以下、本発明を適用した液晶表示装置及びその製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。
<第1の実施の形態>
まず、本発明を適用した半透過型の液晶表示装置の第1の実施の形態について説明する。第1の実施の形態の液晶表示装置は、詳細は後述するが、反射部と透過部とで位相差層の位相差が異なることを基本的な特徴とする。このような第1の実施の形態の液晶表示装置の、基本となる構成について図1を参照しながら説明する。
図1に示す液晶表示装置1では、一方の基板2は、一主面側に反射率の高い材料により形成された反射部となる反射電極3と、透過率の高い材料により形成された透過部となる透明電極4とを有し、他主面側に偏光板5が配されている。また、周囲光が入射すると共に表示面側となる他方の基板6は、基板2と対向する一主面側の反射部に位相差層として反射部λ/4層7と、反射部及び透過部の両領域に対向電極8とを有し、他主面側に偏光板9が配されている。また、基板2と基板6との間に液晶材料からなる液晶層10が挟持されている。また、偏光板5の外側には透過表示のためのバックライト(図示は省略する。)が配設されている。偏光板9の透過軸と偏光板5の透過軸とは、直交するように設定されている。また、位相差層である反射部λ/4層7の遅相軸は、偏光板9の透過軸または吸収軸に対して所定の角度(ここでは例えば透過軸に対して45°の角度)をなすように設定されている。
この第1の実施の形態の液晶表示装置1では、反射部に位相差層として反射部λ/4層7が形成されるが、透過部には位相差層が形成されておらず、反射部と透過部とで位相差が異なっている。つまり、反射部では反射部λ/4層7が機能することにより反射表示に必要な位相差が得られる一方で、透過部では位相差が生じない。このような構成とすることにより、表示面側の反射部λ/4層7の位相差を補償するために後面のλ/4層を追加することなく透過表示を実現する。
位相差層である反射部λ/4層7は、基板6の外側に形成される構成であってもよいが、図1に示すように液晶層10側に形成されることが好ましく、これにより基板6の厚みに起因する視差の問題を極力抑えることができる。
位相差層である反射部λ/4層7は、例えばラビング等の配向処理を施された後の基板6上に液晶ポリマを塗布し、当該液晶ポリマを反射部のみに残すようにパターニングすることにより得られる。より具体的には、配向処理が施された基板6上に感光性の液晶ポリマを塗布し、露光工程及び現像工程を経ることにより、所望の形状の位相差層を得る。また、ネマチック相を示す紫外線硬化性の液晶モノマを基板6や配向膜上に塗布し、紫外線を照射することによって液晶ポリマを生成させ、位相差層を得ても良い。この位相差層の位相差は、膜厚を変えることにより任意に調整可能である。なお、位相差層としては液晶ポリマに限定されず、延伸したフィルムであってもよい。
上述した図1に示す液晶表示装置1で実際に画像表示を行う場合について、図2及び図3を参照しながら説明する。なお、説明を簡略化するために、図2及び図3では基板2及び対向電極8の図示を省略する。また、液晶層10に電圧を印加しない状態で光が液晶層10を1度通過する場合に、反射部でλ/4、透過部でλ/2の位相差を有するように液晶層10の位相差が調整されているものとし、電圧を印加しない場合の液晶配向は基板2及び基板6に対して略平行であり、配向方位は反射部λ/4層7の配向方向と平行であり、偏光板9の透過軸に対し45°の角度をなしているものとする。
まず、液晶層10に電圧を印可せず、明表示とする場合について図2を用いて説明する。
反射部では、基板6側(表示面)から入射した周囲光が、偏光板9でその透過軸に一致した直線偏光となる。この直線偏光は、反射部λ/4層7に入射して円偏光とされ、さらに液晶層10により直線偏光に変換されて反射電極3に到達する。反射電極3で進行方向を反転された直線偏光は再び液晶層10を通過して円偏光とされ、この円偏光は再び反射部λ/4層7を通過して偏光板9の透過軸と平行な直線偏光となり、偏光板9を通過する。
透過部では、基板2側(後面)からバックライトにより照射された光が、偏光板5でその透過軸に一致した直線偏光となる。この直線偏光がλ/2の位相差を有する液晶層10により、偏光板5の透過軸に直交する直線偏光、すなわち偏光板9の透過軸に平行な直線偏光となり、偏光板9を通過する。
つぎに、液晶層10に電圧を印可して、暗表示とする場合について図3を用いて説明する。
反射部では、表示面から入射した周囲光が、偏光板9でその透過軸に一致した直線偏光となる。この直線偏光は、反射部λ/4層7に入射して円偏光とされる。円偏光は、液晶層10でその偏光状態を殆ど維持したまま反射電極3に到達し、反射される。反射された円偏光は回転方向が逆転した円偏光であり、再び液晶層10を通過して反射部λ/4層7に入射し、偏光板9の透過軸と直交する直線偏光に変換され、偏光板9によって吸収される。
透過部では、後面からバックライトにより照射された光が、偏光板5でその透過軸に一致した直線偏光となる。この直線偏光が液晶層10でその偏光状態を殆ど維持したまま偏光板9に到達し、偏光板9によって吸収される。
上述のように、反射部の暗表示に必要となる反射部λ/4層7が透過部には形成されていない。このため、反射部では反射部λ/4層7が機能して充分な反射率が得られるとともに、透過部では表示面側の位相差層の位相差を補償するための新たな位相差層を後面に追加しなくても透過表示を実現できる。したがって、反射表示及び透過表示の両方でコントラストの高い良好な表示品質を実現しながら、後面の位相差層が不要となり、セルの薄型化や不要となった位相差層分の低コスト化が達成される。
なお、上述の説明では、液晶表示装置に電圧を印加したときに液晶層の液晶分子が基板面に対してほぼ垂直に配向し、電圧を印加しないときに反射部でλ/4の位相差及び透過部でλ/2の位相差を有する構成を例に挙げたが、本発明の液晶表示装置は、この逆であってもよい。すなわち、液晶表示装置に電圧を印加したときに反射部でλ/4の位相差及び透過部でλ/2の位相差を有する構成であってもかまわない。
ところで、本実施の形態では、位相差層が反射部λ/4層の1層からなる場合に限定されず、反射部λ/4層とこの反射部λ/4層における波長分散を補償する位相差層との2層からなる構成であってもよい。反射部λ/4層の波長分散を補償する位相差層がλ/2層である場合について、図4を参照しながら説明する。なお、図4においては、図1の液晶表示装置1と同様の構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
この応用例の液晶表示装置21は、反射部における位相差層が反射部λ/2層22と反射部λ/4層7との2層構造であるとともに、透過部には位相差層が形成されていない構造とされる。
反射部の位相差層を上述した2層構造とすることにより、基本構造である上述した液晶表示装置1の効果に加えて、液晶表示装置21は、暗表示を行う場合に広帯域で波長分散による光漏れを解消し、さらに良好な画像表示を実現できる。
また、上述した基本構造の液晶表示装置1及び応用例の液晶表示装置21では透過部の位相差層が全て除去されているが、本発明は、反射部の位相差層と異なる位相差を有する位相差層が、透過部に形成されている場合も含むこととする。このようなさらに他の応用例の液晶表示装置について、図5を参照しながら説明する。なお、図5においては図1の液晶表示装置1及び図4の液晶表示装置21と同様の構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
図5に示す液晶表示装置31は、図4の液晶表示装置21の構成とは異なり、基板6の液晶層10側に透過部位相差層32が形成されている。この透過部位相差層32の位相差は、液晶層10の種々の特性を考慮して決定されるものであり、液晶層10に対して充分に電圧を印加したときの残留位相差を打ち消す程度であることが好ましい。
これにより、上述した液晶表示装置21の効果に加えて、液晶表示装置31は、透過部での暗表示をより暗いものとし、さらに良好な画像表示を実現できる。
なお、この応用例では、反射部の位相差層が反射部λ/4層7と反射部λ/2層22との2層構造である場合を例に挙げたが、反射部の位相差層が1層構造であっても透過部位相差層32を形成することによる効果を得ることができる。
また、本実施の形態の液晶表示装置は、図6に示すようにフルカラーの液晶表示装置41に適用することも可能である。
液晶表示装置41は、基板6の液晶層10側に、Red、Green、Blueの各ドットに対応するカラーフィルタ42R、42G、42Bを有し、これらカラーフィルタ42R、42G、42Bの反射部に対応した領域上に、位相差層として反射部λ/4層7R、反射部λ/4層7G、反射部λ/4層7Bが形成され、さらにこれら反射部位相差層上にオーバーコート層43を介して対向電極8が形成されている。
この応用例の液晶表示装置41は、各カラーフィルタ42R、42G、42Bの透過波長に合わせて、位相差層である反射部λ/4層7R、反射部λ/4層7G、反射部λ/4層7Bの膜厚を変えることにより、各部の位相差層がλ/4の位相差を有するものとする。これにより、各色の波長分散の影響を抑えて、さらに良好な画像表示を実現することができる。
なお、上述の説明では、表示面側の基板に位相差層が形成された構成の液晶表示装置を例に挙げたが、本発明はこれに限定されるものではなく、位相差層がバックライト側の基板に形成される構成等、少なくとも一方の基板に反射部と透過部とで位相差が異なる位相差層が形成されていればよい。
<第2の実施の形態>
本発明を適用した半透過型の液晶表示装置の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態の液晶表示装置が、上述した第1の実施の形態と異なる点は、反射部と透過部との液晶層の配向方向(すなわち液晶分子の配向方向であり液晶配向)にあり、他の構成は同様であることとする。このような第2の実施の形態の液晶表示装置の基本となる構成について、図7を参照しながら説明する。尚、図1の液晶表示装置1と同様の構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。また、図7には、液晶表示装置の要部概略断面図とともに、反射部および透過部の光学構成を示すが、この図および以下で示す各図の光学構成において、液晶配向(上)とは基板6側の液晶配向であり、液晶配向(下)とは基板2側の液晶配向であることとする。また、以下に説明する光学構成において偏光板5,9の光学構成については、透過軸方向を示している。
すなわち、図7に示す液晶表示装置1’において、反射部の液晶配向は、例えば図1の液晶表示装置と同様に、反射部液晶層10’に電圧を印加しない状態において、基板2および基板6に対して平行でかつ偏光板9および偏光板5の透過軸に対して45°の角度をなすように設定されている。また、この状態において、反射部の液晶層10’は、光が液晶層10’を1度通過する場合にλ/4の位相差を有するように調整されることも、図1の液晶表示装置と同様である。
これに対して、透過部では、液晶層10’に電圧を印加しない状態において、基板6側の液晶配向が偏光板9の透過軸と平行をなし、基板2側の液晶配向が偏光板5と平行をなすことで、90°捩じれるツイストネマチックとなるように設定されている。
また、液晶層10’に電圧を印加した状態では、反射部および透過部ともに、液晶分子が基板2,6面に対してほぼ垂直に配向する構成となっている。
このため、液晶表示装置1’においては、基板2と基板6との間の液晶層10’に臨む面の配向膜(図示省略)は、次のように配向処理されていることとする。すなわち、反射部では、基板2側および基板6側の配向膜が、偏光板5および偏光板9の透過軸に対し45°の角度をなす方向に配向処理されていることとする。このため、これらの配向膜は、図示したように、反射部λ/4層7に対して90°の角度をなす方向に配向処理されていても良いし、反射部λ/4層7と平行となるように配向処理されていても良い。これに対して、透過部では、基板2側の配向膜が偏光板5の透過軸と平行となる方向に配向処理され、基板6側の配向膜が偏光板9の透過軸と平行となる方向に配向処理されている。
上述した図7に示す液晶表示装置1’で実際に画像表示を行う場合について、図8及び図9を参照しながら説明する。なお、説明を簡略化するために、図8及び図9では基板2、対向電極8および液晶層10’に臨む面の配向膜の図示を省略している。
まず、液晶層10’に電圧を印可せず、明表示とする場合について図8を用いて説明する。
反射部では、基板6側(表示面)から入射した周囲光が、偏光板9でその透過軸に一致した直線偏光となる。この直線偏光は、反射部λ/4層7に入射して円偏光とされ、さらに液晶層10’により直線偏光に変換されて反射電極3に到達する。反射電極3で進行方向を反転された直線偏光は再び液晶層10’を通過して円偏光とされ、この円偏光は再び反射部λ/4層7を通過して偏光板9の透過軸と平行な直線偏光となり、偏光板9を通過する。
透過部では、基板2側(後面)からバックライトにより照射された光が、偏光板5でその透過軸に一致した直線偏光となる。この直線偏光が90°捩じれたツイストネマチックとなっている液晶層10’により、偏光板5の透過軸に直交する直線偏光、すなわち偏光板9の透過軸に平行な直線偏光となり、偏光板9を通過する。
つぎに、液晶層10’に電圧を印可して、暗表示とする場合について図9を用いて説明する。
反射部では、表示面から入射した周囲光が、偏光板9でその透過軸に一致した直線偏光となる。この直線偏光は、反射部λ/4層7に入射して円偏光とされる。円偏光は、液晶層10’でその偏光状態を殆ど維持したまま反射電極3に到達し、反射される。反射された円偏光は回転方向が逆転した円偏光であり、再び液晶層10を通過して反射部λ/4層7に入射し、偏光板9の透過軸と直交する直線偏光に変換され、偏光板9によって吸収される。
透過部では、後面からバックライトにより照射された光が、偏光板5でその透過軸に一致した直線偏光となる。この直線偏光が液晶層10でその偏光状態を殆ど維持したまま偏光板9に到達し、偏光板9によって吸収される。
上述のように、このような構成の液晶表示装置1’は、第1の実施の形態における図1の液晶表示装置1と同様に、反射部の暗表示に必要となる反射部λ/4層7が透過部には形成されておらず、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。そしてさらに、透過部の液晶配向を、90°捩じれたツイストネマチックとしたことで、透過部においては旋光モードでの表示が行われるようになり、よりコントラストが良好な表示を行うことが可能になる。
なお、上述の説明では、液晶表示装置に電圧を印加したときに液晶層の液晶分子が基板面に対してほぼ垂直に配向し、電圧を印加しないときに反射部でλ/4の位相差を有すると共に透過部で90°捩じれるツイストネマチックとなる構成を例に挙げたが、本発明の液晶表示装置は、この逆であってもよい。すなわち、液晶表示装置に電圧を印加したときに反射部でλ/4の位相差を有すると共に透過部で90°捩じれるツイストネマチックとなる構成であっても良い。
ところで、本第2の実施の形態では、位相差層が反射部λ/4層7の1層からなる場合に限定されず、第1の実施の形態において図4を用いて説明したと同様に、反射部λ/4層とこの反射部λ/4層における波長分散を補償する位相差層との2層からなる構成であってもよい。反射部λ/4層の波長分散を補償する位相差層がλ/2層である場合について、図10を参照しながら説明する。なお、図10には、液晶表示装置の要部概略断面図とともに、反射部および透過部の光学構成を示す。また、図4の液晶表示装置21および図7の液晶表示装置1’と同様の構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
この応用例の液晶表示装置21’は、反射部における位相差層が反射部λ/2層22と反射部λ/4層7との2層構造であるとともに、透過部には位相差層が形成されていない構造とされる。この場合、反射部λ/2層22と反射部λ/4層7とを合わせて光帯域のλ/4層が構成されるように、反射部λ/2層22と反射部λ/4層7とは、互いの遅相軸を60°に保つと共に、反射部λ/2層22の遅相軸が偏光板9の透過軸(または吸収軸)に対して15°に保たれ、反射部λ/4層7の遅相軸が偏光板9の透過軸(または吸収軸)に対して75°に保たれていることとする。
また、この場合の反射部の液晶配向は、液晶層10’に電圧を印加しない状態において、光が液晶層10’を1度通過する場合にλ/4の位相差を有するように調整され、また電圧を引加したときの残留リタデーションをλ/4で調整できるように、反射部λ/4層7の遅相軸と同方向、または直角に近い方向に設定されることが望ましい。
反射部の位相差層を上述した2層構造とした液晶表示装置21’では、基本構造である上述した液晶表示装置1’の効果に加えて、暗表示を行う場合に、反射部における広帯域で波長分散による光漏れを解消したECBモードでの表示を行うことが可能となり、さらに良好な画像表示を実現できる。
また、本第2の実施の形態では、透過部の液晶層10’のみがツイストネマチックである場合に限定されず、反射部の液晶層10’もツイストネマチックとなる構成であっても良い。反射部の液晶層10’もツイストネマチックである場合について、図11を参照しながら説明する。なお、図11においては、図10の液晶表示装置21’と同様の構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
この応用例の液晶表示装置21aが、図10を用いて説明した液晶表示装置21’と異なるところは、反射部の液晶配向にあり、その他の構成は同様であることとする。
すなわち、図11に示す液晶表示装置21aにおいて、反射部の液晶配向は、液晶層10’に電圧を印加しない状態において、ツイストネマチックとなるように設定されている。このため、液晶表示装置21aにおいては、基板2と基板6との間の液晶層10’に臨む面の配向膜(図示省略)は、基板2側および基板6側とで所定角度をなすように配向処理されていることとする。この角度は、セルギャップの大きさ、および液晶層10’の複屈折率との兼ね合いで、液晶層10’に電圧を印加しない状態において、光が液晶層10’を1度通過する場合にλ/4の位相差を有するように調整されることになる。
また、液晶層10’に電圧を印加した状態では、液晶分子が基板2,6面に対してほぼ垂直に配向する構成となることは、上述と同様である。
このように、反射部の液晶配向をツイストネマチックとすることで、反射部の液晶層の実効的な位相差が小さくなる。このため、反射部をλ/4の位相差とするためのセルギャップが広がることになり、セルギャップに対するマージンが拡大される。この結果、液晶表示装置の歩留まりの向上を図ることが可能になる。
なお、上述した第2の実施の形態の液晶表示装置は、第1の実施の形態と同様にして、フルカラーの液晶表示装置に適用することも可能である。また、上述の説明では、表示面側の基板に位相差層が形成された構成の液晶表示装置を例に挙げたが、本発明はこれに限定されるものではなく、位相差層がバックライト側の基板に形成される構成等、少なくとも一方の基板に反射部と透過部とで位相差が異なる位相差層が形成されていれば良い。
また、第2の実施の形態において説明した各構成は、相互に組み合わせることにより、組み合わせた構成に特有の作用効果を得ることができる。
<第3の実施の形態>
つぎに、本発明を適用した半透過型の液晶表示装置の第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態の液晶表示装置は、詳細は後述するが、反射部と透過部とで位相差層の遅相軸が異なることを基本的な特徴とする。このような第3の実施の形態の液晶表示装置の、基本となる構成について図12を参照しながら説明する。なお、図12においては、図1の液晶表示装置1と同様の構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
図12に示す液晶表示装置51では、一方の基板2は、層間膜52を介して一主面側に反射率の高い材料により形成された反射部となる反射電極3と、透過率の高い材料により形成された透過部となる透明電極4と、反射電極3及び透明電極4上に形成された配向膜53を有し、他主面側に偏光板5が配されている。また、周囲光が入射すると共に表示面側となる他方の基板6は、配向膜54を介して基板2と対向する一主面側の反射部の領域に位相差層として反射部λ/4層7と、透過部の領域に透過部λ/4層55と、反射部及び透過部の両領域に対向電極8と、対向電極8上に形成された配向膜56を有し、他主面側に偏光板9が配されている。また、基板2と基板6との間に液晶材料からなる液晶層10が挟持されている。また、偏光板5の外側には透過表示のためのバックライト(図示は省略する。)が配設されている。偏光板9の透過軸と偏光板5との透過軸は、直交するように設定されている。また、反射部の位相差層である反射部λ/4層7の遅相軸は、偏光板9の透過軸に対して45°の角度をなすように設定されている。
そして、透過部の位相差層である透過部λ/4層55の遅相軸と、反射部の位相差層である反射部λ/4層7の遅相軸とはその方向が異なり、具体的には透過部λ/4層55の遅相軸は、表示面となる基板6に配された偏光板9の透過軸と平行とされている。これらの反射部λ/4層7及び透過部λ/4層55は、例えば基板6上に反射部と透過部とで配向分割された配向膜54上に液晶ポリマ又はネマチック相を有する紫外線硬化性の液晶モノマを塗布することによって得られる。勿論光配向処理によって配向分割することも可能であり、この場合、配向膜54は設ける必要はない。
この第3の実施の形態の液晶表示装置51では、一方の基板6の全面に形成された位相差層が配向分割され、反射部λ/4層7と透過部λ/4層55とで遅相軸が異なることにより、反射部λ/4層7のみが位相差層として機能する。言い換えると、透過部λ/4層55の遅相軸が前面の偏光板9の透過軸と一致することで、透過部λ/4層55は実効的な位相差がない構成とされている。このような構成とすることにより、反射部λ/4層7の位相差を補償するために後面の位相差層を追加することなく透過表示を実現する。
位相差層である反射部λ/4層7及び透過部λ/4層55は、基板6の外側に形成される構成であってもよいが、図12に示すように液晶層10側に形成されることが好ましく、これにより基板6の厚みに起因する視差の問題を極力抑えることができる。
位相差層である反射部λ/4層7及び透過部λ/4層55は、例えばマスクラビング等の配向処理を施された後の基板6上に液晶ポリマを塗布することにより得られる。より具体的には、配向処理が施された基板6上に感光性の液晶ポリマを塗布し、露光工程及び現像工程を経ることにより、所望の形状の位相差層を得る。また、ネマチック相を示す紫外線硬化性の液晶モノマを基板6や配向膜上に塗布し、紫外線を照射することによって液晶ポリマを生成させ、位相差層を得ても良い。さらに、位相差層である反射部λ/4層7及び透過部λ/4層55は、液晶ポリマを塗布してなる膜を光配向処理することによっても得られる。この位相差層の位相差は、膜厚を変えることにより任意に調整可能である。また、位相差層としては、延伸したフィルムにより形成されてもよい。
なお、本実施の形態では、透過部の位相差層の遅相軸の方向は、透過部の位相差層の実効的な位相差がない構成とされていれば、表示面側の偏光板の透過軸或いは吸収軸、又は、後面の偏光板の透過軸或いは吸収軸のいずれと一致していてもかまわない。
上述した図12に示す液晶表示装置51で実際に画像表示を行う場合について、図13及び図14を参照しながら説明する。なお、説明を簡略化するために、図13及び図14では基板2、対向電極8、各配向膜の図示を省略する。また、液晶層10に電圧を印加しない状態で光が液晶層10を1度通過する場合に、反射部でλ/4、透過部でλ/2の位相差を有するように液晶層の層厚が調整されているものとし、電圧を印加しない場合の液晶配向は基板2及び基板6に対して略平行であり、配向方位は偏光板9の透過軸に対し45°の角度をなしているものとする。
まず、液晶層10に電圧を印可せず、明表示とする場合について図13を用いて説明する。
反射部では、表示面から入射した周囲光が、偏光板9でその透過軸に一致した直線偏光となる。この直線偏光は、反射部λ/4層7に入射して円偏光とされ、さらに液晶層10により直線偏光に変換されて反射電極3に到達する。反射電極3で進行方向を反転された直線偏光は再び液晶層10を通過して円偏光とされ、この円偏光は再び反射部λ/4層7を通過して偏光板9の透過軸と平行な直線偏光となり、偏光板9を通過する。
透過部では、後面からバックライトにより照射された光が、偏光板5でその透過軸に一致した直線偏光となる。この直線偏光がλ/2の位相差を有する液晶層10により、偏光板5の透過軸に直交する直線偏光、すなわち偏光板9の透過軸に平行な直線偏光となり、透過部λ/4層55でその偏光状態を殆ど維持したまま偏光板9を通過する。
つぎに、液晶層10に電圧を印可して、暗表示とする場合について図14を用いて説明する。
反射部では、表示面から入射した周囲光が、偏光板9でその透過軸に一致した直線偏光となる。この直線偏光は、反射部λ/4層7に入射して円偏光とされる。円偏光は、液晶層10でその偏光状態を殆ど維持したまま反射電極3に到達し、反射される。反射された円偏光は回転方向が逆転した円偏光であり、再び液晶層10を通過して反射部λ/4層7に入射し、偏光板9の透過軸と直交する直線偏光に変換され、偏光板9によって吸収される。
透過部では、後面からバックライトにより照射された光が、偏光板5でその透過軸に一致した直線偏光となる。この直線偏光が液晶層10及び透過部λ/4層55でその偏光状態を殆ど維持したまま偏光板9に到達し、偏光板9によって吸収される。
上述のように、液晶表示装置51では、透過部λ/4層55の遅相軸が偏光板9の透過軸と一致することにより透過部λ/4層55が位相差層として機能しない。このため、反射部では反射部λ/4層7が機能して充分な反射率が得られると共に、透過部では表示面側の位相差層の位相差を補償するための新たな位相差層を後面に追加しなくても透過表示を実現できる。したがって、反射表示及び透過表示の両方でコントラストの高い良好な表示品質を実現しながら、後面の位相差層が不要となり、セルの薄型化や不要となった位相差層分の低コスト化が達成される。
なお、上述の説明では、液晶表示装置に電圧を印加したときに液晶層の液晶分子が基板面に対してほぼ垂直に配向し、電圧を印加しないときに反射部でλ/4の位相差及び透過部でλ/2の位相差を有する構成を例に挙げたが、本発明の液晶表示装置は、この逆であってもよい。すなわち、液晶表示装置に電圧を印加したときに反射部でλ/4の位相差及び透過部でλ/2の位相差を有する液晶層であってもかまわない。
ところで、本実施の形態では、位相差層が反射部λ/4層7及び透過部λ/4層55の1層からなる場合に限定されず、図15に示すような2層からなる構成であってもよい。なお、図15においては、図12の液晶表示装置51と同様の構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
この応用例の液晶表示装置61は、基板6の液晶層10側に、位相差層として反射部λ/4層7及び透過部λ/4層55と反射部λ/4層7の波長分散を補償する反射部λ/2層22及び透過部λ/2層62とを有するとともに、反射部と透過部とで位相差層の遅相軸が異なるようになされている。すなわち、反射部λ/2層62及び反射部λ/4層7はそれぞれλ/2層及びλ/4層として機能するが、一方で、透過部λ/2層62及び透過部λ/4層55はその遅相軸が例えば偏光板9の透過軸と一致し、位相差層として機能しない。この2層からなる位相差層は、例えば基板6上に反射部と透過部とで配向分割された配向膜54上に液晶ポリマ又はネマチック相を有する紫外線硬化性の液晶モノマを塗布して反射部λ/2層22及び透過部λ/2層62を形成し、これらλ/2層上にさらに反射部と透過部とで配向分割された配向膜63を形成し、液晶ポリマ又はネマチック相を有する紫外線硬化性の液晶モノマを塗布して反射部λ/4層7及び透過部λ/4層55を形成することにより得られる。勿論光配向処理によって配向分割することも可能である。
位相差層を上述した2層構造とするとともに、反射部と透過部とでその遅相軸を異ならせることにより、本実施の形態の基本構造である液晶表示装置51の効果に加えて、液晶表示装置61は、暗表示を行う場合に広帯域で波長分散による光漏れを解消し、さらに良好な画像表示を実現できる。
なお、本発明は、表示面側の基板6に位相差層が形成された構成の液晶表示装置に限定されるものではなく、位相差層がバックライト側の基板2に形成される構成の液晶表示装置にも勿論適用される。すなわち、図16に示す液晶表示装置71は、後面の基板2側に、反射電極3及び透明電極4が形成され、さらにその上に配向膜54を介して位相差層である反射部λ/4層7と透過部λ/4層55とを有する。これらの反射部λ/4層7及び透過部λ/4層55は、図12を用いて説明したと同様に形成される。
尚、この場合、反射部λ/4層7および透過部λ/4層55と液晶駆動用の配向膜53との間に、液晶の駆動を確実にするための透明電極(図示省略)を設けても良い。ただし、このような透明電極を設ける場合、当該透明電極をTFTに接続させるためのプラグ16を設けることとする。また、この場合、基板2と透過部λ/4層55との間に透明電極4を設ける必要はない。
ここで、反射部λ/4層7は位相差層として機能するが、透過部λ/4層55は、その遅相軸が例えば偏光板9の透過軸と一致し、位相差層として機能しない。この図16に示す液晶表示装置71のように位相差層をバックライト側の基板に形成した場合には、反射部では反射部λ/4層7が機能して充分な反射率が得られるとともに、透過部では後面の位相差層の位相差を補償するための位相差層を表示面側に追加しなくても透過表示を実現できる。したがって、これまで述べた液晶表示装置と同様に、反射表示及び透過表示の両方でコントラストの高い良好な表示品質を実現しながら、後面の位相差層が不要となり、セルの薄型化や不要となった位相差層分の低コスト化が達成される。
また、本実施の形態の液晶表示装置は、図17に示すようにフルカラーの液晶表示装置81に適用することも可能である。
この液晶表示装置81は、基板6の液晶層10側に、Red、Green、Blueの各ドットに対応するカラーフィルタ42R、42G、42Bを有し、これらカラーフィルタ42R、42G、42B上に、位相差層として反射部λ/4層7R及び透過部λ/4層55R、反射部λ/4層7G及び透過部λ/4層55G、並びに、反射部λ/4層7B及び透過部λ/4層55Bがそれぞれ形成され、さらにこれら位相差層上にオーバーコート層43を介して対向電極8が形成されている。
そして、位相差層である反射部λ/4層7R及び透過部λ/4層55R、反射部λ/4層7G及び透過部λ/4層55G、並びに、反射部λ/4層7B及び透過部λ/4層55Bは、反射部と透過部とで遅相軸が異なり、透過部の位相差層が機能しないようになされている。これにより、上述した例の液晶表示装置と同様に、反射表示に用いる位相差層の位相差を補償するための後面の位相差層が不要となり、位相差層の使用枚数を削減できる。
また、この応用例の液晶表示装置81では、各カラーフィルタ42R、42G、42Bの透過波長に合わせて、位相差層である反射部λ/4層7R及び透過部λ/4層55R、反射部λ/4層7G及び透過部λ/4層55G、並びに、反射部λ/4層7B及び透過部λ/4層55Bの膜厚を変えることにより、各部の位相差層がλ/4の位相差を有するものとする。これにより、各色の波長分散の影響を抑えて、さらに良好な画像表示を実現することができる。
なお、本発明は、前面又は後面に配された偏光板の透過軸と、透過部の位相差層の遅相軸とが完全に直交又は平行となり、透過部の位相差層が全く機能しない場合に限定されず、透過部の遅相軸が若干ずれていてもかまわない。例えば透過部の位相差層の遅相軸は、液晶層の種々の特性を考慮して決定される位相差を有していてもよく、この場合、透過部の位相差層の遅相軸のずれが、液晶層に充分に電圧を印加したときの液晶層の残留位相差層を打ち消す程度の位相差を透過部に与えるものであることが好ましい。これにより、透過部の位相差層が全く機能しない場合に比べて透過部での暗表示をより暗いものとし、さらに良好な画像表示を実現できる。
また、第3の実施の形態では、透過部の位相差層の遅相軸が前面の偏光板の透過軸に一致する構成を例に挙げたが、透過部の位相差層の遅相軸は、後面の偏光板の透過軸と一致する構成であっても本発明の効果を得られる。
<第4の実施の形態>
つぎに、本発明を適用した半透過型の液晶表示装置の第4の実施の形態について説明する。第4の実施の形態の液晶表示装置は、上述した第2の実施の形態と第3の実施の形態とを組み合わせたものであり、その基本となる構成について図18を参照しながら説明する。なお、図18には、液晶表示装置の要部概略断面図とともに、反射部および透過部の光学構成を示すが、第3の実施の形態で説明した図12の液晶表示装置51と同様の構成、さらに第2の実施の形態で説明した図7の液晶表示装置と同様の構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
すなわち、図18に示す液晶表示装置51’が、上述した第3の実施の形態で図12を用いて説明した液晶表示装置と異なる点は、反射部と透過部との液晶層の配向方向(液晶配向)が、第2の実施の形態で説明したと同様に調整されているところにあり、他の構成は第3の実施の形態と同様であることとする。
すなわち、図18に示す液晶表示装置51’において、反射部の液晶配向は、反射部液晶層10’に電圧を印加しない状態において、基板2および基板6に対して平行でかつ偏光板9および偏光板5の透過軸に対して45°の角度をなすように設定されている。また、この状態において、反射部の液晶層10’は、光が液晶層10’を1度通過する場合にλ/4の位相差を有するように調整される。
これに対して、透過部では、液晶層10’に電圧を印加しない状態において、基板6側の液晶配向が偏光板9の透過軸と平行をなし、基板2側の液晶配向が偏光板5と平行をなすことで、90°捩じれるツイストネマチックとなるように設定されている。
また、液晶層10’に電圧を印加した状態では、反射部および透過部ともに、液晶分子が基板2,6面に対してほぼ垂直に配向する構成となっている。
そしてさらにこの液晶表示装置51’においては、第3の実施の形態において図12を用いて説明したと同様に、反射部に層間膜52が設けられると共に、透過部の基板6側にも透過部λ/4層55が設けられているのである。
ここで、反射部に設けられた層間膜52は、液晶層10’に電圧を印加しない状態で、反射部の液晶層10’がλ/4の位相差を有し、かつ透過部の液晶分子が十分に90°捩じれたツイストネマチックとなる間隔でモーガン条件を満たし、旋光性を保てるように、透過部と反射部とのセルギャップ(液晶層10’の厚さ)を調整する膜厚で設けられる。したがって、層間膜52がない状態で上述の条件を満足できれば、液晶表示装置51’においては層間膜52を設ける必要はない。
また、透過部の基板6側に設けられた透過部λ/4層55は、第3の実施の形態で説明したと同様に、その遅相軸が前面の偏光板9の透過軸と一致することで、実効的な位相差がない構成とされている。このような構成とすることにより、反射部λ/4層7の位相差を補償するために後面の位相差層を追加することなく透過表示を実現する。また、この透過部λ/4層55の遅相軸の方向は、透過部の位相差層の実効的な位相差がない構成とされていれば、表示面側の偏光板の透過軸或いは吸収軸、又は、後面の偏光板の透過軸或いは吸収軸のいずれと一致していてもかまわない。
上述した図18に示す液晶表示装置51’で実際に画像表示を行う場合について、図19及び図20を参照しながら説明する。なお、説明を簡略化するために、図19及び図20では基板2、対向電極8、および各配向膜の図示を省略する。
まず、液晶層10’に電圧を印可せず、明表示とする場合について図19を用いて説明する。
反射部では、表示面から入射した周囲光が、偏光板9でその透過軸に一致した直線偏光となる。この直線偏光は、反射部λ/4層7に入射して円偏光とされ、さらに液晶層10’により直線偏光に変換されて反射電極3に到達する。反射電極3で進行方向を反転された直線偏光は再び液晶層10’を通過して円偏光とされ、この円偏光は再び反射部λ/4層7を通過して偏光板9の透過軸と平行な直線偏光となり、偏光板9を通過する。
透過部では、基板2側(後面)からバックライトにより照射された光が、偏光板5でその透過軸に一致した直線偏光となる。この直線偏光が90°捩じれたツイストネマチックとなっている液晶層10’により、偏光板5の透過軸に直交する直線偏光、すなわち偏光板9の透過軸に平行な直線偏光となり、透過部λ/4層55でその偏光状態を殆ど維持したまま偏光板9を通過する。
つぎに、液晶層10’に電圧を印可して、暗表示とする場合について図20を用いて説明する。
反射部では、表示面から入射した周囲光が、偏光板9でその透過軸に一致した直線偏光となる。この直線偏光は、反射部λ/4層7に入射して円偏光とされる。円偏光は、液晶層10’でその偏光状態を殆ど維持したまま反射電極3に到達し、反射される。反射された円偏光は回転方向が逆転した円偏光であり、再び液晶層10を通過して反射部λ/4層7に入射し、偏光板9の透過軸と直交する直線偏光に変換され、偏光板9によって吸収される。
透過部では、後面からバックライトにより照射された光が、偏光板5でその透過軸に一致した直線偏光となる。この直線偏光が液晶層10’及び透過部λ/4層55でその偏光状態を殆ど維持したまま偏光板9に到達し、偏光板9によって吸収される。
上述のように、このような構成の液晶表示装置51’は、図12の液晶表示装置51と同様に、反射部の暗表示に必要となる反射部λ/4を反射部のみに設け、透過部には遅相軸を偏光板9の透過軸と一致させた透過部λ/4層55を設けたことで、第3の実施の形態と同様の効果を得ることができる。そしてさらに、透過部の液晶配向を、90°捩じれたツイストネマチックとしたことで、透過部においては旋光モードでの表示が行われるようになり、よりコントラストが良好な表示を行うことが可能になる。
なお、上述の説明では、液晶表示装置に電圧を印加したときに液晶層の液晶分子が基板面に対してほぼ垂直に配向し、電圧を印加しないときに反射部でλ/4の位相差及び透過部で90°捩じれるツイストネマチックとなる構成を例に挙げたが、本発明の液晶表示装置は、この逆であってもよい。すなわち、液晶表示装置に電圧を印加したときに反射部でλ/4の位相差及び透過部で90°捩じれたツイストネマチックとなる液晶層であってもかまわない。
ところで、本実施の形態では、位相差層が反射部λ/4層7及び透過部λ/4層55の1層からなる場合に限定されず、図21に示すような2層からなる構成であってもよい。なお、図21においては、図18の液晶表示装置51’と同様の構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
この応用例の液晶表示装置61’は、基板6の液晶層10’側に、位相差層として反射部λ/4層7及び透過部λ/4層55と反射部λ/4層7の波長分散を補償する反射部λ/2層22及び透過部λ/2層62とを有するとともに、反射部と透過部とで位相差層の遅相軸が異なるようになされている。すなわち、反射部λ/2層22及び反射部λ/4層7は、これらを合わせて光帯域のλ/4層が構成されるように、互いの遅相軸を60°に保つと共に、遅相軸が偏光板5,9の透過軸に対して15°の角度に保たれていることとする。一方、透過部λ/2層62及び透過部λ/4層55はその遅相軸が例えば偏光板9の透過軸と一致し、位相差層として機能しない。
この2層からなる位相差層は、第3の実施の形態で述べたと同様にして得ることができる。
また、この場合の反射部の液晶配向は、液晶層10’に電圧を印加しない状態において、基板2および基板6に対して平行でかつ反射部λ/4層7に対して0°または90°の角度をなすように設定されていることとする。ただしこれは、残留リタデーションの調整のためであり、残留リタデーションが無視できるレベルであれば、配向方向はどの方向でも良い。また、この状態において、反射部の液晶層10’は、光が液晶層10’を1度通過する場合にλ/4の位相差を有するように調整される。なお、透過部の液晶配向は、図18の液晶表示装置51’と同様である。
以上のように、位相差層を上述した2層構造とするとともに、反射部と透過部とでその遅相軸を異ならせた構成の液晶表示装置61’では、本実施の形態の基本構造である液晶表示装置51’の効果に加えて、特に反射部において暗表示を行う場合に広帯域で波長分散による光漏れを解消し、さらに良好な画像表示を実現できる。
なお、本実施の形態は、表示面側の基板6に位相差層が形成された構成の液晶表示装置に限定されるものではなく、第3の実施の形態において図16を用いて説明した液晶表示装置71と同様に、位相差層がバックライト側の基板2に形成される構成の液晶表示装置にも勿論適用される。すなわち、図22に示す液晶表示装置71’は、後面の基板2側に、反射電極3及び透明電極4が形成され、さらにその上に配向膜54を介して位相差層である反射部λ/4層7と透過部λ/4層55とを有する。これらの反射部λ/4層7及び透過部λ/4層55は、図12を用いて説明したと同様に形成される。
尚、この場合、反射部λ/4層7および透過部λ/4層55と液晶駆動用の配向膜53との間に、液晶の駆動を確実にするための透明電極(図示省略)を設けても良いことは、図16を用いて説明したと同様である。
ここで、反射部λ/4層7は位相差層として機能するが、透過部λ/4層55は、その遅相軸が例えば偏光板9の透過軸と一致し、位相差層として機能しない。この図22に示す液晶表示装置71’のように位相差層をバックライト側の基板に形成した場合には、反射部では反射部λ/4層7が機能して充分な反射率が得られるとともに、透過部では後面の位相差層の位相差を補償するための位相差層を表示面側に追加しなくても透過表示を実現できる。したがって、これまで述べた液晶表示装置と同様に、反射表示及び透過表示の両方でコントラストの高い良好な表示品質を実現しながら、後面の位相差層が不要となり、セルの薄型化や不要となった位相差層分の低コスト化が達成される。
また、本実施の形態の液晶表示装置は、第3の実施の形態で図17を用いて説明した液晶表示装置と同様に、フルカラーの液晶表示装置に適用することも可能である。
すなわち、図23に示す液晶表示装置81’は、基板6の液晶層10’側に、Red、Green、Blueの各ドットに対応するカラーフィルタ42R、42G、42Bを有し、これらカラーフィルタ42R、42G、42B上に、位相差層として反射部λ/4層7R及び透過部λ/4層55R、反射部λ/4層7G及び透過部λ/4層55G、並びに、反射部λ/4層7B及び透過部λ/4層55Bがそれぞれ形成され、さらにこれら位相差層上にオーバーコート層43を介して対向電極8が形成されている。
そして、位相差層である反射部λ/4層7R及び透過部λ/4層55R、反射部λ/4層7G及び透過部λ/4層55G、並びに、反射部λ/4層7B及び透過部λ/4層55Bは、反射部と透過部とで遅相軸が異なり、透過部の位相差層が機能しないようになされている。これにより、上述した例の液晶表示装置と同様に、反射表示に用いる位相差層の位相差を補償するための後面の位相差層が不要となり、位相差層の使用枚数を削減できる。
また、この応用例の液晶表示装置81’では、各カラーフィルタ42R、42G、42Bの透過波長に合わせて、位相差層である反射部λ/4層7R及び透過部λ/4層55R、反射部λ/4層7G及び透過部λ/4層55G、並びに、反射部λ/4層7B及び透過部λ/4層55Bの膜厚を変えることにより、各部の位相差層がλ/4の位相差を有するものとする。これにより、各色の波長分散の影響を抑えて、さらに良好な画像表示を実現することができる。
また、本第4の実施の形態では、透過部の液晶層10’のみがツイストネマチックである場合に限定されず、反射部の液晶層10’もツイストネマチックとなる構成であっても良い。反射部の液晶層10’もツイストネマチックである場合について、図24を参照しながら説明する。なお、図24においては、図21の液晶表示装置61’と同様の構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
この応用例の液晶表示装置61aが、図21を用いて説明した液晶表示装置61’と異なるところは、反射部の液晶配向にあり、その他の構成は同様であることとする。
すなわち、図24に示す液晶表示装置61aにおいて、反射部の液晶配向は、液晶層10’に電圧を印加しない状態において、ツイスト配向となるように設定されている。このため、液晶表示装置61aにおいては、基板2と基板6との間の液晶層10’に臨む面の配向膜(図示省略)は、基板2側および基板6側とで所定角度をなすように配向処理されていることとする。この角度は、セルギャップの大きさ、および液晶層10’の複屈折率との兼ね合いで、液晶層10’に電圧を印加しない状態において、光が液晶層10’を1度通過する場合にλ/4の位相差を有するように調整されることになる。
したがって、例えば図25に示したように、基板2側の液晶配向と基板6側の液晶配向とが90°の角度をなしていても良い。この場合、反射部と透過部とで、液晶層10’に臨む配向膜を同一方向に揃えることができ、分割配向の手間を省くことができる。
また、図24および図25の液晶表示装置61aにおいて、液晶層10’に電圧を印加した状態では、液晶分子が基板2,6面に対してほぼ垂直に配向する構成となることは、上述と同様である。
このように、反射部の液晶配向をツイストネマチックとすることで、反射部の液晶層の実効的な位相差が小さくなる。このため、反射部をλ/4の位相差とするためのセルギャップが広がることになり、セルギャップに対するマージンが拡大される。この結果、液晶表示装置の歩留まりの向上を図ることが可能になる。
なお、以上説明した本第4の実施の形態の発明は、前面又は後面に配された偏光板の透過軸と、透過部の位相差層の遅相軸とが完全に直交又は平行となり、透過部の位相差層が全く機能しない場合に限定されず、透過部の遅相軸が若干ずれていてもかまわない。例えば透過部の位相差層の遅相軸は、液晶層の種々の特性を考慮して決定される位相差を有していてもよく、この場合、透過部の位相差層の遅相軸のずれが、液晶層に充分に電圧を印加したときの液晶層の残留位相差層を打ち消す程度の位相差を透過部に与えるものであることが好ましい。これにより、透過部の位相差層が全く機能しない場合に比べて透過部での暗表示をより暗いものとし、さらに良好な画像表示を実現できる。
また、第4の実施の形態では、透過部の位相差層の遅相軸が前面の偏光板の透過軸に一致する構成を例に挙げたが、透過部の位相差層の遅相軸は、後面の偏光板の透過軸と一致する構成であっても本発明の効果を得られる。
また、第2の実施の形態において説明した各構成は、相互に組み合わせることにより、組み合わせた構成に特有の作用効果を得ることができる。
以下、本発明を適用した具体的な実施例について、実験結果に基づいて説明する。なお、実施例1〜実施例5は第1の実施の形態に対応し、実施例6〜実施例8は第2の実施の形態に対応し、実施例9〜実施例13は第3の実施の形態に対応し、実施例14〜実施例19は第4の実施の形態に対応している。
<実施例1>
実施例1では、図1に示す液晶表示装置1と光学的な構成が同じとされたフルカラーのパネルを作製した。
最初に、液晶層をアクティブ駆動するための薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)が形成されてなる後面側の基板を作製した。このTFTの作製方法について図26を参照しながら説明する。
基板2としては、ホウケイ酸ガラス(コーニング社製7059)を用いた。まず、基板2上に、MoやMoW等からなるゲート電極91、ゲート絶縁膜92、及びアモルファスシリコンを順次堆積・パターニングし、アモルファスシリコンをエキシマレーザでアニールすることによって結晶化してなる半導体薄膜93を形成した。また、半導体薄膜93のゲート電極の両脇の領域にP,Bを不純物導入し、nチャンネル、pチャンネルのTFTとした。また、TFTを被覆するように、基板2の上方にSiO2からなる第一層間絶縁膜94を形成した。
次に、半導体薄膜93のソース及びドレインに対応する箇所の第一層間絶縁膜94を例えばエッチングにより開口して、信号線95を所定の形状にパターニングして形成した。信号線95にはAlを用いた。
次に、TFT及び信号線95を被覆するように、基板2の上方に、散乱反射を起こさせる散乱層としての機能と層間絶縁膜としての機能とを兼ね備えた第二層間絶縁膜96を形成した。この第二層間絶縁膜96の、透過部に対応する領域にはITO(Indium Tin Oxide)により透明電極4を形成し、反射部に対応する領域にはAgにより反射電極3を形成した。これにより、図26に示すバックライト側の基板が得られる。
また、対向する基板には、Crを用いてブラックマトリクスを形成した後、基板上にカラーフィルタとしてR、G、Bのパターンを形成した。次に、カラーフィルタ上にポリイミドを印刷し、ラビングすることにより配向膜を形成した。
この配向膜上に、紫外線硬化性の液晶モノマをスピンコートにより塗布し、露光工程・現像工程を経ることにより、反射部のみに位相差層として反射部λ/4層が形成されるようにし、透過部から位相差層を除去した。紫外線硬化性の液晶モノマとしては、メルク社製RMM34を用いた。この紫外線硬化性の液晶モノマ材料は酸素の存在により重合が不十分なものとなるため、N2雰囲気で上記処理を行った。また、RMM34は、屈折率異方性Δnが0.145であるため、位相差層の膜厚が950nmとなるようにスピンコートすることにより、面内で135nm〜140nm程度に収まるリタデーションを得ることができた。位相差層形成後、ITOをスパッタすることにより対向電極を形成した。
この後は、通常のセル工程である。すなわち、さらに対向電極上にポリイミドを印刷し、ラビングすることにより配向膜を形成した。
ここで、位相差層が形成された側のラビング方向は、位相差層の液晶ポリマの配向方向と同方向とした。また、TFT等が形成された側のラビング方向は、セル構成がアンチパラレルになる方向とした。
以上のようにTFT等が形成された基板と、位相差層等が形成された基板とを用いて通常の工程に従ってセルを組み立て、図1に示す液晶表示装置と同じ光学的な構成を有し、且つカラーフィルタが形成された構成のパネルを得た。このパネルを点灯したところ、コントラストの高い画像表示を実現することが確認された。
<実施例2>
実施例2では、図4に示す液晶表示装置21と光学的な構成が同じとされたフルカラーのパネルを作製した。
最初に、実施例1と同様の工程により、図26に示すようなTFT等が形成された基板を用意した。
また、対向する基板に、実施例1と同様の工程によりカラーフィルタを形成し、カラーフィルタ上にポリイミドを印刷し、ラビングすることにより配向膜を形成した。
この配向膜上に、λ/2条件となるように紫外線硬化性の液晶モノマを塗布し、反射部のみに位相差層が残存するようにパターニングした。これにより、位相差層として反射部λ/2層が形成された。
次に、ポリイミドを印刷し、先だってのラビング方向に対して60°傾いた方向となるようにラビング処理を行った。この後、λ/4条件となるように紫外線硬化性の液晶モノマを塗布し、反射部のみに位相差層が残存するようにパターニングした。これにより、位相差層として反射部λ/4層が形成された。反射部λ/2層及び反射部λ/4層からなる位相差層形成後、ITOをスパッタすることにより対向電極を形成した。
この後は、通常のセル工程である。すなわち、さらに対向電極上にポリイミドを印刷し、ラビングすることにより配向膜を形成した。ここで、液晶層の配向方向がλ/2とλ/4との中間となるようにラビング処理を行った。
以上のようにTFT等が形成された基板と、位相差層等が形成された基板とを用いて通常の工程に従ってセルを組み立て、図4に示す液晶表示装置と同じ光学的な構成を有し、且つカラーフィルタが形成された構成のパネルを得た。このパネルを点灯したところ、コントラストの高い画像表示を実現することが確認された。
<実施例3>
実施例3では、図5に示す液晶表示装置31と光学的な構成が同じとされたフルカラーのパネルを作製した。
最初に、実施例1と同様の工程により、図26に示すようなTFT等が形成された基板を用意した。
また、対向する基板に、実施例1と同様の工程によりカラーフィルタを形成し、カラーフィルタ上にポリイミドを印刷し、ラビングすることにより配向膜を形成した。
次に、上述した実施例2と同様の工程により、反射部λ/2層及び反射部λ/4層からなる位相差層を反射部のみに形成した。
次に、ポリイミドを印刷し、2つの位相差層の中間の方向から90°傾いた方向となるようにラビング処理を行った。さらに、液晶に電圧を印加したときの残留位相差を打ち消すための透過部位相差層を、透過部のみに形成した。この透過部位相差層は、液晶層に電圧を印加したときの残留位相差と等しい30nmの位相差を有する。
反射部の位相差層及び透過部位相差層形成後、ITOをスパッタすることにより対向電極を形成した。
この後は、通常のセル工程である。すなわち、さらに対向電極上にポリイミドを印刷し、ラビングすることにより配向膜を形成した。
以上のようにTFT等が形成された基板2と、位相差層等が形成された基板6とを用いて通常の工程に従ってセルを組み立て、図1に示す液晶表示装置と同じ光学的な構成を有し、且つカラーフィルタが形成された構成のパネルを得た。このパネルを点灯したところ、透過表示させたときに実施例1のパネルの表示品質を上回る黒表示が得られ、さらにコントラストの高い画像表示を実現することが確認された。
<実施例4>
実施例4では、図6に示す液晶表示装置41と光学的な構成が同じとされたパネルを作製した。
最初に、実施例1と同様の工程により、図26に示すようなTFT等が形成された基板を用意した。
また、対向する基板に、実施例1と同様の工程によりカラーフィルタを形成し、カラーフィルタ上にポリイミドを印刷し、ラビングすることにより配向膜を形成した。
この配向膜上に、紫外線硬化性の液晶モノマをスピンコートにより塗布し、露光工程・現像工程を経ることにより、反射部のみに位相差層として反射部λ/4層が形成されるようにし、透過部から位相差層を除去した。
このとき、各位相差層の膜厚を、各画素の位相差に応じて設定した。すなわち、Gについては実施例1と同様に膜厚950nmとした。また、Bについてはその色のリタデーションに合わせてΔnが0.155程度になるので、膜厚730nmとなるように位相差層を形成した。また、Rについては、その色のリタデーションに合わせてΔnが0.135程度になるので、膜厚1200nm程度となるように位相差層を形成した。
位相差層形成後、ITOをスパッタすることにより対向電極を形成した。
この後は、通常のセル工程である。すなわち、さらに対向電極上にポリイミドを印刷し、ラビングすることにより配向膜を形成した。
以上のようにTFT等が形成された基板と、位相差層等が形成された基板とを用いて通常の工程に従ってセルを組み立て、図1に示す液晶表示装置と同じ光学的な構成を有し、且つカラーフィルタが形成された構成のパネルを得た。このパネルを点灯したところ、実施例1のパネルの表示品質を上回る黒表示が得られ、さらにコントラストの高い画像表示を実現することが確認された。
<実施例5>
実施例5では、TFT等が形成されるバックライト側の基板の反射部のみに位相差層が形成された構成のパネルを作製した。
最初に、実施例1と同様の工程により、図26に示すようなTFT等が形成された基板を用意した。さらに、この反射電極上に位相差層として反射部λ/4層を形成した。さらに、この上にスパッタすることによりITO電極を形成した。
また、対向する基板には、ITOをスパッタすることにより対向電極を形成し、位相差層を形成しなかった。さらに対向電極上にポリイミドを印刷し、ラビングすることにより配向膜を形成した。
以上のようにTFT及び位相差層等が形成された基板と、対向電極が形成された基板とを用いて通常の工程に従ってセルを組み立て、パネルを得た。このパネルを点灯したところ、透過表示を行った際に実施例1のパネルと同等のコントラストの高い画像表示を実現することが確認された。
<実施例6>
実施例6では、図7に示す液晶表示装置1’と光学的な構成が同じとされたフルカラーのパネルを作製した。
最初に、実施例1と同様の工程により、図26に示すようなTFT等が形成された基板(TFT基板)を用意した。そして、このTFT基板の反射電極3および透過電極4上にポリイミドを印刷し、マスクラビングを行うことにより、反射部においてはこのTFT基板の他面側に設けられる偏光板5の透過軸方向に対して45°の角度をなす一方、透過部においてはこの偏光板5と平行をなすラビング方向の配向膜を形成した。
また、対向する基板(対向基板)に、実施例1と同様の工程により、反射部λ/4層7を形成し、さらに対向電極8を形成した。この際、反射部λ/4層7の形成は、その遅相軸が、対向基板の他面側に設けられる偏光板9の透過軸に対して45°の角度をなすように、下地の配向膜のラビング方向を設定して行った。
その後、対向電極8上にポリイミドを印刷し、マスクラビングを行うことにより、反射部においては反射部λ/4層7の遅相軸に対して90°の角度をなす一方、透過部においては偏光板9と平行をなすラビング方向の配向膜を形成した。
以上のように表面側に配向膜が形成されたTFT基板と対向基板とを用いて、通常の工程にしたがってセルを組み立てた。この際、TFT基板側の配向膜と対向板側の配向膜とが、反射部でアンチパラレルとなり、透過部で90°のツイスト配向となるようにTFT基板と対向基板とを貼り合わせ、これらの間に複屈折率Δn=0.09の液晶材料を注入し、封止することで、反射部においてλ/4の位相差を有する液晶層10’を形成した。その後、TFT基板側に、当該TFT基板に設けた配向膜の透過部におけるラビング方向に対して透過軸方向を一致させて偏光板5を張り付けた。また、対向基板側に、当該対向基板に設けた配向膜の透過部におけるラビング方向に対して透過軸方向を一致させて偏光板9を張り付けた。
以上により、図7に示す液晶表示装置1’と同じ光学構成を有し、かつカラーフィルタが形成された構成のパネルを得た。このパネルを点灯したところ、実施例1よりもさらに透過部においての黒表示が十分で、コントラストの高い表示を得ることができた。
<実施例7>
実施例7では、図10に示す液晶表示装置21’と光学的な構成が同じとされたフルカラーのパネルを作製した。
最初に、実施例6と同様の工程により、図26に示すTFT基板を用意し、この反射電極3および透過電極4上に配向膜を形成した。ただし、反射部の配向膜には、このTFT基板の他面側に設けられる偏光板5の透過軸方向に対して75°の角度をなすようにラビング処理を行い、透過部の反射膜に対しては偏光板の透過軸に平行にラビング処理を行った。
また、対向する基板(対向基板)に、実施例2と同様の工程により、反射部λ/2層22および反射部λ/4層7形成し、さらに対向電極8を介して配向膜を形成した。この際、反射部λ/2層22の形成は、その遅相軸が、対向基板の他面側に設けられる偏光板9の透過軸に対して15°の角度をなすように、下地の配向膜のラビング方向を設定して行った。また、反射部λ/4層7の形成は、その遅相軸が、反射部λ/2層22の遅相軸に対して60°の角度をなし、偏光板9の透過軸に対して75°の角度をなすように、下地の配向膜のラビング方向を設定して行った。さらに配向膜の形成は、反射部においては反射部λ/4層7の遅相軸に対して90°の角度をなし、偏光板9の透過軸に対して15°の角度をなす一方、透過部においては偏光板9と平行をなす方向にラビング処理を行った。
以上のように表面側に配向膜が形成されたTFT基板と対向基板とを用い、実施例6と同様にセルを組み立て、図10に示す液晶表示装置21’と同じ光学構成を有し、かつカラーフィルタが形成された構成のパネルを得た。このパネルを点灯したところ、実施例6よりもさらに黒表示が十分で、コントラストの高い表示を得ることができた。
<実施例8>
実施例8では、図11に示す液晶表示装置21aと光学的な構成が同じとされたフルカラーのパネルを作製した。
最初に、実施例6と同様の工程により、図26に示すTFT基板を用意し、この反射電極3および透過電極4上に配向膜を形成した。ただし、反射部の配向膜に対しては、このTFT基板の他面側に設けられる偏光板5の透過軸方向に対して52.5°の角度をなすようにラビング処理を行った。
また、対向する基板(対向基板)に、実施例7と同様にして、反射部λ/2層22および反射部λ/4層7形成し、さらに対向電極8を介して配向膜を形成した。ただし、反射部の配向膜に対しては、反射部λ/4層7の遅相軸に対して96.5°の角度をなし、偏光板9の透過軸に対して7.5°の角度をなす方向にラビング処理を行った。
以上のように表面側に配向膜が形成されたTFT基板と対向基板とを用いて、通常の工程にしたがってセルを組み立てた。この際、TFT基板側の配向膜と対向板側の配向膜とが、反射部で45°の角度をなし、透過部で90°の角度をなすと共に、セルギャップが反射部で2.7μm、透過部で4.8μmとなるようにTFT基板と対向基板とを貼り合わせ、これらの間に複屈折率Δn=0.1の液晶材料を注入し、封止することで、反射部においてλ/4の位相差を有する液晶層10’を形成した。その後、実施例6と同様に偏光板5および偏光板9を張り付けた。尚、電圧を印加したときの残留位相差は、λ/4層で調整した。
以上により、図11に示す液晶表示装置21aと同じ光学構成を有し、かつカラーフィルタが形成された構成のパネルを得た。このパネルを点灯したところ、実施例6よりもさらに黒表示が十分で、コントラストの高い表示を得ることができた。また、反射部における液晶配向をツイスト配向としてセルギャップを広げたことで、ギャップに対するマージンが実施例7と比較して広がったため、高い歩留まりで生産することが可能であった。
<実施例9>
実施例9では、図12に示す液晶表示装置51と光学的な構成が同じとされたフルカラーのパネルを作製した。
最初に、実施例1と同様の工程により、図26に示すようなTFT等が形成された基板を用意した。
また、対向する基板には、Crを用いてブラックマトリクスを形成した後、基板上にカラーフィルタとしてR、G、Bのパターンを形成した。次に、カラーフィルタ上にポリイミドを印刷し、ラビングすることにより配向膜を形成した。
このときのラビング処理では、マスクラビングを行った。マスクラビングは、フォトリソグラフィ法により反射部又は透過部のいずれか一方をレジストでマスクし、所定方向にラビングを行った後、他方の領域をレジストでマスクし、所定方向にラビングを行うものである。なお、反射部では前面の偏光板の透過軸に対して45°傾くようなラビング方向とし、透過部では前面の偏光板の透過軸に対して平行になるようなラビング方向とした。
この配向膜上に、紫外線硬化性の液晶モノマをスピンコートにより塗布し、露光工程を経ることにより、位相差層としてλ/4層が形成されるようにした。液晶ポリマは下地の配向膜のラビング方向に沿って配向するので、反射部ではλ/4層として機能するが、透過部では遅相軸が前面の偏光板の透過軸と平行とされるので実効的な位相差が生じない。紫外線硬化性の液晶モノマとしては、メルク社製RMM34を用いた。この紫外線硬化性の液晶モノマ材料は酸素の存在により重合が不十分なものとなるため、N2雰囲気で上記処理を行った。また、RMM34は、Δnが0.145であるため、位相差層の膜厚が950nmとなるようにスピンコートすることにより、面内で135nm〜140nm程度に収まるリタデーションを得ることができた。位相差層形成後、ITOをスパッタすることにより対向電極を形成した。
この後は、通常のセル工程である。すなわち、さらに対向電極上にポリイミドを印刷し、ラビングすることにより配向膜を形成した。
ここで、位相差層が形成された側のラビング方向は、位相差層の液晶ポリマの配向方向と同方向とした。また、TFT等が形成された側のラビング方向は、セル構成がアンチパラレルになる方向とした。
TFT等が形成された基板と、位相差層等が形成された基板との間に液晶を注入し、封止した後、透過部の位相差層の遅相軸と透過軸が平行となるように、前面に偏光板を貼り付けることにより、図12に示す液晶表示装置と同じ光学的な構成を有し、且つカラーフィルタが形成された構成のパネルを得た。このパネルを点灯したところ、反射表示及び透過表示のいずれにおいてもコントラストの高い画像表示を実現することが確認された。
<実施例10>
実施例10では、図15に示す液晶表示装置61と光学的な構成が同じとされたフルカラーのパネルを作製した。
最初に、実施例1と同様の工程により、図26に示すようなTFT等が形成された基板を用意した。
また、対向する基板には、Crを用いてブラックマトリクスを形成した後、基板上にカラーフィルタとしてR、G、Bのパターンを形成した。次に、カラーフィルタ上にポリイミドを印刷し、実施例10と同様にマスクラビングすることにより配向膜を形成した。
この配向膜上に、紫外線硬化性の液晶モノマをスピンコートにより塗布し、露光工程を経ることにより位相差層としてλ/2層が形成されるようにした。紫外線硬化性の液晶モノマは下地の配向膜のラビング方向に沿って配向するので、反射部ではλ/2層として機能するが、透過部では遅相軸が前面の偏光板の透過軸と平行とされるので実効的な位相差が生じない。
次に、λ/2層上にポリイミドを印刷し、反射部では先だってのラビング方向に対して60°傾いた方向となるようにラビング処理を行い、透過部では前面の偏光板の透過軸に対して平行になるようなラビング方向となるようにラビング処理を行うことにより配向膜を形成した。
この配向膜上に、紫外線硬化性の液晶モノマを塗布し、露光工程を経ることにより位相差層としてλ/4層が形成されるようにした。紫外線硬化性の液晶モノマは下地の配向膜のラビング方向に沿って配向するので、反射部ではλ/4層として機能するが、透過部では遅相軸が前面の偏光板の透過軸と平行とされるので実効的な位相差が生じない。
次に、λ/4層上にITOをスパッタすることにより対向電極を形成した。
この後は、通常のセル工程である。すなわち、さらに対向電極上にポリイミドを印刷し、ラビングすることにより配向膜を形成した。ここで、液晶層の配向方向がλ/2とλ/4との中間となるようにラビング処理を行った。
以上のようにTFT等が形成された基板と、位相差層等が形成された基板とを用いて通常の工程に従ってセルを組み立て、偏光板を基板の両面に貼り付けた。ここで、反射部λ/2層の遅相軸に対して前面の偏光板の透過軸が15°の傾きとなるように前面の偏光板を配した。また、後面側の偏光板は、その透過軸が前面の偏光板の透過軸と90°の角度をなすように配した。したがって、透過部λ/2層の遅相軸に対して、前面の偏光板の透過軸が平行となる。
以上のようにして、図15に示す液晶表示装置と同じ光学的な構成を有し、且つカラーフィルタが形成された構成のパネルを得た。このパネルを点灯したところ、反射表示及び透過表示のいずれにおいてもコントラストの高い画像表示を実現することが確認された。
<実施例11>
実施例11では、図16に示す液晶表示装置71と光学的な構成が同じとされたパネルを作製した。
最初に、実施例1と同様の工程により、図26に示すようなTFT等が形成された基板を用意した。さらにこの反射電極及び透明電極上に紫外線硬化性の液晶モノマを塗布することにより、位相差層としてλ/4層を形成した。なお、このとき、反射部の位相差層のみがλ/4層として機能するように、予めマスクラビングにより反射部と透過部とでラビング方向が異なるような配向処理を下地に施しておく。さらにこの位相差層上にポリイミドを印刷し、配向膜を形成した。
また、対向する基板には、ITOをスパッタすることにより対向電極を形成し、位相差層を形成しなかった。さらに対向電極上にポリイミドを印刷し、ラビングすることにより配向膜を形成した。
以上のようにTFT及び位相差層等が形成された基板と、対向電極が形成された基板とを用いて通常の工程に従ってセルを組み立て、パネルを得た。このパネルを点灯したところ、透過表示を行った際に実施例9と同等のコントラストの高い画像表示を実現することが確認された。
<実施例12>
実施例12では、図17に示す液晶表示装置81と光学的な構成が同じとされた液晶表示装置を作製した。
最初に、実施例1と同様の工程により、図26に示すようなTFT等が形成された基板を用意した。
また、前面の基板に、Crを用いてブラックマトリクスを形成した後、基板上にカラーフィルタとしてR、G、Bのパターンを形成した。次に、カラーフィルタ上にポリイミドを印刷し、実施例9と同様にマスクラビングすることにより配向膜を形成した。
この配向膜上に、紫外線硬化性の液晶モノマを塗布し、露光工程を経ることにより、位相差層としてλ/4層が形成されるようにした。このとき、各位相差層の膜厚を、各画素の位相差に応じて設定した。すなわち、Gについては実施例9と同様に、膜厚950nmとした。また、Bについては、その色のリタデーションに合わせてΔnが0.155程度になるので、膜厚730nmとなるように位相差層を形成した。また、Rについては、その色のリタデーションに合わせてΔnが0.135程度になるので、膜厚1200nm程度となるように位相差層を形成した。
紫外線硬化性の液晶モノマは下地の配向膜のラビング方向に沿って配向するので、反射部ではλ/4層として機能するが、透過部では遅相軸が前面の偏光板の透過軸と平行とされるので実効的な位相差が生じない。
位相差層形成後、ITOをスパッタすることにより対向電極を形成した。
以上のようにTFT等が形成された基板と、位相差層等が形成された基板とを用いて通常の工程に従ってセルを組み立て、図17に示す液晶表示装置と同じ光学的な構成を有するパネルを得た。このパネルを点灯したところ、実施例9のパネルの表示品質を上回る黒表示が得られ、さらにコントラストの高い画像表示を実現することが確認された。
<実施例13>
実施例13では、位相差層を配向分割するために光配向処理を採用したこと以外は実施例10と同様にして、フルカラーのパネルを作製した。なお、配向膜としては、バンティコ社製のものを用いた。
このパネルを点灯したところ、実施例10と同様に、反射表示及び透過表示のいずれにおいてもコントラストの高い画像表示を実現することが確認された。
<実施例14>
実施例14では、図18に示す液晶表示装置51’と光学的な構成が同じとされたフルカラーのパネルを作製した。
最初に、実施例1と同様の工程により、図26に示すようなTFT等が形成された基板(TFT基板)を用意した。ただし、このTFT基板の形成においては、反射部と透過部のセルギャップの差分に当たる膜厚の層間膜52を反射電極3の下層に設けた。
その後、TFT基板の反射電極3および透過電極4上にポリイミドを印刷し、マスクラビングを行うことにより、反射部においてはこのTFT基板の他面側に設けられる偏光板5の透過軸方向に対して45°の角度をなす一方、透過部においてはこの偏光板5と平行をなすラビング方向の配向膜53を形成した。
また、対向する基板(対向基板)に、実施例9と同様の工程により、反射部λ/4層7と透過部λ/4層55を形成し、さらに対向電極8を形成した。この際、反射部λ/4層7の遅相軸が、この対向基板に設けられる偏光板9の透過軸と45°をなす一方、透過部λ/4層55の遅相軸が偏光板9の透過軸と平行をなすようにする。
その後、この対向電極8上にポリイミドを印刷し、マスクラビングを行うことにより、反射部においては反射部λ/4層7の遅相軸に対して90°の角度をなす一方、透過部においては透過部λ/4層55の遅相軸と平行をなすラビング方向の配向膜56を形成した。
以上のように表面側に配向膜が形成されたTFT基板と対向基板とを用いて、通常の工程にしたがってセルを組み立てた。この際、TFT基板側の配向膜53と対向板側の配向膜56とが、反射部でアンチパラレルとなり、透過部で90°の角度をなすと共に、セルギャップが反射部で1.4μm、透過部で4.0μmとなるようにTFT基板と対向基板とを貼り合わせ、これらの間に複屈折率Δn=0.12の液晶材料を注入し、封止することで、反射部においてλ/4の位相差を有する液晶層10’を形成した。その後、TFT基板側に、配向膜53の透過部におけるラビング方向に対して透過軸方向を一致させて偏光板5を張り付けた。また、対向基板側に、配向膜56の透過部におけるラビング方向に対して透過軸方向を一致させて偏光板9を張り付けた。尚、電圧を印加したときの残留位相差は、λ/4層で調整した。
以上により、図18に示す液晶表示装置51’と同じ光学構成を有し、かつカラーフィルタが形成された構成のパネルを得た。このパネルを点灯したところ、反射部での反射表示、透過部での透過表示とも、コントラストの高い表示を実現することができた。特に透過表示については、実施例9(図12参照)よりもさらにコントラストが高く、視野角の広い表示を行うことができた。
なお、本実施例14においては、セルを組み立てる際のセルギャップが、反射部で1.8μm、透過部で4.8μmとなるようにTFT基板と対向基板とを貼り合わせ、これらの間に複屈折率Δn=0.01の液晶材料を注入し、封止することで、反射部においてλ/4の位相差を有する液晶層10’を形成したパネルも作製したが、同様の効果を得ることができた。尚、このパネルにおいても、電圧を印加したときの残留位相差は、λ/4層で調整した。
<実施例15>
実施例15では、図21に示す液晶表示装置61’と光学的な構成が同じとされたフルカラーのパネルを作製した。
最初に、実施例14と同様の工程により、図26に示すようなTFT等および層間膜52が形成された基板(TFT基板)を用意し、このTFT基板の反射電極3および透過電極4上に配向膜53を形成した。ただし、配向膜53は、反射部においては、このTFT基板の他面側に設けられる偏光板5の透過軸方向に対して15°をなす一方、透過部においては偏光板5と平行をなすラビング方向で形成した。
また、対向する基板(対向基板)に、実施例10と同様の工程により、反射部λ/2層22および反射部λ/4層7、透過部λ/2層62および透過部λ層55を形成し、さらに対向電極8を介して配向膜56を形成した。この際、反射部λ/2層22の形成は、その遅相軸が、対向基板の他面側に設けられる偏光板9の透過軸に対して75°の角度をなすように、下地の配向膜のラビング方向を設定して行った。また、反射部λ/4層7の形成は、その遅相軸が、反射部λ/2層22の遅相軸に対して60°の角度をなし、偏光板9の透過軸に対して15°の角度をなすように、下地の配向膜のラビング方向を設定して行った。一方、透過部λ/2層62および透過部λ層55の形成は、それぞれの遅相軸が、偏光板9の透過軸と平行をなすように、下地の配向膜のラビング方向を設定して行った。さらに配向膜56の形成は、反射部においては反射部λ/4層7の遅相軸に対して90°の角度をなし、かつ偏光板9の透過軸に対して75°をなす一方、透過部においては偏光板9と平行をなす方向にラビング処理を行った。
以上のように表面側に配向膜53,56が形成されたTFT基板と対向基板とを用い、実施例14と同様にセルを組み立て、図21に示す液晶表示装置61’と同じ光学構成を有し、かつカラーフィルタが形成された構成のパネルを得た。このパネルを点灯したところ、反射部での反射表示、透過部での透過表示とも、コントラストの高い表示を実現することができた。特に反射表示については、実施例14よりも、コントラストの高い表示を行うことができ、また透過表示については実施例14と同様に高コントラストで広視野角となった。
<実施例16>
実施例16では、図22に示す液晶表示装置71’と光学的な構成が同じとされたフルカラーのパネルを作製した。このパネルは、図18を用いて説明した実施例14のパネルと光学構成は同じであり、位相差層がTFT基板側に設けられている点が実施例14床なっている。
最初に、実施例11と同様の工程により、図26に示すようなTFT等および層間膜52が形成された基板(TFT基板)を用意し、このTFT基板の反射電極3上に反射部λ/4層7を形成すると共に、透過電極4上に透過部λ/4層55を形成し、さらに配向膜53を形成した。ただし、配向膜53は、反射部においては、このTFT基板の他面側に設けられる偏光板5の透過軸方向に対して45°の角度をなす一方、透過部においては偏光板5と平行をなすラビング方向で形成した。
また、対向する基板(対向基板)に、実施例11と同様の工程により、反射部と透過部のセルギャップの差分に当たる膜厚の層間膜52を反射部に形成した後、対向電極8を形成し、さらに配向膜56を形成した。ただし、配向膜56は、反射部においては、この対応基板の他面側に設けられる偏光板9の透過軸方向に対して45°の角度をなすと共にTFT基板側の配向膜53とアンチパラレルをなす一方、透過部においてはこの対向基板の他面側に設けられる偏光板9の透過軸方向と平行をなすラビング方向の配向膜を形成した。
以上のように表面側に配向膜53,56が形成されたTFT基板と対向基板とを用い実施例14と同様にセルを組み立て、図22に示す液晶表示装置71’と同じ光学構成を有し、かつカラーフィルタが形成された構成のパネルを得た。このパネルを点灯したところ、反射部での反射表示、透過部での透過表示とも、実施例14と同様にコントラストの高い表示を実現することができた。
<実施例17>
実施例17では、図23に示す液晶表示装置81’と光学的な構成が同じとされたフルカラーのパネルを作製した。
最初に、実施例1と同様の工程により、図26に示すようなTFT等が形成された基板(TFT基板)を用意した。ただし、図26に示すTFT基板の形成においては、反射部と透過部のセルギャップの差分に当たる膜厚の層間膜52を反射電極3の下層に設けた。
その後、TFT基板の反射電極3および透過電極4上にポリイミドを印刷し、マスクラビングを行うことにより、反射部においてはこのTFT基板の他面側に設けられる偏光板5の透過軸方向に対して45°の角度をなす一方、透過部においてはこの偏光板5と平行をなすラビング方向の配向膜53を形成した。
また、対向する基板(対向基板)に、実施例12(図17参照)と同様の工程により、R,G,Bのカラーフィルタ42R,42G,42Bを形成し、さらに各色のリタデーションに合わせた各膜厚の反射部λ/4層7R,7G,7Bおよび透過部λ/4層55R,55G,55Bを形成し、オーバーコート層43および対向電極8を介して配向膜56を形成した。この際、反射部λ/4層7R,7G,7Bの遅相軸が、この対向基板の他面側に設けられる偏光板9の透過軸方向に対して45°の角度をなす一方、透過部λ/4層55R,55G,55Bの遅相軸が、偏光板9の透過軸と平行をなすようにした。また、配向膜56は、反射部においては反射部λ/4層7R,7G,7Bの遅相軸に対して90°の角度をなす一方、透過部においては透過部λ/4層55R,55G,55Bの遅相軸と平行をなすラビング方向で形成した。尚、光軸、ラビング方向については、図18を用いて説明した実施例14のパネルと光学構成は同じであり、位相差層の厚さがそれぞれに設定されている変更されている。
以上のように表面側に配向膜53,56が形成されたTFT基板と対向基板とを用い実施例14と同様にセルを組み立て、図23に示す液晶表示装置81’と同じ光学構成を有し、かつカラーフィルタが形成された構成のパネルを得た。このパネルを点灯したところ、反射部での反射表示、透過部での透過表示とも、実施例14よりもさらに黒表示が十分でコントラストの高い表示を実現することができた。
<実施例18>
実施例18では、反射部と透過部の各位相差層を配向分割するために、光配向処理を採用したこと以外は実施例15と同様にしてフルカラーのパネルを作製した。光配向処理においては、マスク露光によって透過部、反射部で別々の偏光をあて、実施例18と同じ方向に反射部λ/4層および透過部λ・4層を配向させた。
このパネルを点灯したところ、実施例15と同様に、反射表示および透過表示のいずれにおいてもコントラストの高い画像表示を実現することが確認された。
<実施例19>
実施例19では、図24に示す液晶表示装置61aと光学的な構成が同じとされたフルカラーのパネルを作製した。
最初に、実施例14と同様の工程により、図26に示すようなTFT等および層間膜52が形成された基板(TFT基板)を用意し、このTFT基板の反射電極3および透過電極4上に配向膜53を形成した。ただし、配向膜53は、反射部においては、このTFT基板の他面側に設けられる偏光板5の透過軸方向に対して37.5°の角度をなす一方、透過部においては偏光板5と平行をなすラビング方向で形成した。
また、対向する基板(対向基板)に、実施例15(図21参照)と同様の工程により、反射部λ/2層22および反射部λ/4層7、透過部λ/2層62および透過部λ/4層55を形成し、さらに対向電極8を介して配向膜56を形成した。
ただし、配向膜56の形成は、反射部においては反射部λ/4層7の遅相軸に対して22.5°の角度をなす一方、透過部においては偏光板9と平行をなす方向にラビング処理を行った。
以上のように表面側に配向膜53,56が形成されたTFT基板と対向基板とを用い、実施例14と同様にセルを組み立てた。この際、配向膜53,56のラビング方向が、反射部で45°をなし、透過部で90°の角度をなすと共に、セルギャップが反射部で2.7μm、透過部で4.8μmとなるようにTFT基板と対向基板とを貼り合わせ、これらの間に複屈折率Δn=0.10の液晶材料を注入し、封止した。その後、TFT基板側に、配向膜53の透過部におけるラビング方向に対して透過軸方向を一致させて偏光板5を張り付けた。また、対向基板側に、配向膜56の透過部におけるラビング方向に対して透過軸方向を一致させて偏光板9を張り付けた。
以上により、図24に示す液晶表示装置61aと同じ光学構成を有し、かつカラーフィルタが形成された構成のパネルを得た。このパネルを点灯したところ、反射部での反射表示、透過部での透過表示とも、実施例15と同様にコントラストの高い表示を実現することができた。また、反射部における液晶配向がツイストネマチックとしてセルギャップを広げたことで、ギャップに対するマージンが実施例15と比較して広がったため、高い歩留まりで生産することが可能であった。
なお、本実施例19においては、セルを組み立てる際に、TFT基板側の配向膜53と対向板側の配向膜56とが、反射部、透過部ともに90°の角度をなすと共に、セルギャップが反射部で3.3μm、透過部で4.8μmとなるようにTFT基板と対向基板とを貼り合わせ、これらの間に複屈折率Δn=0.10の液晶材料を注入し、封止することで、図25に示す液晶表示装置61aと光学的な構成が同じとされたフルカラーのパネルも作製したが、同様の効果を得ることができた。