JP4140141B2 - 磁界発生装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は磁界発生装置に関し、特にたとえば指などの身体の一部分や食物の中身を検査するために用いられる小型の永久磁石式MRI用磁界発生装置に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この磁界発生装置では、磁気回路の端部で磁束が漏洩するので、その分、撮像領域において磁界強度が低下するという問題点があった。
それゆえに、この発明の主たる目的は、磁界強度が向上する、磁界発生装置を提供することである。
【0003】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の磁界発生装置は、空隙を介して対向配置される一対の磁石を含む複数の磁石によって空隙を通る閉回路が構成される第1磁気回路、および第1磁気回路の磁束方向と直交する方向に磁化された磁石を、第1磁気回路を構成する磁石に接続することによって空隙を通る閉回路が構成される第2磁気回路を含み、空隙における第1磁気回路の磁束方向と空隙における第2磁気回路の磁束方向とが同方向であり、第1磁気回路および第2磁気回路のそれぞれによって発生する磁束が空隙において重畳されるものである。
請求項1に記載の磁界発生装置では、第1磁気回路を構成する磁石に磁化方向が90度異なる磁石を接続して第2磁気回路が構成され、第1磁気回路の端部から漏洩していた磁束は第2磁気回路を通り、第1磁気回路によって発生する磁束に重畳される。したがって、撮像領域に磁束を集中させることができるので磁界強度が向上する。
【0004】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について説明する。
図1を参照して、この発明の一実施形態のMRI用の磁界発生装置10は、Alなどの非磁性材料からなるケース12を含む。ケース12は、下板14、下板14の両側から立設される側板16aおよび16b、ならびに側板16aおよび16b上に設けられる上板18を含み、各板は六角ネジなどのネジ20で接続される。
【0005】
ケース12には装置本体22が収納される。装置本体22の寸法は、たとえば幅210mm×奥行き260mm×高さ280mm程度に設定される。
図2を参照して、装置本体22は、下板14上に取り付けられる断面台形状の永久磁石24を含む。永久磁石24の両側には、それぞれ側板16aおよび16bに取り付けられる磁石ブロック26aおよび26bが立設される。磁石ブロック26aは、永久磁石24上に形成される断面台形状の永久磁石28a、永久磁石28a上に形成される略直方体状の永久磁石30a、32aおよび34a、それらの上に形成される断面台形状の永久磁石36aを含む。磁石ブロック26bも、磁石ブロック26aと同様に形成されるので、参照番号の「a」を「b」に置き換えることで重複する説明は省略する。そして、上板18に取り付けられる永久磁石38が、永久磁石36aおよび36b上を跨ぐように配置される。このようにして装置本体22は開口部37を有する略直方体状に形成される。
【0006】
なお、各永久磁石の磁化方向は図2において矢印で示される。図2からわかるように、磁化方向をも考慮すると、装置本体22は、▲1▼永久磁石24、38、▲2▼永久磁石28a、36a、▲3▼永久磁石28b、36b、▲4▼永久磁石30a、30b、34a、34b(図示せず)、▲5▼永久磁石32a、32bの5種類の永久磁石からなる。ここで、注目すべきは、永久磁石30aおよび34aの磁化方向が永久磁石32aの磁化方向と直交しており、同様に、永久磁石30bおよび34bの磁化方向が永久磁石32bの磁化方向と直交していることである。また、装置本体22内において、磁束は磁極板40bから40aに向かって流れる。
【0007】
装置本体22内には、空隙Gを形成して一対の磁極板40aおよび40bが配置される。磁極板40aおよび40bは、それぞれ永久磁石32aおよび32b上に形成され、磁極板40aおよび40bの間隔はたとえば略60mmに設定される。磁極板40aおよび40bによって、空隙Gの磁界均一度を向上できる。
【0008】
このような磁界発生装置10は、次のようにして組み立てられる。
図3を参照して、まず、側板16aに接着剤等で磁石ブロック26aを固定した状態の半組立品42a、同様に、側板16bに磁石ブロック26bを固定した状態の半組立品42b、上板18に永久磁石38を固定した状態の半組立品44、下板14に永久磁石24を固定した状態の半組立品(図3では図示せず)がそれぞれ形成される。そして、テーブル46上に、半組立品42aと42bとが、非磁性材料からなるスペーサ48を挟んでそれぞれ固定具50aと50bとによって固定される。側板16aおよび16bには、それぞれ孔52が6個ずつ形成され、それぞれの両端の孔52にガイドピン54が取り付けられる。
【0009】
このように配置される半組立品42aおよび42bに、半組立品44が接続される。上板18の両側には、孔52に対応する孔56がそれぞれ6個ずつ形成される。まず、たとえば、上板18の両側で2本ずつ、合計4本の押しネジ58が、孔56に貫通されさらに対応する孔52に螺入され、半組立品44が位置決めされる。そして、半組立品44の上板18がプッシャー60によって矢印A方向に押圧される。このとき、半組立品44が一挙に吸引されないように、押しネジ58を少しずつ締め付けることによって半組立品44を半組立品42aおよび42bに徐々に近づけていき、半組立品44を位置規制する。なお、プッシャー60を用いない場合には、押しネジ58を螺入した孔よりさらに内側にある孔52に、引っ張りネジを螺入して、徐々に半組立品44を移動させる。
【0010】
そして、半組立品56が半組立品42aおよび42bに当接すると、上板18の両側の空いている孔56および52にネジ20が螺入される。その後、ガイドピン54および押しネジ58が抜かれその孔56および52にもネジ20が螺入され、半組立品42aおよび42bに半組立品44が接続される。
下板14に永久磁石24が接着された状態の半組立品と半組立品42aおよび42bとの接続は、たとえば、その後、テーブル46を180度回転させて、半組立品44の場合と同様に行えばよい。
このようにして半組立品42a、42b、44等が組み立てられた後、固定具50aおよび50bが取り外され、磁界発生装置10が完成する。上述の方法によって磁界発生装置10を容易に組み立てることができる。
【0011】
磁界発生装置10では、図4からわかるように、永久磁石32a→36a→38→36b→32b→磁極板40b→40a→永久磁石32aの経路で磁気回路B1、永久磁石32a→28a→24→28b→32b→磁極板40b→40a→永久磁石32aの経路で磁気回路B2が、それぞれ形成される。
さらに、永久磁石32a→30a→36a→38→36b→30b→32b→磁極板40b→40a→永久磁石32aの経路で磁気回路C1、永久磁石32a→30a→28a→24→28b→30b→32b→磁極板40b→40a→永久磁石32aの経路で磁気回路C2が、それぞれ形成される。図示しないが、同様に、永久磁石32a→34a→36a→38→36b→34b→32b→磁極板40b→40a→永久磁石32aの経路で磁気回路C3、永久磁石32a→34a→28a→24→28b→34b→32b→磁極板40b→40a→永久磁石32aの経路で磁気回路C4が、それぞれ形成される。
【0012】
すなわち、永久磁石32aの両側に永久磁石30aおよび34aを配置し、永久磁石32bの両側に永久磁石30bおよび34bを配置することによって、磁気回路B1、B2の端部、たとえば永久磁石32aや32bの側面から漏洩する可能性のあった磁束を磁気回路C1〜C4に取り込むことができ、磁気回路B1およびB2によって発生する磁束に重畳できる。
【0013】
したがって、磁界発生装置10によれば、磁極板40aと40bとの間すなわち撮像領域における磁界強度を大きくできる。磁極板40aと40bとの間の磁界強度は、具体的には、永久磁石30a、34a、30bおよび34bがない場合には0.66Tであったのに対し、永久磁石30a、34a、30bおよび34bを設けて磁気回路C1〜C4を追加することによって1.02Tに向上できた。したがって、鮮明な撮影画像が得られる。
【0014】
また、直方体状または断面略台形状に単純化した永久磁石を組み合わせて装置本体22を構成し、装置本体22の外形を略直方体状に形成することによって、従来より組立作業が容易になり、コストを低減できる。
さらに、用いられる永久磁石として、異なる磁化方向を有する5種類の永久磁石だけで足りるので、多種類の磁石を要する従来よりも、生産性を向上できる。
【0015】
また、磁界発生装置10では、継鉄を用いないので軽量化でき、持ち運びがさらに容易になる。具体的には、装置本体22の重量が略100kg、ケース12の重量が略60kgとなり、磁界発生装置10の重量を略160kgにできる。
このように磁界発生装置10の重量を小さくできることから、永久磁石使用量を多少増やして磁界強度をさらに大きくすることもできる。
さらに、装置本体22をケース12で包囲することによって、磁界発生装置10の強度を向上でき安全性を確保できる。
【0016】
なお、図5に示すような装置本体22aが用いられてもよい。
装置本体22aでは、図2に示す装置本体22の永久磁石24の代わりに永久磁石24a〜24c、永久磁石38の代わりに永久磁石38a〜38cを、それぞれ用いることで、磁束がスムーズに流れ、撮像領域における磁界強度が向上する。永久磁石24a〜24c、38a〜38cのそれぞれの磁化方向は図5に矢印で示される。その他の構成については装置本体22と同様であるので、その重複する説明は省略する。
【0017】
装置本体22aを用いて磁界発生装置を構成した場合も、図1に示す磁界発生装置10と同様の効果が得られる。ただし、装置本体22aでは、装置本体22の場合より多種類の永久磁石を準備しなければならないが、漏れ磁束をさらに少なくでき磁界強度をさらに大きくできる。具体的には、磁極板40aと40bとの間の磁界強度を1.12Tにできた。
なお、ケース12は、Alで構成すれば軽くてコストを抑えることができるが、強度に重点を置くならばステンレスが望ましい。ケース12は、任意の非磁性材料で構成され得る。
また、装置本体22、22aの前面および後面の開口部37を除く部分にも、安全性向上のため非磁性体からなるカバーが設けられてもよい。
【0018】
【発明の効果】
この発明によれば、第1磁気回路の磁束に第2磁気回路の磁束を重畳できるので、撮像領域に磁束を集中させることができ、磁界強度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】装置本体の一例を示す斜視図である。
【図3】図1の実施形態の組立方法を説明するための図解図である。
【図4】磁気回路を示す図解図である。
【図5】装置本体の他の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 磁界発生装置
12 ケース
22、22a 装置本体
24、24a、24b、24c、28a、28b、30a、30b、32a、32b、34a、34b、36a、36b、38、38a、38b、38c
永久磁石
40a、40b 磁極板
B1、B2、C1〜C4 磁気回路
Claims (1)
- 空隙を介して対向配置される一対の磁石を含む複数の磁石によって前記空隙を通る閉回路が構成される第1磁気回路、および
前記第1磁気回路の磁束方向と直交する方向に磁化された磁石を、前記第1磁気回路を構成する磁石に接続することによって前記空隙を通る閉回路が構成される第2磁気回路を含み、
前記空隙における前記第1磁気回路の磁束方向と前記空隙における前記第2磁気回路の磁束方向とが同方向であり、前記第1磁気回路および前記第2磁気回路のそれぞれによって発生する磁束が前記空隙において重畳される、磁界発生装置。
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