JP4122567B2 - 密閉型電池およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、密閉型電池、特にリチウムイオン二次電池等の高エネルギー密度を有する電池の特性,安全性,生産性の改良技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、これらの密閉型電池は、例えば正極板と負極板をセパレータを間に介して渦巻状に巻回した極板群が円筒形の電池ケースの中でほどけることによる極板のずれ等を防ぐために、図3に示すように、ポリプロピレン,ポリエチレン等のテープ1で極板群2の最外周のセパレータ面の中央部付近の1ヶ所を巻いて固定した構成となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構成では、極板群2がほどけないようポリプロピレン,ポリエチレン等のテープ1で極板群2の最外周のセパレータ面をきっちりと固定していたため、セパレータと極板が密着して、電解液の保液性が低下し、電池の充放電サイクル特性を悪化させていた。また、テープ1での極板群2の固定は、製造上、テープ1で固定するための設備を要するだけでなく、部品点数を増すことになっていた。
【0004】
本発明は、上記課題を解決し、極板のずれを防ぐとともに、電解液の保液性を向上させることによって、優れた電池特性をもった密閉型電池およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、正極板と負極板を、セパレータを介して渦巻状に巻回した極板群の最外周のセパレータ面においてその上部と下部を含む2ヶ所以上にセパレータ面より窪んだ止め部を設けた構造、あるいは極板群の最外周のセパレータ面においてその上部から下部までセパレータ面より螺旋状に窪んだ止め部を設けた構造としたものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1および請求項2に記載の発明は、極板群の最外周のセパレータ面においてその上部と下部を含む2ヶ所以上にセパレータ面より窪んだ止め部を設けた構造、あるいは極板群の最外周のセパレータ面においてその上部から下部までセパレータ面より螺旋状に窪んだ止め部を設けた構造を有することで、極板のずれを防ぐとともに、セパレータ面の止め部とその止め部がないセパレータ面との間に段差が生じ、セパレータと極板の密着を防ぎ、電解液の保液性を向上させることが可能になるので、電池の充放電サイクルにおける極板の膨張,収縮時の正極板と負極板間の電解液の保液性が高まり、充放電サイクル特性を向上させることができる。
【0007】
また、請求項3に記載の発明は、極板群を構成した後、極板群を回転させながら、極板群の最外周のセパレータ面においてその上部と下部を含む2ヶ所以上にセパレータ面より窪んだ止め部、あるいは極板群の最外周のセパレータ面においてその上部から下部までセパレータ面より螺旋状に窪んだ止め部を設ける製造方法とするものであり、極板群の固定を迅速かつ確実に行うことができる。
【0008】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の製造方法のうち、特に極板群の固定を行うために熱溶着でセパレータ面より窪んだ止め部を設けるものであり、極板群を固定するための新たな部品,設備を要しないため、生産性向上,低コストにすることが可能になる。
【0009】
以下、図面とともに本発明の実施の形態を説明する。
(実施の形態1)
図1(a)に本発明で作製した正極活物質としてLiCoO2 、負極活物質としてカーボンを使用した円筒形リチウムイオン二次電池の電池ケースを一部切除した斜視図を示す。(b)は(a)の極板群の側面図である。図中、3は電池ケース、4は封口板、5は極板群、6は極板群5を固定する機能を有するようにセパレータ面より窪んで設けた止め部である。極板群5は正極板と負極板を、セパレータを介して渦巻状に巻回したものである。そして、前記極板群5のセパレータの最外周面には、図1(b)に示すように上部、下部の2ヶ所以上を極板群5を回転させながら熱溶着によってセパレータ面より窪んだ止め部6を設けてある。なお、ここで使用した正極板の幅寸法は53.0mm、負極板の幅寸法は55.0mm、セパレータの幅寸法は58.0mmであり、極板群5の止め部6を設けた部分の外径は16.4mm、止め部6を設けていない部分の極板群5の外径は16.6mmである。
【0010】
(実施の形態2)
極板群5の固定を、図2に示すような上部から下部までセパレータ面より窪んだ螺旋状の止め部7をセパレータの最外周面に熱溶着で設けた以外は、実施の形態1と同様にして電池の作製を行った。
【0011】
本発明の効果を確認するため、実施の形態1で作製した電池と実施の形態2で作製した電池、および比較例として極板群の固定を図3に示すようなポリプロピレン製の粘着性のテープ1を用いてセパレータの最外周面を固定し、電池を作製したものについて充放電サイクル特性を調べた。その結果を表1に示す。
【0012】
【表1】
【0013】
これらの結果より、比較例に対して実施の形態1,実施の形態2では、充放電サイクル特性が明らかに向上していることがわかる。
【0014】
上記のような検討を円筒密閉型電池以外の角型等の電池についても実施したところ、どのような形状をした極板群であっても、極板群の最外周のセパレータ面の上部と下部を含む2ヶ所以上にセパレータ面より窪んだ止め部を設けた構造、あるいは極板群の最外周のセパレータ面の上部から下部までセパレータ面より窪んだ螺旋状の止め部を設けた構造を有することで、極板のずれを防ぐとともに、セパレータ面において止め部とその止め部がないセパレータ面との間に段差が生じ、セパレータと極板の密着を防ぎ、電解液の保液性を向上させることが可能になり、電池の充放電サイクルにおける極板の膨張,収縮時の正極板と負極板間の電解液の保液性を高め、充放電サイクル特性を向上させることが可能となることがわかった。
【0015】
また、その効果は極板群の極板の幅が大きくなればなるほど、極板群の巻数が多くなればなるほど顕著であった。
【0016】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、極板群の最外周のセパレータ面においてその上部と下部を含む2ヶ所以上にセパレータ面より窪んだ止め部、あるいは極板群の最外周のセパレータ面においてその上部から下部までセパレータ面より螺旋状に窪んだ止め部とその止め部がないセパレータ面との間に段差を生じさせることでセパレータと極板の密着を防ぎ、電解液の保液性を向上させることが可能になり、電池の充放電サイクルにおける極板の膨張,収縮時の電解液の保液性を高め、充放電サイクル特性を向上させることが可能である。また、極板群の構成後、極板群を回転させながら、極板群の最外周のセパレータ面を熱溶着させてセパレータ面より窪んだ止め部を設けることで、極板群を固定するための部品ならびにその部品を扱う設備を要しないため、生産性向上,低コストにすることが可能となり、優れた電池特性を持った円筒密閉型電池およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)本発明の実施の形態1に用いた円筒形リチウムイオン二次電池の電池ケースの一部を切除した斜視図
(b)(a)の極板群の側面図
【図2】 本発明の実施の形態2における螺旋状の止め部を設けた極板群の側面図
【図3】 比較例における従来のテープを巻いた極板群の側面図
【符号の説明】
1 テープ
2,5 極板群
3 電池ケース
4 封口板
6 止め部
7 螺旋状の止め部
Claims (4)
- 正極板と負極板を、セパレータを介して渦巻状に巻回した極板群と、電解液を収容した電池ケースを密閉する封口板を備えた密閉型電池において、前記極板群の最外周のセパレータ面においてその上部と下部を含む2ヶ所以上にセパレータ面より窪んだ止め部を設けたことを特徴とする密閉型電池。
- 正極板と負極板を、セパレータを介して渦巻状に巻回した極板群と、電解液を収容した電池ケースを密閉する封口板を備えた密閉型電池において、前記極板群の最外周のセパレータ面においてその上部から下部までセパレータ面より螺旋状に窪んだ止め部を設けたことを特徴とする密閉型電池。
- 正極板,負極板およびセパレータからなる極板群と電解液を収容した電池ケースを密閉する封口板を備えた密閉型電池の製造方法において、正極板,負極板およびセパレータからなる極板群を構成した後、極板群を回転させながら、極板群の最外周のセパレータ面においてその上部と下部を含む2ヶ所以上にセパレータ面より窪んだ止め部、あるいは極板群の最外周のセパレータ面においてその上部から下部までセパレータ面より螺旋状に窪んだ止め部を設けることを特徴とする密閉型電池の製造方法。
- 前記止め部を、極板群の最外周のセパレータ面を熱溶着させることにより設けることを特徴とする請求項3記載の密閉型電池の製造方法。
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1998
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