JP4135419B2 - 筒内噴射式内燃機関の制御装置 - Google Patents

筒内噴射式内燃機関の制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料噴射弁から燃焼室内にガソリン燃料を直接噴射供給するようにした筒内噴射式内燃機関に採用されて好適な筒内噴射式内燃機関の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、上記筒内噴射式内燃機関では、燃料を気筒内に直接噴射することによる燃料の気化熱で吸入空気を冷却することができることから、気筒内に実際に吸入される空気の圧縮比である実圧縮比についてもその実質的な向上が図られる。
【0003】
また近年、こうした筒内噴射式内燃機関においては、その圧縮比を更に向上させるべく、ガソリン燃料としてオクタン価の高いハイオクガソリン(プレミアムガソリン)を用いる仕様の機関も提案され、実用されている。このハイオクガソリンは、通常のレギュラガソリンよりもオクタン価が高いために、同ハイオクガソリンを用いた内燃機関では、圧縮比の増大に起因してノッキングが生じる場合であれ、レギュラガソリンを用いた内燃機関よりも、該ノッキングが生じる圧縮比を更に上方にもっていくことができる。
【0004】
もっとも、こうしたハイオクガソリンを燃料として用いる仕様(ハイオク仕様)の内燃機関にあっても、そのコストパフォーマンス性等から、価格的に安価なレギュラガソリンも燃料として併用できることが望ましい。ただしこの場合、それら両ガソリン燃料の特性の違いから、それぞれの燃料にとって必ずしも適切な燃焼制御が行われるとは限らない。すなわち、ハイオク仕様のものは通常、レギュラ仕様のものと比較して、各気筒の燃焼室の最小容積に対する最大容積の比である上記圧縮比が大きく設定された機関構造となる。そのため、こうしたハイオク仕様の内燃機関でレギュラガソリンを使用すると、ノッキングが生じやすいなどの問題が生じることともなる。
【0005】
そこで従来は、例えば特開平8−42434号公報に記載にみられるように、ノッキングセンサの検出結果に基づき、使用されている燃料がレギュラガソリンであると判断されると、アイドル運転時の点火時期を変更するようにした点火時期制御装置なども提案されている。このような点火時期制御装置を採用することにより、ガソリン燃料がハイオクガソリン、レギュラガソリンのいずれであっても、アイドル運転時には、それぞれのガソリン燃料に適した点火時期にて点火制御を行うことができるようになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記点火時期制御装置によれば、使用されるガソリン燃料に適した点火時期にてアイドル時の点火時期制御を行うことができるとはいえ、アイドル運転時以外の内燃機関の制御に関しては、未だ改良の余地が残るものとなっている。
【0007】
すなわち、ハイオク仕様の内燃機関の場合には上述したように、レギュラ仕様のものと 比較して各気筒の燃焼室の最小容積に対する最大容積の比である圧縮比が大きな機関構造とされる。このため、こうした機関構造を有するハイオク仕様の内燃機関においてレギュラガソリンが使用されると、このレギュラガソリンにとっては過剰な圧縮比にて内燃機関が運転されることとなる。そして、このような過剰な圧縮比での運転は、内燃機関にとって好ましくないプレイグニッションの発生をも招きかねない。ちなみに、このプレイグニッションとは、プラグや燃焼室の壁、ピストン、バルブ等に付着しているカーボンに残留する火種によって、点火制御のなされる以前に、圧縮行程において混合気が着火して燃焼が生じる現象である。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的はガソリン燃料のオクタン価の大小にかかわらず、プレイグニッションの発生を好適に抑制することのできる筒内噴射式内燃機関の制御装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1記載の発明は、燃料噴射弁から燃焼室内にガソリン燃料を直接噴射供給する筒内噴射式内燃機関にあってその運転状態を制御する筒内噴射式内燃機関の制御装置において、前記ガソリン燃料のオクタン価を検出するオクタン価検出手段と、該オクタン価検出手段によって前記ガソリン燃料のオクタン価が所定値以下であることが検出されて、且つ、当該機関の負荷の増加率が所定値以上であると判断されるとき、前記ガソリン燃料の一回の燃焼行程において要求される燃料量を吸気行程と圧縮行程とで分割して噴射し、同オクタン価検出手段によって前記ガソリン燃料のオクタン価が前記所定値を上回ることが検出されるとき、又は、当該機関の負荷の増加率が前記所定値を下回ると判断されるとき、前記ガソリン燃料の噴射を吸気行程で行う手段とを備えることをその要旨とする。
【0010】
オクタン価が小さいほど、圧縮比の増大に伴ってプレイグニッションが生じやすい。一方、当該機関の負荷の増加時には、その気筒に吸入される空気量が増大するために、実圧縮比が増大する。このため、この負荷の増大時における燃料噴射制御として吸気行程噴射を用いると、この噴射された燃料と吸入された空気との混合気が圧縮行程において圧縮されることに伴い温度が上昇することによって、オクタン価の小さい燃料ほどプレイグニッションが生じやすい。
【0011】
この点、上記構成では、ガソリン燃料のオクタン価が所定値以下であることが検出されて、且つ、当該機関の負荷の増加率が所定値以上であると判断されるとき、ガソリン燃料の一回の燃焼行程において要求される燃料量を吸気行程と圧縮行程とで分割して噴射する。このように、吸気行程と圧縮行程とで分割して噴射を行うことで、点火プラグ周りの空燃比を部分的にリッチにすることができる。そしてこれにより、同点火プラグ周りの燃料の気化潜熱が大きくなるために、点火プラグ周りの温度上昇を抑制することができ、オクタン価の低い燃料においてもプレイグニッションの発生を好適に抑制することができるようになる。すなわち、上記構成によれば、ガソリン燃料のオクタン価の大小にかかわらず、プレイグニッションの発生を好適に抑制することのできるようになる。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記吸気行程と圧縮行程とで分割して前記ガソリン燃料の噴射が行われるとき、当該機関の負荷の増加率によって同機関に所定値以上のトルク変動が生じると判断されることを条件に、前記吸気行程において噴射される燃料を減量する手段を更に備えることをその要旨とする。
【0013】
圧縮行程に燃料噴射を行って点火プラグ周りの空燃比をリッチにする場合には、同点火プラグ周りの空燃比が所望の空燃比にある間に点火制御を行うこととなり、点火時期制御に対する自由度が低減する。このため、トルク変動を抑制すべく、点火時期を遅角側へ制御することは困難なものとなる。
【0014】
この点、上記構成によれば、吸気行程と圧縮行程とで分割して前記ガソリン燃料の噴射が行われるとき、当該機関の負荷の増加率によって同機関に所定値以上のトルク変動が生じると判断されることを条件に、吸気行程において噴射される燃料を減量することで、トルク変動を好適に抑制することができる。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、当該機関に生じるトルク変動をその負荷の増加率に基づいて予測するとともに、該予測されるトルク変動に応じて点火時期の遅角量を算出する点火時期遅角量算出手段と、前記吸気行程と圧縮行程とで分割して前記ガソリン燃料の噴射が行われるとき、前記点火時期遅角量算出手段によって算出される点火時期の遅角量を前記吸気行程において噴射される燃料の減量量に変換して同吸気行程での燃料噴射量を制御する手段とを更に備えることをその要旨とする。
【0016】
上記構成では、当該機関に生じるトルク変動が予測されるとともに、そのトルク変動に応じて点火時期の遅角量が算出される。しかし、圧縮行程に燃料噴射を行って点火プラグ周りの空燃比をリッチにするときには、同点火プラグ周りの空燃比が所望の空燃比にある間に点火制御を行うこととなり、点火時期制御に対する自由度が低減する。このため、算出される遅角量にて点火時期を遅角側へ制御することは困難なものとなる。
【0017】
この点、上記構成によれば、吸気行程と圧縮行程とで分割してガソリン燃料の噴射が行われるときに、点火時期遅角量算出手段によって算出される点火時期の遅角量を吸気行程において噴射される燃料の減量量に変換して燃料噴射量を制御することで、同トルク変動を好適に抑制する制御を行うことができる。
【0018】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、当該機関の始動時、前記オクタン価検出手段によって前記ガソリン燃料のオクタン価が所定値以下であることが検出されるとき、前記ガソリン燃料の噴射を圧縮行程で行い、同オクタン価検出手段によって前記ガソリン燃料のオクタン価が前記所定値を上回ることが検出されるとき、前記ガソリン燃料の噴射を吸気行程で行う手段を更に備えることをその要旨とする。
【0019】
機関始動時にあっては、気筒内における燃料の霧化が促進され難いことから、噴射される燃料が点火プラグに液状のまま多量に付着するくすぶりが生じやすい。そして、このくすぶりは、点火の不調や失火を招く一因となる。また、このくすぶりは、吸気行程よりも圧縮行程において燃料を噴射した場合に特に生じやすい。
【0020】
一方、機関始動時の燃料噴射制御として吸気行程噴射を適用すると、用いる燃料のオクタン価が小さいほど、プレイグニッションが生じやすい。
この点、上記構成では、ガソリン燃料のオクタン価が所定値以下であることが検出されるとき、ガソリン燃料の噴射を圧縮行程で行うことで、プレイグニッションの生じやすいオクタン価の小さい燃料に対して、同プレイグニッションの発生を好適に回避することができるようになる。
【0021】
また、プレイグニッションの生じにくいオクタン価の大きな燃料に対しては、その噴射制御を吸気行程で行うことで、くすぶりを好適に回避し始動性を向上させることができる。
【0028】
請求項記載の記載の発明は、請求項1〜のいずれかに記載の発明において、当該機関に生じるノッキングを抑制すべく点火時期を遅角制御するノッキング制御手段を更に備え、前記オクタン価検出手段は、前記ノッキング制御手段による点火時期の遅角制御量に基づいて前記ガソリン燃料のオクタン価を検出するものであることをその要旨とする。
【0029】
ノッキングの生じる圧縮比は、燃料のオクタン価によって異なる。詳しくは、ガソリン燃料のオクタン価が大きいほどノッキングの生じる圧縮比が大きくなる。このため、同一の圧縮比の下では、ノッキングが生じる点火時期は、オクタン価の小さなガソリン燃料を使用した場合の方が相対的に遅角側になる。
【0030】
この点、上記構成によれば、ノッキング制御手段による点火時期の遅角制御量に基づいてオクタン価を簡易且つ適切に検出することができるようになる
【0039】
請求項記載の発明は、請求項1〜のいずれかに記載の発明において、前記内燃機関は、ハイオクガソリンを燃料として用いるに適した圧縮比が維持される機関構造を有してなることをその要旨とする。
【0040】
上記構成によれば、レギュラガソリンを燃料として用いるに適した圧縮比が維持される機関構造を有する内燃機関と比較して、各気筒の燃焼室の最小容積に対する最大容積の比である圧縮比を大きくすることができる。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる筒内噴射式内燃機関の制御装置の一実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0042】
図1は、本実施形態にかかる筒内噴射式内燃機関の制御装置の構成を示す図である。同図1に示されるように、この制御装置が適用される内燃機関10は、複数の気筒#1、#2…を備えており、それら各気筒#1、#2…には、燃焼室11を区画するピストン12がそれぞれ設けられている。ここで、内燃機関10は、ガソリン燃料としてハイオクガソリン(プレミアムガソリン)を使用することを想定して設計されたハイオク仕様のものとなっている。すなわち、図2に示すように、ピストン12が上死点に位置する燃焼室11の最小容積(図2(a))に対する同ピストン12が下死点に位置する燃焼室11の最大容積(図2(b))の比である圧縮比がハイオクガソリンを燃料として用いるに適した機関構造とされている。
【0043】
上記各気筒#1、#2…の各燃焼室11内には、燃料を直接噴射する燃料噴射弁13がそれぞれ設けられている。この燃料噴射弁13から燃焼室11内に噴射された燃料は、吸気通路14から燃焼室11に導入される吸入空気と混合され、点火プラグ15の点火によって燃焼した後、燃焼室11から排気通路16に排出される。なお、吸気通路14には、電子制御式のスロットルバルブ17が設けられており、同スロットルバルブ17によって吸気通路14から燃焼室11に供給される吸入空気量が調整される。
【0044】
上記各燃料噴射弁13による燃料噴射や、点火プラグ15による点火、更にはスロットルバルブ17の開弁量等は、内燃機関10の各種制御を統括して実行する電子制御装置20によって制御される。
【0045】
この電子制御装置20は、こうした各種制御を実行する際の演算処理を行う中央処理装置(図中、CPU)21や、同演算に用いるデータが記憶される揮発性メモリ22、不揮発性メモリ23を備えている。ここで、不揮発性メモリ23は、イグニッションスイッチがオフとされることで、バッテリ24から電子制御装置20への給電が停止されても常時バッテリ24からの給電状態が継続されるメモリである。
【0046】
この電子制御装置20には、機関運転状態を監視するための各種センサの検出信号が取り込まれる。これら各種センサとしては、機関回転速度を検出するための回転速度センサ30、スロットルバルブ17の開弁量を検出するスロットルセンサ31、吸気通路14内の吸気圧を検出する吸気圧センサ33、内燃機関10のノッキングを検出するノックセンサ34等々がある。そして、電子制御装置20は、これら検出信号に基づいて燃料噴射量制御や燃料噴射時期制御等、内燃機関10にかかる各種制御を実行する。
【0047】
また、電子制御装置20は、機関運転状態に応じて燃料噴射弁13の噴射時期を変更することにより、図3に示すように、内燃機関10における燃焼形態を成層燃焼と均質燃焼との間で切り替える制御を実行する。
【0048】
即ち、電子制御装置20は、機関運転状態が例えば低負荷低回転域にあるときには、燃焼形態を成層燃焼に切り替えるべく、噴射時期を各気筒#1、#2…の圧縮行程後期に設定するとともに、空燃比が理論空燃比よりも薄くなるように噴射量を設定する。その結果、点火プラグ15の近傍にのみ燃料濃度の濃い混合気が偏在した状態で燃焼が行われるようになる。
【0049】
一方、電子制御装置20は、機関運転状態が例えば高負荷高回転域にあるときには、燃焼形態を均質燃焼に切り替えるべく、噴射時期を各気筒#1、#2…の吸気行程前期に設定する。その結果、燃料噴射弁13から噴射された燃料と吸入空気との混合時間が確保され、燃焼室11の混合気は略均質な状態で燃焼されるようになる。この均質燃焼では、空燃比が理論空燃比や、同理論空燃比よりもリッチ或いはリーンになるように、噴射量が機関運転状態に応じて適宜設定される。
【0050】
また、電子制御装置20では、上記均質燃焼運転時において、内燃機関10の負荷の増加時には、この負荷の増加に伴う内燃機関10のトルク変動を低減すべく制御を行っている。この制御は、基本的には、当該機関の運転状態が負荷の増加時であるか否かを検出するとともに、その増加率に応じて点火時期の遅角量を算出し、この遅角量に基づき点火時期を遅角する制御である。以下、こうしたトルク変動を低減すべく点火時期の遅角量を算出するための詳細な処理手順について図4のフローチャートを参照して説明する。尚、このフローチャートに示される一連の処理は、上記電子制御装置20内の中央処理装置21にて所定の周期で繰り返し実行される。
【0051】
この一連の処理においては、先ずステップ100において、上記回転速度センサ32及び吸気圧センサ33の検出値から内燃機関10の回転速度NEと吸気圧PMとを取り込む。そしてステップ110において回転速度NE及び吸気圧PMとに基づいて吸入空気量を算出する。ここでは、例えば回転速度NE及び吸気圧PMに基づき負荷率を算出すると共に、吸入空気量を「負荷率×回転速度×排気量×空気密度」として算出する。なお、ここで、負荷率とは、内燃機関10の最大の負荷に対する現時点の負荷として定義される。
【0052】
そして、ステップ120において、この図4に示す一連の処理が所定の周期毎に繰り返されるたびに上記ステップ110において算出される吸入空気量に基づいて、吸入空気量の変化率を算出する。この吸入空気量の変化率は、内燃機関10の負荷の増加率を示すパラメータである。
【0053】
更に、ステップ130において、算出された吸入空気量の変化率に基づき、点火時期の要求遅角量Dを算出する。この要求遅角量Dは、当該吸入空気量の変化率に基づき内燃機関10に発生すると考えられるトルク変動の度合いに応じて、これを抑制することのできる量に設定される。なお、ここでは、内燃機関10の搭載された車両に加速ショックが生じると想定されるトルク変動を抑制するように要求遅角量Dを設定する。
【0054】
そして、ステップ130において、この要求遅角量Dが算出されると、この一連の処理を一旦終了する。そして、内燃機関10の燃焼形態が均質燃焼であるときに、この要求遅角量Dに基づいて点火時期の遅角制御がなされる。
【0055】
更に、電子制御装置20は、上記均質燃焼を行う際に、ノッキングを抑制すべく上記点火プラグ15の点火時期を制御するノッキングコントロール制御を行っている。
【0056】
以下、こうした均質燃焼時のノッキングコントロール制御における点火時期の遅角量であるノッキング遅角量AKBを算出するための詳細な処理手順について図5のフローチャートを参照して説明する。尚、このフローチャートに示される一連の処理は、均質燃焼であることを条件に、上記電子制御装置20内の中央処理装置21にて所定の周期で繰り返し実行される。
【0057】
このノッキングコントロール制御においては、上記ノッキング遅角量AKBを、最大遅角量AKMX、学習値AGK、ノッキング制御量AKCを用いて、以下のようにして算出する。
【0058】
AKB=AKMX+AGK+AKC
ここで、最大遅角量AKMXは、内燃機関10の運転状態に応じて設定される点火時期についての最大の遅角量を示す量である。この最大遅角量AKMXは、内燃機関10の排気ガス温度の過度の上昇によって図示しない触媒に悪影響を与えることのない最大の遅角量として、また、ノッキング制御の制御性を好適に保つことのできる最大の遅角量として定義される。また、学習値AGKは、内燃機関10の経時変化や燃料性状の差(オクタン価の差等)を反映して、上記ノッキング遅角量AKBのベースを設定するための量である。更に、ノッキング制御量AKCは、非定常的なノッキングの発生態様に応じて、換言すれば、内燃機関10に生じる振動の変動に応じて、これを抑制するために点火時期の遅角制御を行う際の遅角量である。図6に、これら各パラメータの関係を示す。同図6においては、内燃機関10の図示しないピストン上死点に対して遅角側を負としている。このため、最大遅角量AKMXは、「負」、学習値AGKは「正」、ノッキング制御量AKCは「負」の値となる。
【0059】
この一連の処理においては、まず、ステップ200において、上記回転速度センサ32及び吸気圧センサ33の検出値から取得される内燃機関10の回転速度NEと負荷Qとに基づいて最大遅角量AKMXを算出する。ここで、負荷Qは、内燃機関10の吸入空気量として把握される量であり、これは、先の図4のステップ110と同様にして算出される。また、最大遅角量AKMXは、例えば回転速度NE及び負荷Qとの2次元マップから算出される。
【0060】
次に、ステップ205において、内燃機関10の現在の運転状態がノッキン制御領域にあるか否かを判断する。ここで、ノッキング制御領域は、点火時期の遅角制御によりノッキングを抑制する制御を行う内燃機関10の運転領域のことである。そして、このノッキング制御領域は、上記回転速度NEや負荷Q等に基づいて設定される領域である。
【0061】
次に、ステップ210において、上記ノックセンサ34の検出値よりノッキングが生じているか否かを判断する。そして、ノッキングが生じていると判断されたときには、ステップ215において、ノッキング制御量AKCを所定の遅角量a(「a」は正)だけ遅角させる。
【0062】
一方、ステップ210においてノッキングが生じていないと判断されると、ステップ220において、計時カウンタC1が所定時間T1を超えたか否かを判断する。ここで、計時カウンタC1は、上記ノッキング制御領域において、ノッキングが生じなかった時間を計時するカウンタである。また、所定時間T1は、ノッキング制御領域での点火時期が過度に遅角されている可能性の有無を検出するための時間である。そして、上記計時カウンタC1が所定時間T1を上回っていた場合には、点火時期が過度に遅角されている可能性があるとして、ステップ225において、ノッキング制御量AKCを所定量b(「b」は正)だけ進角させる。
【0063】
そして、ステップ215又はステップ225の処理が終了されると、ステップ230において、計時カウンタC1を初期化する。
ステップ230における処理が終了されたとき、又はステップ220において、計時カウンタC1が所定時間T1以下であると判断されたときには、ステップ235に移行する。このステップ235では、内燃機関10の運転領域(ここでは、回転速度NE及び負荷Qに基づいて設定)が、ノッキング抑制のための点火時期遅角制御の制御量についての学習領域にあるか否かを判断する。この学習領域は、例えば、ノッキングの発生態様が定常な内燃機関10の運転状態、換言すれば内燃機関10に生じる振動の変動が所定値以下となる内燃機関10の運転状態とする。
【0064】
そして、ステップ235において学習領域であると判断されると、ステップ240において、計時カウンタC2が所定時間T2を超えたか否かが判断される。ここで、計時カウンタC2は、上記ノッキング制御量の値に基づき学習制御対象となる学習値AGKの値を所定時間毎に評価するためのカウンタである。そして、上記所定時間T2は、同評価にかかる周期に対応している。
【0065】
ステップ240において、計時カウンタC2が所定時間T2を上回ったと判断されると、ステップ245において計時カウンタC2が初期化される。更に、ステップ250において、ノッキング制御量AKCが所定値αを上回ったか否かが判断される。この所定値αは、当該ノッキングの抑制制御において、非定常的なノッキングの発生を、換言すれば内燃機関10に生じる振動の変動を、ノッキング制御量AKCを通じて抑制する際に、同ノッキング制御量AKCの取り得る値の領域の下限(遅角側の最大値)を定める値である。そして、ステップ250において、ノッキング制御量AKCが所定値α以下であると判断されると、ステップ255において、学習値AGKが所定値d(「d」は正)だけ低減される。
【0066】
一方、ステップ250において、ノッキング制御量AKCが所定値αを上回っていると判断されると、ステップ260において、ノッキング制御量AKCが所定値βを上回っているか否かを判断する。この所定値βは、当該ノッキングの抑制制御において、非定常的なノッキングの発生を、換言すれば内燃機関10に生じる振動の変動を、ノッキング制御量AKCを通じて抑制する際に、同ノッキング制御量AKCの取り得る値の領域の上限(進角側の最大値)を定める値である。そして、ステップ260において、ノッキング制御量AKCが所定値βを上回っていると判断されると、ステップ265において、学習値AGKが所定値c(「c」は正)だけ増大される。
【0067】
これらステップ245〜265の処理によって、内燃機関10の経時変化や燃料性状の差(オクタン価の差等)を反映した学習値AGKを算出することができる。更に、同ステップ245〜265の処理によって、ノッキング制御量AKCを、内燃機関10に生じる振動の変動(変動するノッキング)に追従してこれを逐次抑制する遅角量に設定することができる。
【0068】
一方、上記ステップ205においてノッキング制御領域にないと判断されたときや、ステップ235において学習領域にないと判断されたとき、ステップ240において計時カウンタC2が所定値T2以下であると判断されたときには、ステップ270に移行する。そしてこのステップ270では、ノッキング制御量AKCを初期化する。
【0069】
そして、ステップ270、255、265の処理を行った後、又はステップ260にてノッキング制御量AKCが所定値β以下であると判断されたときには、ステップ280において、上述したノッキング遅角量AKBを算出し、この一連の処理を一旦終了する。
【0070】
上述したように、本実施形態においては、内燃機関10をハイオク仕様としている。しかし、ユーザによっては、ガソリン燃料としてレギュラガソリンを用いることがある。そこで、本実施形態では、内燃機関10に用いられるガソリン燃料がハイオクガソリンであるか、レギュラガソリンであるかを上記学習値AGKによって識別する。
【0071】
すなわち、ガソリン燃料のオクタン価が大きいほどノッキングの生じる圧縮比が大きくなることから、同一の圧縮比の下では、ノッキングが生じる点火時期は、レギュラガソリンを使用した場合の方が相対的に遅角側になる。したがって、図5に示したようなノッキングを抑制する制御を行うと、レギュラガソリンを使用した場合には、ハイオクガソリンを使用した場合と比較してノッキング遅角量AKBは小さくなる(より遅角側の値となる)。このため、レギュラガソリンを使用した場合には、ハイオクガソリンを使用した場合と比較して学習値AGKは小さくなる。したがって、学習値AGKに基づいて、仕様されているガソリン燃料がハイオクガソリンであるか、レギュラガソリンであるかを識別することができる。
【0072】
ここで、こうした学習値AGKを用いてガソリン燃料を識別するための詳細な処理手順について図7のフローチャートを参照して説明する。尚、このフローチャートに示される一連の処理は、上記電子制御装置20内の中央処理装置21にて所定の周期で繰り返し実行される。
【0073】
この一連の処理においては、先ずステップ300において、上記学習値AGKが所定値σよりも大きいか否かを判断する。ここで所定値σは、ハイオクガソリン及びレギュラガソリンをそれぞれ用いて先の図5に示した処理を行ったときに取得される学習値AGKに互いに差があることを考慮して設定されるものである。
【0074】
そして、ステップ300において、上記学習値AGKが所定値σよりも大きいと判断されると、ステップ210において、この判断がこの一連の処理がn周期繰り返される間継続されたか否かを判断する。そして、ステップ310においてこの判断がn回(この一連の処理がn周期繰り返される間)継続されたと判断されると、ステップ320においてハイオクガソリンであると判定する。
【0075】
一方、ステップ300において、上記学習値AGKが所定値σ以下であると判断されると、ステップ330において、この判断がこの一連の処理がn周期繰り返される間継続されたか否かを判断する。そして、ステップ330においてこの判断がこの一連の処理がn周期繰り返される間継続されたと判断されると、ステップ340においてレギュラガソリンであると判定する。
【0076】
こうして、ステップ320においてハイオクガソリンであると判断されたとき、又はステップ340においてレギュラガソリンであると判断されたときには、ステップ350において、この判定結果を先の図1に示した不揮発性メモリ23に格納し、この処理を一旦終了する。このように、判定結果を不揮発性メモリ23に格納することで、イグニッションスイッチがオフとされてバッテリ24から電子制御装置20への通電制御が停止されたときであっても、この判定結果を維持することができる。
【0077】
なお、ステップ310やステップ330において、n回(この一連の処理がn周期繰り返される間)同一の判断が継続されていないを判断されると、この一連の処理を一旦終了する。すなわち、この場合、先の図4に示した一連の処理周期によって更新され得る学習値AGKによっては、仕様されているガソリン燃料がハイオクガソリンであるかレギュラガソリンであるかを判断することができないとして、この処理を一旦終了する。ちなみに、この所定数「n」は、ノッキングの突発的な増大等を考慮し、仕様されているガソリン燃料がハイオクガソリンであるかレギュラガソリンであるかを十分正確に判断することのできる数に設定しておく。
【0078】
次に、こうしたガソリン燃料の識別に基づく、本実施形態の内燃機関10の均質燃焼時の制御にかかる詳細な処理手順について図8のフローチャートを参照して説明する。尚、このフローチャートに示される一連の処理は、上記電子制御装置20内の中央処理装置21にて所定の周期で繰り返し実行される。
【0079】
この一連の処理においては、先ずステップ400において、均質燃焼運転時であるか否かを判断し、均質燃焼運転時であると判断されるとステップ410に移行する。そして、このステップ410では、先の図7に示した処理に基づき上記不揮発性メモリ23に格納された燃料性状についての判定値から、現在使用されているガソリン燃料がレギュラガソリンであるか否かを判断する。そして、レギュラガソリンであると判断されると、ステップ420に移行する。
【0080】
このステップ420では、先の図1に示したスロットルセンサ31の検出値に基づき内燃機関10の負荷の増加時であるか否かを判断する。ここでは、例えばスロットルセンサ31によって検出されるスロットルバルブ17の開度の増加量が所定値以上となることを判断するようにすればよい。
【0081】
そして、ステップ430において、増加率が所定値以上であると判断されると、ステップ440に移行する。このステップ440では、内燃機関10の運転状態から要求される各燃焼行程における燃料噴射量の燃料を吸気行程に1回、圧縮行程に1回の合計2回に分割して噴射するモードへの切り替えを行う。すなわち、これ以前には均質燃焼運転に対応して吸気行程噴射のモードとなっていたところを、上記モードに切り替える制御を行う。これは、レギュラガソリンを用いた場合に、当該機関の負荷の増加時に生じやすくなるプレイグニッションを回避するためである。
【0082】
すなわち、当該機関の負荷の増加時には、気筒#1,#2,…に吸入される空気量が増大するために、実圧縮比が増大する。そして、上述したように、内燃機関10がハイオク仕様であるために、特に負荷の増加時にはレギュラガソリンにとって過剰な圧縮比へと急激に変化することとなる。そして、このようにレギュラガソリンにとって過剰な圧縮比にて内燃機関10が運転されると、プレイグニッションが生じやすくなる。
【0083】
この点、吸気行程と圧縮行程とで分割して噴射を行うことで、点火プラグ15周りの空燃比を部分的にリッチにすることができる。そしてこれにより、同点火プラグ15周りの燃料の気化潜熱が大きくなるために、点火プラグ15周りの温度上昇を抑制することができ、レギュラガソリンにおいてもプレイグニッションの発生を好適に抑制することができるようになる。
【0084】
なお、上記2回に分割して噴射するモードへの変更を決定する負荷の増加率は、先の図5に示したノッキング抑制のための点火時期の遅角制御等では、プレイグニッションの回避を行うに十分でないほど大きな増加率に設定することが望ましい。
【0085】
更に、ステップ450において、先の図4に示した処理に基づき、加速ショックを抑制するための点火時期の遅角要求があるか否かを判断する。そして、遅角要求があると判断されると、ステップ460に移行する。このステップ460では、先の図4のステップ130において求めた要求遅角量Dを吸気行程における燃料噴射量の減量量に変換する。これは、図9に示す要求遅角量Dと燃料噴射量の減量量との関係を示すマップを用いて行う。同図9に示すように、要求遅角量Dが大きいほど燃料減量量も大きく設定されている。これは、点火時期を遅角させることによる内燃機関10の出力トルクの減少は、燃料噴射量の減量による出力トルクの減少に対応させることができることに基づいている。
【0086】
このように、要求遅角量Dを吸気行程において噴射される燃料の減量量に変換することで、点火時期については、圧縮行程に燃料噴射を行って点火プラグ15周りの空燃比をリッチとすることのできる時期に設定することができる。
【0087】
一方、ステップ410においてハイオクガソリンであると判断されたときや、ステップ430において負荷の増加時でないと判断されたときには、ステップ470において吸気行程噴射を行う。そして、この吸気行程噴射制御時において、先の図4に示す処理によってトルク変動を抑制するための点火時期の遅角要求があると判断されたときには、同図4のステップ130において求めた要求遅角量Dに基づき点火時期を遅角させる。
【0088】
なお、上記ステップ450において遅角要求がないと判断されたときや、ステップ460の処理が終了されたとき、更にはステップ470の処理が終了されたときには、この図8に示す一連の処理を一旦終了する。
【0089】
次に、上記ガソリン燃料の識別に基づく、本実施形態の内燃機関10の始動時の制御にかかる詳細な処理手順について図10のフローチャートを参照して説明する。尚、このフローチャートに示される一連の処理は、上記電子制御装置20内の中央処理装置21にて所定の周期で繰り返し実行される。
【0090】
この一連の処理においては、ステップ500において、内燃機関10の始動時であるか否かが判断される。ここで始動時とは、例えば図示しないスタータによって内燃機関10のクランキングが開始されてから、同内燃機関10の自立運転が可能となるまでの期間とする。なお、同内燃機関10の自立運転が可能となる時期とは、例えば上記回転速度センサ32によって検出される内燃機関10の出力軸の回転速度が所定の回転速度に達する時期とする。
【0091】
そして、ステップ500において内燃機関10の始動時であると判断されると、ステップ510において、先の図7に示した処理に基づき上記不揮発性メモリ23に格納された燃料性状についての判定値から、現在使用されているガソリン燃料がレギュラガソリンであるか否かを判断する。そして、レギュラガソリンであると判断されると、ステップ520に移行する。
【0092】
このステップ520では、先の図1に示した燃料噴射弁13を通じて圧縮行程噴射を行う。これに対し、ステップ510においてハイオクガソリンであると判断されたときには、上記燃料噴射弁13を通じて吸気行程噴射を行う。このように、ガソリン燃料がレギュラガソリンであるかハイオクガソリンであるかに応じて始動時の燃料噴射の制御態様を変更するのは、以下の理由による。
【0093】
機関始動時にあっては、気筒内における燃料の霧化が促進され難いことから、噴射される燃料が上記点火プラグ15に液状のまま多量に付着するくすぶりが生じやすい。そしてこのくすぶりは、点火の不調や失火を招く一因となる。また、このくすぶりは、吸気行程よりも圧縮行程において燃料を噴射した場合に特に生じやすい。
【0094】
一方、上述したように内燃機関10がハイオク仕様であることから、レギュラガソリンを用いて始動時の燃料噴射制御として吸気行程噴射を適用すると、圧縮比が過剰となり、プレイグニッションが生じやすいものとなる。
【0095】
この点、レギュラガソリンが使用されているときには、ステップ520に示すように、噴射制御を圧縮行程で行うことで、同プレイグニッションの回避を図る。また、プレイグニッションの生じにくいハイオクガソリンが使用されているときには、その噴射制御を吸気行程で行うことで、くすぶりを回避し始動性の向上を図る。
【0096】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)内燃機関10の負荷の増加時に、吸気行程と圧縮行程とで分割して噴射を行うことで、点火プラグ15周りの空燃比を部分的にリッチにすることができる。そしてこれにより、点火プラグ15周りの燃料の気化潜熱が大きくなるために、点火プラグ15周りの温度上昇を抑制することができ、レギュラガソリンにおいてもプレイグニッションの発生を好適に抑制することができるようになる。
【0097】
(2)トルク変動の度合いに応じて算出される要求遅角量Dに応じて、燃料を減量制御することで、トルク変動を好適に抑制することができる。しかも、要求遅角量Dを吸気行程において噴射される燃料の減量量に変換することで、点火時期については、圧縮行程に燃料噴射を行って点火プラグ周りの空燃比をリッチとすることのできる時期に設定することができる。
【0098】
(3)レギュラガソリンが使用されているときには、始動時の噴射制御を圧縮行程で行うことで、同プレイグニッションを回避することができるようになる。
(4)プレイグニッションの生じにくいハイオクガソリンが使用されているときには、始動時の噴射制御を吸気行程で行うことで、くすぶりを回避し始動性を向上させることができる。
【0099】
(5)ノッキングを抑制する制御にかかる学習値AGKを用いることで、ガソリン燃料がハイオクガソリンであるかレギュラガソリンであるかを簡易に識別することができる。
【0100】
(6)内燃機関10をハイオク仕様とすることで、レギュラガソリンに適した機関構造とされた場合と比較して、各気筒#1、#2、…の燃焼室11の最小容積に対する最大容積の比である圧縮比を大きくすることができる。
【0101】
なお、本実施形態は以下のように変更して実施してもよい。
・吸入空気量の算出は、回転速度NEと吸気圧PMとに基づくものに限らず、例えばエアフローメータを用いて直接吸入空気量を検出するようにしてもよい。
【0102】
・トルク変動を抑制するために点火時期の遅角量を算出する点火時期遅角量算出手段については、図4に例示したように吸入空気量の変化率に基づいてトルク変動を予測検出するものに限らない。例えばスロットルバルブ17の開弁量の変化率等、適宜のパラメータから把握される負荷の増加率に基づいてトルク変動を予測検出するものであってもよい。
【0103】
・ノッキングを抑制すべく点火時期を遅角制御するノッキング制御手段としては、先の図5に例示した処理を行うものに限らない。例えばステップ215において、ノッキング制御量AKCを所定値だけ低減(遅角側に増大)させる代わりに、ノックセンサ34によって検出されるノッキング強度に応じて低減量を可変設定してもよい。
【0104】
・ノッキング制御手段による点火時期の遅角制御量に基づいてハイオクガソリンであるかレギュラガソリンであるかを識別する手段としては、図7に例示したように学習値AGKに基づいてこの識別を行うものに限らない。例えば、ノッキング遅角量AKBの時間平均に基づいて識別するものであってもよい。
【0105】
・更に、レギュラガソリンであるかハイオクガソリンであるかを識別する手段に限らず、ノッキング制御手段による点火時期の遅角制御量に基づいてオクタン価を検出するオクタン価検出手段であればよい。この場合、ガソリン燃料のオクタン価が小さいほどプレイグニッションが生じやすいという性質に基づいて負荷の増加時や始動時の燃料噴射制御を行うことができる。
【0106】
・吸気行程及び圧縮行程に分割して燃料を噴射する負荷の増加時に所定値以上のトルク変動が生じると判断されたときに、吸気行程において噴射される燃料を減量する手段としては、先の図8に例示したものに限らない。
【0107】
・吸気行程と圧縮行程とで分割して燃料を噴射する負荷の増加時に所定値以上のトルク変動が生じると判断されたときに、吸気行程において噴射される燃料を減量する手段を備えなくても、吸気行程と圧縮行程とで分割して燃料を噴射することでプレイグニッションを抑制することはできる。
【0108】
・ガソリン燃料のオクタン価が所定値以下であって、且つ当該機関の負荷の増加時に一回の燃焼行程において要求される燃料量のガソリン燃料を吸気行程と圧縮行程とで分割して噴射する手段は、先の図8に例示した処理を行うものに限らない。
【0109】
・ハイオク仕様の内燃機関10でなくても、ガソリン燃料のオクタン価が所定値以下であって、且つ当該機関の負荷の増加時に一回の燃焼行程において要求される燃料量を吸気行程と圧縮行程とで分割して噴射する手段を用いることで、プレイグニッションを好適に抑制することができる。
【0110】
・ガソリン燃料のオクタン価に基づいてガソリン燃料の噴射制御態様を切り替える切替手段としては、先の図10に示した制御を行う手段に限らない。
・先の図2に示したように成層燃焼を行わなくても、換言すれば、燃焼形態として均質燃焼のみを有する内燃機関に本発明の制御装置を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる筒内噴射式内燃機関の制御装置の一実施形態の構成を示す図。
【図2】燃焼室の最小容積に対する最大容積の比として定義される圧縮比を模式的に示す断面図。
【図3】本実施形態において、回転速度及び機関負荷と燃焼形態との関係を示す図。
【図4】同実施形態におけるトルク変動を抑制する処理の手順を示すフローチャート。
【図5】同実施形態におけるノッキングを抑制する処理の手順を示すフローチャート。
【図6】上記ノッキングを抑制する処理における各パラメータの関係を示す図。
【図7】同実施形態におけるガソリン燃料性状の識別をする処理の手順を示すフローチャート。
【図8】同実施形態における負荷の増加時のプレイグニッションを抑制するための処理の手順を示すフローチャート。
【図9】同実施形態におけるトルク変動を抑制するための処理において、要求遅角量を燃料噴射量の減量量に変換するためのマップを示す図。
【図10】同実施形態における始動時のプレイグニッションを抑制するための処理の手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
10…内燃機関、11…燃焼室、12…ピストン、13…燃料噴射弁、14…吸気通路、15…点火プラグ、16…排気通路、17…スロットルバルブ、20…電子制御装置、21…中央処理装置、22…揮発性メモリ、23…不揮発性メモリ、24…バッテリ。

Claims (6)

  1. 燃料噴射弁から燃焼室内にガソリン燃料を直接噴射供給する筒内噴射式内燃機関にあってその運転状態を制御する筒内噴射式内燃機関の制御装置において、
    前記ガソリン燃料のオクタン価を検出するオクタン価検出手段と、
    該オクタン価検出手段によって前記ガソリン燃料のオクタン価が所定値以下であることが検出されて、且つ、当該機関の負荷の増加率が所定値以上であると判断されるとき、前記ガソリン燃料の一回の燃焼行程において要求される燃料量を吸気行程と圧縮行程とで分割して噴射し、同オクタン価検出手段によって前記ガソリン燃料のオクタン価が前記所定値を上回ることが検出されるとき、又は、当該機関の負荷の増加率が前記所定値を下回ると判断されるとき、前記ガソリン燃料の噴射を吸気行程で行う手段とを備える
    ことを特徴とする筒内噴射式内燃機関の制御装置。
  2. 請求項1記載の筒内噴射式内燃機関の制御装置において、
    前記吸気行程と圧縮行程とで分割して前記ガソリン燃料の噴射が行われるとき、当該機関の負荷の増加率によって同機関に所定値以上のトルク変動が生じると判断されることを条件に、前記吸気行程において噴射される燃料を減量する手段を更に備える
    ことを特徴とする筒内噴射式内燃機関の制御装置。
  3. 請求項1記載の筒内噴射式内燃機関の制御装置において、
    当該機関に生じるトルク変動をその負荷の増加率に基づいて予測するとともに、該予測されるトルク変動に応じて点火時期の遅角量を算出する点火時期遅角量算出手段と、
    前記吸気行程と圧縮行程とで分割して前記ガソリン燃料の噴射が行われるとき、前記点火時期遅角量算出手段によって算出される点火時期の遅角量を前記吸気行程において噴射される燃料の減量量に変換して同吸気行程での燃料噴射量を制御する手段とを更に備える
    ことを特徴とする筒内噴射式内燃機関の制御装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の筒内噴射式内燃機関の制御装置において、
    当該機関の始動時、前記オクタン価検出手段によって前記ガソリン燃料のオクタン価が所定値以下であることが検出されるとき、前記ガソリン燃料の噴射を圧縮行程で行い、同オクタン価検出手段によって前記ガソリン燃料のオクタン価が前記所定値を上回ることが検出されるとき、前記ガソリン燃料の噴射を吸気行程で行う手段を更に備える
    ことを特徴とする筒内噴射式内燃機関の制御装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の筒内噴射式内燃機関の制御装置において、
    当該機関に生じるノッキングを抑制すべく点火時期を遅角制御するノッキング制御手段を更に備え、
    前記オクタン価検出手段は、前記ノッキング制御手段による点火時期の遅角制御量に基づいて前記ガソリン燃料のオクタン価を検出するものである
    ことを特徴とする筒内噴射式内燃機関の制御装置。
  6. 前記内燃機関は、ハイオクガソリンを燃料として用いるに適した圧縮比が維持される機関構造を有してなる
    請求項1〜5のいずれかに記載の筒内噴射式内燃機関の制御装置。
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