JP4122435B2 - 発酵アルコール含有水溶液から高濃度アルコールを製造する多機能多層構造型分離膜。 - Google Patents

発酵アルコール含有水溶液から高濃度アルコールを製造する多機能多層構造型分離膜。 Download PDF

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Description

本発明は、発酵アルコール含有水溶液から高濃度アルコールを製造する多機能多
層構造型分離膜に関するものである。
食品、化学工業などの分野において、目的物質の回収分離精製方法は、最終製品を取り出すための重要な分離精製技術であり、種々な手段が採用されてきた。
目的物質の回収分離精製方法の一つである蒸留法は、一般的に広範囲に用いられている方法の一つである。蒸留法は、物質の溶液をその沸点とし、その沸点差により成分を分離する方法であり、そのため溶液を加熱して沸点の状態にすることが必要であり、各々を純粋な製品として取り出すためには有効な方法であるが、必然的にエネルギー多消費型のプロセスとなる。
沸点差により成分を確実に分離精製を行うことができる利点が認められ、有効な分離手段とされてきた。発酵で得られるアルコール水溶液は希薄な濃度のものでしかない。このような場合であっても、希薄なアルコール水溶液の濃縮に、蒸留法が用いられてきた。
通常の蒸留法によって、エタノール−水系の溶液を濃縮する場合、エタノール濃度が,
95.6重量%で共沸点となり、気相と液相の濃度が一致する結果、それ以上に濃縮することは、実質的に不可能である。このような場合には、これ以上に濃縮して、無水化するためには、エタノール−水系にベンゼンあるいはシクロヘキサン等の物質を添加して蒸留する共沸蒸留法が用いられる。
しかしながら、ベンゼン等を存在させて、その共存下で蒸留を行うことは、大気環境汚染や人体への影響が懸念されるため、その使用に際しては厳しい環境基準の遵守が義務付けられており、ベンゼンの使用は極力回避すべきである。
これらの問題点があることを考慮して、さらには、エタノール水溶液の濃縮を蒸留で行う場合には、生産されるエタノールの約半分のエネルギーを消費すると言われるほどのエネルギー多消費型のプロセスにおいて、必要とされるエネルギー量を少なくしようという観点から、蒸留法を回避する連続プロセスを開発することが、検討されてきた。
液体混合物から特定成分を取り出して分離・濃縮する方法として、蒸留法以外に、分離膜を用いたる方法が開発・実用化されている。
エタノール発酵やブタノール発酵液等のアルコール溶液からアルコールの選択的な分離・濃縮に関しても分離膜による方法が検討されている。具体的には、微生物によって生産される特定の処理対象物質(エタノール、ブタノール等)を含む水溶液(アルコール発酵液)を、アルコールに対して選択性を有する分離膜の一方に供給し、反対(透過)側から濃縮されたアルコールを取り出すアルコール選択的透過膜を利用するものである。この際に取り出し側を減圧に保つ浸透気化法が採用され、膜としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコーンゴム膜を用いる方法(特許文献1)であり、従来より浸透気化分離法に用いられるエタノール分離膜の素材としては、ポリジメチルシロキサンやシリコンゴム(非特許文献1)を用いることが、一般的によく知られている。
これらの膜を用いる場合には、発酵により得られたるエタノールは、その濃度が20%〜30%程度までの濃度にしか濃縮されず、効果的なものとなっていない。 このほかに、アルコール選択的透過膜としては、シロキサンを含む共重合体(特許文献2)、アルコール透過性が良好な膜としては、シリル化合物の重合体(特許文献3)、置換ポリアセチレンとポリトリメチルビニルシランの膜を用い、分離膜の性能を回復させる方法(特許文献4)などが知られている。、
発酵により得られたるエタノールは、その濃度が20%〜30%程度までの濃度にしか濃縮されず、効果的なものとなっていない。
アルコール選択的透過膜としては、ゼオライトをシリコンゴムマトリックス中に入れた膜を用いたベーパーレーション法(浸透気化分離法)(特許文献5)が提案されている。しかしながら、この方法ではシリコンゴムマトリックスが分離性能に影響を及ぼすために満足する結果を得ることができない。
ゼオライトの一種である、結晶構造にアルミナを含まないシリカライトは、非常に高い疎水性を有しており、多孔性物質である。本発明者等は、シリカライトとして、特許文献6の発明を行った。
これらのシリカライトの支持体としては、金属、セラミックスなどが用いられる。また、
多孔質セラミックス、多孔質ガラス、多孔質焼結体など支持体の上に高珪素含有のゼオライト又はシリカライトなどの疎水性無機質膜からなる分離膜(特許文献7)が知られている。
この膜は有効な膜である。このゼオライト膜は、緻密で多孔質構造であり、水とエタノールでは、後者の方が、疎水性が高いことから、シリカライトはエタノールに対して親和性が高いと考えられる。
したがって、シリカライト膜を用いることで希薄なエタノール液を高濃度に濃縮して、高濃度のエタノールとして回収することが可能であると、本発明者らは考えた。
しかしながら、このシリカライト膜を用いて実際に浸透気化分離法により発酵エタノールの濃縮を継続した場合、回収される濃縮エタノール濃度が経時的に低下してしまうという問題点があることが判った(非特許文献2)。
この経時的な変化を起こすことを防止する方法の一つとして、発酵液と直接に接するシリカライト分離膜表面をシリコンゴムでコーティングすることは、濃縮(分離膜透過)エタノール濃度の低下が、未コーティングの分離膜を用いる場合と比較して、大幅に軽減できる効果が認められるが(非特許文献3)、この方法においても分離膜性能の低下を完全に回避し得ていない現状である。
また、アルミナ構造を含む結晶構造のゼオライトの場合にはシラン及びシリケートで膜を処理することも知られているが(特許文献8)、十分な効果は期待できない。
さらに、分離膜の供給液側に発酵反応を司る酵母等の微生物細胞等が存在することは、透過量、すなわち回収量の低下をもたらすことから、望ましくない(非特許文献4)。
このような分離膜性能の低下を防止することができれば、発酵反応の進行とともに生成されるエタノールを生成液をとして取り出すことなく、エタノールを濃縮・分離することができる。特に、発酵によるエタノールの製造する場合には、蒸留工程を得ないことから回収のためのエネルギーを省くことができ、その工業的価値は極めて高いものである。
特開昭57−136905号 特開昭61−242603号 特開昭61−174905号 特開昭62−250907号 特開昭63−116705号 特開平6−99044号 特開昭63−287504号 特表2000−508231号 野村ら、化学工学協会第16秋季大会研究発表講演要旨集、p.540(1982) Biotechnology Techniques, Vol. 11, p. 921-924, 1997; Biotechnology Letters, Vol. 21, p. 1037-1041, 1999)。 Desalination, Vol. 149, p. 49-54, 2002 J. Membrane Sci., 30, p. 273-287, 1987
本発明の課題は、機能が相違する膜、具体的には、精密ろ過機能を有する多孔性の膜、アルコール選択的透過性の浸透気化分離膜、及びアルコール選択的透過性の気体分離膜を積層して構成される多機能多層構造型分離膜を提供することである。
本発明者らは、発酵液と直接接触するアルコール選択的透過性の浸透気化分離膜の外側に精密ろ過機能を有する多孔性膜を配置すること、これにアルコール選択的透過性の気体分離膜を組み合わせる多層構造型分離膜が有効であること、多層構造型分離膜の最外層として、酵母や細菌などをろ過する精密ろ過機能を具備する膜を設け、さらにその内側にアルコール選択的透過性の気体分離膜を設ける際に、発酵液中の有機酸がアルコール選択的透過性の気体分離膜に接触(吸着)することを防止するための浸透気化分離膜として、シリコンゴム膜又はシリコンゴムコート層を精密ろ過膜との中間に配置した多機能多層構造型の分離膜を用いることによって、濃縮アルコールが安定して得られることを見出して、本発明を完成させたものである。
この出願によれば、以下の発明が提供される。
〈1〉精密ろ過機能を有する多孔性のステンレス膜、前記多孔性のステンレス膜の内側にアルコール選択的透過性の浸透気化分離膜、前記浸透気化分離膜の内側にアルコール選択的透過性の気体分離膜及び前記気体分離膜の内側に多孔性のステンレス膜がその順に積層されていることを特徴とする、発酵アルコール含有水溶液から高濃度アルコールを製造する際に用いられる多機能多層構造型分離膜。
〈2〉前記浸透気化分離膜がシリコンゴム層であり、前記気体分離膜がシリカライト膜であることを特徴とする〈1〉に記載の多機能多層構造型分離膜。
〈3〉前記浸透気化分離膜がシリコーンゴムコート層であり、前記気体分離膜がシリカライト膜であることを特徴とする〈1〉に記載の多機能多層構造型分離膜。
本発明によれば、分離膜を多機能多層構造型分離膜とすることにより、アルコール選択的透過性の気体分離膜への有機酸の吸着のみならず、微生物細胞による分離膜性能を低下させることなく、安定して濃縮アルコールを生産することができる。
本発明で用いられる精製の対象となる供給液は、微生物による発酵反応によって得られる希薄アルコール含有混合物である。
例えば、発酵によりエタノールを製造する場合、発酵液に含まれるエタノール濃度は、一般的には、15%程度、多くても20%以下であり、ブタノール発酵の場合には、その濃度は1%程度である。これに微生物細胞、水及び各種の微量の副生成物等が含有される。
本発明で用いられる、多機能多層構造型分離膜について、図により説明する。
図1は、本発明の装置の全体を示す図である。発酵工程から得られる低濃度アルコール液を、図1に示した多層構造の分離膜に連続的に接触させる。接触させる場合には、分離精製のための槽内で行うこともできるし、発酵槽内において接触させて分離することもできる。
多層構造分離膜の最外層は、精密ろ過機能を有する多孔性の膜(1)である。この多孔性の膜の材料としては、具体的には、ステンレス板で構成される。この多孔性ステンレス板には、微細な孔が開けられている。この孔は、発酵液中に存在している酵母や細菌などの微生物を除去する目的のものである。したがって、その孔径は発酵反応に用いられた微生物によって選択される。
一般的には、酵母を使用した場合には0.8μm、望ましくは0.45μm以下である。細菌を使用した場合には、さらに小さな孔径が選択される。この程度の孔径のステンレス板は市販されているものを用いることができる。
前記最外層の精密ろ過機能を有する多孔性のステンレス膜(1)の内側に、アルコール選択的透過性の浸透気化分離膜(2)が設けられている。この場合には、最外層の精密ろ過機能を有する多孔性のステンレス膜の作用により、アルコール選択的透過性の浸透気化分離膜に、発酵液中に存在している酵母や細菌などの微生物などの不純物が直接接触することがなく、アルコールの分離精製を有効に行うことができる。
アルコール選択的透過性の浸透気化分離膜については、さらに後述する。また、前記0004及び0005に記載の公知のものを使用することができる。
前記精密ろ過機能を有する多孔性のステンレス膜(1)とアルコール選択的透過性の気体分離膜(3)の間(中間)に、有機酸がアルコール選択的透過性の気体分離膜に接触(吸着)することを防止するための膜としてアルコール選択的透過性の浸透気化分離膜であるシリコンゴム膜又はシリコンゴムコート層を配置する。これらは、いずれも、シリコンゴムにより形成される。
具体的には、(イ)シリコンゴム層(2)を、これに接して設けられているアルコール選択的透過性の浸透気化分離膜と均一に密着、装着するか、又は、(ロ)アルコール選択的透過性の気体分離膜の表面をシリコンゴムコーティングする。
(イ)シリコンゴム層(2)をこれに接して設けられているアルコール選択的透過性の気体分離膜と均一に密着、装着する場合には、ゴム層の厚さは、任意適宜選択して用いる。通常、具体的には、30〜100μmで十分である。具体的な操作は、膜表面全体を市販のシリコンゴムシート(厚さ50μm)で均一に覆う(実施例1)ことが行われる。
(ロ)アルコール選択的透過性の気体分離膜の表面をシリコンゴムコーティングする具体的な操作は、シリコンゴム溶液中に浸漬、又はシリコンゴム溶液の吹きつけなどの手段が採用される(実施例2)。
アルコール選択的透過性の浸透気化分離膜は、シリコンゴムの他の高分子物化合物としては、例えば、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)を使用しても差し支えない。これらの材料の特性としては、発酵液中に存在する有機酸類が吸着、透過せず、さらにアルコール透過性を有するものを選択すればよい。この層の厚さは、物質透過の抵抗となることから、できるだけ薄いものを用いることが望ましい。
前記アルコール選択的透過性の気体分離膜は、公知の分離膜を用いることができる。
これには、本発明者らが、開発した疎水性のシリカライト膜(J. Membrane Sci., 95, p. 221-228, 1994)やシリカライト膜の表面を疎水性素材で改質した膜がある。
又、具体的には、非多孔性の高分子化合物膜を用いるもの、例えば、ポリオレフイン膜(特開平8−252434号公報)、シリコンゴム膜(特開昭57−136905号公報、ポリ(トリメチルシリル)プロパン膜(特開昭60−67306号公報)、ポリ尿素又はポリアミド膜(特開平5−245345号公報)、パーフッ素化オレフイン膜(特公表2−502634号公報)などを挙げることができる。
前記アルコール選択的透過性の気体分離膜の内側には、多孔性の材料で構成されている膜(4)、具体的にはステンレス製の多孔性金属板を配置する。これは前記最外層(1)と同じであってよい。この膜は、前記多層構造分離膜の最外層(1)と同じ膜を用いることができる。また、この膜は、アルコール選択的透過性の気体分離膜の支持基材の役割を果たすものである。
多機能多層構造型分離膜の形成は以下の通りである。
はじめに、精密ろ過機能を有する多孔性のステンレス製の膜を設ける。この内側に、アルコール選択的透過性の気体分離膜の上にアルコール選択的透過性の浸透気化分離膜を形成した膜を積層して設ける。
多孔性の材料で構成されている膜(4)、具体的にはステンレス製の多孔性金属板に前記アルコール選択的透過性の気体分離膜の上にアルコール選択的透過性の浸透気化気体分離膜を形成した膜を積層し、これを前記精密ろ過機能を有する多孔性の膜と組み合わせることもできる。
精密ろ過機能を具備する膜の内側にアルコール選択的透過性の浸透気化分離膜としてシリコンゴム層、前記浸透気化分離膜の内側のアルコール選択的透過性の気体分離膜としてシリカライト膜を用いることもできる。
また、精密ろ過機能を具備する膜の内側にアルコール選択的透過性の浸透気化分離膜としてシリコンゴムコート層、前記浸透透過分離膜の内側のアルコール選択的透過性の浸透気化分離膜としてシリカライト膜を用いることもできる。
多機能多層構造型分離膜の取り出し側は、減圧に保つことが必要である。減圧の状態は、10Torrから1Torr程度である。
減圧にするためには、真空にするための手段が採用される。具体的には、真空ポンプなどが採用される。冷却装置は、前記内部空間から別に設けられている冷却装置に導かれ、
その冷却装置内において熱交換手段を用いて冷却液化される。
多機能多層構造型分離膜を形成するにあたっては、円筒状又は平板状の形状としたものが用いられる。
円筒状のものとする場合には、二重円筒管を、多孔性のステンレス材料で構成されている膜(1)(4)、により形成する。この膜の間に、アルコール選択的透過性の浸透気化分離膜(2)及びアルコール選択的透過性の気体分離膜(3)を設置する。
板状のものとする場合には、表面(1)と底面(4)として、前記ステンレス材料製の多孔性金属板膜を配置する。この膜の間に、アルコール選択的透過性の浸透気化分離膜(2)及びアルコール選択性の気体分離膜(3)を設置する。
多機能多層構造型分離膜に供給されるアルコール発酵液の供給温度は、常温またはアルコール発酵の反応温度(25〜35℃)程度で供給される。この範囲外の温度であっても差し仕えない。圧力は大気圧下であってもよいし、加圧下であっても差し支えない。
多機能多層構造型分離膜の内側を真空ポンプによって減圧に維持することによってアルコール濃縮蒸気が取り出され、この蒸気を冷却することによって、高濃度アルコール液を回収することが可能となる。
本多層構造分離膜を透過し得ない発酵液は、発酵工程に返送されるか、もしくは廃棄工
程へ送られる。 最終的に回収されるアルコール濃度は、供給液中のアルコール濃度、供給温度、及び図1に示したアルコール選択的透過性の浸透気化膜(2)並びに最内層(3)のアルコール選択的透過性の気体分離膜の性能に依存する。
以上のようにして、微生物細胞及び発酵副産物等が共存するアルコール発酵液から、
多機能多層構造型分離膜を用いて、濃縮アルコール液を安定して生産することができる。
次に実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。本発明はこの実施例により限定されるものではない。
実施例1 シリカライト膜を用いた発酵エタノールの濃縮
アルコール選択性膜としては、ゼオライトの一種である、結晶構造にアルミナを全く含まない疎水性のシリカライト膜を用いた。この膜は、予め所定濃度に調製されたコロイダルシリカ、アルカリ金属水酸化物から成る水性ゲル混合物と結晶化調整剤の添加により多孔質焼結ステンレス基板上に水熱合成されたものを使用した。製膜の詳細は、既知の報告(Desalination, Vol. 144, p. 47-52, 2002)に従った。この膜表面全体を市販のシリコンゴムシート(厚さ50 μm)で均一に覆い、さらにその上に多孔質焼結ステンレス板(孔径0.8 μm、厚さ1 mm)を重ね、O-リングで浸透気化分離装置に装着、固定した。膜を介して一方側に9重量%の発酵エタノール水溶液を供給し(30℃)、当該膜の反対側を減圧にした。ここで、発酵液は以下のようにして調製した。
グルコース濃度を18重量%に調製した液体培地をガラス容器に注入し、加圧蒸気滅菌した後、これに市販の乾燥パン酵母(Saccharomyces cerevisiae、オリエンタル酵母工業製)を1重量%添加して、エタノール発酵を行った。発酵は30℃(撹拌子の回転数;600rpm)で、発酵原料であるグルコースが全て消費されるまで継続した。膜を透過した蒸気は液体窒素を用いたコールドトラップにより凝縮し、濃縮エタノール液として回収した。回収液中のエタノール濃度の分析は、熱伝導度検出器付ガスクロマトグラフィー(島津製作所製、GC-8A)、Thermon-1000充填カラム(3.0 mm×2 m)により行った。培地中のエタノール濃度は、高速液体クロマトグラフィー(日本分光製、880-PU)、示差屈折計検出器(日本分光製、RID-300)、ポリスフェアOA KCカラム(Cica-MERCK製)により分析した。
その結果を表1に示した。酵母細胞、有機酸などが共存しているエタノール濃度9.4重量%の発酵液から76重量%に濃縮されたエタノールを膜透過物として回収することができた。
Figure 0004122435
実施例2 シリコンゴムコーティングしたシリカライト膜を用いた発酵エタノールの濃縮
実施例1において、シリコンゴムコーティングしたシリカライト膜を用いた以外は、実施例1と同様にして実験を行った。
ヘキサン溶媒に対してシリコンゴム(信越化学製、KE108)を5重量%となるように均一に溶解した後、シリカライト膜の表面のみをコーティングするためにステンレス基盤側をセロファンテープで覆い、シリカライト膜を10秒間浸漬した。その後40℃で一晩乾燥した。
その結果を表2に示した。酵母細胞、有機酸などが共存しているエタノール濃度9.3重量%の発酵液から74重量%に濃縮されたエタノールを膜透過物として回収することができた。
Figure 0004122435
比較例
実施例1において、シリカライト膜表面をシリコンゴムシートで覆わなかった以外は、実施例1と同様にして実験を行った。その結果を表3に示した。エタノール濃度10.1重量%の水溶液を用いた場合には、78重量%のエタノールが回収できるシリカライト膜の分離性能が、発酵液を供給液とした場合には、大きく低下し、57重量%のエタノールでしか回収できなかったことが示されている。
Figure 0004122435
本発明によれば、酵母細胞やアルコール発酵反応の副生成物である有機酸等が共存した発酵溶液から、濃縮アルコール液を安定して生産することが必要な産業分野、具体的には
バイオマスエネルギーの製造、などの分野で利用できる。
円筒状の多機能多層構造型分離膜の構成を示す図である。
符号の説明
1,4 多孔性の材料で構成されている膜
2 アルコール選択的透過性の浸透気化分離膜
3 アルコール選択的透過性の気体分離膜

Claims (3)

  1. 精密ろ過機能を有する多孔性のステンレス膜、前記多孔性のステンレス膜の内側にアルコール選択的透過性の浸透気化分離膜、前記浸透気化分離膜の内側にアルコール選択的透過性の気体分離膜及び前記気体分離膜の内側に多孔性のステンレス膜が順次積層されていることを特徴とする、発酵アルコール含有水溶液から高濃度アルコールを製造する際に用いられる多機能多層構造型分離膜。
  2. 前記浸透気化分離膜がシリコンゴム層であり、前記気体分離膜がシリカライト膜であることを特徴とする請求項1に記載の多機能多層構造型分離膜。
  3. 前記浸透気化分離膜がシリコーンゴムコート層であり、前記気体分離膜がシリカライト膜であることを特徴とする請求項1に記載の多機能多層構造型分離膜。
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