この発明は装飾食品、特に食品原料内部に流状食材を埋設した装飾食品とその製造方法に関する。
チョコレート中に酒、果実、木の実等の食材が内蔵されているチョコレートは存在している。一方、特開平9−23818のように、チョコレート表面が縞模様となっている複数種のチョコレート原料も知られている。
しかし、上記食材内蔵のチョコレートは食材とチョコレートを口中で同時に食する食感と風味とにおいて優れているものの、チョコレート自体は1種のものであり、味覚はもちろん外観を色彩る表面の装飾においても単純で面白さがなかった。これに対して、上記引用発明は2種のチョコレートを押し出し方向に縞状の模様を形成しているが、2種のチョコレート原料のうち一つは内部基体を形成し、他の一つは基体の表面のみに縞模様を形成しただけのものであり、口中に入れても初めは2種のチョコレートの混和した風味が得られるものの、口中において一定の味覚を最後まで堪能するということはできない。また、一種のチョコレートの基体表面に他種のチョコレートが付着しているということは、古くからあるビスケットなどの基体表面にチョコレートを付着したものと変わらず(変わっているのはモールド内への流し込みによって各種チョコレート表面が平滑であるということ)、模様を形成する点からもそのデザイン性において限界があった。なによりも、2種のチョコレート原料だけでは現在の多様化する需要者の要求に応じることができず、さらに特有な食感と風味のある装飾チョコレートには何か足りないものがあった。
一方、上記引用例のチョコレート充填装置としてのノズルは、中央部にある内筒の上から下方へある種のチョコレート流体原料を通し、これの周囲から別種のチョコレート流体原料を前記内筒と外筒内に送り出すことで、平滑な縞状の模様を形成できるようにしたものであるが、縦長筒状のものを用いているために、装置稼動後に各筒状の清浄と目塞りの回避作業はもちろん、メンテナンスにおいても複雑でコスト高になるという欠点を有する。また、上記したようにこのノズルでは一種のチョコレート原料と他種のチョコレート原料の関係が、基体とその添着物といった主従の関係にあり、装飾模様を形成する上で制限がある。
特開平9−23818号公報
この発明の意図するところは、ノズルを従来のものに較べて極めてコンパクトにし、しかもそのコンパクトにした中で多様な装飾模様を形成するように設計した装飾食品を製造するためのノズル構造と、その構造を用いた装飾食品の製造方法を提供する。また、このノズルとしては、各流動性食品材料をノズル内の各別の通路を通し、ノズルから吐出させた後にモールド等で一体成形することで、予め設定した模様を形成することができる装飾食品とその製造方法を提供せんとする。さらに、ノズル片を2枚以上重ねることで次第に同種の流動性食品材料の流体原料を多数に分岐していき、この分岐したノズル出口の配列によって想定した押し絵のような装飾食品を製造するためのノズル構造と、その構造を用いた装飾食品の製造方法を提供する。
この発明は、上記課題を解決したもので、その要旨は複数種の流体原料から装飾食品を製造するために用いるノズル取付基板11と複数のノズル片12,13とからなるノズル部の構造であって、前記ノズル取付基板に、複数の流体原料A,Bを各別に案内する、第1の通路11a,11bと、該各通路にそれぞれ設けた上孔11a’,11b’とを配置し、前記ノズル片12に、前記上孔11a’,11b’より送り出された流体原料A,Bを各別に受け容れて区割りされた第2の通路12a,12bと、前記ノズル片13には、前記それぞれの下孔12a’,12b’から送り出された前記流体原料A,Bのいずれか一方を受け容れる上記ノズル片13に設けた上記ノズル片12の下孔12a’と同数の下孔13aと、前記下孔12b’から送り出された流体原料の他方を受けて水平方向に案内することで、前記下孔13a間に前記12b’より多数の下孔13b’を配置することにより、前記下孔13aと13b’から流体原料A,Bを下方のモールドに同時落下してせめぎ合いによりモールド15内で予定された領域に模様を形成するようにした装飾食品を製造するためのノズル構造にある。
ここで、上記多数区分される模様は少なくとも2区分以上からなり、各区分の関係はノズル径などが等しければ等分された領域の食品模様が得られるが、ノズルストローク或はノズル径を大きくあるいは小さく、それぞれをコントロールすることで各領域にある流動性食品材料の量を変えることもできる。
また、流状食材としてはワイン、リキュール、果実酒などの酒類、別のチョコレート、ゼリー、あんこ、イチゴ・マーマレイドなどのジャムなどの粘性のものの他に、ミルク、コーヒー、ジュースなど液状のものの一つ以上から選ばれた単一種又は複数種のものがある。また、装飾食品の模様を、逆円錐や逆台形のモールドを用い、したがってこれらのモールドは流動性食品材料の流体原料を入れる開口部により次第に縮径しているので、モールド内に複数押し出された流動性食品材料の流体原料はモールド底部に行くにしたがって縮径になり最も低いところでは尖っているために、複数の流動性食品材料の流体原料は開口部から底部に向かって次第に狭くなり最底部は一点に集中して傘状を形成することもある。さらに、ノズルから各別に押し出された複数種の流動性食品材料の流体原料は暈し板によって各流動性食品材料の流体原料の境界部分、すなわち模様際が暈されて趣きのある全体模様の装飾食品とその製造方法が得られる。
上記流状食材を複数の流動性食品材料中に埋設するには、ノズル部のノズル取付基板とノズル片において、それぞれの上孔と下孔とは別個に、例えばノズル取付基板とノズル片の中央部に直線上の食材導孔を設けて、これより流状食材を埋設するようにしてもよい。また、食材導孔をノズル取付基板に設けた流動性食品材料の流体原料を押し出す上孔を兼用する上孔と、前記ノズル片に設けた流動性食品材料の流体原料を拡散する下孔とは別個に設けた下孔を直線上、たとえば鉛直線上に設けることにより、これら上孔と下孔を通して流状食材を流動性食品材料の流体原料中に流下させて流状食材を該食品原料中に埋設させることもできる。
この発明の前記以外の要旨として 複数種の流体原料をモールドへ充填する工程と、充填した流体原料を固化する工程と、固化した食品材料をモールドより取り出す工程とからなる装飾食品の製造方法において、 前記充填工程が、ノズル取付基板11とその下部に設置している複数のノズル片12,13を用い、前記ノズル取付基板11の第1の通路11a,11bから複数の流体原料を下部ノズル片12,13に各別に送り出す工程であって、前記第1の通路11aからの流体原料Aは、下部ノズル片12の外側にある第2の通路12aを経てその第2の通路に配した多数の下孔12a’から下部ノズル片13の下孔13aを通してモールド15へ押し出す工程と、前記流体原料Aとは別の流体原料Bを、下部ノズル片12の内側にある第2の通路12bを経て、複数の下孔12b’から下部ノズル片13にある第3の通路を略放射状に拡張して前記下部ノズル片13の下孔13aに各隣り合わせて配設した多数の下孔13b’から前記モールド15へ同時に押し出す工程と、を含む装飾食品の製造方法がある。
上記ノズルから多数の条状に押し出す状態の流動性食品材料の流体原料は各ノズル孔が隣接する他の孔と接していないので、吐出中は非接触状態になり、条状のものであり、これを途中のホッパーか、直接モールド内に落下させることで、各別のノズルからの条状流動性食品材料は、接触一体化し、モールド内で固化して装飾模様を形成する。流状食材を流動性食品材料中に埋設するには、充填装置をコントロールする制御部において、まず各種入り混じった複数の流体原料をモールド内に吐出し、この吐出の途中から流状食材を流動性食品材料の流体原料の中央部に吐出し、その後も、前記条状に押し出す工程を継続することでこれらを同時に流下することにより達成することができる。
この発明の装飾食品は、モールドの内面形状に合わせて流動性食品材料の流体原料を押し出し方向に多数区分し、その押し出し方向にクロスする断面を略同一割合のものにしたので、従来の基体食品の周面のみに別の食品を配置した2種の食品に較べて最初から最後まで一定の複数種の食品の混合味を食することができる。さらに、この発明では複数種の流動性食品材料内部に別の流状食材を備えることで、従来にない新しい味覚と食感が加わった装飾食品とその製造方法が得られる。
また、この発明の装飾食品の複数種の関係は主従の関係ではなく、複雑な模様でもノズル片の下孔で押し絵のような装飾が得られ、従来品に較べて全く違った高級感のある模様が得られ、付加価値を有する。
さらに、装飾模様はモールドの開口部が逆テーパーでない限り型抜きができ、特に逆円錐形のものであっても縞模様は最底部で一致するまで略均等模様が得られる。
この発明であるノズル取付基板と、これに平面状に拡散する通路を設けた1枚以上のノズル辺とを重ねることで、上下の厚さをコンパクトにし、しかもコンパクトでもかなり複雑な模様と内部流状食材を埋設した装飾食品とその製造方法が得られる。
また、このノズルを用いれば、ノズルの下孔をモールドへの押し出し領域と合わせることによって押し絵のような複雑な模様も仕上げることができる。特に、ノズル片を2枚以上重ねると、さらに多数の下孔が分岐され複雑な模様が得られ、その中に流状食材を入れることもできる。
この発明では、ノズル片とモールドとの間に有孔板を配設することで、各隣接模様間に暈し模様を与えることもできる。
この発明における複数種の流動性食品材料からなる装飾食品の一つである装飾チョコレートは、普通のチョコレート色(褐色)とホワイト色、または各種食品用天然又は人工の食用着色料を入れた2種以上のチョコレート等の2色以上のチョコレートを組み合わせた表面凹凸または表面の平坦な模様からなる。チョコレート流体原料は、通常チョコレート流体原料と略同じ粘度と温度でテンパリングされるが、ノズル孔を通すある程度の粘度であれば支障ない。
モールドは、ポリカーボネートなど熱に強く、軽くて成形性に優れ、強靭な樹脂から選ばれた上部開口部を有する器状のもので、そのモールド内はノズルから投入された流動性食品材料の流体原料の量と位置及び数によって複数種の流動性食品材料の占める大きさ、形が決まり、全体としての装飾模様が形成され、模様際は互いの流動性食品材料同志の結晶により一体化が図れる。
装飾模様はノズルの押し出し方向に沿って多数縞状に区分されて吐出し、かつその縞状模様が押し出し方向とクロスする方向であれば、いずれの断面も略同一割合で一体に形成されているものであり、これら全体をモールドの開口部を除く内面の形状とともに鳥、動物、人物、種々のキャラクター、その他の形態に仕上げる。
装飾食品の全体形状は、平面丸形、角形で所定厚さの板状のものに限られず、開口部より底部を縮径にした逆三角錐のモールドを用いた三角錐状のものなど、モールド内で固化した食品がモールド側壁を逆テーパにする場合などにより型抜きできない場合を除き、表面凹凸を鳥や動物などの形態に則した種々のものに仕上げることもできる。
また、上記装飾食品の形状はモールド上に設置した1個のノズルに対する1個のモールド内に1個作ることはもちろん、1個のモールド上に複数のノズルを配置して、同時押し出しにより、複数の同一パターンの繰り返し模様を作ることもできる。これらの場合、流動性食品材料の流体原料の粘度等の性質は、いずれのノズルから押し出されるものも同一にすることが同一パターンの繰り返し模様を設けるといった設計上、あるいは充填装置にある流動性食品材料の流体原料の容器部を一つにできるといった設備の単純化と経済性の上でメリットがあるが、各ノズルから押し出される流動性食品材料の流体原料の粘度が異なるものであっても、定量で複数ノズルからモールド内に押し出すものであれば、モールド内の模様全体としては同一のものが成形できる。
したがって、装飾模様はモールドに注入される少なくとも2種以上の流動性食品材料の流体原料をモールド内の所定領域に常に一定の模様が現われるように配置しているもので、ノズルからの押し出し方向にクロスする交差断面において同一あるいは少なくとも同一の割合(縮尺又は拡大)で現われる。
また、上記装飾食品における押し出し方向に略区分された模様際を暈すということは、流動性食品材料の流体原料がモールドの所定領域に収まる前に各隣接する箇所における色の異なる流動性食品材料の流体原料を混合させて色調を曖昧にしたことを示す。
なお、モールド内の一部又は全部に食用印刷模様をシルク印刷などで直接印刷するか、フィルム製の転写紙として印刷したモールド底の模様を流動性食品材料に転写するなどして、さらに複雑な装飾模様を施すこともできる。
装飾食品に埋設する流状食材としては、リキュール・ウォッカ・ワイン・ウイスキーなどの酒類、ストロベリー・ぜりー・あんこなどのペースト状(粘性を有する)のもの、その他メロン・リンゴ・バナナ・パイナップルなどのジュース等の流状食材が考えられる。
装飾食品装置における充填装置は、流動性食品材料の流体原料を収容する容器部(図示せず)と、この容器部から上記流体原料をシリンダで定量ずつ送り出すノズル部(図示せず)からなる、既に実用されている装置であり、この発明の特徴とするところはこのうちのノズル部の構造にある。
詳しくは、ノズル部はノズル取付基板とその下部に設置しているノズル片に特徴があり、前者の取付基板はダイカストもしくは切削加工など一体成形で作られ、ノズル部の下部との間にノズル部より送られてくる複数の流動性食品材料の流体原料を通す第1の通路を各別に設け、それぞれには1以上の上孔を貫通して設けることにより、上記流体原料を下方のノズル片へ送り出すように構成している。後者のノズル片は、上記取付基板から来た上記流体原料を受けて通す第2の通路を取付基板との間に設け、この第2の通路では上記流体原料を水平方向に移動し、拡散し、第2の通路に貫通して設けた上記上孔より多数の下孔から下方のモールドに落下するように構成する。
上記ノズル片は平板状の1枚より、2枚以上重ねることで、第3の通路によりさらに上記流体原料を拡散し、上記下孔より多くの下孔からモールド内に吐出することでさらに複雑な装飾模様食品を現出させることができる。ノズル片の下孔の位置、径の大きさ、形状などにより相対するモールドとの関係で様々な模様を設計することができる。
上記食材導孔は、上記ノズル取付基板とノズル片を上下に貫通状態で配置されていることで、下方のモールド内の複数の流動性食品材料の流体原料中に埋設するようにしている。この食材導孔は、上記上孔と下孔と同じ直線上に別個に設けても、また上記上孔と上記下孔とは別個に設けた上記上孔と直線上に配設した小孔とから構成してもよい。
この発明である装飾食品の製造方法では、制御部(図示せず)において、タイミングを図り、まず充填装置のノズル片の周囲から複数種の流動性食品材料の流体原料を条状に押し出す工程と、タイミングを少し遅らせてこの工程の途中より食材導孔を通して流状食材を吐出する工程と、この吐出後にも前記条状に流動性食品材料の流体原料を押し出す工程を継続することによって流状食材を装飾食品中に配することができるようにした。
この発明に用いる流動性食品材料としては、チョコレートの他に、ようかん、キャンディー、アイスクリーム、チーズ、ゼリー、カステラ、かまぼこなど初め流動性で、その後固化あるいは半固化状態で容器に収容される食品を含む。
なお、本明細書中における「チョコレート」は、準チョコレート、チョコレート菓子、準チョコレート菓子等の製品を含む広義のチョコレートをいう。
以下、この発明をその代表的実施例として装飾チョコレートをもって添付図面に基づいて説明するが、この発明はチョコレートに限定されるものではない。
尚、図中に示した各装飾チョコレートは、各モールドによって成型されたものを裏返した状態で示しており、その底面を除く表面がその製造に用いたモールドの内周面の一部又は全部に対応し、またその底面がその製造に用いたモールドの内周面部分を除く開口部分に対応する。各実施例においてチョコレートを説明するにあたっては、上述したように裏返した状態で示したものを基準に説明する。
図1(a)〜(c)に示す充填装置の容器部(図示せず)と連設するノズル部は、モールド15(図1(e))に注入される少なくとも色調が異なる白と褐色(チョコレート色)の2種のチョコレート流体原料A,Bによって模様が施され、図2(a)〜(f)に示すような装飾チョコレート10を製造する。そして、このノズル部はノズル取付基板11と、その下部にビスで取り付けた二枚のノズル片12,13とからなる。
詳細には、このノズル取付部11は、上記容器部からのチョコレート流体原料A,Bを水平方向に各別に案内するための第1の通路11a,11bと、これらの通路にそれぞれ穿設された上孔11a’,11b’を備える。また、ノズル片12は、上記上孔11a’,11b’から送り出されたチョコレート流体原料A,Bを受け容れ、水平方向に案内する同心円状に区割りされた第2の通路12a(外側),12b(内側)と、これらの通路にそれぞれ穿設された下孔12a’(等間隔に位置する8個),12b’(相対向位置に各1個)とを備え、さらにノズル片13には上記下孔12a’の直下に穿設し、同孔から送り出されたチョコレート流体原料Aを直接通す8個の下孔13aと、上記下孔12b’から送り出されたチョコレート流体原料Bを受けて水平放射線方向に拡散する第3の通路13bと、その先部に穿設した8個の下孔13b’とを有する。
一方、前記ノズル取付部には第1の通路11cと同通路に穿設した上孔11c’とを備え、ノズル片には上孔の直下のノズル片12の中央部に貫通した下孔12cと、さらにその直下のノズル片13の中央部に貫通した下孔13cとを備える。
このように、第1乃至第3の通路11a,11b,12a,12b,13a,13bは、チョコレート流体原料AとBを水平方向に個別に案内するための区画室としてそれぞれが機能し、上孔と下孔は上記通路から下方へ送り出す機能を有し、この小孔を交互に配設したりすることで縞模様を、また配置次第では例えば白と褐色の配置によって褐色のバックに白色の模様を作ることもできる。
ノズル片13のすぐ下方には、漏斗状のホッパー14を配置し、さらにその下には逆錐円の穴を設けたモールド15を別に設置した無端状自動コンベアで間欠的に送られてくるようにしている。なお、図の(f)に示すイとロは、装飾チョコレートとして予め想定した縞模様を得るためにモールド上の交互に配したチョコレート流体原料AとBの区分領域である。
つぎに、上記装置を用いて、この発明の装飾模様チョコレートの製造方法を以下に説明する。
まず、充填装置のチョコレート流体原料AとBの2個設置された容器部からシリンダにより所定量づつAとB別にノズル部に送られ、ノズル取付基板11の第1の通路11a,11bに至り、それぞれ各1個宛有する上孔11a’,11b’から下部のノズル片12に送り出される。つづいて、上孔11a’からノズル片12上へ送られたチョコレート流体原料Aは外側の第2の通路12aにおいて押し出された圧力で通路内を左回りと右回りに弧状に拡張し、等間隔に配した8個の下孔12a’から隙間なく密着している下部のノズル片13の同位置に対応した8個の下孔13aからホッパー14へと押し出される。
一方、上孔11b’からノズル片12上へ送られたチョコレート流体原料Bは内側の第2の通路12bにおいて左及び右廻りに送られて2個の下孔12b’から下部のノズル片13にある略放射状の第3の通路13bより拡張して、さらに上記下孔13aに各隣り合せて設けた8個の下孔13b’よりホッパー14へと送り出させる。
しかして、13aと13b’から白色と褐色の各8本の計16本で落下するチョコレート流体原料は、漏斗状のホッパー14において隣り同志が接触してから底孔により圧縮された太い棒状になってモールド15上に落下する(X方向)が、ペースト状であるために落下後は次第に膨らんでモールドの最底部では白と褐色のチョコレート流体原料AとBは接触状態にあるが、上方に至るにつれて径が大きくなるモールドの円錐形と合致するように広がり、しかも上方のホッパーから次々と供給されてくる各流体原料という条件(それぞれの流体原料AとBは略同粘度〈質量〉であれば、どちらもゆずらないせめぎ合いの理論による。)もあつて、白と黒間は幅が予め設定されたイとロの領域に沿うようにせき止めながら広がって互いの距離は等距離に次第に遠くなるといった模様を呈する(図2)。
別途、流状食材Cはノズル取付基板11の第1通路11cから送られて11c’からノズル片12とノズル片13の中央部に貫通してある食材導孔12c,13cを落下するが、そのタイミングは上記チョコレート流体原料AとBを上孔11a’,11b’と下孔12a’,12b’及び13a,13b’から送り出し工程の途中からこの流体原料AとB中に落下させ、落下停止後もさらに流体原料AとBの押し出しを続けることで、チョコレート流体原料に包み込んだ状態でホッパー14からモールド15内へ押し出す。このようにして、流状食材は装飾チョコレート原料で埋設する。
このようにして出た装飾チョコレートは、図のように、上記ノズル(図1(a)〜(d))を用いてモールド15に注入されたチョコレート原料A〜Cを固化することにより、視覚的にも味覚的にも所望の程度に調和させた模様を施してなる各チョコレート10が得られる。
図2(a)〜(d)に示す各チョコレート10は、上記ノズル(図1(a)〜(d))を用い、モールド15(図1(e))に対して各所定量のチョコレート原料A〜Cを注入することにより得られたものであって、各チョコレート原料A,Bを略同形状に等分された夫々複数の所定立体領域に交互に放射状に略配しており、図2(d)〜(f)に示すように、その内部にチョコレート原料Cが被覆収容されている。尚、各所定立体領域は、モールド15内において略同形状に等分された上記各注入領域イ,ロに対応している。
上述した態様においては各チョコレート原料A〜Cをホッパー14によって束ねてモールド15の中央部に注入することとしたが、ホッパー14を採用しないで各チョコレート原料A〜Cをモールド15に注入する態様とすることもでき、この場合はチョコレート原料A,Bがモールド15の外周部に注入され、モールド15の傾斜に沿ってその中央部へ流動することとなる。
図3(a)〜(c)に示すノズル部からは、モールド15(図3(e))に注入される白と褐色のチョコレート原料A,Bによって、図4(a)〜(f)に示すような装飾チョコレート10’を製造する。
そして、この実施例が実施例1と異なる点は、ホッパー14の中に嵌入する、周囲に16個の送出孔14a’(下孔13a,13b’よりやや口径が小さい)を有する有孔板14’を配置するようにし、有孔板の中央には筒状の食材導孔14cを備えていることにあり、残りのノズル部のノズル取付基板11、ノズル片12,13、ホッパー14、及びモールド15の構造には共通する。
したがって、上記装置を用いた以下の製造方法の説明は実施例1と相違するところのみとする。
下孔13a,13b’から白色と褐色で互い違いに押し出されてきたチョコレート流体原料A,Bのそのほとんどの量は、そのまま有孔板14’の送出孔14a’を通過するが、残りの量は、通過しないで有孔板上の混合室において白色と褐色が混合して、混交模様となり、これが上記下孔より直接送出孔14a’を通過する白色又は褐色の単色のチョコレート流体原料の周囲からやはり送出孔14a’を通過する。このように、送出孔14a’から押し出された白色か褐色の単色チョコレート流体原料は、それらの周囲に両色の暈し模様Sが現われ、これらがモールド15内に押し出されて冷却・固化し、図4に示すような装飾チョコレートになる。
なお、流状食材Cは上記有孔板14’を用いた場合であっても、その中央部の筒体14cから周囲から押し出されるチョコレート流体原料の中に埋設してモールドに流下する。
以上、この発明の実施例について説明したが、この発明はこれらの実施例に限定されず、3種以上のチョコレート流体原料と容器部およびノズル片を用意することによって、3色以上の各種形態(モールドの内周面や各色の配合による)装飾チョコレートが得られる。詳細には、実施例1と2のようなものでは、ノズル取付基板の上孔とノズル片の積層(第2の通路)数を増し、下孔等の配置を考慮することでより複雑な装飾チョコレートが得られる。
また、各実施例には交互の縞模様を説明したが、これらの模様のパターンを単位体として平面方向に複数のパターンを繰り返したものを製造することもできる。
さらに、上記各種模様は、下孔に対応する送出孔等を設けた有孔板を配置することで、模様際を暈すこともできる。
この発明の流動性食品材料としては、モールドなどの容器に収容されたときは流動性で、その後固化あるいは半固化状態の食品となるもので、チョコレートの他に、ようかん、キャンディー、アイスクリーム、チーズ、ゼリー、カステラ、かまぼこなどがある。
図1(a)〜(c)は本発明の装飾食品を製造する装置の特徴部分であるノズル取付基板の一部とその下に重ねて設置される2枚のノズル片の分解斜視図である。(d)はノズル片の下部に配したホッパーの斜視図、(e)はホッパーとは僅かな間隔をあけて順次間欠的に送られてくるモールドのうちの1つを示す斜視図、(f)は(e)の平面図である。(イ)(ロ)など点線はモールド内に押し出された2種の流動性食品材料の流体原料の各領域を示す。
図2は図1の装置によって作られた装飾食品であり、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は底面図、(d)はd−d断面図、(e)はe−e断面図、(f)はf−f断面図である。
図3(a)〜(c)は図1とは別の実施例であるノズル取付基板の一部とその下に重ねて取り付ける2枚のノズル片の分解斜視図である。(d)は有孔板を嵌合するようにしたホッパーの斜視図、(e)はモールドの斜視図、(f)は(e)の平面図である。(イ)と(ロ)は2種の流動性食品材料の流体原料がモールド内に配置する領域を示す。
図4は図3によって出来た装飾食品であり、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は底面図、(d)はd−d断面図、(e)はe−e断面図、(f)はf−f断面図である。
符号の説明
10,10’ 装飾チョコレート
11 ノズル取付基板
12,13 ノズル片
14 ホッパー
14’ 有孔板
15 モールド
A,B チョコレート原料(流体原料)
C 流状食材
S 暈し部分