JP4134451B2 - 復水濾過器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発電所の復水を濾過処理するための復水濾過器に係り、特に、復水濾過器の設置高さ及び設置面積の低減、設備費の軽減、濾過エレメントのメンテナンス作業の効率化が可能な復水濾過器に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、発電所では、水がエネルギー媒体として使用されており、使用後の水は回収再利用されているが、発電タービンから排出された水(復水)は、タービンなどの発電機器から水中に移行した酸化鉄などの懸濁物(主に腐食生成物)や溶解性物質(イオン類)を含有しているため、その回収再利用に当っては、ボイラやタービンなどの発電機器に悪影響を及ぼさないように、これらの懸濁物や溶解イオン類を除去する必要がある。
【0003】
従来、一般に、復水中の懸濁物の除去には復水濾過器が使用され、溶解イオン類の除去にはイオン交換装置(復水脱塩装置)が使用されている。
【0004】
これらのうち、復水濾過器としては、内部に鉄球などの濾材を充填し、外部より磁界を与えて発生する磁力によって復水中の鉄酸化物を除去する電子フィルターや、濾過エレメントと称されるキャンドル状の濾過体により濾過するカートリッジ式濾過器、或いはこのキャンドル状濾過体の表面にセルロース繊維などのプリコート材をプリコートして濾過するプリコート濾過器、更には糸状の膜体を集合成形してカートリッジ形状とした濾過エレメントで濾過する中空糸膜式濾過器が採用されている。
【0005】
図2(a)〜(c)は従来の復水濾過器の構成を示す概略断面図であり、同一機能を奏する部材には同一符号を付してある。図2(a)はカートリッジ濾過器を示し、図中、1は濾過塔であり、頂部及び底部が各々鏡板1A,1Bで構成され、上部鏡板1Aの中央には、処理水(濾過水)の流出口2が設けられ、また、下部鏡板1Bの中央には被処理水(復水)の流入口3が設けられている。なお、この復水流入口3に対面するように、塔内にバッフルプレート4が設けられている。管状のカートリッジエレメント5Aはエレメント取付管板6に取り付けられ、濾過塔1内に鉛直方向に設置されている。この濾過塔1においては、エレメントの取り付けや保守点検のために塔を分解可能な構造とすることが必要とされ、このため、エレメント取付管板6は上下のフランジ7A,7Bで挟み込んで支持する構造とされている。この濾過器では、塔下部の流入口3から流入した復水がカートリッジエレメント5Aで濾過され、濾過水(処理水)が塔上部の流出口2から取り出される。
【0006】
図2(b)は、エレメントとしてプリコート濾過エレメント5Bを用いたプリコート濾過器を示し、復水流入口3と処理水流出口2が、それぞれ鏡板1B,1Aの側部に設けられ、復水流入口3が塔内の下部に設けられた復水散水板8に連絡する点が図2(a)に示すカートリッジ濾過器と異なり、その他は同様の構成とされている。
【0007】
図2(c)は、エレメントとして中空糸膜エレメント5Cを用いた中空糸膜濾過器を示し、エア洗浄用のエア導入口9が設けられている点のみが、図2(a)の濾過器と異なり、その他は同様の構成とされている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、発電所の復水はその発生量が非常に多く、一般に1000〜8000t/hrもの復水を処理する必要があることから、非常に大型の復水濾過器が必要とされる。
【0009】
従来の各形式の濾過器の内、電磁濾過器はその処理流速が500m/hr程度と非常に高流速処理が可能であり、濾過器は比較的小型であるが、その除去機構が磁力によるものであるため、処理水質がやや悪いことから、実際に採用されているケースは少ない。
【0010】
一方、通常採用されるプリコート濾過器では濾過流速が5m/hr程度であり、大きな濾過面積を必要とする。また、カートリッジ濾過器では濾過流速が1m/hr程度と更に低いため、濾過エレメントの構造をプリーツ形状として濾過面積を増加する工夫をしている。中空糸膜濾過器では濾過流速はさらに低く0.3m/hr程度であるが、中空糸膜は、細い糸状の濾過体であるため、濾過面積は比較的大きい。この結果、これらの3種類の形式の濾過器の大きさはほぼ同等であるが、いずれも大きな設備面積と高い濾過塔高が必要であり、例えば、濾過能力1000t/hrの濾過器の場合、塔径2.5mφ、塔高4mの塔槽が用いられている。
【0011】
しかも、このような濾過器の塔槽内部の点検作業を実施するためには、上部フランジ側を取り去り、濾過エレメントが取り付けられている管板を塔の上方へ引き抜く必要がある。この作業を実施するためには、例えば、長さ1m程度のエレメントを取り付けた濾過塔であれば、濾過塔の上部の空間として2.5m程度が必要であり、一方で、この濾過器は一般に発電所屋内に設置されることから、実際の作業ではクレーンによる吊り上げのために、濾過器の設置される上階の床は取り外しできる構造とする必要があった。従って、濾過器の設置場所として高さ、面積共に非常に大きなスペースを必要とし、また、床を取り外し可能な設計とするために建築費が高くつく上に、塔槽内部の点検のために、クレーンの準備、上部鏡板の取り外し、上階の床の取り外し等、作業に多大な手間と時間を要し、作業効率も悪かった。また、濾過器を分解可能なフランジ構造とすることは、塔槽のコストアップも招いている。
【0012】
本発明は上記従来の問題点を解決し、従来に比べて設置高さ及び設置面積を大幅に低減することができ、しかも装置設備コストも軽減することができると共に、濾過エレメントのメンテナンス作業も容易かつ効率的に行うことができる復水濾過器を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の復水濾過器は、濾過器槽体と、該槽体中央部に位置する被処理水流入部と、該槽体両端に位置する処理水流出部と、該槽体内部両端側に設けられた複数の濾過エレメントとを備えた復水濾過器であって、該槽体中央部は濾過エレメントの着脱及びメンテナンス作業領域を兼ねていることを特徴とする。
【0014】
本発明の復水濾過器では、槽体の両端側に設けられた濾過エレメントを、槽体中央部の濾過エレメントの着脱及びメンテナンス作業領域側へ移動させて、槽体内で交換やメンテナンス作業を行えるため、従来の復水濾過器のように、濾過エレメントを上方へ引き出すための空間や床構造を必要とせず、交換、点検等のメンテナンス作業も短時間で容易に行える。また、復水の流入部と濾過エレメントの着脱及びメンテナンス作業領域を、槽体の両端側に設けられた復水濾過器2台分に相当する濾過エレメント群で共有することで、復水濾過器の設置面積も小さくすることができる上に、配管系統、その他の周辺機器の省略も可能となり、設備コストの低減を図ることができる。更に、濾過エレメントを槽体の外部へ取り出す必要がないため、従来の復水濾過器のような高価なフランジ構造が不要であり、濾過エレメントを取り付けた管板を溶接により直接槽体に取り付けることができ、装置コストを大幅に低減することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0016】
図1は本発明の実施の形態を示す模式的な断面図である。
【0017】
本実施の形態の復水濾過器では、略円筒状のケーシング(槽体)10が、水平横長に設置されている。ケーシング10の中央部には被処理水(復水)の導入口11と1個又は複数個のマンホール12とが設けられている。このマンホール12には蓋がボルト等によって着脱可能に装着されている。ケーシング10の両端には処理水(濾過水)の取出口13A,13Bが設けられている。この取出口13A,13B近傍にケーシング10内を上下に延在する管板14A,14Bが配置されている。
【0018】
この実施の形態にあっては、管板14A,14Bはケーシング10の内面に溶接により水密的に固着されているが、前記従来例のようにケーシングを複数の分割体で構成し、管板の周縁部をケーシング分割体のフランジによって挟持するようにしても良い。ただし、図示の如く、溶接により固着した場合には、高価なフランジ構造が不要となり、装置コストを低減できる。
【0019】
この管板14A,14Bには、濾過エレメント15の差込孔14aが多数設けられている。濾過エレメント15は、略筒状であり、一端側15Aが封じられ、他端側には処理水の取出ポート16が設けられている。この取出ポート16は筒状であり、外周面にOリングが装着されている。この取出ポート16を管板14A,14Bの差込孔14aに差込み、Oリングを差込孔14aの内周面に水密的に押し付けることにより、濾過エレメント15が管板14A,14Bに取り付けられる。なお、濾過エレメント15の前記一端側15Aには把手(図示略)が設けられており、この把手を掴んで引くことにより濾過エレメント15の取出ポート16を差込孔14aから抜き出すことが可能となっている。
【0020】
このケーシング10内の中央部分は、前記マンホール12から中に入った作業員が作業しうる大きさのスペース17(濾過エレメントの着脱及びメンテナンス作業領域)が設けられている。このスペースの幅(両端の濾過エレメント15の一端側15A同士の間隔)Wは、濾過エレメントの長さの1.1〜1.2倍程度で十分である。
【0021】
なお、ケーシング10には任意の箇所に水抜き口(図示せず)が設けられている。
【0022】
このように構成された復水濾過器にあっては、導入口11から流入した被処理水(復水)は、濾過エレメント15で濾過され、エレメント15内から取出ポート16を経て両端の処理水取出口13A,13Bから取り出される。
【0023】
運転を継続することにより、濾過エレメント15の点検や交換が必要となった場合には、図示しない水抜き口からケーシング10内の水を抜き出した後、マンホール12から作業員がケーシング10内に入り、スペース17で、両端の濾過エレメント15の図示されない把手を掴んで引くことにより、濾過エレメント15を該スペース17側に抜き出し、ケーシング10内にて濾過エレメント15の点検、交換等を行える。
【0024】
なお、本発明において、濾過エレメントとしては、カートリッジフィルター、プリコート型、中空糸膜型のいずれでも良いが、中でもカートリッジフィルター、中空糸膜型が好ましい。使用する膜又はカートリッジは一般的な精密濾過膜程度の孔径であることが好ましい。
【0025】
上記実施の形態にあってはケーシングが横置きとなっているが、縦置きとしてもよい。縦置きとした場合には、より一層の設置スペースの低減を図ることができる。縦置きとした場合、ケーシング内に作業員が入るときにはケーシング内に適宜の足場板を配設すればよい。
【0026】
また、この実施の形態では、濾過エレメントは管板に取り付けられているが、各濾過エレメントの取出ポートに連絡する集水管を設け、この集水管を処理水取出口に連結する構造とすることもできる。
【0027】
なお、図示の復水濾過器において、例えば長さ1m程度の濾過エレメント15を設ける場合、両端に濾過エレメント群を設けることで、通常の復水濾過器の2台分の処理能力を有するにもかかわらず、ケーシング10の横方向の長さは3.4m程度で良く、また高さも2.8m程度で、上方にメンテナンスのための空間は全く不要であり、従来の復水濾過器に比べて大幅な小型化が可能である。
【0028】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の復水濾過器によれば、従来に比べて設置高さ及び設置面積を大幅に低減することができ、しかも装置設備コストも軽減することができる上に、濾過エレメントの交換、点検等のメンテナンスを容易かつ効率的に行うことが可能とされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の復水濾過器の実施の形態を示す模式的な断面図である。
【図2】従来の復水濾過器を示す模式的な断面図である。
【符号の説明】
1 濾過塔
1A,1B 鏡板
2 処理水流出口
3 復水流入口
5A,5B,5C エレメント
6 エレメント取付管板
7A,7B フランジ
10 ケーシング
11 導入口
12 マンホール
13A,13B 取出口
14A,14B 管板
15 濾過エレメント
16 取出ポート
17 スペース
Claims (1)
- 濾過器槽体と、該槽体中央部に位置する被処理水流入部と、該槽体両端に位置する処理水流出部と、該槽体内部両端側に設けられた複数の濾過エレメントとを備えた復水濾過器であって、
該槽体中央部は濾過エレメントの着脱及びメンテナンス作業領域を兼ねていることを特徴とする復水濾過器。
Priority Applications (1)
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JP21092399A JP4134451B2 (ja) | 1999-07-26 | 1999-07-26 | 復水濾過器 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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ID=16597323
Family Applications (1)
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JP21092399A Expired - Fee Related JP4134451B2 (ja) | 1999-07-26 | 1999-07-26 | 復水濾過器 |
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JP (1) | JP4134451B2 (ja) |
-
1999
- 1999-07-26 JP JP21092399A patent/JP4134451B2/ja not_active Expired - Fee Related
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