JP4130354B2 - プラットホームドア装置の安全システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄道の駅のプラットホームに設置されているプラットホームドア装置のドアパネルが閉じつつあるときに、プラットホームドア装置と列車との間に乗客が存在しているか否かを検出して、乗客の安全を確保するプラットホームドア装置の安全システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
プラットホームドア装置では、プラットホームに設置された固定壁に開口部が設けられている。この開口部を開閉するようにスライドドアが設けられている。列車がプラットホームに入っていないときには、開口部はスライドドアによって閉じられている。列車がプラットホームに入って停車し、列車のドアが開かれると、スライドドアがスライドして、開口部が開かれる。この開口部を介して列車から乗客が乗降する。乗降の終了後、列車のドアが閉じられ、スライドドアがスライドして、開口部を閉じる。このような動作によって、乗客の安全を確保している。
【0003】
ところで、プラットホームには、建築限界位置が設定されている。この建築限界位置よりも列車側には、どのような装置も設置することができない。そのため、プラットホームドア装置と列車との間には、必然的にスペースが発生する。列車のドアが閉じ、かつスライドドアが開口部を閉じたとき、プラットホームドア装置と列車との間のスペースに乗客が残っていると、この乗客は、列車側にもプラットホームドア装置の内側に移動することができなくなる。この状態で列車が発車すると、人身事故が生じる虞がある。このような事態の発生を防止するために、スライドドアが移動を開始したとき、スライドドアと列車との間に乗客が存在するか否かを検出し、存在する場合、開口部を再び開くようにスライドドアを移動させるか、或いはその位置でスライドドアを停止させる安全システムが考えられている。そのため、上記スペースにおける乗客を検出するために、光電センサが設けられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のスペースを確実に検出しようとすると、多くの光電センサを設置しなければならず、プラットホームドア装置のコストが高くなる。
【0005】
本発明は、列車とプラットホームドア装置との間に存在する乗客を確実に少ない個数の光電センサで検出することができるプラットホームドア装置の安全システムを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によるプラットホームドア装置の安全システムでは、プラットホームドア装置のスライドドアの軌道側にあるパネル面に光電センサが設置されている。プラットホームドア装置は、例えば開口部を有し、この開口部を開閉するようにスライドドアが設けられている。光電センサは、軌道側にある光反射物体に向けて、光を投光するように光軸を設定してある。光反射物体としては、後述するように列車やプラットホームの端縁がある。光電センサの光軸が、スライドドアのスライド移動に伴って、光反射物体とプラットホームドア装置との間を走査する。
【0007】
このように構成した安全システムでは、開かれていたスライドドアが閉じるようにスライドを開始すると、光反射物体とプラットホームドア装置との間を走査する。もし、ドアパネルに光電センサを設けずに、例えば固定位置に光電センサを設けた場合、光反射物体とプラットホームドア装置との間をくまなく光電センサによって検知しようとすると、多くの光電センサが必要になる。しかし、スライドドアに光電センサを設けると、スライドドアの移動に伴って光反射物体とプラットホームドア装置との間を全ての検知することができ、少ない数の光電センサを使用すればよく、コストを低減することができる。しかも、上述したようにプラットホームでは、建築限界があり、これよりも軌道側にはいかなる装置も設置することが原則としてできないが、この建築限界よりも内側にあるプラットホームドア装置のドアパネルに、光電センサが位置しているので、建築限界の問題をクリアすることができる。
【0008】
光電センサの光軸を、軌道側に停車する列車の車体に対して設定することができる。このように構成すると、ほぼ水平面内に乗客の検知領域を形成することができ、この検知領域内の乗客を確実に検知することができる。
【0009】
或いは、光電センサの光軸を、軌道側のプラットホームの端縁に対して、設定することもできる。このように構成すると、プラットホームドア装置のスライドドアからプラットホームの端縁までの立体的な検知領域を形成することができ、この検知領域内内にある乗客を確実に検知することができる。
【0010】
光電センサを、測距センサとすることもできる。この測距センサは、光を反射物体に向けて投光し、その反射光を受けて、反射物体と測距センサとの間の距離を測定するものであるので、物体からの反射量の変化によって物体の有無を検知する反射式の光電センサと比較して外乱の影響が少なく、正確に乗客を検知することができる。
【0011】
更に、測距センサが、予め軌道側の前記光反射物体までの基準距離を記憶するものとできる。測距センサは、この基準距離に基づいて、例えば基準距離よりも検知された物体までの距離が長いか短いかによって、乗客を検出する。このように構成すると、プラットホームドア装置に設けられている複数の測距センサの設定や調整を、同時に行うことができるので、これら設定、調整に要する時間を短時間で行うことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の1実施形態のプラットホームドア装置は、図6に示すように、駅のプラットホーム2に設置されている。プラットホーム2の軌道側の端縁2aから所定距離だけ軌道とは反対側に奥まった位置に、固定壁6がプラットホーム2の長さ方向に沿って配置されている。固定壁6には、プラットホーム2の長さ方向に沿って所定の間隔を維持して、複数のドア開口4が形成されている。これらドア開口4は、プラットホーム2に列車8が停車したとき、列車8の各車両のドア10が存在する位置に対応して設けられている。これらドア開口4を開閉するように、1対のスライドドア12a、12bが各ドア開口4に対して設けられている。これらスライドドア12a、12bは、固定壁6から各ドア開口4に向かってスライドする。
【0013】
図1は、1つのドア開口4と、このドア開口を開閉する1対のスライドドア12a、12bを拡大して示したものである。図1に示すように、これらスライドドア12a、12bの軌道側、即ち列車8の各車両側の面には、光電センサ、例えば測距センサ14a、14bが設けられている。測距センサ14aは、図3に示すように、スライドドア12aの戸先に、スライドドア12aの高さ方向に沿って間隔を隔てて複数個、例えば2個ずつ配置されている。同様に、測距センサ14bも、スライドドア12bの戸先に、スライドドア12bの高さ方向に沿って間隔を隔てて複数個、例えば2個ずつ配置されている。
【0014】
図7に示すように、各測距センサ14a、14bは、投光素子、例えば赤外線投光器16と受光素子、例えばPSD(Photo Sensitive Device)18とを有している。測距センサ14a、14bでは、この投光器16から投光され、光反射物体によって反射された光線がPSD18に入射する位置が、投光器16から光反射物体までの距離によって異なる。この原理を利用して、投光器16から反射物体までの距離を測定する。これら投光器16からの投光光線が、図2に示すように、停車している列車8の車体にほぼ垂直に向かうように、投光光軸が向けられている。無論、車体で反射されて、PSD18に向かう反射光線の光軸も車体に垂直になる。
【0015】
上述したように、各測距センサ14a、14bは、スライドドア12a、12bの戸先に、列車8側に向けて取り付けられている。従って、図1に示すように、列車8が停止し、ドア開口4が開かれている状態から、図5に示すように、ドア開口4を完全に閉じる状態まで、スライドドア12a、12bがスライドすると、各測距センサ14a、14bも、スライドドア12a、12bのスライドに伴ってスライドし、ほぼドア開口4の幅に等しい幅とスライドドア12a、12bの列車8側の面から列車8までの距離に等しい奥行きを持つ水平面内に位置する検知領域19(図5参照)を、各測距センサ14a、14bが走査することになる。
【0016】
図4に示すように、乗客20が検知領域19内に位置していると、走査が行われている間に、乗客20を検知することができる。この検知が行われた場合、スライドドア12a、12bは、再びドア開口4を開くようにスライドするか、或いは乗客を検知した位置で停止する。この検知領域19は、図2に示すように、建築限界位置(この位置よりも列車8側にどのような装置であっても、取り付けてはいけない位置)を超えて、列車8側まで検知することができるように設定されている。しかも、固定位置に設置した複数の測距センサ14a、14bによって検知領域19を全てカバーする既存システムでは、かなりの数の測距センサが必要になるが、本システムでは、スライドドア12a、12bと共に測距センサ14a、14bを移動させる構成であるので、使用する測距センサの数は、ごく僅かである。
【0017】
乗客を検知するため、例えば列車8が停止し、検知領域に人等の物体が存在せず、ドア開口4が開いている状態から、スライドドア12a、12bがドア開口4を閉じていくまでの間に、測距センサ14a、14bが測定する距離、即ち測距センサ14a、14bから列車8までの距離を、基準値として、予め記憶しておく。この基準値は、スライドドア12a、12bがスライドしても、殆ど一定である。この基準値よりも測距センサ14a、14bの測距値が小さければ、乗客等の物体が検知されたと判断可能である。
【0018】
このような基準値の設定及び乗客の有無の判定を行うために、各測距センサ14a、14bは、図7に示すように、制御手段、例えばCPU20によって制御される。CPU20には、CPU20が実行するプラグラムが記憶されたROM22や、基準距離等の各種パラメータを記憶するEEPROM24や、プログラムを実行する際に、ワークエリアとして使用するRAM26が接続されている。これらCPU20等は、1台の測距センサごとに設けられ、固定壁6内に配置されている。無論、複数の測距センサに対して1台だけ、CPU20等を設置することも可能である。
【0019】
図8は、CPU20が行う処理をフローチャートで示したもので、まず学習開始であるかの判断が行われる(ステップS2)。これは、例えば学習開始の指示がCPU20に対して図示していない学習スイッチ等から与えられているか否か判断することによって行われる。学習開始であると判断されると、上述したように列車8の車体までの距離が測定される(ステップS4)。この距離が基準値としてEEPROM24に記憶され(ステップS6)、学習は終了する。この学習は、全ての測距センサ14a、14bに対して同時に行われる。従って、学習開始の指示によって、各測距センサ14a、14bに対する基準値が決定され、この基準値は、ドア12a、12bがどの位置にあるときにも、1つの値が使用される。この学習は、最初に測距センサ14a、14bを設置した際に行われるが、設置後であっても、必要に応じて学習スイッチを操作することで適宜行うことができる。
【0020】
次いで、測距センサ14a、14bからの距離情報を取得し(ステップS8)、この情報からノイズを除去する処理を行い、測定値を得る(ステップS10)。この測定値が基準値から予め定めた不感帯幅を減算した値よりも小さいか否か判断される(ステップS12)。この判断の結果がノーであると、乗客等の物体が検出されていないと判断できる。従って、スライドドア12a、12bの閉動作を行うように、測距センサ14a、14bの出力をオフとし(ステップS14)、ステップS8に戻る。ステップS12の判断の結果がイエスであると、乗客等の物体が検出されていると判断できる。従って、スライドドア12a、12bを開動作させるか、停止動作させるために、測距センサ14a、14bの出力をオンとし(ステップS16)、ステップS8に戻る。
【0021】
ステップS12において、基準値から予め定めた不感帯幅を減算するのは、測定値と基準距離とを比較した場合、ごくわずか測定値が基準距離よりも小さい場合、例えば、列車8の車体の揺れ等によっても、乗客等を検知したと判断されて、誤動作する可能性があるからである。
【0022】
上記の実施の形態では、光反射物体として列車8を使用するので、測距センサ14a、14bの光軸を列車8側に向けるように構成してある。しかし、図9に示すように、光反射物体としてプラットホーム2の端縁2aを使用する場合には、測距センサ14a、14bを、それらの光軸がプラットホーム2の端縁2aを向くように、測距センサ14a、14bを軌道側に斜め下方に向けて配置することもできる。このように構成した場合でも、端縁2aと測距センサ14a、14bとの間に斜めに検知領域が形成され、検知領域の面積を広げることができる。
【0023】
上記の実施の形態では、光電センサとして測距センサ14a、14bを使用したが、これに代えて、反射式の光電センサを使用することもできる。上記の実施の形態では、両引き型のスライドドア12a、12bを使用したが、片引き型のスライドドアを使用することもできる。
【0024】
【発明の効果】
以上のように、本発明によるプラットホームドア装置の安全装置では、スライドするドアに光電センサを設けているので、多くの光電センサを使用しなくても、確実にプラットホームドア装置と光反射物体との間を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施形態の安全システムを実施したプラットホームドア装置のスライドドアが開いた状態の平面図である。
【図2】図1のプラットホームドア装置の側面図である。
【図3】図1のプラットホームドア装置の正面図である。
【図4】図1のプラットホームドア装置のスライドドアが閉じる途中の平面図である。
【図5】図1のプラットホームドア装置のスライドドアが閉じた状態の平面図である。
【図6】図1のプラットホームドア装置が複数設けられた状態の平面図である。
【図7】図1のプラットホームドア装置の安全システムのブロック図である。
【図8】図7の安全システムのフローチャートである。
【図9】本発明の他の実施形態の安全システムを実施したプラットホームドア装置の側面図である。
【符号の説明】
12a 12b スライドドア
14a 14b 測距センサ

Claims (5)

  1. プラットホームドア装置と列車との間に存在する乗客を検出する安全システムであって、
    前記プラットホームドア装置のスライドドアの軌道側のパネル面に、前記軌道側にある光反射物体に向けて光を投光するように光軸を設定した光電センサを設置し、
    前記光電センサの光軸が、前記スライドドアのスライド移動に伴って、前記光反射物体と前記プラットホームドア装置との間を走査する
    プラットホームドア装置の安全システム。
  2. 請求項1記載のプラットホームドア装置の安全システムにおいて、前記光電センサの光軸が、前記軌道側に停車する列車の車体に対して設定されているプラットホームドア装置の安全システム。
  3. 請求項1記載のプラットホームドア装置の安全システムにおいて、前記光電センサの光軸が、前記軌道側のプラットホームの端縁に対して、設定されているプラットホームドア装置の安全システム。
  4. 請求項1乃至3いずれか記載のプラットホームドア装置の安全システムにおいて、前記光電センサが測距センサであるプラットホームドア装置の安全システム。
  5. 請求項4記載のプラットホームドア装置の安全システムにおいて、前記測距センサが、予め軌道側の前記光反射物体までの基準距離を記憶し、この基準距離に基づいて乗客を検出するプラットホームドア装置の安全システム。
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