JP4127470B2 - 機械式自動クラッチの発進制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、機械式自動クラッチの発進制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
機械式トランスミッションを電気信号により電気的に変速する変速装置において、発進時にはマニュアルでクラッチ操作し、走行中は自動クラッチとなるように構成したセミオートマチックトランスミッションでは、走行中のクラッチペダル操作を制御装置で制御したり、自動クラッチ用アクチュエータを機械的にキャンセルする様構成している(例えば、本出願人による実開昭60−69855号公報や、実開昭62−102056号公報参照)。
【0003】
また、上述と同様のセミオートマチックトランスミッションでは、クラッチミート点を学習し、この学習値に対応して制御用マップから変速時のクラッチの突っ込み位置、即ちクラッチストロークを決める方法(例えば、本出願人による実開平6−8825号公報参照)が提案されている。
【0004】
しかし、クラッチミート点を学習し、この学習値に対応して制御用マップから変速時のクラッチの突っ込み位置を決める方法では、自動クラッチ用アクチュエータへの作動用エアの供給を制御する電磁弁の応答性が経時変化してクラッチの接続特性が変化した場合には対応できないという問題があった。
【0005】
また、前述のセミオートマチックトランスミッションは自動発進制御を有しておらず、発進時のクラッチ操作を自動化するためにはトルク伝達開始点に精度良くクラッチを接続させないとショックやクラッチの滑りが生じる可能性が高くなるため、エンジン側のトルクに応じた適切なクラッチストロークに制御する必要がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、クラッチ摩耗等によるトルク伝達特性の変化や、電磁弁の応答性の経時変化によるクラッチの接続性変化が生じても、発進ショックまたはクラッチ滑りの少ない発進を可能とし、エンジン出力トルクに応じた適切なクラッチ制御を可能とする機械式自動クラッチの発進制御方法の提供を目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の機械式自動クラッチの発進制御方法は、クラッチアクチュエータ(10)と急接続用電磁弁(39a)と緩接続用電磁弁(39b)とを有する機械式自動クラッチの発進制御装置(25)によって、発進時にクラッチを第1の突っ込みクラッチストローク点まで急接続する急接続制御と、第2のクラッチストローク点まで緩接続する緩接続制御とを行い、エンジン側回転数とトランスミッション側回転数との差からクラッチミート点を求めクラッチミート点の学習を行っている機械式自動クラッチの発進制御方法において、前記急接続制御は、クラッチミート点の学習値に固定割合(α%)を加算して第1の目標突っ込みクラッチストロークを設定し(S1)、急接続用電磁弁(39a)を作動してクラッチストロークが第1の目標クラッチストローク点より接側になったら突っ込みを中止し(S3)、そして第1の実突っ込みクラッチストロークを演算し(S6)、前記第1の目標突っ込みクラッチストロークとその第1の実突っ込みクラッチストロークとの差分(ΔD)を求め(S5)、その差分の絶対値(|ΔD|)が所定割合(γ%)を越えていれば(S7)その差分値(ΔD)に基づいて前記第1の目標突っ込みクラッチストロークの補正を行い、且つその補正された値が上限値と下限値との間にあるかの検証を行う(S9〜S15)制御機能を有している。
【0008】
また、前記緩接続制御は、アクセル開度および/またはエンジントルクを計測し(S0)、その計測値からマップ(図7、図8)を用いて補正値を求めクラッチミート点の学習値に加算して第2の目標突っ込みクラッチストロークを設定し(S01)、緩接続用電磁弁(39b)を作動してクラッチストロークが第2の目標クラッチストローク点より接側になったら突っ込みを中止し(S03)、そして第2の実突っ込みクラッチストロークを演算し(S06)、前記第2の目標突っ込みクラッチストロークとその第2の実突っ込みクラッチストロークとの差分(ΔD)を求め、その差分の絶対値(|ΔD|)が所定割合(γ%)を越えていれば(S07)その差分値(ΔD)に基づいて前記第2の目標突っ込みクラッチストロークの補正を行い、且つその補正された値が上限値と下限値との間にあるかの検証を行う(S09〜S015)制御機能を有している。
【0015】
ここで、「第1の」とあるのは急接続における制御で用いられる各種制御ポイントであり、「第2の」とあるのは緩接続における制御で用いられる各種ポイントである。
【0016】
目標突っ込みクラッチストロークは、機械式自動クラッチの発進時の制御においてクラッチアクチュエータ10を作動させる電磁弁(急接続用電磁弁39a、緩接続用電磁弁39b)がONからOFFへの切り換え制御信号を受けた後にクラッチアクチュエータ10が実際に停止した時点のクラッチストロークの目標値を示す。そして、急接続の場合(第1の目標突っ込みクラッチストローク)は、クラッチミート点学習値にα%(固定割合:αは固定値)を加えて求められ、緩接続の場合(第2の目標突っ込みクラッチストローク)は、クラッチミート点学習値にα%(αは計測されたアクセル開度及び/又はエンジントルクから、図7、図8の様なマップにより求められる)を加えて求められる。
【0017】
クラッチミート点学習値は、クラッチの前後(クラッチのエンジン側とトランスミッション側)の回転数の差が設定回転数(例えば30rpm)以下となり、且つ、設定時間(例えば、0.3sec)以上になった際のクラッチストローク(例えば、回転数の差が30rpmとなった状態が0.3sec以上連続した際のクラッチストローク)を示す。
【0018】
突っ込みクラッチストローク点は、クラッチアクチュエータを作動させる電磁弁(急接続用電磁弁39a、緩接続用電磁弁39b)に対して、ONからOFFへの切り換え制御信号を発生する時点のクラッチストロークを示す。即ち、第1の突っ込みクラッチストローク点とは、急接続用電磁弁39aに対して、ONからOFFへの切り換え制御信号を発生する時点のクラッチストロークであり、第2の突っ込みクラッチストローク点とは、緩接続用電磁弁に対して、ONからOFFへの切り換え制御信号を発生する時点のクラッチストロークを示す。
【0019】
実突っ込みクラッチストロークは、クラッチアクチュエータを作動させる電磁弁がONからOFFへの切り換え制御信号を受けた後にクラッチアクチュエータが実際に停止した時点のクラッチストロークの実測値を示す。
即ち、急接続の場合(第1の実突っ込みクラッチストローク)は、急接続用電磁弁が制御信号を受け、クラッチアクチュエータが実際に停止した時点の急接続クラッチストロークの実測値であり、緩接続の場合(第2の実突っ込みクラッチストローク)は、緩接続用電磁弁が制御信号を受け、クラッチアクチュエータが実際に停止した時点の緩接続クラッチストロークの実測値である。
【0020】
かかる工程及び構成を具備する本発明の機械式自動クラッチの発進制御方法によれば、クラッチの発進を行う毎に計測されるクラッチミート点学習値に基づいて目標突っ込みクラッチストロークを決定し、(第1及び第2の)実突っ込みクラッチストロークと(第1及び第2の)目標突っ込みクラッチストロークとの差分を用いて突っ込みクラッチストローク点を更新しているので、クラッチの摩耗等により伝達特性が変化したり、電磁バルブやクラッチアクチュエータの応答性が経時変化しても発進ショックまたはクラッチ滑りを抑制した発進が可能となる。また、発進可能な、即ちエンジンストールを起こさぬ最短の時間で接続するので、発進に際してもたつき感を生じない。
【0021】
前記第2の突っ込みクラッチストローク点を第2の目標突っ込みクラッチストロークとすることにより、クラッチ緩接続時の制御を簡略化することも出来る。しかも、緩接続の場合は、クラッチアクチュエータにおける絞りが小さく、動作が遅いので、簡略化しても誤差は少ない。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1〜図4は、第1実施形態を示しており、図1において、エンジン31にはクラッチハウジング32を介してトランスミッション26が取り付けられ、該クラッチハウジング32にはクラッチアクチュエータ10及びギヤのシフト位置を検出するポジションセンサ33が設けられている。
【0023】
トランスミッション26にはコントロールユニット25からの電気信号によるギヤシフトを検出するT/Mアクチュエータセンサ34と、車速センサ35とギヤ回転センサ38とが取り付けられている。
【0024】
前記クラッチアクチュエータ10には図示せぬ作動レバーに連動する様にクラッチストロークセンサ26aが取り付けられている。
【0025】
また、エンジン回転センサ31a、ギヤ回転センサ38、アクセル開度センサ27、表示モニタ40、急接続用電磁弁39a、緩接続用電磁弁39bがともにコントロールユニット25に電気回路で接続されている。
【0026】
前記コントロールユニット25は図3に示すように、エンジン回転数演算部B1と、クラッチストローク演算部B2と、第1の実突っ込みクラッチストローク演算部B3と、ギヤ回転数演算部B4と、クラッチミート点学習値演算部B5と、第1の目標突っ込みクラッチストローク演算部B6と、第1の突っ込みクラッチストローク補正量演算部B8と、クラッチ制御部B9と、で構成されている。
【0027】
前記エンジン回転数演算部B1はエンジン回転センサ31aからの情報に基づきエンジン回転数を演算し、前記クラッチストローク演算部B2はクラッチストロークセンサ26aからの情報によってクラッチストロークを演算する。
【0028】
前記第1の実突っ込みクラッチストローク演算部B3は、前記クラッチストローク演算部B2で求めたクラッチストロークに基づき、第1の実突っ込みクラッチストロークを演算する。
【0029】
前記ギヤ回転数演算部B4ではギヤ回転数センサ38によって変速機ギヤの回転数を演算し、前記クラッチミート点学習値演算部B5では、このギヤ回転数情報と、前記クラッチストローク演算部B2で求めたクラッチストロークに基づき最適なクラッチミート点を学習する様に構成されている。
【0030】
前記第1の目標突っ込みクラッチストローク演算部B6は、前述で求めた最適なクラッチミート点により、第1の目標突っ込みクラッチストロークを演算する。
【0031】
前記第1の突っ込みクラッチストローク補正量演算部B8は、第1の実突っ込みクラッチストロークと第1の目標突っ込みクラッチストロークに基づき第1の突っ込みクラッチストローク補正量を演算する。
【0032】
前記クラッチ制御部B9は、補正された第1の突っ込みクラッチストロークに基づいてクラッチアクチュエータ10を制御するように構成されている。
【0033】
つぎに、図2及び図4を用いて第1実施形態におけるクラッチ制御方法を説明する。
図2は、横軸に経過時間をとり、線LV1は急接続用電磁弁の作動(ON−OFF)の状態を、線LV2は緩接続用電磁弁の作動(ON−OFF)の状態を、線CSLは縦軸にストローク量をとりクラッチストロークを前記二つの電磁弁の状態と対応させた制御線図である。
【0034】
図2中、1点鎖線(1)(図2では丸の中に1が記入されている。以下同じ)は、第1の突っ込みクラッチストローク点1(急接続用電磁弁をONからOFFに切り変えるための制御信号を前記制御手段25が発信した時のクラッチストローク)を示し、1点鎖線(2)は、急接続制御において止めたい第1の目標突っ込みクラッチストローク点を示し、1点鎖線(3)は、急接続制御において実際に止まった第1の実突っ込みクラッチストローク点を示している。
【0035】
図2中、破線(1)は、第2の突っ込みクラッチストローク点1(緩接続用電磁弁をONからOFFに切り変えるための制御信号を前記制御手段25Aが発信した時のクラッチストローク)を示し、破線(2)は、緩接続制御において止めたい第2の目標突っ込みクラッチストローク点を示し、破線(3)は、緩接続制御において実際に止まった第2の実突っ込みクラッチストローク点を示している。
【0036】
また、図2中、ハッチングを施した二つの領域は、実クラッチ突っ込みクラッチストロークから目標突っ込みクラッチストロークを引いたずれ量ΔDを許容する所定の領域(幅は2γ)を示す。
【0037】
つぎに、図4のステップS1において、第1の目標突っ込みクラッチストロークを設定する。ここでの第1の目標突っ込みクラッチストロークとは、前ルーチンにおけるクラッチミート点学習値に固定割合α%(例えば+30%)を加えた値とする。尚、前ルーチンでクラッチミート点学習値が無い場合(例えば出荷時)は、クラッチミート点の初期値を読込ませる。
【0038】
次のステップS2では制御装置25は、第1の突っ込みクラッチストローク点(図2において▲1▼)以上にクラッチが接側であるか否かであるかを判断し、第1の突っ込みクラッチストローク点以上にクラッチが接側であれば(ステップS2のYES)、次のステップS3に進み、接側でなければ(ステップS2のNO)、ステップS2を繰り返す。
【0039】
ステップS3では制御装置25は、突っ込み中止指令を急接続用電磁弁39aに発信し、次のステップS4に進む。
【0040】
ステップS4では制御装置25は、第1の実突っ込みクラッチストローク演算部B3によって第1の実突っ込みクラッチストロークを算出したか否かを判断し、算出したのであれば(ステップS4のYES)、次のステップS5に進み、算出してない場合は(ステップS4のNO)、ステップS6において第1の実突っ込みクラッチストロークを算出した後、ステップS4に戻る。
【0041】
ステップS5では制御装置25は、第1の目標突っ込みクラッチストロークと第1の実突っ込みクラッチストロークを比較し、ずれ量ΔD(第1の実突っ込みクラッチストロークから第1の目標突っ込みクラッチストロークを引いた値)を求める。
【0042】
次のステップS7においてずれ量の絶対値|ΔD|が所定割合γ%よりも小さいか否か、即ち、第1の実突っ込みストロークが第1の目標突っ込みストロークの所定許容割合(γ%)を越えていない(図2のハッチングを施した領域を越えていない)か否かを判断し、小さければ、即ち所定割合(γ%)を越えていなければ(ステップS7のYES)ステップS8に進み、補正を行わないでステップS16まで進む。越えていれば(ステップS7のNO)、ステップS9に進む。
【0043】
ステップS9では、前記ずれ量の絶対値|ΔD|が所定割合γ%よりも大きく且つずれ量ΔDが正(+)か、負(−)か、を判断しており、所定割合γ%よりも大きく且負であれば、即ち接の側で第1の実突っ込みストロークが所定値を越えていればステップS10に進み、所定割合γ%よりも大きく且つ正であれば、即ち断の側で所定値に満たなければステップS11に進む。
なお、本実施例において、クラッチ完全断をクラッチストロークは100%、クラッチ完全接をクラッチストロークは0%とする。
【0044】
ステップS10では、第1の突っ込みクラッチストローク補正量演算部B8によって第1の目標突っ込みクラッチストロークに+β%(例えば+2%)の補正を行い、断側に移動する様に制御し、次のステップS12に進む。
【0045】
ステップS11では、第1の突っ込みクラッチストローク補正量演算部B8によって第1の目標突っ込みクラッチストロークに−β%(例えば−2%)の補正を行い、接側に移動する様に制御し、ステップS12に進む。
【0046】
ステップS12では制御装置25は、設計上有り得ない補正値を排除するために補正後のクラッチストロークに上下限を設けており、第1の突っ込みクラッチストローク点1(第1の実指令信号クラッチストローク)が前記上限値よりも小さいか否かを判断する。
【0047】
上限値よりも小さいのであれば(ステップS12のYES)、ステップS13に進み、小さくなければ(ステップS12のNO)、ステップS14に迂回する。
【0048】
ステップS13では制御装置25は、第1の突っ込みクラッチストローク点1(第1の実指令信号クラッチストローク、図2の▲1▼)が前記下限値よりも大きいか否かを判断し、下限値よりも大きいのであれば(ステップS13のYES)、ステップS16に進み、大きくなければ(ステップS13のNO)、ステップS15に迂回する。
【0049】
ステップS14では、上限値を、そしてステップS15では下限値を、ともに第1の突っ込みクラッチストローク点1(第1の実指令信号クラッチストローク、図2の▲1▼)に一致させステップS16に進む。
【0050】
ステップS16ではクラッチミート点学習値を学習し、制御は最初のステップS1に戻る。
【0051】
かかる構成及び工程を具備する図1〜図4の第1実施形態によれば、クラッチの摩耗等により伝達特性が変化したり、電磁弁39a、39bやクラッチアクチュエータ10の応答性が経時変化しても発進ショックまたはクラッチ滑りを抑制した発進が可能となる。
【0052】
図2及び図5〜図8は、第2実施形態を示すものである。尚、制御装置25Aを除くトランスミッション及びクラッチ等の各ユニットは第1実施形態を示す図1と同様であり説明は省略する。
【0053】
図5に示すように、コントロールユニット25Aは、図3に係る第1実施形態のコントロールユニット25の構成に対して、アクスル開度センサ27からの情報に基づきアクスル開度を演算するアクスル開度演算部B7、及びエンジン出力トルク情報ETを加え、且つ図2のB3、B6、B8のブロック中に含まれる「I」なる符号(「第1の」を意味する)を「II」なる符号(「第2の」を意味する)に変更したものであり、その他各ブロックの機能は図2の第1実施形態と同様であるので以降の説明は省略する。
【0054】
つぎに、図6〜図8を用いて、図2をも参照して第2実施形態におけるクラッチ制御方法を説明する。
前述の図4のフローの最後から図6に移り、ステップS0において、アクセル開度センサ27からの情報に基づき、アクセル開度演算部B7はアクセル開度を演算し、または図示せぬ手段によってエンジン出力トルクを読込む。
【0055】
つぎのステップS01において、第2の目標突っ込みクラッチストロークを設定する。ここでの第2の目標突っ込みクラッチストロークとは、前ルーチンにおける第2のクラッチミート点学習値にα%を加えた値として与えられ、αは計測されたアクセル開度及び/又はエンジントルクから、図7、図8の様なマップにより求められる。尚、前ルーチンでクラッチミート点学習値を決定していなければ、クラッチミート点の初期値を読込むように構成されている。
【0056】
次のステップS02では制御装置25Aは、クラッチ作動手段(緩接続用電磁弁39b)に制御信号を送信する制御信号発信点である第2の突っ込みクラッチストローク点1(図2の(1))以上にクラッチが接側であるか否かであるかを判断する。
【0057】
第2の突っ込みクラッチストローク点1(図2の(1))以上に接続している場合は(ステップS02のYES)、次のステップS03に進み、第2の突っ込みクラッチストローク点1以上に接続していない場合は(ステップS02のNO)、ステップS2を繰り返す。
ステップS03では、制御装置25Aは、突っ込み中止指令を緩接続用電磁弁39bに発信し、次のステップS04に進む。
【0058】
ステップS04では制御装置25Aは、第2の実突っ込みクラッチストローク演算部B3によって第2の実突っ込みクラッチストロークを算出したか否かを判断し、算出したのであれば(ステップS04のYES)、次のステップS05に進み、算出してない場合は(ステップS04のNO)、ステップS06において第2の実突っ込みクラッチストロークを算出した後、ステップS04に戻る。
【0059】
ステップS05では制御装置25Aは、第2の目標突っ込みクラッチストロークと第2の実突っ込みクラッチストロークを比較し、ずれ量ΔD(第2の実突っ込みクラッチストロークから第2の目標突っ込みクラッチストロークを引いた値)を求める。
【0060】
次のステップS07においてずれ量の絶対値|ΔD|が所定割合γ%よりも小さいか否か、即ち、第2の実ストロークが第2の目標突っ込みストロークの所定許容割合(γ%)を越えていない(図2のハッチングを施した領域を越えていない)か否かを判断し、小さければ、即ち所定割合(γ%)を越えていなければ(ステップS07のYES)、ステップS08に進み、補正を行わないでステップS016まで進む。越えていれば(ステップS07のNO)、ステップS09に進む。
【0061】
ステップS09では、前記ずれ量の絶対値|ΔD|が所定割合γ%よりも大きく且ずれ量ΔDが正(+)か、負(−)か、を判断しており、所定割合γ%よりも大きく且負であれば、即ち接の側で第2の実ストロークが所定値を越えていればステップS010に進み、所定割合γ%よりも大きく且正であれば、即ち断の側で所定値に満たなければステップS011に進む。
【0062】
ステップS010では、第2の突っ込みクラッチストローク補正量演算部B08によって第2の目標突っ込みクラッチストロークに+β%(例えば+2%)の補正を行い、断側に移動する様に制御し、次のステップS012に進む。
【0063】
ステップS011では、第2の突っ込みクラッチストローク補正量演算部B08によって第2の目標突っ込みクラッチストロークに−β%(例えば−2%)の補正を行い、接側に移動する様に制御し、ステップS012に進む。
【0064】
ステップS012では制御装置25は、設計上有り得ない補正値を排除するために補正後のクラッチストロークに上下限を設けており、第2の突っ込みクラッチストローク点1(第2の実指令信号クラッチストローク)が前記上限値よりも小さいか否かを判断する。
【0065】
上限値よりも小さいのであれば(ステップS012のYES)、ステップS013に進み、小さくなければ(ステップS012のNO)、ステップS14に迂回する。
【0066】
ステップS013では制御装置25は、第2の突っ込みクラッチストローク点1(第2の実指令信号クラッチストローク、図2の(1))が前記下限値よりも大きいか否かを判断し、下限値よりも大きいのであれば(ステップS013のYES)、ステップS016に進み、大きくなければ(ステップS013のNO)、ステップS015に迂回する。
【0067】
ステップS014では、上限値を、そしてステップS015では下限値を、ともに第2の突っ込みクラッチストローク点1(第2の実指令信号クラッチストローク、図2の(1))に一致させステップS016に進む。
【0068】
ステップS016ではクラッチミート点学習値を学習し、制御は最初のステップS0に戻る。
【0069】
図9は、第2実施形態における制御装置のその他の例25Bを示すブロック図で、図5に対して、第2の実突っ込みクラッチストローク演算部B03と、第2の突っ込みクラッチストローク補正量演算部B08と、を省略したものであり、その場合は、図6の制御フローにおいてステップS04からステップS016が省略される。
【0070】
かかる構成及び工程を具備する図5〜図9の第2実施形態によれば、クラッチの摩耗等により伝達特性が変化したり、電磁バルブ39a、39bやクラッチアクチュエータ10の応答性が経時変化しても発進ショックまたはクラッチ滑りを抑制した発進が可能となる。
【0071】
【発明の効果】
本発明の作用効果を以下に列挙する。
(1) クラッチミート点学習値演算部によって常時クラッチのミート点を学習し、ミート点を更新しており、また、目標突っ込みクラッチストロークと実突っ込みクラッチストロークのずれを補正しているので、クラッチの摩耗等により伝達特性が変化したり、電磁バルブやクラッチアクチュエータの応答性が経時変化しても発進ショックまたはクラッチ滑りを抑制した発進が可能となる。
(2) 最適のクラッチミート点の学習及び更新により、エンジンストールを起こさぬ最短の時間で接続するので、発進に際してもたつき感を生じない。
(3) アクセル開度情報、またはエンジン出力トルクの情報に基づきクラッチミート点を学習し、ミート点を更新しており、また、目標突っ込みクラッチストロークを決定しているので、負荷の変動があっても発進時の円滑さが保たれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1及び第2実施形態におけるトランスミッションを含む機械式自動クラッチの発進制御装置の構成図。
【図2】本発明の第1及び第2実施形態の急接続用及び緩接続用電磁弁の作動パターンとクラッチストロークの関係を示した図。
【図3】本発明の第1実施形態の制御装置の構成を示すブロック図。
【図4】本発明の第1実施形態の制御の流れを示す制御フローチャート。
【図5】本発明の第2実施形態の制御装置の構成を示すブロック図。
【図6】本発明の第2実施形態の制御の流れを示す制御フローチャート。
【図7】本発明の第2実施形態においてアクセル開度を変化させたときの目標緩接続クラッチストロークを指示する制御マップ。
【図8】本発明の第2実施形態においてエンジントルクを変化させたときの目標緩接続クラッチストロークを指示する制御マップ。
【図9】本発明の第2実施形態の制御装置のその他の構成を示すブロック図。
【符号の説明】
10・・・クラッチアクチュエータ
25・・・制御装置
26・・・トランスミッション
26a・・・クラッチストロークセンサ
27・・・アクセル開度センサ
31a・・・エンジン回転センサ
32・・・クラッチハウジング
38・・・ギヤ回転センサ
39a・・・急接続用電磁弁
39b・・・緩接続用電磁弁
Claims (2)
- クラッチアクチュエータ(10)と急接続用電磁弁(39a)と緩接続用電磁弁(39b)とを有する機械式自動クラッチの発進制御装置(25)によって、発進時にクラッチを第1の突っ込みクラッチストローク点まで急接続する急接続制御と、第2のクラッチストローク点まで緩接続する緩接続制御とを行い、エンジン側回転数とトランスミッション側回転数との差からクラッチミート点を求めクラッチミート点の学習を行っている機械式自動クラッチの発進制御方法において、前記急接続制御は、クラッチミート点の学習値に固定割合(α)を加算して第1の目標突っ込みクラッチストロークを設定し、急接続用電磁弁(39a)を作動してクラッチストロークが第1の目標クラッチストローク点より接側になったら突っ込みを中止し、そして第1の実突っ込みクラッチストロークを演算し、前記第1の目標突っ込みクラッチストロークとその第1の実突っ込みクラッチストロークとの差分(ΔD)を求め、その差分の絶対値(|ΔD|)が所定割合(γ)を越えていればその差分値(ΔD)に基づいて第1の目標突っ込みクラッチストロークの補正を行い、且つその補正された値が上限値と下限値との間にあるかの検証を行う制御機能を有していることを特徴とする機械式自動クラッチの発進制御方法。
- クラッチアクチュエータ(10)と急接続用電磁弁(39a)と緩接続用電磁弁(39b)とを有する機械式自動クラッチの発進制御装置(25)によって、発進時にクラッチを第1の突っ込みクラッチストローク点まで急接続する急接続制御と、第2のクラッチストローク点まで緩接続する緩接続制御とを行い、エンジン側回転数とトランスミッション側回転数との差からクラッチミート点を求めクラッチミート点の学習を行っている機械式自動クラッチの発進制御方法において、前記緩接続制御は、アクセル開度および/またはエンジントルクを計測し、その計測値からマップを用いて補正値を求めクラッチミート点の学習値に加算して第2の目標突っ込みクラッチストロークを設定し、緩接続用電磁弁(39b)を作動してクラッチストロークが第2の目標クラッチストローク点より接側になったら突っ込みを中止し、そして第2の実突っ込みクラッチストロークを演算し、前記第2の目標突っ込みクラッチストロークとその第2の実突っ込みクラッチストロークとの差分(ΔD)を求め、その差分の絶対値(|ΔD|)が所定割合(γ)を越えていればその差分値(ΔD)に基づいて第2の目標突っ込みクラッチストロークの補正を行い、且つその補正された値が上限値と下限値との間にあるかの検証を行う制御機能を有していることを特徴とする機械式自動クラッチの発進制御方法。
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