JPH0824825B2

JPH0824825B2 - 多段中空糸型濾過器

Info

Publication number: JPH0824825B2
Application number: JP22413987A
Authority: JP
Inventors: 高幸横山; 敏明菊地
Original assignee: 旭化成工業株式会社
Priority date: 1987-09-09
Filing date: 1987-09-09
Publication date: 1996-03-13
Anticipated expiration: 2011-03-13
Also published as: JPS6467207A

Description

【発明の詳細な説明】（産業上の利用分野）本発明は、溶液中のコロイド物質等を除去するため
の、外圧使用の懸垂型中空糸濾過器に関する。

（従来技術とその問題点）原子力発電プラントにおいては、放射線低減対策とし
て腐食生成物の抑制とその除去を行っている。例えば、
原子力発電プラントで発生する放射性廃液や一次冷却系
の復水中に存在する懸濁物を分離除去するために濾過装
置が用いられている。かかる濾過装置としては、粉末イ
オン交換樹脂をプリコートしたものが一般的に用いられ
ている。

しかしながら、粉末イオン交換樹脂を使用した濾過装
置では樹脂廃棄物が多量に発生するという欠点があっ
た。

そこで、最近、中空糸膜フィルターを用いた中空糸型
濾過器により廃液中の懸濁物を分離除去する方法が採用
されるようになってきた。原子力発電プラントでは水の
処理量が多いうえに、放射線低減のために、濾過装置の
設備面積が制限されており、一般に長尺の濾過器が使わ
れている。長尺の中空糸濾過器を外圧で使用すると、中
空糸内を流れる水の抵抗のために、濾過器の長さを長く
しても濾過水量はほとんど増加しない。かかる欠点を解
決するために、特開昭60−206405では、濾過器中空糸の
両末端部を開口すると共に、濾過器内部に集水管を挿入
し、濾過器下部には集水室を設けて、濾過器下部に取り
出された濾過水を集水室に集め、更に、集水管を通っ
て、濾過器上端に抜き出して、中空糸内の濾過抵抗を下
げる方法が提案されている。また、原子力プラントで
は、放射性の懸濁物を含んでいるため、定期的にエアー
逆流やエアースクラビングを行って、中空糸膜の外表面
に付着した懸濁物を落して系外に抜き出す必要がある。
しかし、濾過器を直列に多段に接続するとエアースクラ
ビング用の空気の導入が非常にむずかしくなる。例え
ば、特開昭60−206415では、濾過器内の集水管の回りに
空気導入用パイプを２重管で設けると共に濾過器の接続
部にスペーサーを設けているが、該スペーサーは十字状
の取水孔と取水孔と交わらないところに空気孔を設け
て、それぞれをシールしなけらばならず、濾過器が複雑
で、濾過器の組立てや検査がむずかしいという欠点があ
った。そこで、スクラビングエアーの導入が容易で、直
列多段に接続できる長尺の中空糸型濾過器の開発が望ま
れていた。本発明者は先に、特願昭62−125861を提案し
て、この点の開発を試みてきたが、今回、更に本発明を
提案するものである。

（発明の目的）本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目
的は、限られた場所に設備でき、しかも高い濾過効率を
有し、エアースクラビング性の良い長尺の多段中空糸型
濾過器を提供するにある。

（発明の構成）本発明の要旨は、下記のとおりのものである。

濾過ユニット（Ａ）を環状部材（Ｂ）を介して複数個
直列に結合してなる懸垂使用する多段中空糸型濾過器に
おいて、各濾過ユニットは、両端開口状態の中空糸（1
0）と集水管（11）を外筒（16）内に上下両端を接着剤
（４）で固定シールし、該接着剤部（４）の中空糸と集
水管を含まない部分には、空気導入用の孔（９）を設け
たものであり、各環状部材（最下端を除く）は、下段の
濾過ユニットから上段の濾過ユニットに空気を導入する
ための孔（18）を、接着剤部に設けた孔（９）と一致す
る位置に有し、更に各濾過ユニットの濾液を集めるため
の凹部（20）と、該凹部に連通し、濾液をユニット間に
流すための通路（22）を有しており、各環状部材の孔
（18）と各接着剤部の孔（９）は、接続部で空気もれの
ないようにＯ−リング（19）でシールされており、凹部
（20）、通路（22）は濾液と原液が混じらないように外
筒（16）の開口（17）とＯ−リング（23）によってシー
ルされており、最下端の環状部材は下方が密閉されその
内部に集水室（20）を形成し、外部に空気集合用のスカ
ート状凹部（６）を設置したことを特徴とする多段中空
糸型濾過器。

（実施態様及び作用）以下、本発明を図面を参照して説明するが、本発明は
この範囲に限定されるものではない。本発明の濾過器
は、第１図に示すように、濾過ユニット（Ａ）を環状部
材（Ｂ）を介して複数個直列に結合した多段型の構造を
もつ。各濾過ユニット（Ａ）は、両端が開口された多数
の中空糸（10）と集水管（11）を、外筒（16）の中に、
上下両端を接着剤（４）によって固定シールしている。

そして、この接着剤部（４）には、中空糸と集水管を
含まない部分に、接着剤部を貫通する孔（９）を設けて
空気導入用の孔としている。

濾過ユニット結合用の各環状部材（Ｂ）は第２図、第
３図に示すように、濾過ユニット（Ａ）の外筒（16）と
ネジで嵌合するようになっており、濾過ユニットの接着
剤部を貫通する孔（９）と同じ位置に貫通孔（18）があ
る。孔（９）と孔（18）は連通して接続しており、下段
濾過ユニットから上段の濾過ユニットへの空気導入孔を
形成し、接続部で空気もれのないようにＯ−リング（1
9）でシールされている。孔（９）（18）は位置が一致
していれば、濾過器内のどの位置に設けてもよいし、複
数個設けてもよいが、濾過器内の膜面積を減少させない
ことと、エアースクラビングによる中空糸の振動の均一
性を考えると、濾過器の中央に１個設けるのが好まし
い。濾過ユニット（Ａ）の中空糸（10）と集水管（11）
に対向する環状部材（Ｂ）の位置には、濾液を集合する
凹部（20）と、該凹部に連通し濾液をユニット間に流す
ための通路（22）がある。この凹部（20）と通路（22）
は、濾液と原液が混じらないように外筒（16）の開口
（17）とＯ−リング（23）でシールされている。

濾過器最下部に設ける環状部材（Ｂ）は、中間の環状
部材のように、集水室（20）を下方に開口する必要がな
いので、下方は閉止され、上方のみに開口している。

集水管（11）は集水能と濾過能を有する複数本の太糸
中空糸を中空糸束中に分散配置したタイプでも、またパ
イプを中空糸束の中心部に配置したタイプでも、いずれ
でもよく、特に限定されない。

第４図は第１図の中空糸型濾過器の使用態様を示す。
濾過器（３）は圧力容器（１）内の仕切板（２）に懸垂
されている。圧力容器には原水の導入管（12）、濾液の
取出管（13）、中空糸に付着した金属コロイドの排出口
（14）、濾過器への空気導入管（15）が設けられてい
る。通常の場合、原水は各濾過ユニットの外筒（16）に
設けた孔（17）及び空気導入孔（８）より各濾過ユニッ
ト内に入り、中空糸（10）の外側より濾過されて中空糸
内を流れる。各濾過ユニットにおいて、上端及び下端に
流れた濾液は、それぞれ各環状部材の凹部（20）に集ま
り、次いで通路（22）、集水管（11）を通って、より上
方の集水室を順次経由して最終的に仕切板（２）の上方
に送られ、最上方濾過ユニットから直接上端に流れた濾
液と一緒になって濾液の取出管（13）より系外に抜き出
される。

中空糸型濾過器の濾過差圧が一定圧力以上となると、
中空糸膜に付着した金属コロイド等を除去するために、
濾過を止めて、逆洗又はエアースクラビングが行なわれ
る。すなわち、濾液の取出管（13）に設けた空気導入管
（15）より空気を導入して圧力容器（１）内の仕切板
（２）の上部に溜った水を押し出す逆洗、あるいは、圧
力容器（１）の下方に設けた空気導入管（15）より空気
を導入するエアースクラビングを行う。空気導入管（1
5）より入った空気は、最下部の濾過ユニット（Ａ）に
設けたスカート状凸部（６）に集まり、該空気は下部環
状部材の孔（18）及び空気導入孔（８）を通って最下方
濾過ユニット（Ａ）内に入り、該濾過ユニット内の中空
糸（10）に沿って上昇しながら中空糸を振動させるエア
ースクラビングを行なう。上昇した空気は上段の環状部
材（Ｂ）の孔（18）を通って、上段の濾過ユニット内に
入り該ユニットの中空糸を次々に振動させる。導入され
た空気はこのように各ユニット内を順次経過した後最上
段の濾過ユニットの孔（17）より抜き出され、圧力容器
の上方に設けた空気抜き口（21）より系外に抜き出され
る。中空糸から脱落した金属コロイド等は直接各濾過ユ
ニットの外筒（16）の下部の孔（17）より、あるいは連
通孔（９）（18）を経て最下端の空気導入用孔（８）よ
り取り出して、圧力容器の下部に設けた排出口（14）よ
り系外に抜き出される。金属コロイドが系外に排出し易
い様に、下端部の接着面の高さは、下部の孔（17）の下
端部の高さと同一にすることが好ましい。洗浄によって
能力を回復した濾過器は再び使用される。

（発明の効果）濾過ユニットを複数個直列に接続した本発明の濾過器
は、長尺にも拘らず流動抵抗が小さいため、膜面積が有
効にいかせると共に、エアースクラビング性が良いた
め、差圧の回復性が良く、長期間安定して運転できる。

【図面の簡単な説明】

図は本発明の実施例を示すもので、第１図は、濾過器の
概略断面図。第２図および第３図は、それぞれ、環状部
材の説明図。第４図は、濾過器の使用状態を示す説明
図。Ａ……濾過ユニット、Ｂ……環状部材３……濾過器、４……接着剤６……スカート状凹部、９……孔 10……中空糸、11……集水管 16……外筒、18……孔 19.23……Ｏ−リング 20……凹部、22……通路

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】濾過ユニット（Ａ）を環状部材（Ｂ）を介
して複数個直列に結合してなる懸垂使用する多段中空糸
型濾過器において、各濾過ユニットは、両端開口状態の
中空糸（10）と集水管（11）を外筒（16）内に上下両端
を接着剤（４）で固定シールし、該接着剤部（４）の中
空糸と集水管を含まない部分には、空気導入用の孔
（９）を設けたものであり、各環状部材（最下端を除
く）は、下段の濾過ユニットから上段の濾過ユニットに
空気を導入するための孔（18）を、接着剤部に設けた孔
（９）と一致する位置に有し、更に各濾過ユニットの濾
液を集めるための凹部（20）と、該凹部に連通し、濾液
をユニット間に流すための通路（22）を有しており、各
環状部材の孔（18）と各接着剤部の孔（９）は、接続部
で空気もれのないようにＯ−リング（19）でシールされ
ており、凹部（20）、通路（22）は濾液と原液が混じら
ないように外筒（16）の開口（17）とＯ−リング（23）
によってシールされており、最下端の環状部材は下方が
密閉されその内部に集水室（20）を形成し、外部に空気
集合用のスカート状凹部（６）を設置したことを特徴と
する多段中空糸型濾過器。