JP4130278B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体装置の製造方法に関わり、特に、半導体装置のプラズマ処理方法に関する。さらに、プラズマ処理前後のウェハ上へのパーティクルの堆積防止するためのガス導入方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
反応容器内にウェハなどの処理基板を設置し、所定の反応ガスを導入し、電極あるいはコイルなどに高周波電力を印加することにより、プラズマを生成せしめ、処理基板表面に成膜したり、処理基板上に堆積された膜をエッチングする方法は、現在の半導体製造工程において広く使われている。
【0003】
これらの方法において、例えば、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法では、処理基板表面に成膜するために、プラズマによって活性化されて、所望の膜が成膜できるような反応ガスが反応容器内に導入される。また、CDE(Chemical Dry Etching)法などのドライエッチング法においても、プラズマにより活性化された反応ガスが、エッチングされる膜材料と結合し、蒸気圧の高い反応生成物が形成される。
【0004】
このように、これらのプラズマによる基板処理方法においては、減圧された反応容器内に反応ガスを導入し、プラズマを生成して反応ガスを活性化することによってはじめて、基板の処理が進む。したがって、一般に反応ガスを導入し、ガス流量、反応容器内の圧力が所望の値になり、安定してプラズマが生成され、所望の処理が行われる。また、高周波電力の印加を停止し、プラズマの生成を停止すれば、基板の処理は終了するため、通常、高周波電力の印加を停止すると同時にガスの導入も停止される。場合によっては、プラズマによる所望の処理終了後、いったん、処理基板が配置された電極に供給する高周波電力を低下させてから、静電チャックに供給する直流電圧の供給を停止し、その後、電極に供給する高周波電力の印加を停止する場合もある。この場合も高周波電力の印加を停止すると同時に反応ガスの導入を停止していた。
【0005】
また、これらのプラズマによる基板処理方法において、反応ガスの導入手段はそれぞれの基板処理工程の性能を重視して構成されている。一般的には、処理基板直上に小径の孔で同心円状に配列したガス導入口からなるシャワーヘッドタイプや、真空容器側壁に対称に数ヶ所のガス導入口を設け、そこから導入するのが一般的である。さらに所望の流量のガスを導入して、プラズマ処理中にこの所望の流量を維持するため、マスフローコントローラが一般に用いられ、また反応容器内の圧力を維持するために圧力調整機構が用いられている。圧力調整機構として容器と真空ポンプとの間に配置され、開度を調整することができる可変バルブなどがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ガス導入開始直後からマスフローコントローラが安定駆動するまでに若干の時間がかかり、この時間内の昇流量速度は制御されず、急激に大量のガスが導入される。また、プラズマ処理が行われる圧力では、反応容器内に存在するパーティクルの挙動は、ガスの流れに最も影響を受ける。したがって、ガス導入開始直後に、所定の流量を超える大量のガスが急激に導入されると、ガスの流量及び流速が急激に変化して、反応容器内に存在しているパーティクルが舞い上がり、処理基板上に落下する場合がある。さらに、通常、反応容器の圧力調整機構もガス導入とともに動作しはじめるが、圧力調整用の可変パルブも短時間で所定の圧力に近づけようとして動作して、短時間であるが制御性が悪い。したがって、ガス導入開始直後の反応容器内は、短時間ではあるが、流速、流量、圧力が不規則に変化して、反応容器内に存在しているパーティクルが舞い上がり、処理基板上に落下する場合がある。パーティクルを処理基板上に存在させたまま処理を行えば、歩留まりがよい半導体装置を製造することが困難になる。
【0007】
また、種々の実験から、プラズマ処理装置において、プラズマを生成維持している場合は、パーティクルは負に帯電しており、負の電位領域であるシースに反発を受け、シース中に浮遊し、処理基板上に落下することは少ないが、プラズマの生成が終了する、すなわちシースが消滅すると、シース上に浮遊していたパーティクルは、反発力を失い、処理基板上に落下する。パーティクルを処理基板上に存在させたまま次の処理を行うことになれば、これも言うまでもなく半導体製造工程において好ましくない。
【0008】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、プラズマ処理の前後において処理基板上に落下するパーティクルを低減し、パーティクルの少ない半導体装置の製造方法を提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、製造歩留まりの高い半導体装置の製造方法を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の第1の特徴は、反応容器内に処理基板を載置する工程と、所定の流量のエッチングガスを反応容器内に導入する工程と、反応容器内を所定の圧力に維持する工程と、反応容器内に配置された電極に高周波電力を供給して、プラズマの生成を開始する工程と、反応容器内に配置された処理基板に対して、エッチングを行う工程と、エッチング終了後に、高周波電力の供給を停止し、プラズマの生成を終了する工程とを少なくとも有する半導体装置の製造方法であって、エッチング終了後、高周波電力の停止前から停止後所定期間にわたり、反応容器内の圧力をエッチング時の圧力より低くし、かつ、エッチング後、所定期間経過までエッチングガスの導入量を維持することを特徴とする半導体装置の製造方法であることである。
【0015】
本発明の第1の特徴によれば、プラズマ生成の終了時に、所定の流量のガスを継続的に導入し、さらに、反応容器内の圧力を低くすることにより、第1の特徴に示した半導体装置の製造方法に比して、より効率的にシース上に浮遊していたパーティクルを処理基板上に落ちることなく、排気することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
(パーティクルの挙動)
本発明の実施の形態を説明する前に、反応容器内のパーティクルの挙動について本発明者等が行った実験について説明する。本発明者等は、反応容器内へのガス導入シーケンスと反応容器内のパーティクルの挙動との関係を調べるために、図4に示すようなドライエッチング装置を用いて以下に示す実験を行った。
【0023】
図4(a)はドライエッチング装置の断面図を示し、図4(b)はその平面図を示す。図4(a)に示すように、ドライエッチング装置は、パーティクルの挙動を目視するために側壁に配置された窓12と、窓12からドライエッチング装置内に入射されるレーザ13と、パーティクルにより散乱されたレーザ光(散乱光)15を窓12を介して検出するCCDカメラ16と、CCDカメラ16の画像を表示及び保存するためのモニター17及びビデオ18を具備する。また、図4(b)に示すように、入射されるレーザ13を装置内で走査させるための反射ミラー14を具備する。図4(b)の斜線部分はレーザの走査範囲19を示す。装置内でレーザ13を走査させることによりCCDカメラ16が検出可能な範囲を広げている。また、図4(a)に示すように、レーザ13は装置内に配置されたウェハ2と装置内で生成されたプラズマ7との間に形成されたシース8の上をウェハ2に平行に入射され、反射ミラーによりシース8の上をウェハ2に平行に走査される。これは、シース8の上に浮遊するパーティクルにレーザ13が照射されるようにするためである。なお、プラズマ処理装置はマグネトロンRIE装置を用いており、レーザ13の入射するための窓12及び散乱光15を撮影するための窓12は石英製の窓を用いた。
【0024】
まず、図4に示すドライエッチング装置を用いて、従来行われていたガス導入シーケンスでのパーティクルの挙動を散乱光15を介して観察した。
【0025】
(1)まず、ウェハ2をロードロックチャンバーからプラズマ処理装置の反応容器1内に搬送し、カソード電極の上に載置した。その後に、反応ガスが反応容器1内に導入される。反応ガスの設定流量は100sccmであり、反応容器1内の設定圧力は40mTorrである。反応ガスのカス流量の制御にはマスフローコントローラを用いており、マスフローコントローラに設定されているガス流量は、ウェハ処理時に導入されるガス流量である。反応ガスの導入が開始される瞬間、マスフローコントローラが示すガスの流量値は瞬時に上昇し、同時にウェハ上に数個のパーティクルが落下するのが観察された。また、この瞬時のガス流量の上昇により、反応容器1内を所定の圧力に維持するように圧力調整用の可変バルブが動作した。可変バルブが閉まる動きになるたびにも、ウェハ2上にパーティクルが落下するのが観察された。
【0026】
(2)そして、所定の流量の反応ガスを反応容器1内に導入し、反応容器1内が所定の圧力になった後に、ウェハ2が載置されたカソード電極に13.56MHzの高周波電圧を印加してプラズマを生成した。ウェハ2とプラズマ7の間に形成されたシース8の上にパーティクルが浮遊しているのが観察された。プラズマ中に存在するパーティクルがマイナスに帯電するため、負の電位勾配をもつシース8に電気的に反発しているためと考えられる。
【0027】
(3)次に、所定のウェハ処理を終了した後、カソード電極に供給している高周波電力の印加を停止してプラズマの生成を終了すると同時に、反応ガスの導入を停止した。プラズマの生成が終了することで、ウェハ2とプラズマ7の間に形成されていたシース8も消滅する。シース8が消滅する際にパーティクルがウェハ2上に落下することが観察された。シース8上に浮遊しているパーティクルが、プラズマ生成の停止によりシース8が消滅し、シース8の反発が無くなり、ウェハ2上に落下したものと思われる。
【0028】
次に、ガス導入及び反応容器内の圧力調整機構のシーケンスを変えて、パーティクルの挙動を観察した。反応ガスの導入を開始する際、ガス流量値が100sccmの所定の流量になるように、徐々に流量を増やしながら反応ガスを導入した。100sccmに達するまでに約5秒経過した。その際、従来のガス導入シーケンスにおいてガス導入時に見られたようなガス導入とともにパーティクルがウェハ2上へ落下する現象は観察されなかった。また、ガス流量が所定の流量に到達した後、反応容器1内が所定の圧力になるように圧力調節の可変バルブを動かした。可変バルブを閉める動作をする際に、可変バルブがオーバーシュートするような現象は見られず、パーティクルの落下も見られなかった。
【0029】
所定の流量、所定の圧力になった後、カソード電極に13.56MHzの高周波を印加してプラズマ7の生成を開始した。ウェハ2とプラズマ7の間にはシース8が形成され、シース8上にパーティクルが浮遊しているのが観察された。
【0030】
所定のウェハ処理を終了後、カソード電極に供給している高周波電力の印加を停止してプラズマ7の生成を終了したが、ガスの導入は停止せずにそのまま保った。その結果、従来のガス導入シーケンスでは、プラズマ7は消滅してウェハ2とプラズマ7の間に形成されていたシース8も消滅する際に、多量のパーティクルがウェハ上に乗るのが観察されたが、ガスの導入を維持すれば、大部分のパーティクルが、排気されることが明らかとなった。また、高周波電力の印加を停止してプラズマ7の生成を停止する時に、ガス流量を増加させるか、もしくは、圧力調整用の可変バルブの開度を大きくし、反応容器1内を低圧にすることでも、同等あるいはそれ以上の効果が見られた。
【0031】
(実施の形態)
<第1のシーケンス>
上述のパーティクルの挙動に係わる実験結果に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。図10は実施の形態に係わるプラズマ処理装置を示す。プラズマ処理装置は、真空容器である反応容器1と、反応容器1に接続され反応容器1内の圧力を調節するための可変バルブ5と、可変バルブ5に接続された真空ポンプ4と、ウェハ2を載置する電極(カソード電極)3と、ウェハ2の上に同心円状に配設された複数のガス導入口10と、カソード電極3に高周波電力を供給する高周波電源6とを具備したマグネトロンRIE装置である。高周波電源6から供給される高周波電力によりプラズマ7が生成され、プラズマ7とウェハ2との間にはシース8が形成され、シース8の上にはパーティクル9が浮遊している。また、図示はしないが、ガス導入口10にはガスの流量を調節するためのマスフローコントローラが接続されている。マスフローコントローラで設定された流量のガスが反応容器1内に導入される。さらに、ウェハ処理時のプラズマ条件は、反応容器1内の圧力が40mTorr、高周波電力が800W、反応ガスがCF4/O2、ガス流量値が100sccmmであり、エッチング時間が20秒である。
【0032】
図1(b)は、第1のシーケンスを示す。まず、ウェハ2をロードロックチャンバーから反応容器1内に搬送し、カソード電極3の上に載置する。そして、ウェハ処理時の所定の流量の反応ガスをガス導入口10から反応容器1内に導入する。ガス導入を開始する際のマスフローコントローラの設定流量はウェハ処理時の所定の流量である100sccmである。次に、圧力調整機構である可変バルブ5の開度を調節して反応容器1内をウェハ処理時の所定の圧力に維持する。次に、反応容器1内に配置されたカソード電極3に高周波電力を供給してプラズマ7の生成を開始する。次に、反応容器1内のカソード電極3上に配置されたウェハ2に対して所定のウェハ処理を行う。次に、所定のウェハ処理終了後に、高周波電力の供給を停止し、反応容器1内におけるプラズマ7の生成を終了する。図1(b)に示すように、高周波電力の供給を停止して、プラズマ7の生成を終了する時に、ウェハ処理時の所定の流量のガスを継続的に導入する。継続的に導入するガス種は反応ガスが好ましい。しかし、不活性ガスなどの異なる種類のガスを導入しても構わない。なお、図1の(a)は、従来行われているガス導入のシーケンスを示す。図1(a)に示すように、従来は、プラズマ7の生成を終了するときに、同時にガスの導入を停止していた。
【0033】
第1のシーケンスによれば、プラズマ7が生成している状態では、パーティクル9がシース8上に浮遊しているが、プラズマ7の生成が終了してシース8が消滅するとシース8上に浮遊していたパーティクル9が、ウェハ2上に落下する。しかし、プラズマ生成の終了時に、所定の流量のガスを継続的に導入し続けることにより、シース8上に浮遊していたパーティクル9をウェハ2上に落ちることなく、継続的に導入されるガスとともに排気することができる。
【0034】
<第2のシーケンス>
次に、図1(c)に第2のシーケンスを示す。第1のシーケンスと同様に、まず、ウェハ2をロードロックチャンバーから反応容器1内に搬送し、カソード電極3の上に載置する。そして、ウェハ処理時の所定の流量の反応ガスをガス導入口10から反応容器1内に導入する。ガス導入を開始する際のマスフローコントローラの設定流量はウェハ処理時の所定の流量である100sccmである。次に、圧力調整機構である可変バルブ5の開度を調節して反応容器1内をウェハ処理時の所定の圧力に維持する。次に、反応容器内に配置されたカソード電極3に高周波電力を供給してプラズマ7の生成を開始する。次に、反応容器1内のカソード電極3上に配置されたウェハ2に対して所定のウェハ処理を行う。次に、所定のウェハ処理終了後に、高周波電力の供給を停止し、反応容器1内におけるプラズマ7の生成を終了する。
【0035】
図1(c)に示すように、プラズマ7の生成を終了する時に、ウェハ処理時の所定の流量のガスを継続的に導入し、反応容器1内に導入されるガスの総流量が、ウェハ処理時の所定の流量に比して増加されている。ここで、ガスの総流量の増加は、所定のウェハ処理時に導入していた反応ガスの流量を増やすことが望ましい。しかし、不活性ガスなどの所定の処理時に導入していたガス種とは異なる種類のガスを追加して導入して、導入するガス全体の流量を増加させてもよい。また、ウェハ2の上に配置されたガス導入口10から導入されるガスの流量を増加させることが望ましいが、ガス導入口10とは異なる系統のガス導入手段を設け、プラズマ7の生成を終了するときに限り、ここからガスを導入してもよい。
【0036】
第2のシーケンスによれば、プラズマ7が生成している状態で、シース8上に浮遊していたパーティクル9が、プラズマ7の生成が終了してシース8が消滅する時に、反応容器1内に導入されるガスの総流量を増加させることで、第1のシーケンスにおいて継続的に導入した場合に比して、より効率的にシース8上に浮遊していたパーティクル9をウェハ2上に落ちることなく、導入されるガスとともに排気することができる。
【0037】
<第3のシーケンス>
次に、図1(d)に第3のシーケンスを示す。第1のシーケンスと同様に、まず、ウェハ2をロードロックチャンバーから反応容器1内に搬送し、カソード電極3の上に載置する。そして、ウェハ処理時の所定の流量の反応ガスをガス導入口10から反応容器1内に導入する。ガス導入を開始する際のマスフローコントローラの設定流量はウェハ処理時の所定の流量である100sccmである。次に、圧力調整機構である可変バルブ5の開度を調節して反応容器1内をウェハ処理時の所定の圧力に維持する。次に、反応容器内に配置されたカソード電極3に高周波電力を供給してプラズマ7の生成を開始する。次に、反応容器1内のカソード電極3上に配置されたウェハ2に対して所定のウェハ処理を行う。次に、所定のウェハ処理終了後に、高周波電力の供給を停止し、反応容器1内におけるプラズマ7の生成を終了する。
【0038】
図1(d)に示すように、第1のシーケンスと同様に、プラズマ7の生成を終了する時に、ウェハ処理時の所定の流量のガスを継続的に導入する。また、圧力調整の可変バルブ5をより大きく開くことにより、プラズマ7の生成を終了する時の反応容器1内の圧力が、ウェハ処理時の所定の圧力に比して低くする。具体的には、プラズマ7の生成を終了する前に、圧力調整の可変バルブ5を開いて圧力を20mTorrに設定する。その後、カソード電極3に印加する高周波電力の供給を停止してプラズマ7の生成を終了する。
【0039】
第3のシーケンスによれば、プラズマ7が生成している状態では、パーティクル9がシース8上に浮遊しているが、プラズマ7の生成が終了してシース8が消滅するとシース8上に浮遊していたパーティクル9が、ウェハ2上に落下する。しかし、プラズマ生成の終了時に、所定の流量のガスを継続的に導入し、さらに、反応容器1内の圧力を低くすることにより、第1のシーケンスに比してより効率的にシース8上に浮遊していたパーティクル9をウェハ2上に落ちることなく、排気することができる。
【0040】
<第4のシーケンス>
図2(e)は第4のシーケンスを示す。まず、ウェハ2をロードロックチャンバーから反応容器1内に搬送し、カソード電極3の上に載置する。そして、ウェハ処理時の所定の流量の反応ガスをガス導入口10から反応容器1内に導入する。
【0041】
図2(e)に示すように、所定の流量の反応ガスの導入を開始する際に、徐々にガス流量を増加させて所定の流量まで到達させる。図7(b)はマスフローコントローラの設定流量値の時間変化を示す。具体的には、図7(b)に示すように、まず、マスフローコントローラの設定値を10sccmに設定してガス導入を開始する。そして、ガス流量が10sccmで安定した後に、設定流量を20sccmにする。そして、設定流量を10sccmづつ増やして、導入開始から約5秒間程度をかけてガス導入流量を100sccmに到達させる。つまり、毎秒20sccmの昇流量速度でガス流量を増加させる。図6(b)はガス導入開始時のガス流量の時間変化を示すグラフである。ガス流量がウェハ処理時の所定の流量を超えることなく、所定の流量に到達することができる。なお、図6(a)は、従来シーケンスにおけるのガス導入開始時のガス流量の時間変化を示し、図7(a)は、従来のシーケンスにおけるマスフローコントローラの設定流量値の時間変化を示す。ガス導入開始時より所定のウェハ処理時のガス流量をマスフローコントローラに設定しておくことにより、ガス導入開始直後に所定の流量を上回る大量のガスが急激に流れることがわかる。
【0042】
次に、圧力調整機構である可変バルブ5の開度を調節して反応容器1内をウェハ処理時の所定の圧力に維持する。次に、反応容器内に配置されたカソード電極3に高周波電力を供給してプラズマ7の生成を開始する。次に、反応容器1内のカソード電極3上に配置されたウェハ2に対して所定のウェハ処理を行う。次に、所定のウェハ処理終了後に、高周波電力の供給を停止し、反応容器1内におけるプラズマ7の生成を終了する。図2(e)に示すように、プラズマ7の生成を終了する時に、ウェハ処理時の所定の流量のガスを継続的に導入する。
【0043】
第4のシーケンスによれば、ガス導入を開始直後からマスフローコントローラが安定駆動するまでの間に、ウェハ処理時の所定の流量を超えるガスが急激に導入されることがなくなる。したがって、チャンバー内壁に付着したパーティクル9などが舞い上がり、ウェハ2上に落下することを防止することができる。特に、図8に示すように、ガス導入口10のガス管の内壁に付着した反応生成物30がパーティクル9として剥がれて、ウェハ2上に落下することも防止できる。
【0044】
<第5のシーケンス>
図2(f)は、第5のシーケンスを示す。まず、ウェハ2をロードロックチャンバーから反応容器1内に搬送し、カソード電極3の上に載置する。そして、ウェハ処理時の所定の流量の反応ガスをガス導入口10から反応容器1内に導入する。図2(f)に示したように、所定の流量の反応ガスの導入を開始する際に、徐々にガス流量を増加させて所定の流量まで到達させる。また、反応ガスの反応容器1内への導入を開始する時に反応容器1内の圧力がウェハ処理時の所定の圧力に比して低くする。具体的には、反応ガスの導入を開始する前に、設定圧力をウェハ処理時の所定の圧力よりも低く設定して、圧力調整用の可変バルブ5をより広く開いて反応容器1内の圧力を低くしておく。そして、ガス導入開始後からウェハ処理時の所定の流量に到達するまでの間も、この圧力を維持するように可変バルブ5を動作させる。
【0045】
次に、圧力調整機構である可変バルブ5の開度を調節して反応容器1内をウェハ処理時の所定の圧力に維持する。次に、反応容器内に配置されたカソード電極3に高周波電力を供給してプラズマ7の生成を開始する。次に、反応容器1内のカソード電極3上に配置されたウェハ2に対して所定のウェハ処理を行う。次に、所定のウェハ処理終了後に、高周波電力の供給を停止し、反応容器1内におけるプラズマ7の生成を終了する。図2(f)に示すように、プラズマ7の生成を終了する時に、ウェハ処理時の所定の流量のガスを継続的に導入する。
【0046】
第5のシーケンスによれば、プラズマ生成の終了時に、所定の流量のガスを継続的に導入し続けることにより、シース8上に浮遊していたパーティクル9をウェハ2上に落ちることなく、継続的に導入されるガスとともに排気することができる。また、ガス導入を開始直後に、ウェハ処理時の所定の流量を超えるガスが急激に導入されることがなくなるため、チャンバー内壁に付着したパーティクル9などが舞い上がり、ウェハ2上に落下することを防止することができる。さらに、ガス導入を開始直後にガスの流れによりパーティクルが舞い上がってしまった場合でも、反応容器内の圧力が低く保たれているので、導入されたガスとともに排気することができる。さらに、ガス導入開始時の圧力は低ければ低いほど、パーティクルの落下を防ぐ効果は増す。
【0047】
<第6のシーケンス>
次に、第6のシーケンスは、第1のシーケンスと同様に、まず、ウェハ2をロードロックチャンバーから反応容器1内に搬送し、カソード電極3の上に載置する。そして、ウェハ処理時の所定の流量の反応ガスをガス導入口10から反応容器1内に導入する。ガス導入を開始する際のマスフローコントローラの設定流量はウェハ処理時の所定の流量である100sccmである。次に、圧力調整機構である可変バルブ5の開度を調節して反応容器1内をウェハ処理時の所定の圧力に維持する。次に、反応容器内に配置されたカソード電極3に高周波電力を供給してプラズマ7の生成を開始する。次に、反応容器1内のカソード電極3上に配置されたウェハ2に対して所定のウェハ処理を行う。次に、所定のウェハ処理終了後に、高周波電力の供給を停止し、反応容器1内におけるプラズマ7の生成を終了する。第6のシーケンスでは、プラズマ7の生成を開始する直前あるいはプラズマの生成を終了する時に、ウェハ上にウェハに平行なガスの流れを形成する。
【0048】
図3は第6のシーケンスに係わるプラズマ処理装置を示す。図3に示すように、ウェハ2上にウェハ2に平行なガスの流れを形成するためには、反応容器1の側面に側面ガス導入口11を配設し、プラズマ7の生成を開始する直前あるいはプラズマ7の生成を終了する時に限りガスを導入すればよい。また、導入するガスはガス導入口10から導入される同種の反応ガスを導入すればよい。あるいは、不活性ガスなどの反応ガス種とは異なるガス種を導入してもよい。さらに、図3に示すように、側面ガス導入口11から導入されるガスの流れ行く先に、可変バルブ5が配置された排気口があることが望ましい。つまり、側面ガス導入口11はガスの流れが排気口に向かうように配置されることが望ましい。
【0049】
第6のシーケンスによれば、ウェハ2上にウェハ2に平行なガスの流れにより、プラズマ7の生成を開始する前にウェハ2上に落下したパーティクル9を吹き飛ばして除去することができる。また、プラズマ7の生成を終了する時にシース8上に浮遊したパーティクル9をガスの流れに乗せて除去することができる。
【0050】
<実験結果>
次に、第1乃至第4のシーケンス及び従来のシーケンスにしたがって行われた有機反射防止膜をマスクとしたアルミニウム(Al)配線のプラズマエッチング処理の実験結果について説明する。
【0051】
図5に処理基板であるウェハの構造を示す。シリコン基板20上に膜厚が1μmのシリコン酸化膜21が堆積され、その上に、膜厚が20nmのチタン(Ti)膜22および膜厚が70nmの窒化チタン膜(TiN)23からなるバリアメタルが堆積されている。さらに、主成分がアルミニウムからなり、0.5%の銅(Cu)を含んだ配線膜24が堆積され、その上に反射防止膜として、膜厚が20nmのTi膜25及び膜厚が60nmのTiN膜26が堆積されている。さらに、有機反射防止膜27が堆積され、その上に通常のリソグラフィ技術を用いて露光、現像を行い、選択的に堆積された0.20μm幅のラインアンドスペースを有するレジストパターン28が形成されている。
【0052】
本実験は、まず、有機反射防止膜17を加工した後、Al配線積層膜のプラズマエッチング処理を行った。次に、レジスト28を剥離し、後処理を施した。そして、欠陥検査装置をもちいてAl配線パターンの欠陥数を調べる欠陥検査を行い、さらに電気測定による配線短絡検査を行った。欠陥検査とは、ウェハ上に同一パターンを複数形成し、規則的なパターンの繰り返しに対して、異物、異形状などを検出する検査であり、通常、その異物、異形状は、パターンくずれ、ゴミ等による。
【0053】
実験結果を図9に示す。欠陥数は、欠陥検査においてNGパターンとなったパターンの数を示す。また、短絡試験結果は、歩留まりを示す。図9に示すように、従来のガス導入シーケンスに比べ、本発明に係わる第1乃至第4のシーケンスはどれもパーティクル起因による欠陥が少なく、また短絡試験でも良好な結果が得られた。
【0054】
以上、本発明の実施の形態についてドライエッチング装置を例にとり説明したが、処理基板を電極上に配置し、プロセスガスを処理室内に導入し、高周波を印加することによってプラズマを生成、処理する装置プラズマ処理装置、例えば、スパッタ装置、プラズマCVD装置においても同様な効果が得られることは容易に推定できる。また、プラズマの生成方法は、平行平板型、誘導結合型、あるいは電子サイクロトロン共鳴型などのいずれの方式においても適用できる。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、プラズマ処理の前後において処理基板上に落下するパーティクルを低減し、パーティクルの少ない半導体装置の製造方法を提供することができる。
【0056】
また本発明によれば、製造歩留まりの高い半導体装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係わるガス導入及び反応容器内の圧力のシーケンスを示す図である(その1)。
【図2】本発明の実施の形態に係わるガス導入及び反応容器内の圧力のシーケンスを示す図である(その2)。
【図3】本発明の実施の形態に係わるプラズマ処理装置の構成を示す断面図である(その1)。
【図4】図4(a)は、パーティクルの挙動の観察実験に係わるプラズマ処理装置の構成を示す断面図であり、図4(b)は、パーティクルの挙動の観察実験に係わるプラズマ処理装置の構成を示す平面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係わる処理基板の構造を示す断面図である。
【図6】図6(a)は、従来のシーケンスにおけるガス導入開始直後のガス流量の時間変化を示すグラフであり、図6(b)は、第4のシーケンスにおけるガス導入開始直後のガス流量の時間変化を示すグラフである。
【図7】図7(a)は、従来のシーケンスにおけるガス導入開始時のマスフローコントローラのガス流量設定値の時間変化を示す図であり、図7(b)は、第4ののシーケンスにおけるガス導入開始時のマスフローコントローラのガス流量設定値の時間変化を示す図である。
【図8】ガス導入口の内壁に付着した反応生成物を説明する図である。
【図9】本発明の実施の形態に係わる第1乃至第4のシーケンス及び従来のシーケンス係わる実験結果を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態に係わるプラズマ処理装置の構成を示す断面図である(その2)。
【符号の説明】
1 反応容器
2 ウェハ
3 電極
4 真空ポンプ
5 可変バルブ
6 高周波電源
7 プラズマ
8 シース
9 パーティクル
10 ガス導入口
11 側面ガス導入口
12 窓
13 レーザ
14 反射ミラー
15 散乱光
16 CCDカメラ
17 モニター
18 ビデオ
19 レーザ走査範囲
30 反応生成物
Claims (1)
- 反応容器内に処理基板を載置する工程と、
所定の流量のエッチングガスを前記反応容器内に導入する工程と、
前記反応容器内を所定の圧力に維持する工程と、
前記反応容器内に配置された電極に高周波電力を供給して、プラズマの生成を開始する工程と、
前記反応容器内に配置された前記処理基板に対して、エッチングを行う工程と、
前記エッチング終了後に、前記高周波電力の供給を停止し、前記プラズマの生成を終了する工程とを少なくとも有する半導体装置の製造方法であって、
前記エッチング終了後、前記高周波電力の停止前から停止後所定期間にわたり、前記反応容器内の圧力を前記エッチング時の圧力より低くし、かつ、前記エッチング終了後、前記所定期間経過まで前記エッチングガスの導入量を維持することを特徴とする半導体装置の製造方法。
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