JP4143070B2 - 新規酵素、その製造法及びそれを用いた分子量調整二本鎖dnaの製造法 - Google Patents

新規酵素、その製造法及びそれを用いた分子量調整二本鎖dnaの製造法 Download PDF

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Description

本発明は、サケ精巣等に由来する高分子量DNAを、二重らせん構造を保持した状態でエンド型に切断する酵素活性を有するヌクレアーゼ、その製造法及びそれを用いたDNA調製物の製造法に関する。本発明によれば、二重らせん構造を保ち、かつ一定の分子量分布を有する、機能素材として適したDNA断片調製物を生成することが出来る。
DNAは遺伝子そのものであり、構造上安定で規則正しい二重らせん構造を有している。その二重らせんの内側には、π電子に富んだ塩基が配列されており、導電性や分子が配向化する性質を有している。また、二重らせん構造により平面構造を有する物質を取り込むことができるインターカレート能を有している。
DNAは遺伝子研究用試薬、ヌクレオチド関連物質としての医薬品原料、健康食品などとして利用されている。近年では、DNAの有する二重らせん構造、導電性、インターカレート能を利用した有機導電性素材、非線型光学材料、記録素子、有機EL素子、有害物質除去剤、医療用素材等の機能材料への用途が注目され、更にその用途の様々な分野への拡大が期待されている。また、上記用途の中にはDNAの水溶性である性質が利用の妨げとなるものがあり、その場合には例えばカチオン性脂質と複合体を形成させることにより難水溶性とし、更に例えばフィルム状のような、目的に応じた形状に調製することができる。
特開平10-175994号公報には、細胞増殖抑制剤、DDS(ドラッグデリバリーシステム)、クロマトグラフィー担体等として有用な、DNA固定化複合体が開示されており、この公報の実施例においては、「ひも状DNA:ユーキファインズ株式会社」:サケ白子由来高分子量二本鎖DNAが利用されている。
DNAがこれらの機能素材として利用されるためには、高純度であること、二重らせん構造を保持していること、一本鎖部分が少ないこと、かつ目的に応じた分子量を有することが必要とされる。
機能材料に用いるためのDNAを調製するための原料としてはサケ等魚類精巣、ウシ胸腺等が候補として挙げられる。現在はそれらの原料から得られたDNAは研究試薬レベルでしか販売されていないが、近年各方面で大量精製技術が進められている。魚類精巣やウシ胸腺などのDNAの供給原料から所望とする分子量分布を有するDNAを調製する場合には、各種のDNAを切断する酵素が利用される。
DNA切断酵素としては、遺伝子組み換え等の分野で広く利用されている配列特異性を有する制限酵素がある。また、配列特異性がないエンド型のヌクレアーゼとしては、二本鎖用としてはウシ膵臓に由来するDNaseIが知られている。
特開2000-60559号公報には、ゲノムの切断を超音波処理等の塩基配列に依存しない切断方法に基づいて行うことにより、より均質なライブラリーを得るための方法が開示されており、基質の塩基配列に依存しない酵素的な切断方法として、DNaseIを用いた方法が記載されている。
特開平10-175994号公報 特開2000-60559号公報
本出願人は、サケ精巣を原料として二重らせんを保持する高純度で高分子量のDNAを大量に調製する方法を種々研究開発して確立するに至っており、そのDNAを原料として、機能材料としてのDNAを調製することを考えた。そのDNAは巨大な分子量を有することによって、扱い難いという問題がある。そのため、用途によっては機能材料として使用できない場合があるため、適度に低分子化する必要がある。DNAの低分子化の方法としては、酸分解、アルカリ分解及びヌクレアーゼによる分解が考えられるが、酸分解及びアルカリ分解は脱プリン、二重らせんの解離等のDNAのダメージが起こり、更に分子量のコントロールが困難であるため、適当ではない。一方、ヌクレアーゼによる分解は温和な条件で行なうことができるが、機能材料に適するDNA断片を得るには、二本鎖DNAをエンド型活性によって切断する性質を有する必要がある。その性質に該当するヌクレアーゼとしてウシ膵臓に由来するDNase Iが知られており、該酵素は遺伝子研究分野においてショットガンシークエンスの為のゲノムDNAライブラリーの作製に用いられている。しかし、該酵素は現在のところ研究試薬としての利用に留まっており、更に、ウシ由来であること、二本鎖DNAの切断には排水規制の対象であるMn2+を必要とすることより、産業としての利用分野が限られることが推測され、機能素材としてのDNAの製造には必ずしも適切な酵素ではない。そこで、二本鎖DNAをエンド型活性によって切断する性質を有するヌクレアーゼを探索し、その酵素によって高分子量DNAから機能材料としてのDNAを調製する方法を開発することにした。
そこで、本発明の目的は、安全性が認知され、酵素の大量生産が可能な微生物に由来する、二本鎖DNAをエンド型活性によって加水分解する新規なヌクレアーゼを提供することにある。また、本発明の他の目的は、この新規なヌクレアーゼの製造方法及びそれを利用したDNA断片調製物の製造方法を提供することにある。
本発明者らの研究の結果、Aspergillus melleusに由来するヌクレアーゼが二本鎖DNAをエンド型活性によって加水分解することを発見し、この酵素が高分子量DNAを適度な分子量に低分子化し、かつ低分子化したDNAが二重らせん構造を保持することが判った。本発明は、本発明者らによるかかる新しい知見に基づいてなされたものである。
本発明にかかるヌクレアーゼは、下記の物理化学的性質を有する。
(1)活性:DNA及びRNA分解活性を有し、二本鎖DNA、一本鎖DNA、一本鎖RNAの順に親和性が高い。二本鎖DNAをエンド型活性により低分子化し、Mn 2+ の存在下において、鎖長が5〜7のオリゴヌクレオチドが最も多い分解物を生成し得る。
(2)分子量:SDS-PAGE及びゲルろ過法により約25,000 Daと示される。
(3)至適pH:至適pHを7.5〜9.0に有する。
(4)至適温度:至適温度を40〜45℃に有する。
(5)カチオンの影響:Mg2+又はMn2+で活性が賦活され、EDTA又はリン酸により活性が阻害される。
(6)単量体からなる。
上記のヌクレアーゼは、Aspergillus melleusによって生産され、この真菌類の培養物から単離精製することができる。
本発明にかかる上記のヌクレアーゼを製造するための方法は、Aspergillus melleusを培養した培地から抽出した前記ヌクレアーゼを含む粗酵素液を精製して、前記ヌクレアーゼの精製品を得ることを特徴とする。
また、本発明にかかる二本鎖DNAの調製方法は、機能材料として必要な所定の分子量分布で二本鎖DNAを含むDNA調製物を得るための二本鎖DNAの調製方法であって、二本鎖DNAに上記物理化学的性質を有するヌクレアーゼを作用させて、所定の分子量分布で二本鎖DNAを含むDNA調製物を得る工程を有することを特徴とする二本鎖DNAの調製方法である。
本発明の酵素により、サケ精巣等に由来する高分子量DNAを分解して二重らせん構造を保ち、且つ一定の分子量分布を有するDNAを製造することが出来、そのDNA断片は例えばDNA-脂質複合体フィルムとして、例えば有機導電性素材、非線型光学材料、記録素子、有機EL素子、有害物質除去剤、医療用素材等の機能材料として用いることが出来る。
本発明にかかるヌクレアーゼは先に記載した物理化学的性質を有し、Aspergillus melleusの培養物から単離精製することができる。本発明に用いるAspergillus melleusの例としては、NBRC No.4420株又はNBRC No.7541株を挙げることができる。このNBRC No.4420株及びNBRC No.7541株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構(National Institute of Technology and Evaluation)のBiological Research Center(NBRC)から公的に入手可能である。
この菌株の培養はアスペルギルス属に属する微生物用の各種の培地が利用でき、例えば後述の実施例において用いられているふすま培地等の固体媒体を好適に用いることができる。目的とするヌクレアーゼの培養後の培地からの分離には、水抽出法等が利用できる。
培養物からの抽出物、例えば粗酵素液からの目的とするヌクレアーゼの単離精製は、各種の分離方法及びその組み合わせが利用でき、例えば、硫酸アンモニウム分画、陰イオン交換クロマトグラフィー、疎水相互作用クロトマトグラフィー、及びゲルろ過クロマトグラフィーなどの少なくとも1種を利用した精製工程によって行なうことができる。
本発明にかかるヌクレアーゼは、二本鎖DNAをエンド型に切断する酵素活性を有するものであり、原料DNAに作用させる条件、例えば、酵素濃度や反応時間を変化させることによって、得られるDNA断片調製物(各種分子量(長さ)の二本鎖DNAの混合物)に含まれるDNAの分子量分布を所望に応じて制御することができる。更に、この二本鎖DNAの切断においては、切断されるDNAは機能材料としての特性を維持して二本鎖の状態で切断され、得られたDNA断片調製物は機能材料の活性成分として好適に利用できる。特に、所定の分子量分布で二本鎖DNAを得ることができるので、機能材料の活性成分とした際に、所望の機能を、より均一かつ強力に得ることが可能となる。本発明にかかるヌクレアーゼによるDNAの切断は、ヌクレアーゼ活性が得られる反応媒体、例えば各種の緩衝液などを用いて行なうことができる。また、原料DNAの切断に使用する場合には、目的に応じた精製度のものが利用でき、場合によっては粗酵素の状態のものも利用可能である。
原料DNAとしては、サケ等魚類精巣、ウシ胸腺等からのDNAを用いることができる。
二本鎖DNAの機能としては、二重らせん構造の有する各種機能、例えば、導電性、インターカレート能などを挙げることができ、本発明のヌクレアーゼを用いて得られたDNA断片調製物は、かかる機能を利用した有機導電性素材、非線型光学材料、記録素子、有機EL素子、有害物質除去剤、医療用素材等へ利用可能である。なお、原料DNAに対する作用条件を、所望とする機能に適した分子量分布が得られるように設定して、本発明にかかるヌクレアーゼによる切断を行なう。その際、必要に応じて、種々の酵素を使用して、原料DNAをある程度の分子量範囲まで予め切断しておいてもよい。
以下に実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
(実施例1)
本発明酵素の製造方法
(1)酵素活性測定:
salmon sperm DNA(シグマアルドリッチ社)を基質として、基質分解によるOD260値の上昇から活性を算出した。1分間で反応液のOD260値を1上昇させる酵素量を1Uと定義した。
(2)粗酵素の取得:
Aspergillus melleus NBRC No.4420を600gのふすま培地(小麦ふすま:水=7:4)に接種し、25℃で6日間培養した。その培地から水抽出により酵素液2,500mlを得た。
(3)硫酸アンモニウム分画:
上記と同様な操作で得られた酵素液の70-90%飽和硫酸アンモニウム沈殿画分を回収、20mM Tris-HClバッファー(pH8.0)に懸濁し、同バッファーに対して透析を行なった。
(4)DEAE陰イオン交換クロマトグラフィー:
上記と同様な操作で得られた透析後の粗画分を、20mM Tris-HClバッファー(pH8.0)で平衡化したDEAE-TOYOPEARL(東ソー製)充填カラムに供し、同バッファーで溶出した画分をヌクレアーゼ活性画分として回収した。
(5)疎水性相互作用クロマトグラフィー:
上記と同様な操作で得られたDEAE-TOYOPEARL陰イオン交換クロマトグラフィーからの活性画分を、2M 硫酸アンモニウム/20mM Tris-HClバッファー(pH8.0)で平衡化したPhenyl-TOYOPEARL(東ソー製)充填カラムに供し、同バッファーで洗浄した。2Mから0Mの硫酸アンモニウム濃度直線勾配で溶出分画し、各画分のヌクレアーゼ活性を測定して活性画分を集めた。
(6)ゲル濾過クロマトグラフィー:
上記と同様な操作で得られた硫酸アンモニウム濃度直線勾配で溶出後の活性画分を、20mM Tris-HClバッファー(pH8.0)/0.15M NaClで平衡化したSephacryl S-200カラム(アマシャム製)に供し、同バッファーにより溶出分画した。各画分のヌクレアーゼ活性を測定して活性画分を集めた。
(7)RESOURCE Q陰イオン交換クロマトグラフィー:
上記と同様な操作で得られたSephacryl S-200クロマトグラフィーからの活性画分を、10mM Tris-HClバッファー(pH8.0)で平衡化したRESOURCE Qカラムに供し、0Mから0.4MのNaCl濃度直線勾配で溶出分画し、各画分のヌクレアーゼ活性を測定した。活性画分を18% SDS−PAGEで分離してCoomassie Brilliant Blue(CBB)染色により蛋白質を検出した結果、単一な標品にまで精製されていた。各精製ステップの活性回収率、比活性及び精製度を表1に示す。
Figure 0004143070
(実施例2)
本発明酵素の特性(1):
本発明酵素のRESOURCE Qクロマトグラフィー後の活性画分をSDS−PAGEに供し、CBB染色した結果を図1に示す。活性画分は単一バンドを示し、実施例1に示す方法で精製されることが示された。また、分子量マーカーとの比較により本酵素の分子量は約25,000Daと推測された。さらに、Sephacryl S-200クロマトグラフィーによる分離精製の際に分子量マーカー(ovalbumin、ribonuclease A、albumin、chymotrypsinogen A)の溶出容量を分析して分子量検量線を作成し、それを基に本酵素の溶出量から分子量を算出した結果、24,900 Daと推定されたことより、本酵素は単量体の蛋白質であることが示唆された。
(2)基質特異性:
salmon sperm DNA(シグマアルドリッチ社)、90℃で15分加熱変性したsalmon sperm DNA、及びRNA(関東化学製、酵母由来)を基質として本酵素の活性を測定した結果、salmon sperm DNAに対する活性は385.8 U/mg、熱変性DNAに対する活性は215.2 U/mg、そしてRNAに対する活性は25.8 U/mgであった(この試験に限り、ヌクレアーゼ活性は、基質である核酸が分解されることにより生じる酸可溶性ヌクレオチドを定量することにより測定し、1分間で基質より1μmoleのモノヌクレオチドに相当する酸可溶性ヌクレオチドを生成する酵素量を1 Uと定義した)。これより、本酵素は二本鎖DNAに対する親和性が最も高いことが判った。また、RNAよりもDNAの方が親和性が高いことが判った。
(3)二本鎖DNA分解産物の解析:
0.16 Uの本酵素を0.4 mgのsalmon sperm DNA(シグマアルドリッチ社)に2 mM MnCl2存在下でpH8.0、37℃で45分間反応させ、MCI GEL-CDR10カラム(三菱化学製)により核酸関連物質を分析した結果、デオキシリボヌクレオシド、デオキシリボヌクレオシド-1-リン酸及び核酸塩基のいずれも全く検出されなかった。また、TSK−GEL DEAE-NPRカラム(内径4.6 mm x 3.5 cm、東ソー製)により分解物の鎖長を解析した結果、ダイマー以上のオリゴヌクレオチドが検出され、特に鎖長が5-7のオリゴヌクレオチドが最も多く検出された。これらの結果より、本酵素は二本鎖DNAをオリゴヌクレオチドにまで加水分解することが判った。
(4)リン酸基付加位:
本酵素をsalmon sperm DNA(シグマアルドリッチ社)に過剰量作用させ、得られたDNA断片に5´-ヌクレオチダーゼまたは3´-ヌクレオチダーゼを作用させて、キャピラリー電気泳動により遊離リン酸を分析した。その結果、いずれのヌクレオチダーゼ消化サンプルからも遊離リン酸が検出されたことより、本酵素のDNA分解物にはリン酸基がデオキシリボースの5´-及び3´-位に付加していることが推測された。
(5)至適pH:
本酵素をsalmon sperm DNA(シグマアルドリッチ社)にpH4.0〜9.5、37℃で30分間作用させ、ヌクレアーゼ活性を25 mM Tris / HClバッファー(pH8.0)中で測定した。その結果、pH7.5〜9.0で最も高い活性を示した。なお、上記の4.0〜9.5のpH範囲は、pH4.0〜pH5.0を25 mM クエン酸 / 25mM クエン酸ナトリウムバッファーにより、pH5.0〜pH9.5を25mM 1-methyl-piperazine / 25mM Bis-Tris / 12.5mM Tris / HClバッファーにより調整した。
(6)pH安定性:
本酵素をsalmon sperm DNA(シグマアルドリッチ社)を0.1%含むpH3.0〜9.5のバッファー中で37℃で1時間インキュベートし、このインキュベート前後でのpH8.0、37℃における活性を25 mM Tris / HClバッファー(pH8.0)中で測定し、以下の式に従って活性の残存率を求めた。
残存率(%)=[(所定のpHでの処理後の活性)/(所定のpHでの処理前の活性)]×100
その結果、いずれのpHにおいても80%以上の酵素活性が残存した。
なお、上記の3.0〜9.5のpH範囲は、pH3.0〜pH5.0を25 mM クエン酸 / 25mM クエン酸ナトリウムバッファーにより、pH5.0〜pH9.5を25mM 1-methyl-piperazine / 25mM Bis-Tris / 12.5mM Tris / HClバッファーにより調整した。
(7)至適温度:
本酵素をsalmon sperm DNA(シグマアルドリッチ社)に20〜75℃、pH8で5分間作用させ、ヌクレアーゼ活性を25 mM Tris / HClバッファー(pH8.0)中で測定した。その結果、40〜45 ℃で最も高い活性を示した。
(8)温度安定性:
本酵素をsalmon sperm DNA(シグマアルドリッチ社)を0.1%含むpH8.0のバッファー中で20〜70℃で30分間インキュベートを行ない、このインキュベート前後でのpH8.0、37℃における活性を25 mM Tris / HClバッファー(pH8.0)中で測定し、以下の式により残存活性を求めた。
残存率(%)=[(所定の温度での処理後の活性)/(所定の温度での処理前の活性)]×100
その結果、30℃以下の温度ではインキュベート前後で活性の変化はなく活性が100%維持され、35℃以下の温度では活性が少なくとも80%維持され、40℃以下の温度では活性が少なくとも50%維持された。
(9)カチオンの影響:
本酵素を0.1% salmon sperm DNA(シグマアルドリッチ社)及び2又は20 mM MnCl2、MgCl2、CaCl2、CuSO4、Co(NO3)2、ZnCl2又はFeCl2を含むpH8.0のバッファー中で37℃で酵素反応させ、活性を25 mM Tris / HClバッファー(pH8.0)中で測定した。その結果、2mM MnCl2又は20 mM MgCl2添加の場合に活性の上昇が認められた。これらカチオン塩の至適添加濃度を調べた結果、MnCl2は2mMの添加により活性を103倍に上昇させ、MgCl2は40 mMの添加により活性を98倍に上昇させた。
(10)阻害剤:
本酵素を0.1% salmon sperm DNA(シグマアルドリッチ社)、2mM MnCl2及び0.125〜32 mMEDTA−2Na又は0.125〜32 mM PO43-を含むpH8.0のバッファー中で37℃で酵素反応させ、活性を25 mM Tris / HClバッファー(pH8.0)中で測定した。その結果、8 mM以上のEDTA-2Naにより本酵素の活性が99%以上阻害されることが判った。また、4 mM以上のPO4 3-により本酵素の活性が99%以上阻害されることが判った。また、本酵素を0.1% salmon sperm DNA(シグマアルドリッチ社)、2mM MnCl2及び阻害剤として4mM 5´-dAMP、5´-dCMP、5´-dGMP、5´-TMP、5´-AMP、3´-AMP、deoxyadenosine又はadenineを含む25 mM Tris / HClバッファー(pH8.0)中で37℃で酵素反応させ、ゲル濾過クロマトグラフィーでDNAの分解度を解析した。オリゴヌクレオチドを含むクロマトピークの面積をヌクレアーゼ活性の指標として阻害率を算出したところ、5´-dAMPが34.7 %、5´-dCMPが36.3 %、5´-dGMPが47.9 %、5´-TMPが37.7 %、5´-AMPが26.7 %、3´-AMPが38.5 %、deoxyadenosineが0 %、adenineが2.7 %であった。
(実施例3)
(1)本発明酵素を用いた二重らせん構造を有する分子量調整DNAの調製例その1:
シロサケ精巣から抽出精製した高分子量DNA 0.4 mgに0.064 Uの本発明酵素を、20 mM MgCl2を含むpH8.0のバッファー中で37℃で10〜60分作用させ、アガロースゲル電気泳動に供してエチジウムブロミド染色により二重らせんを有するDNA断片を検出した。その結果、反応時間10分で100〜10000 bp、15分で数十〜1000 bp、25 分で数十〜600 bp、35分で300 bp以下、45分で150 bp以下、そして60分で100bp以下の二重らせん構造を有するDNAが生成されることが判った。
(2)本発明酵素を用いた二重らせん構造を有する分子量調整DNAの調製例その2:
シロサケ精巣から抽出精製した高分子量DNA 100mgに1.6 Uの本発明酵素を、20 mM MgCl2を含むpH8.0のバッファー中で37℃で30分反応させた後、終濃度が20 mMになるようにリン酸ナトリウムを添加することにより反応を停止した。分子量カット100,000のUF膜で低分子物質を除去し、フリーズドライにより低分子化DNAを85 mg得た。アガロース電気泳動で分子量分布を解析した結果、主に100〜800 bpに分布することが判った。また、一本鎖DNA特異的ヌクレアーゼを用いて二本鎖率を測定した結果、基質DNAは85%、得られた低分子化DNAは71%であった。
(実施例4)
本発明酵素を用いて調製した二重らせん構造を有する分子量調整DNAの機能材料としての利用例:
シロサケ精巣から抽出精製した高分子量DNA 0.4 gに8 Uの本発明酵素を、20 mM MgCl2を含むpH8.0のバッファー中で37℃で20分反応させた後、終濃度が20 mMになるようにリン酸ナトリウムを添加して反応を停止した。この溶液とモル数にして1.2倍当量の脂質溶液(ジラウリルジメチルアンモニウムブロミド)を混合し、室温で1時間攪拌した。脱イオン水で未反応のDNAを除去し、凍結乾燥してDNA-脂質複合体を0.97 g得た。
このDNA-脂質複合体をクロロホルム・エタノール混合液(クロロホルム:エタノール=4:1)に所定濃度になるように溶解させた。クロロホルム・エタノール溶液を滴下したガラスシャーレ内にテフロンプレートを置き、その上に前記DNA-脂質複合体溶液を塗布した。1日静置後、乾燥したものを、DNAフィルムとして回収した。尚、DNAフィルムの調製法は岡畑らの方法[J. Am. Chem. Soc., 118(44), 10679(1996)]を参照にした。
RESOURCE Q分離活性画分のSDS-PAGEによる分析結果を示す図である。lane1はRESOURCE Q分離活性画分の展開領域であり、lane 2は各分子量マーカー(107、76、52、36.8、27.2、19 kDa)の展開領域である。

Claims (4)

  1. 下記の物理化学的性質を有することを特徴するヌクレアーゼ。
    (1)活性:DNA及びRNA分解活性を有し、二本鎖DNA、一本鎖DNA、一本鎖RNAの順に親和性が高い。二本鎖DNAをエンド型活性により低分子化し、Mn 2+ の存在下において、鎖長が5〜7のオリゴヌクレオチドが最も多い分解物を生成し得る。
    (2)分子量:SDS-PAGE及びゲルろ過法により約25,000 Daと示される。
    (3)至適pH:至適pHを7.5〜9.0に有する。
    (4)至適温度:至適温度を40〜45℃に有する。
    (5)カチオンの影響:Mg2+又はMn2+で活性が賦活され、EDTA又はリン酸により活性が阻害される。
    (6)単量体からなる。
  2. Aspergillus melleus由来である請求項1に記載のヌクレアーゼ。
  3. 請求項1に記載のヌクレアーゼを製造するための方法であって、
    Aspergillus melleusを培養した培地から抽出した前記ヌクレアーゼを含む粗酵素液を精製して、前記ヌクレアーゼの精製品を得ることを特徴とするヌクレアーゼの製造法。
  4. 機能材料として必要な所定の分子量分布で二本鎖構造を含むDNA調製物を得るための二本鎖DNA調製物の製造方法であって、
    二本鎖DNAに請求項1のヌクレアーゼを作用させて、所定の分子量分布で二本鎖構造を含むDNA調製物を得る工程
    を有することを特徴とする二本鎖DNAの調製物の製造方法。
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