JP4143002B2 - アルカリ蓄電池用極板の化成方法 - Google Patents

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本発明は、アルカリ蓄電池用極板の化成方法に関する。
各種携帯機器や非常時のバックアップ電源などに用いられている蓄電池として、ニッケル・カドミウムアルカリ蓄電池が知られている。このアルカリ蓄電池に用いられる正負極板は、ニッケル粉の焼結体に活物質を含浸充填してなる焼結式極板や、活物質粉末を増粘剤と混合してペースト状としこれをパンチングシートやエキスパンドシートに塗布してなるペースト式極板が用いられている。
以下、極板が焼結式であるアルカリ蓄電池を製造する場合について説明する。例えばニッケル等の金属製の基板を焼結して得られた多孔体状の焼結基板に活物質が充填された極板を形成し、この極板を化成槽に収容しアルカリ溶液中で充放電する化成工程を行い、アルカリ蓄電池を製造することが一般的である。
化成工程については、化成対象の極板と、対極のダミー金属板とを対向させることが知られており(特許文献1参照)、極板と金属板との間にセパレータを配置することも知られている(特許文献2参照)。また、鉛蓄電池に関する文献であるが、アルカリ蓄電池においても同様に適用可能であるとされている事項として、正極板と負極板とを交互に配置することも知られており(特許文献3参照)、生産性を向上させることを目的として、前述の各特許文献に記載された事項を組み合わせて、化成対象の複数の極板と、対極の複数のダミー金属板とを交互に配置し、極板と金属板との間にセパレータを配置することも行われる。
実開昭63−134464号公報 特開昭59−132565号公報 特開昭63−4552号公報
しかし、前述の特許文献1〜2の記載事項に基づいて極板等を配置して化成工程を行うと、生産性を向上させることが困難となる。また、特許文献3は鉛蓄電池に関する文献であるため、正極板と負極板とを交互に配置すること以外の事項はアルカリ蓄電池の化成工程にはそのままでは適用されない。
また、密閉形アルカリ蓄電池の製造においては一般に化成工程における負極板の化成終了時には所定容量の充電(以下、プリチャージとする)がされるが、前述の各特許文献の記載事項を組み合わせた事項に基づいて極板等を配置して化成工程を行うと、負極板の化成終了後のプリチャージ量が各負極板で不均一となり、特に両端の負極板において他の負極板よりプリチャージ量が多くなる傾向がみられた。この問題点を解決するための手法はいまだ確立されておらず、両端の負極板を廃棄することが最も効果的であるとされており、蓄電池製造の際のさらなる生産性向上の障害となっていた。
そこで、本発明は、化成工程における極板等の配置を最適化して生産性の向上を可能としたアルカリ蓄電池用極板の化成方法を提供することを目的とする。
請求項1の発明は、活物質が充填された複数の極板と、複数のダミー金属板とを交互に配置し、前記複数の極板と前記複数のダミー金属板との間にセパレータを配置した極板群を化成槽に収容してアルカリ溶液中で化成工程を行うアルカリ蓄電池用極板の化成方法において、両端部以外に配置される前記セパレータは、セパレータと前記極板との間、又は前記ダミー金属板との間に隙間を形成する構造を有するものとすると共に、両端部のダミー金属板と極板との間に位置するセパレータは、セパレータと極板およびダミー金属板との間に隙間が形成されない構造であることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記極板は負極板であることを特徴とする。
本発明によれば、両端部以外に配置されるセパレータは、極板とダミー金属板との間に隙間を形成する構造を有し、両端部のダミー金属板と極板との間に位置するセパレータは極板およびダミー金属板との間に隙間が形成されない構造とするため、化成後の各極板の性能の均一化を図ることができ、両端の極板を廃棄する必要がなくなるため、アルカリ蓄電池製造の際のさらなる生産性向上を図ることができる。特に極板が負極板である場合には、プリチャージ量が均一となる利点もある。
本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態であるアルカリ蓄電池の製造方法における極板群の配置の一例を概略的に示す斜視図である。
図1において、極板群1は、複数の極板2と、複数のダミー金属板3と、セパレータ4とを備えている。複数の極板2と複数のダミー金属板3とはダミー金属板3が外側になるように交互に配置されている。複数の極板2は極集電端子2aに接続され、複数のダミー金属板3はダミー集電端子3aに接続されている。セパレータ4は極板2とダミー金属板3との間に配置されている。6は化成槽、7は隙間である。
また、セパレータ4には、両端部に配置される端部セパレータ4aと両端部以外に配置される内部セパレータ4bの2種類がある。そして、内部セパレータ4bは、極板2との間およびダミー金属板3との間に隙間を形成する構造を有する。なお、極板2とダミー金属板3との間に形成される隙間7は、化成工程時に上下方向となっていることが、化成工程時に発生するガス等をより効率よく放出させることができる点で望ましい。
例えば、内部セパレータ4bの形状の例として、波型、リブ付きの形状などがある。図2に本発明の実施形態において用いられる内部セパレータ4bを極板2とダミー金属板3の間に配置した状態の一例の上面断面部分図を示す。図2において、内部セパレータ4bは、極板2にリブの先端を当接して配置したリブ付きの多孔板を用いた。リブ4cにより極板2とダミー金属板3の間に隙間7を形成している。なお、リブはダミー金属板3に当接する様にしても良いし、リブ付きの多孔板を互いにリブが向き合うように重ねこれを極板2とダミー金属板3間に配置して極板2とダミー金属板3間に隙間を形成する様にしても良い。
また、極板群1は、化成工程における極板2などの積層状態を維持するため、弾性を有する材料(例えば合成樹脂等)により形成されたベルト5により固定される。ベルト5で積層状態が固定された極板群1は、化成槽6内に収容され、例えば水酸化ナトリウム溶液などのアルカリ溶液中で化成される。
なお、実際の化成工程においては、多数の化成槽6を用いて、各化成槽6内の極板群1を直列接続して化成が行われる。図3は、本発明の実施形態であるアルカリ蓄電池の製造方法における化成工程の配線系を概略的に示す説明図である。
図3において、化成槽6が10個直列に接続され、一端側の化成槽6の極集電端子2aと他端側の化成槽6のダミー集電端子3aとの間に化成装置8が接続されている。化成装置8は、化成槽6内の極板群1を化成するための電源を供給する機能を備え、また極板2が負極板である場合には、極板2をプリチャージする機能をさらに備える。
以下、本発明の実施形態であるアルカリ蓄電池の製造方法の具体的一例を示す。化成する極板として焼結式カドミウム負極板を10枚用意し、ダミー金属板として無垢のステンレス板を11枚用意し、セパレータを介して交互に積層し、両端にダミー金属板が位置する様に極板群を構成し、合成樹脂製のバンドで収束して水酸化カルシウム水溶液が入れられている化成槽内に入れた。用いたセパレータは、合成樹脂製の板に多数の開口孔を形成した多孔板からなり、内部セパレータとして、内部の負極板とダミー金属板間には片面に縦リブが形成された合成樹脂製のリブ付多孔板にリブの無い平坦な多孔板を積層し、リブが負極板に当接する様に配置してリブにより負極板とダミー金属板間に隙間を形成した。また端部セパレータとして、端部のダミー金属板と負極板間にはリブの無い平坦な多孔板1枚を配置し、隙間が無いようにした。この様にした化成槽を図3に示す如く10個用い、互いに直列に接続して化成装置に接続し充放電電流を流して化成槽6内の負極板を化成した。そして化成工程の最後において負極板をプリチャージする工程を行った。
図4は、本発明の実施形態であるアルカリ蓄電池の製造方法における化成工程において負極板をプリチャージした結果を示すグラフである。図4は1個の化成槽6内の負極板10枚の各々のプリチャージ量を、0.2Aの放電電流で放電した時の放電時間に換算して示す結果であるが、従来の方法と比較して、各極板のプリチャージ量のばらつきが小さくなっており、特に両端付近で従来の方法よりばらつきが小さくなっていることがわかる。
従来の方法としては、上記実施形態における端部に位置するセパレータとして平坦な1枚の多孔板に変え、内部のセパレータと同様にリブ孔付きの多孔板と平坦な多孔板を積層し、リブが負極板に当接する様に配置して極板群を構成しこれを化成し、最後にプリチャージする工程を行ったものである。
この様に、本発明によれば特に端部極板のばらつきを少なくすることが出来る。
なお、本発明の実施形態は上述の例に限られることはなく、特許請求の範囲に記載された事項の範囲内において適宜変更が可能である。
本発明の実施形態であるアルカリ蓄電池の製造方法における極板群の配置の一例を概略的に示す斜視図である。 本発明の実施形態において用いられる内部セパレータを極板およびダミー金属板の間に配置した状態の一例を示す上面断面部分図である。 本発明の実施形態であるアルカリ蓄電池の製造方法における化成工程の配線系を概略的に示す説明図である。 本発明の実施形態であるアルカリ蓄電池の製造方法における化成工程において極板2をプリチャージした結果を示すグラフである。
符号の説明
1 極板群
2 極板
2a 極集電端子
3 ダミー金属板
3a ダミー集電端子
4 セパレータ
4a 端部セパレータ
4b 内部セパレータ
5 ベルト
6 化成槽
7 隙間
8 化成装置

Claims (2)

  1. 活物質が充填された複数の極板と、複数のダミー金属板とを交互に配置し、前記複数の極板と前記複数のダミー金属板との間にセパレータを配置した極板群を化成槽に収容してアルカリ溶液中で化成工程を行うアルカリ蓄電池用極板の化成方法において、
    両端部以外に配置される前記セパレータは、セパレータと前記極板との間、又は前記ダミー金属板との間に隙間を形成する構造を有するものとすると共に、両端部のダミー金属板と極板との間に位置するセパレータは、セパレータと極板およびダミー金属板との間に隙間が形成されない構造であることを特徴とするアルカリ蓄電池用極板の化成方法。
  2. 前記極板は負極板であることを特徴とする、請求項1記載のアルカリ蓄電池用極板の化成方法。
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