JP4136820B2 - 色変換マトリクス算出方法および色補正方法 - Google Patents
色変換マトリクス算出方法および色補正方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被写体に対する再現カラー画像の色再現性を向上させるために色信号を補正する色補正方法、および色補正に用いる色変換マトリクスを算出する色変換マトリクス算出方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、画像の色情報を異なるメディア間で精度よく伝達するためにデジタル化することが多くなっており、例えばデジタルカメラやスキャナ等の画像入力装置は取り込んだ被写体のカラー画像を光の3原色のRGB信号に変換してこれをモニタやプリンタ等の画像出力装置に出力し、画像出力装置ではRGB信号に基づいてカラー画像を再現する(例えばモニタ画面に表示したり紙等に印刷する)ことが一般的に行われている。画像入力装置で得られるRGB信号は撮影レンズ等の光学系、カラーフィルタおよび撮像素子等の受光センサの撮像特性に依存し、また画像出力装置も再現の仕方によって同じRGB信号を入力しても再現される色が異なるだけでなく、画像入力装置および画像出力装置の特性にはそれぞれ固有の個体差が存在するため、RGB信号に基づく再現カラー画像は被写体に対する色再現性が悪い、即ち正確な色再現が行えない。
【0003】
そこで、近年では画像入力装置及び画像出力装置間で共通化したsRGB規格に準拠した色信号を採用することが多くなっており、画像入力装置では撮像系で得られるRGB信号をsRGB規格に応じて色補正し、これを出力している。これによりsRGB規格対応の画像出力装置では正確な色再現ができる、即ち同じRGB値が与えられれば近似した色味が再現できる。色補正の手法は様々であり、例えば撮像系に設ける光学フィルタの分光特性をsRGB規格に合わせる光学的な補正や、RGB信号をマトリクス演算する電子的な補正によって、再現色を本来の色に近似させている。
【0004】
従来、電子的な色補正で用いる色変換マトリクスの色変換精度を向上させる手法として重回帰分析法が提案されている。重回帰分析法は本来の色と再現色との関係を原因と結果ととらえた統計解析によってマトリクス要素を最適化する、即ち撮像系で得られたRGB信号に色変換マトリクスを作用させることにより予測した再現色と本来の色との信号レベル差が許容値以下となるようなマトリクス要素を求める手法であり、例えば特許文献1には3原色のRGB信号を異なる表色系のXYZ信号に変換するためのマトリクスを重回帰分析により求める技術が示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−164381号公報
【0006】
再現色と本来の色との一致の度合いは、人間の生理的色感に応じた色相、彩度および明度の3つの要素で評価することが通常である。特に色相の差は人間には色味の違いとして認識され易い。しかしながら、RGB信号は色相と線形的な関係にないため、上述した重回帰分析の精度の評価が難しいという問題がある。即ちRGB信号の信号レベル差が許容値範囲内にあっても、人間の目にとって異なる色に認識される程度の色相の差が生じることがある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点に鑑みて成されたものであり、特に色相に関して再現色を本来の色に高精度に近似できる色変換マトリクスを得ることを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の色変換マトリクス算出方法は、第1色空間の任意の色信号を第2色空間の色信号に変換するための色変換マトリクスを算出する方法であって、色変換マトリクスが第1マトリクスと第2マトリクスとの積であり、彩度および色相が段階的に変化する複数のカラーパッチに各々対応する第1色空間の色信号を第1説明変数群とし、カラーパッチの各々に対応し第2色空間の色相に関する第1目標色信号を第1目的変数群とし、第1マトリクスの要素を偏回帰係数とする重回帰モデルが構築され、第1説明変数群と第1目的変数群とに基づく重回帰分析により第1マトリクスの要素が求められ、カラーパッチに各々対応する第1色空間の色信号に第1マトリクスを作用させることにより得られた色相補正色信号を第2説明変数群とし、カラーパッチの各々に対応し第2色空間の彩度に関する第2目標色信号を第2目的変数群とし、第2マトリクスの要素を偏回帰係数とする重回帰モデルが構築され、第2説明変数群と第2目的変数群とに基づく重回帰分析により第2マトリクスの要素が求められることを特徴とする。
【0009】
上記色変換マトリクス算出方法において、カラーパッチに対応する第1色空間の色信号、色相補正色信号、第1目標色信号および第2目標色信号は、色の一致度の評価の際にCIE−L*a*b*均等色空間における色信号に変換されることが好ましい。また、例えば彩度に関する目標色信号がカラーパッチの測色信号であり、第1目標色信号がCIE−L*a*b*色空間において座標原点と第2目標色信号の点とを結んだ直線に対して第1目標色信号を正射影した点が示す色信号であってもよい。
【0010】
上記色変換マトリクス算出方法で用いられるカラーパッチは、例えばマクベスカラーチェッカーの18色の有彩色カラーパッチであり、この場合18色の有彩色カラーパッチに対応する第1色空間の色信号は、マクベスカラーチェッカーの6色の無彩色カラーパッチに対応する第1色空間の色信号に基づいてホワイトバランス補正が施されることが好ましい。
【0011】
上記色変換マトリクス算出方法において、例えば第1色空間の色信号はカラーフィルタを設けた撮像素子によって得られた3原色RGB信号であり、第2色空間の色信号がsRGB(スタンダード・レッド・グリーン・ブルー)信号である。
【0012】
また、本発明に係る色補正方法は、画像の第1色空間における任意の色の色信号を色変換マトリクスを用いて第2の色空間における色信号に変換する色補正方法であって、色変換マトリクスが、第1マトリクスと第2マトリクスとの積であり、彩度および色相が段階的に変化する複数のカラーパッチに各々対応する第1色空間の色信号を第1説明変数群とし、カラーパッチの各々に対応し第2色空間の色相に関する第1目標色信号を第1目的変数群とし、第1マトリクスの要素を偏回帰係数とする重回帰モデルが構築され、第1説明変数群と第1目的変数群とに基づく重回帰分析により第1マトリクスの要素が求められ、カラーパッチに各々対応する第1色空間の色信号に第1マトリクスを作用させることにより得られた色相補正色信号を第2説明変数群とし、カラーパッチの各々に対応し第2色空間の彩度に関する第2目標色信号を第2目的変数群とし、第2マトリクスの要素を偏回帰係数とする重回帰モデルが構築され、第2説明変数群と第2目的変数群とに基づく重回帰分析により第2マトリクスの要素が求められることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明の色変換マトリクス算出方法および色変換方法の実施形態を示す模式図である。
【0015】
デジタルカメラ10は、撮像素子により被写体のフルカラー画像を得る画像入力装置であり、撮影光学系12と、撮像素子、例えばRGB3原色のカラーチップフィルタ16が撮像面上に設けられた単板式のCCD14とを備える。撮影光学系12により撮像素子に結像された光学的被写体像はCCD14により光電変換された後CCD14から読み出されてアナログ信号処理を受けた後A/D変換され、1フレーム分のRAWデータとしてデジタル信号処理回路20に送られる。
【0016】
デジタル信号処理回路20では、RAWデータから画素毎のRGB信号を生成する色分解処理、白色基準値に応じてR、GおよびBのゲインを調整するホワイトバランス補正処理、第1色空間の色信号である原色RGB信号の色域をsRGB規格で定義された色域に変換することにより再現色を目的の色(例えば被写体本来の色)に近づけるための色補正処理、およびモニタ装置30のγ特性を相殺する様に階調を調整する階調補正処理等を順次施して、第2色空間の色信号であるsRGB信号を生成する。デジタル信号処理回路20は、sRGB信号をUSBケーブル等のインターフェース(図示せず)を介して外部装置、例えばパーソナルコンピュータに接続されたモニタ装置30(CRTディスプレイモニタまたはLCDモニタ)やプリンタ等(図示せず)の画像出力装置に出力できる。
【0017】
sRGB信号はIEC規定の色再現国際規格に準拠した信号であり、sRGB規格では標準のCRTディスプレイモニタ装置に応じて色再現性および色域が規定されている。この場合、ホワイトバランス補正処理においては白基準値がCIE−D65に定められ、色補正処理においてはRGB信号の色域が定義された色域に補正され、階調補正処理においてはγ値が2.2に定められる。
【0018】
デジタル信号処理回路20ではsRGB規格に準じて信号が処理されるが、撮像系(撮影光学系12、CCD14、RGBカラーチップフィルタ16等)にはsRGB規格に準拠した特性値をもつ素子が用いられているわけではなく、このため、被写体の色情報をsRGB規格に合わせて正確に撮ることができず、再現色が本来の色と一致しない現象が生じる。この現象を回避するために撮像系の感度特性をsRGB規格に一致させるための光学的な補正が成されているが十分ではなく、完全に一致させることは実質上困難である。このため、撮像系で得られたRGB信号の信号レベルを調節して電子的に補正するが、撮像系の感度特性は個々のデジタルカメラ10によって異なり、被写体本来の色情報とデジタルカメラ10により得られる色情報との関係に規則性がないことから両者の関係を理論的に定義することは困難であり、個々の色毎に異なる信号処理をしなければならない。R、GおよびB信号が8ビットデータである場合には色数は(28)3=167777216となり、全色に最適な色補正処理を行うことは現実的ではない。
【0019】
そこで、彩度および色相が段階的に変化する複数の色サンプルから成るカラーチャート、例えば、図1に示すマクベスカラーチャート(登録商標)40の24色のカラーパッチP1〜P24(図1では24色のカラーパッチの一部のみに符号を付す)を、色彩計等により正確に測色するとともに個々のデジタルカメラ10によって測色時と同じ照明環境下で撮影し、撮影で得られたRGB信号を測色したRGB信号に一致させるような色変換マトリクスをそれぞれ求めておき、デジタルカメラ10に設定する。被写体を撮影したときには、デジタル信号処理回路20はこの色変換マトリクスによって色補正処理を行っている。これにより測色値に忠実な色再現が行える。
【0020】
色変換マトリクスは外部の色変換マトリクス算出装置34、例えばパーソナルコンピュータにより算出され、予めデジタルカメラ10のメモリ22に格納される。一方、デジタルカメラ10は、色変換マトリクスを算出するためにマクベスカラーチャート40を撮影して得られるRAWデータを、デジタル信号処理回路20から色変換マトリクス算出装置34に出力する。色変換マトリクスは、デジタルカメラ10の製造工程の終段において色変換マトリクス算出装置34との協働によって求められる3×3のマトリクスであり、個々のデジタルカメラ10の撮像系の色感度特性に応じて9個のマトリクス要素の値が定められる。
【0021】
RAWデータから得られる所定の色を入力色Cin、色変換マトリクスをA、色変換マトリクスAによる色補正処理後の色を補正色Cesと定義すると、それぞれのRGB信号Cin(Rin,Gin,Bin)およびCes(Res,Ges,Bes)について下記の(1)式に示す線形1次式が成り立つ。この(1)式と等価なマトリクス要素による表現式を(2)式に示す。a1〜a9は色変換マトリクスAのマトリクス要素である。
【0022】
【数1】
【0023】
なお、本実施形態では正確な色再現を行うことを目的としているため、色変換マトリクスAを算出する際に設定される目標値はカラーパッチP1〜P24の測色信号であるが、人物の肌色や青空の色等のよく使われる特定色を、正確な色ではなく使用者の望む色に再現する場合には、特定色に関して測色信号を修正した値を目標値に設定してもよい。なお、測色によるRGB信号は、色彩計でR、GおよびBの信号レベルを直接測定して得る他、例えば分光光度計によって分光反射率を測定する、または色彩計によってRGB表色系と異なる表色系で表現されたXYZ信号やL*a*b*信号を測定して、分光反射率、XYZ信号またはL*a*b*信号をRGB信号に変換して得てもよい。
【0024】
マクベスカラーチャート40は、市販の既製品であるため手に入れ易く、各カラーパッチP1〜P24の測色信号が既知であり測色の手間が省ける。例えば、標準光の照明環境下のもとでの第1番のカラーパッチP1(色名;暗い肌色)の測色信号は、x=0.4002、y=0.3504およびY=10.05であり、これら測色信号x、yおよびYを公知の変換式によってRGB信号に変換することができる。ただし、x=X/(X+Y+Z)、y=Y/(X+Y+Z)であり、X、YおよびZはXYZ表色系における三刺激値である。第1〜18番のカラーパッチP1〜P18は有彩色であり、最終列の第19〜24番のカラーパッチP19〜P24は無彩色である。
【0025】
なお、カラーチャートとしては本実施形態のマクベスカラーチャートに限らず、複数のカラーパッチが均等色空間上に一様に分布するものであればよく、例えばJIS標準色標でもよい。マクベスカラーチャート40に基づいて得た色変換マトリクスは、各カラーパッチP1〜P24の色については精度良く色再現できるが、他の色については保障されない。従って、良く使用される特定色(人物の肌色、青空の色、緑など)をカラーパッチにした独自のカラーチャートを作成しておけば、特定色について特に忠実に色再現できることになる。
【0026】
図2および図3を参照して、色変換マトリクス算出方法について説明する。図2には、色温度が6504Kの昼光を代表する標準の光CIE−D65を照明用光源とするCIE−L*a*b*色空間(以下、Lab色空間と記載する)が示され、このLab色空間において、所定の1色に関する入力色Cinと、補正すべき目標の色Cme(以下、目標色と記載する)とがそれぞれ点で示されている。目標色CmeのL*a*b*信号は測色で得られた値に設定される。図3は、色変換マトリクス算出処理の処理流れおよび各種色信号の関係を模式的に示すブロック図である。
【0027】
マトリクス演算では色はRGB信号で扱われるが、色の一致度の評価ではL*a*b*信号で扱われる。これは、Lab色空間が人間の色知覚と座標上の距離との相関性が良好な均等色空間であることによる。図2に示すLab色空間においては、明度を表すL*、色相および彩度を示すa*、b*の座標により任意の色を表すことができる。明度指数L*は任意の色の相対的な明るさや暗さを示し、黒の0%から白の100%の範囲である。色相はa*b*平面における座標原点周りの角度で示され、0°から360°の範囲である。a*軸において正の数字が大きくなる程赤が強くなり、負の数字が大きくなるほど緑が強くなる。b*軸において正の数字が大きくなる程黄が強くなり、負の数字が大きくなるほど青が強くなる。また、座標原点からの距離が大きくなるほど彩度が高く、鮮やかな色になる。座標原点は無彩色である。
【0028】
RGB信号からL*a*b*信号への変換は下記に示す公知の(3)式および(4)式により行う。(3)式はRGB信号をXYZ信号に変換するための変換式であり、(4)式はXYZ信号をL*a*b*信号に変換するための変換式である。色の一致度の評価時にはRGB信号はRGB→XYZ→L*a*b*変換によりL*a*b*信号に変換され、マトリクス演算の時にはL*a*b*信号はL*a*b*→XYZ→RGB変換によりRGB信号に戻される。L*a*b*→XYZ→RGB変換は(3)式および(4)式を変形した変換式により行われ、ここではその式は省略する。
【0029】
【数2】
【0030】
【数3】
【0031】
本実施形態では、カラーパッチP1〜P18の18色について入力色Cinから予測した補正色Cesがそれぞれ対応する目標色Cmeに色相が一致するように色変換マトリクスAを最適化した後、彩度が一致するように最適化する。補正色Cesと目標色Cmeとの一致の度合いは、Lab色空間における両者の色相角θesおよびθmeの差によって評価する。色相角θ(θesおよびθme)はa*b*面に下ろした点のa*軸からの原点周りの回転角であり、下記の(5)式により定義される。色相角θesおよびθmeはそれぞれのa*座標およびb*座標を(5)式に代入して求められる。人間の知覚では、色相が異なる方が彩度が異なる場合に比べて別の色として認識され易いので、本実施形態では色相を優先的に一致させている。
【0032】
【数4】
【0033】
まず、色相を合わせるために、Lab色空間において座標原点と目標色Cmeとを結ぶ直線L上に入力色Cinを正射影した点の色を色相最適化目標色Cme'に設定し、その色相最適化目標色Cme'のL*a*b*信号をL*a*b*→XYZ→RGB変換してRGB信号を求める処理を18色についてそれぞれ行い、18色の入力色Cinをそれぞれ対応する色相最適化目標色Cme'に一致させるための色相最適化マトリクスA-huew(第1マトリクス)を重回帰分析により求める。色相最適化目標色Cme'のRGB信号は色相に関する第1目標色信号である。直線Lは目標色Cmeと色相が同じ色の点の集合であり、入力色Cinを直線L上に正射影した点の色Cme'(以下、色相最適化目標色と記載する)は、目標色Cmeと色相が同じであってなおかつ入力色Cinに対してLab空間での距離が最も近い色である。即ち目標色を色相最適化目標色Cme'にすれば、Lab色空間において最短移動距離で色相を合わせることができる。なお、図2には1色のみが代表して示される。個々の入力色Cinに色相最適化マトリクスA-huewを作用させて得られる色相補正色Ces'は、対応する色相最適化目標色Cme'に略一致する。
【0034】
次に、彩度を合わせるために、18色の色相補正色Ces'をそれぞれ対応する目標色Cmeに一致させるための彩度最適化マトリクスA-satw(第2マトリクス)を重回帰分析により求める。目標色CmeのRGB信号は彩度に関する第2目標色信号である。個々の色相補正色Ces'に彩度最適化マトリクスA-satwを作用させて得られる補正色Cesは、対応する目標色Cmeに略一致する。
【0035】
入力色Cinを補正色Cesに変換するための色変換マトリクスAは、下記の(6)式に示すように、目標色Cmeに色相を近似させるための色相最適化マトリクスA-huewと、目標色Cmeに彩度を近似させるための彩度最適化マトリクスA-satwとの積により求められる。(6)式と等価なマトリクス要素による表現式を(7)式に示す。(7)式におけるa'1〜a'9は色相最適化マトリクスA-huewのマトリクス要素であり、a"1〜a"9は彩度最適化マトリクスA-satwのマトリクス要素である。
【0036】
【数5】
【0037】
従って、入力色Cinを色変換マトリクスAによって補正色Cesに変換するということは、入力色Cinを補正色Cesに対して色相を一致させた後に彩度を一致させるということと同等である((8)式を参照)。
【数6】
【0038】
次に、図4〜図6のフローチャートを参照して、色変換マトリクス算出処理について詳細に説明する。
【0039】
まずステップS102において、24色のカラーパッチP1〜P24を有するマクベスカラーチャート40を用意し、これら24個のカラーパッチP1〜P24をCIE−D65の照明光源下でデジタルカメラ10により撮影し、得られたRAWデータを色変換マトリクス算出装置34に転送する。
【0040】
色変換マトリクス算出装置34は、RAWデータに基づいて18個の有彩色カラーパッチP1〜P18に対応する入力色CinのRGB信号を得る(ステップS104)。ここで、個々の有彩色カラーパッチP1〜P18に対応する色データを区別するために、有彩色カラーパッチP1〜P18の順番を示すパラメータk(k=1、2、…、18)を設定し、k番目のカラーパッチPkに対応する入力色をCin(k)、そのRGB信号を(Rin(k),Gin(k),Bin(k))で表す。入力色Cin(k)のRGB信号(Rin(k),Gin(k),Bin(k))は、カラーパッチPkに相当する撮像領域から抽出された30×30画素のR、GおよびBの信号レベルのそれぞれの平均値(以下、RGB平均値と記載する)であり、8ビットデータである。RGB平均値の信頼性を高めるために、30×30画素のうち欠陥画素などは取り除かれる。なお、RGB信号(Rin(k),Gin(k),Bin(k))は10ビットデータまたは12ビットデータであってもよい。
【0041】
マクベスカラーチャート40の第19〜24番のカラーパッチP19〜P24は6段階の無彩色カラーパッチであり、詳しくは第19番のカラーパッチP19(色名;白色)、第20番のカラーパッチP20(色名;グレイ8)、第21番のカラーパッチP21(色名;グレイ6.5)、第22番のカラーパッチP22(色名;グレイ5)、第23番のカラーパッチP23(色名;グレイ3.5)、第24番のカラーパッチP24(色名;黒色)から成る。
【0042】
これら無彩色の6個のカラーパッチP19〜P24はグレー階調の補正に用いられる。具体的には、各カラーパッチP19〜P24にそれぞれ相当する撮像領域から抽出された30×30画素のRGB平均値が求められ、6つの無彩色カラーパッチP19〜P24のRGB平均値とそれぞれの目標値(例えば測色信号)との誤差が最小となるようなオフセット値がR、GおよびBのそれぞれについて求められる。ステップS104で有彩色カラーパッチPk(k=1、2、…、18)の入力色Cin(k)のRGB信号(Rin(k),Gin(k),Bin(k))を得る前に、RAWデータのR、GおよびB信号からそれぞれオフセット値が差し引かれ、これにより画像の白基準レベルおよび黒基準レベルが補正されるとともに、グレー階調、即ち色の濃さが適切なレベルに補正される。なお、階調はγ=1.0で正規化されたものである。
【0043】
また、6個の無彩色カラーパッチP19〜P24は、ホワイトバランス補正にも用いられ、RAWデータから得られる各無彩色カラーパッチP19〜P24のRGB平均値に基づいて、R、GおよびBのゲインがそれぞれ決定され、18個の有彩色カラーパッチP1〜P18のRGB平均値がゲイン調整される。
【0044】
従って、ステップS104で得られる18色の有彩色カラーパッチPk(k=1、2、…、18)の入力色Cin(k)のRGB信号(Rin(k),Gin(k),Bin(k))は、グレー階調補正およびホワイトバランス補正が施され、γ=1.0で正規化されたものである。
【0045】
また、ステップS106において既知である18個のカラーパッチP1〜P18の測色信号(RGB信号)を色変換マトリクス算出装置34に入力する。なお、入力したデータが、RGB信号でない場合、例えばXYZ信号、L*a*b*信号、分光反射率等の場合には公知の変換式によりRGB信号に変換しておく。また、測色信号の値が未知の場合には、ステップS106の前に撮影と同じ照明環境下でカラーパッチP1〜P18を測色する。
【0046】
そして次のステップS108において、k番目(k=1、2、…、18)のカラーパッチPkの目標色をCme(k)、そのRGB信号を(Rme(k),Gme(k),Bme(k))と定義し、ステップS106で得られた測色信号を目標色Cme(k)のRGB信号(Rme(k),Gme(k),Bme(k))に設定する。本実施形態では正確な色再現を行うことを目的としているので、測色信号を目標色Cme(k)のRGB信号(Rme(k),Gme(k),Bme(k))としているが、特定色を好ましい色に再現することを目的とする場合などでは、目的に応じて任意にRme(k)、Gme(k)、Bme(k)の値を変更する。なお、ステップS106およびS108は次のステップS110の前であればいつ行ってもよい。
【0047】
ステップS110では、ステップS104で得られた18色の入力色Cin(k)のRGB信号(Rin(k),Gin(k),Bin(k))(k=1、2、…、18)を、RGB→XYZ→L*a*b*変換((3)式および(4)式)によりL*a*b*信号に変換する。同様に、ステップS108で得られた18色の目標色Cme(k)のRGB信号(Rme(k),Gme(k),Bme(k))(k=1、2、…、18)をL*a*b*信号に変換する。
【0048】
ステップS112では、18色についてそれぞれ色相最適化目標色Cme'(1)〜Cme'(18)を設定し、それらのL*a*b*信号を求める。即ち、Lab色空間においてk番目(k=1、2、…、18)の目標色Cme(k)と座標原点とを結ぶ直線上に入力色Cin(k)を正射影した点を色相最適化目標色Cme'(k)に設定し、そのL*a*b*座標を求める。そして、ステップS114において、色相最適化目標色Cme'(1)〜Cme'(18)のL*a*b*信号をそれぞれL*a*b*→XYZ→RGB変換し、RGB信号(Rme'(1),Gme'(1),Bme'(1))〜(Rme'(18),Gme'(18),Bme'(18))を求める。
【0049】
ステップS120では、18色の入力色Cin(1)〜Cin(18)のRGB信号を説明変数群とし、18色の色相最適化目標色Cme'(1)〜Cme'(18)のRGB信号を目的変数群とし、色相最適化マトリクスA-huewのマトリクス要素a'1〜a'9を偏回帰係数とする重回帰モデルを構築して重回帰分析を行い、ステップS122において色相最適化マトリクスA-huewのマトリクス要素a'1〜a'9を求める。
【0050】
この重回帰モデルでは、入力色Cin(1)〜Cin(18)のRGB信号および色相最適化目標色Cme'(1)〜Cme'(18)のRGB信号を各々列ベクトルとするマトリクスBin、Bme'と、偏回帰係数から成る色相最適化マトリクスA-huewとの間で、18色について(9)式に示す線形1次式が成立するものと仮定する。(9)式と等価なマトリクス要素による表現式を(10)式に示す。
【0051】
【数7】
【0052】
色相最適化マトリクスA-huewは公知の最小二乗法などの最適化により求める。即ち、上述の重回帰モデル式において左辺(色相最適化目標色Cme'(1)〜Cme'(18)のRGB値)と、右辺(入力色Cin(1)〜Cin(18)に色相最適化マトリクスA-huewさせて得られるRGB値)とは、実際には一致せず、誤差が存在する。そこで、右辺と左辺の誤差の2乗和を最小にすることを条件として(9)式を(11)式に変形し、(11)式を解いて偏回帰係数A-huewを求める。「( )t」は転置行列を示し、「( )-1」は逆行列を示す。
【数8】
【0053】
重回帰分析が終了し色相最適化マトリクスA-huewが得られると、続くステップS124〜S130において得られた色相最適化マトリクスA-huewの有効性が評価される。
【0054】
ステップS124において、入力色Cin(1)〜Cin(18)のRGB信号をそれぞれ色相最適化マトリクスA-huewで変換することにより色相補正色Ces'(1)〜Ces'(18)のRGB信号(Res(1),Ges(1),Bes(1))〜(Res(18),Ges(18),Bes(18))をそれぞれ求め((12)式を参照)、ステップS126において(3)式および(4)式のRGB→XYZ→L*a*b*変換により、色相補正色Ces'(1)〜Ces'(18)のL*a*b*信号を求める。
【数9】
【0055】
ステップS128では、ステップS112で設定された色相最適化目標色Cme'(1)〜Cme'(18)のL*a*b*信号と、ステップS126で得られた色相補正色Ces'(1)〜Ces'(18)のL*a*b*信号とに基づいて、色相誤差θrmsを求める。詳述すると、k番目の色について色相最適化目標色Cme'(k)のL*a*b*信号から(5)式により色相角θme'(k)を求めるとともに色相補正色Ces'(k)のL*a*b*信号から(5)式により色相角θes'(k)を求める処理を、k=1、2、…、18について行い、18色の色相角θme'(k)およびθes'(k)の差の2乗和を求め、これを色相誤差θrmsとする((13)式を参照)。
【0056】
【数10】
【0057】
ステップS130では、色相誤差θrmsが許容値α以下であるか否かが判定され、色相誤差θrmsが許容値αを超えた場合はステップS108に戻り、目標色Cme(1)〜Cme(18)のRGB信号のいずれかを変更して新たに色相最適化マトリクスA-huewを求める。なお、ステップS108に戻って目標色Cme(1)〜Cme(18)のRGB信号を再設定する際は、色相の変化が僅かとなるように、即ちモニタ装置30における再現色の色味が被写体本来の色と変わらないように、各値が定められることが必要である。
【0058】
ステップS130において色相誤差θrmsが許容値α以下であると判定された場合には、入力色Cinを目標色Cmeに対して色相に関して高精度に近似できる色相最適化マトリクスA-huewが得られたと見做され、彩度最適化マトリクスA-satwを求めるためのステップS140〜S144が実行される。
【0059】
ステップS140では色相だけでなく彩度を合わせるための重回帰モデルを構築し、重回帰分析を行う。この重回帰モデルは(14)式に示されるように、ステップS124で求められた18色の色相補正色Ces'(1)〜Ces'(18)のRGB信号が説明変数群であり、ステップS108で設定された18色の彩度最適化目標色Cme(1)〜Cme(18)が目的変数群である。(14)式のBinは色相補正色Ces'(1)〜Ces'(18)を各々列ベクトルとするマトリクスであり、Bmeは彩度最適化目標色Cme(1)〜Cme(18)を各々列ベクトルとするマトリクスである。ステップS142では求められた偏回帰係数a"1〜a"9を彩度最適化マトリクスA-satwのマトリクス要素に定める。彩度最適化マトリクスA-satwの求め方はステップS120〜S122の色相最適化マトリクスA-huewの求め方と同じであり、詳述しない。
【数11】
【0060】
ステップS142で彩度最適化マトリクスA-satwが得られると、ステップS144において前述の(6)式((7)式)により色変換マトリクスAを算出する。そして、ステップS146において入力色Cin(1)〜Cin(18)のRGB信号をそれぞれ色変換マトリクスAで変換することにより補正色Ces(1)〜Ces(18)のRGB信号(Res(1),Ges(1),Bes(1))〜(Res(18),Ges(18),Bes(18))を求め(上述の(1)式および(2)式を参照)、ステップS148において(3)式および(4)式のRGB→XYZ→L*a*b*変換により、補正色Ces(1)〜Ces(18)のL*a*b*信号を求め、ステップS150において補正色Ces(1)〜Ces(18)と目標色Cme(1)〜Cme(18)との色相誤差θrmsを求める。ステップS150の色相誤差θrmsの求め方はステップS128の色相誤差θrmsの求め方と同じであり、説明を省略する。
【0061】
次のステップS152では、色相誤差θrmsが許容値α以下であるか否かが判定され、色相誤差θrmsが許容値αを超えた場合はステップS108に戻り、色相誤差θrmsが許容値α以下であると判定された場合には、入力色Cinを目標色Cmeに対して色相および彩度に関して高精度に近似できる色変換マトリクスAが得られたと見做され、ステップS154において色変換マトリクスAの係数が現在の値に確定し、ステップS156において色変換マトリクス算出装置34からデジタルカメラ10へ色変換マトリクスAの係数データを転送してメモリ22に書き込んで終了する。
【0062】
以上のように求められた色変換マトリクスAをデジタルカメラ10の色補正処理で用いると、特に色相について測色信号に忠実な色再現ができるsRGB信号を得ることができ、モニタ装置30の画面に被写体本来の色に極めて近い色味で被写体像を表示できる。
【0063】
このように、本実施形態では色相差を色味の違いとして捕らえ易い人間の視覚特性を考慮した色補正処理を行うことができる。即ち、色補正に用いる色変換マトリクスAを2つのマトリクス、即ち色相を目標色Cmeに一致させる色相最適化マトリクスA-huewと彩度を目標色Cmeに一致させるA-satwとの積により求め、それぞれのマトリクスを個別に重回帰分析によって求めている。これにより、補正色Cesを目標色Cmeに対して色相を優先的に一致させることができ、モニタ装置30において被写体本来の色に極めて近い色味を再現することができる。
【0064】
上記の重回帰モデルでは各色について補正色Cesと目標色Cmeとの色相角差がほぼ均等にばらつくが、肌色等の特定色に限定して色相一致の精度を向上させたい場合には、ステップS120およびステップS140の重回帰分析を行う前に、目的変数群となる色相最適化目標色Cme'(1)〜Cme'(18)および目標色Cme(1)〜Cme(18)に重み付けをする。即ち、18色についてそれぞれ設定した重みW(k)(k=1,2,…18)と色相最適化目標色Cme'(k)との積、および重みW(k)と目標色Cme(k)との積を目的変数群として重回帰分析を行う。(15)式には色相最適化目標色Cme'(1)〜Cme'(18)に重み付けをして色相を一致させるための重回帰モデル式が示され、(16)式には目標色Cme(1)〜Cme(18)に重み付けをして彩度を一致させるための重回帰モデル式が示される。Wは18色の重みW(k)を要素とするマトリクスであり、重みW(1)〜W(18)の総和は1である。この重み付けにより、重みを大きくした特定色ほど、より忠実な色再現を行うことができる。
【数12】
【0065】
なお、画像入力装置としては本実施形態のデジタルカメラ10の他、デジタルビデオカメラ、スキャナであってもよい。また、本実施形態では色変換マトリクス算出装置34をデジタルカメラ10と別体にしているが、デジタルカメラ10に色変換マトリクス算出機能を搭載してもよい。またさらに、色変換マトリクスを算出するとともに色補正できる画像処理ソフトウェアとしてパーソナルコンピュータにインストールし、デジタルカメラ10から出力されたRAWデータをパーソナルコンピュータで色補正できるように構成してもよい。
【0066】
本実施形態では、撮像系で得られたRGB信号をsRGB規格に合わせて色補正する色変換マトリクスを求めているが、本発明のマトリクス算出方法は特に色補正を目的とする色変換マトリクスの算出に限定されない。例えば異なる色空間の色信号を相互変換する(RGB信号をXYZ信号や印刷のためのcmy信号に変換する等)ための色変換マトリクスの算出にも適用できる。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、色相に関して再現色を本来の色に高精度に近似できる色変換マトリクスを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の色変換マトリクス算出方法および色変換方法の実施形態を示す図であって、色変換を行うデジタルカメラと、色変換マトリクスを算出する色変換マトリクス算出装置とを示すブロック図である。
【図2】色変換マトリクス算出の原理を示す図であって、所定の色に関してLab色空間における変換前の入力色と変換すべき目標色との位置を示す図である。
【図3】色変換マトリクス算出処理の処理流れおよび各種色信号の関係を模式的に示すブロック図である。
【図4】色変換マトリクス算出処理を示すフローチャートの第1の部分である。
【図5】色変換マトリクス算出処理を示すフローチャートの第2の部分である。
【図6】色変換マトリクス算出処理を示すフローチャートの最後の部分である。
【符号の説明】
10 デジタルカメラ
20 デジタル信号処理回路
30 モニタ装置
34 色変換マトリクス算出装置
40 カラーチャート
Claims (7)
- 第1色空間の任意の色信号を第2色空間の色信号に変換するための色変換マトリクスを算出する色変換マトリクス算出方法であって、
前記色変換マトリクスが第1マトリクスと第2マトリクスとの積であり、
彩度および色相が段階的に変化する複数のカラーパッチに各々対応する第1色空間の色信号を第1説明変数群とし、前記カラーパッチの各々に対応し第2色空間の色相に関する第1目標色信号を第1目的変数群とし、前記第1マトリクスの要素を偏回帰係数とする重回帰モデルが構築され、前記第1説明変数群と前記第1目的変数群とに基づく重回帰分析により前記第1マトリクスの要素が求められ、
前記カラーパッチに各々対応する第1色空間の色信号に前記第1マトリクスを作用させることにより得られた色相補正色信号を第2説明変数群とし、前記カラーパッチの各々に対応し第2色空間の彩度に関する第2目標色信号を第2目的変数群とし、前記第2マトリクスの要素を偏回帰係数とする重回帰モデルが構築され、前記第2説明変数群と前記第2目的変数群とに基づく重回帰分析により前記第2マトリクスの要素が求められる
ことを特徴とする色変換マトリクス算出方法。 - 前記カラーパッチに対応する前記第1色空間の色信号、前記色相補正色信号、前記第1目標色信号および前記第2目標色信号は、色の一致度の評価の際にCIE−L*a*b*均等色空間における色信号に変換されることを特徴とする請求項1に記載の色変換マトリクス算出方法。
- 前記彩度に関する第2目標色信号が前記カラーパッチの測色信号であり、前記第1目標色信号がCIE−L*a*b*色空間において座標原点と前記第2目標色信号の点とを結んだ直線に対して前記カラーパッチに対応する第1色空間の色信号を正射影した点が示す色信号であることを特徴とする請求項1に記載の色変換マトリクス算出方法。
- 前記カラーパッチが、マクベスカラーチャートの18色の有彩色カラーパッチであることを特徴とする請求項1に記載の色変換マトリクス算出方法。
- 前記18色の有彩色カラーパッチに対応する第1色空間の色信号は、前記マクベスカラーチャートの6色の無彩色カラーパッチに対応する第1色空間の色信号に基づいてホワイトバランス補正が施されることを特徴とする請求項4に記載の色変換マトリクス算出方法。
- 前記第1色空間の色信号がカラーフィルタを設けた撮像素子によって得られた3原色RGB信号であり、前記第2色空間の色信号がsRGB(スタンダード・レッド・グリーン・ブルー)信号であることを特徴とする請求項1に記載の色変換マトリクス算出方法。
- 画像の第1色空間における任意の色の色信号を色変換マトリクスを用いて第2の色空間における色信号に変換する色補正方法であって、
前記色変換マトリクスが、第1マトリクスと第2マトリクスとの積であり、
彩度および色相が段階的に変化する複数のカラーパッチに各々対応する第1色空間の色信号を第1説明変数群とし、前記カラーパッチの各々に対応し第2色空間の色相に関する第1目標色信号を第1目的変数群とし、前記第1マトリクスの要素を偏回帰係数とする重回帰モデルが構築され、前記第1説明変数群と前記第1目的変数群とに基づく重回帰分析により前記第1マトリクスの要素が求められ、
前記カラーパッチに各々対応する第1色空間の色信号に前記第1マトリクスを作用させることにより得られた色相補正色信号を第2説明変数群とし、前記カラーパッチの各々に対応し第2色空間の彩度に関する第2目標色信号を第2目的変数群とし、前記第2マトリクスの要素を偏回帰係数とする重回帰モデルが構築され、前記第2説明変数群と前記第2目的変数群とに基づく重回帰分析により前記第2マトリクスの要素が求められる
ことを特徴とする色補正方法。
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