JP4133048B2 - 圧力監視装置における異常振動検出方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス供給源から送出されるガスを整圧器を介して低圧化してガス需要者に供給し、前記整圧器の下流に配設された圧力センサで検出されたガス需要者への供給圧力を圧力監視装置で監視しているガス供給システムにおいて、整圧器の異常により供給圧力が異常振動しているの判定を正確に行なうことができる圧力監視装置における異常振動検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
都市ガスの供給方式としては、ガス供給源から中圧でガスを送出し整圧器を介して低圧に整圧して需要家に供給する方式が一般的である。
【0003】
需要家に対するガスの供給圧力は、ガスの組成、比重、発熱量および燃焼性ならびに各種ガス器具の性能などを考慮して、その供給圧力範囲が決定されている。この供給圧力範囲とは、最大圧力と最低圧力との間の圧力である供給可能なガス圧力の範囲をいう。このガスの供給圧力は、この供給圧力範囲内でできうる限り変動が少なくなるように管理される。そのため、従来は機械式の自動記録圧力計を整圧器の二次側に取り付け、通常一週間毎に記録紙を回収し、整圧器の二次側の圧力、つまり供給圧力の監視を行なっている。
【0004】
また近年、供給圧力の監視を人手によらず、リアルタイムでセンタで監視する圧力伝送システムも構築されるようになってきている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この圧力伝送システムは、整圧器の二次側に設けられた圧力センサで検出された圧力データを例えば1秒毎にサンプリングし、端末器としての圧力監視装置からセンサに圧力データを送信して圧力監視を行なうシステムである。
【0006】
しかし、端末器からセンタに対して圧力センサで検出された圧力データのサンプリンク゛値をすべてセンタに送信すると、そのデータ量が膨大なものとなってしまう。
【0007】
このため、前記1秒より長い一定時間(例えば、3分間)で蓄積された圧力データの平均値や圧力データの最大値、最小値を任意に設定された時刻にセンタに一括して送信している。ただし、供給圧力範囲を考慮し、圧力データの上限値あるいは下限値のしきい値を決定しておき、このしきい値を超える圧力データが検出された場合に、整圧器の故障と判断しその前1分間あるいはその後3分間にサンプリングされた前述した1秒間隔の圧力データ(以下、詳細データという)をセンタに送信するようにしている。
【0008】
このようにすることにより、整圧器の故障等の異常が発生すると直ちに、その異常を検出することができ、またその異常が発生した場合に詳細データをセンタに送信することができる。そして、センタでは、その詳細データを整圧器の故障の判断材料としている。
【0009】
図6は整圧器の異常に起因して供給圧力が異常振動している圧力波形、図7は需要家として頻繁にボイラー等の大きな消費機器を作動、停止を繰り返し使用するものである場合に起こる一時的な圧力変動波形を示す。つまり、図6の場合を異常と判定し、図7の場合を異常と判定しない異常判定方法が望まれる。
【0010】
しかし、前述したように圧力データが上限値Psetを超えた場合には、整圧器の異常に起因して供給圧力が異常振動していると判断するようにした場合には、図6及び図7のいずれの圧力波形も上限値Psetを超える場合があるため、整圧器において異常が発生していると判定されてしまう。このような異常が検出されると、前述した詳細データをセンタに頻繁に送信し続けることになる。このことにより、端末器からセンタへの通信量が膨大なものとなってしまい、他の端末器とセンタ間のデータ通信に支障をきたすという問題がある。
【0011】
本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、その目的は、整圧器に起因する供給圧力の異常振動を正確に判定することができる圧力監視装置における異常振動検出方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、ガス供給源から送出されるガスを整圧器を介して低圧化してガス需要者に供給し、前記整圧器の下流に配設された圧力センサで検出された前記ガス需要者への供給圧力を圧力監視装置で監視しているガス供給システムにおいて、前記圧力監視装置は、前記圧力センサで検出された圧力信号を所定時間毎にA/D変換した値をPiとし、一つ前に前記圧力センサで検出された圧力信号をA/D変換した値をPi-1とした場合に、前記圧力センサで検出された圧力信号をA/D変換した回数が設定回数となった際に、Σ|Pi−Pi-1|が基準値より大きい場合には前記供給圧力が前記整圧器の異常により前記供給圧力が異常振動していると判定することを特徴とする。
【0013】
請求項2記載の発明は、ガス供給源から送出されるガスを整圧器を介して低圧化してガス需要者に供給し、前記整圧器の下流に配設された圧力センサで検出された前記ガス需要者への供給圧力を圧力監視装置で監視しているガス供給システムにおいて、前記圧力監視装置は、前記圧力センサで検出された圧力信号をA/D変換した回数が設定回数となった際に、前記圧力センサで検出された圧力信号を所定時間毎にA/D変換した値Piのとがりを計算し、このとがりが基準値より大きい場合には前記供給圧力が前記整圧器の異常により前記供給圧力が異常振動していると判定することを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。図1はガス管内の供給圧力をリアルタイムで監視する圧力伝送システムの概略構成図である。
【0015】
図1において、都市ガス供給源とガス需要家との間にはガス管11が配設されている。そして、このガス管11には整圧器12が設けられている。この整圧器12は都市ガス供給源から送り出される中圧ガスを低圧ガスに整圧してガス需要家に供給している。この整圧器12の上流側のガス圧を整圧器12の一次側圧力、下流の圧力を整圧器12の二次側圧力(供給圧力)という。整圧器12は二次側圧力が設定圧力となるように内蔵された弁の開度を自動的に開閉する機械的機構を備えている。
【0016】
整圧器12の直下流のガス管11には、整圧器12の二次側圧力を検出するための圧力センサ13が配設されている。この圧力センサ13はガス管11内の二次側圧力を検出し、その二次側圧力に比例したアナログ電圧信号であるガス圧信号Pを出力する。このガス圧信号Pは端末器としての圧力監視装置14に出力される。この圧力監視装置14はガス圧信号Pを所定時間(例えば、1秒間)毎にデジタルのガス圧信号Piに変換するA/D変換器15、このA/D変換器15から出力されるガス圧信号Piを入力し、図2のフローチャートあるいは図3のフローチャートに示す処理を行なう制御部16、通信I/F(インタフェース)17を備えている。制御部16は各種演算を行なうCPU(中央処理装置)、ROM(リード・オンリ・メモリ)、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)、カウンタN等からなる。
【0017】
通信I/F17は通信ライン20を介してホストコンピュータが設置されているセンタ21に接続される。
【0018】
ところで、センタ21は通信ライン20a、20b、…を介して他の圧力監視装置(図示しない)と接続され、これら通信ライン20a、20b、…を介して各種データの送受が行なわれている。
【0019】
次に、上記のように構成された本発明の一実施の形態の動作について図2のフローチャートを参照しながら説明する。まず、RAMに記憶されるガス圧信号Piを記憶している領域がOクリアされ、i=0されると共に、カウンタNがリセットされる(ステップS1)。
【0020】
次に、カウンタNが+1されると共に、i=i+1とされる(ステップS2)。そして、圧力センサ13から出力されるアナログのガス圧信号Pを1秒毎にサンプリングしてデジタルのガス圧信号PiをA/D変換器15を介して制御部16に取り込む処理が行なわれる(ステップS3)。最初にこのステップS2の処理が行なわれると、ガス圧信号P1が制御部16に取り込まれる。以下、通常1秒間隔でガス圧信号P2、P3、…Pendが制御部16に取り込まれる。図4には、P1、P2、Pendのみ符合を付して記載しておく。
【0021】
そして、S=Σ|Pi−Pi-1|が算出される(ステップS4)。つまり、ガス圧信号Piと一つ前にサンプリングされたガス圧信号Pi-1との差の絶対値が加算され、総和Sとされる。この総和SはRAMに記憶される。最初にこのステップS4に来たときには、P-1は前回サンプリングされたガス圧信号である。この実施の形態では仮にP-1として「0」が設定されているものとして動作を説明する。このように、P-1として0に設定されているため、S=|P1|とされる。
【0022】
そして、ステップS3でサンプリングされたガス圧信号PiがRAMに記憶される(ステップS5)。つまり、制御部16内のRAMには、1秒間隔でサンブリングされたガス圧信号Piが順次記憶されている。
【0023】
そして、カウンタNの計数値がnとなったかが判定される(ステップS6)。例えば、この実施の形態ではn=180(つまり3分間)に設定されている。そして、N=180となるまではステップS6において「NO」と判定されるため、ステップS2以降の処理が繰り返し行なわれる。つまり、ガス圧信号Piが180個サンプリングされるまで、ガス圧信号PiをA/D変換器15を介して制御部16に取り込む処理が行なわれ、S=Σ|Pi−Pi-1|が演算される。図4及び図5において、180個目のガス圧信号をPendと付しておく。
【0024】
そして、ステップS6において、「YES」と判定されると、総和S>
基準値Psetであるかが判定される(ステップS7)。ここで、基準値Psetは整圧器12の二次側圧力や整圧器12の機構的係数により決定される。
【0025】
そして、ステップS7において「YES」と判定されると、整圧器112の異常に起因して二次側圧力が異常振動していると判定される(ステップS8)。この異常振動は図4に示すように、区間Aで正弦波が減少するように発生している。この区間Aの前後においては、A/D変換器15から出力されるガス圧信号Piは一定であるので、Σ|Pi−Pi-1|は零となる。しかし、区間Aにおいては、A/D変換器15から出力されるガス圧信号Piは常に変化しているため、Σ|Pi−Pi-1|はある値を持つ。従って、この区間Aにおいて(Pi−Pi-1)の絶対値は積分されていく。
【0026】
一方、ステップS7において「NO」と判定されると、一時的な圧力変動と判定される(ステップS9)。この一時的な圧力変動は需要家として頻繁にボイラー等の大きな消費機器を作動、停止を繰り返し使用するものである場合に起こるものであり、整圧器12の異常による異常振動とは異なる。
【0027】
つまり、一時的な圧力変動の場合は、図5に示すように、A/D変換器15から出力されるガス圧信号Piは変化する。つまり、区間A1、A2、…、A5とガス圧信号Piのレベルは矩形状に変化する。しかし、同一区間内においては、ガス圧信号Piは一定である。従って、Σ|Pi−Pi-1|は極端に言えば零となる。従って、ガス圧信号Piのレベルは矩形状に変化しても、S=Σ|Pi−Pi-1|はPsetより小さい値となる。
【0028】
ところで、ステップS8あるいはS9の判定を終えると、前述したステップS1の処理に戻り、次の3分間のサンプリング処理が行なわれる。
【0029】
なお、ステップS7において「YES」と判定された場合には、整圧器12の異常により整圧器12二次側圧力に異常振動が発生していると判定したが、この判定信号をセンタ21に送信するようにしても良い。そして、センタ21は端末器14に対して異常振動と判定された前1分間及び後3分間のガス圧信号Pi(以下、詳細データという)を端末器14に対して要求し、この要求に答えて、端末器14はセンタ21に詳細データを送出するようにしても良い。さらに、テップS7において「YES」と判定された場合には、整圧器12の異常により整圧器12二次側圧力に異常振動が発生していると判定し、端末器14から自動的にセンサ21に詳細データを送信するようにしても良い。
【0030】
このように、この実施の形態によれば、図4に示すように整圧器12の異常による二次側圧力の異常振動と、図5に示すような需要家として頻繁にボイラー等の大きな消費機器を作動、停止を繰り返し使用するものである場合に起こる一時的な圧力変動とを端末器14で区別して判定することができる。
【0031】
そして、図4に示すように整圧器12の異常による二次側圧力の異常振動を検出したのみ、センタ21に対して詳細データを送信するようにしたので、常時、つまり1秒毎にガス圧信号Piをセンサ21に送信することにより通信ラインを介するデータ量の増大による弊害を未然に防止することができる。
【0032】
次に、本発明の他の実施の形態について図3のフローチャートを参照して説明する。図3のフローチャートにおいて図2のフローチャートと同じ部分には同じステップ番号を付し、その詳細な説明については省略する。この他の実施の形態では、とがりをステップS14において演算している。そして、このステップS14で演算されたT=Σ(Pi−P)4/nS4が基準値Bsetより大きいと判定する(ステップS17)。ここで、Pはガス圧信号Piの平均値、nはサンプリングしたガス圧信号の個数、Sは標準偏差を示す。そして、このステップS17で「YES」と判定された場合には、整圧器12に起因する二次側圧力の異常振動と判定される(ステップS8)。一方、ステップS7において「NO」と判定されると、一時的な圧力変動と判定される(ステップS9)。
【0033】
このように、区別して判定できる理由は前述した実施の形態で述べたことと同じであるのでここでは省略する。
【0034】
なお、前述した図2のフローチャートではガス圧信号Piを1回サンプリングする毎にステップS4で総和Sを演算するようにしたが、180個のサンプリングデータをRAMに記憶された後に、総和Sを演算するようにしても良い。
【0035】
また、前述した図3のフローチャートではガス圧信号Piを1回サンプリングする毎にステップS14でTを演算するようにしたが、180個のサンプリングデータをRAMに記憶された後に、Tを演算するようにしても良い。
【0036】
なお、上記した実施の形態ではサンプリングされたガス圧信号の個数を計数したが、タイマで180秒を計時するようにしても良い。
【0037】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、整圧器に起因する供給圧力の異常振動を正確に判定することができる圧力監視装置における異常振動検出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るガス管内のガス圧をリアルタイムで監視する圧力伝送システムの概略構成図。
【図2】同実施の形態の動作を説明するためフローチャート。
【図3】本発明の他の実施の形態の動作を説明するためのフローチャート。
【図4】本発明の実施の形態の動作を説明するための圧力センサの出力波形図。
【図5】本発明の実施の形態の動作を説明するための圧力センサの出力波形図。
【図6】従来の整圧器の異常振動判定方法を説明するための図。
【図7】従来の整圧器の異常振動判定方法を説明するための図。
【符号の説明】
11…ガス管、
12…整圧器、
13…圧力センサ、
14…圧力監視装置
15…A/D変換器、
16…制御部、
17…通信I/F、
21…センタ。
Claims (2)
- ガス供給源から送出されるガスを整圧器を介して低圧化してガス需要者に供給し、前記整圧器の下流に配設された圧力センサで検出された前記ガス需要者への供給圧力を圧力監視装置で監視しているガス供給システムにおいて、
前記圧力監視装置は、前記圧力センサで検出された圧力信号を所定時間毎にA/D変換した値をPiとし、一つ前に前記圧力センサで検出された圧力信号をA/D変換した値をPi-1とした場合に、前記圧力センサで検出された圧力信号をA/D変換した回数が設定回数となった際に、Σ|Pi−Pi-1|が基準値より大きい場合には前記供給圧力が前記整圧器の異常により前記供給圧力が異常振動していると判定することを特徴とする圧力監視装置における異常振動検出方法。 - ガス供給源から送出されるガスを整圧器を介して低圧化してガス需要者に供給し、前記整圧器の下流に配設された圧力センサで検出された前記ガス需要者への供給圧力を圧力監視装置で監視しているガス供給システムにおいて、
前記圧力監視装置は、前記圧力センサで検出された圧力信号をA/D変換した回数が設定回数となった際に、前記圧力センサで検出された圧力信号を所定時間毎にA/D変換した値Piのとがりを計算し、このとがりが基準値より大きい場合には前記供給圧力が前記整圧器の異常により前記供給圧力が異常振動していると判定することを特徴とする圧力監視装置における異常振動検出方法。
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