JP4128691B2 - 合わせずれ評価方法及び合わせずれ評価装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子顕微鏡を用いた合わせずれ評価方法及び合わせずれ評価装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えばIGBT等のトレンチゲートパワー素子を作製する場合、エッチングにより溝を形成した後、この溝に例えばPo−Si等の材質を埋め込んでトレンチ構造を形成し、さらにこのトレンチ構造の上部にゲート絶縁膜を形成している。
【0003】
このような構造においては、トレンチ構造とゲート絶縁膜の位置が合っているか否かを検出する必要があるが、かかる合わせずれ検出では、光学式顕微鏡では分解能が足りないので、上記トレンチゲートパワー素子を壁開してその壁開した断面を断面SEM等の電子顕微鏡を用いて検査している。
【0004】
また、上述のIGBT等のトレンチゲートパワー素子以外の基板、例えば表面がレジストで覆われた基板においても、同様に基板の壁開を行った後に電子顕微鏡を用いて検査している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のように基板を壁開してこの断面を断面SEMにより検査する検査方法では、所定の枚数毎に基板を壁開する必要が生じてしまう。基板を壁開してしまうと、所定の工程を経て形成した基板を無駄にしてしまい、コストの無駄となっている。
【0006】
このため、絶縁膜の下に埋もれた別の材料、或いは同種材料であっても変質したり電子密度が異なっているパターンに対応した2次電子の発生量の変化を検出する検査を、壁開せずに行うことが望まれている。
【0007】
本発明は上記の事情に基づき為されたもので、その目的とするところは、壁開せずに観察対象物の積層パターンを認識することが可能な合わせずれ評価方法及び合わせずれ評価装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
(1)表面に絶縁層が設けられた少なくとも二層以上からなる観察対象物に形成された積層パターンの位置の合わせずれを電子顕微鏡を用いて評価する合わせずれ評価方法において、上記電子顕微鏡から発せられる電子の加速電圧を制御する第1の制御工程と、上記電子顕微鏡から発せられる電子の電子密度を制御する第2の制御工程と、上記電子顕微鏡から発せられる電子の照射時間を制御する第3の制御工程と、上記電子顕微鏡本体から観察対象物に向けて電子を照射する照射工程と、上記観察対象物から反射される二次電子を検出する検出工程と、上記検出工程での検出結果を演算処理して観察対象物の積層パターンの位置ずれを算出する位置ずれ算出工程と、を具備し、前記第1乃至第3の制御工程において、絶縁酸化膜部分である第1部分の有する容量と配線のパターンが形成されている部位、すなわち、絶縁酸化膜が第1部分よりも薄く形成されている部位である第2部分での絶縁酸化膜の容量に起因して前記二次電子の放出量に相違が生じるよう制御されるとともに、前記第3の制御工程において、前記照射時間は、前記二次電子の放出量に差が生じなくなる時間よりも短時間となるように制御され、上記第1の制御工程、第2の制御工程、及び第3の制御工程は、上記位置ずれ算出工程での夫々の層の認識結果に基づいて、認識できない場合に調整を行うようフィードバック制御されることを特徴とする合わせずれ評価方法である。
【0009】
(2)上記第1の制御工程、第2の制御工程、及び第3の制御工程は、同時に行うことを特徴とする。
【0010】
(3)表面に絶縁層が設けられた少なくとも二層以上からなる積層パターンの位置の合わせずれを評価する合わせずれ評価装置において、電子顕微鏡本体と、上記電子顕微鏡本体に設けられ、この電子顕微鏡本体から観察対象物に発せられる電子の加速電圧、電子密度、及び電子の照射時間を制御する制御手段と、上記観察対象物から反射される二次電子を検出する二次電子検出手段と、上記二次電子検出手段から伝送される検出結果を演算処理して観察対象物の積層パターンの位置ずれを算出する位置ずれ算出手段と、を具備し、前記制御手段により、絶縁酸化膜部分である第1部分の有する容量と配線のパターンが形成されている部位、すなわち、絶縁酸化膜が第1部分よりも薄く形成されている部位である第2部分での絶縁酸化膜の容量に起因して前記二次電子の放出量に相違が生じるよう制御されるとともに、前記照射時間が、前記二次電子の放出量に差が生じなくなる時間よりも短時間となるように制御され、上記制御手段は、上記位置ずれ算出手段での夫々の層の位置の認識結果に基づいて、認識できない場合に調整を行うようフィードバック制御されることを特徴とする合わせずれ評価装置である。
【0011】
(4)上記位置ずれ算出手段は、積層パターンの夫々の層の縁の認識と、一方の層の幅方向における縁から他方の層の幅方向における縁迄の長さの測定とを行うことを特徴とする。
【0017】
上記手段を講じた結果、次のような作用が生じる。加速電圧を制御する第1の制御工程、電子密度を制御する第2の制御工程、及び電子の照射時間を制御する第3の制御工程を有した構成のため、これら加速電圧、電子密度、電子の照射時間を適宜の値に設定することにより絶縁層に積層して設けられた積層パターンを認識することが可能となる。
【0018】
このため、観察対象物の非破壊検査を実現することが可能となり、観察対象物を壁開する必要がなくなり、この観察対象物の生産性を向上させることができる。それにより、コストの低減を図ることも可能となる。
【0019】
また、観察対象物の種類に応じて適正な加速電圧、電子密度、及び照射時間に設定することによっても積層パターンを良好に認識することが可能となり、観察対象物を構成する層の位置の合わせずれを検出して、各層の位置の合わせずれが生じている度合いを算出することが可能となる。
【0020】
第1の制御工程、第2の制御工程、及び第3の制御工程を同時に行うことにより、絶縁層で覆われた積層パターンを認識することが可能となる。
【0021】
位置ずれ認識により観察対象物の夫々の層の認識結果に基づいてフィードバック制御されるので、絶縁層で覆われた積層パターンを認識することが可能となっている。
【0023】
積層パターンの夫々の層の縁の認識と、一方の層の幅方向における縁から他方の層の幅方向における縁迄の長さの測定とを行うため、観察対象物に位置ずれが生じているか否かを位置ずれ算出により測定することが可能となる。それにより、壁開せずに観察対象物の非破壊検査を良好に行うことが可能となる。
【0024】
制御手段で電子を制御して照射した後に、二次電子検出手段及び位置ずれ算出手段で処理を行えば、積層パターンの位置の合わせずれを良好に検出することが可能となる。
【0025】
また、予め観察対象物の種類に応じて適正な加速電圧、電子密度、及び照射時間となるように制御手段を制御することによっても積層パターンを良好に認識することが可能となっている。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態について、図1ないし図9に基づいて説明する。
【0028】
図1は本発明の一実施の形態に係わる合わせずれ評価装置としての電子顕微鏡装置10である。この電子顕微鏡装置10は、CD−SEM等の走査型電子顕微鏡であり、観察対象物11に電子を放射可能としている。
【0029】
この電子顕微鏡装置10は、観察対象物に対向配置された電子鏡筒12と、観察対象物から飛び出した二次電子の量を検出する二次電子検出手段としての二次電子検出器13と、この二次電子からの信号を処理するパーソナルコンピュータ等の位置ずれ算出手段としての処理装置14と、この処理装置14における処理結果に基づいて電子鏡筒12を制御する制御手段としての制御回路15とを備えている。
【0030】
処理装置14は、二次電子検出器13からのアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器16と、A/D変換器16でデジタル化した二次電子観察像を一時的に記憶させておくことが可能なフレームメモリ17と、フレームメモリ17に記憶された二次電子観察像を演算処理する演算処理装置18と、補助メモリ19とから構成されている。
【0031】
演算処理装置18は、フレームメモリ17の内容に対して、補助メモリ19に保存されているプログラムを実行し、得られた二次電子観察像の特徴量を算出する。制御回路15は、演算処理装置18で得られた特徴量に基づいて電子銃20、加速レンズ21、偏向レンズ22、対物レンズ23に印加する電圧又は流す電流及びその時間を制御する。すなわち、制御回路15では、電子の加速電圧と、電子の電子密度と、電子の照射時間とを適宜の値に制御するように構成されている。なお、これら加速電圧、電子密度、及び照射時間は、夫々独立に制御可能に構成されている。
【0032】
この制御回路15により制御されて電子銃20から放出された電子は、加速レンズ21により適宜の高電圧で加速され、偏向コイル22で一旦焦点を結ぶように偏向される。さらに、対物レンズ23を通過することにより、観察対象物11の表面上で再び焦点が結ばれる。このとき、電子ビームのスポット径は、数nmとなるように焦結される。
【0033】
上記観察対象物11の表面に制御出力された電子ビーム(1次電子)は、この観察対象物11を構成する物質中に存在している電子にエネルギを供与することになり、それによって観察対象物11から電子が外へ飛び出す。このようにして飛び出した電子が二次電子であり、その発生領域は入射してきた電子ビームの拡散範囲とほぼ同じ広がりを有している。また、観察対象物11から脱出する二次電子のエネルギは、50kV以下と低くなっており、表面から10nm以内で発生した二次電子が数kVの電界で二次電子検出器13に引き寄せられ、検出される。
【0034】
二次電子検出器13は、二次電子の量を検出し、その検出量信号がディスプレイ24に表示される。すなわち、観察対象物11の表面から10nm以内で発生した二次電子が、この観察対象物11から放出されて結像としての働きを為す。
【0035】
なお、観察対象物11の表面からは、二次電子以外にも反射電子が放射されるが、この反射電子を検出するための反射電子検出器を別途設ける構成としても構わない。
【0036】
そして、この二次電子検出器13により検出された検出信号が処理装置14に伝送され、A/D変換器16を通過してフレームメモリ17に記憶される。そして、このフレームメモリ17に記憶された検出結果(画像データ)に対して、補助メモリ19に保存されているプログラムが実行される。このプログラムは、上記画像データに対し、この画像データの画像パターンから例えば絶縁酸化膜の縁(以下、絶縁酸化膜ラインと呼ぶ)の位置を認識し、さらに、例えば絶縁酸化膜に配線パターンが覆われている場合、この配線パターンの位置(配線パターンの縁の位置であり、以下、配線パターンラインと呼ぶ。)を認識する。
【0037】
そして、これらの位置を認識した後に、絶縁酸化膜の層の絶縁酸化膜ラインから、この絶縁酸化膜が積層して設けられている配線パターンライン迄の長さの測定を行い、この長さの測定を絶縁酸化膜の幅方向の両側ともに行う。そして、この両側の測定結果より、絶縁酸化膜ラインに対して配線パターンラインの位置が適正な位置か否かを評価する。
【0038】
それによって、自動的に積層パターンの合わせずれを評価できるように構成されている。
【0039】
また、処理装置14は、上記制御回路15に接続されており、上述の配線パターンの認識結果に基づいて、この制御回路15をフィードバック制御することが可能である。すなわち、上述の補助メモリ19に保存されているプログラムが実行されて画像の認識をした結果、積層されて表面に存しない第2層、第3層等の積層パターンが認識できないときは、上記制御回路15において加速電圧と、電子密度と、照射時間とを夫々独立に自動的に制御調整する。それによって、積層パターンを自動的に認識する。
【0040】
このような制御調整を行う制御プログラムも、上記補助メモリ19に保存されている。
【0042】
また、制御プログラムによりフィードバック制御する場合でも、補助メモリ19以外の箇所、例えば制御回路15に上述の制御プログラムを組み込む構成としても構わない。
【0043】
このような電子顕微鏡装置10を用いて観察を行う観察対象物11の断面の一例として、その形状を図2に示す。この図に示す観察対象物11は、平坦に形成されたSiを材質とする下地25の上面に、タングステン(W)を材質とする配線26を形成し、更にこれら下地25と配線26とを覆うように絶縁酸化膜(SiO2 )27を形成する。
【0044】
なお、これらの寸法例としては、絶縁酸化膜27の下地の上面からの厚さを1300nmに形成し、配線の下地25の上面からの厚さを300nmに形成する。すなわち、配線26の上面から絶縁酸化膜27の上面までの絶縁酸化膜27の厚さを1000nmとなるように形成する。
【0045】
そして、このように形成した観察対象物11に対して、試料電圧として1200Vを付与する。また、この観察対象物11に向かう電子を加速するための顕微鏡側電圧として2000Vを付与する。すなわち、試料電圧と顕微鏡側電圧の差である加速電圧が800Vとなるように設定する。
【0046】
この場合は、図3(a)の電子顕微鏡写真に示すように、絶縁酸化膜27で覆われた配線26のパターンを観察することができない。
【0047】
しかしながら、試料電圧と顕微鏡側電圧の差である加速電圧が1850Vとなるように設定し、これと共に、このような加速電圧付与の条件下、電子密度及び電子の照射時間も適宜に設定した場合には、図3(b)の電子顕微鏡写真に示すように、絶縁酸化膜27で覆われた配線26のパターンを観察することが可能となった。なお、この配線26のパターンは、約1秒後には図3(c)の電子顕微鏡写真に示すように観察することができなくなった。
【0048】
以上のような実験より、上述の実験結果が生じた原因を考察する。
【0049】
上述のような加速電圧の相違による配線26のパターンの検出の有無の相違が生じる一つの原因としては、図2に示すように、下地25の上面に配線26のパターンを形成した場合と、配線26のパターンを形成しない場合とでは絶縁酸化膜27の厚さの相違により、絶縁酸化膜27の有する静電容量に差が生じていることが起因すると考えられる。
【0050】
すなわち、この場合、配線26のパターンが形成されていない部位(すなわち、配線26のパターンが形成されている部位よりも絶縁酸化膜27が厚く形成されている部位)での絶縁酸化膜27の有する容量をC1 、配線27のパターンが形成されている部位(すなわち、配線パターンが形成されていない部位よりも絶縁酸化膜27が薄く形成されている部位)での絶縁酸化膜27の容量をC2 とすると、これらC1 とC2 に相違が生じていることがその原因として考えられる。
【0051】
このため、例えばC1 の容量がC2 よりも大きくなり、このC1 の方に多くの電荷が蓄えられ、そのため加速電圧が一定以上に大きくなると、電荷が一定以上蓄えられたC1 の部分でチャージアップが発生する。そして、このC1 部分の表面より二次電子が放出され、これが電子顕微鏡装置10で検出されて図3に示すように配線26のパターンが認識可能となると考えられる。
【0052】
しかしながら、観察対象物11に電子を照射する時間を長くすると、この観察対象物11の全体に亘って電荷が蓄えられて、C1 とC2 の部分での二次電子の放出量に差が生じなくなる。このため、短時間のみ(上述の実験では、約1秒間)配線26のパターンを観察することができると考えられる。
【0053】
以上の実験結果からすれば、加速電圧と、この加速電圧により加速される電子の電子密度と、電子の照射時間の要素を調整することにより、配線26のパターンを観察することが可能となると考えられる。
【0054】
以上、図2に示すような観察対象物11の場合について述べたが、観察対象物はこれに限られず、上述のように表面が絶縁体(絶縁酸化膜を含む)で覆われた種々の観察対象物についても同様の方法により観察を行うことが可能となっている。この観察対象物の例としては、図4に示すように、下地Si基板31の表面がレジスト32で覆われた構成がある。
【0055】
この観察対象物30では、加速電圧を800Vとした場合には図5(b)の電子顕微鏡写真に示すように溝の形状33が鮮明に判別できないものとなっているが、加速電圧を1850Vとした場合には、図5(a)の電子顕微鏡写真に示すように溝の形状33が鮮明に判別可能となっている。
【0056】
なお、最初に加速電圧を1850Vに設定し、その次に加速電圧を800Vに設定し、続いて再び1850Vに加速電圧を設定した場合の観察結果は、図5(c)の電子顕微鏡写真に示すようになっている。この場合は、最初に1850Vに加速電圧を設定した図5(a)の方が、後に1850Vに加速電圧を設定した図5(c)の場合よりも溝の形状33を鮮明に判別できるようになっている。
【0057】
また、下地Si基板31の表面がレジスト32で覆われた構成の他の例としては、溝36が略十字形状を為すように形成された観察対象物35がある。この観察対象物35を、電子顕微鏡装置10を用いて観察した電子顕微鏡写真を図6に示す。この溝36は、その幅が500nmに形成されており、またレジストとしてSAL606が500nmの膜厚で塗布されている。また、加速電圧を2keVに設定している。すると、図6に示すように、溝36が略十字形状を為しているのを観察することが可能となる。
【0058】
また、観察対象物がIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)である場合について、以下に説明する。
【0059】
このIGBT40の構造は、図7に示すような構成となっている。すなわち、このIGBT40は、パワーMOSFETであるπ−MOSの裏面にP型層を設けた構造となっている。具体的には、他端側にコレクタ電極41を有し、このコレクタ電極41に対して、P形領域に形成されたコレクタ層42が設けられている。
【0060】
コレクタ電極42には、配線43が接続されており、この配線43によりコレクタ44と接続されている。
【0061】
上記コレクタ層42には、Nベース45が重ねられている。Nベース45は、Siなどのシリコンを材質として形成されている。このNベース45に対し、例えばエッチングなどによって溝46を形成し、その後にこの溝46に対してPoly−Si47を埋め込んでトレンチライン48を形成する。
【0062】
このトレンチライン48を形成した後に、トレンチライン48の上面を覆うように絶縁酸化膜49を被せる。この場合、トレンチライン48の幅寸法よりも絶縁酸化膜49の幅寸法が広くなるように、絶縁酸化膜49を形成する。
【0063】
絶縁酸化膜49を上記トレンチライン48の上面に形成した場合、トレンチライン48に対する絶縁酸化膜49の位置がずれていないか否かが問題となる。すなわち、図7に示すように、トレンチライン48の長手方向に平行な側面と、この方向に平行な絶縁酸化膜49の側面との間の間隔が、一端側と他端側の両方の側においてほぼ等しい寸法となっていることを要する。すなわち、aとbの寸法がほぼ等しくならなければ、これらの位置の合わせずれとなり不良の原因となる。
【0064】
このトレンチライン48と絶縁酸化膜49の合わせずれを検出する場合にも、上述のように所定の加速電圧、電子密度、照射時間に設定すれば、絶縁酸化膜49に対するトレンチライン48の位置を、図8及び図9の電子顕微鏡写真に示すように認識することが可能となっている。ここで、図8(a)、図8(b)、図9(a)及び図9(b)の順に従って、IGBT40の観察結果は拡大されている。
【0065】
なお、観察対象物11としては、IGBT40の一種としてU−IGBTや、U−IGET(Injection Enhanced Gate Transistor)を用いた場合でも、同様である。
【0066】
このような構成の電子顕微鏡装置10及び合わせずれ評価方法によると、観察対象物11を壁開せずに合わせずれが生じているか否かの観察を行うことができるので、観察対象物11を無駄にすることがない。すなわち、制御回路15により加速電圧と、電子密度と、照射時間とを夫々独立に制御調整することにより、表面に絶縁酸化膜が形成された観察対象物11の積層パターンを観察することが可能となる。
【0067】
このため、所定枚数毎に観察対象物11を無駄にすることが無くなり、生産性の向上によるコストの低減を図ることが可能となる。
【0068】
すなわち、非破壊にて合わせずれが生じているか否かの認識をすることができる。
【0069】
また、処理装置14(補助メモリ19)に内蔵されているプログラムにより、ディスプレイ18に表示された画像が処理されて絶縁酸化膜ラインの位置の認識や、この絶縁酸化膜に覆われた配線パターンの位置を認識することが可能となる。
【0070】
また、この絶縁酸化膜ラインの位置の認識、及び絶縁酸化膜に覆われた配線パターンの位置の認識を行った後に、絶縁酸化膜の端部から、この絶縁酸化膜が積層して設けられている積層パターンの端部迄の長さの測定を行い、この絶縁酸化膜のラインに対して積層パターンのラインの位置があっているか否かを評価することが可能となる。
【0071】
このため、観察対象物11,30,40を壁開して位置ずれの確認を行う必要がなくなり、観察対象物11,30,40に無駄が生じることがなくなる。
【0072】
さらに、制御回路15により、処理装置14での認識結果に基づいてフィードバック制御される構成のため、観察対象物11を観察させたときに積層パターンが最初は認識できなくても、自動的に認識させることが可能となる。
【0073】
このため、人手を要する作業を減らすことが可能となる。
【0074】
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能となっている。以下それについて述べる。
【0075】
上記実施の形態では、各種の観察対象物について説明したが、これ以外の観察対象物を観察する場合にも、本発明の合わせずれ評価方法を適用可能である。ここで、本発明を適用可能な観察対象物としては、表面が絶縁体で覆われている必要があり、この絶縁体で表面が覆われた観察対象物ならば、上述の加速電圧、電子密度、及び照射時間を調整することにより、積層された積層パターンを認識することが可能となっている。
【0076】
例えば、絶縁体の膜の下に埋もれた別の材料、或いは同種材料であっても変質したものや電子密度が異なっているパターン等も、本発明を用いて認識可能となっている。
【0077】
なお、絶縁体としては、上述の絶縁酸化膜の他に、例えばレジスト等、種々の材質に対して本発明を適用可能である。
【0078】
また、補助メモリ19に内蔵された画像計測のためのプログラムと、同じくこの補助メモリ19に内蔵された制御プログラムとを一体化させても構わない。
【0082】
その他、本発明の要旨を変更しない範囲において、種々変更可能となっている。
【0083】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、加速電圧を制御する第1の制御手段、電子密度を制御する第2の制御手段、及び電子の照射時間を制御する第3の制御手段を有した構成のため、これら加速電圧、電子密度、電子の照射時間を適宜の値に設定することにより絶縁層に積層して設けられた積層パターンを認識することが可能である。
【0084】
このため、観察対象物の非破壊検査を実現することが可能となり、観察対象物を壁開する必要がなくなり、この観察対象物の生産性を向上させることができる。それにより、コストの低減を図ることも可能となる。
【0085】
また、観察対象物の種類に応じて適正な加速電圧、電子密度、及び照射時間に設定することによっても積層パターンを良好に認識することが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係わる合わせずれ評価装置の構成を示す概略図。
【図2】同実施の形態に係わる観察対象物として絶縁酸化膜により下地Siに形成された配線が覆われた構成を示す断面図。
【図3】同実施の形態に係わる図2で示した観察対象物の観察結果を示す電子顕微鏡写真であり、(a)は加速電圧が800Vである場合、(b)は加速電圧が1850Vである場合、(c)は(b)に示した観察結果が得られてから1秒後の観察結果を示す。
【図4】同実施の形態に係わる観察対象物として溝パターンが形成された下地Si基板がレジストで覆われた構成を示す図。
【図5】同実施の形態に係わる図4で示した観察対象物の観察結果を示す電子顕微鏡写真であり、(a)は加速電圧が1850Vである場合、(b)は加速電圧が800Vである場合、(c)は(b)の条件の後に(a)の条件に戻して加速電圧を1850Vとした場合の観察結果を示す。
【図6】同実施の形態に係わる観察対象物として十字型の溝パターンが下地Si基板に形成された観察対象物の観察結果を示す電子顕微鏡写真。
【図7】同実施の形態に係わる観察対象物としてのIGBTの構成を示す側面断面図。
【図8】同実施の形態に係わる図7で示した観察対象物の認識結果を示す電子顕微鏡写真であり、(a)から(b)に向かい観察対象物の認識結果の倍率を拡大変更して示した状態を示す。
【図9】同実施の形態に係わる図7で示した観察対象物の認識結果を示す電子顕微鏡写真であり、(c)から(b)に向かい観察対象物の認識結果の倍率を更に拡大変更して示した状態を示す。
【符号の説明】
10…電子顕微鏡装置
11,30,40…観察対象物
13…二次電子検出器
14…処理装置
15…制御回路
17…フレームメモリ
18…演算処理装置
19…補助メモリ
24…ディスプレイ
31…下地Si基板
32…レジスト
33…溝の形状
40…IGBT
41…コレクタ電極
42…コレクタ層
45…Nベース
46…溝
47…Poly−Si
48…トレンチライン
49…絶縁酸化膜
Claims (4)
- 表面に絶縁層が設けられた少なくとも二層以上からなる観察対象物に形成された積層パターンの位置の合わせずれを電子顕微鏡を用いて評価する合わせずれ評価方法において、上記電子顕微鏡から発せられる電子の加速電圧を制御する第1の制御工程と、上記電子顕微鏡から発せられる電子の電子密度を制御する第2の制御工程と、上記電子顕微鏡から発せられる電子の照射時間を制御する第3の制御工程と、上記電子顕微鏡本体から観察対象物に向けて電子を照射する照射工程と、上記観察対象物から反射される二次電子を検出する検出工程と、上記検出工程での検出結果を演算処理して観察対象物の積層パターンの位置ずれを算出する位置ずれ算出工程と、を具備し、
前記第1乃至第3の制御工程において、絶縁酸化膜部分である第1部分の有する容量と配線のパターンが形成されている部位、すなわち、絶縁酸化膜が第1部分よりも薄く形成されている部位である第2部分での絶縁酸化膜の容量に起因して前記二次電子の放出量に相違が生じるよう制御されるとともに、
前記第3の制御工程において、前記照射時間は、前記二次電子の放出量に差が生じなくなる時間よりも短時間となるように制御され、
上記第1の制御工程、第2の制御工程、及び第3の制御工程は、上記位置ずれ算出工程での夫々の層の認識結果に基づいて、認識できない場合に調整を行うようフィードバック制御されることを特徴とする合わせずれ評価方法。 - 上記第1の制御工程、第2の制御工程、及び第3の制御工程は、同時に行うことを特徴とする請求項1記載の合わせずれ評価方法。
- 表面に絶縁層が設けられた少なくとも二層以上からなる積層パターンの位置の合わせずれを評価する合わせずれ評価装置において、電子顕微鏡本体と、上記電子顕微鏡本体に設けられ、この電子顕微鏡本体から観察対象物に発せられる電子の加速電圧、電子密度、及び電子の照射時間を制御する制御手段と、上記観察対象物から反射される二次電子を検出する二次電子検出手段と、上記二次電子検出手段から伝送される検出結果を演算処理して観察対象物の積層パターンの位置ずれを算出する位置ずれ算出手段と、を具備し、
前記制御手段により、絶縁酸化膜部分である第1部分の有する容量と配線のパターンが形成されている部位、すなわち、絶縁酸化膜が第1部分よりも薄く形成されている部位である第2部分での絶縁酸化膜の容量に起因して前記二次電子の放出量に相違が生じるよう制御されるとともに、
前記照射時間が、前記二次電子の放出量に差が生じなくなる時間よりも短時間となるように制御され、
上記制御手段は、上記位置ずれ算出手段での夫々の層の位置の認識結果に基づいて、認識できない場合に調整を行うようフィードバック制御されることを特徴とする合わせずれ評価装置。 - 上記位置ずれ算出手段は、積層パターンの夫々の層の縁の認識と、一方の層の幅方向における縁から他方の層の幅方向における縁迄の長さの測定とを行うことを特徴とする請求項3に記載の合わせずれ評価装置。
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