JP4143331B2 - 多価アルコールのモノエステルの製造方法 - Google Patents

多価アルコールのモノエステルの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
(技術分野)
本発明は、多価アルコールのモノエステルの改良された調製方法、さらに詳細には、高モノエステル含有量を有する多価アルコールエステル混合物の調製方法に関する。そのような物質は、例えば、潤滑剤または燃料用の添加剤としての石油工業において、或いは化粧品または食品工業においての用途が見出されている。
【0002】
(背景技術)
多価アルコールの脂肪酸エステル類は、当該技術において周知である。そのような物質は、主として、下記の2つの経路により製造することができる:
酸と多価アルコールとの直接(‘エステル化’)反応
多価アルコールによる脂肪酸エステルのエステル交換。
両経路において、反応生成物は、多価アルコール上の存在し得るエステル化部位数さらには生成混合物中での個々のエステル異性体間およびモノエステルとポリエステル間の複合体均衡の結果として、典型的にエステル類の複合体混合物である。
ある用途においては、特定のエステル構造体が特に求められている。石油工業においては、ペンタエリスリトール、ソルビトール、とりわけグリセリンのような多価アルコールの脂肪酸モノエステルが、ある種の用途においてはとりわけ有効である。従って、費用高な反応後分離方法が不要となる程度に、優先的に所望エステル類を合成する方法が相変わらず求められている。
【0003】
米国特許第2,789,119号は、反応媒体としての第3級ブチルアルコールの使用を含む、天然産油類、油脂類または人工的に調製したエステル類におけるモノグリセライドの調製方法を開示している。この反応は、アルカリ触媒の存在下に40℃までの温度で行なわれており、数日間の反応時間の後、91%までの見掛けモノエステル純度(実施例1)を得ている。反応後、所望のモノエステルを、そのエステルの物理的性質によって可能である結晶化によって取出している。未反応グリセリンは水洗により除去され、水性相によって抽出除去されている。
米国特許第2,789,119号の各実施例が示しているように、所望モノエステル類の分離は、数日間を要する長時間の方法である(実施例2および3)。従って、高収率が得られているものの、その方法は経済的ではない。また、モノステアレートの方が、より可溶性であるモノオレートエステルに比較して高純度で得られている。
当該技術においては、経済的時間規模で進行し且つ多価アルコールのモノエステル、とりわけ不飽和酸とグリセリンのような多価アルコールとのモノエステルの調製を高収率および高純度で可能にする方法が求められている。
【0004】
(発明の開示)
従って、本発明は、
i) 1種以上の多価アルコールを天然または合成資源から誘導されたグリセリドエステル組成物と、反応媒体としての第3級ブタノールまたは第3級アミルアルコールおよび触媒の存在下に反応させること;
ii) 必要に応じて、触媒を中和すること;
iii) 第3級ブタノールまたは第3級アミルアルコールを除去すること;および、
iv) 未反応多価アルコールおよび存在し得る遊離グリセリンを生成物混合物から除去することを含み、
上記反応(i)において、多価アルコールが上記グリセリドエステル組成物に対して過剰の質量で存在すること;反応媒体対多価アルコールの質量比が、第3級ブタノールの場合は少なくとも0.8:1であり、第3級アミルアルコールの場合は少なくとも1.3:1であること;反応を、反応媒体の還流温度と少なくとも等しい温度および1バールを越える圧力で実施すること;および、触媒を、第1族および第2族金属の塩基性塩、および非金属窒素系塩基から選択することを特徴とする1種以上の多価アルコールのモノエステルの調製方法を提供する。
本発明の方法は、反応混合物中で高収率のモノエステルを高純度で提供する。とりわけ、本発明の方法は、過剰の多価アルコール反応物を使用することにより、米国特許第2,789,119号の長い結晶化時間を回避する。上記の好ましい温度および圧力条件、並びに触媒の選択も、経済的反応時間での高収率に寄与する。
【0005】
上記モノエステルの高収率調製方法は、グリセリドエステル反応物から遊離したグリセリン、またはグリセリンを多価アルコール反応物としても使用した場合の未反応の過剰の出発物質からのグリセリンのエマルジョン化の二次的問題も有する。多価アルコールのモノエステル類は、エステル生成物相内でグリセリンをエマルジョン化する著しい傾向を有する。モノエステルの収率が増大するにつれ、この二次的問題も、有意量のグリセリンがエステル相内に残存し、米国特許第2,789,119号に記載された通常の水洗方法によっては除去できない点までに増大する。グリセリンが多価アルコール反応物も構成する場合には、水相からグリセリンを回収する必要があることから、グリセリンのリサイクルも経済性を低いものとしている。
好ましい実施態様においては、本発明の方法は、多価アルコール除去工程(iv)を低滞留時間蒸発、好ましくは薄膜蒸留により実施するという追加の特徴によってさらに特徴付けられる。この蒸発工程は、過剰のグリセリンの効率的な除去を可能にし、水洗に伴うエマルジョン化なしで、エステル生成物中の遊離グリセリンに伴う欠点を軽減する。
【0006】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
プロセス条件
本発明の方法においては、多価アルコールは、好ましくは、アルコール対グリセライドエステルの質量比で測定したとき、少なくとも1.5:1、好ましくは少なくとも2:1である著しく過剰で存在する。
最低量の反応媒体(第3級ブタノールまたは第3級アミルアルコール)が、モノエステルの均質性と最高収率を確実にするために、多価アルコールの上記量に対して必要である。反応媒体(即ち、第3級ブタノールまたは第3級アミルアルコール)の選択は、周囲温度での溶媒性および取扱性のような実施上の要因に依存する。反応(i)は、好ましくは90℃以上、より好ましくは150℃を越えるような125度以上、最も好ましくは170℃以上の温度で実施する。この反応は、好ましくは3バールを越える圧力、より好ましくは7バールを越える圧力で実施する。
【0007】
反応(i)における触媒は、下記の塩基性触媒群より選択する:
例えば、炭酸、水酸化物、酸化物、アルコキシドまたは酢酸アニオンのリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウムおよびマグネシウム塩のような第I族および第II族金属の塩基性塩類。とりわけ、触媒は、炭酸リチウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムt-ブトキシド、酸化カルシウム、水酸化ナトリウムおよび酢酸ナトリウム;
好ましくは、DBU (1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ-7-エン)、テトラアルキルアンモニウムヒドロキサイド、水酸化コリン、重炭酸コリン、および他の強窒素系塩基から選択した非金属窒素系塩基。他の非金属塩基は、有効性が小さいことが判明しており、DBUが最も好ましい塩基である。
上記第1族からの触媒の中和は、通常必要である。しかしながら、上記第2族からの触媒は、中和なしで使用でき、リサイクルして繰返しの使用が可能である。DBUは、この点、とりわけ有利である。
触媒の選択は、本発明方法にとって重要である。とりわけ、酸触媒のような他の触媒は、エステル生成混合物の再平衡と高モノエステル含有量の喪失をもたらす。
本発明方法の好ましい実施態様においては、薄膜蒸発工程は、好ましくは160〜200℃の温度で、好ましくは0.5〜40ミリバールの減圧下に実施する。短い滞留時間は、蒸発器内でのエステル分解の可能性を最低限にするのに好ましい。
【0008】
反応物
本発明方法の全ての実施態様において、多価アルコールなる用語は、1つより多いヒドロキシ基を有する化合物を説明するのに使用する。多価アルコールは少なくとも3個のヒドロキシ基を有するのが好ましく、また、多価アルコールは生成物混合物から蒸留により除去可能であることが一層好ましい。
少なくとも3個のヒドロキシ基を有する多価アルコールの例は、分子中に3〜10個、好ましくは3〜6個、より好ましくは3〜4個のヒドロキシ基を有し且つ2〜90個、好ましくは2〜30個、より好ましくは2〜12個、最も好ましくは3〜4個の炭素原子を有するアルコールである。そのようなアルコール類は、脂肪族で飽和または不飽和の直鎖または枝分れであり得、或いはその環状誘導体であり得る。飽和の脂肪族直鎖アルコール類が好ましい。
有利には、多価アルコールは、グリセリンまたはトリメチロールプロパンである。最も好ましくは、多価アルコールは、グリセリンである。
グリセリドエステル反応物組成物は、好ましくは、植物油のような天然資源から誘導される。好ましい植物油は、モノカルボン酸、例えば、10〜25個の炭素原子を含有する酸のトリグリセリドであり、下記に示す一般式を典型的に有する:
【化1】
Figure 0004143331
(式中、Rは、飽和または不飽和であり得る10〜25個の炭素原子を有する脂肪族基である)。
【0009】
一般に、そのような油は多数の酸のグリセリドを含有し、その数および種類は、その油の資源植物によって変動する。
油類の例は、なたね油、コリアンダー油、大豆油、綿実油、ひまわり油、ひまし油、オリーブ油、ピーナツ油、とうもろこし油、アーモンド油、パーム核油、ココナツ油および芥子菜油である。グリセリンにより部分的エステル化された脂肪酸の混合物であるなたね油は、大量に入手可能であり、菜種からの圧縮による簡単な方法で得ることができることから、好ましい。
また、グリセリドエステルは、牛脂油または魚油のような動物資源からも誘導し得る。
グリセリドエステル組成物、とりわけ植物資源から誘導された組成物は、12〜22個の炭素原子を有する飽和および不飽和脂肪酸、例えば、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトオレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、ペテロセリン酸(petroselic asid)、リシノレイン酸(ricinoleic asid)、エレオステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコサン酸、ガドレン酸(gadoleic sid)、ドコサン酸またはエルカ酸(これらの酸は、50〜150、とりわけ90〜125のヨウ素価を有する)のトリグリセリドを含む。オレイン酸、リノール酸、リノレン酸およびエルカ酸の1種以上のトリグリセリドを主成分とする油類が、好ましい。
【0010】
(発明を実施するための最良の形態)
以下、本発明を実施例により説明する。
実施例 1 ( グリセリンモノエステルの調製 )
植物油(1.66 Kg)、グリセリン(3.51 Kg)、t-ブタノール(3.32 Kg)および炭酸リチウム(1.69 g)の混合物を、10バール(150 psi)の圧力のオートクレーブ内で、175℃で撹拌しながら窒素下に4時間加熱した。その後、反応器を室温に冷却させた。反応混合物の400 gサンプルに、0.114 gのシュウ酸を添加して触媒を中和した。t-ブタノールを減圧下に蒸留により除去した。次いで、グリセリンを、180℃の温度および1ミリバールの減圧下の薄膜蒸発器内で、蒸留により除去した。混合物の滞留時間を短く保って、モノエステルがジ-およびトリ-エステルに転化する傾向を最小化すると共に生成物中の残留グリセリンをできる限り低く、好ましくは1.5%より低く保った。それによって、過ヨウ素酸塩分析法により測定したとき、>90%の収率のグリセリンモノエステルを得た。
【0011】
実施例 2 (水洗によるエマルジョン化の例示)
実施例1からの反応混合物のさらなる200 gサンプルを同様にして中和し、t-ブタノールを蒸留により除去した。残存物質に、0.5 mlから20 mlまでの増分量の水を加えて、グリセリン/水相からのグリセリンモノエステルのびん利を試みた。全ての割合において、得られた混合物は、不可能ではないにしても、分離するのが極めて難しいエマルジョンを生じた。
実施例 3 および 4 (本発明のさらなる実施例)
実施例1からの回収グリセリンとt-ブタノールを、さらに処理することなく、新鮮植物油および新鮮炭酸リチウムとの第2反応において使用した。この反応を同じ方法で実施して、過ヨウ素酸塩分析法により測定したとき、>90%の収率でグリセリンモノエステルを得た(実施例3)。
実施例1の反応と同様なもう1つの反応を、触媒として炭酸リチウムの代りにDBU (1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデレ-7-エン) (7.55 g)を使用して実施した。400 gサンプルを同じ方法で処理し(この場合、0.212 gのシュウ酸を加えて触媒を中和した)、過ヨウ素酸塩分析法により測定したとき、>90%の収率でグリセリンモノエステルを得た(実施例4)。
【0012】
実施例 5 (溶媒として t- アミルアルコールを使用するグリセリンモノエステルの調製)
植物油(33 g)、グリセリン(70 g)、t-アミルアルコール(96 g)および炭酸リチウム(37 mg)の混合物を、180℃および約7.5バールで4時間加熱した。その後、混合物を約50℃に冷却し、これに、195 mgのp-トルエンスルホン酸を添加して触媒を中和した。t-アミルアルコールを減圧下に蒸発させ、残留物にトルエン(150 ml)を加えた。得られた混合物は、2つの相、即ち、上部相中に存在するグリセリンエステルおよび下部相中に存在する過剰のグリセリンの大部分を生成した。下部相を除去し、上部相からのトルエンを減圧下に蒸発させて、過ヨウ素酸塩分析法により測定したとき、>90%の収率でグリセリンモノエステルを含有する生成物を得た。
【0013】
本発明方法のモノエステル生成物の有用性を、本発明方法によって得た92%モノエステル生成物を低イオウジーゼル燃料用の潤滑添加剤として使用した下記の実施例により例示する。
環境に対する懸念により、燃料油をとりわけジーゼルエンジンのようなエンジンにおいて燃焼させるときの放出物中の有害成分を有意に低減させようという動きが生じている。例えば、二酸化イオウ放出物を最小限にする試みがなされている。結果として、燃料油のイオウ分を最小限にする試みがなされている。例えば、典型的なジーゼル燃料油は、過去、1質量%以上のイオウ(元素イオウとして)を含有していたけれども、現在では、0.05質量%まで、有利には0.01質量%未満まで、とりわけ0.001質量%未満までにイオウレベルを低減することが望ましいと考えられている。
上記の低イオウレベルを達成するために必要なさらなる燃料油の精製は、天然産極性成分レベルの低下を来たす。さらに、精製工程は、そのような燃料油中に存在する多核芳香族化合物のレベルも低下させ得る。
【0014】
ジーゼル燃料油のイオウ、多核芳香族または極性成分の1種以上のレベルを低減すれば、エンジンの注入システムを潤滑する燃料油の溶解性を低下させることになり得、その結果、例えば、エンジンの燃料注入ポンプは、エンジン寿命の比較的早期に欠損する。欠損は、高圧回転ディストリビューターポンプ、形列ポンプおよびインジェクターのような燃料注入系において起り得る。ジーゼル燃料油における貧弱な潤滑性の問題は、現在のエンジンよりももっと厳しい潤滑条件を有するであろうさらなる放出物低減を目的とした将来のエンジン開発によって悪化されそうである。例えば、高圧ユニットインジェクターの到来は、燃料油潤滑性条件を高めることが予想される。
同様に、貧弱な潤滑性は、燃料油本来の潤滑性に潤滑を依存している他の機械装置における磨耗問題をもたらし得る。
【0015】
グリセリンエステル類は、低イオウジーゼル燃料において使用しそのような燃料の潤滑特性を許容し得るレベルまで復活させるものと説明されている。本発明方法の生成物は、潤滑性改良剤として、とりわけ反応後の精製または分離工程を必要とすることなく、とりわけ良好な性能を示す。
さらにまた、本発明者等は、個々の分子内のエステル基の位置に依存する種々のモノエステル異性体を含有するモノエステル生成物混合物中で、種々の異性体が、この用途において種々の相対的有効性を有することを見出した。即ち、多価アルコール反応物の末端ヒドロキシ基がエステル化されている各モノエステル異性体は、内部ヒドロキシ基がエステル化されている各異性体に勝る増強された潤滑性能を示す。従って、例えば、多価アルコールがグリセリンである場合、グリセリン-1-モノオレートは、アナログであるグリセリン-2-モノオレートと比較したとき、増強された潤滑性能を示す:
【化2】
Figure 0004143331
【0016】
実施例 6 (モノエステルの潤滑性能)
本発明に従う燃料潤滑性の改善を立証するのに使用できる試験は、標準試験方法CEC PF 06-T-94またはISO/TC22/SC7/SG6/N188に記載されている高周波数往復リグ試験(即ち、“HFRR”)である。
要するに、HFRR試験は、燃料により潤滑化された往復金属表面上に生じた磨耗傷あと直径を測定し、ジーゼルエンジン燃料注入ポンプ内で観察される磨耗を模擬する。この試験においては、小さい磨耗傷あと程、少ない磨耗、即ち、改良された潤滑性を示す。
本発明方法の生成物(92%グリセリンモノエステル、なたね油反応物から誘導)を、低イオウジーゼル燃料中でHFRR試験した。未処理燃料と比較して、磨耗傷あとの明白な低減(燃料潤滑性の改善を示す)を、燃料が125 ppm (燃料の質量当りの質量百万分率)の上記生成物を含有した場合に観察した。
Figure 0004143331
【0017】
本発明方法の生成物は、燃料油用の1種以上の添加剤をそれ自体が含む組成物中に混入させることにより、燃料油用の添加剤として使用できる。そのような混入は、現存する組成物と或いはその諸成分とブレンドまたは混合して添加剤組成物を調製することによって達成できる。本明細書の定義における用語‘混入’は、本発明生成物と他の物質との物理的混合のみならず、本発明生成物の混入時または放置時に生じ得るあらゆる物理的および/または化学相互作用にも及ぶ。
多くの燃料油添加剤は、当該技術において公知であり、本発明生成物を混入する組成物を調製するのに使用できる。そのような添加剤としては、例えば、次のものがある:清浄剤、酸化防止剤、腐食抑制剤、曇り防止剤、乳化防止剤、金属不活化剤、発泡防止剤、セタン改良剤、燃焼改良剤、染料、パッケージ相溶化剤、別の潤滑添加剤および静電防止剤。寒冷流動改良添加剤も存在させ得る。
【0018】
濃縮物は、添加剤組成物製品をその相互相溶性溶媒中に混入することによって得ることができる。得られる混合物は、溶液または分散液のいずれかであり得るが、好ましくは溶液である。適切な溶媒としては、炭化水素溶媒のような有機溶媒、例えば、ナフサ、ケロセン、ジーゼル油および加熱用油のような石油画分;芳香族画分のような芳香族炭化水素、例えば、商品名‘SOLVESSO’として市販されている溶媒;並びに、ヘキサンおよびペンタンのようなパラフィン系炭化水素、およびイソパラフィン類がある。
さらなる溶媒としては、水素化デセン-1ダイマーまたはトリマーのようなアルケン類のオリゴマーまたは水素化オリゴマー類がある。また、アルコール類およびエステル類、とりわけ、少なくとも8個の炭素原子を有する液体アルカノール類のような高級アルコール類も有用である。とりわけ有用な溶媒は、イソデカノールである。そのような溶媒の混合物を使用して相互相溶性溶媒系を調製することもできる。
濃縮物は、80質量%まで、例えば50%の溶媒を含み得る。
濃縮物は、本発明の生成物の存在にかかわらず、組成物中に他の添加剤を共存させることにより、取扱性を与えるための溶媒量を必要とする場合に、本発明の生成物を燃料油に混入させる手段として、とりわけ便利である。しかしながら、単独の添加剤として本発明の生成物を含む濃縮物も、とりわけ、少量の添加剤を必要とし、添加剤を混入させるために存在する装置がそのような小容量を計量しまたは取扱うのに必要な精度を有しない場合に使用できる。
【0019】
従って、本発明のさらなる局面は、燃料の質量当り0.05質量%以下のイオウ濃度を有する液体炭化水素中留出燃料油中での、とりわけその潤滑性を改善するための本発明生成物、または上記添加剤組成物もしくは濃縮物の使用である。本発明は、燃料の0.05質量%以下のイオウ濃度を有する液体炭化水素中留出燃料油の潤滑性を改良する方法も提供し、その方法は、この燃料油に上記添加剤組成物もしくは濃縮物、または本発明生成物を添加することを含む。
燃料油組成物を上記添加剤または濃縮物組成物を混入して調製する場合、これら組成物各々の使用量は、所定量の本発明生成物を燃料油に確実に混入ようにする。しかしながら、例えば、添加剤または濃縮物組成物の量は、燃料の質量当り1〜5,000 ppm(活性成分)、とりわけ50〜500 ppmのような10〜2000 ppmの範囲である。

Claims (7)

  1. i) 1種以上の多価アルコールを天然または合成資源から誘導されたグリセリドエステル組成物と、反応媒体としての第3級ブタノールまたは第3級アミルアルコールおよび触媒の存在下に反応させること;
    ii) 必要に応じて、触媒を中和すること;
    iii) 第3級ブタノールまたは第3級アミルアルコールを除去すること;および、
    iv) 未反応多価アルコールおよび存在し得る遊離グリセリンを生成物混合物から除去することを含む1種以上の多価アルコールのモノエステルの調製方法において、
    上記反応(i)において、多価アルコールが、上記グリセリドエステル組成物に対して過剰の質量で存在すること;反応媒体対多価アルコールの質量比が、第3級ブタノールの場合は少なくとも0.8:1であり、第3級アミルアルコールの場合は少なくとも1.3:1であること;反応を、反応媒体の還流温度と少なくとも等しい温度および1バールを越える圧力で実施すること;並びに、触媒を、第1族および第2族金属の塩基性塩、および非金属窒素系塩基から選択することを特徴とする上記調製方法。
  2. 多価アルコール除去工程(iv)を、低滞留時間蒸発により実施することをさらに特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 低滞留時間蒸発が薄膜蒸発であり、薄膜蒸発を、160〜200℃の温度で実施する請求項2記載の方法。
  4. 多価アルコールがグリセリンである請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  5. グリセリドエステル組成物反応物が、植物資源油から誘導され、不飽和脂肪酸のグリセリドを含む請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
  6. グリセリドエステル組成物反応物を含む不飽和脂肪酸が、1種以上のオレイン酸、リノール酸、リノレン酸およびエルカ酸を含む請求項5記載の方法。
  7. グリセリドエステル組成物反応物が、なたね油である請求項6記載の方法。
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