JP4136772B2 - 木材及び石炭を含む燃料及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、家屋の解体等によって発生する建材や、間伐材や、街路樹の剪定後の回収枝材等の各種廃木材を利用した、セメントキルン用燃料やボイラー用燃料等として用い得る燃料及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、セメントクリンカーを焼成するためのセメントキルン等で用いるための燃料として、木等の材料からなる廃棄物を利用する技術が提案されている。
例えば、木、金属、プラスチック等の材料からなる製品の廃棄物を燃焼させてセメント製造に有効利用するセメント製造方法であって、前記廃棄物を破砕する破砕工程と、破砕物から金属分を取り除く除金工程と、金属分が取り除かれ、13〜30mmの大きさの破砕片をセメント製造装置におけるロータリーキルン入口に投入し、燃焼させる燃焼工程とを具備することを特徴とするセメント製造方法が、提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
また、ポルトランドセメントの原料をロータリーキルンの一端に供給し、焼成用燃料をキルンの他端から焼成帯に向けて十分な燃焼空気と共に供給して、適当な条件下で焼成を行い、ポルトランドセメントクリンカーを製造する方法において、焼成用燃料は、砕いた都市廃棄物を所定の割合で含み、砕いた都市廃棄物は空気により焼成帯に送り込み、原料は焼成した廃棄物からの灰分を受容するように配合されていることを特徴とする、ポルトランドセメントクリンカーの製造方法が、提案されている(特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−300355号公報(第2頁の特許請求の範囲)
【特許文献2】
特公昭57−17867号公報(第1頁の特許請求の範囲)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、セメントキルン用燃料として、適宜の大きさに破砕した木材を用いたところ、次のような問題があることを見出した。
すなわち、セメントキルンの燃料として、粒度の大きな木材の破砕物を用いた場合には、キルン内に投入された木材の破砕物は、キルン内の空間で気中燃焼が完結せずに、キルン内の被焼成物の上に落下した状態で継続的に燃焼した。そして、被焼成物の周囲に、木材の破砕物が燃焼しながら付着することによって、被焼成物の周囲に還元性雰囲気が生じ、この還元性雰囲気によってセメントクリンカーの品質に悪影響が及ぶという問題が生じた。
【0006】
一方、キルン内の空間で木材の気中燃焼を完結させるために、所定の大きさ以下の粒度になるように、木材を予め粉砕した場合には、多大なエネルギーを要し、処理の効率が低下することに加えて、コスト高になり、経済性の面でも実用化が困難である。
また、粉砕された木材は、一般に、木材の単位質量あたりの発熱量が少ないため、高温燃焼が必要なキルン用の燃料として用いることが困難であるという問題がある。この点、廃木材等を原料とし、かつ発熱量の大きい燃料を得ることができれば、好都合である。
そこで、本発明は、ごく短い時間内に気中燃焼を完結させることができ、かつ、単位質量当たりの発熱量が大きい燃料であって、廃木材等を原料の一部として利用しており、セメントキルン等の燃料として好適に用い得る燃料及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、廃木材の如き木材を適宜の大きさに破砕する工程と、得られた木材の破砕物と、石炭とを混合及び粉砕する工程の2つの工程を設けることによって、粉砕が困難な木材を比較的容易に粉砕し、かつ発熱量の大きな燃料を得ることができることを見出した。
また、本発明者は、これら2つの工程に加えて、部分的に熱分解されるまで加熱処理する工程を設けることによって、粉砕等の作業性の向上と、得られる燃料の品質の向上(発熱量の増大)と、木材の使用可能割合(燃料中の含有率)の増大とを得ることができることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明(請求項1)の木材及び石炭を含む燃料の製造方法は、木材を破砕して、木材の破砕物を得る破砕工程と、該木材の破砕物を、その絶対乾燥状態の質量に対し60%以上、100%未満の質量になるまで加熱処理する加熱工程と、加熱処理後の木材の破砕物と石炭とを混合及び粉砕して、これらの混合粉砕物からなる燃料を得る粉砕工程とを含むことを特徴とする。
このように構成することによって、粉砕が困難な木材を比較的容易に粉砕することができ、混合粉砕物(燃料)の製造が容易になるとともに、所定の品質を有する混合粉砕物(燃料)を得るに際して木材の使用可能割合を増大させることができる。
また、加熱工程を含むことによって、粉砕工程における粉砕性の向上や、木材の使用可能割合の増大や、得られる燃料の品質の向上等を更に図ることができる。
【0009】
上記加熱工程において、上記木材の破砕物を、その絶対乾燥状態の質量に対し60〜95%の質量になるまで加熱処理することは、好ましい(請求項2)。
上記加熱工程における加熱処理は、例えば、セメント製造設備の排熱を利用して行なうことができる(請求項3)。
上記粉砕工程において、粉砕は、混合粉砕物を構成する粒体中、粒度1.5mm以下の粒体の含有率が90質量%以上となるように行なうことが好ましい(請求項4)。
上記粉砕工程における、木材の破砕物と石炭との合計量100質量部当たりの木材の破砕物の配合量は、好ましくは1〜50質量部である(請求項5)。
本発明の木材及び石炭を含む燃料の使用方法は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の木材及び石炭を含む燃料の製造方法で得られた燃料を、セメントキルンのバーナの燃料として用いることを特徴とする(請求項6)。
【0010】
本発明の木材及び石炭を含む燃料の製造方法は、木材を破砕して、木材の破砕物を得る破砕工程と、該木材の破砕物を、その絶対乾燥状態の質量に対し60%以上、100%未満の質量になるまで加熱処理する加熱工程と、加熱処理後の木材の破砕物と石炭とを混合及び粉砕して、これらの混合粉砕物からなる燃料を得る粉砕工程とを含むものである。
【0011】
以下、各工程毎に詳しく説明する。
[破砕工程]
本工程は、木材を破砕して、木材の破砕物を得る工程である。
木材としては、可燃性のものであればよく、特に種類が限定されることはない。木材の具体例としては、例えば、木造家屋の解体に伴って発生する廃建材や、廃棄された木製の家具製品や、森林の伐採によって得られる間伐木材や、ダム等に流入した流木材や、街路樹等の剪定時に得られる枝材等が挙げられる。
破砕後の木材の粒度(寸法)は、好ましくは、長さ50mm以下、幅20mm以下、厚さ15mm以下であり、より好ましくは、長さ50mm以下、幅10mm以下、厚さ10mm以下であり、特に好ましくは、長さ50mm以下、幅10mm以下、厚さ5mm以下である。
【0012】
破砕後の木材の粒度は、篩の通過率で表わした場合、好ましくは、目開き50mmの篩を全通する大きさ(通常、長さ100mm以下、幅30mm以下、厚さ20mm以下の木片の割合が95質量%以上を占める程度の大きさ)であり、より好ましくは、目開き25mmの篩を全通する大きさであり、特に好ましくは、目開き10mmの篩を全通する大きさである。
破砕後の木材の粒度を、上述の好ましい数値範囲内に調整することによって、石炭との混合及び粉砕の効率性等を向上させることができる。
破砕後の木材の形態は、塊状、粒状、棒状等のいずれの形態であっても差し支えない。
後述の加熱工程を設けている場合、破砕後の木材の粒度を、目開き50mmの篩を全通する程度の大きさに調整すれば、石炭との混合及び粉砕を十分効率的に行なうことができ、かつ、安定した品質の燃料を得ることができる。
【0013】
後工程である加熱工程を含まない場合には、木材の破砕物の粒度は、好ましくは、目開き25mmの篩を全通する大きさであり、より好ましくは、目開き8mmの篩を全通する大きさであり、特に好ましくは、目開き5mmの篩を全通する大きさである。該粒度をこの数値範囲内に調整することによって、粉砕工程における石炭との混合及び粉砕の効率性を高めることができるほか、廃木材の利用の促進と、高品質の燃料の製造とを同時に達成することができる。
【0014】
木材の破砕物の粒度は、粉砕工程における粉砕性や、加熱処理時間の短縮等の観点からは、小さいほうが好ましいが、過度に小さくすると、破砕に要するエネルギーが増大し、かつ、粉砕の効率性が低下するので、加熱工程及び粉砕工程を含めた全体的な処理効率等の観点から、適当な大きさ(例えば、目開き50mmの篩を全通する大きさ)に定めることが望ましい。
木材の破砕手段の具体例としては、例えば、1軸または2軸の回転式カッターや、ハンマーミル等が挙げられる。
【0015】
木材の破砕物のうち、粒度の大きな木片の占める割合が大きくなると、粉砕工程において、粉砕時間の増大と、粉砕に必要な電力の変動の増大とが起こり、粉砕の効率性が低下するので、好ましくない。
また、この場合、破砕後に加熱処理すると、粒度の大きな木片は、表面付近のみが加熱処理の影響を受け、芯の部分については非加熱の状態が維持されるため、粉砕工程で粉砕したときに、非加熱の粒体を多く生じることになり、その結果、単位質量当たりの発熱量を低下させることになる。一方、粒度の大きな木片に合わせて加熱処理を行なった場合には、加熱のためのエネルギーが増大し、経済的でない。この点でも、粒度の大きな木片を多く含むことは、好ましくない。
【0016】
このような事情を考慮して、本発明においては、破砕手段と共に、必要に応じて、破砕後の木材の粒度を調整するための粒度調整手段(例えば、トロンメル等の篩)を用いることが望ましい。
例えば、木材の破砕物を、所定の目開き寸法を有する篩を用いて篩い分けすることによって、所定の粒度以下の破砕物のみを選別して得ることができる。この場合、篩に残った粒度の大きな破砕物は、破砕工程に戻して破砕した後、再度、篩に通せばよい。このように破砕物の粒度を調整することによって、後工程(粉砕工程)における粉砕の効率性等を向上させることができる。
【0017】
[加熱工程]
本工程は、破砕工程で得られた木材の破砕物を加熱処理する工程である。
加熱工程を設けることによって、前工程である破砕工程で必要なエネルギー量を削減し、かつ粉砕工程で得られる混合粉砕物(燃料)の品質等を向上させることができる。
すなわち、加熱工程を設けない場合には、加熱工程を設けた場合と比べて、破砕工程における破砕物の粒度を小さくしなければならず、破砕に必要なエネルギー量が増大する。また、加熱工程を設けない場合には、粉砕工程において、非加熱状態の木材の粉砕物を含む混合粉砕物(燃料)が得られることになるので、加熱工程を経て水分含有量が減少または熱分解を生じている木材の粉砕物を含む燃料と比べて、単位質量当たりの発熱量が小さくなり、燃料の品質が低下することになる。
【0018】
加熱工程において、加熱は、木材の破砕物がその絶対乾燥状態の質量に対し、60%以上、100%未満(ただし、上限値は、好ましくは95%)の質量になるまで行なわれる。
該数値が60%未満では、粉砕工程によって最終的に得られる混合粉砕物(燃料)の収量が少なくなるばかりか、加熱による木材の熱分解で発生する排ガス(具体的には、炭化水素や一酸化炭素を含むガス)の量が増大し、排ガスの処理の負担が大きくなるので、好ましくない。
なお、該数値は、木材の破砕物を構成する個々の木片の全てについて満足すべき必要はなく、木片の集合体(破砕物)の平均値として満足すればよい。
【0019】
木材の破砕物の加熱後の質量を上記数値範囲内に調整すべき理由を詳しく説明すると、次の通りである。
木材の破砕物は、通常、自然乾燥させた状態で10〜15質量%程度の水分を含んでいる。この木材の破砕物を加熱して、徐々に水分を除去していくと、水分の含有率が減少していき、最後に水分の含有率が0(絶対乾燥状態)になる。絶対乾燥状態に達した後、さらに高温下で加熱を続けると、木材の破砕物に部分的な熱分解が生じ、熱分解によって生成したガス分が揮発して、木材の破砕物の質量が減少していく。本発明においては、絶対乾燥状態の木材の破砕物の質量を100質量部とした場合に、木材の破砕物が、60質量部以上、100質量部未満の状態(部分的熱分解が生じている状態)の状態になるまで加熱することによって、粉砕工程における粉砕の効率性を高め、かつ、粉砕物(燃料)の品質の向上を達成することができる。また、この場合、単位質量当たりの発熱量の増大と、木材の破砕物の脆弱化による粉砕効率の向上とを達成することができるので、好ましい。
【0020】
加熱条件は、一定の温度雰囲気に保持した場合、好ましくは250〜350℃で60〜10分間程度、更に好ましくは250〜280℃で30分間程度である。
加熱温度が250℃未満であると、加熱処理に多大の時間を要し、処理効率が低下するほか、粉砕性に優れた木材の破砕物を得ることが困難となる。一方、加熱温度が350℃を超えると、エネルギーコストの増大を招くのみならず、木材の熱分解の程度が大きくなり過ぎて全体的な炭化が起こり、混合粉砕物(燃料)の収量が低下したり、あるいは、酸素濃度の高い雰囲気にあっては木材が燃焼してしまい、混合粉砕物(燃料)の収量の更なる低下と、一酸化炭素やダイオキシン等を含む有毒ガスの発生量の増大とを招くので、好ましくない。
ただし、内熱式ロータリーキルン型の如く、一端から加熱用の高温ガス及び木材チップを投入して木材の破砕物を加熱処理するようにしたキルンを用いる場合においては、炉内全体を一定の温度雰囲気に保持するのが困難なため、加熱温度が上述の好ましい数値範囲を超えても、差し支えない。
また、短時間で処理を行なうような条件下においては、加熱温度が上述の好ましい数値範囲を超えても、差し支えない。
なお、加熱処理に際して、被加熱物(木材の破砕物)の周囲の雰囲気は、空気でもよいが、被加熱物の酸化に起因する自己発熱によって、加熱温度が上昇し、被加熱物が燃焼し始めるのを防止するために、酸素濃度を低く抑えることが望ましい。
【0021】
加熱手段としては、例えば、400〜800℃程度の加熱温度にまで昇温可能な加熱装置が挙げられる。この種の加熱装置としては、例えば、固定式の箱型乾燥炉や、ロータリー式の乾燥炉等が挙げられる。中でも、一端に木材の破砕物の投入口を有し、他端に加熱処理済みの木材の破砕物の排出口を有するロータリーキルン型の乾燥装置は、好ましく用いられる。
【0022】
本発明においては、加熱手段と粉砕手段とを兼ね備えた装置を用いることもできる。具体例としては、木材の破砕物と石炭とが粉砕される場所に、熱風を吹き込み、加熱と粉砕とが同時に行なわれるように構成した装置等が挙げられる。
加熱処理のための熱源の一例としては、セメント製造設備の排ガスの余熱が挙げられる。ここで、セメント製造設備の排ガスの余熱としては、例えば、セメントキルン内でのクリンカーの焼成で発生する排ガスの排熱や、クリンカークーラー内でのクリンカーの冷却後に排出される空気の顕熱等が挙げられる。
【0023】
[(C)粉砕工程]
粉砕工程は、加熱後の木材の破砕物と、石炭とを混合及び粉砕して、これらの混合粉砕物からなる燃料を得る工程である。
ここで、混合及び粉砕は、通常、作業の効率性の観点から、木材の破砕物と石炭とを混合した後に、この混合物を粉砕する手順で行なわれる。木材の破砕物と石炭とを別々に粉砕した後、これら2種の粉砕物を均一に混合してもよいが、工程の数が3つになるので、作業がやや煩雑になる。
木材の破砕物の配合割合は、特に限定されないが、廃木材の利用促進と混合粉砕物(燃料)の品質向上等の観点から、石炭との合計量100質量部当たり、好ましくは、1〜50質量部、より好ましくは5〜35質量部、特に好ましくは10〜20質量部である。
【0024】
木材破砕物及び石炭の粉砕は、これらの混合粉砕物が、セメントキルン内の空間の如き高温の雰囲気中で、ごく短時間内に気中燃焼を完結し得る程度の小さな粒度になるように行われる。混合粉砕物の粒度は、好ましくは、1.5mm以下の粒体の含有率が90質量%以上、より好ましくは、1.0mm以下の粒体の含有率が90質量%以上、特に好ましくは、0.5mm以下の粒体の含有率が90質量%以上である。
該粒度をこのような数値範囲内に調整することによって、混合粉砕物(燃料)の気中燃焼をより短時間で完結させることが可能となり、セメントキルン等の燃料として好適に用いることができる。
なお、本明細書中において、混合粉砕物の粒体の「粒度」とは、当該目開き寸法を有する篩を通過する寸法を意味する。
【0025】
混合粉砕物の90質量%が通過し得る篩の目開き寸法が、1.5mmを超えると、セメントキルン等において気中燃焼を完結させることのできない混合粉砕物(燃料)の割合が多くなり、その結果、セメントクリンカーの品質の低下等を招くおそれがある。
粉砕手段としては、例えば、竪型ローラミル、ボールミル、振動ミル等が挙げられる。中でも、竪型ローラミルは、粉砕の効率性が良いので、好ましく用いられる。
【0026】
本工程で得られる混合粉砕物(燃料)は、汎用の微粉炭と同様に、燃焼バーナ用の燃料として用いられる。
より具体的には、混合粉砕物は、例えば、クリンカーや軽量骨材等を焼成するための内熱式ロータリーキルンや、補助燃焼炉のバーナの燃料として好適に用いられる。
混合粉砕物を、内熱式セメントキルンのクリンカー焼成用バーナの燃料として用いた場合、混合粉砕物は、石炭を単独で用いる場合と比べて単位質量当たりの発熱量が少ないものの、燃焼量を増やすことで、石炭を単独で用いる場合と同等の発熱量を生じさせることができ、炉内に極めて良好な焼成雰囲気を形成することができる。また、燃焼後に残る灰分は、最終的にはセメント原料の一部としてセメントクリンカー中に取り込まれ、再資源化することができる。
なお、混合粉砕物は、被焼成物(クリンカー原料)の上に落下する前に、炉内の空間で気中燃焼が完結するため、クリンカーの品質に悪影響を及ぼすことがない。
【0027】
【実施例】
以下、本発明の燃料(混合粉砕物)の製造方法を、実験例に基づいて説明する。
[参考例1]
廃建材等の木材を破砕装置で破砕した後、目開き50mmの篩を通して、木材の破砕物(絶対乾燥状態に対する質量:120質量%)を得た。
得られた木材の破砕物5質量部(絶対乾燥状態の換算値)と、ドライベースの石炭(水分含有率:8質量%、目開き53mmの篩を通過する割合:95質量%以上)95質量部とを均一に混合した後、この混合物を、ローラー径600mmの竪型ローラミルを用いて粉砕し、目開き500μmの篩を通過する割合が95質量%以上である木材及び石炭を含む燃料を得た。
なお、粉砕手段である竪型ローラミルへの被粉砕物の供給量は、1000kg/hrとした。また、竪型ローラミル内には、約180℃の乾燥用排ガスを常時供給するようにした。竪型ローラミルの電力原単位は、14kw/t、風力原単位は、2.76Nm3/tであった。
微粉炭燃焼バーナを用いて、得られた燃料の燃焼テストを実施したところ、気中にて良好な燃焼性を示した。
【0028】
[参考例2]
内径80cmφ×8m(長さ)の内熱式ロータリーキルン型の熱処理炉を用い、ガス投入口付近の温度が約650℃、炉内の被処理物の通過時間が約30分間の条件下で、ガス投入口の側から、参考例1と同様にして得た木材の破砕物を投入し、加熱すること(並流加熱処理方式)によって、絶対乾燥状態の質量に対し104%の質量(ここで、4%は水分の含有量を示す。)を有する木材の破砕物を得た。得られた木材の破砕物10質量部と、石炭(参考例1と同様のもの)90質量部とを混合した後、この混合物を、参考例1と同様の条件で粉砕し、目開き500μmの篩を通過する割合が95質量%以上である混合粉砕物(燃料)を得た。
なお、粉砕手段である竪型ローラミルへの被粉砕物の供給量は、700kg/hrとした。また、竪型ローラミル内には、約250℃の乾燥用排ガスを常時供給するようにした。竪型ローラミルの電力原単位は、14kw/t、風力原単位は、2.64Nm3/tであった。
微粉炭燃焼バーナを用いて、得られた燃料の燃焼テストを実施したところ、気中にて良好な燃焼性を示した。
【0029】
[実施例1]
参考例2で用いたものと同一の熱処理炉を用い、ガス投入口付近の温度が約700℃、炉内の被処理物の通過時間が約30分間の条件下で、ガス投入口の側から、参考例1と同様にして得た木材の破砕物を投入し、加熱すること(並流加熱処理方式)によって、絶対乾燥状態の質量に対し85%の質量(ここで、−15%は熱分解による減少量を示す。)を有する木材の破砕物を得た。得られた木材の破砕物20質量部と、石炭(参考例1と同様のもの)80質量部とを混合した後、この混合物を、参考例1と同様の条件で粉砕し、目開き500μmの篩を通過する割合が95質量%以上である混合粉砕物(燃料)を得た。
なお、粉砕手段である竪型ローラミルへの被粉砕物の供給量は、700kg/hrとした。また、竪型ローラミル内には、約170℃の乾燥用排ガスを常時供給するようにした。竪型ローラミルの電力原単位は、13kw/t、風力原単位は、2.60Nm3/tであった。
微粉炭燃焼バーナを用いて、得られた燃料の燃焼テストを実施したところ、気中にて良好な燃焼性を示した。
【0030】
【発明の効果】
本発明の燃料(混合粉砕物)によれば、高温雰囲気中でごく短い時間内に気中燃焼が完結するので、例えば、セメントキルンのバーナの燃料として用いた場合に、被焼成物(セメントクリンカーの原料)の表面に燃料が付着して、セメントクリンカーの品質を低下させるようなことがない。
また、本発明の燃料は、石炭を含むので、単位質量当たりの発熱量が大きく、高品質の燃料として用いることができる。特に、本発明の燃料の材料の一つである木材を、絶対乾燥状態を超えて更に加熱して熱分解を生じさせ、部分的に炭化した状態にしているので、単位質量当たりの発熱量を大きくすることができる。
さらに、本発明の燃料は、家屋の解体等によって発生する廃木材等のバイオマスを利用して製造することができるので、省資源及び省エネルギーを実現することができ、かつ、二酸化炭素の排出量の削減にも寄与することができる。
Claims (6)
- 木材を破砕して、木材の破砕物を得る破砕工程と、該木材の破砕物を、その絶対乾燥状態の質量に対し60%以上、100%未満の質量になるまで加熱処理する加熱工程と、加熱処理後の木材の破砕物と石炭とを混合及び粉砕して、これらの混合粉砕物からなる燃料を得る粉砕工程とを含むことを特徴とする木材及び石炭を含む燃料の製造方法。
- 上記加熱工程において、上記木材の破砕物を、その絶対乾燥状態の質量に対し60〜95%の質量になるまで加熱処理する請求項1に記載の木材及び石炭を含む燃料の製造方法。
- 上記加熱工程において、セメント製造設備の排熱を利用して加熱処理を行なう請求項1又は2に記載の木材及び石炭を含む燃料の製造方法。
- 上記粉砕工程において、上記混合粉砕物を構成する粒体中、粒度1.5mm以下の粒体の含有率が90質量%以上となるように粉砕を行なう請求項1〜3のいずれか1項に記載の木材及び石炭を含む燃料の製造方法。
- 上記粉砕工程における、木材の破砕物と石炭との合計量100質量部当たりの木材の破砕物の配合量が、1〜50質量部である請求項1〜4のいずれか1項に記載の木材及び石炭を含む燃料の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の木材及び石炭を含む燃料の製造方法で得られた燃料を、セメントキルンのバーナの燃料として用いることを特徴とする木材及び石炭を含む燃料の使用方法。
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