JP4137336B2 - 帯状材の進行方向変更装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、帯状材の処理設備に使用し、連続移動する長尺の帯状材の進行方向を変更するための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
帯状材を連続的に処理する設備において、設置スペースの制約などから各処理装置を直線上に配置することが困難な場合がある。この場合には、各処理装置を平行又は直角方向に配置し、平行又は直角方向に並べた各処理装置に帯状材を通過させるために、帯状材の進行方向を変更する装置が使用されている。
このような目的に使用される帯状材の進行方向変更装置として、例えば特開昭55−80641号公報、及び実開平4−127751号公報に開示されているような装置がある。
特開昭55−80641号公報に記載されている装置70は、図5に示すように、円筒体72の表面にその外側が仮想螺旋曲面を形成する多数の回転輪(回転子)73を設け、回転輪73によって形成される仮想螺旋曲面上に帯状材74を通過させてその方向変更を図ろうとするものである。更に詳細には、円筒体72の外側表面の所定位置に多数の回転輪73を、その回転軸が帯板材74の進行方向と直交し、しかも円筒体72の直径に対しても垂直となるようにして、少しの間隔をおいて配列し、これら多数の回転輪73の外側包絡面を帯状材74が通過する前記仮想螺旋曲面としている。ここで、75、76は円筒体72の軸受を、77は制御装置を、78は蛇行修正用のモータを示すが常時は停止している。
【0003】
また、実開平4−127751号公報に記載されている装置79は、図6に示すように、円筒体80の外周面の帯状材81の通過位置に多数の流体噴出口82を設けたフロータ83を使用し、流体噴出口82から圧縮空気を吹き出して、帯状材81を円筒体80に直接接触させないようにして、帯状材81の流れ方向を変更するように構成されている。ここで、85は移動ベース、86は回動軸、87は移動ベース85の方向を変える油圧シリンダ、88は制御装置を示す。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図5のような円筒体72上に回転輪73を配置した従来の進行方向変更の装置70の場合、通過する帯状材74が回転輪73の円周面に接することに起因する摩擦によって、回転輪73が回転している状態にある。このため、回転輪73と帯状材74の接触が不十分だったり離れてしまうと、回転輪73は回転輪73の軸受の摩擦抵抗によって減速する。逆にそれまでは非接触の回転輪73が帯状材74に接触すると、回転輪73は帯状材74によって駆動され、回転輪73の回転速度が帯状材74の搬送速度と等しくなるまでの間、両者に差が生ずる。回転輪73の回転周速と帯状材74の搬送速度との間に不整合が生ずると、回転輪73と帯状材74の表面にスリ傷を付けたり、回転輪73の円周接面が著しく摩耗する問題を引き起こす。スリ傷は製品品質の低下、製品歩留りの低下を招き、回転輪73の摩耗は回転輪交換頻度の増大を招き、結果的に製品生産量の低下を引き起こす問題があった。この問題は帯状材の形状が不均一であったり厚みが厚い場合に起きやすく、かつ、高速になるほど問題が顕著になる傾向があった。
【0005】
一般に帯状材は処理設備に応じてある程度の形状不良(耳波、中伸び)は許容される。また、帯状材の張力変動や蛇行に関しては、進行方向変更装置前後に配置した装置やその処理の形態によっては避けることが困難な場合がある。形状不良の場合は帯状材の形状良部分と形状不良部分が通過する回転輪で、張力変動の場合は水平パス部に配置される装置端の回転輪で、蛇行の場合は帯状材のエッジ部分に配置された回転輪において、帯状材と回転輪が接触と非接触を繰り返し回転輪の回転周速と帯状材の搬送速度の不整合を繰り返す。
帯状材と回転輪の接触を確実に確保するには、帯状材の形状不良、張力変動や蛇行を抑える他に帯状材の張力を高くする方法があるが、板厚が厚い場合、回転軸に加わる荷重が増大して、回転輪の強度確保から回転輪の軸心や支持器具等の装置全体を大型にする必要があり、かえって、回転輪の設置数が制限されることになる。このため、回転輪1個当たりの荷重が増えたり回転輪間の配置寸法が広くなることで、帯状材が多角状に折れたり回転輪の圧痕が付いたりして、製品品質を低下させる場合があった。また、厚みの薄い帯状材の場合においても、同様に回転輪の数が少ないと回転輪部分の輪圧が高くなり過ぎて、部分的に変形を起こし帯状材の形状を壊したり傷を付けたりする問題があり、実用上外観品質要求の厳しい冷延薄板材や厚み1mm以下材料の搬送は困難であった。
【0006】
そのため、特開昭56−127537号公報においては、回転輪と帯状材との間に、弾性体のベルトを挿入する提案や、実開昭56−151205号公報においては、消耗し易い回転輪の交換を容易にするための提案等が開示されている。しかしながら、前者の提案では装置が大がかりになり、弾性体の変形に消費される駆動が大きく大容量の駆動源が要求される問題があった。また、後者の提案では回転輪のスリップや摩耗を低減させることが出来ず、結果的に帯状材の品質上の問題を解決できなかった。
また、従来の装置では回転輪の回転に要する動力を帯状材から供給するため、この進行方向変更装置を通過する区間内の帯状材の張力を高くしなければならず、更に帯状材のサイズによっては、この進行方向変更装置の上流側(前方)よりも下流側(後方)の張力が著しく大きくなる場合があった。この進行方向変更装置を通過する帯状材の張力に制限を受けたり、又はこの進行方向変更装置の前後で張力に影響を与えないために、実開平3−81208号公報において、装置の入側と出側にブライドル装置を設置する方法が開示されているが、ブライドル装置を必要とし設備コストが著しく高くなる問題があった。
【0007】
一方、実開平4−127751号公報に記載のように、円筒体80に設けた多数の流体噴出口82から流体を噴射して行う方向変換の装置79においては、帯状材81は円筒体80と非接触で流体によって浮上させられて搬送するため、回転輪の摩耗や回転輪による品質上の問題は解消された。
しかしながら、この方法では帯状材は搬送に必要な張力のもとでの円筒体中心方向への向心力に打ち勝って帯状材を浮上させる必要があるため、流体の噴出でこの力を与えるには流体噴出口の噴き出し面積を広くしたり噴出流体の量を増大させたりする必要がある。このため、流体の噴出の無駄をできるだけ少なくする目的で実開平9−226999号公報に開示されているようなカバーを設置する対策が採られているが、帯状材の厚みが厚いとこれらの対策による設備コストや運転維持のための運転コストが著しくなり、実用上、厚さ1.0mm以上の材料の搬送は困難であった。また、前述の理由でこの装置における帯状材の張力を高くしたりすることは困難で、この装置内での張力の変動は、帯状材の円筒体とのギャップに影響を与え搬送の不安定を引き起こすため張力の変動を許容することが出来ず、設置場所や前後の張力装置の配置に制約を与える問題があった。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、従来の帯状材の進行方向変更装置における上述のような問題点を改善できる帯状材の進行方向変更装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う本発明に係る帯状材の進行方向変更装置は、円筒状に配置された多数のエンドレスベルトと、前記多数のエンドレスベルトを駆動させるベルト駆動手段と、中央部に回転軸を有し前記多数のエンドレスベルトを円筒状に支持する支持部材と、前記多数のエンドレスベルトを前記支持部材と共に回転させる第1の回転駆動源とを有し、前記多数のエンドレスベルトを帯状材の軸方向移動成分に同期して移動させ、前記多数のエンドレスベルトを前記帯状材の周方向移動成分に同期して回転させる。
【0009】
円筒状に配置された多数のエンドレスベルトの外表面に、例えば、帯状材を45°傾けて螺旋状に180°巻付ける。そして、多数のエンドレスベルトを円筒状に支持する支持部材と共に電動機などの第1の回転駆動源によって、帯状材の周方向移動成分、すなわち、帯状材搬送速度のエンドレスベルト回転方向成分に同期して回転させ、更に、帯状材が当接する個々のエンドレスベルトをベルト駆動手段によって、帯状材の軸方向移動成分、すなわち、帯状材搬送速度のエンドレスベルト移動方向成分に同期して移動させることによって、帯状材がエンドレスベルトに当接する際の滑りをなくし、帯状材の進行方向の変更を行う。従って、帯状材の流れに対するエンドレスベルトの同期回転とエンドレスベルトの軸方向への同期移動の相乗効果によって、円筒状に配置された多数のエンドレスベルトの軸に対して45°傾いた方向に帯状材を搬送することが可能になる。その結果、エンドレスベルトを円筒状に支持する支持部材が半回転する間に帯状材の進行方向を、例えば90°変更することができる。
【0010】
本発明の帯状材の進行方向変更装置において、前記ベルト駆動手段には歯車機構が設けられて同一の第2の回転駆動源により前記エンドレスベルトの駆動が行なわれることが好ましい。
多数のエンドレスベルトを同一の第2の回転駆動源により駆動させるので、多数のエンドレスベルトを同時に同一の移動速度で駆動させることができる。また、円筒状に支持された多数のエンドレスベルトを支持部材と共に回転させる第1の回転駆動源と、多数のエンドレスベルトを駆動させ第2の回転駆動源とを設けることにより、多数のエンドレスベルトを帯状材の軸方向移動成分に同期して移動させる制御と、エンドレスベルトを帯状材の周方向移動成分に同期して回転させる制御とを独立して容易に行なうことが可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここに、図1は本発明の一実施の形態に係る帯状材の進行方向変更装置の平面図、図2は同側断面図、図3は図2のA−A矢視断面図、図4は図2のB−B矢視断面図である。
【0012】
図1、図2に示すように、本発明の一実施の形態に係る帯状材の進行方向変更装置10は、ベース架台11に軸受12、13を介して回転可能に配置された支持部材14と、支持部材14の外周面上に設けられた多数のエンドレスベルト15と、エンドレスベルト15を駆動させるベルト駆動手段16と、多数のエンドレスベルト15を支持部材14と共に回転させる第1の回転駆動源17とを有している。以下、これらについて詳しく説明する。
【0013】
ベース架台11は十分な剛性を有する部材からなって、その両側に取付けスタンド18、19を有し、この取付けスタンド18、19には軸受12、13が設けられている。支持部材14は、例えば、円筒体20と円筒体20の両端に取付けられた円板状の一方端部21と、他方端部22と、補強円板23、24と、一方端部21及び補強円板23に取付けられた回転軸25と、他方端部22及び補強円板24に取付けられた回転軸26とを有している。回転軸25、26は支持部材14の中央部に配置されている。回転軸25は軸受12に、回転軸26は軸受13によってそれぞれ支持され、その結果、支持部材14は回転可能な状態となっている。回転軸25の一方の側にはカップリング27を介して、例えば、電動モータ等が使用できる第1の回転駆動源17が設けられている。この第1の回転駆動源17は取付けスタンド18の上に配置されている。
【0014】
また、円筒体20の外周には所定間隔で、図3に示すように、多数のエンドレスベルト15が設けられている。エンドレスベルト15は、それぞれの外表面の形成する外周面が円筒体20の軸心とその軸心が一致する仮想円筒の側面の一部を形成するように円筒状に配置されている。この実施の形態では12個のエンドレスベルト15が設けられているが、更にその数を増加する場合であっても、減少する場合であっても本発明は適用される。なお、図1ではエンドレスベルト15の円筒体20への取付け状態を示すために、3個のエンドレスベルト15のみ記載し、他のエンドレスベルト15の記載は省略している。なお、エンドレスベルト15としては、例えば、歯付きベルトが使用できる。以上の構成で、支持部材14を第1の回転駆動源17により回転させることにより、多数のエンドレスベルト15を支持部材14と共に回転させることができる。
【0015】
続いて、エンドレスベルト15の円筒体20への取付けと駆動について説明する。
図1〜図3に示すように、各エンドレスベルト15はエンドレスベルト取付手段28内に設けられており、このエンドレスベルト取付手段28を円筒体20に固定することにより、エンドレスベルト15の円筒体20への取付けが行なわれている。エンドレスベルト取付手段28は円筒体20の外周面に取付けられたベース架台29と、ベース架台29に設けられたエンドレスベルト15を支持する多数のベルト受け車輪30と、一方端部21側に設けられた駆動プーリー31及びプーリー32と、他方端部22側に設けられたプーリー32aとを有している。そして、エンドレスベルト15は駆動プーリー31により伝達された動力により、上面側では多数のベルト受け車輪30上を駆動プーリー31から他方端部22側のプーリー32aに向けて走行し、下面側では他方端部22側のプーリー32aからプーリー32に向けてベース架台29内を走行して、プーリー32から駆動プーリー31に戻る周回運動を行なう。
【0016】
また、各エンドレスベルト15の上面側駆動距離は、図2に示すように、この進行方向変更装置10で処理しようとする帯状材33の幅をWとすると(1.414×W)の幅より十分(通常は帯状材33の幅の1.5〜2倍程度)大きくする。これによって、斜めに通過する帯状材33の底部の全面を支持できるようになっている。更に、図3に示すように、各エンドレスベルト15の外表面によって形成される外周面の断面は、同一中心及び同一半径の円の円弧を形成するので、通過する帯状材33は各エンドレスベルト15によって裏面側から支持されている。
【0017】
次に、各エンドレスベルト15の駆動を行なうベルト駆動手段16について更に詳しく説明する。図4に示すように、ベルト駆動手段16には、例えば、歯付きプーリー等が使用できる駆動プーリー31に動力を伝達するの回転軸34を備えた1対のマイター歯車35と、マイター歯車35に連結されマイター歯車35に動力を伝達する回転軸36と、回転軸36の一端に設けられた小歯車37と、小歯車37に噛み合っている中間歯車38とを有している歯車機構が設けられている。更に、図1、図2において、中間歯車38は複数の小歯車37と噛み合わさっている中間歯車の歯38aと第2の回転駆動源40の出力軸端歯車39と噛み合わさっている中間歯車の歯38bとで構成され、これら歯車は一体で回転軸25に回転自在に軸受38cで組み込まれている。第2の回転駆動源40は、例えば、電動モータ等が使用できる。
以上の構成とすることにより、第2の回転駆動源40により発生した回転駆動力は、出力軸端歯車39を介して中間歯車38を回転させ、更に中間歯車38に噛み合っている各エンドレスベルト15のベルト駆動手段16に設けられている歯車機構の小歯車37を回転させることにより、マイター歯車35を介して駆動プーリー31を回転させエンドレスベルト15を駆動させる。従って、同一(一つ)の第2の回転駆動源40により各エンドレスベルト15の駆動が行なわれる。
【0018】
続いて、本発明の一実施の形態に係る帯状材の進行方向変更装置10による帯状材33の進行方向変更の方法について図2を用いて説明する。
例えば、支持部材14を用いて円筒状に配置された多数のエンドレスベルト15に対して、帯状材33を45°傾けて螺旋状に180°巻付け、搬送速度Vで流す場合を考える。帯状材33は円筒状に配置された多数のエンドレスベルト15の軸方向に対して、45°傾いて搬送されるため、円筒体20の軸方向に移動する帯状材33の搬送速度は、Vcos45°となる。また、円筒体20の周方向に移動する帯状材33の搬送速度は、Vsin45°となる。
【0019】
従って、多数のエンドレスベルト15を円筒状に支持する支持部材14と共に第1の回転駆動源17によって、エンドレスベルト15の外表面における周速がVsin45°に一致するように回転させ、更に、第2の回転駆動源40とベルト駆動手段16によって、帯状材33が当接する個々のエンドレスベルト15の駆動速度がVcos45°に一致するように駆動させることによって、合成方向と合成速度を帯状材33の搬送方向と搬送速度に一致させることができ、帯状材33がエンドレスベルト15に当接する際の滑りを無くし、円筒状に配置されたエンドレスベルト15の軸に対して45°傾いた方向に帯状材33を搬送することが可能になる。帯状材33の螺旋移動速度と円筒状に配置された各エンドレスベルト15の周りの螺旋移動速度が一致するので、帯状材33と各エンドレスベルト15との間に摩擦が生じることなく、結果としてエンドレスベルト15を円筒状に支持する支持部材14が半回転する間に帯状材33の進行方向を、例えば90°変更することができる。
【0020】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではない。例えば、本実施の形態においては、帯状材の進行方向の変更は90°であったが、その他の角度であっても本発明は適用される。この場合には、帯状材の螺旋進行に対応して、多数のエンドレスベルトの移動速度と回転速度を調整すればよい。
更に、第2の回転駆動源として電動モーターを使用したが、第2の回転駆動源に分配減速機を使用して第1の回転駆動源と接続することにより、第1の回転駆動源の回転駆動力をエンドレスベルトの駆動に分配することが可能となる。ただし、この場合では帯状材の進行方向の変更角度は一定の角度に固定される。
【0021】
【発明の効果】
請求項1、2記載の帯状材の進行方向変更装置においては、円筒状に配置された多数のエンドレスベルトと、多数のエンドレスベルトを駆動させるベルト駆動手段と、中央部に回転軸を有し多数のエンドレスベルトを円筒状に支持する支持部材と、多数のエンドレスベルトを支持部材と共に回転させる第1の回転駆動源とを有し、多数のエンドレスベルトを帯状材の軸方向移動成分に同期して移動させ、多数のエンドレスベルトを帯状材の周方向移動成分に同期して回転させるので、エンドレスベルトの外表面を帯状材に一致させて螺旋移動させることができる。その結果、螺旋状に巻付けられた帯状材と円筒状に配置したエンドレスベルトの外表面との接触面は面接触となり、且つ、速度と方向が同調して移動するため、接触面で滑りを生ずることはない。
【0022】
従って、従来のような回転輪に起因するスリップ疵や圧痕などの品質トラブルが解消し、また、エンドレスベルトの外表面と帯状材の接触面でスリップが無く損耗が殆ど無いため、メンテナンス頻度が著しく減少した。そして、エンドレスベルトを円筒状に支持する支持部材の回転やエンドレスベルト駆動に要する動力を電動機などの駆動源から供給できるのと、帯状材の張力はエンドレスベルトの広い面で保持され、支持部材、軸受を経てベース架台で受けるため、帯状材の張力によって搬送が制限されたり、帯状材の形状や張力変動や蛇行に影響を受けることがない。
【0023】
更に、この進行方向変更装置においては、入側と出側の帯状材の張力に影響を与えることも無く、これによって、帯状材の厚みによる品質上の影響が無く、幅広いレンジの厚みの帯状材の搬送に対応できる。即ち、この進行方向変更装置は、従来の進行方向変更装置で困難な領域の冷延薄板材の厚み1mm以下のものに対応できる。また、浮上搬送方式の場合の厚板材の搬送における運動動力費の課題も無く、薄材から、厚材まで制約無く搬送することが可能である。そして、進行方向変更装置の入側と出側で帯状材に張力の影響を与えず、また、受けないため、従来設置が必要であった前後ブライドル装置を省略し、設備全体の構成がコンパクトになり、占有スペースが狭くて済み、設備費が低く抑えられるなどの効果が期待できる。
【0024】
特に、請求項2記載の帯状材の進行方向変更装置においては、ベルト駆動手段には歯車機構が設けられて同一の第2の回転駆動源によりエンドレスベルトの駆動が行なわれるので、多数のエンドレスベルトを帯状材の軸方向移動成分に同期して同時に移動させることができ、エンドレスベルト上を滑らせないで帯状材の進行方向を任意の方向に変更させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る帯状材の進行方向変更装置の平面図である。
【図2】同側断面図である。
【図3】図2のA−A矢視断面図である。
【図4】図2のB−B矢視断面図である。
【図5】従来例に係る進行方向変更装置の平面図である。
【図6】従来例に係る進行方向変更装置の平面図である。
【符号の説明】
10:進行方向変更装置、11:ベース架台、12、13:軸受、14:支持部材、15:エンドレスベルト、16:ベルト駆動手段、17:第1の回転駆動源、18、19:取付けスタンド、20:円筒体、21:一方端部、22:他方端部、23、24:補強円板、25、26:回転軸、27:カップリング、28:エンドレスベルト取付手段、29:ベース架台、30:ベルト受け車輪、31:駆動プーリー、32、32a:プーリー、33:帯状材、34:回転軸、35:マイター歯車、36:回転軸、37:小歯車、38:中間歯車、38a、38b:中間歯車の歯、38c:中間歯車の軸受、39:出力軸端歯車、40:第2の回転駆動源

Claims (2)

  1. 円筒状に配置された多数のエンドレスベルトと、
    前記多数のエンドレスベルトを駆動させるベルト駆動手段と、
    中央部に回転軸を有し前記多数のエンドレスベルトを円筒状に支持する支持部材と、
    前記多数のエンドレスベルトを前記支持部材と共に回転させる第1の回転駆動源とを有し、
    前記多数のエンドレスベルトを帯状材の軸方向移動成分に同期して移動させ、前記多数のエンドレスベルトを前記帯状材の周方向移動成分に同期して回転させることを特徴とする帯状材の進行方向変更装置。
  2. 請求項1記載の帯状材の進行方向変更装置において、前記ベルト駆動手段には歯車機構が設けられて同一の第2の回転駆動源により前記エンドレスベルトの駆動が行なわれることを特徴とする帯状材の進行方向変更装置。
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