JP4134203B2 - 疲労特性に優れた高清浄度ばね用鋼および高清浄度ばね - Google Patents

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Description

本発明は、疲労特性に優れた高清浄度ばね用鋼および疲労特性に優れた高清浄度ばねに関するものであり、硬質で延性の極めて小さい非金属介在物が低減されて、疲労特性の高められた高清浄度ばね用鋼、および該鋼を用いて得られる疲労特性に優れた高清浄度ばねに関するものである。
近年、例えば自動車分野では、軽量化や高出力化の要請が高まるにつれて、エンジンやサスペンション等に使用される弁ばねや懸架ばね、更にはクラッチばね等においても高応力設計が指向されている。そのためこれらのばねには、負荷応力の増大に対応すべく耐疲労性や耐へたり性に優れたものが強く望まれている。とりわけ弁ばねについて疲労強度増大の要請が非常に強く、従来鋼の中でも疲労強度が高いといわれているSWOSC−V(JIS G 3566)でも対応が困難となっている。
高い疲労強度が要求されるばね用鋼材では、鋼材中に存在する硬質の非金属介在物を極力低減することが必要である。こうした観点から、上記用途に用いられる鋼材として、上記非金属介在物の存在を極力低減した高清浄鋼が用いられるのが一般的である。非金属介在物に起因する断線、疲労折損の危険性は、素材の高強度化が進むにつれて高まることから、その主要因となる上記非金属介在物の低減・小型化の要求は一段と厳しいものとなっている。
鋼材中における硬質の非金属介在物の低減・小型化を図るという観点から、これまでにも様々な技術が提案されている。例えば特許文献1には、非金属介在物が熱間圧延時によく延伸し、かつ冷延圧延または伸線工程で破砕し微細に分散する様に、該非金属介在物の平均組成を規定することにより、冷間加工性と疲労特性の高められた高清浄度鋼を実現している。また特許文献2においても、熱間圧延や冷間圧延、伸線において延伸、微細化され易い非金属介在物の組成を規定している。
一方、特許文献3には、酸化物系介在物の融点を1500℃以下に定めて、熱間、冷延圧延時に延伸し易い低融点組成の介在物とする技術が開示されている。
更に、特許文献4には、熱間圧延・冷間圧延時に延伸し易い、低融点組成の介在物として、Al−SiO−MnO系にMgOおよび/またはCaOを含ませたものが規定されている。
特開昭62−99436号公報 特開昭62−99437号公報 特開平5−320827号公報 特開昭63−140068号公報
これまで提案されている各種従来技術では、介在物の平均組成を制御することにより良好な疲労強度を実現するものが一般的であった。ところで弁ばねには、下記(I)(II)の特性が求められている。
(I)歩行者保護のための衝突安全性確保のためにボンネット下スペースを確保する傾向があり、そのためにエンジン高さの削減、即ち、ばね高さの低減が求められている。
(II)燃費向上のため、ばねの軽量化が求められている。
しかし従来技術のみでは更なる高疲労強度化の要求に応えることができない。その理由として、これまで既に非常に高いレベルの介在物制御が行なわれており、折損介在物は極めてまれにしか存在せず、これ以上減らすことが難しいという問題がある。また、硬質結晶系の介在物が有害であるだろうということは知られているが、該硬質結晶系の介在物の中で、特に有害でないものとそうでないものの区別について知見がなかった。
本発明はこうした状況の下になされたものであって、その目的は、折損が抑制されて、疲労特性に優れたばねを得るのに有用な高清浄度鋼、および該鋼を用いて得られる疲労特性に優れた高清浄度ばねを提供することにある。
本発明に係る疲労特性に優れた高清浄度ばね用鋼とは、
C:1.2%(質量%の意味、成分について以下同じ)以下(0%を含まない)、
Si:1.2〜4%、
Mn:0.1〜2.0%、
Al:0.01%以下(0%を含まない)
を含み、残部鉄および不可避不純物からなる鋼であって、
鋼中の介在物のうち、酸素濃度が25質量%以上の酸化物系介在物は、
Al+MgO+CaO+SiO+MnO=100%(質量%の意味、介在物について以下同じ)とした場合のSiO含量が70%以上で、
L(介在物の長径)/D(介在物の短径)が4以上かつDが25μm以上である介在物、およびL/Dが4未満かつLが25μm以上である介在物の合計が個/500g以下であるところに特徴を有する。
上記高清浄度ばね用鋼は、更に他の元素として、
(a)Cr:3%以下(0%を含まない)、および
Mo:0.5%以下(0%を含まない
よりなる群から選択される1種以上、
(b)V:0.5%以下(0%を含まない)、および
Ti:0.1%以下(0%を含まない)
よりなる群から選択される1種以上
(c)Ni:0.5%以下(0%を含まない)
(d)REMを0.1〜50ppm、
(e)アルカリ金属元素0.1〜50ppm、含んでいてもよい。
また本発明は、上記ばね用鋼を用いて得られる疲労特性に優れた高清浄度ばねも含む。
本発明によれば、SiO系介在物が著しく抑えられているため、過酷な伸線加工を施して高強度化を図ることができると共に、疲労特性に優れたばねを容易に製造できる高清浄度ばね用鋼、また該鋼を用いて得られる疲労特性に優れたばねを実現できる。
本発明者らは、優れた疲労特性を発揮するばねの製造に適したばね用鋼を得るべく様々な角度から検討した。その結果、硬質結晶系の介在物(厳密には、酸素濃度が25質量%以上の酸化物系介在物)の中でも特にSiO系介在物が有害であること、具体的には、L(介在物の長径)/D(介在物の短径)が4以上かつDが25μm以上の介在物、またはL/Dが4未満かつLが25μm以上の介在物であって、SiOまたはSiOの比率が高い複合介在物が、存在密度は極めて小さいものの疲労特性を著しく低下させることから、上記介在物の個数を厳密に制御すればよいことを見出し、本発明を完成した。
具体的には、後述する実施例に示す通り抽出して得られる、
・SiO含量が70%以上(Al+MgO+CaO+SiO+MnO=100%とする、以下同じ)であって、L(介在物の長径)/D(介在物の短径)が4以上かつDが25μm以上である介在物、および
・SiO含量が70%以上(Al+MgO+CaO+SiO+MnO=100%とする、以下同じ)であって、L/Dが4未満かつLが25μm以上である介在物
(以下、抽出されたこれらの介在物を「SiO系介在物」と総称することがある)
の合計が20個/500g以下となるようにする。
図1は、上記SiO系介在物が、疲労特性(後述する実施例に記載の方法で求めた折損率)に及ぼす影響を調べたグラフであるが、この図1から、上記SiO系介在物を20個/500g以下に抑えることで、上記折損率が著しく小さくなることがわかる。好ましくは、上記SiO系介在物を12個/500g以下に抑えれば、疲労特性をより向上させることができる。
SiO系介在物が上記の通り抑制された鋼を得るには、例えば、真空誘導溶解において、次の様な真空カーボン脱酸を行い、酸素レベルを十分に低下(3ppm以下)する方法が挙げられる。即ち、炉内を真空(60Torr以下)にし、目標のC濃度となるまで少量ずつCを添加する。ジルコニア酸素センサーでフリー酸素を測定し、目標レベル以下(3ppm以下)でなければ、再度、真空(60Torr以下)とし(このとき、炉内のCO分圧が下がるため溶鋼中のCとOが反応して溶鋼中のC濃度も低下する)、目標のC濃度となるまでで少量ずつCを添加する。
本発明は、ばね用鋼として次の基本成分を満たすものである。まずCは、高強度を確保するのに有用な元素であり、該効果を十分発揮させるにはC量を0.2%以上とする。好ましくは0.3%以上、より好ましくは0.4%以上である。しかしC量が過剰になると、鋼が脆化して実用的でなくなるため、1.2%以下に抑える。
本発明では、Si:1.2%以上の鋼を対象とする。但し、Siが過剰に含まれると鋼材が脆化しやすくなるので、Siは4%以下に抑える。
介在物組成を制御するためには、脱酸成分であるMnを0.1%以上含有させる。但し、これらの成分は、過剰に含有されると、鋼材が脆化しやすくなるので、Mn量は2.0%以下に抑える。
Alは介在物制御に有用な元素であり、totalAlとして0.0001%程度は必要である。しかし、totalAl量が多くなると、介在物中のAl濃度が高くなり、断線の原因となる粗大なAlが生成する可能性があるので、0.01%以下に抑える。
本発明で規定する含有元素は上記の通りであって、残部は鉄及び不可避不純物であり、該不可避不純物として、原料、資材、製造設備等の状況によって持ち込まれる元素の混入が許容され得る。更に、下記元素を積極的に含有させて特性を一段と高めることも有効である。
〈Cr:3%以下(0%を含まない)、Mo:0.5%以下(0%を含まない)、W:0.5%以下(0%を含まない)、およびCo:0.5%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される1種以上〉
これらの元素は、軟化抵抗性を向上させるのに有効な元素であり、該効果を発揮させるには、Crの場合0.5%以上、Moの場合0.05%以上、Wの場合0.05%以上、Coの場合0.01%以上含有させることが好ましい。しかし、これらの元素が過剰であると、焼入性が高くなりすぎて加工時に折損しやすくなるため、Crは3%以下、Moは0.5%以下、Wは0.5%以下、Coは0.5%以下に抑えるのがよい。
〈V:0.5%以下(0%を含まない)、Nb:0.1%以下(0%を含まない)、およびTi:0.1%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される1種以上〉
これらの元素は、結晶粒の微細化に有効な元素であり、該効果を発揮させるには、Vの場合0.01%以上、Nbの場合0.01%以上、Tiの場合0.01%以上含有させることが好ましい。しかし、これらの元素が過剰であると、粗大な窒化物を生成し、疲労強度を低下させる。よって、Vは0.5%以下、Nbは0.1%以下、Tiは0.1%以下に抑えるのがよい。
〈Cu:0.1%以下(0%を含まない)および/またはNi:0.5%以下(0%を含まない)〉
これらの元素は、低温脆化を抑制するのに有効な元素であり、該効果を発揮させるには、Niの場合0.05%以上、Cuの場合0.01%以上含有させることが好ましい。
しかしこれらの元素を過剰に含有させてもその効果は飽和するだけであるので、経済的観点から、Niは0.5%以下、Cuは0.1%以下とすることが好ましい。
〈REM:0.1〜50ppm〉
REM(希土類元素;Ce、La等)は、鋼中の非金属介在物をより軟質化する作用を有する。該効果を発揮させるには、0.1ppm以上含有させることが好ましい。しかし上記元素を過剰に入れても効果は飽和するだけであるので、50ppm以下とすることが好ましい。
〈アルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素:合計で0.1〜50ppm〉
アルカリ金属元素(Li、Na、K、Rb、Cs)、アルカリ土類金属元素(Mg、Ca、Ba、Sr)は、鋼中の非金属介在物をより軟質化する作用を有する。該効果を発揮させるには、合計で0.1ppm以上含有させることが好ましい。しかし上記元素を過剰に入れても効果は飽和するだけであるので、合計で50ppm以下とすることが好ましい。
本発明のばね用鋼は、SiO系介在物が極力抑制されて伸線加工性に優れており、また優れた疲労特性を確保できるので、例えば自動車分野、産業機械分野等で用いられるばねの製造に有用である。特に、極めて高い疲労特性の要求される自動車用エンジンの弁ばねやクラッチばね、ブレーキばね、サスペンションの懸架ばね等のような機械の復元機構に使用するばね等の製造に最適である。
以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することはいずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
真空誘導溶解炉で約150kgの鋼とSi,Al,Mg以外の合金成分を溶解し、各種酸化物の有害度を評価するため、誘導攪拌により鋼中介在物を取り除いた(total酸素:5pp以下)。そして本実施例では、介在物の種類が疲労特性に及ぼす影響をみるべく、表1に示す通り、上記脱酸後に、合金元素やFeを添加(尚、No.6、10のみ、ウォラステナイトスラグを上置き)し、種々の介在物が存在するよう調製した。
そして溶鋼を鋳型で鋳造し、得られた鋳塊に対して鍛造・熱間圧延を施し、表1に示す成分組成の直径:8.0mmの線材を得た。
尚、一般的な方法で精錬を行うと、各種酸化物が自然に発生し、鋼中の酸化物を制御することが非常に困難であるため、狙いとする酸化物のみが存在し他の組成の介在物を完全に排除した鋼を製造することが困難となる。その結果、疲労強度に及ぼす影響を各種酸化物に区別して評価することも難しい。よって、上記の通り真空誘導炉で各々の組成の介在物のみを含む鋼を作製して、疲労特性への影響を調べることとした。
Figure 0004134203
得られた各線材について、SiO系介在物の個数の測定、および、検鏡面における粗大介在物の種類を同定すると共に、疲労特性の評価を行った。これらの測定・評価方法は下記の通りである。
〈SiO系介在物の個数の測定〉
上記線材(直径:8.0mm)の表面のスケールを除去した後、試料(25g)を20個切り出した。切り出した試料を、図2に示す要領で溶解し、介在物を抽出した。図2に示す通り、まずビーカ1に硝酸水溶液2を入れ、ヒータ4によってこの硝酸水溶液を加熱(50℃以上)し[図2(a)]、加熱された硝酸水溶液に試料3を投入した。試料3は硝酸水溶液2によって溶解され、試料3中に存在する酸化物系介在物が溶出される[図2(b)]。溶解・溶出が完了した硝酸水溶液2は冷却後、濾過され(メンブランフィルタ5、フィルタ台6および漏斗7)、硝酸水溶液3をフラスコ8に貯留してメンブランフィルタ5上に残渣として酸化物系介在物を抽出した[図2(c)]。尚、上記溶解は、硝酸(HNO3):250mL(ミリリットル)に水を加えて700mLとしたものに、硫酸を10mL加えたものを容量2Lのビーカに調整し、これに25gの鋼材試料を入れて溶解した。ここで用いたビーカ、漏斗およびフィルタ台の材質はポリテトラフルオロエチレン[PTFE:テフロン(登録商標)]である。また濾過の際に用いるメンブランフィルタとしては、孔径1μmのものを用いた。
また、上記介在物の抽出時には必ずブランク調査を行い、ブランクでの抽出物がゼロであることを確認した。ブランク調査とは、試料を用いた介在物の抽出・評価を行う時に、サンプルの入っていないビーカで、試料が入っていないこと以外は上記と全く同じ作業を行い、試料以外からの抽出物がゼロであることを確認するものである。
介在物の定量は、下記に示す条件で行った。尚、該定量分析は、L(介在物の長径)/D(介在物の短径;短径は長径に対し最も広い垂直線の幅をいう)が4以上かつDが25μm以上の介在物、およびL/Dが4未満かつLが25μm以上の介在物を対象に、Al、Mn、Si、Mg、Ca、Ti、Zr、K、Na、S、Oの存在濃度を求めた。そして、酸素濃度が25%以上の酸化物系介在物について、上記各々の元素が、Al、MnO、SiO、MgO、CaO、TiO、ZrO、KO、NaO、Sの形で存在すると仮定して、上記定量により求めた各元素濃度を基に、介在物中の上記酸化物またはSの存在濃度を算出した。そして、Al+MgO+CaO+SiO+MnO=100%(質量%)とした場合のSiOの割合が70%以上のものの個数を求め、次に20個の試料の平均値を求めて、鋼材500gあたりの値(個数)に換算した。
[分析装置]
・EPMA装置:日本電子製 JXA−8621MX
・分析装置(EDS):Tracor Northern製 TN−5500
[分析条件]
・エネルギー分散分析
・電圧(加速電圧):20kV
・試験電流(加速電流):50nA(ナノアンペア)
・倍率:150倍
・介在物の分析位置:SPOT(強度が最大の場所を一点測定)
[撮影条件]
・電圧(加速電圧):20kV
・試験電流(加速電流):50nA(ナノアンペア)
・撮影倍率:介在物サイズに応じる
〈検鏡面での粗大介在物の組成の測定〉
上記各線材の直径を含むL断面を研磨し、線材のD/4部(D:直径)よりも表層側を1000mm観察し、圧延方向に対して垂直な幅が25μm以上の介在物について下記に示す条件で分析を行い、該介在物の種類とその個数を求めた。尚、表2に示すMgO−SiOは、MgO−SiOまたは2MgO−SiOに近い組成のものであり、SiO含量が40〜65%であることから、規定のSiO含量が70%以上の介在物とは区別される。
・EPMA装置:日本電子製 JXA−8621MX
・分析装置(EDS):Tracor Northern製 TN−5500
・加速電圧:20kV
・走査電流:5nA(ナノアンペア)
・測定方法:エネルギー分散分析で定量分析
[Pabric Scan(粒子全域を測定)]
〈疲労特性の評価〉
各線材(8.0mmφ)を、皮削り→パテンティング→冷間線引き加工(伸線)→オイルテンパー→歪取焼鈍相当処理→ショットピーニング→歪取焼鈍を行った後、試験片として4.0mmφ×650mmのワイヤを採取し、中村式回転曲げ試験機において、試験応力:公称応力908MPa、回転数:4000〜5000rpm、中止回数:2×10回の条件で回転曲げ試験を行ない、途中で破断した試験片のうち、介在物が原因で折損したもの(介在物に起因せずにワイヤ表面等から折損する場合があるが、この場合は対象外とする)の本数を測定し、下記式により折損率を測定した。
折損率=[介在物折損本数/(介在物折損本数+中止回数まで達成の本数)]
×100(%)
上記SiO系介在物の個数、検鏡面における粗大介在物の種類と個数、および疲労特性(折損率)を表2に示す。
Figure 0004134203
これらの結果から、次のように考察できる(尚、下記No.は、表中の実験No.を示す)。本発明で規定する通り、SiO系介在物の抑制されたNo.1〜12の鋼材は、疲労特性に優れていることがわかる。これに対し、SiO系介在物が本発明の規定範囲を超えているNo.13〜15の鋼材は、疲労特性に劣っている。
また表2より次の様なことがわかる。即ち、検鏡面での観察は披見面積が少なく、SiO系介在物の様な少数しか存在しない介在物は検出されていないのに対し、抽出法によれば、該介在物も検出できている。また、検鏡面ではSiO系介在物は検出されていないが、他の結晶系介在物は検出されていることから、SiO系介在物よりも他の結晶系介在物の方が多く存在していることがわかる。
そして折損率は、SiO系介在物以外の結晶系介在物の個数ではなく、SiO系介在物の個数と相関があり、SiO系介在物が有害であること、またこのことから、折損を抑制するには、SiO系介在物以外の結晶系介在物の有無にかかわらず、SiO系介在物について本発明で規定する通り制御する必要があることがわかる。
SiO系介在物数(個/鋼500g)が、疲労特性(実施例に記載の方法で求める折損率)に及ぼす影響を調べたグラフである。 実施例におけるSiO系介在物の抽出手順を示す説明図である。
符号の説明
1 ビーカ
2 硝酸水溶液
3 試料
4 ヒータ
5 メンブランフィルタ
6 フィルタ台
7 漏斗
8 フラスコ

Claims (7)

  1. C:1.2%(質量%の意味、成分について以下同じ)以下(0%を含まない)、
    Si:1.2〜4%、
    Mn:0.1〜2.0%、
    Al:0.01%以下(0%を含まない)
    を含み、残部鉄および不可避不純物からなる鋼であって、
    鋼中の介在物のうち、酸素濃度が25質量%以上の酸化物系介在物は、
    Al+MgO+CaO+SiO+MnO=100%(質量%の意味、介在物について以下同じ)とした場合のSiO含量が70%以上で、
    L(介在物の長径)/D(介在物の短径)が4以上かつDが25μm以上である介在物、およびL/Dが4未満かつLが25μm以上である介在物の合計が個/500g以下であることを特徴とする疲労特性に優れた高清浄度ばね用鋼。
  2. 更に他の元素として、
    Cr:3%以下(0%を含まない)、および
    Mo:0.5%以下(0%を含まない
    よりなる群から選択される1種以上を含む請求項1に記載の高清浄度ばね用鋼。
  3. 更に他の元素として、
    V :0.5%以下(0%を含まない)、および
    Ti:0.1%以下(0%を含まない)
    よりなる群から選択される1種以上を含む請求項1または2に記載の高清浄度ばね用鋼。
  4. 更に他の元素として
    Ni:0.5%以下(0%を含まない)を含む請求項1〜3のいずれかに記載の高清浄度ばね用鋼。
  5. 更に他の元素として、REMを0.1〜50ppm含む請求項1〜4のいずれかに記載の高清浄度ばね用鋼。
  6. 更に他の元素として、アルカリ金属元素0.1〜50ppm含む請求項1〜5のいずれかに記載の高清浄度ばね用鋼。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の高清浄度ばね用鋼を用いて得られる疲労特性に優れた高清浄度ばね。
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