JP4130027B2 - 駅構内入換計画作成装置 - Google Patents

駅構内入換計画作成装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4130027B2
JP4130027B2 JP35827698A JP35827698A JP4130027B2 JP 4130027 B2 JP4130027 B2 JP 4130027B2 JP 35827698 A JP35827698 A JP 35827698A JP 35827698 A JP35827698 A JP 35827698A JP 4130027 B2 JP4130027 B2 JP 4130027B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
network
time
line
station premises
train
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP35827698A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000177590A (ja
Inventor
規雄 富井
利剣 周
直登 福村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Railway Technical Research Institute
Original Assignee
Railway Technical Research Institute
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Railway Technical Research Institute filed Critical Railway Technical Research Institute
Priority to JP35827698A priority Critical patent/JP4130027B2/ja
Publication of JP2000177590A publication Critical patent/JP2000177590A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4130027B2 publication Critical patent/JP4130027B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Train Traffic Observation, Control, And Security (AREA)
  • Management, Administration, Business Operations System, And Electronic Commerce (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、駅構内に配線された線路における車両の入換作業のスケジュール(以下「駅構内入換計画」という。)を作成する駅構内入換計画作成技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
一時的な車両留置用の引上線に列車を移動させる作業のように、車両を他の線路へ移動させる作業が行われる駅については、どの車両を、どの線路に、いつ移動させるかを定めておく必要があるため、その作業スケジュールを計画して駅構内入換計画を作成することが行われる。かかる駅構内入換計画は、ダイヤ改正時に作成される列車ダイヤ(基本ダイヤ)や臨時列車が運転される場合に作成される列車ダイヤ(実施ダイヤ)等に合わせて作成される。
【0003】
列車ダイヤでは駅における列車の到着及び出発の時刻や番線等が定められており、駅に着いた列車が折り返しどの列車になるかは車両運用によって定められている。駅構内入換計画としては、その車両運用による列車ダイヤを守ったものを作成することが求められる。ここで、列車ダイヤに従った列車の着発ないし番線等を物理的に実現可能とするためには、列車が定められた時刻に定められた番線に出現可能でなければならないので、そのための入換作業を規定した駅構内入換計画が作成可能でないと列車ダイヤ自体が実行不能となる。従って、駅構内入換計画は鉄道において極めて重要な位置を占めるものとなっており、列車ダイヤを守った駅構内入換計画を作成することが要求される。
【0004】
従来、かかる駅構内入換計画の作成は人手によって行われていた。すなわち、作成者が、それぞれの駅における列車ダイヤや設備等についての条件を考慮しつつ、自らの知識や経験を活用して列車ダイヤを実行可能とする入換作業のスケジュールを模索することにより、駅構内入換計画を作成することとしていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、列車ダイヤは、一般に線区全体や他線区の列車との接続等、主として利用者の便を考慮して作成されるものである。すなわち、列車ダイヤは、必ずしも各駅の駅構内入換計画を念頭に置いて作成されるわけではないため、作成された列車ダイヤをすべて守った駅構内入換計画が作成可能であるという保証はない。ある駅で列車ダイヤを守った駅構内入換計画が作成不可能であれば、当該列車ダイヤはそのままでは実行できないので、列車ダイヤを修正せざるを得ないということになる。
【0006】
しかし、列車ダイヤは、その駅だけでなく、上述したように線区全体や場合によっては他線区の列車との接続等も考慮した上で決定されているので、一箇所の変更でも広範囲に影響することがあり、一般に修正は困難である。従って、列車ダイヤを修正するにしても変更は可能な限り少なくすることが望ましく、そのためには列車ダイヤを極力守った駅構内入換計画を作成する必要がある。
【0007】
一方、入換作業を実際に行う上では、引上線で車両が競合しないことや引上線への移動時間を守ること、そこへ到達するための進路が存在する引上線を使用すること、保安上要求される車両相互の移動時間間隔を確保すること等、様々な制約がある。駅構内入換計画の作成においては、上記列車ダイヤのみならず、これらの制約を満たすようにすることも考慮する必要があるので、従来における作成者は車両間の支障関係等を考慮しつつ入換時刻を決定して入換作業のスケジュールを模索しなければならなかった。
【0008】
このように、駅構内入換計画の作成は、列車ダイヤを極力守ったものを多様な制約のもとで作成しなければならないという極めて複雑な問題であり、これを人手によって行っていた従来においては、その作成に多大な労力と膨大な時間を要するという問題があった。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、駅構内入換計画を人手によらず自動的に、かつ、迅速に作成することを可能とし、ダイヤ改正作業等に要する労力の削減と時間の短縮等を図ることができる駅構内入換計画作成装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、予め定められた各車両の着発すべき駅構内の線路情報に基づき、各車両毎に各線路への着ないし各線路からの発を表すノードを各ノード間遷移の所要時間であって、車両の着発間の最小停車時間、異なる線路の入換時の転線時間、線路が空きになってから次に使用可能となるまでの時間、互いに支障する進路を使用するノード間の進路支障時間、開始ノードから列車ダイヤで定められた実行時刻までの時間、または、各線路の最後のノードからの終了ノードまでの時間のうち、少なくとも一つで重み付けしたアークにより遷移順序に従って結んだネットワークを作成するネットワーク作成手段と、それぞれの前記ノードにおける着発の実行可能な時刻範囲を前記アークの重み付に基づいて計算する時刻計算手段と、前記時刻計算手段により計算された時刻範囲が列車ダイヤを満たすかどうか評価する評価手段と、前記評価手段による評価に基づき、評価が良いネットワークをそれに応じた高い確率で選択するルーレット選択により、ネットワークを1つ選択する選択手段と、列車ダイヤを満たしていない時刻範囲のノードへ達するまでのネットワーク経路を、予め決められた変形操作のうちの少なくとも一つを用いて変更してネットワークを変形するネットワーク変形手段とを有し、前記ネットワーク作成手段が作成したネットワークについて前記時刻計算手段および評価手段による処理を行い、該評価手段による処理の結果、列車ダイヤを満たさないときは、前記ネットワーク作成手段が作成したネットワークを変形したネットワークを前記ネットワーク変形手段による変形に用いる前記変形操作を変えることで複数作成した後、作成した複数のネットワークについて前記時刻計算手段、評価手段による処理を行う処理と、前記選択手段にてネットワークを1つ選択する処理と、該ネットワークから再び変形したネットワークを前記ネットワーク変形手段による変形に用いる前記変形操作を変えることで複数作成する処理を行うことを繰り返し、前記評価手段による評価の結果、すべてのノードにおける前記時刻範囲が列車ダイヤを満たすネットワークが得られたとき、当該ネットワークで表現された車両の着発を前記駅構内における車両の入換計画とすることを特徴としている。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の駅構内入換計画作成装置において、前記評価手段は、列車ダイヤに加え、予め定められた線路間の前記転線時間を前記時刻計算手段により計算された時刻範囲が満たすかどうか評価し、前記選択手段は、前記評価手段による評価に基づき、列車ダイヤないし前記転線時間を満たさないネットワークを1つ選択し、前記ネットワーク変形手段は、前記選択手段により選択されたネットワークにおいて列車ダイヤないし前記転線時間を満たしていない時刻範囲のノードへ達するまでのネットワーク経路を変更し、すべてのノードにおける前記時刻範囲が列車ダイヤ及び前記転線時間を満たすネットワークが得られたとき、当該ネットワークで表現された車両の着発を前記駅構内における車両の入換計画とすることを特徴としている。
【0013】
請求項記載の発明は、請求項1〜のいずれかの項記載の駅構内入換計画作成装置において、前記ネットワーク変形手段は、それぞれ前記ネットワーク経路におけるいずれか1の箇所に予め決められた変形操作のうちの1つを1回施した複数のネットワークを作成することを特徴としている。
【0014】
請求項記載の発明は、請求項1〜のいずれかの項記載の駅構内入換計画作成装置において、各車両の前記駅構内への着番線と前記駅構内からの発番線とに応じて前記駅構内における各車両の着発すべき線路を予め定め、前記ネットワーク作成手段は、その定めと前記線路情報とに従って前記ネットワークを作成することを特徴としている。
【0015】
【発明の実施の形態】
<前提構成等>
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。初めに、本実施形態において駅構内入換計画の作成対象とする駅(本発明により駅構内入換計画を作成する駅の一具体例)の構成について説明する。
【0016】
その駅の線路の配線を図1に示す。この図において、ホームP1、P2は、それぞれ乗客が列車に乗降するプラットホームである。番線L1、L2、L3は、それぞれ列車が駅外から直接到着することのできる番線である。上り引上線UD、下り引上線DDは、それぞれ上り方向、下り方向の線路に接続され、到着した列車が折り返しになる場合等に一時的に車両を留置するために使用される引上線である。留置用番線LDは、プラットホームがないために列車の着発線としては使用されず、車両の一時留置のために使用される番線である。
【0017】
又、各線を結ぶ斜線は、それぞれの線路間を接続する経路(線路)であり、各接続点に進行方向を決定する分岐器(図示略)が設けられている。尚、上り引上線UD、下り引上線DD及び留置用番線LDは、いずれも車両の入換のために使用される線であるので、以下単に「引上線」というときにはこれら上り下りの引上線と留置用番線の双方を意味するものとする。
【0018】
このような配線において、必要に応じて車両の入換作業を行う。すなわち、入換とは、図示のような番線と引上線相互間、或いは、引上線相互間で車両を移動させることであり、入換が必要となる場合としては、到着列車の着番線とその列車が発車するときの発番線とが異なる場合や、着番線と発番線とが同じであっても着時刻と発時刻との間にその番線を他の列車が使用する場合等がある。又、一旦引上線に移動させた車両であっても、他に空いている引上線がない等の理由によりその引上線を他の車両が使用せざるを得ない場合には、更に別の引上線への入換を行う(以下、このような入換を「2段入換」という。)。
【0019】
図1の駅に対する駅構内入換計画の例を図2に示す。図2は作業ダイヤ図と呼ばれ、横軸方向の時間の経過に伴う車両の移動スケジュールを表現している。例えば、白抜数字“1”の部分は番線L1に列車が到着して横軸方向幅相当の時間停車した後に上り引上線UDへ移動することを示す。すなわち、この列車については、番線L1に到着してから所定時間停車させた後に上り引上線UDへ移動させ、所定時間留置した後に番線L3へ移動させ、所定時間経過後に発車させる(図中白抜数字“2”の部分)。図中他の部分で示してある列車についても同様であり、白抜数字を付した部分の列車について図示のような移動スケジュールが規定されている。
【0020】
以下に述べる駅構内入換計画作成では、以上の入換計画のように、入換が必要である車両に対して“どの引上線に入換を行うか”と“それぞれの入換の実行時刻(番線から引上線ないし引上線から番線への発時刻及び着時刻)”とを列車ダイヤで定められた時刻や番線等の条件から決定する。
【0021】
<基本原理>
次に、本実施形態における駅構内入換計画作成の基本的な原理について概説する。駅構内入換計画作成は、車両の引上線の占有を「作業」、列車の駅への着から発までの番線の占有と移動を1つの「プロジェクト」、番線と引上線を「資源」とみることによって、ある種の有限資源プロジェクトスケジューリング問題(Resource Constrained Project Scheduuling Problem;以下「RCPSP」という。)と捉えることができる。そこで、本実施形態では、構内入換計画作成を資源の割当て問題と資源使用時刻の決定問題、すなわち、引上線の使用計画(どの引上線を使うか)の決定問題と入換の実行時刻の決定問題とに分離する。
【0022】
そして、図3に示すように、前者の決定問題を所定の確率的選択手法(後述)により決定される近傍内の局所探索で解く。このときの探索空間は入換実行時刻を考慮しない入換手順(車両の番線ないし引上線間の移動順序のみ)の集合であり、これを局所探索して複数の使用計画を得る。尚、ここで得られる複数の使用計画は、最終的な解である駅構内入換計画の候補となるものであるので、以下これらを「解候補」ということがある。
【0023】
続いて後者の決定問題につき、上記局所探索の結果得られた複数の解候補それぞれにおける入換の実行可能時刻(図3中の解空間におけるハッチング領域)を計算し、それら実行可能時刻が入換作業に課される制約を満たすかどうか評価する。ここで、入換作業に課される制約として考慮すべきものには次のようなものがある。
【0024】
▲1▼列車ダイヤに関する制約
列車ダイヤでは、列車の駅への到着時刻と到着番線、駅からの発車時刻と発車番線が定められている。従って、入換作業に当たっては、これらの時刻及び番線を守らなければならない。
【0025】
▲2▼設備に起因する制約
・進路の有無:移動前の地点と移動後の地点との間に物理的な経路(線路)が存在しなければならない。
・引上線の有効長:引上線の長さは有限であるため、収容できる車両の両数には限りがある。その両数以下の列車は収容できるが、それ以上の列車は収容できない。
・引上線での競合:引上線に同時に収容できる列車の数は決まっているが、通常、1つの引上線には1編成の列車しか収容しない。すなわち、引上線には実質1編成の列車しか収容できず、2以上の列車が競合する場合は他の引上線を使うか既に留置されている列車を移動させなければならない。
【0026】
▲3▼時間に関する制約
・番線及び引上線での停車時間:番線や引上線では、乗客の乗降や車内点検のために、ある定められた時間以上の停車時間(最小停車時間)を確保しなければならない。
・転線時間:番線と引上線との間の移動時間(入換時間)等、車両が線路間を移動する際の転線時間は、移動の経路毎に予め定められている一定の時間(駅や移動場所等によって異なるが、おおむね2分程度)でなければならない。これは、この時間が短すぎると物理的に車両が到着不可能であり、長すぎるとその進路を支障する時間が長くなるためである。
・進路支障時間:鉄道の駅においては複数の進路が交差する場合がある。例えば、図1では番線L1から上り方向に出発する進路と上り引上線UDから番線L2への進路とが互いに交差している。このような場合、これらの進路上での入換を同時に実行することはできない。これらの進路上での入換は、分岐器が転換する時間(以下、これを「進路支障時間」という。)だけの間隔をおいて実施しなければならない。これは、保安上絶対に守らなければならない制約であり、入換時刻の決定に際しては進路支障時間の考慮は極めて重要である。駅外へ出発する列車や駅に到着する列車に対して、入換による進路支障が発生すると、それらの列車は列車ダイヤで定められた着発時刻を守れなくなるからである。
【0027】
上記制約のうち、列車ダイヤに関する制約と時間に関する制約の転線時間以外の制約は、物理的な条件に起因するため緩和不可能である。列車ダイヤについては極力守ることが要求され、転線時間については長くなる方に限り緩和可能ではある(短くすることはできない)が、当然あまり長くなることは好ましくない。又、不要な入換はエネルギーの無駄であるので、入換回数はできるだけ少ない方がよい。
【0028】
以上をまとめると、実行可能時刻を計算した解候補についての評価基準は次のようになる。
・列車ダイヤで定められた着発時刻を極力守っていること。
・予め定められた転線時間を極力守っていること。
・入換回数が少ないこと。
【0029】
これら評価基準による評価の結果、制約を満たす解候補が得られたときは、それによって規定された使用計画と実行可能時刻の範囲内の実行時刻計画とを駅構内入換計画(解)とする。これに対し、制約を満たす解候補が得られなかったときは、再び上述した使用計画の決定に戻る。この場合、上記所定の確率的選択手法により1つの解候補を選択し、その解候補をもとに局所探索の近傍を決定する。本実施形態では、このような解候補の生成、実行可能時刻の計算及び評価並びに解候補の選択を、制約を満たす解候補が得られるまで繰り返して駅構内入換計画を生成する。
【0030】
ところで、以上述べた原理は、駅構内入換計画作成をある種のRCPSPと捉えたことで導出されたものであるが、駅構内入換計画作成には通常のRCPSPと比較して次のような特徴がある。
【0031】
▲1▼プロジェクトを構成する作業の数が所与ではなく、問題解決の過程においてこれを動的に変化させる必要がある(従って検索空間が大きくなる。下記▲2▼及び▲4▼についても同様)。これは、上記2段入換を考慮する必要があることに起因する。
▲2▼解として、作業の順序だけでなく実行時刻までを決定する必要がある。これは、列車ダイヤで定められた着発時刻を守らなければならないことに起因する。
▲3▼通常のRCPSPでは作業と作業の間の時間間隔について制約がないが、駅構内入換計画では作業と作業の間の時間をある一定の時間としなければならないケースが存在する。これは、入換作業にある定められた時間を確保しなければならないこと(後述)に起因する。
▲4▼対象プロジェクトの数が多い。駅の規模によって異なるが、およそ1日分で数百本から1000本程度の列車が関係する。
【0032】
駅構内入換計画作成においては、このような特有の事情が存するために上記局所探索における近傍空間や探索アルゴリズムについて従来の考え方をそのまま適用することができない。このため、本実施形態では、以下に述べる特異な構成及び動作によって上記原理に基づく駅構内入換計画作成を実現する。
【0033】
<駅構内入換計画作成装置>
(1)構成
上述した駅の構成等の前提と基本原理とを踏まえ、本発明の一実施形態による駅構内入換計画作成装置について具体的に説明する。図4は、同駅構内入換計画作成装置の構成を示すブロック図である。尚、本駅構内入換計画作成装置は所定の演算手段及び記憶手段並びにそれらを動作させる所定のプログラムによって構成されており、以下の各手段はそれぞれの処理に必要な情報を適宜利用することができるようになっている。
【0034】
図4において、1は駅構内入換計画をある種のPERTネットワークで表現した入換計画ネットワークを作成するネットワーク作成手段である。このネットワーク作成手段1に対して与えられる駅構内入換計画は列車ダイヤ等に基づく初期設定によって生成されるもので、それが駅構内入換計画の初期の解候補となる(この初期設定の詳細は後述する。)。又、入換計画ネットワークは、入換計画の開始及び終了に対応する仮想的なノード(開始ノード及び終了ノード)と、車両の着ないし発の事象に対応するノード(着ノード及び発ノード)と、それら事象の発生順序を表現したアークと、2つの事象の発生の間に最小限必要な時間を表すアークの重みとによって構成される。すなわち、ネットワーク作成手段1は、与えられた駅構内入換計画(初期解候補)に基づき、列車の各線路への着ないし各線路からの発をノードで表し、各ノード間を着発の実行順序に従ってアークで結び、各アークにそのノード間の遷移に要する時間で重み付けをすることにより、入換計画ネットワークを作成する。
【0035】
ここで、アークとしては次のものがある。
・運用アーク:着ノードと発ノードの間(列車の着発間)に存在し、その列車の最小停車時間が重みとなる。
・入換アーク:異なる番線ないし引上線の間の発ノードと着ノードの間(入換時の発着間)に存在し、その番線ないし引上線間の転線時間が重みとなる。
・番線アーク:同一の番線ないし引上線の間の発ノードと着ノードの間(同一線路で列車が発車してから次の列車が到着するまでの間)に存在し、その番線ないし引上線が空きになってから次に使用可能となるまでの時間が重みとなる。
・進路支障アーク:互いに支障する進路を使用するノードの間に存在し、進路支障時間が重みとなる。
・計画時刻アーク:開始ノードから列車ダイヤで実行時刻が定められたノードを結ぶアークであり、その定められた実行時刻を重みとして設定する。
・終了アーク:それぞれの番線及び引上線の最後のノードから終了ノードを結ぶアークであり、重みは0とする。
【0036】
ネットワーク作成手段1は、これらすべてのアークによってノード間を結び、入換計画ネットワークを作成する。尚、入換計画ネットワークの具体的な形態については後述の動作説明にて明らかにする。
【0037】
2は入換計画ネットワークの各ノードにおける着発の実行可能な時刻範囲を計算する時刻計算手段である。ここで、実行可能な時刻範囲は、各アークの重み付に基づいて各ノードの最早実行可能時刻と最遅実行可能時刻とを求めることによって計算する(計算の方法は通常のPERTの計算とほぼ同様である。)。尚、詳細は後述するが、最初にネットワーク作成手段1によって入換計画ネットワークが作成された後は評価手段3、選択手段4及びネットワーク変形手段5の処理によって複数の入換計画ネットワークが得られるので、時刻計算手段2はそれらの入換計画ネットワークそれぞれの各ノードにおける実行可能な時刻範囲を計算する。
【0038】
評価手段3は、入換計画ネットワークを上記評価基準によって評価する手段であり、時刻計算手段2により計算された時刻範囲が列車ダイヤや転線時間を満たすかどうか等を評価する。すなわち、評価手段3は、列車ダイヤによって実行時刻が定められているノードについて、その実行時刻が当該ノードの最早実行可能時刻と最遅実行可能時刻の間にあるかどうかを判断する。例えば“あるノードの最早実行可能時刻”>“列車ダイヤで定められている実行時刻”であれば、そのノードの事象はいくら早くしても列車ダイヤで定められている時刻に発生させることはできないので列車ダイヤを満たさないノードと判断する。又、転線時間は入換アークの重みとなっているので、それを満たすかどうかは当該入換アーク前後のノード間遷移時間(それらノードの実行可能時刻範囲から求まる。)が当該転線時間よりも短いかどうか(或いはこれに加えて長すぎないかどうか等)によって判断する。例えば、あるノードの最遅実行可能時刻が、その前の入換アークで結ばれた他のノードとの間に予め定められた入換時間以上の遷移時間を確保できないときは、当該ノードを転線時間を満たさないノードと判断する。
【0039】
そして、すべてのノードにおける時刻範囲が列車ダイヤや転線時間等を満たす入換計画ネットワークがあったときは、それを最終的な解として出力する。これ以外のときは、それぞれの入換計画ネットワークについて列車ダイヤや転線時間等を満たさないノードの数を評価値として選択手段4へ供給する。
【0040】
選択手段4は、評価手段3による評価に基づいて確率的に入換計画ネットワークを1つ選択する。具体的には、各入換計画ネットワーク(各解候補)がそれぞれの評価値に応じた確率で選択されるようにする。これは、一般にルーレット選択と呼ばれている選択手法であり、評価値がよい解候補(列車ダイヤ等を満たさないノード数が少ない入換計画ネットワーク)がそれに応じた高い確率で選ばれるが、必ずしも一番評価値がよい解候補が選ばれるとは限らない。例えば、評価値が“2”、“3”、“6”の3つの解候補があった場合、それぞれが選ばれる確率は、
Figure 0004130027
のようになる。評価値が一番よい解候補を選択することは必ずしも得策であるとは限らず、近傍を決定する1つの解候補をこのようなルーレット選択で選ぶのが有効であることが判明している。
【0041】
尚、動作初期において、与えられる初期解候補が1つであり、従ってネットワーク作成手段1によって作成される入換計画ネットワークも1つである場合には、選択手段4は当然その入換計画ネットワークを選択する。
【0042】
ネットワーク変形手段5は、選択手段4により選択された入換計画ネットワークにおいて列車ダイヤや転線時間等を満たしていない時刻範囲のノードへ達するまでのネットワーク経路(以下、このような経路を「クリティカルパス」という。)を変更し、変形した入換計画ネットワークを複数作成する手段である。この変形した入換計画ネットワークを複数作成する処理が上述の局所探索による複数解候補の生成に相当する。本実施形態では、この場合の近傍を選択手段4で選択された入換計画ネットワークに対して次のネットワーク変形オペレータを1度適用したものとし、その中の探索を実行する。
ネットワーク変形オペレータ
・引上線変更:使用する引上線を変更する。
・2段入換:2段入換を設定ないし解消する。
・順序変更:隣り合う2つの占有の順序を変更する。
・進路支障反転:進路支障アークの向きを反転する。
【0043】
すなわち、ネットワーク変形手段5は、列車ダイヤを満たしていないノードについては、当該ノードからクリティカルパスを逆にたどって最初に出会う列車ダイヤを満たしているノードに至るパスにおいて、その構成要素であるアーク一つずつに対して上記変形オペレータを適用してそれぞれ一つの解候補(変形した入換計画ネットワーク)を得る。このとき、運用アークに対しては引上線変更ないし2段入換を、番線アークに対しては順序変更を、進路支障アークに対しては進路支障反転を適用することとし、これらネットワーク変形オペレータの適用のうちの1つの実行でそれぞれ解候補を生成する。従って、ネットワーク変形手段5で変形作成されるそれぞれの入換計画ネットワークは、もとの入換計画ネットワークに対して上記ネットワーク変形オペレータのいずれか1つをクリティカルパス上のいずれかの箇所に適用したものとなる。又、転線時間を満たしていないノードについては、入換時間を確保できない入換アークの両端のノードに対して引上線変更を適用し、解候補を生成する。
【0044】
このように、ネットワーク変形手段5では、クリティカルパスに着目し、制約を守れないノードへのクリティカルパス上のアークに対して、ネットワーク変形オペレータを適用することで、複数の変形された入換計画ネットワークを作成(複数の新たな解候補を生成)する。
【0045】
(2)動作
▲1▼概要
次に、上記構成による本駅構内入換計画作成装置の動作について説明する。動作全般の流れ(概要)を図5に示す。
【0046】
本駅構内入換計画作成装置は、与えられた初期解候補をネットワーク作成手段1により入換計画ネットワークで表現し、その各ノードにおける実行可能時刻範囲を時刻計算手段2により計算する。続いて図示のように、その初期解候補を評価手段3において評価し、評価結果に基づいてネットワーク変形手段5で複数の解候補(1)、(2)、…、(k)を生成する。そして、それらの解候補それぞれについて、各ノードにおける実行可能時刻範囲を時刻計算手段2で計算して評価手段3での評価を行い、その結果の評価値によって選択手段4で確率的に一つの解候補を選択する。
【0047】
以後、列車ダイヤ等を満たす(評価値が“0”の)入換計画ネットワークが得られるまで、上記ネットワーク変形による複数解候補の生成、それらの評価、その評価結果に基づく選択という処理動作を繰り返す。これにより、最終的な解を得、その入換計画ネットワークで表現されたものを駅構内入換計画とする。
【0048】
▲2▼具体的動作
次に、本駅構内入換計画作成装置の動作について、具体的に駅構内入換計画を作成する場合の例を挙げて説明する。図6にその作成手順のフローチャートを示す。
【0049】
駅構内入換計画の作成では、まず、初期設定によって初期の駅構内入換計画を1つ作成する(ステップS1)。この初期設定は、列車ダイヤで定められた列車の駅への到着番線及び駅からの発車番線(以下、これらをそれぞれ「計画着番線」及び「計画発番線」という。)に基づき、引上線での車両の競合等を考慮せずに駅構内入換計画を作成することによって行う。例えば、
・計画着番線と計画発番線の組み合わせから使用すべき引上線を決定する。
・最小停車時間のみから入換時刻を決定する。
といった手順により、適当な初期入換計画を作成する。
【0050】
ここで、上記列車ダイヤ、すなわち、本駅構内入換計画作成装置の入力に相当する列車ダイヤの例を図7に示す(以下においては、この列車ダイヤに基づいて駅構内入換計画を作成する場合を適宜例示しつつ話を進める。)。この図において、Xは時刻10:02に番線L1(併せて図1参照)へ到着して時刻10:23に番線L2から発車する列車を表し、Yは時刻10:09に番線L1へ到着して時刻10:19に番線L3から発車する列車を表し、Zは時刻10:09に番線L2へ到着して時刻10:10に番線L2から発車する列車を表し、Wは時刻10:00に番線L3へ到着して時刻10:23に番線L3から発車する列車を表す。
【0051】
この列車ダイヤに基づき、列車Z以外の最小停車時間を2分として上記手順による初期設定を行うと、図8に示すような駅構内入換計画が作成される。図8の駅構内入換計画は、上り引上線UDで列車Xと列車Yが競合しているのでこのままでは実行することができないが、この段階では適当な初期入換計画が得られればよく、引上線での競合等を考慮する必要は一切ない。
【0052】
次に、ネットワーク作成手段1において、初期入換計画を上述した各ノードやアーク等で表現して初期解である入換計画ネットワークを作成する(図6のステップS2)。図8の初期入換計画を表現した入換計画ネットワークを図9に示す。図9においては、開始ノードからの計画時刻アークに併記された“10:00”等の時刻が列車ダイヤで定められた実行時刻(以下「計画実行時刻」という。)を表し、他のアークに併記された“1”ないし“2”がそれぞれのアークの重みを表している(ここでは、最小停車時間と進路支障時間を2分とし、転線時間と続行時間を1分としている。)。各ノード内の記号は、“列車”−“ノード番号”“着発区分”を示し、“着発区分”の“A”は着、“D”は発を表す。
【0053】
又、開始ノードと終了ノード以外の各ノードの表示段は線路と対応している。すなわち、ノード“X−1A”〜“Y−1D”の段は番線L1に、ノード“Z−1A”〜“X−3D”の段は番線L2に、ノード“W−1A”〜“W−3D”の段は番線L3に、ノード“X−2A”〜“Y−2D”の段は上り引上線UDに、ノード“W−2A”〜“W−2D”の段は下り引上線DDにそれぞれ対応している。尚、留置用番線LDに対応する段は、上記番線L3に対応する段と上り引上線UDに対応する段との間にある(図8の入換計画で留置用番線LDが使用されていないために、図9ではそれに対応するノード等がないだけである。)。
【0054】
このような入換計画ネットワークを作成した後、図6のステップS3へ進み、時刻計算手段2により各ノードの実行可能時刻(最早実行可能時刻と最遅実行可能時刻)を計算する。この計算の方法は、通常のPERTの計算方法とほぼ同様であるが、通常の計算方法そのままでは転線時間が守られない場合があるため、入換アーク(例えば、図8中のノード“X−1D”〜“X−2A”間やノード“X−2D”〜“X−3A”間等)に対してはバックトラックを行って転線時間を守るようにする。これにより、物理的な条件に起因する緩和不可能な制約(上記設備に関する制約と時間に関する制約の転線時間以外の制約)をすべて守った実行可能時刻が計算結果として得られるようにする。
【0055】
続いて、解候補の評価、すなわち、各ノードの実行可能時刻が計算された入換計画ネットワークの評価を行う(図6のステップS4)。これは、上述したように計画実行時刻が定められたノードの最早実行可能時刻と最遅実行可能時刻の間に当該計画実行時刻があるかどうかや入換アーク前後のノード間遷移時間がその転線時間よりも短いかどうか等を評価手段3が判断することによって行う。
【0056】
ここで、図9においては、ノード“X−2D”〜“X−3A”間の入換アークの転線時間が10:20〜10:21の1分間であるため、ノード“X−2D”の最早実行可能時刻が10:20となる。従って、ノード“Y−3D”の最早実行可能時刻は“10:20+2分+2分+1分+2分=10:27”となり、計画実行時刻10:19を守れない。これは、図8の初期入換計画における上り引上線UDでの競合が評価手段3により列車ダイヤを満たさないノード“Y−3D”として判断されることを意味する。
【0057】
そして、評価手段3は、すべてのノードが計画実行時刻と転線時間を守っているかどうかにより、条件を満たす解候補が得られたかどうか判断する(図6のステップS5)。図9の例ではノード“Y−3D”が計画実行時刻を守っていないので、ここでの判断結果は“NO”となって図6のステップS6へ進む。
【0058】
ステップS6では1つの解候補を選択する。今、解候補は初期解候補だけであるのでこれを選択してステップS7へと進み、ネットワーク変形手段5が入換計画ネットワークを変形して複数の解候補を生成する。
【0059】
図9の入換計画ネットワークにおけるクリティカルパスは、開始ノードからノード“X−1A”、“X−1D”、“X−2A”、“X−2D”、“Y−2A”、“Y−2D”及び“Y−3A”を経てノード“Y−3D”に至るパスである。そして、このうちのアークを太線で示したノード“X−1A”〜“Y−3D”の部分が上記「列車ダイヤを満たしていないノードからクリティカルパスを逆にたどって最初に出会う列車ダイヤを満たしているノードに至るパス」である。従って、ネットワーク変形手段5は、この部分のパス上のアーク一つずつに対して上記変形オペレータを適用し、変形した複数の入換計画ネットワーク(複数の解候補)を作成する。
【0060】
次に、再び上記ステップS3へ戻り、変形した入換計画ネットワークのそれぞれについて各ノードの実行可能時刻を上記同様に計算する。その後ステップS4へ進み、それぞれの解候補の評価、すなわち、変形された複数の入換計画ネットワークそれぞれについて、各ノードの実行可能時刻が計画実行時刻等を守っているかどうかを上記同様に判断する。そして、計画実行時刻等を守っていないノードの数をそれぞれの解候補の評価値とし、ステップS5での判断を経て(すべてのノードが計画実行時刻等を守っている解候補は未だ得られないものとする。)、再びステップS6へ進む。
【0061】
ステップS6では、得られた評価値を用いて上述したルーレット選択を行い、1つの解候補を選択する。図9の入換計画ネットワークを変形し、上記ステップS3、S4及びS5での処理を経てステップS6で選択された解候補の例を図10及び図11に示す。図10の入換計画は、上り引上線UDで競合していた列車Xを2段入換することとしたものとなっている。これは、図9の入換計画ネットワークにおけるノード“X−2D”と“Y−2A”の間の番線アークに対し、2段入換のネットワーク変形オペレータを適用した図11の入換計画ネットワークから得られたものである。尚、図11においては、ノード“X−3A”〜“X−4D”が2段入換によって新たに設定されたノードであり、これらのノードと他のノードを結ぶ各アークも2段入換によって新たに設定されたものである。
【0062】
ここで、図11においては、開始ノードからノード“X−1A”、“X−1D”、“X−2A”、“X−2D”及び“X−3A”を経てノード“Z−1A”に至るパスを見ると、ノード“Z−1A”の最早実行可能時刻が“10:02+2分+1分+2分+1分+2分=10:10”であり、その計画実行時刻10:09を守れない。これは、図10の入換計画において、列車Xの上り引上線UDから留置用番線LDへの入換が番線L2へ到着する列車Zの進路を支障すること(併せて図1参照)が評価手段3により列車ダイヤを満たさないノード“Z−1A”として判断されることを意味する。
【0063】
従って、ステップS6で図10及び図11の解候補が選択されたときは、ステップS7でネットワーク変形手段5が上記ノード“Z−1A”に至るクリティカルパスに着目する。そして、例えばノード“X−3A”と“Z−1A”の間の太線で示した進路支障アークに進路支障反転のネットワーク変形オペレータを適用する等して上記同様に複数の入換計画ネットワーク(複数の解候補)を作成する。
【0064】
このように、本駅構内入換計画作成装置は、初期入換計画から作成した入換計画ネットワークについて各ノードの実行可能時刻を計算し(ステップS1〜S3)、それらを評価して複数の解候補を生成した(ステップS4〜S7)後は、それら複数解候補を評価し(ステップS3〜S5)、1つの解候補を選択し(ステップS6)、再び複数解候補を生成する(ステップS7)、という処理を繰り返す。そして、すべてのノードが計画実行時刻と転線時間を守っている入換計画ネットワークが得られたとき、ステップS5における判断結果が“YES”となってステップS8へ進む。
【0065】
ステップS8では最終的な駅構内入換計画を決定する。最終的な駅構内入換計画は、すべてのノードが計画実行時刻等を守っている入換計画ネットワークによって表現された入換計画とし、これを評価手段3が出力する。例えば、図11における上記進路支障アークに進路支障反転のネットワーク変形オペレータを適用すると図12及び図13に示す解候補が得られ、図13の入換計画ネットワークでは、すべてのノードが計画時刻と転線時間を守っている。従って、この具体例では、ステップS7で図13の入換計画ネットワークが作成されてステップS3、S4、S5へと進んだ時点で判断結果が“YES”となり、ステップS8へ進んで図12の入換計画を最終的な駅構内入換計画とする。
【0066】
本駅構内入換計画作成装置によれば、以上のようにして列車ダイヤを満たす駅構内入換計画が自動的に作成される。これにより、ダイヤ改正作業等に要する労力は削減され、これに要する時間も短縮されることになる。
【0067】
尚、上記実施形態においては、ステップS1で計画着番線と計画発番線の組み合わせから使用すべき引上線を決定することとしたが、この場合の組み合わせと引上線の対応関係を予め定め、その対応関係を所定の記憶手段に記憶しておき、列車ダイヤで規定された計画着番線と計画発番線に対応する引上線を自動的に決定することとしてもよい。
【0068】
例えば、計画着番線と計画発番線の組み合わせと使用すべき引上線との対応関係を予め定め、図14に示すようなテーブルとして所定の記憶手段に記憶しておく。そして、列車ダイヤが与えられたときに、その中で規定された各列車の計画着番線と計画発番線に対応する引上線を同テーブルを参照して決定する。図示の対応関係テーブルでは、計画着番線が番線L1で計画発番線がL2の場合は初期入換計画で上り引上線UDを使用し、計画着番線が番線L3で計画発番線がL1の場合は初期入換計画で下り引上線DDを使用する等と決定され、これらによって初期解候補が生成される。
【0069】
又、初期解候補は、作成者が適宜作成して入力することとしてもよい。このようにすると、変形によって駅構内入換計画を作成できる可能性の高い初期解候補を作成者の知識や経験等に基づいて与えることができ、それらの知識や経験等を取り入れた柔軟なスケジューリングを実現することができる。
【0070】
更に、上記具体例では結果的に入換回数の評価基準が活用されなかったが、評価手段3においてそれぞれの解候補における入換回数を計数し、それらの計数値を選択手段における選択指標の1つとして用いたり、列車ダイヤと転線時間を満たす入換計画が複数得られたときに入換回数が最も少ないものを最終的な解とすることとしてもよい。
【0071】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、駅構内の各線路における各車両の着発を所定のネットワークで表現すると共に、そのネットワークで着発に対応する各ノードの実行可能な時刻範囲を計算して列車ダイヤを満たすかどうかを評価し、その評価に基づいて選択したネットワークにおいて列車ダイヤを満たしていないノードへ達するまでのネットワーク経路を変更して複数の変形したネットワークを作成し、それらについて時刻範囲の計算、評価び選択を同様に繰り返すことにより、列車ダイヤを満たすネットワークを得てこれに表現された車両の着発を前記駅構内における車両の入換計画とすることとしたので、駅構内入換計画を人手によらず自動的に、かつ、迅速に作成することができる。これにより、ダイヤ改正作業等に要する労力の削減と時間の短縮等を図ることができるという効果が得られる。
【0072】
ここで、請求項2記載の発明によれば、評価に基づく選択をルーレット選択によって行うこととしたので、よい評価結果のネットワークがそれに応じた高い確率で選ばれるが、必ずしも一番よい評価結果のネットワークが選ばれるとは限らない。上記評価、選択及び変形の繰り返し過程においては、一番よい評価結果のネットワークを選んでいくことが必ずしも得策であるとは限らず、ルーレット選択によって選んでいくことの方が有効であり、これにより、同繰り返し過程を適切に実行できることになる。
【0073】
又、請求項3記載の発明によれば、評価、選択及び変形の処理において、列車ダイヤに加えて線路間の移動時間をも考慮し、列車ダイヤと移動時間の双方を満たすネットワークを得て車両の入換計画を作成することとしたので、列車ダイヤと予め定めた転線時間等の双方に適合した駅構内入換計画が得られる。
【0074】
一方、請求項4記載の発明によれば、変更するネットワーク経路におけるいずれか1の箇所に所定の変形を1回施したネットワークを複数作成することとしたので、限られた範囲の比較的少ないネットワークが変形によって得られることになる。従って、あらゆる形態のネットワークを考慮しようとする場合に比べて時刻計算や評価等の処理対象とするネットワークを大幅に少なくすることができ、駅構内入換計画をより迅速に作成してダイヤ改正作業等に要する時間を一層短縮することができる。
【0075】
更に、請求項5記載の発明によれば、各車両の着発番線に応じて駅構内における着発すべき線路を予め定め、その定めと前記線路情報とに従ってネットワークを作成することとしたので、各車両の着発番線を指定するだけで初期のネットワークを自動的に作成することができる。これにより、駅構内入換計画の自動作成のための初期設定をも自動化することができ、更なる労力軽減等を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 駅構内入換計画の作成対象とする駅の構成の一具体例を示す図である。
【図2】 図1の駅に対する駅構内入換計画の例を示す図である。
【図3】 本発明の一実施形態による駅構内入換計画作成の基本原理を模式的に示した図である。
【図4】 本発明の一実施形態による駅構内入換計画作成装置の構成を示すブロック図である。
【図5】 同駅構内入換計画作成装置の動作全般の流れ(概要)を示す図である。
【図6】 同駅構内入換計画作成装置による駅構内入換計画作成の具体的な手順を示すフローチャートである。
【図7】 同駅構内入換計画作成装置の入力に相当する列車ダイヤの例を示す図である。
【図8】 図7の列車ダイヤに基づいて作成される初期の駅構内入換計画の一例を示す図である。
【図9】 図8の初期入換計画を表現した入換計画ネットワークを示す図である。
【図10】 図9の入換計画ネットワークを変形したものから選択された駅構内入換計画(解候補)の一例を示す図である。
【図11】 図10の駅構内入換計画を表現した入換計画ネットワークを示す図である。
【図12】 図11の入換計画ネットワークを変形したものから選択された駅構内入換計画(最終的な解)の一例を示す図である。
【図13】 図12の駅構内入換計画を表現した入換計画ネットワークを示す図である。
【図14】 計画着番線と計画発番線の組み合わせと使用引上線との対応関係を定めたテーブルの一例を示す図である。
【符号の説明】
1 ネットワーク作成手段
2 時刻計算手段
3 評価手段
4 選択手段
5 ネットワーク変形手段

Claims (4)

  1. 予め定められた各車両の着発すべき駅構内の線路情報に基づき、各車両毎に各線路への着ないし各線路からの発を表すノードを各ノード間遷移の所要時間であって、車両の着発間の最小停車時間、異なる線路の入換時の転線時間、線路が空きになってから次に使用可能となるまでの時間、互いに支障する進路を使用するノード間の進路支障時間、開始ノードから列車ダイヤで定められた実行時刻までの時間、または、各線路の最後のノードからの終了ノードまでの時間のうち、少なくとも一つで重み付けしたアークにより遷移順序に従って結んだネットワークを作成するネットワーク作成手段と、
    それぞれの前記ノードにおける着発の実行可能な時刻範囲を前記アークの重み付に基づいて計算する時刻計算手段と、
    前記時刻計算手段により計算された時刻範囲が列車ダイヤを満たすかどうか評価する評価手段と、
    前記評価手段による評価に基づき、評価が良いネットワークをそれに応じた高い確率で選択するルーレット選択により、ネットワークを1つ選択する選択手段と、
    列車ダイヤを満たしていない時刻範囲のノードへ達するまでのネットワーク経路を、予め決められた変形操作のうちの少なくとも一つを用いて変更してネットワークを変形するネットワーク変形手段とを有し、
    前記ネットワーク作成手段が作成したネットワークについて前記時刻計算手段および評価手段による処理を行い、該評価手段による処理の結果、列車ダイヤを満たさないときは、前記ネットワーク作成手段が作成したネットワークを変形したネットワークを前記ネットワーク変形手段による変形に用いる前記変形操作を変えることで複数作成した後、作成した複数のネットワークについて前記時刻計算手段、評価手段による処理を行う処理と、前記選択手段にてネットワークを1つ選択する処理と、該ネットワークから再び変形したネットワークを前記ネットワーク変形手段による変形に用いる前記変形操作を変えることで複数作成する処理とを行うことを繰り返し、前記評価手段による評価の結果、すべてのノードにおける前記時刻範囲が列車ダイヤを満たすネットワークが得られたとき、当該ネットワークで表現された車両の着発を前記駅構内における車両の入換計画とすることを特徴とする駅構内入換計画作成装置。
  2. 請求項1記載の駅構内入換計画作成装置において、
    前記評価手段は、列車ダイヤに加え、予め定められた線路間の前記転線時間を前記時刻計算手段により計算された時刻範囲が満たすかどうか評価し、
    前記選択手段は、前記評価手段による評価に基づき、列車ダイヤないし前記転線時間を満たさないネットワークを1つ選択し、
    前記ネットワーク変形手段は、前記選択手段により選択されたネットワークにおいて列車ダイヤないし前記転線時間を満たしていない時刻範囲のノードへ達するまでのネットワーク経路を変更し、
    すべてのノードにおける前記時刻範囲が列車ダイヤ及び前記転線時間を満たすネットワークが得られたとき、当該ネットワークで表現された車両の着発を前記駅構内における車両の入換計画とすることを特徴とする駅構内入換計画作成装置。
  3. 請求項1〜2のいずれかの項記載の駅構内入換計画作成装置において、
    前記ネットワーク変形手段は、それぞれ前記ネットワーク経路におけるいずれか1の箇所に予め決められた変形操作のうちの1つを1回施した複数のネットワークを作成することを特徴とする駅構内入換計画作成装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかの項記載の駅構内入換計画作成装置において、
    各車両の前記駅構内への着番線と前記駅構内からの発番線とに応じて前記駅構内における各車両の着発すべき線路を予め定め、
    前記ネットワーク作成手段は、その定めと前記線路情報とに従って前記ネットワークを作成することを特徴とする駅構内入換計画作成装置。
JP35827698A 1998-12-16 1998-12-16 駅構内入換計画作成装置 Expired - Fee Related JP4130027B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35827698A JP4130027B2 (ja) 1998-12-16 1998-12-16 駅構内入換計画作成装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35827698A JP4130027B2 (ja) 1998-12-16 1998-12-16 駅構内入換計画作成装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000177590A JP2000177590A (ja) 2000-06-27
JP4130027B2 true JP4130027B2 (ja) 2008-08-06

Family

ID=18458459

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP35827698A Expired - Fee Related JP4130027B2 (ja) 1998-12-16 1998-12-16 駅構内入換計画作成装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4130027B2 (ja)

Families Citing this family (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2821812B1 (fr) * 2001-03-09 2003-12-19 Alstom Systeme de gestion de l'itineraire d'un vehicule ferroviaire
JP4571349B2 (ja) * 2001-09-04 2010-10-27 財団法人鉄道総合技術研究所 変更入換計画作成プログラム、記憶媒体及び変更入換計画作成システム
WO2005007483A1 (ja) * 2003-07-18 2005-01-27 Hitachi, Ltd. 車両入換計画作成支援装置
JP4894035B2 (ja) * 2006-01-27 2012-03-07 株式会社東芝 構内作業計画システム、方法およびプログラム
JP4727484B2 (ja) * 2006-03-31 2011-07-20 公益財団法人鉄道総合技術研究所 プログラム、列車運行適応ペトリネットモデル生成装置、列車抑止手配支援装置、列車運行適応ペトリネットモデル生成方法及び列車抑止手配支援方法
JP4990069B2 (ja) * 2007-08-29 2012-08-01 三菱電機株式会社 構内計画作成装置
JP5080422B2 (ja) * 2008-11-04 2012-11-21 公益財団法人鉄道総合技術研究所 プログラム、運行分析方法及び運行分析装置
JP5449107B2 (ja) * 2010-10-22 2014-03-19 三菱電機株式会社 留置計画作成装置
JP6571376B2 (ja) * 2015-04-24 2019-09-04 株式会社日立製作所 資源運用計画支援装置および資源運用計画支援方法
JP6929034B2 (ja) * 2016-09-12 2021-09-01 株式会社東芝 運用計画作成方法および運用計画作成システム
JP7074708B2 (ja) * 2019-03-26 2022-05-24 日鉄ソリューションズ株式会社 情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び記憶媒体
CN113002565B (zh) * 2021-03-17 2024-05-07 重庆交通大学 一种智能网联捷运系统及运行控制方法
CN113619653B (zh) * 2021-06-29 2023-05-09 卡斯柯信号有限公司 一种调车作业计划的自动生成方法、电子设备及介质
CN113415325B (zh) * 2021-08-09 2022-01-28 中国铁道科学研究院集团有限公司通信信号研究所 一种轨道交通车站到达间隔计算系统及方法
CN113997986B (zh) * 2021-12-14 2023-08-22 中车青岛四方车辆研究所有限公司 列车自主调度的车载列车自动监督系统及自主调度方法
CN114348062A (zh) * 2021-12-29 2022-04-15 中国铁道科学研究院集团有限公司通信信号研究所 一种城市轨道交通互联互通运行图同步方法
CN115438845A (zh) * 2022-08-24 2022-12-06 西南交通大学 基于到发车流接续差邻域搜索法的技术站间货物列车协同配流优化方法
CN115220460B (zh) * 2022-08-30 2024-04-16 合肥工业大学 一种全自动运行条件下的轨道交通线网巡检路径规划方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000177590A (ja) 2000-06-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4130027B2 (ja) 駅構内入換計画作成装置
Samà et al. A variable neighbourhood search for fast train scheduling and routing during disturbed railway traffic situations
JP7066365B2 (ja) ダイヤ作成装置および自動列車制御システム
Altazin et al. Rescheduling through stop-skipping in dense railway systems
US6459964B1 (en) Train schedule repairer
Ghaemi et al. A microscopic model for optimal train short-turnings during complete blockages
US7512481B2 (en) System and method for computer aided dispatching using a coordinating agent
D'Ariano et al. Conflict resolution and train speed coordination for solving real-time timetable perturbations
RU2431581C2 (ru) Способ диспетчеризации заторов в системе железных дорог
AU2003300354B2 (en) Dynamic optimizing traffic planning method and system
JP5075577B2 (ja) 車両運用計画作成装置および方法
Arenas et al. Timetable rearrangement to cope with railway maintenance activities
Shakibayifar et al. An integrated rescheduling model for minimizing train delays in the case of line blockage
D'Ariano Innovative decision support system for railway traffic control
JP4943982B2 (ja) 駅及び車両基地構内入換計画作成装置
Cadarso et al. Smooth and controlled recovery planning of disruptions in rapid transit networks
Qu et al. A review of real time railway traffic management during disturbances
JP2014172542A (ja) 進路制御装置、進路制御方法、および進路制御プログラム
JP2011173530A (ja) 運転整理支援システム及び方法
Van Thielen Conflict prevention strategies for real-time railway traffic management
JP4571349B2 (ja) 変更入換計画作成プログラム、記憶媒体及び変更入換計画作成システム
Toletti Automated railway traffic rescheduling and customer information
JP3046134B2 (ja) 旅客案内制御システム
JP3540642B2 (ja) 車両基地内ダイヤ作成装置
JP2021112960A (ja) 情報処理装置、情報処理方法、コンピュータプログラム及び方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050630

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20071023

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071225

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080129

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080326

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080425

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080520

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110530

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120530

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120530

Year of fee payment: 4

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120530

Year of fee payment: 4

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees