また、ローラの周囲の部材への負担が小さい上に長期に渡って安定した画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の導電性発泡ロールの概略図である。
【図2】 カラー用画像形成装置の模式的正面図である。
【図3】 モノクロ用画像形成装置の模式的正面図である。
【図4】 導電性発泡ロールのロール電気抵抗の測定方法の説明図である。
【符号の説明】
1 発泡層
2 芯金
10 導電性発泡ロール

Claims (8)

  1. エチレン−プロピレン―ジエン共重合ゴムとアクリロニトリルブタジエンゴムとの混合物を含むゴム成分を主成分とし、該ゴム成分100重量部に対して、フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩を0.01重量部以上20重量部以下の割合で含有し、化学発泡剤を用いて発泡させた発泡層を備え、該発泡層はJISK6262に記載の「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの永久ひずみ試験方法」で測定温度70℃、測定時間24時間、圧縮率25%で測定した圧縮永久歪みの大きさが30%以下であることを特徴とする導電性発泡ロール。
  2. 上記フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩が、ビスフルオロアルキルスルホニルイミドの塩、フルオロアルキルスルホン酸の塩、トリス(フルオロアルキルスルホニル)メチドの塩からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属塩を含む請求項1に記載の導電性発泡ロール。
  3. 上記エチレン−プロピレン―ジエン共重合ゴムと上記アクリロニトリルブタジエンゴムの重量比が、(エチレン−プロピレン―ジエン共重合ゴム:アクリロニトリルブタジエンゴム)=(75:25)〜(20:80)である請求項1または請求項2に記載の導電性発泡ロール。
  4. 上記化学発泡剤が、アゾジカルボンアミド(ADCA)及び/又は4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)である請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の導電性発泡ロール。
  5. 上記アゾジカルボンアミド(ADCA)のみ、あるいは、上記アゾジカルボンアミド(ADCA)と上記4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)の両者、を化学発泡剤として用いると共に、
    発泡助剤として尿素を用いている請求項4に記載の導電性発泡ロール。
  6. 上記ゴム成分100重量部に対して、上記化学発泡剤が3重量部以上12重量部以下の割合で配合されている請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の導電性発泡ロール。
  7. 上記発泡助剤が12重量部以下の割合で配合されている請求項5または請求項6に記載の導電性発泡ロール。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の導電性発泡ロールを用いることを特徴とする画像形成装置。
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