JP4130099B2 - 排ガス中の尿素類の分解除去方法、排ガスの処理方法および排ガス処理装置 - Google Patents

排ガス中の尿素類の分解除去方法、排ガスの処理方法および排ガス処理装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排ガス中に含まれる尿素類を分解し、除去する排ガス中の尿素類の分解除去方法、および該方法に適した排ガス処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、化学製品の工場等から排出される排ガス中に含まれる尿素類は、酸の水溶液を使用して中和し、硫酸アンモニウム等に変換した後処理する方法が採られてきた。しかし、この処理方法では、水溶液中に移行した硫酸アンモニウム等を別途処理するための排水処理設備が必要となる。
【0003】
近年では、環境に対する意識の高まりとともに排ガス中に含まれる化学物質に対する各種の規制も厳しくなる傾向にある。尿素のように比較的毒性の低い物質についても、未処理のまま環境中に放出するのではなく、最終的に窒素まで分解した後大気等に放出することが望まれている。しかし、これまでのところ、排ガス中に含まれる尿素類を排ガスの処理設備の中で分解する効率的な処理方法は提案されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、排ガス中に含まれる尿素類を最終的に分解除去する方法、および該方法に適した排ガス処理装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の排ガス中の尿素類の分解除去方法の発明は、排ガス中に含まれる尿素類を加水分解してアンモニアに変換し、該アンモニアを酸化分解して窒素に変換することを特徴とする。
この排ガス中の尿素類の分解除去方法の発明によれば、排ガス中に含まれる尿素類を加水分解することで、熱分解させた場合に生ずる副反応を避けながら、高い変換効率で尿素類をアンモニアに変換できる。生成したアンモニアは酸化分解することにより、窒素に変換できるため、排ガス中の尿素類を排ガス処理設備の中で最終的に窒素と水と二酸化炭素まで分解して無害化できる。
【0006】
請求項2に記載の排ガス中の尿素類の分解除去方法の発明は、排ガスから尿素類を分離した後、該尿素類を加水分解してアンモニアに変換し、該アンモニアを排ガス中に導入して排ガス中で酸化分解して窒素に変換することを特徴とする。
この排ガス中の尿素類の分解除去方法の発明によれば、排ガス中に含まれる尿素類を加水分解することで、熱分解させた場合に生ずるような副反応を避けながら、高い変換効率で尿素類をアンモニアに変換できる。生成したアンモニアは排ガス中に導入して酸化分解せしめることにより、窒素に変換できるため、排ガス中の尿素類を排ガス処理設備の中で最終的に窒素と水と二酸化炭素まで分解して無害化できる。また、排ガス中に窒素酸化物が含まれている場合でも、アンモニアの接触還元作用により分解が可能になるという副次的効果も得られる。
【0007】
請求項3に記載の排ガス中の尿素類の分解除去方法の発明は、請求項2において、排ガス中からの尿素類の分離を、水に吸収させて行うことを特徴とする。 この特徴によれば、排ガス中からの尿素類の分離を、水に吸収させて行うことにより、以下に述べるように、尿素分解除去プロセス全体の効率を各段に向上させることができる。
まず第1に、本発明の排ガス中の尿素類の分解除去方法では、副生物の生成を避けるため加水分解によって尿素をアンモニアに変換する工程を必須とするが、尿素類を分離するために使用する水は、そのまま加水分解に利用できる。つまり、尿素類の吸収に用いる水は、加水分解における水の供給源となるため、加水分解工程で別途水を供給する必要がなくなるか、新たに供給する量を大幅に削減できる。
【0008】
第2に、尿素類の加水分解工程におけるアンモニアへの変換効率を十分なものとするためには、尿素類と水との接触機会を十分確保することが要求される。したがって、加水分解工程で別途水を供給する場合には、尿素類と水との混合が大きな課題となる。本発明方法では、予め尿素類を水に吸収させておくことにより、上記要求を満足できる。
【0009】
さらに、水への尿素類の吸収の際に尿素を濃縮するようにした場合は、尿素類の濃度が高い状態でアンモニアへ変換することが可能になるので、アンモニアへの変換効率が格段に向上するとともに、加水分解設備も小型化できる。
【0010】
請求項4に記載の排ガス中の尿素類の分解除去方法の発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項において、アンモニアの酸化分解を、アンモニア分解触媒と脱硝触媒を用いて行うことを特徴とする。
【0011】
この特徴によれば、アンモニアの酸化分解を、アンモニア分解触媒と脱硝触媒を用いて行うことにより、アンモニアの酸化分解だけでなく、アンモニアの酸化分解過程で副反応により不可避的に生成する窒素酸化物を、脱硝触媒の作用によりアンモニアと反応させて効率よく窒素まで還元することができる。また、アンモニアに変換されずに排ガス中に残った尿素類も脱硝触媒によって効率よく分解できる。
【0012】
請求項5に記載の排ガスの処理方法の発明は、排ガスと水を接触させ、排ガス中に含まれる尿素類を水に吸収させて除去し、尿素類が除去された排ガスの一部または全部に、尿素類を加水分解してアンモニアとして再導入し、該アンモニアを含む排ガスを酸化触媒により処理し、アンモニアを酸化分解して窒素に変換することを特徴とする。
この排ガスの処理方法の発明によれば、まず第1に、排ガス中に含まれる尿素類を水に吸収させることにより、効率的に捕集することができるとともに、必要に応じて濃縮することも容易にできる。
第2に、水に吸収された尿素類はそのまま加水分解工程でアンモニアに変換できる。つまり、別途水との混合手段を設ける必要がない。
第3に、尿素類が除去された排ガスの一部または全部に、加水分解で得られたアンモニアを再導入し、排ガス中で酸化分解することにより最終的に窒素まで分解できるので、排ガス処理設備の中で効率良く尿素類を除去できる。
【0013】
請求項6に記載の排ガスの処理方法の発明は、請求項5において、酸化触媒として、アンモニア分解触媒と脱硝触媒とを用いることを特徴とする。
この特徴によれば、酸化触媒として、アンモニア分解触媒と脱硝触媒とを用いることにより、アンモニアの酸化分解だけでなく、アンモニアの酸化分解過程で副反応により不可避的に生成する窒素酸化物を、脱硝触媒の作用によりアンモニアと反応させて効率よく窒素まで分解することができる。また、アンモニアに変換されずに排ガス中に残った尿素類も脱硝触媒によって効率よく分解できる。さらに、排ガス中に窒素酸化物が含まれている場合でも、アンモニアの作用により接触還元して分解が可能になるという副次的効果も期待できる。
【0014】
請求項7に記載の排ガス処理装置の発明は、排ガスと水とを接触させ、排ガス中に含まれる尿素類を水に吸収させる捕集手段と、尿素類が除去された排ガスに、尿素類を加水分解してアンモニアとして導入する導入手段と、該アンモニアが導入された排ガスを処理するためのアンモニア分解触媒および脱硝触媒を備えた触媒反応手段と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
この排ガス処理装置の発明は、尿素類を含む排ガス処理に適しており、排ガス中の尿素類を窒素と水と二酸化炭素まで効率よく分解して除去できる装置である。
すなわち、まず捕集手段によって、排ガス中の尿素類を水に吸収させることにより、尿素分解プロセス全体としての効率を高めることができる。つまり、尿素類の吸収に用いる水は、加水分解における水の供給源となるため、別途水を供給する装置を設ける必要がない。また、予め尿素類を水に吸収させておくことにより、水と尿素類との接触、混合が十分に行われ、別途混合手段を設けなくても加水分解効率を高めることができる。
【0016】
さらに、捕集手段として、例えば循環式のスクラバー等を用いた場合には、水への吸収の際に尿素を濃縮することが可能になり、尿素類の濃度が高い状態でアンモニアへ変換できるようになるので、変換効率の向上と加水分解設備の小型化が可能になる。
【0017】
またさらに、触媒反応手段として、アンモニア分解触媒と脱硝触媒とを備えることにより、アンモニアの酸化分解過程で副反応により不可避的に生成する窒素酸化物を、脱硝触媒の作用によりアンモニアと反応させて効率よく窒素まで分解することができる。また、アンモニアに変換されずに排ガス中に残った尿素類も脱硝触媒によって効率よく分解できる。さらに、排ガス中に窒素酸化物が含まれている場合でも、アンモニアの作用により接触還元して分解が可能になるという副次的効果も期待できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明に係る排ガス中の尿素類の分解除去方法は、排ガス中に含まれる尿素類を加水分解してアンモニアに変換し、該アンモニアを酸化分解して窒素に変換することにより実施できる。
【0019】
本発明における「排ガス」は、尿素を含む排ガスであれば特に制限はなく、例えば、合成樹脂製品の製造、加工工程等で排出される尿素含有排ガスが対象となる。排ガス中に含まれる尿素類の量は、例えば、1000ppm程度あるいはそれ以上の濃度でも十分に処理できる。
【0020】
本発明において「尿素類」とは、尿素のほか、尿素の関連化合物としてのシアヌル酸、メラミン、ビュウレット等が含まれる。
【0021】
尿素類は、排ガス中に含まれた状態で加水分解してもよいが、排ガスから一旦分離して加水分解することもできる。排ガス中に含まれた尿素類を直接加水分解する場合は、排ガス中に水を注入し、所定温度(後記)まで加熱すればよい。
【0022】
<尿素類の分離>
排ガスから尿素類を分離する場合には、スクラバー等の既知のガス洗浄設備を利用して分離操作を行うことができるが、尿素は水への溶解性が高いので、水に吸収させて分離することが好ましい。また、尿素の吸収に使用した水は、後に行う加水分解工程における水分の供給源ともなる。この際、尿素が水に溶解し十分混合状態にあることから、アンモニアへの変換効率を向上させ得る。したがって、例えばスクラバー等を用いて排ガス中の尿素類を水に吸収させて分離することが好ましく、水中の尿素濃度を高める(濃縮する)ことが可能な循環形式のスクラバーであればより好ましい。また、尿素類の溶解量は水の温度が高いほど増加するので、吸収に使用する水としては30〜50℃程度の温水が好ましい。
【0023】
<尿素類の加水分解>
尿素類は、水の存在下で加熱することにより、次に示す反応式(I)に基づき加水分解してアンモニアに変換することができる。
【0024】
【化1】
Figure 0004130099
尿素は水の存在下では、式(I)に示すように加水分解してアンモニアと二酸化炭素を生成するが、水が存在しない場合、緩熱条件では式(II)に示すようにアンモニアに加えてビュウレット、さらにはメラミンを生成し、急熱条件では式(III)に示すようにアンモニアに加えてシアヌル酸、さらにはイソシアン酸を生成する。本発明で加水分解を行うのは、式(I)の反応を選択的に生ぜしめ、式(II)や式(III)の反応を回避して、イソシアン酸などを生成させることなく、排ガス中の尿素を効率良くアンモニアへ変換するためである。
【0025】
尿素類の加水分解は、例えば、適切な触媒の存在下90〜110℃程度の温度で水を作用させる方法や、触媒を用いずに200℃〜450℃程度の温度で水を作用させる方法により行うことができる。尿素類の加水分解に使用可能な触媒としては、例えば、アルミナ、シリカ、チタニア等の金属酸化物、アルカリ金属の水酸化物(例えばNaOH、KOHなど)、アルカリ金属の炭酸塩(例えばNaCO、KCOなど)、アルカリ金属の珪酸塩(例えば、NaSiO、KSiOなど)、ゼオライト等が挙げられる。これらの加水分解触媒の中でも、アンモニアへの高い変換効率が期待できるゼオライトを用いることが好ましい。
【0026】
<アンモニアの酸化分解>
尿素類の加水分解により生成したアンモニアは、酸化分解して窒素に変換する。具体的には、排ガス中で尿素類をアンモニアに変換した後、あるいは尿素類が除去された排ガス中にアンモニア(尿素類の加水分解により生成)を導入した後、200〜450℃の温度条件で酸化触媒により処理する。
【0027】
酸化触媒としては、既知のアンモニア分解触媒と脱硝触媒を組み合わせて使用することが好ましい。アンモニア分解触媒としては、例えばMnOをTiOに担持させたマンガン系触媒や、PtをAlに担持させた白金系触媒などを用いることが好ましい。脱硝触媒としては、例えばVとWOをTiOに担持させたV−W−Ti系触媒などを用いることが好ましい。このように、アンモニア分解触媒と脱硝触媒とを組み合わせて用いることにより、アンモニアの分解作用に加えて窒素酸化物の脱硝作用が期待できる。
【0028】
すなわち、アンモニア分解触媒によるアンモニアの分解反応は、以下の反応式(IV)に基づき進行する。しかし、副反応として式(V)の反応も生じ、一定量の窒素酸化物(NO)が不可避的に生ずると考えられる。また、排ガス中に尿素の他に窒素酸化物が含まれている場合もありうる。反応式(VI)は、アンモニアの選択的接触還元による窒素酸化物の分解反応(脱硝反応)である。
【0029】
【化2】
Figure 0004130099
マンガン系触媒などのアンモニア分解触媒は、窒素酸化物の分解作用はほとんど持たないので、脱硝触媒を組み合わせて用い、式(VI)の反応を起こさせることにより、生成した(あるいは排ガス中に存在する)窒素酸化物を窒素まで分解することができる。なお、脱硝触媒自体もアンモニアの分解作用を有することが多いが、その反応速度は緩慢であるため、脱硝触媒単独で用いるよりも、アンモニア分解触媒と組み合わせて用いることが好ましい。
【0030】
また、脱硝触媒は、尿素類を直接分解する作用も併せ持つため、排ガス中に未分離の尿素類が少量含まれていたり、処理過程で尿素関連物質が生成したりした場合でも、脱硝触媒により窒素まで分解できることが期待される。
【0031】
アンモニア分解触媒および脱硝触媒による排ガスの処理温度は、200〜450℃程度であり、好ましくは250〜350℃、望ましくは250〜320℃である。上記(IV)〜(VI)の反応式から理解できるように、アンモニアの分解により生じた窒素酸化物を脱硝触媒を用いて効率良く分解するためには、排ガスの流れ方向の上流にアンモニア分解触媒を配置し、その後(下流側)に脱硝触媒を配置することが好ましい。
以上のアンモニア分解触媒と脱硝触媒による処理により、アンモニアは窒素まで分解されるので、排ガス中の尿素類を確実に分解、除去することができるようになる。
【0032】
次に、図面に基づき本発明の実施の形態をさらに詳しく説明する。
図1は、本発明の1実施形態に係る排ガス処理装置100の全体構成を示す図面である。この排ガス処理装置100は、尿素類を含む排ガスから尿素類を除去する目的に適した装置である。排ガス処理装置100は、排ガス60と水50とを接触させ、排ガス60中に含まれる尿素類を水50に吸収させる捕集手段としての吸収塔10、該吸収塔10を通過することにより尿素類が除去された排ガス(1次処理ガス61)に尿素類を加水分解してアンモニアとして導入する導入手段としての気化器23、該気化器23より上流側に燃焼部21を備えたインラインバーナー等の加熱装置20、並びに、1次処理ガス61中のアンモニア等を窒素まで分解するためのアンモニア分解触媒部31とアンモニアの分解の過程で生じる窒素酸化物等を分解する脱硝触媒部33とからなる触媒反応手段としての反応塔30を主要な構成として備えている。
【0033】
また、図1中、符号41は排ガス60を装置内に導入するためのブロア、符号49は清浄ガスを装置外へ導出するためのブロアであり、さらに、符号43は吸収塔10の水を循環させるためのポンプであり、符号47は吸収塔10から排出された1次処理ガス61に、反応塔30から排出された清浄ガスの熱を付与して予熱するための熱交換器である。また、符号65は1次処理ガス流路、符号67はアンモニア添加ガス流路、符号69は清浄ガス流路、符号71は水循環経路、符号73は尿素水経路を、それぞれ示す。
【0034】
吸収塔10としては、既知の構成のスクラバーを用いることができる。スクラバーの代表的な例を図2に示す。図2(a)は充填塔式スクラバー11Aの例を示すものであり、同図(b)はスプレー塔式スクラバー11Bの例を示している。
図2(a)に例示した充填塔式スクラバー11Aは、内部にポールリング、テラレット、ハイレックス等の充填物12を備えており、排ガス60は、装置下部のガス導入口14より導入されて上部のガス排出口16から排出される。水50は上部の水導入口15より導入されて塔内を流下するように構成されているので、気液向流状態で効率良く接触が行われ、尿素類が水に吸収される。
【0035】
図2(b)のスプレー塔式スクラバー11Bは、装置内の上部に噴霧器13を備えており、ここから水50が微細粒子として噴霧拡散される。排ガス60は、装置下部のガス導入口14より導入されて上部のガス排出口16から排出されるので、気液向流状態で効率良く接触が行われ、尿素類が水に吸収される。
【0036】
図2(a)、(b)に例示する以外にも、例えば、多孔板製棚段を所定間隔で水平に複数段配備したトレイ方式スクラバーや、多数の溝を有する波型エレメントを所定間隔で傾斜配置したスキー方式スクラバー、管径を絞ったスロート部を介して排ガス60と水50を噴霧状に導入して高速で壁面や液面に衝突させるベンチュリー式スクラバー等の既知のスクラバーを利用することができる。
【0037】
気化器23としては、例えば既知のインジェクションノズル等を使用できるが、尿素類を含む水を気化するため、ステンレス等の材質のものを用いることが好ましい。図3に、気化器23の好ましい例を示す。この気化器23は、尿素水導入管27が挿入されたケーシング25の内部にゼオライト等の触媒80が配備されたものであり、触媒80の作用により尿素類からアンモニアへの加水分解反応が効率的に行われる。そして、アンモニアへの変換効率に優れる結果として、加熱装置20からアンモニア添加ガス流路67に至る加水分解反応領域を小さくすることができ、装置全体の小型化が可能になる。かかる構成の気化器23の具体例としては、特開平10−244131号公報に記載されたものを挙げることができる。
【0038】
触媒反応手段としての反応塔30は、アンモニア分解触媒部31と、脱硝触媒部33とを備えたものである。アンモニア分解触媒としては、MnO/TiO、脱硝触媒としてはV・WO/TiOを、それぞれ1:2の体積で使用している。なお、図1では、反応塔30は一体型であるが、アンモニア分解触媒部31と脱硝触媒部33とを別塔に配置してもよい。
【0039】
上記のような構成の排ガス処理装置100において、例えば1000ppm程度の尿素類を含む排ガス60は、ブロア41によって吸収塔10の下部より導入され吸収塔10内を上昇する。ここで、吸収塔10の入口における排ガス60の温度は、例えば100〜110℃程度であり、流量は1000〜3000m/hである。一方、水(30〜50℃の温水)は、吸収塔10の上部から導入され、吸収塔10内を流下する。この過程で、気液接触が十分に行われ、排ガス60中の尿素類は水に吸収される。なお、吸収塔10の形式に応じて、水と排ガス60の導入位置は任意に選択できるので、図1のように気液向流方式に限らず、気液並流方式にすることも可能である。
【0040】
水50は、水循環経路71によって吸収塔10を繰返し通過するため、排ガス60中の尿素類を濃縮することが可能であり、吸収塔10出口における尿素濃度を32重量%程度まで高めることができる。このように、水50への尿素類の吸収の際に尿素を濃縮するようにした場合は、尿素類の濃度が高い状態でアンモニアへ変換することが可能になるので、アンモニアへの変換効率を格段に向上させることができるとともに、加水分解設備を小型化することが可能になる。
【0041】
図1において、吸収塔10の上部から排出された1次処理ガス61(尿素類が略除去されている)は、1次処理ガス流路65を通って加熱装置20に導入される。吸収塔10を通過した1次処理ガス61は、水温近くまで冷やされた状態にあるので、1次処理ガス流路65の途中に配備された熱交換器47において後述する反応塔30から排出された清浄ガスと熱交換を行うことにより、150〜200℃程度まで予備加熱される。
【0042】
1次処理ガス61は、加熱装置20で200〜450℃程度、好ましくは250〜350℃、望ましくは250〜320℃まで加熱される。吸収塔10の水循環経路71から分岐された尿素水経路73を通じて運ばれた尿素水(尿素類が溶解した水)51は、気化器23内でアンモニアに加水分解されて1次処理ガス61中に導入される。
すなわち、気化器23は、図3に示すように、加熱された1次処理ガス61中に挿入配備されており、尿素水51は、尿素水導入管27を通じてケーシング25内に導入される。そして、周囲を取り巻く高温の1次処理ガス61により熱せられて気化するとともに、触媒80の作用により尿素類の加水分解が速やかに進行し、前記式(I)の反応によりケーシング25内でアンモニア(ガス)に効率良く変換される。生成したアンモニアガスは、図3に示すように、ケーシング25に設けられた排出部29より1次処理ガス61中に排出される。なお、尿素類は、水分の存在下で200〜450℃に加熱することにより加水分解するため、気化器23における触媒80は必須ではないが、尿素類からアンモニアへの変換効率は尿素の分解効率に大きな影響を与えるので、触媒80を使用することが望ましい。
【0043】
アンモニアを含む排ガスは、アンモニア添加ガス流路67を通じて反応塔30に導入され、順次アンモニア分解触媒部31と脱硝触媒部33において処理され、前記した反応式(IV)、(VI)の反応を経てアンモニアが最終的に窒素まで分解される。
【0044】
反応塔30から排出された清浄ガスは、ブロア49に吸引され、清浄ガス流路69を通じて大気中に放出される。この際、清浄ガスの熱量は、熱交換器47により1次処理ガス61の予熱として有効利用される。
【0045】
以上、本発明を種々の実施形態に関して述べたが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、他の実施形態についても適用されるものであることは勿論である。
【0046】
【発明の効果】
本発明の排ガス中の尿素類の分解除去方法によれば、排ガス中に含まれる尿素類を加水分解することで、熱分解させた場合に生ずる副反応を回避し、高い変換効率で尿素類をアンモニアに変換できる。生成したアンモニアは酸化分解することにより、窒素に変換できるため、排ガス中の尿素類を窒素と水と二酸化炭素まで分解できる。
【0047】
本発明の排ガスの処理方法によれば、まず第1に、排ガス中に含まれる尿素類を水に吸収させることにより、効率的に捕集することができるとともに、必要に応じて容易に濃縮することもできる。第2に、水に吸収された尿素類はそのまま加水分解工程でアンモニアに変換できる。つまり、別途水との混合手段を設ける必要がない。第3に、尿素類が除去された排ガスの一部または全部に、加水分解で得られたアンモニアを再導入し、排ガス中で酸化分解することにより最終的に窒素まで分解できるので、効率良く尿素類を除去できる。
【0048】
本発明の排ガス処理装置によれば、排ガス中の尿素類を窒素と水と二酸化炭素まで効率よく分解して除去できる。すなわち、まず捕集手段によって、排ガス中の尿素類を水に吸収させることにより、尿素分解プロセス全体としての効率を高めることができる。つまり、尿素類の吸収に用いる水は、加水分解における水の供給源となるため、別途水を供給する装置を設ける必要がない。また、予め尿素類を水に吸収させておくことにより、水と尿素類との接触、混合が十分に行われ、別途混合手段を設けなくても加水分解効率を高めることができる。さらに、捕集手段として、例えば循環式のスクラバー等を用いた場合には、水への吸収の際に尿素を濃縮することが可能になり、尿素類の濃度が高い状態でアンモニアへ変換できるようになるので、変換効率の向上と加水分解設備の小型化が可能になる。またさらに、触媒反応手段として、アンモニア分解触媒と脱硝触媒とを備えることにより、アンモニアの酸化分解過程で副反応により不可避的に生成する窒素酸化物を、脱硝触媒の作用によりアンモニアと反応させて効率よく窒素まで分解することができる。また、アンモニアに変換されずに排ガス中に残った尿素類も脱硝触媒によって効率よく分解できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施形態に係る排ガス処理装置の概要を説明する図面。
【図2】吸収塔の説明の供する図面であり、(a)は充填塔式スクラバー、(b)はスプレー塔式スクラバーを示す模式図。
【図3】気化器の説明に供する模式図。
【符号の説明】
10 吸収塔
11A 充填塔式スクラバー
11B スプレー塔式スクラバー
12 充填材
13 噴霧装置
14 ガス導入口
15 水導入口
16 ガス排出口
17 水排出口
20 加熱装置
21 燃焼部
23 気化器
25 ケーシング
27 尿素水導入管
29 排出部
30 反応塔
31 アンモニア分解触媒部
33 脱硝触媒部
41 ブロア
43 ポンプ
45 弁
47 熱交換器
49 ブロア
50 水
51 尿素水
60 排ガス
61 1次処理ガス
65 1次処理ガス流路
67 アンモニア添加ガス流路
69 清浄ガス流路
71 水循環経路
73 尿素水経路
80 触媒
100 排ガス処理装置

Claims (7)

  1. 排ガス中に含まれる尿素類を加水分解してアンモニアに変換し、該アンモニアを酸化分解して窒素に変換することを特徴とする、排ガス中の尿素類の分解除去方法。
  2. 排ガスから尿素類を分離した後、該尿素類を加水分解してアンモニアに変換し、該アンモニアを排ガス中に導入して排ガス中で酸化分解して窒素に変換することを特徴とする、排ガス中の尿素類の分解除去方法。
  3. 請求項2において、排ガスからの尿素類の分離を、水に吸収させて行うことを特徴とする、排ガス中の尿素類の分解除去方法。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項において、アンモニアの酸化分解を、アンモニア分解触媒と脱硝触媒を用いて行うことを特徴とする、排ガス中の尿素類の分解除去方法。
  5. 排ガスと水を接触させ、排ガス中に含まれる尿素類を水に吸収させて除去し、
    尿素類が除去された排ガスの一部または全部に、尿素類を加水分解してアンモニアとして再導入し、
    該アンモニアを含む排ガスを酸化触媒により処理し、アンモニアを酸化分解して窒素に変換することを特徴とする、排ガスの処理方法。
  6. 請求項5において、酸化触媒として、アンモニア分解触媒と脱硝触媒とを用いることを特徴とする、排ガスの処理方法。
  7. 排ガスと水とを接触させ、排ガス中に含まれる尿素類を水に吸収させる捕集手段と、
    尿素類が除去された排ガスに、尿素類を加水分解してアンモニアとして導入する導入手段と、
    アンモニアが導入された排ガスを処理するためのアンモニア分解触媒および脱硝触媒を備えた触媒反応手段と、
    を備えた排ガス処理装置。
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