JP4135846B2 - アミノ酸脱炭酸作用を有しない乳酸菌の取得方法 - Google Patents

アミノ酸脱炭酸作用を有しない乳酸菌の取得方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アミノ酸脱炭酸作用を有しない乳酸菌及びその取得方法並びにその乳酸菌を用いて、アミン含量の少ない発酵飲食品を製造する方法及びその方法により製造された発酵飲食品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、アスパラギン酸やチロシン、ヒスチジン等のアミノ酸脱炭酸作用を有しない乳酸菌を取得するには、自然界より、目的とする乳酸菌を検索、分離する方法やアミノ酸脱炭酸作用を有する乳酸菌を人工的に変異させることにより取得する方法がある。人工的に変異させる方法は、アミノ酸脱炭酸作用を有する乳酸菌にX線、放射線、紫外線等を照射したり、化学物質等の変異原物質を作用させる等により、変異処理を行ない突然変異を誘導し、得られた突然変異株からアミノ酸脱炭酸作用を有しない乳酸菌を取得する方法である(Higuchi,T., Uchida,K.,Abe,K.,Biosci.Biotechnol.Biochem.,62(8),1601-1603,(1998))。一方、発酵食品の製造に用いられる種々の微生物の多く、特に乳酸菌などは、アミノ酸脱炭酸作用を有しており、それらの微生物を用いて製造された飲食品は、食品原料中に含まれるアミノ酸が脱炭酸作用を受けて生成したアミン類を比較的高濃度に含んでいるものが多い。なかでもチラミン、ヒスタミンといった生理活性をもったアミン類を高濃度に含む飲食品を喫食した際、人に対して種々の有害な作用を及ぼすことが知られている(井部明広:月刊フードケミカル、1996−9、24頁)。これら飲食品中のチラミンやヒスタミンは、それぞれ、その製造工程中で、飲食品の原料中に含まれるアミノ酸のチロシンやヒスチジンが微生物の脱炭酸作用を受けることにより生成される。また、アミノ酸から生成されるアミン類には独特の味、香を有するものも多く、アミン含量の多い飲食品は、消費者に好まれず、品質上の欠点を有するものも多い。
【0003】
乳酸菌を用いる発酵飲食品のうち、例えば伝統的な清酒、味噌、醤油、チーズ等の発酵飲食品の製造においては、開放系で発酵を行なっている場合が多く、乳酸菌などの微生物を人為的に添加することはせず、発酵中に活動する乳酸菌は、発酵場所、施設、設備、器具等に自然に住み着いている菌群(ナチュラル・フローラ)の自然混入に、総て委ねられている。このナチュラル・フローラは多種多様であり、自然混入した乳酸菌の中にはその製品にとって好ましくない菌、例えば発酵中に上記アミン類を生成蓄積する性質を有する乳酸菌が含まれることが多く、発酵場所、発酵時期等により製品中のそれらアミン類の含量も変化し、品質の一定した製品が得られない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の、自然界より、検索、取得する方法では、チロシンやヒスチジン等のアミノ酸脱炭酸作用を有しない乳酸菌の自然界での存在頻度が非常に低いため、自然界より分離した多数の乳酸菌について検索をしなければならず、非常に非効率的な方法であるという欠点を有していた。即ち、多くの労力と時間を必要とする上、得られた株が実用に耐え得るものは少ないのが現状である。また、人工的に変異させる方法では、X線、放射線や人体に有害な変異原物質を扱うなど、危険かつ煩雑な操作を伴うばかりでなく、目的変異株を濃縮する適当な方法がないため、取得頻度が低いこと、更に、復帰変異により取得された形質がもとの野性株の形質に復帰しやすいこと等、非効率的なばかりでなく複雑な方法であるという問題点を有していた。一方、アミン類の含量の低い発酵飲食品を製造する方法としては、製造された発酵飲食品に含有されるアミン類を直接除去する方法や、アミン類を生成しないように改良された乳酸菌を用いて発酵飲食品を製造する方法が考えられるが、具体的な製造方法は知られていない。
【0005】
また、発酵場所、施設、設備、器具などにもともと住み着いているナチュラル・フローラを用いる伝統的な発酵飲食品の製造においても、それらのナチュラル・フローラをコントロールし、アミン含量の少ない品質の一定した製品を得ることは非常に難しい。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく種々検討した結果、自然界に広く存在するアミノ酸脱炭酸作用を有する乳酸菌を、pH3.0以下の酸溶液に接触させることにより、アミノ酸脱炭酸作用を有しない乳酸菌を効率よく、かつ簡便に、取得できることを見いだし、本発明を完成した。即ち、本発明は、アミノ酸脱炭酸作用を有する乳酸菌を酸溶液と接触反応させることを特徴とするアミノ酸脱炭酸作用を有しない乳酸菌の取得方法であり、さらに、その取得方法により得られたアミノ酸脱炭酸作用を有しない乳酸菌である。また、本発明は、乳酸菌を用いる発酵飲食品の製造方法において、該乳酸菌として、上記方法で取得されたアミノ酸脱炭酸作用を有しない乳酸菌を用いることを特徴とする発酵飲食品の製造方法であり、さらにその方法により得られる発酵飲食品である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明において、アミノ酸とは、同一分子内にカルボキシル基とアミノ基を有する化合物であれば、如何なる化合物でもよく、生体の蛋白質に見られる20種のアミノ酸ばかりでなく、βーアラニン、オルニチン、γ−アミノ酪酸、D−アラニン、カナバニン等のような非蛋白質性の種々のアミノ酸も含まれる。特に好ましくは、飲食品の製造に用いられる原材料に含まれる植物性や動物性の蛋白質の構成成分であるアミノ酸、例えば、アラニン、グリシン、アスパラギン酸(アスパラギン)、システイン、グルタミン酸(グルタミン)イソロイシン、ロイシン、メチオニン、プロリン、セリン、スレオニン、リジン、アルギニン、バリン、チロシン、フェニルアラニン、ヒスチジン、トリプトファン等のアミノ酸が挙げられる。
【0008】
本発明において、アミノ酸脱炭酸作用を有する乳酸菌(以下、親株と言う)とは、上記アミノ酸を脱炭酸し、そのアミノ酸に対応するアミンを生成する能力を有する乳酸菌を言う。例えば、上記アミノ酸脱炭酸作用を触媒する酵素として、生体中に存在する種々のアミノ酸脱炭酸酵素などが一般に知られており、アミノ酸脱炭酸作用を有する乳酸菌として、これらのアミノ酸脱炭酸酵素を有している乳酸菌などが挙げられる。これらの乳酸菌には、上記アミノ酸の何れか一種を脱炭酸し、アミンを生成する能力を有する乳酸菌に加えて、二種以上のアミノ酸を脱炭酸し、それぞれに対応するアミンを生成する能力を有する乳酸菌も含まれる。例えば、アミノ酸がチロシン及び/又はヒスチジンの場合、アミノ酸脱炭酸作用を有する乳酸菌とは、それらのアミノ酸から、それぞれチラミン及び/又はヒスタミンを生成する能力を有する乳酸菌のことを言う。本発明に用いる親株は、発酵飲食品の製造に関与する乳酸菌で、アミノ酸脱炭酸作用を有する乳酸菌であれば如何なる乳酸菌でもよく、発酵飲食品及びその半製品、その製造設備等より容易に分離することができる。チ−ズ、乳酸飲料、ヨ−グルト、漬け物、酒、味噌、および醤油等の発酵飲食品の製造に関与する乳酸菌として、例えば、テトラジェノコッカス(Tetragenococcus)属、ストレプトコッカス(Streptococcus )属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、ペディオコッカス(Pediococcus )属に属し、アミノ酸脱炭酸作用を有する乳酸菌等が挙げられる。好ましくは、チロシン及び/又はヒスチジン脱炭酸作用を有する乳酸菌等が挙げられる。
【0009】
上記、アミノ酸脱炭酸作用を有する乳酸菌を分離するには、一般的な微生物の分離方法であれば、如何なる方法でも用いることができる。例えば、分離源となる発酵食品やその製造工程中の半製品の一部やその製造設備などに付着する乳酸菌を拭き取ったものを生理食塩水又は緩衝液などで、適宜希釈した後、希釈液の一部を、通常、乳酸菌の培養に用いられている乳酸菌用栄養培地、例えば、MYP15プレート培地(肉エキス1.0%、ポリペプトン1.0%、酵母エキス1.0%、グルコ−ス1.0%、チオグリコ−ル酸ソ−ダ0.1%、食塩15.0%、寒天1.5%、pH7.2)などに接種し、例えば30℃、1週間培養して生育したコロニーを分離乳酸菌として分離することができる。さらに必要により、後述するアミノ酸脱炭酸作用の検出用培地を用いて、分離した乳酸菌が目的とするアミノ酸脱炭酸作用を有していることを確認する。
【0010】
次に、アミノ酸脱炭酸作用を有しない乳酸菌の取得方法について述べる。この取得方法に用いる酸溶液とは、解離によってプロトンを与えることのできる酸を含む溶液のことであり、如何なる酸も、全て、本発明に用いることができる。例えば、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸等の無機酸類、酢酸、乳酸、蓚酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸等の有機酸類を適宜選択することができる。好ましくは、塩酸、リン酸、酢酸、乳酸等が挙げられる。上記酸は、単独で用いても良いし、2種類以上の酸を混合して用いることもできる。
【0011】
本発明で、接触反応とは、親株であるアミノ酸脱炭酸作用を有する乳酸菌を酸溶液と一定時間接触せしめることであり、例えば、分離した上記乳酸菌を酸溶液に懸濁するか、基面に付着した乳酸菌に対しては酸溶液を塗布、噴霧することにより接触反応を行なう。親株は、発酵飲食品及びその半製品、その製造設備等から分離したものをそのままでも、あるいはその分離した親株を乳酸菌用栄養培地で増殖せしめたものでも、いずれでも使用できる。また、本発明に用いられるアミノ酸脱炭酸作用を有する乳酸菌は、発酵場所や製造設備に広く分布しており、製造設備中にもともと住み着いている、発酵飲食品の製造に関与する乳酸菌群(ナチュラル・フローラ)を、分離することなく、親株として、製造設備ごと酸溶液と接触反応させることもできる。
【0012】
接触反応に用いる酸溶液の酸の濃度、即ちpHは、3.0以下で、親株の乳酸菌が死滅しない範囲であれば、如何なるpHでもよいが、pH1.8〜3.0が好ましい。反応時間及び反応温度は、乳酸菌が死滅しない範囲であれば如何なる時間及び如何なる温度でも良いが、用いる酸溶液のpH、酸の種類により適宜選択することができる。例えば、乳酸溶液で、pH2.0、室温で接触反応をする場合、反応時間は2〜10分、好ましくは3〜6分が選ばれる。懸濁による接触反応は、静置した状態でも、適宜振盪しても良い。
【0013】
本発明のアミノ酸脱炭酸作用を有しない乳酸菌(以下、本発明乳酸菌という)とは、アミノ酸を脱炭酸し、アミンを生成する能力を有しない乳酸菌を言う。実質的には、後に述べる本発明乳酸菌を分離、取得するために用いる検出方法において、アミノ酸脱炭酸作用を有しないと判定され、取得された乳酸菌を言う。これらの乳酸菌には、上記アミノ酸の何れか一種を脱炭酸し、そのアミノ酸に対応するアミンを生成する能力を有しない乳酸菌に加えて、二種以上のアミノ酸を脱炭酸し、それぞれのアミノ酸に対応するアミンを生成する能力を有しない乳酸菌も含まれる。例えば、アミノ酸がアスパラギン酸、アルギニン、又はグルタミン酸等の場合、本発明乳酸菌とは、アスパラギン酸、アルギニン、又はグルタミン酸等を脱炭酸し、それぞれのアミノ酸に対応するアミンを生成する能力を有しない乳酸菌を言い、例えば、アミノ酸がチロシン及び/又はヒスチジンである場合、本発明乳酸菌とは、チロシン及び/又はヒスチジンを脱炭酸することにより、チラミン及び/又はヒスタミンを生成する能力を有しない乳酸菌を言う。
【0014】
本発明乳酸菌は、酸溶液と接触反応せしめた後、得られた乳酸菌をアミノ酸脱炭酸作用を有しない性質を指標として分離、取得することができる。乳酸菌のアミノ酸脱炭酸作用の有無を検出する方法は種々知られており、如何なる方法でも用いることができる。一般に、脱炭酸作用により生成するアミン類は、水溶液中では対応するアミノ酸より塩基性が強いため、pHを指標として生成するアミンの有無を検出する方法が、本発明には好ましく用いられる。例えば、ヒスチジン又はアルギニン脱炭酸作用を有しない本発明乳酸菌を分離取得するには、pH指示薬及びヒスチジン又はアルギニンを含有する検出培地(特公平 5−26476号公報参照、Niven Jr.,C.F.,Jeffrey,M.B.,Corlett Jr.,D.A.,Appl.Environ.Microbiol.,41(1),321-322(1981))を用いて分離、取得することができる。上記検出培地は液体培地を用いることもできるし、寒天を加えたプレート培地を用いることもできる。例えばプレート培地を用いる場合、親株を酸溶液と接触反応せしめた後、得られた乳酸菌を前記検出プレート培地に接種、培養し、生育したコロニー周辺のpHが変化しないコロニーを本発明乳酸菌として取得する。親株をこの検出プレート培地に生育せしめた場合、親株は、ヒスチジン又はアルギニン脱炭酸作用を有するため、コロニ−周辺のそれらのアミノ酸を脱炭酸し、それぞれのアミノ酸に対応するアミンを生成することにより、親株のコロニ−の周辺のpHはより塩基性側に変化する。すなわち、コロニ−周辺のpHの変化の有無を指標とすることにより、親株と本発明乳酸菌を明確に区別できる。検出培地に用いるpH指示薬としては、用いる培地、アミノ酸、及び目的の乳酸菌の種類などによって、適当な指示薬が選ばれるが、如何なる指示薬も用いることができる。例えば、ブロモクレゾールパープル、ブロモクレゾールブルー、フェノールレッド、フェノールフタレインなどが挙げられる。
【0015】
さらに、例えば、チロシン脱炭酸作用を有しない本発明乳酸菌を分離、取得するには、チロシン脱炭酸作用を有する増殖細胞検出培地(特開昭59−21397号公報参照)を用いて分離、取得することができる。すなわち、親株を酸溶液と接触反応せしめた後、得られた乳酸菌を前記検出培地に接種培養し、生育したコロニ−周辺のチロシン由来の結晶が分解されていないコロニ−を本発明乳酸菌として取得する。一方、親株をこの検出用培地に生育せしめた場合、親株は、チロシン脱炭酸作用を有するため、コロニ−周辺のチロシンの結晶を脱炭酸し、チラミンに分解することにより、親株のコロニ−の周辺に透明なハロ−を作る。すなわち、コロニ−周辺のハロ−の有無を指標とすることにより、親株と本発明乳酸菌を明確に区別できる。
【0016】
得られた本発明乳酸菌の「アミノ酸脱炭酸作用を有しない」形質は、継代培養を繰り返すことによっても、また発酵飲食品の製造工程を経ても変化することはなく、安定して保持される。この形質の保持安定性は、発酵飲食品産業上非常に有利な性質と言える。
【0017】
更に、上記本発明の取得方法を用いることにより、非常に効率よく本発明乳酸菌を取得することができる。親株を酸溶液と接触反応せしめた後の、本発明乳酸菌の取得率は、反応条件により異なるが、反応後、容易に、生存菌の50%以上となる。より好適な反応条件、例えば、親株として乳酸菌を用い、pH2.0の乳酸溶液と室温下、5分間、静置条件で接触反応せしめる時、本発明乳酸菌の取得率は、生存菌の99%以上に達することもある。上記反応条件(処理pH、処理時間)は、用いる親株の種類、目的とするアミノ酸の種類により、適宜好ましい条件を設定する。
【0018】
本発明乳酸菌の好適な一例として、醤油もろみ中より分離した、チロシン脱炭酸作用を有する乳酸菌、テトラジェノコッカス・ハロフィルスT21C株を親株として、乳酸溶液と接触反応して得られたテトラジェノコッカス・ハロフィルスT21T株を挙げることができる。この本発明乳酸菌の主な菌学的性質を以下に示す。
(a)形態(肉汁培地にグルコ−ス1%、酵母エキス0.5%及び食塩5%を加えた培地を用いた)
▲1▼ 細胞の形及び大きさ:球菌で直径0.6〜0.8μm、テトラッド(Tetrad)を造り、二連状のものもある。
▲2▼ 細胞の多形成の有無:−
▲3▼ 運動性の有無:−
▲4▼ 胞子の有無:−
▲5▼ グラム染色性:+
▲6▼ 抗酸性:なし
(b)生理的性質
▲1▼ 酸素に対する態度:通性嫌気性で、むしろ嫌気的条件を好む。
▲2▼ 糖類、アミノ酸等の資化性:
L−アラビノース −
D−ソルビトール +
ラクトース −
メリビオース +
L−アスパラギン酸 −
▲3▼ チロシン脱炭酸作用 無し
▲4▼ 塩化ナトリウム耐性:塩化ナトリウム5〜6%で最も良く生育する。20%を含む培地でも生育し、強い耐塩性を有する。
【0019】
上記のごとく、T21T株はチロシン脱炭酸作用を有しない点が異なるだけで、他の全ての菌学的性質は親株のT21C株のそれと一致した。
【0020】
さらに、本発明乳酸菌の好適な一例として、醤油もろみ中より分離した、ヒスチジン脱炭酸作用を有する乳酸菌、テトラジェノコッカス・ハロフィルスH1C株を親株として、乳酸溶液と接触反応して得られたテトラジェノコッカス・ハロフィルスH1T株を挙げることができる。この本発明乳酸菌の主な菌学的性質を以下に示す。
(a)形態(肉汁培地にグルコ−ス1%、酵母エキス0.5%及び食塩5%を加えた培地を用いた)
▲1▼ 細胞の形及び大きさ:球菌で直径0.6〜0.8μm、テトラッド(Tetrad)を造り、二連状のものもある。
▲2▼ 細胞の多形成の有無:−
▲3▼ 運動性の有無:−
▲4▼ 胞子の有無:−
▲5▼ グラム染色性:+
▲6▼ 抗酸性:なし
(b)生理的性質
▲1▼ 酸素に対する態度:通性嫌気性で、むしろ嫌気的条件を好む。
▲2▼ 糖類、アミノ酸等の資化性:
L−アラビノース +
D−ソルビトール −
ラクトース −
メリビオース −
L−アスパラギン酸 −
▲3▼ ヒスチジン脱炭酸作用 無し
▲4▼ 塩化ナトリウム耐性:塩化ナトリウム5〜6%で最も良く生育する。20%を含む培地でも生育し、強い耐塩性を有する。
【0021】
上記のごとく、H1T株はヒスチジン脱炭酸作用を有しない点が異なるだけで、他の全ての菌学的性質は親株のH1C株のそれと一致した。
【0022】
次に、本発明乳酸菌を用いる発酵飲食品の製造方法について述べる。本発明の発酵飲食品としては、チ−ズ、乳酸飲料、ヨ−グルト等の乳加工飲食品、各種漬け物および酒、味噌、醤油、発酵調味液などの醸造飲食品などが挙げられる。本発明乳酸菌を用いて、これらの発酵飲食品を製造する場合、乳酸菌の関与する工程を、従来の乳酸菌にかえて本発明乳酸菌を用いれば良く、基本的には、従来のそれぞれの飲食品の製造方法と何ら異なることはない。例えば、発酵飲食品の製造工程において、その工程中で特定の乳酸菌を添加する場合には、従来の添加乳酸菌に代えて、本発明乳酸菌を添加して発酵飲食品を製造すればよく、また、伝統的な醸造飲食品の製造において、醸造設備や器具に住み着いている、醸造場所に特有の乳酸菌群(ナチュラル・フローラ)をそのまま醸造飲食品の製造に用いる場合には、器具を含む醸造設備をそのまま酸溶液と一定時間接触反応せしめた後、残存している本発明乳酸菌を用いて、従来どうり醸造飲食品を製造すればよい。
【0023】
一般の発酵飲食品の製造においては、天然に存在する乳酸菌などの他の乳酸菌が混入する場合もたびたび認められる。この様な場合も、本発明の乳酸菌が主な発酵乳酸菌として発酵飲食品の製造に関わっており、従来の製品に比べてアミン含量の減少した発酵飲食品が得られる限り、本発明の製造方法に含まれる。また、必要に応じて本発明の乳酸菌以外の特定の性質を有する乳酸菌と組み合わせて使用することも可能であり、本発明はこの様な発酵飲食品の製造方法、及びその結果得られる発酵飲食品をも包含する。この様にして得られる発酵飲食品は、従来の乳酸菌を用いて製造されたものに比べて、アミン含量が50%以上、好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上減少している。
【0024】
一例として、醤油麹を用いる発酵調味液の製造方法について述べる。
醤油麹としては、特に限定されないが、常法により製造されたものが有効に使用される。例えば、蛋白質原料(例えば、大豆、脱脂大豆など)と炭水化物原料(例えば、小麦、大麦など)を、各々変性処理、α化処理などの原料処理を施したのち、通常の割合(例えば、重量比で、蛋白質原料:炭水化物原料=40〜60:60〜40)で配合し、通常用いられている麹菌(例えば、アスペルギルス属の麹菌)を用いて常法により製麹して得たものなどが挙げられる。得られた醤油麹を水または食塩水と混和し、さらに必要により蛋白質原料(例えば、変性処理、α化処理した大豆、脱脂大豆、脱脂加工大豆など)を混和して、仕込みを行なう。仕込み後の食塩濃度は0〜15%が好ましい。この仕込みと同時、ないしその直後(24時間程度が目安)に、本発明乳酸菌(例えば、前述のテトラジェノコッカス・ハロフィルスT21T)の培養液を添加し、発酵もろみを調製する。更に、同時に、酵母(例えば、チゴサッカロミセス属の醤油酵母等)を加えることが好ましい。
【0025】
次いで、発酵もろみを5日間以上、好ましくは5〜20日間、25〜45℃、好ましくは37〜45℃に保温し、発酵せしめる。この間必要に応じて撹拌などを行なうことは通常どうりである。得られた発酵物は、圧搾などによる固液分離、必要により火入れ等を行なって、発酵調味液を製造することができる。このようにして得られた発酵調味液は通常のチロシン脱炭酸作用を有する乳酸菌を用いて製造したものに比べて、50%以上、好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上チラミン含量が減少している。
【0026】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。但し、本発明の技術的範囲は、これら実施例により何ら限定されるものではない。
【0027】
【実施例1】
チロシン脱炭酸作用を有しない乳酸菌の取得
醤油もろみの一部を生理食塩水で10倍づつ希釈した後、希釈液の一部を、MYP15プレート培地(肉エキス1.0%、ポリペプトン1.0%、酵母エキス1.0%、グルコ−ス1.0%、チオグリコ−ル酸ソ−ダ0.1%、食塩15.0%、寒天1.5%、pH7.2)に接種し、30℃、1週間培養し、生育したコロニーを分離した。これらの分離乳酸菌をチロシン脱炭酸作用を有する増殖細胞検出培地(特開昭59−21397号公報参照)を用いて、チロシン脱炭酸作用を有することを確認し、本発明乳酸菌としてテトラジェノコッカス・ハロフィルスT21C株及びT36C株を得た。これらの株をMYP15培地(肉エキス1.0%、ポリペプトン1.0%、酵母エキス1.0%、グルコ−ス1.0%、チオグリコ−ル酸ソ−ダ0.1%、食塩15.0%、pH7.2)に、接種し、30℃で4日間静置培養し、それぞれの培養菌液を得、その菌液を遠心分離してそれぞれの菌体を得た。それらの菌体を、用いた培養菌液と等量の酸溶液(乳酸でpH2.0に調製した10%食塩水)に懸濁し、1分間、接触反応せしめた。この接触反応(酸処理)により、T21C株の場合、処理前の菌数( 3.6×107/ml)は 1.3×105/mlに、T36C株の場合、処理前の菌数( 1.8×107/ml)は 4.8×106/mlに、それぞれ減少した。反応後の懸濁液を、適宜希釈し、その一部を前記、チロシン脱炭酸作用を有する増殖細胞検出培地に塗抹し、嫌気的培養槽にて、30℃、7日間培養した。生育したコロニ−周辺のチロシン由来の結晶が分解されていないコロニ−を選択し、T21C株からT21T株を、T36C株からT36T株をそれぞれ取得した。結果を表1に示した。
【0028】
【表1】
Figure 0004135846
【0029】
【実施例2】
ヒスチジン脱炭酸作用を有しない乳酸菌の取得
ヒスチジン脱炭酸作用を有する増殖細胞検出培地(肉エキス0.5%、ポリペプトン0.5%、酵母エキス0.5%、グルコース0.5%、チオグリコール酸ソーダ0.1%、塩酸ピリドキシン0.0005%、ブロモクレゾールパープル0.004%、ヒスチジン1.0%、pH5.3)を用いて、実施例1と同様な方法で、醤油もろみ中より、ヒスチジン脱炭酸作用を有する乳酸菌、テトラジェノコッカス・ハロフィルスH1C株を得た。この株をMYP15培地(肉エキス1.0%、ポリペプトン1.0%、酵母エキス1.0%、グルコ−ス1.0%、チオグリコ−ル酸ソ−ダ0.1%、食塩15.0%、pH7.2)に、接種し、30℃で4日間静置培養し、培養菌液を得、その菌液を遠心分離して菌体を得た。得られた菌体を、用いた培養菌液と等量の酸溶液(乳酸でpH2.0に調製した10%食塩水)に懸濁し、30分間、接触反応せしめた。この接触反応(酸処理)により、処理前の菌数( 1.2×108/ml)は 2.5×103/mlに、減少した。反応後の懸濁液を、適宜希釈し、その一部を前記YMP15プレート培地に接種し、30℃、7日間培養する。得られたコロニーを前記ヒスチジン脱炭酸作用を有する増殖細胞検出培地に接種し、嫌気的培養槽にて、30℃、4日間培養した。培養液のpH指示薬の色調が、黄色のままで変化しない株を選択し、H1T株を取得した。H1T株は親株H1C株と異なり、ヒスチジン脱炭酸作用を有していなかった。一方ヒスチジン脱炭酸作用を有する親株H1C株の場合は、培養液のpH指示薬の色調が黄色から紫色に変化した。
【0030】
【実施例3】
アスパラギン酸脱炭酸作用を有しない乳酸菌の取得
アスパラギン酸脱炭酸作用を有する増殖細胞検出培地(Asp培地:肉エキス0.5%、ポリペプトン0.5%、酵母エキス0.5%、グルコース 0.5%、チオグリコール酸ソーダ 0.1%、塩酸ピリドキシン0.0005%、ブロモクレゾールパープル0.004%、アスパラギン酸2.0%、pH7.2)を用いて、実施例1と同様な方法で、醤油もろみ中より、アスパラギン酸脱炭酸作用を有する乳酸菌、テトラジェノコッカス・ハロフィルスD10C株を得た。この株をMYP15培地(肉エキス1.0%、ポリペプトン1.0%、酵母エキス1.0%、グルコ−ス1.0%、チオグリコ−ル酸ソ−ダ0.1%、食塩15.0%、pH7.2)に、接種し、30℃で4日間静置培養し、培養菌液を得、その菌液を遠心分離して菌体を得た。得られた菌体を、用いた培養菌液と等量の酸溶液(塩酸でpH2.5に調製した10%食塩水)に懸濁し、5分間、接触反応せしめた。この接触反応(酸処理)により、処理前の菌数( 7.0×108/ml)は 1.9×107/mlに、減少した。反応後の懸濁液を、適宜希釈し、その一部を前記、MYP15プレート培地に塗抹し、嫌気的培養槽にて、30℃、7日間培養した。生育したコロニ−をAsp培地に接種し、30℃、4日間培養した後、培養液のpH指示薬の色調が黄色のままで変化しない菌株を選択し、D10T株を取得した。D10T株は親株D10C株と異なり、アスパラギン酸脱炭酸作用を有していなかった。
【0031】
【実施例4】
脱脂大豆と小麦をほぼ等量用いて、通常の方法により調製した醤油麹480gに、加熱変性した脱脂加工大豆(蛋白質原料比1.3重量倍)を加え、さらに42℃に加温した11.7%食塩水1.4Lを加えて、品温40℃、食塩濃度9.0%の醤油もろみを調製した。次いで、同時に、醤油酵母(酵母数1×105 cell/もろみg)および実施例1で得た本発明乳酸菌、テトラジェノコッカス・ハロフィルスT21Tの培養液(1×108 cell/ml、MYP15培地で30℃、4日間静置培養した培養液)1mlを添加して、時々撹拌しながら40℃、10日間発酵させた。食塩100gを加え、溶解させたのち圧搾して発酵調味液(本発明調味液)を得た。なお、対照として、本発明乳酸菌の代わりに、その親株であり、かつ従来より用いられてきたテトラジェノコッカス・ハロフィルスT21Cを添加して、同様に発酵調味液(対照調味液)を製造した。得られた発酵調味液の成分分析値を表2に示した。本発明調味液のチラミン含量は、対照調味液に比べて、98%減少していた。
【0032】
【表2】
Figure 0004135846
【0033】
【実施例5】
実施例4と同様にして、品温40℃、食塩濃度9.0%の醤油もろみを調製した。次いで、同時に、醤油酵母(酵母数1×105 cell/もろみg)および実施例2で取得した本発明乳酸菌、テトラジェノコッカス・ハロフィルスH1Tの培養液(1×108 cell/ml、MYP15培地で30℃、4日間静置培養した培養液)1mlを添加して、時々撹拌しながら40℃、10日間発酵させた。食塩100gを加え、溶解させたのち圧搾して発酵調味液(本発明調味液)を得た。なお、対照として、本発明乳酸菌の代わりに、その親株であり、かつ従来より用いられてきたテトラジェノコッカス・ハロフィルスH1Cを添加して、同様に発酵調味液(対照調味液)を製造した。得られた発酵調味液の成分分析値を表3に示した。本発明調味液のヒスタミン含量は、対照調味液に比べて、99%減少していた。
【0034】
【表3】
Figure 0004135846
【0035】
【実施例6】
仕込容器に乳酸溶液(pH2.8に調整)を満たし、16時間放置することにより、醸造場所に自然に住み着き仕込容器に付着している乳酸菌群(ナチュラル・フローラ)を仕込容器ごと酸溶液と接触反応せしめた。その後、酸溶液を抜き取り、得られた本発明乳酸菌の付着した仕込容器に、常法により製造した醤油麹30Kgと10%(W/V)食塩水48.75Lを仕込み、35℃、48時間、回転羽根による機械撹拌(毎分60回転)を行ない消化物を得た。次に、この消化物を30℃にて10日間乳酸発酵させた後、常法により別培養した醤油酵母の培養液(2×108 cell/ml)を40ml添加しさらに10日間酵母発酵させた。得られた発酵液を圧搾濾過して清澄な調味液(本発明調味液)を得た。なお、対照として乳酸菌群(ナチュラル・フローラ)の付着した仕込容器をそのまま用いて、同様に発酵調味液(対照調味液)を製造した。得られた調味液の成分分析値を表4に示した。本発明調味液のチラミン含量は、対照調味液に比べて、97%減少していた。
【0036】
【表4】
Figure 0004135846
【0037】
【発明の効果】
本発明の方法により、発酵飲食品の製造に用いられているアミノ酸脱炭酸作用を有する乳酸菌より、アミノ酸脱炭酸作用を有しない乳酸菌を、簡便かつ効率的に取得することができる。更に、その乳酸菌を用いることにより、アミン含量の著しく低減された発酵飲食品の製造が期待できる。

Claims (2)

  1. アミノ酸脱炭酸作用を有するテトラジェノコッカス属に属する乳酸菌をpH3.0以下の酸溶液と接触反応させることを特徴とするアミノ酸脱炭酸作用を有しないテトラジェノコッカス属に属する乳酸菌の取得方法。
  2. アミノ酸脱炭酸作用を有しないテトラジェノコッカス属に属する乳酸菌をスターターとして用い、かつ製造設備ごとpH3.0以下の酸溶液と接触反応させた製造設備を用いることを特徴とする、醤油の製造方法。
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