JP4125840B2 - 電気二重層コンデンサの電解液注入方法及びその装置 - Google Patents

電気二重層コンデンサの電解液注入方法及びその装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気二重層コンデンサを構成する積層電極が収容された外装ケース内部に電解液を注入する方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電気二重層コンデンサは、蓋体によって閉塞された外装ケースの内部に、積層電極が電解液と共に収容されている。該積層電極は、陽極電極素子と陰極電極素子とをセパレータを介して交互に複数積層することによって形成されている。
【0003】
前記積層電極を構成する各電極素子は、アルミニウム箔からなる集電部材の表面にペースト状の活性炭からなる分極性電極が設けられており、該集電部材から延出された帯状の集電リードを備えている。各電極素子が備える集電リードは、同極毎にまとめられて、前記蓋体に設けられた一対の電極端子に各極毎に接続されている。
【0004】
該積層電極は外装ケースの内部において電解液に浸漬されることにより、前記分極性電極の活性炭やセパレータ(例えば紙製シート材によって形成されている)に該電解液が含浸される。これによって、セパレータを介して対向する一対の分極性電極間に電界を印加し、固体と溶液との異なる2つの相が接触する界面に極めて短い距離を隔てて正負の電荷を対向して配列させたコンデンサを形成している。
【0005】
前記電解液は、前記蓋体に形成された電解液注入口から外装ケースの内部に注入される。該外装ケースの内部には乾燥した状態の積層電極が収容されており、前記電解液注入口を介して外装ケースの内部に注入された電解液は、積層電極を構成する各電極素子の分極性電極に染み込みはじめる。
【0006】
しかし、前記積層電極の内部には不純物が混在しており、該不純物がガス化して積層電極の内部から排除されなければ、分極性電極の活性炭への電解液の含浸が不充分となる不都合がある。
【0007】
そのため、従来においては、先ず、外装ケースの内部に電解液を注入した後、前記電極端子を介して前記積層電極に電圧を印加し、次いで、外装ケース内の電解液が所定の温度となるように加温して、積層電極の内部の不純物がガス化されるまで放置する。その後、このときの放置によってガス化された不純物を吸引して排除することが行われていた。
【0008】
しかし、この方法によると、積層電極の内部の不純物がガス化されるまで放置しなければならず、分極性電極の活性炭に電解液を十分に含浸させるのに比較的長い時間を要する不都合があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
かかる不都合を解消して、本発明は、積層電極の内部の不純物のガス化を促進させることができ、積層電極への電解液の含浸を迅速に行うことができる電気二重層コンデンサへの電解液注入方法及びその装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、本発明の方法は、陽極電極素子と陰極電極素子とがセパレータを介して交互に積層された積層電極が乾燥された状態で外装ケースに収容され、陽極電極素子と陰極電極素子とに夫々接続された一対の電極端子及び電解液注入口を備える蓋体により前記外装ケースが閉塞されてなる電気二重層コンデンサへの電解液注入方法において、前記電極端子を介して前記積層電極に電圧を印加する電圧印加工程を設け、該電圧印加工程が行われている間に、前記電解液注入口を介して外装ケース内部を真空吸引して脱気する脱気工程と、該脱気工程の後に外装ケース内部に所定温度に加温された電解液を加圧注入する電解液注入工程とを行うことを特徴とする。
【0011】
本発明の方法によれば、電解液の充填に先立って、前記電圧印加工程により乾燥した状態の前記積層電極に電圧を印加する。前記積層電極は、電圧が印加されたことにより電気的に反応し、該積層電極の内部の不純物のガス化が生じる。これにより、従来のような電解液を充填した後に電圧を印加する場合に比べて、不純物のガス化を良好に促進させることができる。
【0012】
そして、該電圧印加工程が行われている間に、先ず、前記脱気工程を行い、次いで、前記電解液注入工程を行う。前記脱気工程においては、外装ケース内部のエアを抜き取ると同時に、電圧の印加によって積層電極から外装ケース内部に放出されたガス化された不純物を抜き取ることができ、前記電解液注入工程に先立って積層電極の不純物を減少させることができる。また、前記電解液注入工程においては、所定温度に加温された電解液を外装ケース内部に加圧注入するので、電圧の印加による積層電極の電気的反応が更に促され、電解液を積層電極に迅速に含浸させることができる。
【0013】
また、本発明の装置は、電解液を貯留する電解液貯留手段と、該電解液を所定の温度に加温する電解液加温手段と、前記電解液貯留手段と前記電解液注入口とを接続する注入路と、該注入路を介して前記電解液貯留手段の電解液を前記外装ケース内部に加圧注入する注入手段と、前記注入路を介して前記電解液注入口に接続され、前記注入手段による電解液の注入に先立って前記外装ケース内部を真空吸引して脱気を行う脱気手段と、少なくとも該脱気手段による脱気時及び前記注入手段による電解液の注入時に、前記電極端子を介して前記積層電極に電圧を印加する電圧印加手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
本発明の装置は、前述した本発明の方法を実現するものであり、積層電極への電解液の迅速な含浸を可能とするものである。即ち、本発明の装置によれば、先ず、前記脱気手段により、前記注入路を介して電解液注入口から外装ケース内部のエアを吸引する。このときには、前記電圧印加手段によって積層電極に電圧が印加されている。これによって、電圧が印加された積層電極の電気的反応により積層電極の不純物がガス化し、ガス化した不純物は外装ケース内部に放出される。従って、前記脱気手段が設けられていることにより、外装ケース内部のエアと共にガス化した積層電極の不純物を抜き取ることができる。そして、該外装ケース内部が略真空とされたとき、前記脱気手段は作動を停止する。
【0015】
次いで、前記注入手段により、前記電解液貯留手段の電解液を注入路を介して前記外装ケース内部に加圧注入する。このときにも、前記電圧印加手段によって積層電極に電圧が印加されており、積層電極の不純物のガス化が促されている。また、前記注入手段によって外装ケース内部に注入される電解液は、前記電解液加温手段によって所定の温度に加温されており、該電解液に浸漬された積層電極の電気的反応が活発となり、不純物のガス化を一層促進させることができる。そしてこれにより、積層電極内からの不純物の脱出が比較的速く行われ、積層電極内への電解液の含浸を迅速に行わせることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態を図1に基づいて説明する。図1は電気二重層コンデンサ1に電解液を注入する注入装置を模式的に示するものである。該電気二重層コンデンサ1は、外装ケース2と該外装ケース2を閉塞する蓋体3とを備え、該外装ケース2の内部には積層電極4が収容されている。詳しくは図示しないが、該積層電極4は、陽極電極素子と陰極電極素子とがセパレータを介して複数積層されて形成されたものであり、各電極素子はペースト状の活性炭からなる分極性電極を備えて該分極性電極の活性炭に電解液が染み込むようになっている。
【0017】
また、前記蓋体3には、積層電極4に正負の極性毎に接続された一対の電極端子5,6が設けられている。更に、該蓋体3の両電極端子5,6の間には、外装ケース2の内部に電解液を注入する電解液注入口7が形成されている。
【0018】
本実施形態の電解液注入装置Aは、前記電気二重層コンデンサ1の外装ケース2の内部に電解液を注入するためのものであり、図1に示すように、比較的多量の電解液を貯留する第1電解液貯留タンク8と、外装ケース2への注入量に対応する電解液を貯留する第2電解液貯留タンク9(電解液貯留手段)と、外装ケース2の内部の脱気を行う真空ポンプ10(脱気手段)と、積層電極に電圧を印加する充電用電源11(電圧印加手段)とを備えている。
【0019】
前記第1電解液貯留タンク8は、第1窒素ガス圧流路12を介して第1窒素タンク13に接続されている。また、該第1電解液貯留タンク8は、電解液流路14を介して前記第2電解液貯留タンク9に接続されている。該電解液流路14には、電解液の流通及び停止を行う第1開閉弁15と、該電解液流路14に沿って流通する電解液の流量を所望の量に規制することができる流量調整弁16とが設けられている。第1開閉弁15の開弁によって、第1窒素タンク13から第1窒素ガス圧流路12を介して付与される圧力によって第1電解液貯留タンク8内部の電解液が圧送され、該電解液が前記第2電解液貯留タンク9に所定量貯留される。そして、該第2電解液貯留タンク9に所定量の電解液が貯留されたところで前記第1開閉弁15が閉弁される。
【0020】
また、該第1電解液貯留タンク8は、第1恒温槽17内に設けられている。該第1恒温槽17は第1電解液貯留タンク8内部の電解液を所定の温度(本実施形態では70℃)に加温すると共に、該電解液を当該温度に維持させる。
【0021】
前記第2電解液貯留タンク9は、電解液注入路18を介して電気二重層コンデンサ1の蓋体3に形成された前記電解液注入口7に接続されている。該第2電解液貯留タンク9には、第2窒素ガス圧流路19を介して前記第2窒素タンク20(注入手段)が接続されている。該第2窒素ガス圧流路19には第2開閉弁21が設けられている。該第2開閉弁21の開弁によって、第2窒素タンク20から第2窒素ガス圧流路19を介し第2電解液貯留タンク9内部に圧力が付与され、第2電解液貯留タンク9内部の電解液が外装ケース2の内部に圧送される。そして、該外装ケース2の内部に第2電解液貯留タンク9内部の電解液が送出されたところで前記第2開閉弁21が閉弁される。
【0022】
該第2電解液貯留タンク9は、第2恒温槽22内に設けられており、電解液を注入する際には前記電気二重層コンデンサ1が該第2恒温槽22内に収納される。これにより、第2電解液貯留タンク9内部及び外装ケース2内部の電解液が所定の温度(本実施形態では70℃)に加温された状態で保温される。なお、前記第1恒温槽17及び前記第2恒温槽22は本発明の電解液加温手段として設けられたものである。
【0023】
前記電解液注入路18には、吸引路23を介して前記真空ポンプ10が接続されている。該吸引路23には、第3開閉弁24と電解液トラップ用タンク25とが設けられている。該真空ポンプ10は、外装ケース2への電解液の注入に先立って、前記第3開閉弁24の開弁によって、外装ケース2の内部のエアを抜き取るものである。更に、該真空ポンプ10によって、外装ケース2の内部のエアと共に電解液注入路18内に付着残留する古い電解液等の不要な物が吸引され、前記電解液トラップ用タンク25に貯留される。
【0024】
また、前記充電用電源11は前記第2恒温槽22に収納された電気二重層コンデンサ1の電極端子5,6の夫々にリード線26,27を介して接続され、前記積層電極4に電圧を印加する。後述するように、前記真空ポンプ10による外装ケース2内部の脱気時及び前記第2電解液貯留タンク9から外装ケース2内部への電解液の注入時において、該充電用電源11による積層電極4への電圧の印加が連続して行われる。
【0025】
次に、以上の構成からなる電解液収入装置Aによる電気二重層コンデンサ1への電解液の注入作業を説明する。先ず、外装ケース2の内部に乾燥状態の前記積層電極4が収納された電気二重層コンデンサ1の前記電解液注入口7に前記電解液注入路18を接続し、両電極端子5,6にリード線26,27を介して前記充電用電源11を接続する。次いで、該充電用電源11によって前記積層電極4に電圧を印加する。これにより、該積層電極4が電気的に反応して該積層電極4の内部(詳しくは活性炭からなる分極性電極の内部)の不純物がガス化して外装ケース2内に放出される。この状態で更に、前記第3開閉弁24を開弁し、前記真空ポンプ10によって外装ケース2内のエアを吸引する。これにより、外装ケース2内のエアと共にガス化した不純物が外装ケース2内から抜き取られる。このとき、前記電解液注入路18に古い電解液(例えば、前回の注入作業により電解液注入路18に付着残留した電解液)も吸引され、前記電解液トラップ用タンク25に貯留される。
【0026】
次いで、前記第3開閉弁24を閉弁し、前記第1開閉弁15を開弁する。これによって、第1電解液貯留タンク8の電解液が第1窒素タンク13からの窒素ガスに圧送されて第2電解液貯留タンク9に貯留される。そして、該第2電解液貯留タンク9に貯留された電解液が電気二重層コンデンサ1への注入量となったとき、前記第1開閉弁15を閉弁し、前記第2開閉弁21を開弁する。
【0027】
これによって、第2電解液貯留タンク9の電解液が第2窒素タンク20からの窒素ガスに圧送されて、外装ケース2の内部に注入される。このとき、前記充電用電源11による積層電極4への電圧の印加が継続されており、更に、注入される電解液は、前記第1恒温槽17及び第2恒温槽22によって所定の温度に加温されているので、該電解液に浸漬された積層電極4の電気的な反応が一層活発となり、該積層電極4内の不純物のガス化が促進されて、該積層電極4への電解液の含浸が迅速に行われる。
【0028】
そして、第2電解液貯留タンク9の電解液が外装ケース2の内部に注入されたとき、第2開閉弁21を閉弁して、電解液注入口7と電解液注入路18との接続を解除する。このとき、電解液の注入時に生じたガス化された不純物が開放された電解液注入口7を介して外装ケース2から放出される。その後、該電解液注入口7が封止され、外装ケース2が密封される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を模式的に示す説明図。
【符号の説明】
A…電解液注入装置、1…電気二重層コンデンサ、2…外装ケース、3…蓋体、4…積層電極、5,6…電極端子、7…電解液注入口、8,9…電解液貯留タンク(電解液貯留手段)、10…真空ポンプ(脱気手段)、11…充電用電源(電圧印加手段)、13,20…窒素タンク(注入手段)、17,22…恒温槽(電解液加温手段)、18…電解液注入路(注入路)。

Claims (2)

  1. 陽極電極素子と陰極電極素子とがセパレータを介して交互に積層された積層電極が乾燥された状態で外装ケースに収容され、陽極電極素子と陰極電極素子とに夫々接続された一対の電極端子及び電解液注入口を備える蓋体により前記外装ケースが閉塞されてなる電気二重層コンデンサへの電解液注入方法において、
    前記電極端子を介して前記積層電極に電圧を印加する電圧印加工程を設け、
    該電圧印加工程が行われている間に、前記電解液注入口を介して外装ケース内部を真空吸引して脱気する脱気工程と、該脱気工程の後に外装ケース内部に所定温度に加温された電解液を加圧注入する電解液注入工程とを行うことを特徴とする電気二重層コンデンサの電解液注入方法。
  2. 陽極電極素子と陰極電極素子とがセパレータを介して交互に積層された積層電極が乾燥された状態で外装ケースに収容され、陽極電極素子と陰極電極素子とに夫々接続された一対の電極端子及び電解液注入口を備える蓋体により前記外装ケースが閉塞されてなる電気二重層コンデンサへの電解液注入装置において、
    電解液を貯留する電解液貯留手段と、
    該電解液を所定の温度に加温する電解液加温手段と、
    前記電解液貯留手段と前記電解液注入口とを接続する注入路と、
    該注入路を介して前記電解液貯留手段の電解液を前記外装ケース内部に加圧注入する注入手段と、
    前記注入路を介して前記電解液注入口に接続され、前記注入手段による電解液の注入に先立って前記外装ケース内部を真空吸引して脱気を行う脱気手段と、
    少なくとも該脱気手段による脱気時及び前記注入手段による電解液の注入時に、前記電極端子を介して前記積層電極に電圧を印加する電圧印加手段とを備えることを特徴とする電気二重層コンデンサの電解液注入装置。
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