JP4135518B2 - 黒色化鋼板の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は黒色化鋼板の製造方法に係り、特に、クロムフリーの黒色化鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
黒色化鋼板は、耐食性や装飾性に優れていることから、パーソナルコンピュータ、複写機、オーディオ機器、空調機器等の家庭電化製品を中心に種々の機器の材料として広く使用されている。このような黒色化鋼板を製造するにあたっては、従来亜鉛系めっきを施した鋼板を黒色化処理した後、クロメート処理によってクロメート皮膜を形成し、その後、必要に応じて樹脂被膜を形成するという方法が多用されてきた。
【0003】
しかしながら、クロメート皮膜には人体に有害な6価クロムが含まれるため、黒色化鋼板の製造に携わる人の健康を損ねたり、環境汚染を引き起こしたりする危険性がある。このため、今日では、クロムを含む処理液を用いることなく耐食性や装飾性に優れた黒色化鋼板を得るための技術が種々提案されている。
【0004】
例えば特許文献1には、亜鉛系めっきが施された鋼板の表面に、ニッケル及び亜鉛の金属とこれら金属の酸化物とを含む金属/酸化物複合黒色被膜を形成し、その上に、チオカルボニル基含有化合物及びバナジウム化合物の少なくとも一方と樹脂とを含有する非クロム型防錆皮膜層を形成した黒色化鋼板(非クロム型黒色処理亜鉛系めっき鋼板)が記載されている。
【0005】
この黒色化鋼板では、上記の金属/酸化物複合黒色被膜中に、ニッケル及び亜鉛の水酸化物を含有させることもでき、上記の非クロム型防錆皮膜層には、燐酸化合物及び微粒シリカの少なくとも一方を含有させることもできる。非クロム型防錆皮膜層上には、樹脂層を任意に形成することができ、この樹脂層には黒色顔料を含有させることができる。
【0006】
また、特許文献2には、金属イオン、水溶性有機樹脂、水分散性有機樹脂、酸、及び水性媒体を特定の割合で含有し、金属材料の耐食性、耐傷つき性、及び耐指紋性を向上させると共に色調変化、低光沢化を防止することができる金属表面処理組成物が記載されている。
【0007】
特許文献3には、黒色化処理されたZn−Niめっき鋼板の表面に、金属イオン、水溶性有機樹脂、水分散性有機樹脂、及び酸を含有する塗料組成物によって皮膜を形成した黒色鋼板が記載されている。
【0008】
特許文献4には、黒色化処理されたZn−Niめっき鋼板の表面に、金属イオン、酸、及び特定の水分散性有機樹脂を含有する金属表面処理組成物の皮膜層を形成した黒色鋼板が記載されている。
【0009】
そして、特許文献5には、黒色化処理しためっき鋼板表面上にカーボンブラック等の黒色顔料を含有する有機樹脂層を形成し、さらにその上にクリアー樹脂層を形成させる方法が提案されている。
【0010】
【特許文献1】
特開2000−290783号公報
【特許文献2】
特開2001−158969号公報
【特許文献3】
特開2001−164377号公報
【特許文献4】
特開2002−127302号公報
【特許文献5】
特開2002−47579号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の特許文献1、3、及び4に記載された鋼板では、非クロム型防錆皮膜層、又は酸化物層を形成し終えた時点で色ムラが生じたり、ロット毎に色調がばらついたりすることがある。このような色ムラあるいは色調のばらつきは、その後にたとえ黒色顔料を含有した樹脂層を形成したとしても、解消させることは困難であるという問題があった。また、特許文献2に記載された金属表面処理組成物を用いた場合でも、表面処理の対象となる金属材料に色ムラがあった場合には、当該色ムラを解消させることは困難であるという問題があった。さらに特許文献5に提案された方法では、有機樹脂中へ黒色顔料を均一に分散させることが難しいため色ムラが発生したり、ロットにより色調にばらつきが発生したりする問題があった。
【0012】
そこで、本発明は、色ムラやロット間での色調のばらつきが生じにくい黒色化鋼板の製造方法を提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
Zn−Niめっき鋼板は、クロメート処理によらずとも、その表面のZn−Ni皮膜を酸化させることによって、黒色化させることは可能である。ただし、全体を一様に黒色化させることは困難であり、色ムラが生じたり、色調に白味がかかったり、ロット毎に色調がばらついたりするといった不具合が発生し易い。
【0014】
本発明者らは、上記の不具合が発生する原因について種々検討し、以下の結論に達した。すなわち、Zn−Ni皮膜が黒色化されるのはめっき層のニッケルが酸化されて、酸化ニッケルが生成されることによるものであり、上記の不具合は、めっき層に存在する亜鉛の酸化によって、白色を呈する酸化亜鉛が生成されることに起因する。したがって、Zn−Ni皮膜を酸化した後に、当該皮膜表面に存在する酸化亜鉛のみを選択的に除去することにより、上記不具合の発生を抑制することが可能である。このように酸化亜鉛のみ選択的に除去することができる処理液についても種々検討した。その結果、pH0〜4の酸水溶液、又はpH11以上のアルカリ水溶液に黒色化処理後の鋼板を浸漬すれば有効であるという結論に達し、本発明を完成するに至った。以下本発明にかかる諸態様を具体的に説明する。
【0015】
本発明の一態様では、黒色化処理されたZn−Niめっき鋼板を、pH11以上のアルカリ水溶液で表面処理する第1工程と、前記第1工程後に前記Zn−Niめっき鋼板を水洗する第2工程と、前記第2工程後に前記Zn−Niめっき鋼板の表面に樹脂被膜を形成する第3工程と、を含むことを特徴とする黒色化鋼板の製造方法を提供して、上記課題を解決する。
【0016】
この第一態様の黒色化鋼板の製造方法では、黒色化処理されてZn−Niめっき鋼板の表面に生成された酸化亜鉛は、pH11以上のアルカリ水溶液で表面処理されることで選択的に除去され、酸化ニッケルは除去されることなく鋼板表面に留まる。この後、上記の液を水洗によって除去してから、Zn−Niめっき鋼板の表面に樹脂被膜を形成することにより、酸化亜鉛を選択的に除去した後の被膜表面を化学的に安定化させることができると共に、耐食性及び耐指紋性(指紋の付きにくさ)に優れた黒色化鋼板を得ることができる。その結果として、色ムラや色調の白化が抑制され、均一な色調を備えた黒色化鋼板を得ることができる。また、ロット間での色調のばらつきも抑制される。さらに、上記製造工程中にクロムを含む処理液を使用することがないので、クロムフリーの安全で環境にやさしい黒色化鋼板の製造方法を提供することができる。
【0017】
また、本発明の第二の態様では、黒色化処理されたZn−Niめっき鋼板を、クロム化合物を用いることなく調製されたpH0〜4の酸水溶液で表面処理する第1工程と、前記第1工程後に前記Zn−Niめっき鋼板を水洗する第2工程と、前記第2工程後に前記Zn−Niめっき鋼板の表面に樹脂被膜を形成する第3工程と、を含むことを特徴とする黒色化鋼板の製造方法を提供して、上記課題を解決する。
【0018】
この第二態様の黒色化鋼板の製造方法では、黒色化処理されてZn−Niめっき鋼板の表面に生成された酸化亜鉛は、クロム酸やクロム酸塩などのクロム化合物を用いることなく調製されたpH0〜4の酸水溶液で表面処理されることで選択的に除去され、酸化ニッケルは除去されることなく鋼板表面に留まる。この後、上記の液を水洗によって除去してから、Zn−Niめっき鋼板の表面に樹脂被膜を形成することにより、酸化亜鉛を選択的に除去した後の被膜表面を化学的に安定化させることができると共に、耐食性及び耐指紋性(指紋の付きにくさ)に優れた黒色化鋼板を得ることができる。その結果として、色ムラや色調の白化が抑制され、均一な色調を備えた黒色化鋼板を得ることができる。また、ロット間での色調のばらつきも抑制される。さらに、上記製造工程中にクロム酸やクロム酸塩などのクロム化合物を含む処理液を使用することがないので、クロムフリーの黒色化鋼板の製造方法を提供することができる。
【0019】
上記第二の態様において、第1工程を1〜30秒間とすることが好ましく、当該第1工程によって、Zn−Niめっき表面の酸化亜鉛が選択的に除去されることが好ましい。さらにまた、上記第二の態様において、酸水溶液が、硫酸、硝酸、又は塩酸のいずれかであることが好ましい。加えて、上記第二の態様においては、前記黒色化処理における処理液をそのまま前記第一工程の酸水溶液として使用することとしてもよい。
【0020】
通常黒色化処理の際に使用される処理液を、次工程に持ち込まないように、黒色化処理の後にも水洗工程や、乾燥工程を設けているが、黒色化処理における処理液をそのまま次工程たる第一工程の酸水溶液として使用すれば、黒色化処理の後の、水洗工程や乾燥工程を省略することができ、また黒色化処理及び第一工程を連続したひとつの工程として構成することが可能となる。あわせて、製造設備の省略、省スペース化、酸廃液発生量の減少化等が可能になる。
【0021】
また、上記第一及び第二の態様(変形例を含む)において、前記黒色化処理は、美麗かつ均一な黒色化を図るという観点から、Zn−Niめっき鋼板を陽極酸化するものであることが好ましい。
【0022】
本発明による上述の作用及び利得は、次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の黒色化鋼板の製造方法は、上述のように、第1工程、第2工程、及び第3工程に大別することができるので、以下、工程毎にその実施形態を詳述する。
【0024】
<第1工程>
第1工程は、上述のように、黒色化処理されたZn−Niめっき鋼板を、pH11以上のアルカリ水溶液、又は、クロム酸やクロム酸塩などのクロム化合物を用いることなく調製されたpH0〜4の酸水溶液で表面処理する工程である。
【0025】
上記の黒色化処理に付されるZn−Niめっき鋼板は、母材鋼板にZn−Niめっきが施された鋼板であれば基本的に使用することが可能であるが、美麗かつ均一に黒色化された鋼板を得るうえからは、Zn−Niめっきの付着量が概ね5〜40g/m 、Zn−Niめっき被膜中のNi含有率が概ね5〜30%であるものを用いることが好ましい。母材鋼板としては、JIS G 3141で規定されているSPCC、SPCD、SPCE等の一般用、絞り用、もしく深絞り用冷間圧延鋼板はもとより、引張り強さが340MPa以上の高張力鋼板等、種々の鋼板を用いることが可能である。Zn−Niめっきの組成及び付着量ならびに母材鋼板の種類は、目的とする黒色化鋼板の用途やグレード等に応じて適宜選定可能である。
【0026】
上記黒色化処理の方法は、クロム酸、クロム酸塩等、クロムを含む物質を用いることなくZn−Niめっき被膜を酸化させることができるものであればよく、例えば
(1)酸化作用を有する液体にZn−Niめっき鋼板を浸漬する、
(2)酸化性の酸、たとえば硫酸と燐酸の混液をスプレーしてめっき表面を酸化させる、
(3)硝酸系の薬剤を塗布して表面を黒色化する、
(4)交番電解処理に付す、
(5)陽極酸化する、
(6)陰極電解法でめっき表面に黒色皮膜を限界析出させる、
等、種々の方法を適用することができる。これらの方法の中でも、美麗かつ均一に黒色化された鋼板を得るうえからは、陽極酸化を適用することが好ましい。
【0027】
また、上記の表面処理は、酸水溶液又はアルカリ水溶液に対する酸化亜鉛と酸化ニッケルとの溶解性の違いを利用して、黒色化処理されたZn−Niめっき被膜表面の酸化亜鉛を選択的に除去するための処理である。
【0028】
すなわち、
(i)酸化亜鉛と酸化ニッケルとでは、酸化亜鉛の方が酸化ニッケルよりも酸性溶液に対する溶解性が高いことを利用して、又は、
(ii)酸化ニッケルがアルカリ性溶液に溶解しないのに対して、酸化亜鉛はpHが11以上のアルカリ性溶液に溶解することを利用して、
黒色化処理されたZn−Niめっき被膜表面の酸化亜鉛を選択的に除去するための処理である。
【0029】
酸水溶液を利用して上記の表面処理を施す場合、当該酸性溶液のpHが0〜4であることが必要である。pHが4よりも大きいと酸化亜鉛の溶解速度が著しく遅くなって実用的でなくなるか、又は、酸化亜鉛が溶解しなくなる。一方pHが0未満であると、酸化亜鉛と同時に酸化ニッケルも溶解し始めるので、酸化亜鉛のみを選択的に除去するためのコントロールが困難となる。
【0030】
アルカリ水溶液を利用して上記の表面処理を施す場合、当該アルカリ水溶液のpHが11以上であることが必要である。当該アルカリ水溶液のpHが11未満になると、酸化亜鉛及び酸化ニッケル共に溶解しなくなるので、酸化亜鉛の選択的な除去ができなくなる。
【0031】
表面処理に利用することができる、クロム酸やクロム酸塩などのクロム化合物を用いることなく調製されたpH0〜4の酸水溶液は、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、及び燐酸等の無機酸や、蟻酸及び酢酸等の有機酸、あるいは無機酸と有機酸との混合物を用いて調製することができる。これらのうち、コストや入手性の観点から、塩酸、硫酸、硝酸を好ましく使用することができる。
【0032】
また、pH11以上のアルカリ水溶液は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び水酸化カルシウム等の無機アルカリや、ジメチルアミン等の有機アルカリ、あるいは無機アルカリと有機アルカリとの混合物を用いて調製することができる。これらのうち、コストや入手性の観点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを好ましく使用することができる。
【0033】
酸水溶液、又はアルカリ水溶液による処理は、Zn−Niめっき鋼板をこれらの処理液中に浸漬することにより、あるいはこれらの処理液をZn−Niめっき鋼板の両面にスプレーすることにより達成される。処理液温度、処理液中での浸漬時間及び撹拌条件、スプレー時間、スプレー量等は、めっき厚さ等により適宜決定される。
【0034】
なお、上記したように黒色化処理においても酸液を使用することが可能であるので、黒色化処理において使用する酸液のpHを0〜4とすれば、黒色化処理に引き続き、同一の処理槽内において、酸化亜鉛の選択的な除去を行うことも可能である。この場合、酸液により、鋼板表面のめっき層から直接亜鉛が酸化亜鉛として酸液中に溶出してくる場合と、酸液により、鋼板表面のメッキ層の金属亜鉛が一旦酸化亜鉛に変化して、しかる後に酸液中に溶解してくることが考えられるが、本願は両者の場合を含むものである。したがって、黒色化処理の工程と酸又はアルカリ水溶液浸漬の工程との間に従来行っていた洗浄・乾燥工程を省略して、第一工程を簡略化することが可能となる。
【0035】
<第二工程>
第二工程は、第一工程においてZn−Niめっき鋼板の表面に付着した、酸水溶液、又はアルカリ水溶液を水により洗い流し去る工程である。第二工程において使用される水は、上記酸水溶液、又はアルカリ水溶液を洗い流し去ることができる範囲において、イオン交換水、上水、工業用水等いずれも使用することができる。洗浄の方法は浸漬、噴射等の方法をとることができるが、十分な洗浄効果を確保する上からは、浸漬の場合には十分な撹拌、噴射の場合には十分な量の洗浄液を鋼板の表裏両面に噴射することが望ましい。また洗浄効果を高めるという観点から、洗浄水を加温して使用してもよい。
【0036】
第二工程においてZn−Niめっき鋼板の表面に付着した洗浄水は乾燥炉等により十分に除去する。乾燥炉の形式は特に限定されず、通常の加熱式乾燥炉、送風式乾燥機、真空乾燥炉等を使用することができる。
【0037】
<第三工程>
第三工程は、Zn−Niめっき鋼板の表面に樹脂皮膜を形成する工程である。樹脂皮膜形成方法は特に限定されるものではなく、塗布・乾燥、又は焼付けにより行うことができる。黒色化処理の後に酸水溶液又はアルカリ水溶液による処理を行ったので、さらにその直後に樹脂皮膜の形成を行うことによって、鋼板表面に色むらや白色化を生じることなく樹脂皮膜を直接塗布、乾燥が可能となる。
【0038】
塗布される樹脂の組成に特に限定はなく、通常鋼板表面に塗布される樹脂を制限なく使用することができる。このような樹脂の例として、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル系樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。塗布する薬液としては上記樹脂を有機溶剤に溶解させた有機溶剤系薬液でもよいし、水に分散させた水分散系薬液でもよい。
【0039】
また、主成分が有機樹脂であれば、樹脂中に有機あるいは無機の酸化防止剤、防錆剤、界面活性剤、カップリング剤等を含ませてもよい。樹脂皮膜の厚さも特に限定されないが、通常の黒色化表面処理鋼板と同等にするという観点から、1〜10μm程度の厚さとすることでもよい。
【実施例】
<1> 黒色化処理
200mm×100mmに切断したニッケル含有率12.5%、めっき付着量20g/mのZn−Niめっき鋼板を以下に示す3通りの方法にて黒色化処理を実施した。
(1)陽極電解酸化:硝酸ナトリウム30g/Lの水溶液中で、20A/dm、150C/dmの通電量で陽極電解酸化し黒色化皮膜を生成させ、これを水洗後乾燥させ供試材とした。
(2)交番電解:硝酸ナトリウム30g/Lの水溶液中で、20A/dm、150C/dm、60Hzの通電量で交番電解し黒色化皮膜を生成させ、これを水洗後乾燥させ供試材とした。
(3)50℃の1N硝酸溶液中に10秒間浸漬し、黒色皮膜を生成させ、これを水洗後乾燥させて供試材とした。
【0040】
<2> 処理液の調整
黒色化処理を施したZn−Niめっき鋼板を、表1に示すpHの酸、又はアルカリ水溶液に浸漬した。酸又はアルカリはすべて特級試薬を使用し、蒸留水で希釈して、pHを所定値に調整した。pHは、堀場製作所製pHメーター形式M−13にて測定した。二種の酸又はアルカリの混合溶液については、両方の酸又はアルカリを10〜100g/Lに調整した後、同量ずつ混合し、その後蒸留水により所定のpHに調節した。また、酸化亜鉛やチオ尿素との混合溶液については、酸を10〜100g/Lに調整した後、0.1g/Lの特級試薬を添加して溶解し撹拌後、蒸留水にて所定のpHに調節した。
【0041】
<3> 浸漬・水洗・乾燥・樹脂塗布
酸又はアルカリ水溶液に各供試材を浸漬した後、直ちに水洗し、60℃の温風ブロアで乾燥した。その後、表1に記載の樹脂を塗布し、鋼板温度が140℃となるようにオーブンで焼付した。酸又はアルカリ水溶液中への浸漬時間は、1秒から30秒まで種々変化させ、各条件に対応するそれぞれ10枚の試験片を作成し、以下の評価に供した。
【0042】
<4> 評価
上記処理を行った各供試材10枚の試験片中央部を所定のサイズに切断し、スガ試験機(株)製色差計SM−7−1S−2Bにて色差(L値)を測定した。ここに「L値」は、JIS Z 8729(1994)「色の表示方法−L表色系及びL表色系」のL表色系に規定される明度「L」である。したがって数値が小さくなるほど黒色の度合いは大となる。各実施例、比較例に対応する10枚の試験片のL値を相加平均してL値(平均値)とした。
【0043】
さらに、上記L値(平均値)に対して、表1に示す評価基準に基づき黒色度の判定を行った。
【表1】
Figure 0004135518
また、10枚の試験片の、L値の(最大値)−(最小値)の値をL値のバラツキ(ΔL)として、表2に示すような評価基準に基づきL値のバラツキの判定を行った。
【表2】
Figure 0004135518
以上の結果をまとめて表3に示す。
【表3】
Figure 0004135518
<5> 結論
実施例1〜13に示したように、pH0〜4の酸水溶液、又はpH11以上のアルカリ水溶液により浸漬処理を行ったものはすべて良好な黒色度及び少ないL値のバラツキΔLを示した。一方、比較例1〜5に示されるように、これらのpHの範囲から外れる酸又はアルカリ水溶液により浸漬処理されたものは、黒色度に劣り、あるいはL値にバラツキが認められた。
【0044】
参考例1、及び2は、pH0未満の硫酸を使用した場合の結果を示す。参考例1は浸漬時間1秒、参考例2では浸漬時間5秒である。
【0045】
このようなpHの低い酸水溶液を使用した場合、黒色化処理された鋼板表面の酸化亜鉛に加えて、酸化ニッケルも溶解され始める。短時間の浸漬であれば、酸化亜鉛溶解の影響が表面に出るが、浸漬が所定時間を越えると酸化ニッケル溶解の影響が無視できなくなり、黒色度、及びL値のバラツキへの悪影響が表面化する。したがって、本発明の技術的範囲に参考例1の範囲を加えて考えることも可能であるが、きわめて短時間内に浸漬を終了する必要があり、実操業上の管理が困難であると考え、参考例としてあげたものである。
【0046】
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う黒色化鋼板の製造方法もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【0047】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の一態様の黒色化鋼板の製造方法によれば、黒色化処理されてZn−Niめっき鋼板の表面に生成された酸化亜鉛は、pH11以上のアルカリ水溶液で表面処理されることで選択的に除去され、酸化ニッケルは除去されることなく鋼板表面に留まる。この後、上記の液を水洗によって除去してから、Zn−Niめっき鋼板の表面に樹脂被膜を形成することにより、酸化亜鉛を選択的に除去した後の被膜表面を化学的に安定化させることができ、色ムラや色調のバラツキのない黒色化鋼板を得ることができる。
【0048】
また、本発明の第二の態様の黒色化鋼板の製造方法によれば、黒色化処理されてZn−Niめっき鋼板の表面に生成された酸化亜鉛は、クロム酸やクロム酸塩などのクロム化合物を用いることなく調製されたpH0〜4の酸水溶液で表面処理されることで選択的に除去され、酸化ニッケルは除去されることなく鋼板表面に留まる。この後、上記の液を水洗によって除去してから、Zn−Niめっき鋼板の表面に樹脂被膜を形成することにより、酸化亜鉛を選択的に除去した後の被膜表面を化学的に安定化させることができると共に、耐食性及び耐指紋性(指紋の付きにくさ)に優れた黒色化鋼板を得ることができる。
【0049】
よって上記第一及び第二の態様の製造方法によれば、色ムラや色調の白化が抑制され、均一な色調を備えた黒色化鋼板を得ることができる。また、ロット間での色調のばらつきも抑制される。さらに、上記製造工程中にクロム化合物を含む処理液を使用することがないので、クロムフリーの安全で環境にやさしい黒色化鋼板の製造方法を提供することができる。

Claims (3)

  1. 黒色化処理されたZn−Niめっき鋼板を、クロム化合物を用いることなく調製されたpH0〜4の酸水溶液で1〜30秒間表面処理しZn−Niめっき表面の酸化亜鉛を選択的に除去する第1工程と、
    前記第1工程後に前記Zn−Niめっき鋼板を水洗する第2工程と、
    前記第2工程後に前記Zn−Niめっき鋼板の表面に樹脂被膜を形成する第3工程と、
    を含むことを特徴とする黒色化鋼板の製造方法。
  2. 前記酸水溶液が、硫酸、硝酸、又は塩酸のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の黒色化鋼板の製造方法。
  3. 前記黒色化処理が、Zn−Niめっき鋼板を陽極酸化するものである請求項1又は2に記載の黒色化鋼板の製造方法。
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