以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1はこの発明の第1の実施形態に係るタッチ式入力装置の分解斜視図、図2は図1のII−II線に沿う断面図、図3は図1に示すタッチ式入力装置の電解質保持層の平面図、図4は図1に示すタッチ式入力装置の表面保護材の平面図、図5は図1に示すタッチ式入力装置の回路図、図6は図1に示すタッチ式入力装置のスイッチの概念図である。
このタッチ式入力装置は例えばデジタルビデオカメラ(図示せず)の入力装置として好適であり、ビューワ(液晶モニタ)を収容するためにビデオカメラ本体の側面に形成された凹部に設けられる。
図1に示すように、このタッチ式入力装置は複数の導体パターン(第1電極)2と複数の電解質層3と複数の導電性高分子層4と下部電極(第2電極)5と切替スイッチ(第1の電圧印加手段)7(図5参照)とを備える。
導体パターン2は電解質保持層11の上面に形成されている。図3に示すように、電解質保持層11は複数の孔11aを有する。また、電解質保持層11は複数の導電性高分子形成エリア11bを有する。孔11aは導電性高分子形成エリア11b内に位置する。導電性高分子形成エリア11b内には導体パターン2の一端部が入り込んでいる(図3参照)。電解質保持層11として、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリイミド、ポリカーボネイト等の絶縁性プラスチックシートを用いることができる。電解質保持層11は各種インクを用いても形成することができる。電解質保持層11は粘着材12によって下部電極5に貼着されている。粘着材12は孔11aに対応する孔12aを有している(図2参照)。
電解質層3は下部電極5上に形成され、孔11a,12a内に収容されている。電解質層3としては各種の電解質を使用することができるが、製造工程上の取扱が容易であり、室温でも高いイオン伝導率を示す高分子固体電解質を用いるのが望ましい。
高分子固体電解質としては、例えば、ホストポリマーと低分子有機可塑材と電解質塩とからなるものを使用することができる。
ホストポリマーとしては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリアクリロニトリル、ポリピニリデンオロライド等を使用することができる。
低分子有機可塑材としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等を使用することができる。
電解質塩としては、LiClO4,LiBF4,LiPF6,LiAsF6,LiCF3SO3,LiN(CF3SO2)2 等を使用することができる。
導電性高分子層4は電解質保持層11の上面の導電性高分子形成エリア11bに設けられている。したがって、導電性高分子層4の一部分は導体パターン2の一端部に重なり、導体パターン2に接続される。
導電性高分子は電子を奪ったり、与えたりする働きを有するドーパントを高分子にドーピングすることによって得られる。
導電性高分子に用いられる主な高分子としては、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン及びこれらの主鎖をアルキル基で修飾した誘導体並びにポリアセチレン、ポリパラフェニレンビニリデンといったものが知られている。
また、導電性高分子に用いられる主なドーパントとしては、リチウム等のアルカリ金属、臭素等のハロゲン類、塩酸等のプロトン酸、アルキルベンゼンスルホン酸塩等の界面活性剤等が知られている。
第1の実施形態の導電性高分子層4を構成する導電性高分子は、単結合と2重結合とが交互に現れる共役2重結合の繰り返し構造を有する高分子に、電子を与えるドーパントをドーピングしたものであり、自由に移動できるπ電子を有する。
因みに、導電性高分子は電気化学的な酸化還元反応によって伸縮運動をすることが知られている。
この現象は、導電性高分子の周囲にイオン供給源となる電解質が存在する環境で導電性高分子の酸化還元反応が起きると、電解質中のイオンが導電性高分子に吸収されたり、排出されたりしてイオン体積分だけ導電性高分子の体積が変化することによって生じるか、或いは高分子類のコンフォメーション変化や分子間/分子内の静電反発によって生じる。
導電性高分子の伸縮運動は数ボルトといった低電圧で起こり、低電圧でも220kg/cm2程度の応力が発生し、導電性高分子の厚さを約15%の増加させることができる。
また、導電性高分子に圧力をかけると、導電性高分子内のフィブリル間の距離、相互作用が変化し、また、主鎖間の距離、相互作用が変化して導電性高分子の導電率が変化する。この性質を利用して導電性高分子に圧力が加わったか否か、また、どの程度の圧力が加わったかを検出することができる。
下部電極5は基板13の上面全体に形成されている。基板13としては、PET、アクリル、ABS(アクリロニトリル ブタジエン スチレン樹脂)、ガラス等の薄板を用いることができる。
電解質保持層11及び導電性高分子層4の上面には粘着材14を介して表面保護材15が貼着されている。表面保護材15には、図4に示すように、入力ボタンとして各導電性高分子層4が受け持つ機能を表わす表示15aが描かれている。表面保護材15としては、天然ゴム、ポリウレタン、ウレタンフォーム等のエラストマのシート、薄型PET、薄型ポリカーボネート、薄型ポリイミド等を使用することができる。
基材13の下面には粘着材16を介して検出パネル17が貼着されている。この検出パネル17はどの導電性高分子層4が押圧されたかを検出するものである。検出パネル17としては、抵抗膜式、感圧ゴムを使用した感圧式等のタッチパネル、メンブレンスイッチ等を使用することができる。
図5に示すように、切替スイッチ7は第1固定接点7a、第2固定接点7b,可動接点7cを有している。第1固定接点7aは第1直流電源21の負極側端子21bに接続されている。第1直流電源21の陽極側端子21aは下部電極5に接続されている。第2固定接点7bは第2直流電源22の陽極側端子22aに接続されている。第2直流電源22の陰極側端子22bは下部電極5に接続されている。切替スイッチ7には、可動接点7cが第1固定接点7aに接触するか、第2固定接点7bに接触するか、或いはいずれの固定接点7a,7bにも接触しないかの3つの態様がある。可動接点7cには、スイッチ18,18´が並列に接続されている。スイッチ18は導体パターン2を介して図5の左側2列の導電性高分子層4−1〜8に接続されている。スイッチ18´は導体パターン2を介して図5の右側2列の導電性高分子層4−9〜16に接続されている。図6に示すように、スイッチ18は複数の固定接点18aと複数の可動接点18bとを有する。固定接点18aの数は図5の左側2列の導電性高分子層4の数と同じである。これらの固定接点18aは可動接点7cに並列に接続されている。可動接点18bの数は固定接点18aの数と同じである。スイッチ18には、可動接点18bが固定接点18aに接触するか或いは接触しないかの2つの態様がある。スイッチ18´はスイッチ18と同じ構成である。
次に、このタッチ式入力装置の組立手順について説明する。
まず、孔11aが形成された電解質保持層11の上面に銀ペースト、カーボンペースト等の導電性ペーストを印刷して導体パターン2を形成する。この方法以外に、電解質保持層11の導体パターン2が形成される部分を除いてマスクし、その後、ITO(Indium
Tin Oxide)等を電解質保持層11に蒸着することによっても導体パターン2を形成することができる。
また、基板13の上面全体に銀ペースト、カーボンペースト等の導電性ペーストを印刷して下部電極5を形成する。この方法以外に、ITO等を基板13の上面に蒸着することによっても下部電極5を形成することができる。
次に、電解質保持層11の下面に粘着材12を印刷する。このとき、孔12aを形成する。電解質保持層11の下面に印刷した粘着材12によって下部電極5上に電解質保持層11を貼着する。
その後、ホストポリマー、低分子有機可塑材及び電解質塩の混合物を印刷技術を用いて孔11a,12a内に充填する。そして、この混合物を加熱して高分子固体電解質層3を形成する。
次に、導電性高分子形成エリア11bを除いて電解質保持層11の上面をマスクし、導電性高分子形成エリア11b上に導電性高分子層4としてポリピロールを形成した。このポリピロールのドーパントはドデシルベンゼンスルホン酸とした。
その後、電解質保持層11上のマスクを外し、電解質保持層11及び導電性高分子層4の上面に粘着材14を印刷し、その上に表面保護材15を貼着する。
最後に、上述の工程により得られた積層体を粘着材16を介して検出パネル17に貼着する。
以上の工程により第1の実施形態のタッチ式入力装置が組み立てられる。
図7は図1に示すタッチ式入力装置の動作を説明するための図であって、図7Aは初期状態の斜視図、図7Bは入力待機状態の斜視図、図7Cは再生ボタンを押下した状態の斜視図、図7Dはリセット状態の斜視図、図7Eは限定的入力待機状態の斜視図、図7Fは停止ボタンを押下した状態の斜視図、図7Gはリセット状態の斜視図、図7Hは入力待機状態の斜視図、図7Iは初期状態の斜視図である。
デジタルビデオカメラには、ビューワを開くと、ビューワ収納部内に多数の操作ボタンが現われ、録画した画像の再生、スロー再生、早送り、巻戻し、停止、一時停止等の操作や各種の設定操作をできるものがある。
例えば、早送りの操作を行った後、次に操作するのは再生、スロー再生、巻戻し、停止或いは一時停止の操作ボタンである可能性が高く、設定用の操作ボタンを操作する可能性は極めて低いし、設定用操作ボタンはブラインドタッチの操作を行う上で障害になる。
以下、第1の実施形態のタッチ式入力装置の基本的な動作を説明する。
デジタルビデオカメラのビューワが開いていないとき、図7Aに示すように、タッチ式入力装置1の入力面1aは平坦である。
ビューワを開くと、全ての導電性高分子層4−1〜16(図5参照)が膨張して、図7Bに示すように、全ての操作ボタン10−1〜16(ハイフォン以下の符号は導電性高分子層4−1〜16との対応関係を示す)が隆起する。
操作ボタン(再生ボタン)10−2を押すと、再生ボタン10−2に対応する導電性高分子層4−2が収縮し、図7Cに示すように、再生ボタン10−2が引っ込む。
その後、図7Dに示すように、全ての操作ボタン10−1〜16が一旦引っ込み、直ぐに、図7Eに示すように、再生ボタン10−2に密接に関連する操作ボタン10−1,3〜8が隆起する。
操作ボタン(停止ボタン)10−6を押すと、停止ボタン10−6に対応する導電性高分子層4−6が収縮し、図7Fに示すように、停止ボタン10−6が引っ込む。
停止ボタン10−6を操作した後は全ての操作ボタン10−1〜16が操作される可能性があるので、図7Gに示すように、全ての操作ボタン10−1〜16が一旦引っ込み、直ぐに図7Hに示すように、全ての操作ボタン10−1〜16が隆起する。
ビューワを閉じると、全ての導電性高分子層4−1〜16が収縮して、図7Iに示すように、全ての操作ボタン10−1〜16が引っ込む。
図8は図1に示すタッチ式入力装置の制御系を示すブロック図、図9は図1に示すタッチ式入力装置の動作を説明するための図であって、図9Aは初期状態の断面図、図9Bは凸形成状態の断面図、図9Cは凸保持状態の断面図、図9Dは凸解除状態の断面図、図9Eは初期状態の断面図である。
図8に示すように、第1の実施形態のタッチ式入力装置は制御部20と切替スイッチ7とスイッチ18,18´と検出パネル17と検出スイッチ23とを備えている。
ビューワを開き、その後デジタルビデオカメラの電源を入れるか、或いは電源がONの状態でビューワを開くと、検出スイッチ23はビューワが開いたことを検出し、その検出信号SG1を制御部20へ送る。このとき、切替スイッチ7は図9Aに示す状態になっている。
制御部20はこの検出信号SG1を受け取ると、スイッチ18,18´に対して全ての導電性高分子層4に通電できるように全ての可動接点18b(図6参照)を閉じる制御信号SG2を送る。
これと同時に、制御部20は切替スイッチ7に対して導電性高分子層4を第1直流電源21の陰極に、下部電極5を第1直流電源21の陽極に接続するように可動接点7cを切り替える制御信号SG3を送る。この結果、可動接点7cは図9Bに示す状態になる。これにより、導電性高分子層4に電解質層3中のカチオンがドープされ、導電性高分子層4の体積が増える。この結果、表面保護材15の一部分が凸状に盛上り、操作ボタン10が出現する。
切替スイッチ7の可動接点7cが図9Bの状態になってから所定時間(導電性高分子層4が膨張するのに要する時間)経過後、制御部20は切替スイッチ7に対して可動接点7cを開く制御信号SG4を送る。この結果、図9Cの状態になる。この状態では、導電性高分子層4の膨張が止まり、導電性高分子層4はそのままの形状を保つ。したがって、表面保護部材15にできた操作ボタン10は凸状態を維持する。その凸状態を維持するための電力は不要である。この図9Cの状態は操作ボタン10の入力待機状態である。
操作者が再生ボタン10−2を押すと、検出パネル17は再生ボタン10−2が押圧されたことを検出し、検出信号SG5を制御部20に送る。
この検出信号SG5を制御部20が受け取ると、制御部20はビデオを再生する処理を行う。
これと同時に制御部20はスイッチ18,18´に対して再生ボタン10−2に対応する導電性高分子層4−2にだけ通電できるように可動接点18bを切り替える制御信号SG6を送る。
また、制御部20は切替スイッチ7に対して導電性高分子層4を第2直流電源22の陽極に、下部電極5を第2直流電源22の陰極に接続するように可動接点7cを切り替える制御信号SG7を送る。これにより、導電性高分子層4にドープされていたカチオンが脱ドープされ、導電性高分子層4の体積が減り、図9Dの状態になる。
この結果、再生ボタン10−2だけが引っ込み、それ以外の操作ボタン10−1,3〜16は凸状態を保つ(図7Cの状態)。
切替スイッチ7の可動接点7cが図9Dの状態になってから所定時間(導電性高分子層4が収縮するのに要する時間)経過後、制御部20は切替スイッチ7に対して可動接点7cを開く制御信号SG8を送る。この結果、図9Eの状態になる。
再生ボタン10−2が押圧されてから所定時間経過(例えば1秒以内の短時間が望ましい)すると、制御部20はスイッチ18,18´に対して再生ボタン10−2に対応する導電性高分子層4−2以外の全ての導電性高分子層4−1,3〜16に通電できるように可動接点18bを切り替える制御信号を送る。
これと同時に、制御部20は切替スイッチ7に対して導電性高分子層4を第2直流電源22の陽極に、下部電極5を第2直流電源22の陰極に接続するように可動接点7cを切り替える制御信号を送る(図9Dに示す状態)。これにより、全ての導電性高分子層4の体積が減る。この結果、全ての操作ボタン10−1〜16が引っ込む(図7Dの状態)。
切替スイッチ7の可動接点7cが図9Dの状態になってから所定時間経過後、制御部20は切替スイッチ7に対して可動接点7cを開く制御信号を送る(図9Aの状態)。
その直後に、制御部20はスイッチ18,18´に対して再生ボタン10−2に関連する操作ボタン10−1,3〜8を形作る導電性高分子層4−1,3〜8にだけ通電できるように可動接点18bを切り替える制御信号を送る。
また、制御部20は切替スイッチ7に対して導電性高分子層4を第1直流電源21の陰極に、下部電極5を第1直流電源21の陽極に接続するように可動接点7cを切り替える制御信号を送る(図9Bの状態)。この結果、再生ボタン10−2に関連する操作ボタン10−1,3〜8だけが出現する(図7Eの状態)。
制御部20が可動接点7cを切り替える制御信号を出力してから所定時間経過後、制御部20は切替スイッチ7に対して可動接点7cを開く制御信号を送る(図9Cの状態)。
操作者が停止ボタン10−6を押すと、検出パネル17は停止ボタン10−6が押圧されたことを検出し、検出信号を制御部20に送る。
この検出信号を制御部20が受け取ると、制御部20はビデオを停止する処理を行う。
これと並行して制御部20は再生ボタン10−2が押されたときの制御と同様の制御を行って停止ボタン10−6を引っ込める(図7Fの状態)。
停止ボタン10−6を操作した後は全ての操作ボタン10−1〜16が操作対象となるので、制御部20は停止の処理を行った後に、一旦凸状になっている全ての操作ボタン10−1〜16を引っ込め(図7Gの状態)、更に、全ての操作ボタン10−1〜16を出現させる(図7Hの状態)。
凸状になっている全ての操作ボタン10−1〜16を引っ込める制御は、再生ボタン10−2を押圧した後で、凸状になっている全ての操作ボタン10−1〜16を引っ込める制御と同様である。
また、全ての操作ボタン10−1〜16を出現させる制御は、ビューワを開いたときに全ての操作ボタン10−1〜16を出現させる制御と同様である。
ビューワを閉じると、検出スイッチ23はビューワが閉じたことを検出し、その検出信号を制御部20へ送る。
制御部20はこの検出信号を受け取ると、スイッチ18,18´に対して全ての導電性高分子層4に通電できるように全ての可動接点18bを閉じる制御信号を送る。
また、制御部20は切替スイッチ7に対して導電性高分子層4を第2直流電源22の陽極に、下部電極5を第2直流電源22の陰極に接続するように可動接点7cを切り替える制御信号を送る。この結果、全ての導電性高分子層4の体積が減り、全ての操作ボタン10が引っ込む(図9Dの状態)。
その後、制御部20は切替スイッチ7に対して可動接点7cを開く制御信号を送る(図9Eの状態)。この結果、タッチ式入力装置1は初期状態に戻る(図9Aの状態)。
次に、第1の実施形態のタッチ式入力装置の操作感について説明する。
図10はタッチ式入力装置の操作時に時間の経過とともに変化する操作者の指に加わる反力と時間の経過とともに変化する操作ボタンの高さとを示すグラフである。
図10において、時間tの原点0は入力待機状態から操作者が操作ボタン10を押し始めた時点である。操作ボタン10の高さxの変化は入力待機状態からの変化とした。
図10に示す(1)の段階では切替スイッチ7はオフになっており、操作ボタン10は凸状態を保つ。このため、操作ボタン10を押圧しても操作ボタン10の高さxは変化せず、また、指に加わる反力Fは単調に増加する。
図10に示す(2)の段階は操作ボタン10が押圧されたことを検出パネル17が検知し、制御部20が導電性高分子層4を第2直流電源22の陽極に、下部電極5を第2直流電源22の陰極に接続するように切替スイッチ7を制御した段階である。この段階では操作ボタン10の高さxは急に低くなり、指に加わる反力Fは小さくなる。
図10に示す(3)の段階では切替スイッチ7はオフになっているため、操作ボタン10は初期状態(操作ボタン10の高さxが0の状態)を保ち、指に加わる反力Fは単調に増加する。
図10に示すF−t特性は一般的な押しボタンの操作感を示すF−t特性と似ており、一般的な機械式の押しボタンスイッチと同様の操作感が得られることが分かる。
図11は図1に示すタッチ式入力装置の基本的動作を説明するためのフローチャート図である。
タッチ式入力装置1が操作者に操作感を与えるまでの過程を図11を用いて説明する。
図11に示すように、操作ボタン10が所定の高さまで隆起したら、制御部20は導電性高分子層4及び下部電極5への通電を停止する(ステップS1)。これ以降は操作ボタン10の凸状態が保持され、操作ボタン10は入力待機状態になる。
次に、操作ボタン10を押し、入力(加圧)する(ステップS2;ステップS1〜S2の状態が図10の(1)の段階である)。
検出パネル17はどの操作ボタン10が押されたかを検出し、その検出信号を制御部20へ送る(ステップS3)。
この検出信号を制御部20が受け取ると、制御部20は押圧された操作ボタン10を形作る導電性高分子層4を収縮するように導電性高分子層4及び下部電極5に通電する(ステップS4)。
その結果、操作ボタン10が引っ込む。このとき、指先を通じて操作感が得られる(ステップS5;ステップS3〜S5が図10の(2)の段階である)。
以上のように、第1の実施形態によれば、操作者は機械式の押しボタンを押下したときと同様の操作感を得ることができるとともに、操作性を高めることができる。
次に、第1の実施形態の変形例について説明する。
図12は第1の実施形態の変形例に係るタッチ式入力装置の回路図、図13は導体パターンと下部電極とに交流電源を印加したときの操作ボタンの高さの変化を示すグラフである。
この変形例は第1の実施形態とほぼ同じ構成であるので、構成の同じ部分については第1の実施形態と同じ符号を付してその説明を省略し、構成の異なる部分についてだけ説明する。
この変形例に係るタッチ式入力装置の切替スイッチ(第1の電圧印加手段と第2の電圧印加手段とを兼ねる)107は第3固定接点107dを有する。第3固定接点107dは交流電源124を介して下部電極5に接続されている。切替スイッチ107には、可動接点7cが第1固定接点7aに接触するか、第2固定接触点7bに接触するか、第3固定接点107dに接触するか、或いはいずれの固定接点7a,7b,107dにも接触しないかの4つの態様がある。
可動接点7cが第3固定接点107dに接触すると、導体パターン2と下部電極5との間に交流電圧が印加される。この結果、導電性高分子層4は膨張、収縮を繰り返すので、操作ボタン10の高さxは図13に示すように変化する。すなわち、操作ボタン10は振動する。
この第1の実施形態の変形例によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏するとともに、操作ボタン10が振動することによって、入力操作領域とそれ以外の領域とを容易に識別することができる。
図14はこの発明の第2の実施形態に係るタッチ式入力装置の分解斜視図、図15は図14のXV-XV に沿う断面図、図16は図14に示すタッチ式入力装置の電解質保持層の平面図、図17は図14に示すタッチ式入力装置の回路図である。
この第2の実施形態は第1の実施形態とほぼ同じ構成であるので、構成の同じ部分については第1の実施形態と同じ符号を付してその説明を省略し、構成の異なる部分についてだけ説明する。
図14〜17に示すように、第2の実施形態のタッチ式入力装置201では、表面保護層15の下面に上部電極(第3電極)225が形成されている。
また、第2の実施形態では、第1の実施形態で採用された検出パネル17が削除されている。
図17に示すように、第2の実施形態では切替スイッチ207(第1の電圧印加手段と第3の電圧印加手段とを兼ねる)は第3固定接点207eを有する。第3固定接点207eは交流電源226を介して上部電極225に接続されている。切替スイッチ207には、可動接点7cが第1固定接点7aに接触するか、第2固定接触点7bに接触するか、第3固定接点207eに接触するか、或いはいずれの固定接点7a,7b,207eにも接触しないかの4つの態様がある。
図18は図14に示すタッチ式入力装置の上層部の等価回路図、図19は図14に示すタッチ式入力装置の制御系のブロック図、図20は図14に示すタッチ式入力装置の動作を説明するための図であって、図20Aは初期状態の断面図、図20Bは凸形成状態の断面図、図20Cは凸保持状態の断面図、図20Dは凸解除状態の断面図、図20Eは初期状態の断面図である。
図19に示すように、第2の実施形態のタッチ式入力装置は制御部20と切替スイッチ207とスイッチ18,18´と検出部227と検出スイッチ23とを備えている。
図18に示すように、検出部227は導体パターン2と上部電極225との間に流れる交流電流の値を測定し、検出信号を出力する電流計である。
この第2の実施形態の制御は第1の実施形態の制御とほぼ同じであり、第1の実施形態ではタッチパネル等の専用の検出パネル17を用いていずれの操作ボタン10が押圧されたのかを検知するが、第2の実施形態では押圧された操作ボタン10を形作っている導電性高分子層4の導電率を検出して押圧された操作ボタン10を検知する。
以下、第2の実施形態のタッチ式入力装置の動作を具体的に説明する。
ビューワが開き、操作ボタン10が出現するまで、すなわち、図20A〜図20Bまでの制御は図9A〜図9Bまでの制御と同じである。
切替スイッチ207の可動接点7cが図20Bの状態になってから所定時間経過後、制御部20は切替スイッチ207に対して可動接点7cを第3固定接点207eに接触させる制御信号を送る。この結果、図20Cの状態になる。この状態では、導電性高分子層4と下部電極5との間に電圧が印加されない。したがって、導電性高分子層4と電解質層3との間でイオンの授受が行われないので、操作ボタン10は振動することなく、凸状態を維持する。この図20Cの状態は操作ボタン10の入力待機状態である。
操作者が操作ボタン10を押すと、押された操作ボタン10を形作る導電性高分子層4の導電率が変化し、導体パターン2、上部電極225間を流れる電流値が変化する。この導電率が変化した導電性高分子層4に接続されている検出部(電流計)227は電流値の変化を検出し、この検出信号を制御部20へ送る。
この検出信号を制御部20が受け取ると、制御部20は切替スイッチ207に対して導電性高分子層4を第2直流電源22の陽極に、下部電極5を第2直流電源22の陰極に接続するように可動接点7cを切り替える制御信号を送る。これにより、導電性高分子層4の体積が減り、押圧された操作ボタン10が引っ込み、図20Dの状態になる。
切替スイッチ7の可動接点7cが図20Dの状態になってから所定時間経過後、制御部20は切替スイッチ207に対して可動接点7cを開く制御信号を送る。この結果、図20Eの状態になる。
図21はタッチ式入力装置の制御部の動作を説明するためのフローチャート図である。
図21に示すように、操作ボタン10が所定の高さまで隆起したら、制御部20は導電性高分子層4及び下部電極5への通電を停止する(ステップS1)。
次に、制御部20は導電性高分子層4と上部電極225との間に交流電圧を印加させる(ステップS2)。これ以降は操作ボタン10の凸状態が保持され、操作ボタン10は入力待機状態になる。
次に、操作ボタン10を押し、入力(加圧)の操作を行う(ステップS3)。
このとき、押圧された操作ボタン10を形作る導電性高分子層4の導電率が変化する(ステップS4)。この導電性高分子層4に接続された検出部227は電流値の変化を検出し、その検出信号を制御部20へ送る(ステップS5)。制御部20はどの検出部227から検出信号が送られてきたかを検出する(ステップS6)。その後、制御部20は押圧された操作ボタン10を形作る導電性高分子層4を収縮させるように導電性高分子層4及び下部電極5に通電する(ステップS7)。
その結果、操作ボタン10が引っ込む。このとき操作感が得られる(ステップS8)。
以上のように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得られるだけでなく、専用の検出パネル17を削除することができる。
図22は第2の実施形態の変形例に係るタッチ式入力装置の回路図である。
この変形例に係るタッチ式入力装置201´の切替スイッチ(第1の電圧印加手段と第2の電圧印加手段と第3の電圧印加手段とを兼ねる)207´は第4固定接点207dを有する。第4固定接点207dは交流電源224を介して下部電極5に接続されている。切替スイッチ207´には、可動接点7cが第1固定接点7aに接触するか、第2固定接触点7bに接触するか、第3固定接点207eと第4固定接点207dとに交互に接触するか、或いはいずれの固定接点7a,7b,207e,207dにも接触しないかの4つの態様がある。
タッチ式入力装置201´の操作ボタン(図示せず)が入力待機状態のときに制御部(図示せず)は可動接点7cを第3固定接点207eと第4固定接点207dとに交互に接触させる。したがって、操作ボタンは振動しながら入力待機状態が維持される。可動接点7cが第3固定接点207eに接触している時間と可動接点7cが第4固定接点207dに接触している時間とはいずれも極めて短時間であるが、可動接点7cが第4固定接点207dに接触している時間の方が可動接点7cが第3固定接点207eに接触している時間よりも長い。したがって、振動状態の断続によって生じる違和感を緩和することができる。
この変形例によれば、第2の実施形態の効果を奏するとともに、操作ボタンが振動することによって、入力操作領域とそれ以外の領域とを簡単に識別することができる。
図23はこの発明の第3の実施形態に係るタッチ式入力装置の分解斜視図、図24は図23のXXIV-XXIV 線に沿う断面図、図25は図23に示すタッチ式入力装置のシートの平面図、図26は図23に示すタッチ式入力装置の回路図である。
図23に示すように、第3の実施形態のタッチ式入力装置301は第1の導体パターン(第1電極)302と複数の電解質層303と複数の第1の導電性高分子層304と第2の導体パターン(第2電極)305と複数の第2の導電性高分子層306と切替スイッチ(第1の電圧印加手段)307(図26参照)とを備える。
第1の導体パターン302はシート331の上面に形成されている。シート331は、図25に示すように、複数の導電性高分子形成エリア331bを有する。導電性高分子形成エリア331b内には導体パターン302の一端部が入り込んでいる。シート331としては絶縁体であればよく、PET、ポリカーボネート、ポリイミド等のプラスチックフィルムを使用することができる。
第1の導電性高分子層304はシート331上面の導電性高分子形成エリア331b内に設けられている。したがって、第1の導電性高分子層304の一部分は第1の導体パターン302の一端部に重なり、第1の導体パターン302に接続される。
第1の導電性高分子層304としては、ドデシルベンゼンスルホン酸イオンやアニオン性高分子等の比較的大きなアニオン(陰イオン)をドーパントに持つものが好ましい。第3の実施形態では第1の導電性高分子層304としてドデシルベンゼンスルホン酸イオンをドーパントに持つポリピロールを用いた。
電解質層303は第1の導電性高分子層304上に形成されている。電解質層303としては第1の実施形態の電解質層3と同じものを用いることができる。
第2の導体パターン305は表面保護材315の下面に形成されている。表面保護材315としては、第1の実施形態の表面保護材15と同じものを用いることができる。
第2の導電性高分子層306は表面保護材315の下面に設けられている。第2の導電性高分子層306の一部分は第2の導体パターン305の一端部に重なり、第2の導体パターン305に接続される。
第2の導電性高分子層306としては、塩化物イオン等の比較的小さなアニオン(陰イオン)をドーパントに持つものが好ましい。第3の実施形態では第2の導電性高分子層306として塩化物イオンをドーパントに持つポリピロールを用いた。
シート331の上面には粘着材332が印刷されている。図24に示すように、粘着材332が印刷されるとき、第1及び第2の導電性高分子層304,306並びに電解質層303を収容する孔332aが形成される。この粘着材332によって第2の導電性高分子層306及び導体パターン305が形成された表面保護材315がシート331に貼着される。
シート331の下面に粘着材333を介して検出パネル17が貼着されている。
図26に示すように、切替スイッチ307は第1固定接点307a、第2固定接点307b,可動接点307cを有している。第1固定接点307aは第1直流電源321の陰極側端子321bに接続されている。第1直流電源321の陽極側端子321aはスイッチ19,19´に並列に接続されている。スイッチ19,19´は第2の導体パターン305を介して第2導電性高分子層306に接続されている。第2固定接点307bは第2直流電源322の陽極側端子322aに接続されている。第2直流電源322の陰極側端子322bはスイッチ19,19´に並列に接続されている。切替スイッチ307には、可動接点307cが第1固定接点307aに接触するか、第2固定接点307bに接触するか、或いはいずれの固定接点307a,307bにも接触しないかの3つの態様がある。可動接点307cには、スイッチ18,18´が並列に接続されている。
次に、このタッチ式入力装置の組立手順について説明する。
まず、シート331の上面に銀、カーボン、ITO、導電ゴム等で第1の導体パターン302を形成し、その後、導電性高分子形成エリア331b外の部分をマスクし、導電性高分子形成エリア331b内にポリピロールを形成し、これを第1の導電性高分子層304とする。第1の導電性高分子層304に含まれるドーパントとしてドデシルベンゼンスルホン酸を用いた。
次に、第1の導電性高分子層304上に電解質層303を形成する。電解質層303の形成方法は第1の実施形態の電解質層3の形成方法と同じである。
その後、表面保護部材315の下面に第2の導体パターン305及び第2の導電性高分子層306を形成する。これらの形成方法は第1の導体パターン302及び第1の導電性高分子層304の形成方法と同様である。但し、第2の導電性高分子層306に含まれるドーパントとして塩化物イオンを用いた。
次に、粘着材332が第1及び第2の導電性高分子層304,306並びに電解質層303の周囲に形成されないようにマスクした後に、粘着材332をシート331上に塗布する。
その後、粘着材332上に表面保護材315を張る。表面保護材315を加圧すると、第2の導電性高分子層306と電解質層303とが接合される。
最後に、上述の工程によってシート331上に形成された積層体を粘着材333を介して検出パネル17の上面に貼着する。
以上の工程により第3の実施形態のタッチ式入力装置が組み立てられる。
図27は図23に示すタッチ式入力装置の制御系のブロック図、図28は図23に示すタッチ式入力装置の動作を説明するための図であって、図28Aは初期状態の断面図、図28Bは凸形成状態の断面図、図28Cは凸保持状態の断面図、図28Dは凸解除状態の断面図、図28Eは初期状態の断面図である。
図27に示すように、第3の実施形態のタッチ式入力装置は制御部20と切替スイッチ307とスイッチ18,18´,19,19´と検出パネル17と検出スイッチ23とを備えている。
第1の実施形態では導体パターン2に接続された導電性高分子層4と、下部電極5との間に電圧を印加するのに対して、第3の実施形態では第1の導体パターン302と第2の導体パターン305とを通じて第1の導電性高分子層304と第2の導電性高分子層306との間に電圧を印加するようになっている。
また、第1の実施形態ではスイッチ18,18´は2つ設けられているが、第3の実施形態ではスイッチ18,18´,19,19´は4つ設けられている。この違いは第1の実施形態の導電性高分子層3は一層であるのに対して、第3の実施形態の導電性高分子層304,306は2層であることに起因する。第3の実施形態では、各層の導電性高分子層304,306を制御するために各層にスイッチ18,18´,19,19´を設ける必要がある。しかし、スイッチ19,19´はスイッチ18,18´と同じ構成であり、しかも、スイッチ19はスイッチ18と同じように動作でき、スイッチ19´はスイッチ18´と同じように動作できる。
以下、第3実施形態のタッチ式入力装置の動作を説明する。
ビューワが開き、操作ボタン10が出現するまで、すなわち、図28A〜図28Bまでの制御は図9A〜図9Bまでの制御と同じである。
図28Bに示すように、第1の導電性高分子層304を第1直流電源321の陰極に、第2の導電性高分子層306を第1直流電源321の陽極に接続するように切替スイッチ307が切り替えられると、第1の導電性高分子層304に電解質層303中のカチオンがドープされて第1の導電性高分子層304の体積が増加するとともに、第2の導電性高分子層306中に電解質層303のアニオンがドープされて第2の導電性高分子層306の体積が増加する。
切替スイッチ307の可動接点307cが図28Bの状態になってから所定時間経過後、制御部20は切替スイッチ307に対して可動接点307cを開く制御信号を送る。この結果、図28Cの状態になる。この状態では、第1の導電性高分子層304と第2の導電性高分子層電解質層306との間に電圧が印加されない。したがって、第1及び第2の導電性高分子層304,306と電解質層303との間でイオンの授受が行われないので、操作ボタン10は凸状態を維持する。
操作者が操作ボタン10を押すと、検出パネル17はどの操作ボタン10が押圧されたのかを検出し、この検出信号を制御部20に送る。
この検出信号を制御部20が受け取ると、制御部20は切替スイッチ307に対して第1の導電性高分子層304を第2直流電源322の陽極に、第2の導電性高分子層306を第2直流電源322の陰極とするように可動接点307cを切り替える制御信号を送る。これにより、第1の導電性高分子層304にドープされていたカチオンが脱ドープされて第1の導電性高分子層304の体積が減少するとともに、第2の導電性高分子層306中にドープされていたアニオンが脱ドープされて第2の導電性高分子層306の体積も減少する。この結果、第1及び第2の導電性高分子層304,306が収縮し、押圧された操作ボタン10が引っ込み、図28Dの状態になる。
切替スイッチ307の可動接点307cが図28Dの状態になってから所定時間経過後、制御部20は切替スイッチ307に対して可動接点307cを開く制御信号を送る。この結果、図28Eの状態になる。
第3の実施形態によれば、第1の実施形態の効果を奏するとともに、2つの導電性高分子層304,306を用いるので、1つの導電性高分子層を用いるときに較べ全体としての変形量を増加させることができ、一層良好な操作感を得ることができる。また、1つの導電性高分子層の厚みを増やして変形量を増加させる方法に較べ変形の応答速度が低下しないので、この点でも一層良好な操作感を得ることができる。
次に、第3の実施形態の変形例について説明する。
図29は第3の実施形態の第1の変形例に係るタッチ式入力装置の回路図である。
この変形例は第3の実施形態とほぼ同じ構成であるので、構成の同じ部分については第3の実施形態と同じ符号を付してその説明を省略し、構成の異なる部分についてだけ説明する。
この変形例に係るタッチ式入力装置301´では、検出パネル17が削除され、その代わりに、図29に示すように、シート331の下面に下部電極(第3電極)335が形成された基板334(図32参照)が粘着材333によって貼着されている。
また、この変形例に係るタッチ式入力装置301´の切替スイッチ(第1の電圧印加手段と第3の電圧印加手段とを兼ねる)307´は第3固定接点307eを有する。第3固定接点307eは交流電源326を介して下部電極335に接続されている。
図30は図29に示すタッチ式入力装置の制御系のブロック図、図31は図29に示すタッチ式入力装置の下層部の等価回路図、図32は図29に示すタッチ式入力装置の動作を説明するための図であって、図32Aは初期状態の断面図、図32Bは凸形成状態の断面図、図32Cは凸保持状態の断面図、図32Dは凸解除状態の断面図、図32Eは初期状態の断面図である。
図30に示すように、この変形例に係るタッチ式入力装置は制御部20と切替スイッチ307´とスイッチ18,18´,19,19´と検出部327と検出スイッチ23とを備えている。
図31に示すように、検出部327は下部電極335と第1の導体パターン302との間に流れる交流電流の値を測定し、検出信号を出力する電流計である。
この変形例の制御は第3の実施形態の制御とほぼ同じであり、違いは第3の実施形態では押圧された操作ボタン10を検知するのは検出専用の検出パネル17であるが、第3の実施形態の第1の変形例では押圧された操作ボタン10を形作っている第1の導電性高分子層304の導電率の変化を検出して押圧された操作ボタン10を検知する。
以下、この変形例のタッチ式入力装置の動作を具体的に説明する。
ビューワが開き、操作ボタン10が出現するまで、すなわち、図32A〜図32Bまでの制御は図28A〜図28Bまでの制御と同じである。
切替スイッチ307´の可動接点307cが図32Bの状態になってから所定時間経過後、制御部20は切替スイッチ307´に対して可動接点307cを第3固定接点307eに接触させる制御信号を送る。この結果、図32Cの状態になる。この状態では、第1の導電性高分子層304と第2の導電性高分子層306との間に電圧が印加されない。したがって、第1及び第2の導電性高分子層304,306と電解質層303との間でイオンの授受が行われず、操作ボタン10は振動することなく、凸状態を維持する。この図32Cの状態は操作ボタン10の入力待機状態である。
操作者が操作ボタン10を押すと、押された操作ボタン10を形作る第1の導電性高分子層304の導電率が変化し、下部電極335、導体パターン302間を流れる電流値が変化する。検出部(電流計)327は電流値の変化を検出し、この検出信号を制御部20へ送る。
この検出信号を制御部20が受け取ると、制御部20は切替スイッチ307´に対して第1の導電性高分子層304を第2直流電源322の陽極に、第2の導電性高分子層306を第2直流電源322の陰極に接続するに可動接点307cを切り替える制御信号を送る。これにより、第1の導電性高分子層304にドープされていたカチオンが脱ドープされて第1の導電性高分子層304の体積が減少するとともに第2の導電性高分子層306中にドープされていたアニオンが脱ドープされて第2の導電性高分子層306の体積も減少する。この結果、第1及び第2の導電性高分子層304,306が収縮し、押圧された操作ボタン10が引っ込み、図32Dの状態になる。
切替スイッチ307´の可動接点307cが図32Dの状態になってから所定時間経過後、制御部20は切替スイッチ307´に対して可動接点307cを開く制御信号を送る。この結果、図32Eの状態になる。
以上のように、第3の実施形態の変形例によれば、第3の実施形態と同様の効果を得られるだけでなく、専用の検出パネル17を削除することができる。
図33は第3の実施形態の第2の変形例に係るタッチ式入力装置の回路図である。
図33に示すように、この変形例は第1の変形例とほぼ同じ構成であるので、構成の同じ部分については第1の変形例と同じ符号を付してその説明を省略し、構成の異なる部分についてだけ説明する。
この変形例に係るタッチ式入力装置301´´の切替スイッチ(第1の電圧印加手段とと第2の電圧印加手段と第3の電圧印加手段とを兼ねる)307´´は第4固定接点307dを有する。第4固定接点307dは交流電源324及びスイッチ19,19´を介して第2の導体パターン305に接続されている。
この変形例によれば、第3の実施形態の第1の変形例と同様の効果を得られるだけでなく、操作ボタンが振動することによって、入力操作領域とそれ以外の領域とを簡単に識別することができる。
図34はこの発明の第4の実施形態に係るタッチ式入力装置の断面図、図35は図34に示すタッチ式入力装置の導電性高分子層の平面図である。
図34、35に示すように、第4の実施形態のタッチ式入力装置401は導体パターン(第1電極)402と複数の電解質層403と複数の導電性高分子層404と上部電極(第2電極)405と切替スイッチ(第1及び第3の電圧印加手段)407(図36参照)とを備える。
導体パターン402はシート441の上面に形成されている。シート441は基板442の上面全体に形成された下部電極443に粘着材444を介して貼着されている。
導電性高分子層404はシート441上に形成され、導体パタンーン402に接続されている。導電性高分子層404には複数の孔404aが形成されている。
電解質層403は板状部403aと柱状部403bと側壁部403cとを有する。板状部403aは導電性高分子層404の上面に配置されている。柱状部403bは孔404aに収容されている。側壁部403cは板状部403aの周縁部に形成され、導電性高分子層404の周囲を覆っている。
上部電極405は表面保護材15の下面全体に形成されている。上部電極405はシート441上に印刷された粘着材445を介してシート441に貼着されている。
図36は図34に示すタッチ式入力装置の構成及び動作を説明するための図であって、図36Aは初期状態の断面図、図36Bは凸形成状態の断面図、図36Cは凸保持状態の断面図である。
図36に示すように、第4の実施形態の切替スイッチ407は第2の実施形態の切替スイッチ207と同様のものであり、第1固定接点407a、第2固定接点407b、第3固定接点407e及び可動接点407cを有している。第1固定接点407aは第1直流電源421の陰極側端子421bに接続されている。第1直流電源421の陽極側端子421aは上部電極405に接続されている。第2固定接点407bは第2直流電源422の陽極側端子422aに接続されている。第2直流電源422の陰極側端子422bは上部電極405に接続されている。切替スイッチ407には、可動接点407cが第1固定接点407aに接触するか、第2固定接点407bに接触するか、固定接点407eに接触するか、或いはいずれの固定接点407a,407b,407eにも接触しないかの4つの態様がある。可動接点407cは、第2の実施形態のスイッチ18,18´と同様のスイッチ(図示せず)を介して導体パターン402に接続されている。
第4の実施形態の動作は第2の実施形態とほぼ同じであるので、基本的な動作についてのみ説明する。
図36Aに示す初期状態から制御部(図示せず)が可動接点407cを第1固定接点407aに接触させるように切替スイッチ407を切り替えると、導電性高分子層404の体積が増え、図36Bに示す凸形成状態になる。
図36Bに示す凸形成状態になってから所定時間経過後、制御部(図示せず)は可動接点407cを第3接点407eに接触させるように切替スイッチ407を切り替える。この結果、タッチ式入力装置401は図36Cに示す凸保持状態になる。この状態は入力待機状態である。
以上のように、第4の実施形態の初期状態体から凸保持状態までの動作は第2の実施形態の初期状態体から凸保持状態までの動作と同様であり、これ以外の第4の実施形態の動作も第2の実施形態の動作と同様である。
第4の実施形態によれば、第2の実施形態と同様の効果を得られるだけでなく、導電性高分子層の厚みを増やして変形量を増加させたとしても、応答速度が低下しないので、一層良好な操作感を得ることができる。また、2つの導電性高分子層を用いて変形量を増加させる方法に較べ部品点数が少ないので、製造コストを低減することができる。
図37は第4の実施形態の変形例に係るタッチ式入力装置の構成及び動作を説明するための図であって、図37Aは初期状態の断面図、図37Bは凸形成状態の断面図、図37Cは凸保持状態の断面図である。
この変形例は第4の実施形態とほぼ同じ構成であるので、構成の同じ部分については第4の実施形態と同じ符号を付してその説明を省略し、構成の異なる部分についてだけ説明する。この変形例に係るタッチ式入力装置401´の切替スイッチ(第1の電圧印加手段と第2の電圧印加手段と第3の電圧印加手段とを兼ねる)407´は第4固定接点407dを有する。第4固定接点407dは交流電源424を介して上部電極405に接続されている。
この変形例によれば、第4の実施形態の効果を奏するとともに、操作ボタンが振動することによって、入力操作領域とそれ以外の領域とを簡単に識別することができる。
第4の実施形態の他の変形例としては、下部電極443を形成した基板442を削除し、その代わりにシート441の下面に検出パネルを設けてもよい。
図38はこの発明の第5の実施形態に係るタッチ式入力装置の断面図、図39は図38に示すタッチ式入力装置の導電パターンの平面図である。
第5の実施形態は第2の実施形態とほぼ同じ構成であるので、構成の同じ部分については第2の実施形態と同じ符号を付してその説明を省略し、構成の異なる部分についてだけ説明する。
図38、39に示すように、第5の実施形態のタッチ式入力装置501の導体パターン502は格子状部502aを有する。格子状部502aは導電性高分子層4の下面に埋め込まれている。
第5の実施形態によれば、第2の実施形態と同様の効果を得られるだけでなく、導電性高分子層4に対する通電効率が高いので、導電性高分子層4の膨張、収縮を効率よく行うことができる。
図40はこの発明の第6の実施形態に係るタッチ式入力装置の断面図である。
第6の実施形態は第2の実施形態とほぼ同じ構成であるので、構成の同じ部分については第2の実施形態と同じ符号を付してその説明を省略し、構成の異なる部分についてだけ説明する。
図40に示すように、第6の実施形態のタッチ式入力装置601の導電性高分子層4の上面に導電補助材60が配置されている。導電補助材60は導体パターン2に接続されている。
第6の実施形態によれば、第2の実施形態と同様の効果を得られるだけでなく、導電性高分子層4に対する通電効率が高いので、導電性高分子層4の膨張、収縮を効率よく行うことができる。
なお、上述の実施形態では、操作ボタン10を押したときに、操作ボタン10が引っ込むように制御したが、操作ボタン10を押したときに、操作ボタン10が突出するように制御してもよい。
また、上述の実施形態ではこの発明をデジタルビデオカメラ用のタッチ式入力装置に適用した場合について述べたが、この発明はこれに限られず、タッチ式入力装置全般に広く適用可能である。