JP4124744B2 - チタン又はチタン合金の電解研磨方法 - Google Patents

チタン又はチタン合金の電解研磨方法 Download PDF

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Description

本発明は、時計や眼鏡などの装飾品や建材あるいは器物、生体材料や歯科材料などに使用されるチタン又はチタン合金の電解研磨方法とその装置に係り、特に鏡面仕上げが可能なチタン又はチタン合金の電解研磨方法に関する。
チタン及びチタン合金は軽く、高強度でありかつ耐食性に優れているなどその優れた特性により、従来から航空産業,宇宙産業,原子力発電,土木建築等に利用されていたが、近年ではその利用分野はカメラ,メガネフレーム,ハウスウェア関係,アウトドア用品,装身具等の一般消費財に広がってきている。また、非磁性、生体適合性等の良好な特性により、生体材料や歯科材料にも利用分野が広がって来ている。しかしながら、その素材特性から製品仕上げにおける羽布研磨加工が難しく、そのため著しいコスト高となってしまうため、より安価で量産性のある鏡面仕上げ方法としての電解研磨技術の確立が望まれている。
従来報告されているチタン及びチタン合金電解研磨法としては過塩素酸に無水酢酸を加えた液,クロム酸にフッ化水素酸を加えた液、リン酸にフッ化水素酸を加えた液、中性フッ化物と澱粉等の有機造粘剤を含む液、エチルアルコールに可溶性の塩等を加えた液、硫酸系などが発表されている。
例えば特許文献1には、「チタン及びチタン合金の電解研磨方法」として、電解処理液の成分として少なくとも一種以上の中性フッ素化合物を含み、さらに液粘度の上昇のために可溶性澱粉、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン若しくはプロピレングリコール等の水溶性有機増粘剤の一種又は複数を含み、電解処理液のPHが5〜8のほぼ中性であることを特徴とする、チタン及びチタン合金の電解研磨方法が開示されている。
また、特許文献2には「チタン電解研磨用浴組成物およびその使用方法」として、硫酸、フッ化水素酸、酢酸を含む浴組成物が開示されている。
さらに、特許文献3には、「チタン又はチタン合金の電解研磨法」として、還元剤を添加混合した電解処理液を使用して、プラス及びマイナス電流を交互に流すパルス電解法により、チタン又はチタン合金に平滑で光沢のたる電解研磨面を生成させる電解研磨法が開示されている。
特開平9−207029号公報 特表2003−513166号公報 特開平4−72100号公報
しかしながら、上述の特許文献1乃至3に開示されるような従来の水溶液系電解研磨液では、電解研磨時にチタン表面に成長する非常に安定な化合物である二酸化チタン皮膜の成長を抑制、あるいは溶解して、電解電流を安定して流すために、不安定で爆発性のある液、フッ化物を含んだ液が使用されており、電解研磨作業者に対して非常に危険であるために工業的な規模での量産は難しいものとなっている。また非水系溶媒浴では仕上がり面の均一性が悪く、実用化には至っていない。
チタン及びチタン合金の薬品による研磨方法としては、電気を使用せずに化学的溶解のみで研磨を行う化学研磨が工業的に行われているが、化学研磨の液としては、硝酸・フッ化水素酸液,過酸化水素・フッ化水素酸液が使用されており、いずれもフッ化物を含むため危険であり、大きな部品に応用するのは難しい。又、化学研磨ではチタン 及びチタン 合金の溶解量が多く溶解量のコントロールが難しく、得られる光沢も梨地状の光沢で鏡面研磨には程遠く、精度の高い部品,品位の高い鏡面を必要とする部品に応用することは難しい。
金属の電解研磨においては、被研磨物を陽極として電解研磨溶液に浸漬し通電することにより、金属表面に粘性液体膜が発生する。それを通し金属表面からの陽極酸化被膜の発生と溶解がバランスして安定な電解電流が流れて、電解研磨が進行する。しかしながら、チタン及びチタン合金は酸素と非常に化合し易く、又、発生した陽極酸化被膜は非常に化学的に安定であるため、ステンレス,アルミニウム,鉄,銅等の金属の電解研磨に通常使用されている水溶液系の液で電解研磨を行おうとしても、人体に有害なフッ化物を使用しない液では表面に陽極酸化被膜が成長して電解電流が流れなくなってしまい、全く電解研磨は不可能である。
チタン 及びチタン合金の電解研磨液において有機溶媒液を使用した電解研磨液は局部の強固な陽極酸化皮膜が成長せず、電解は行われるが全体に均一な鏡面は得られない。また、槽内に機械的撹拌を行いながら電解研磨を行うと、流れ方向に白色な膜が確認され、均一な鏡面は得られない。また超音波撹拌などは粘性液体膜の厚みを均一にするには不均一で強すぎるため、連続した電解を行うと均一な鏡面は得られない。さらに、その他の槽内撹拌技術を用いても電解研磨に必要な適正電流密度を与えるための抑止板、補助陽極などを配置すると撹拌状態が乱され、複雑形状などの処理材に均一な鏡面は得られなかった。また、被処理材に振動を手で与える方法はある程度の鏡面は得られるが、再現性が得られないことや処理面の形状や浸漬角度により均一な鏡面が得られず、工業的に実用化するには課題があった。
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、その目的は従来技術より爆発性がある過塩素酸や人体に有害なフッ化物を使用することなく、比較的簡単な工程あるいは装置を使用しながら、安全で工業的量産性が有り、滑沢の高い鏡面が得られるチタン又はチタン合金の電解研磨方法を提供することにある。
本発明の請求項1に記載のチタン又はチタン合金の電解研磨方法においては、上述の問題点を解決するため、チタン又はチタン合金の電解研磨方法において、電解処理液として、炭素数2〜4のいずれかのアルコール及び金属塩化物を含有する液を採用し、電解研磨条件として、3〜500A/dmの電流密度及び5〜70℃の電解処理液温度を採用し、振動条件として、10〜1000回/分の振動数、0.1〜100mmの振動ストローク及び0.1〜100Nの振動吸引力を採用し、電解処理液中でチタン又はチタン合金製の被処理材を陽極として通電しながら振動させ、前記チタン又はチタン合金製の被処理材の表面に発生する粘性液体膜の発生と溶解をバランスさせながら安定した電解電流を流して電解研磨を進行させるようにしたものである。
上記構成のチタン又はチタン合金の電解研磨方法において、炭素数2〜4のアルコールは、被処理材であるチタン又はチタン合金の表面に発生する陽極酸化皮膜の発生を抑制する作用を有し、金属塩化物はアルコール中へのチタンの溶解を促進して電気伝導度を増加させる作用を有する。
また、電解研磨は振動を与えながら実施されるが、この振動によって被処理材の表面に形成される粘性液体膜が均一に構成されるように制御されるという作用を有する。
本発明のチタン又はチタン合金の電解研磨方法においては、安全にしかも簡単にチタン又はチタン合金の電解研磨が量産可能となり、複雑な形状を有するチタン又はチタン合金の加工品も安価に鏡面加工ができる。また、フッ化物を使用しないため、液の腐食性が低いことにより、排気フードなどの付帯設備不要な電解研磨装置として装飾、宝飾、歯科、医科材料の現場設置することが可能となり、チタン材の加工を行う場所の選定が限定されることなく容易に行われるようになる。
以下に本発明を実施するための最良の形態に係るチタン又はチタン合金の電解研磨装置について図1乃至図4を参照しながら説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態に係るチタン又はチタン合金の電解研磨装置の概念図である。図1において、電解研磨装置1は、電解処理液2を貯留する電解槽3を備えている。この電解槽3の上方には、電解槽3内への異物混入を防止するとともに電解処理液2が電解研磨作業中に飛び散ることのないように蓋16が配置され、さらに、この蓋16には、振動発生装置5を保持するための2本の保持アーム4,17が設けられている。
振動発生装置5からは、振動伝導アーム19が延設されており、この振動伝導アーム19の下端は電解槽3内の電解処理液2に浸漬され、その下端部には電気伝導性を備えたクリップ形状の接続用アーム18が設けられている。この接続用アーム18に被処理材15が接続され、振動発生装置5から振動伝導アーム19を介して振動が伝達され、被処理材15は電解研磨作業中に振動する。この振動は、電解研磨作業中に継続的に与えられる。この振動を与えることなく、電解研磨によって被処理材15の表面に形成される酸化物の粘性液体膜をそのまま放置した場合にはこの粘性液体膜が被処理材15の表面に固着する。固着した粘性液体膜は、非常に安定しており絶縁の働きをして通電不良を生じさせて電解研磨が進行しなくなってしまう。
そこで、この粘性液体膜が固着する前に、振動によって均一面を構成するように適正に剥離させながら鏡面を得るのである。
なお、被処理材15を振動させることなく、電解処理液2を電解槽3内で流動させることも考えられるが、被処理材15の周辺に3次元的で均一な流動を形成させることが困難であることから被処理材15自身を振動させることが望ましい。
振動発生部5には、振動数可変コントローラ6が接続されており、電解研磨中に加えられる振動数を変えることができる。振動伝導アーム19には電気配線13が接続されており、この電気配線13は直流電源7の正極に接続されている。このようにして、直流電源7から被処理15までが、電気的に導通し、その結果、被処理材15は、電解研磨装置1の陽極電極として機能する。
一方、電解槽3内には、電解処理液2に浸漬される陰極電極8が配置されている。この陰極電極8は、酸で侵され難い金属であるステンレス、白金又はチタン等で作られており、被処理材15の形状に応じてメッシュ状、線状、平板若しくは曲面の形状をしており、電解槽3内で被処理材15の全体若しくは一部を囲む又は対向するように配置されている。さらに、陰極電極8は、電気配線14により、直流電源7の負極と接続されている。
また、電解槽3内には、電解処理液2を攪拌するための回転子(攪拌用)9が設けられ、電解槽3の下には、この回転子9を駆動するための回転子駆動装置10が配置されている。
この第1の実施の形態に係る電解研磨装置1は、被処理材15を振動させるため、振動発生装置5はソレノイド構造になっており、一般的な汎用部品であるソレノイド部品を流用している。
電解槽3は電解研磨中の温度を一定に保持するために水12を張った恒温槽11内に設置される。
次にこの電解研磨装置1の使用方法について説明する。まず、被処理材15及び陰極電極8を電解槽3内にセッティングする。その後、電解槽3内に、被処理材15及び陰極電極8が十分に浸かる程度に、予め調製された電解処理液2を注入する。この状態で、被処理材15に振動可変コントローラ6により所望の振動を与える。振動を受けている被処理材15を陽極電極とし、それと対向して配置された陰極電極8及び電解処理液2とにより、回路を形成させ、この回路に、直流電源5から直流電流を流すことにより、電気化学的反応を起こさせる。
この電気化学的反応が起こっている状態において被処理材15に振動を与えることで、被処理材15のチタンおよびチタン合金中の金属元素は、電解処理液2中でその表面に形成される酸化物の液体粘膜層の厚みをコントロールしながら電解処理液2中に溶解するため、鏡面をもつ仕上げ面が得られる。
第1の実施の形態に係る電解研磨装置1は、被処理材15の電解研磨中に発生する金属表面近傍の過度の温度上昇を、電解処理液3を回転子9及びスターラー駆動装置10で攪拌するようにして、電解槽3内で比較的均一に保持している。振動条件は振動発生装置5のソレノイドと呼ばれる部品を交換することにより吸引力及びストロークを設定し、振動数可変コントローラ6において振動数を設定している。この吸引力、ストロークあるいは振動数のうち少なくともいずれか1つを可変とすることが、電解研磨作業の振動条件で最適な条件を導き出すために望ましい。
振動条件のうち、振動数とは、単位時間内に振動する回数をいい、また吸引力とは被処理材15が上下あるいは左右に振動する際に、その被処理材15表面における振動加速度に係る量であり、被処理材15の表面に形成される酸化物の液体粘膜層を剥がす駆動力となるものである。さらに、振動のストロークとは、振動の振幅をいい、この長さが長いほど液体粘膜層が剥がれやすくなる。吸引力が瞬発的に液体粘膜層にほころびを作り剥離の引き金を作るイニシエータとして働くのに対して、ストロークは剥離を増長させるプロモータのように働くのである。
次に、図2により、本発明の第2の実施形態について説明する。図2は、本発明の第2の実施形態に係るチタン又はチタン合金の振動による電解研磨装置を示す概念図である。この第2の実施形態における電解研磨装置の基本構成は、第1の実施形態と同様であるので、その同一部分には同一符号を付し、説明は省略する。
第2の実施形態では、被処理材15の振動を、変速カム22及びノッキング治具23により、所望回転数において所望の振動を実現するようにしたものである。そのため、振動伝導アーム19には電気配線13と吸引力を変更できるように重り29を設置できる構造となっている。重り29は、その軽重によって重力を変更することができるので、電解処理液2中での振動の加速度を変えることができるのである。また、振動伝導アーム19はその上端部を振動棒固定治具21によって保持されている。
なお、先の第1の実施の形態及び本実施の形態において、振動条件として所望という語を用いているが、これは振動条件によってチタン又はチタン合金の表面に形成される鏡面の仕上がり具合が異なり、この振動条件の設定には被処理材15の形状や大きさなども考慮する必要があるためである。実際に本発明を実施する際には、被処理材15によって個別に最適な振動条件を予め試験などを実施して設定する必要がある。
また、本実施の形態においては、電解槽3内の温度分布を均一にする方法として、電解槽3内に水流板26を設けて、この水流板26にパイプ25を介してポンプ24を接続して電解処理液2を循環させている。温度変化を最小限に抑えるため、温度調整機器27を設置し、電解槽内3へ循環コイル28を浸漬させている。
このように、第2の実施形態では、被処理材15の振動条件の内、振動数を変速カム22の回転数により、吸引力を重り29の重量により、ストロークをノッキング治具23aの形状とノッキング治具受け23bの位置により変更できる現場作業に適した装置となっている。本実施の形態においても、前述のとおり吸引力、ストローク、振動数のうち少なくとも1つについては可変とすることが、最適な振動条件を設定するためには望ましい。
第1の実施形態と比較して、温度調節器27および循環コイル28を電解槽3内に設置し、循環ポンプ24及びパイプ23および水流板26を設置したことにより、電解槽3の大きさや形状を簡単に変更でき、被処理材15の大きさに対応可能な工業的な装置となっている。作用効果は、上述した第1の実施形態と同様である。
次に、本発明のチタン又はチタン合金の電解研磨方法に係る実施の形態について、図3を参照しながら説明する。
チタン又はチタン合金の電解研磨方法には大きく2つの工程があり、ステップS−1として、電解処理液の調製工程があり、ステップS−2として電解研磨工程がある。本実施の形態に係るチタン又はチタン合金の電解研磨法において、電解処理液としては、炭素数2〜4のアルコール及び金属塩化物を含有することを特徴としている。
また、ステップS−2の電解研磨工程における電解研磨条件としては、電流密度を3〜500A/dm 、電解処理液温度を5〜70℃とすることを特徴としている。さらに、電解研磨工程における振動条件としては、振動数を10〜1000回/分、振動のストロークを0.1〜100mm、さらに振動の吸引力を0.1〜100Nであることを特徴としている。
本実施の形態に係るチタン又はチタン合金の電解研磨方法においては、予め電解処理液を調製しておき、電解槽にチタン又はチタン合金を陽極として設置し、また、陰極を設置しておく。
その後、電解処理液を電解槽に導入して前述の電解研磨条件と振動条件を満たしながら電解研磨を行うものである。
本実施の形態は、被処理材を振動あるいは揺動することを特徴とする電解研磨法に係わるものである。
炭素数2〜4のアルコールとしては、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ビニルアルコール、イソプロペニルアルコール、1−プロペニルアルコール、アリルアルコール、1−ブテニルアルコール、2−ブテニルアルコール、などが挙げられる。このような炭素数2〜4のアルコールを用いることによりチタンまたはチタン合金の研磨作業上、安全かつ低コストで優れた鏡面が得られる。
さらに、本発明においては、前述のとおり電解研磨条件として、電流密度:3〜500A/dm、電解処理液温度:5〜70℃であることが望ましい。電流密度が3A/dm未満であると、電解研磨速度が遅く効率的ではなく、電流密度が500A/dmを超えると被電解研磨面が荒れ、光沢度が減少するという問題があり、3〜500A/dmの範囲で電解研磨作業を行うことが好ましい。なお、電解研摩電圧については、15〜100Vの範囲で行うことが好ましい。15V未満では、研磨不良という問題が生じ、100Vを超えると、液中放電が発生し電解研磨が困難となるからである。
さらに本発明においては前述のとおり振動条件として、10〜1000回/分、ストローク:0.1〜100mm、吸引力:0.1〜100Nであることが望ましい。振動条件は相互に複雑に関連しているが、振動回数が10以下であると、電解研磨目が灰色になり、鏡面が得られない。振動回数が1000以上であると梨地の表面になり、鏡面が得られない。吸引力が0.1N以下であると電解研磨目が灰色になり、鏡面が得られない。吸引力が100N以上であると電解研磨目が梨地もしくはまだら模様になる。
ここで、本願発明に関して実際にチタン合金を用いて行った実施例について説明する。
エチルアルコール600ml、イソプロピルアルコール400ml、塩化アルミニウム100g、塩化亜鉛300gを添加して電解研磨処理液を調合し、試験サンプルとして50mm×50mm×1mmt(tは厚みを意味する。)のチタン合金板を使用し、脱脂により清浄化した後電解研磨の試験を行った。
被処理材振動条件:60回/分、ストローク:2mm、吸引力:10Nとして、液温を70℃に保ちつつ対極としてステンレス板を用い、被処理物のチタン合金板を陽極として500A/dmの電流密度で直流にて2分間電解研磨を行った。
尚、電解研磨時の電圧は約20Vから約40Vの範囲で変動した。
電解研磨終了後チタン合金板表面の陽極酸化被膜をアセトン浸漬して溶解してから水洗乾燥し、表面の光沢及びJISに準じた表面粗さを測定した。
表1に処理前後の表面粗さを示した。
表1よりわかるように、振動装置を用いた本電解研磨法では、短時間で、外観光沢及び表面粗さの優れたチタン合金板が得られた。それに対して、振動装置を用いないで行った場合は、長時間の研磨を行ったが、外観光沢及び表面粗さの優れたチタン合金板が得られなかった。
ここで、表1中のRa、RyとはJISによって定められる工業製品の表面粗さを表すパラメータであり、Raは算術平均粗さを意味し、Ryは最大高さを意味する。
次に、実施例2として、エチルアルコール600ml、イソプロピルアルコール400ml、塩化アルミニウム100g、塩化亜鉛300g、を添加して電解研磨処理液を調合し、試験サンプル1としてチタン鋳造品である歯科材料部品のデンチャーのチタン合金を、試験サンプル2としてチタン鋳造品である歯科材料部品のデンチャーの純チタンを使用し、サンドブラスト、脱脂により清浄化した後電解研磨の試験を行った。
被処理材振動条件として振動数を30回/分、振動のストロークを10mm、振動の吸引力を20Nとして、液温を50℃に保ちつつ対極としてステンレス板を用い、被処理物を陽極としてサンプル1については半分をサンプル2について全面に20A/dmの電流密度で直流にて30分間電解研磨を行った。
尚、電解研磨時の電圧は約20Vから約80Vの範囲で変動した。電解研磨終了後被処理材の陽極酸化被膜をアセトンに、浸漬して溶解してから水洗乾燥し、表面の光沢及びレーザー顕微鏡にて表面粗さを測定した。
表2に表面粗さの測定値、図4に外観写真を示す。
表2または図4よりわかるように、振動装置を用いた本電解研磨法では、短時間で、外観光沢及び表面粗さの優れた純チタン又はチタン合金鋳造品が得られた。それに対して、振動装置を用いないで行った場合は、長時間の研磨を行った割には、外観光沢及び表面粗さの優れたチタン又はチタン合金鋳造品は得られなかった。
最後に、実施例3として、エチルアルコール600ml、イソプロピルアルコール400ml、塩化アルミニウム100g、塩化亜鉛300g、を添加して電解研磨処理液を調合し、試験サンプルとして25mm×50mm×1mmtの純チタン板を使用し、脱脂により清浄化した後電解研磨の試験を行った。また、被処理材を垂直方向に向けたものと、垂直方向から45、60度に設置したものについて振動条件の振動回数を変更したものについて試験を行った。
被処理材振動条件の内、振動数としては5、50、100、500,800、1500回/分、振動のストロークとして8mm、吸引力として50Nを採用して、液温を50℃に保ちつつ対極として白金板を用い、被処理物のチタン合金板を陽極として50A/dmの電流密度で直流にて10分間電解研磨を行った。
尚、電解研磨時の電圧は約10Vから約100Vの範囲で変動した。電解研磨終了後チタン合金板表面の陽極酸化被膜をアセトン浸漬して溶解してから水洗乾燥し、表面の光沢を測定した。
表3に浸漬角度と振動数を変化させた場合の外観評価表を示す。
表3よりわかるように、振動装置を用いた本電解研磨法では、振動回数50〜800(回/分)の間にて光沢が得られ、被処理材の角度により最適振動数が存在することがわかり、本装置を用いることにより傾きが存在する場合においてもチタン又はチタン合金板を電解研磨することにより鏡面が得られた。このことから、電解研磨法では、特に振動条件が重要であり、その振動条件は被処理材の角度によって変化することが理解される。従って、被処理材の形状や寸法によって振動条件は変化させる必要があり、振動条件を試験などによって予め選択して設定することが望ましい。
振動装置を用いないで行った場合は、長時間の研磨を行った割には、外観光沢の優れたチタン合金板が得られなかった。
本発明に係るチタン又はチタン合金の電解研磨方法とその装置は、チタン又はチタン合金を材料に使用する航空宇宙産業、原子力産業あるいは一般産業において、広くその電解研磨方法を提供するものである。特に、光沢性が高く求められるチタン製の装飾品や歯科衛生品の分野において利用可能性が高い。
本発明の第1の実施の形態に係るチタン又はチタン合金の電解研磨装置の概念図である。 本発明の第2の実施の形態に係るチタン又はチタン合金の電解研磨装置の概念図である。 本発明の第1の実施の形態に係るチタン又はチタン合金の電解研磨方法の工程フロー概念図である。 (a)は本発明の実施例2において示された歯科材料部品であるデンチャー1の電解研磨前の外観写真、(b)はそのデンチャー1の電解研磨後の外観写真、(c)は同じく歯科材料部品であるデンチャー2の電解研磨前の外観写真、(d)はそのデンチャー2の電解研磨後の外観写真を示す。
符号の説明
1…電解研磨装置 2…電解処理液 3…電解槽 4…保持アーム 5…振動発生装置 6…振動数可変コントローラ 7…直流電源 8…陰極電極 9…回転子 10…回転子駆動装置 11…恒温槽 12…水 13…電気配線 14…電気配線 15…被処理材 16…蓋 17…保持アーム 18…接続用アーム 19…振動伝導アーム 20…ステンレスアングル 21…振動棒固定治具 22…変速カム 23a…ノッキング治具 23b…ノッキング治具受け 24…ポンプ 25…パイプ 26…水流板 27…温度調節器 28…循環コイル 29…重り

Claims (1)

  1. チタン又はチタン合金の電解研磨方法において、電解処理液として、炭素数2〜4のいずれかのアルコール及び金属塩化物を含有する液を採用し、電解研磨条件として、3〜500A/dmの電流密度及び5〜70℃の電解処理液温度を採用し、振動条件として、10〜1000回/分の振動数、0.1〜100mmの振動ストローク及び0.1〜100Nの振動吸引力を採用し、前記電解処理液中でチタン又はチタン合金製の被処理材を陽極として通電しながら振動させ、前記チタン又はチタン合金製の被処理材の表面に発生する粘性液体膜の発生と溶解をバランスさせながら安定した電解電流を流して電解研磨を進行させることを特徴とするチタン又はチタン合金の電解研磨方法。
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