JP4123550B2 - 圧延機のガイド交換装置およびその交換方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼管製造に適する圧延機のガイド交換装置およびその交換方法に関し、さらに詳しくは、圧延段取り替えにともなう圧延機の入口ガイド交換を簡便にし、さらに自動化し、製管寸法の小径から大径に至る継目無鋼管の少量多品種生産に対応する圧延機に用いられる入口ガイド交換装置およびその交換方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図3は、継目無鋼管の熱間での製造方法として広く採用されている、いわゆるマンネスマン製管法の製造工程の一例を説明する図である。この製管方法は、所定温度に加熱された中実の丸ビレット1を被圧延材とし、この丸ビレット1を穿孔圧延機(いわゆる、ピアサ)2に送給して、その軸心部に穿孔を明けて中空素管を製造する。次いで、製造された中空素管1をそのまま、あるいは必要に応じて上記穿孔圧延機と同一構成のエロンゲータに通して拡径、薄肉化を行った後、マンドレルミル3などの後続する延伸圧延装置に送給して延伸圧延する。その後、ストレッチレデューサ4、サイザー5などに通して磨管、形状修正およびサイジングを行う精整工程を経て製品となる継目無鋼管を製造する方法である。
【0003】
このような製管法において、穿孔圧延機2におけるピアサーロール2r、マンドレルミル3におけるマンドレルロール3r、ストレッチレデューサ4におけるレデューサロール4r、サイザー圧延機5におけるサイザーロール5r等(以下、これらを総称する場合に「圧延ロール」という)が、被圧延材が進行するパスラインを中心にして、1組または複数組で対向配置されている。以下、圧延中における圧延ロールの動作を、サイザー圧延機のサイザーロールの例で説明する。
【0004】
サイザー圧延機5では、穿孔圧延機2および延伸圧延機3で得られた中空素管1を被圧延材として圧延機に通して形状修正およびサイジングを行う。このため、圧延機5は被圧延材1の圧延方向になるパスラインとミルセンターとが一致するように設けられ、被圧延材1を圧下する一対のサイザーロール5rはパスラインを中心として対向配置された複数の孔型ロールからなり、これらのサイザーロールが複数組タンデムに配される。隣接するサイザーロール間ではそれぞれの孔型ロールがパスラインに対して垂直な面内で圧下方向を90°または60°毎ずらして交差配置される。
【0005】
サイザーロールの形式には、図3に示すような2ロール式のものと、3ロール式のものが採用されている。2ロール式は構造的に簡単であり、これに付随して設けられるロール圧下装置、ロールの取り換え装置等も構造が簡単なものでよく、設備費用が低廉になる。このため、従来から2ロール式のサイザーロールが多く用いられている。一方、3ロール式ではロール表面での被圧延材のすべりが少なく、製品の表面形状が有利であることから、最近では鋼管の高品質化の観点から3ロール式のサイザーロールが多用されるようになってきた。
【0006】
上述の通り、サイザー圧延機では、被圧延材をパスセンターを中心に2ロールまたは3ロールの孔型ロールが対向配置されたサイザーロールで圧延し、サイジングを行うものであるから、被圧延材を圧延機の入側センターまで案内しなければならない。被圧延材に材料曲がりがあったり、途中加熱後の不均一冷却により曲がりが発生した場合には、被圧延材の先端を圧延機の入側に噛み込ますことができなくなるだけでなく、被圧延材の先端が圧延機の入側搬送部を激しく打撃し、圧延を不安定にしたり、さらに圧延された鋼管製品の外表面に疵を発生する場合がある。通常、このような事態を回避するため、圧延機の入側センターに被圧延材の先端を案内するために筒状ガイドである入口ガイドが配置される。すなわち、被圧延材に材料曲がりによるパスセンターとのずれが発生しても、入口ガイド内で圧延機の入側まで案内されるので、上記の問題は解消される。
【0007】
上記の問題は、単にサイザー圧延機のみに限らず、他の穿孔圧延機、延伸圧延機、ストレッチレデューサにおいても同様であるから、いずれの圧延機においても被圧延材を圧延機の入側センターまで案内するための入口ガイドまたはこれに相当するものが設けられている。
【0008】
圧延機本体の入り側に設けられる入口ガイドは、被圧延材の曲がり、それに起因する先端部のパスセンターからのずれを吸収するものであるから、被圧延材からの衝撃に耐えられるように、圧延機本体の入側に固定する必要がある。一方、被圧延材の曲がりを吸収して、被圧延材の進行を入側センターに合致させるには、入口ガイドの内径と被圧延材の外径との間隙は一定範囲内に保たなければならない。このため、製管段取りの変更にともなって、穿孔圧延機および延伸圧延機で製造される被圧延材の寸法が変更されると、寸法変更ごとに入口ガイドを取り換える必要がある。
【0009】
しかしながら、従来の圧延機での入口ガイドの交換は、圧延機の入側に門型クレーンを設けたり、ジグクレーンを配置することにより、吊り荷作業を主体とする手作業で行われていた。このような手作業による交換作業では多大な工数を必要とするので、圧延機の稼働率の低下が避けられないという問題がある。特に近年のように、継目無鋼管の高効率生産を目的として、マンネスマン製管設備の連続化が実施されるようになると、圧延機の入口ガイドの交換作業が継目無鋼管製造の全体効率を低下させることになる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の圧延機での入口ガイド交換作業の問題点を勘案し、圧延段取り替えにともなう圧延機の入口ガイド交換を簡便にし、さらに自動化し、製管寸法の小径から大径に至る継目無鋼管の少量多品種生産に対応する圧延機の入口ガイド交換装置およびその交換方法を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、図1および図2に示すように、下記(1)の圧延機の入口ガイド交換装置および(2)のそれを用いた入口ガイド交換方法にある。
【0012】
(1)パスラインに沿って進行する被圧延材を圧延機の入側センターまで案内する入口ガイド交換装置であって、圧延機6本体に取り付けられたガイド交換フレーム8と、このガイド交換フレームに摺動可能に嵌着されたスライドフレーム9と、スライドフレームに取り付けられた内径が互いに異なる複数個の入口ガイド7と、圧延段取りに応じた入口ガイドを圧延機の入側センターに合致するようにスライドフレームを摺動する手段10と、圧延時にはスライドフレームをガイド交換フレームに固着する手段15とを設け、圧延段取りに応じた入口ガイドを選択することを特徴とする圧延機の入口ガイド交換装置である。さらに、この交換装置のスライドフレームを摺動する手段 10 に位置検出器 14 を設置し、圧延段取りに応じた入口ガイド7が入側センターに合致するようにスライドフレーム 9 の位置制御ができる。
【0014】
(2)パスラインに沿って進行する被圧延材を圧延機の入側センターまで案内する入口ガイド交換方法であって、圧延段取り替えに際し、スライドフレーム9に取り付けられた内径が互いに異なる複数個の入口ガイド7のうち圧延段取りに応じた入口ガイド7を圧延機6の入側センターに合致するようにスライドフレーム9を摺動し、次いでスライドフレームをガイド交換フレーム8に固着することを特徴とする圧延機の入口ガイド交換方法である。
【0015】
上記(1)、(2)の圧延機の入口ガイド交換装置およびそれを用いた入口ガイド交換方法は圧延機に共通する課題を解決するものであるから、圧延機は単にサイザー圧延機を規定するものでなく、他の穿孔圧延機、延伸圧延機、ストレッチレデューサ等も包含するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の入口ガイド交換装置は、圧延機本体に取り付けられたガイド交換フレームと、このガイド交換フレームに摺動可能に嵌着されたスライドフレームと、スライドフレームに取り付けられた内径が互いに異なる複数個の入口ガイドと、圧延段取りに応じた入口ガイドを圧延機の入側センターに合致するようにスライドフレームを摺動する手段と、圧延時にはスライドフレームをガイド交換フレームに固着する手段とを設けることを主な特徴としている。
【0017】
本発明の入口ガイド交換方法は、上記構成の交換装置に用いられる方法であり、圧延段取り替えに際し、スライドフレームに取り付けられた内径が互いに異なる複数個の入口ガイドのうち圧延段取りに応じた入口ガイドを圧延機の入側センターに合致するようにスライドフレームを摺動し、次いでスライドフレームをガイド交換フレームに固着する方法である。
【0018】
本発明の圧延機の入側ガイド交換装置とその方法によれば、圧延段取り替えにともなう入口ガイドの交換を人手で行うことなく、必要に応じて旧入口ガイドから新入口ガイドの交換までの全ての工程を自動化できる。このため、入口ガイド交換に要する作業時間を大幅に短縮することができるだけでなく、作業自体の省力化にも大きな効果を発揮する。
【0019】
以下、実施例を挙げて本発明の効果を具体的に説明するが、以下の開示は本発明の一実施例にすぎず、本発明の技術的範囲を何ら限定するものでない。
【0020】
【実施例】
図1および図2は本発明の具体的な構成例を示す図であり、各図において共通する部材は同じ符号を用いる。
【0021】
図1は、本発明の入口ガイド交換装置の構成例を説明する正面図である。図において、被圧延材は紙面の垂直方向を上から下に移動して、圧延機6に噛み込まれる。入口ガイド交換装置の外観を形成するガイド交換フレーム8は、圧延機6本体に取付けボルトによって固定されている。このガイド交換フレーム8の内側にはスライドフレーム9が嵌着されており、スライドフレーム9はガイド交換フレーム8の内側を摺動可能である。さらに、スライドフレーム9には、複数個の入口ガイド7がピン構造で取り付けられている。同図では、内径寸法がd1〜d4と変わる4個の入口ガイド7が配置されているが、適用される圧延機の圧延段取りに応じて複数個の入口ガイド7を配置することができる。
【0022】
被圧延材を圧延機6の入側センターに案内するため、入口ガイド7の中心が入側センターに合致するようにスライドフレーム9を摺動する手段10が設けられる。図1では、摺動する手段10としてモーター11および減速ギヤー12が示されている。さらに、圧延時にスライドフレーム9をガイド交換フレーム8に強固に固着する手段15の例として、油圧クランプ装置が設けられる。
【0023】
図2は、本発明の入口ガイド交換装置の動作、機構を説明する側面断面図である。図において、被圧延材はパスラインX−Xに沿って移動し、圧延機6に噛み込まれる。図2を用いて、スライドフレーム9を摺動させる機構を説明する。スライドフレーム9の底面にはラック13が取り付けられており、減速ギヤー12と噛み合っている。したがって、モーター11が回転することによって減速ギヤー12が回転し、それにともなってスライドフレーム9は紙面の垂直方向を移動する。このスライドフレーム9の摺動動作によって、入口ガイド7を圧延機の入側センターに合致させることができる。
【0024】
減速ギヤー12の回転軸に位置検出器14を取り付けることができる。上述の通り、減速ギヤー12の回転数に応じてスライドフレーム9の摺動距離が定まるものであるから、位置検出器14を設けることによって、圧延段取りに応じた入口ガイド7の中心が圧延機6の入側センターに合致するように、スライドフレーム9を位置制御することができる。したがって、位置検出器14を配置することによって、入口ガイドの交換作業の自動化が可能となる。スライドフレーム9の位置が定まると、油圧クランプ装置15が作動して、スライドフレーム9をガイド交換フレーム8に固着する。
【0025】
以上説明したように、一連の入口ガイドの交換作業が簡易に行うことができ、必要に応じてすべて自動化することができる。これによって、圧延機の入口ガイドの交換作業時間を大幅に短縮することができる。
【0026】
【発明の効果】
本発明の圧延機の入口ガイド交換装置および入口ガイド交換方法によれば、圧延段取り替えにともなう入口ガイドの交換作業を簡便に行うことができ、必要に応じて自動化も図れるので、作業時間を大幅に短縮することができる。しかも、製管寸法の小径から大径に至る継目無鋼管の少量多品種生産において高効率生産を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の入口ガイド交換装置の構成例を説明する正面図である。
【図2】本発明の入口ガイド交換装置の動作、機構を説明する側面断面図である。
【図3】継目無鋼管の熱間での製造方法として広く採用されているマンネスマン製管法の製造工程の一例を説明する図である。
【符号の説明】
1:被圧延材、丸ビレット、中空素管
2:先行圧延機、 3:マンドレルミル
4:ストレッチレデューサー
5:サイザー圧延機
2r、3r、4r、5r:圧延ロール
6:圧延機、 7:入口ガイド
8:ガイド交換フレーム
9:スライドフレーム、 10:揺動手段
11:モーター、 12:減速ギヤー
13:カム、 14:位置検出器
15:固着手段、油圧クランプ装置
Claims (2)
- パスラインに沿って進行する被圧延材を圧延機の入側センターまで案内する入口ガイド交換装置であって、圧延機本体に取り付けられたガイド交換フレームと、このガイド交換フレームに摺動可能に嵌着されたスライドフレームと、スライドフレームに取り付けられた内径が互いに異なる複数個の入口ガイドと、圧延段取りに応じた入口ガイドを圧延機の入側センターに合致するようにスライドフレームを摺動する手段と、圧延時にはスライドフレームをガイド交換フレームに固着する手段とを設け、圧延段取りに応じた入口ガイドを選択するようになっており、上記スライドフレームを摺動する手段には位置検出器が設けられ、圧延段取りに応じた入口ガイドが入側センターに合致するようにスライドフレームの位置制御ができることを特徴とする圧延機の入口ガイド交換装置。
- パスラインに沿って進行する被圧延材を圧延機の入側センターまで案内する入口ガイド交換方法であって、圧延段取り替えに際し、スライドフレームに取り付けられた内径が互いに異なる複数個の入口ガイドのうち圧延段取りに応じた入口ガイドを圧延機の入側センターに合致するようにスライドフレームを摺動し、次いでスライドフレームをガイド交換フレームに固着することを特徴とする圧延機の入口ガイド交換方法。
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JP28189597A JP4123550B2 (ja) | 1997-10-15 | 1997-10-15 | 圧延機のガイド交換装置およびその交換方法 |
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- 1997-10-15 JP JP28189597A patent/JP4123550B2/ja not_active Expired - Fee Related
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