JP4122053B2 - 粒子のコーティング方法 - Google Patents

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Description

〔発明の分野〕
本発明は、固体、液体または気体状態の物質、特に固体粒子および固体物品、なかでも複雑な形態または限定的な内部多孔性構造を有する固体物品をコーティングする方法に関する。特に本発明は、あらかじめ成形した固体、液体または気体状態の粒子もしくは物品を、コーティング材料内に埋め込むかもしくはコーティングして、コーティング材料の層内に活性物質を捕捉した微粒子を製造する方法に関する。このような組成物は、保護、長期放出、徐放出、味覚マスキング、改良された安定性、改変された操作挙動性、粒子湿潤性を含む改変された表面性質、および他の好ましい改変された性質を必要とする応用に有用である。
〔発明の背景〕
長年に亘って、物質をコーティングする多くの方法が開発されている、しかし広範囲のあらかじめ成形した固体粒子をコーティングすることができる新しい技術に対するニーズが継続して存在する。このニーズの理由は無数にある。例えば、固体粒子物質および物品に対する新しい応用が絶えず開発されており、このため改良されたコーティング方法が必要とされている。また、新しいコーティング材料が開発されており、その応用のために新しいコーティング方法が必要とされている。さらに、多くの既存のコーティング法は、環境もしくはそのコーティング法に関係する人または粒子の使用者に対して有害または危険な溶媒の使用を必要とする。この後者の状態は、最終的なコーティングされた粒子が、コーティングされる粒子または物品のコーティングに使用される有限量のコーティング溶媒を保持するときに発生する。さらに、従来の固体粒子または物品のコーティングに使用される溶媒が、コーティングされている固体粒子または物品を攻撃したり部分的に溶解し、そのため固体粒子または物品の性質をある程度変えてしまうことがある。さらに、溶媒ベースのコーティングは、コーティング時に溶媒ベースのコーティングの性質により引き起こされる凝集(agglomeration)のために、粒子組成物の平均サイズが測定できる程度に増加ことがある。
現在の固体粒子または物品コーティング法の多くは、コーティングされる固体組成物の表面に液体コーティング処方を沈積させ、次にこのコーティング処方を固化させている。適用されたコーティング処方から溶媒が除去されるため、冷却によりまず液体コーティング処方が固化する(例えば、冷却工程の間に結晶化するかまたはコーティング処方のガラス転移温度以下になる)ため、まずコーティングの間に液体コーティング処方が重合して固体になるため、またはこれらの要因が組合わさるため、固化は起きる。
一般に超臨界流体(SCF)(特に、超臨界二酸化炭素)(SC CO2)は、改良されたコーティング技術が開発され応用できる主要な担体である。これらは、種々の経済的に有用な目的のために使用できる、環境にやさしい流体と考えられている。
米国特許第4,598,006号は、熱可塑性ポリマーに、芳香物質または害虫制御物質または薬剤組成物のような含浸物質を含浸させる方法を開示しており、ここで、含浸物質は熱可塑性ポリマー用の揮発性膨潤剤に溶解され、この膨潤剤は超臨界条件下でまたはこれに近い条件下で維持される。
米国特許第5,043,280号は、超臨界気体または超臨界流体(SCF)を使用する、担体中に物質を埋め込んだ生成物の製造方法と装置を開示している。この方法は、物質と担体を含有する液体をノズルに通して、SCFを充填した部屋に入れて、SCFと液体媒体の気体状混合物を形成させ、次にSCFの気体状混合物と液体媒体を分離して、担体中に物質が埋め込まれた無菌の生成物を製造することよりなる。
〔発明の概要〕
本発明は、活性物質、好ましくは固体粒子の形の活性物質、または液体状態の活性物質もしくは適当な溶媒に溶解した活性物質を吸収させた不活性化な多孔性固体粒子の形の活性物質を含んでなり、上記の活性物質または不活性固体はコーティング材料の層を含むコーティング内に捕捉されている微粒子に関する。この微粒子の特徴は、上記コーティング材料の層が活性物質上にコンフォメーショナルに分布しており、単分子層の厚さから約100μmまでの厚さ、好ましくは約40μmまでの厚さを有することにある。好ましくは、本発明の微粒子中に見いだされる活性物質は、液体状、気体状または規則的または不規則な形の固体粒子を含んでなる中心核である。不規則な形の固体粒子の場合は、本発明の微粒子のコーティングは、コーティングされる粒子の表面(内部の孔や裂け目を含む)に沿って行われる。本発明の微粒子の粒径は、1nm〜約1cm、好ましくは20mm〜約100μmの範囲である。
本発明の別の態様において、本発明の微粒子のコーティングは、同一もしくは異なるコーティング材料の複数の層よりなる。各層の厚さは、同じでも異なっていてもよい。
また、均一または不均一なサイズ分布を有する複数の微粒子を含む組成物も、本発明の範囲に包含される。微粒子は、単分子層の厚さから約100μmまでの範囲の厚さを有するコーティング材料の層内にコンフォメーショナルに捕捉された活性物質を含む。好ましくは、本発明の組成物を形成する微粒子の活性物質は、固体粒子を含む中心核である。
本発明はまた、活性物質、好ましくは固体粒子または活性物質をその中に吸収した不活性の多子姓固体粒子を、コーティング材料内に捕捉する方法に関する。この方法は、実質的に膨潤を起こさないか、および/または不活性の多孔性固体粒子もしくは活性物質が固体状態の場合は活性物質に溶解作用を及ばさない条件下で、コーティング材料をその中に溶解して含有する超臨界流体中に活性物質を懸濁することを特徴とする。次に制御された条件下で超臨界流体の温度および/または圧力を徐々に低下させて、超臨界流体中のコーティング材料の溶解度を低下させて、コーティング材料を活性物質上に沈積させる。特にこの方法は、活性物質が液滴または気体の形態であること、好ましくは、固体粒子または固体粒子が溶解している液体を多孔性固体基質中に吸収させた形であることを特徴とする。液滴、気体、または好ましくは固体粒子は、絶えず攪拌されるかまたはコーティング材料をその中に溶解して含有する超臨界流体に接触させる間攪拌される。さらに詳しくは、活性物質は固体粒子であり、この固体粒子がコーティング材料によりコーティングされる条件は、固体粒子の物理的完全性を維持するように、すなわちSCFと接触の間に固体粒子が溶解することのないように選択される。
本発明の方法はまた、活性基質上に沈積されるコーティング材料が、制御された方法で硬化される、さらなる工程を含むことができる。
本発明の方法の実施において、活性物質とコーティング材料は、オートクレーブに入れて、次に超臨界流体中にコーティング材料を溶解するのに必要な温度と圧力条件下で、オートクレーブに超臨界流体を充填する。あるいは、活性物質をオートクレーブに入れて、次にコーティング材料がすでに溶解された超臨界流体をオートクレーブに充填してもよい。
本発明はまた、超臨界流体に溶解したコーティング材料を活性物質に沈積するための装置に関する。この装置は、超臨界条件下で気体を受け入れて維持することができる貯蔵/反応室、および貯蔵/反応室と流体でつながっている圧力反応室を含んでなる。この反応室は、超臨界流体が反応室内に導入されたとき活性物質を懸濁するための攪拌手段を含む。この装置はまた、反応室中の温度および/または圧力を制御する手段を有する。好ましくは、攪拌手段は、磁気伝達式攪拌子を有する攪拌機である。
特に、本発明の装置は、コーティング材料を超臨界流体に溶解するための超臨界気体冷却器と流体でつながる貯蔵手段を、さらに含んでいても良い。
最終的に、通常の有機溶媒を使用することなく、目的の性質を有する、固体、液体、気体、粒子または物品の形のコーティングされた活性物質が得られる。コーティングされた活性物質は、コーティング材料の制御された厚さおよび/または形態を有し、コーティング系を大気圧まで減圧し、コーティングを室温以外の温度で行なった場合は室温に戻した後、単離される。
特に、本発明は、最初にSCFとそこに溶解されたコーティング材料の混合物を含有する系の、制御された変化による、あらかじめ成形した粒子または物品のコーティングに関する。この混合物は、固体粒子または物品がSCF中で不溶性である温度と圧力条件下で維持される。次にこの系の温度および/または圧力を、露出した固体粒子または物品の表面にSCFからコーティング材料を制御沈着および/または結晶化させて、コーティングされた固体粒子または物品を形成するような方法で変化させる。この固体粒子は多孔性の不活性粒子であってもよく、この場合、コーティング材料が溶解されているSCFと混ざり合わないかまたはSCFに対して実質的に弱い親和性を有する溶媒に活性物質が溶解され、この不活性粒子に吸収される。
本発明の方法の重要な利点の1つは、得られる微粒子が実質的に、液体、気体または固体状態の活性材料を外の条件に露出させるような孔を有していないという事実にある。この理由は、活性物質はSCFに溶解しないので、正常の圧力条件に戻した際に、活性物質が固体粒子であっても、SCFは中心核から逸脱してコーティング材料中に重要なチャネルを作成することはないからである。SCFはコーティング材料の薄い層から逸脱するのみであり、温度および圧力条件を、コーティング材料からのSCFのゆっくりした逸脱を促進するように変化させて、実質的な多孔形成を避けることができる。また、本発明の方法は、コーティングを非常に迅速にしなければならない活性物質の噴霧を必要としないため、かつ活性物質はSCFで可溶化されないため、同一もしくは異なるコーティング材料の複数の層を活性物質に連続的に適用することが可能である。そのために、SCFの温度と圧力変数を、制御された方法で変化させることにより、目的の溶解と以後のコーティング材料の固化を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
− 図1は、本発明の装置の好適な実施態様の完全な略図であり;
− 図2Aは、未処理のウシ血清アルブミンの写真であり;
− 図2Bは、ゲルシア50/02(gelucire 50/02)で処理したウシ血清アルブミンの写真であり;
− 図3は、ゲルシア50/02(gelucire 50/02)で処理したジューバミン(juvamine)の写真であり;
− 図4は、ビーズワックス(Beeswax)で処理したウシ血清アルブミンの写真であり;
− 図5は、ビーズワックス(Beeswax)で処理したヘモグロビンの写真であり;
− 図6は、未処理のジューバミン(juvamine)とビーズワックス(Beeswax)で処理したジューバミン(juvamine)であり;
− 図7は、水滴の添加15秒後の図6のジューバミン(juvamine)の写真であり;
− 図8は、水滴の添加2分後の図6のジューバミン(juvamine)の写真である。
〔好適な実施態様の詳細な説明〕
本発明の発明において、SCFに溶解したコーティング材料は、活性物質の溶液、溶融した活性物質、エマルジョン、またはSCFに不溶性であるか若しくは影響されない固体粒子もしくは物品のような活性物質の表面に、制御された方法で沈積され、こうして目的のコーティングが達成される。
コーティング物質
好適なコーティング材料は、コーティングされる基質またはコーティング材料として使用される材料を実質的に改変または影響を及ぼさない条件下で、SCF(例えば、超臨界CO2)に可溶性の材料である。コーティング材料の候補としては、典型的には一般に脂質として分類される物質を含む。具体的な例としては、種々の脂肪酸のモノ−、ジ−、およびトリ−グリセリド(例えば、モノステアリン、ジステアリン、トリステアリン、モノパルミチン、ジパルミチン、トリパルミチン、モノラウリン、ジラウリン、トリラウリン)、およびこれらと関連する脂肪酸グリセロールの種々の組合せがある。モノ−もしくはジ−グリセリドのアセチル化、または種々の液体グリセリドを水素添加して固体脂肪(例えば、すべての型の硬化植物油)を産生することにより産生されるグリセリドも、候補である。他の候補の脂質としては、ステアリルアルコールやパルミチルアルコールのような脂肪アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、およびラウリン酸のような脂肪酸、ならびにこれらの物質と他の脂質との組合せがある。さらに別の候補の一般的な脂質としては、蜜蝋、カルナウバ蝋、パラフィン蝋、またはこれらと他の蝋との組合せ、または前述の種々のグリセリドとの組合せがある。さらに他の候補の脂質コーティング材料としては、コレステロール、種々のコレステロール誘導体、およびこれらの脂質の組合せ、グリセリド、脂肪酸、脂肪アルコールおよび蝋として知られている前述の脂質の組合せがある。さらに別の候補のコーティング材料としては、レシチン、セラック、および種々のタイプの天然のまたは合成有機ポリマーがある。
本発明においてコーティング物質として使用することができる物質のいくつかのは、SCFへの可溶化のために添加溶剤の使用を必要とする。添加溶剤とは、SCFに少量溶解したとき、SCF系の主要成分のSCF性またはSCF系の密度に実質的な影響を与えることなく、SCFに溶解される物質(この場合、コーティング材料)の溶解度を大幅に上昇させる物質である。
添加溶剤の使用をしばしば必要とするコーティング材料の具体的な非限定的な例としては、セラック、および天然または合成ポリマー、例えば一般に生物分解性として分類されている種々のポリエステルおよびポリアンヒドリドポリマーがある。このようなポリマーには、ポリ(ラクチド)ホモポリマーおよびグリコール酸とのコポリマー、ならびにポリグリコリドポリマーがある。このようなポリマーおよびその性質は、EP052510号、米国特許第3887699号、EP0548481号および米国特許第3773919号に記載されている。ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(β−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(ヒドロキシ吉草酸)、およびβ−ヒドロキシ酪酸−ヒドロキシ吉草酸コポリマー。添加溶剤の使用を必要とするコーティング材料の他の候補としては、フリーラジカル重合または重縮合により形成される種々のポリマー、その代表的な例としては、ポリスチレン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(塩化ビニル)、ポリビニルアルコール、ポリマービニルエステル(例えば、ポリビニル酢酸、またはポリビニルフタル酸)、およびポリビニルピロリドン、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリスルホン、種々のポリアミド(すなわちナイロン)、ポリ(エチルテレフタレート)、ポリオレフィン(例えば、ポロプロピレン、ポリエチレン)、アクリル酸もしくはメタクリル酸またはメタクリル酸エステル(例えば、メチルメタクリレートおよびブチルメタクリレート)とのそのコポリマー、多糖類およびその誘導体(例えば、セルロース、キトサン、カラゲニンおよびこれらの誘導体)がある。
種々のコーティング材料の組合せは、異なるSCF操作条件下で異なる候補物質を連続的に沈積させるか、またはコーティング材料の異なる組合せが沈積される場合は、材料の組合せの沈積は、ある特定のSCF系について、沈積工程の前に、コーティング材料の組合せが、使用されるSCF系で測定可能な溶解度を有する条件下で沈積が起き、そしてコーティング材料の沈積工程の間、材料の該組合せは、コーティングされる表面に対して等しい親和性を有しその結果1つの物質が他の物質をすべて排除して沈積されることがない。
超臨界流体
超臨界CO2(SC CO2)の場合、典型的な初期操作条件は、約31〜80℃で70〜250バールであるが、コーティングされる基質に悪影響を及ぼさないならば、いずれかまたは両方についてより高値を使用することができる。超臨界CO2以外のSCF系については、最小の操作温度と圧力はこのような系とSCFを形成することができるものであろう。文献2は、SCFとして一般的に使用されているいくつかの材料についてこれらの条件を規定している。Ton and Debenedeti(文献1)は、超臨界という用語は通常、以下の大体の低温と低圧範囲内で存在する流体について用いられると述べている:1.01<Tr<1.1および1.01<Pr<1.5、ここでTr(低温)は、SCFとして使用される材料の臨界温度(°K)に対する、系の実際の操作温度(°K)の比であり、Pr(減圧)とは、SCFとして使用される材料の臨界圧力(実際の操作圧力を規定するのに使用される単位と同じ圧力単位)に対する、系の実際の操作圧力(任意の確立された圧力単位で規定される)の比である。すべての場合で、本開示の目的ための最大の温度と圧力は、コーティングされる基質の性質に測定可能な好ましくない変化を起こし始めるものとして定義される。これらの最大の操作条件は、通常、あらかじめ成形した固体粒子が使用される場合は基質の融解を引き起こす条件、基質の化学的分解、または基質の性質の別の何らかの好ましくない変化を引き起こす条件である。使用されるSCFは、添加溶剤を含有してもしなくてもよい。前記したように、添加溶剤は、SCF中での特定の物質の溶解度を上昇させるために少量、SCF系に意図的に添加される物質として定義される。添加溶剤がSCF中に少量(例えば、<5%)(その存在が、SCF系の主成分の超臨界状態に入るのに必要な条件に基本的に影響を及ぼさないほど少量である)存在する場合、これは選択された主SCF成分中のコーティング物質の溶解度を大幅に上昇させる。添加溶剤の候補としては、ケトン、アルコール、エステルおよび塩素化溶媒、ならびに他の周知の有機溶媒および可塑剤があるが、これらに限定されない。添加溶剤は、候補のコーティング材料が、好適なSCF中でほとんど溶解しない場合に使用される。
コーティングされる物質
本発明の概念を利用してコーティングされる活性物質は、液体、固体または気体であってよいが、好ましくは液体および固体である。唯一の要件は、コーティング材料を溶解するのに必要な条件下で、これらの物質がSCF中で不溶性になるかまたは不溶性になる可能性を有することである。
本発明においてコーティングされる活性物質の例としては、薬剤組成物、農業組成物、ヒトおよび動物の食物組成物、イメージング組成物、インク組成物、化粧品組成物、芳香組成物、接着剤組成物などに応用できる、有機および無機化合物ならびにペプチドがある。特に、味をマスクするために使用するか、または前述のような生物分解性ポリマー内に埋め込まれた活性物質の除放性を可能にするために使用するコーティングを必要とする薬剤組成物が好適である。好適な活性物質には、シメチジン、ラニチジン、イブプロフェン、アセトアミノフェン、エリスロマイシン、LHRH類似体(例えば、ブセレリン、デスロレリン、ゴナドレリン、ゴセリリン、ヒストレリン、ロイプロレリン、ナファレリンまたはトリプトレリン)、3〜45個のアミノ酸を含む天然に存在するかもしくは合成のペプチド(LHRHを含む)のパモイン酸塩、タンニン酸塩、ステアリン酸塩、もしくはパルミチン酸塩、ソマトスタチン、GH−RHまたはカルシトニンがある。他の活性物質には、神経親和性因子、絨毛性神経親和性因子、繊維芽細胞増殖因子、ダリア由来神経親和性増殖因子、脳由来神経親和性因子神経増殖因子、ワクチン、インスリン、モルヒネおよびその誘導体ならびに抗生物質がある。
コーティングされる物質が固体粒子の場合、本発明の方法を用いて広範囲の固体粒子がコーティングできる。
例としては、溶解した溶質を最初に含有する溶液の結晶化、沈殿、熱分解、または溶媒の蒸発により生成する粉末、研削、製粉、破砕または他の機械的なサイズの低下方法により生成する粉末、モノマーを重合してポリマー粒子を生成することにより生成する粉末、造粒、小球化、およびカプセル化(噴霧乾燥、ホットメルト処理、および押し出し−共押し出し法を含む)により生成する粉末、天然に存在する粉末(例えば、粘土および無機色素)、ならびに他の任意の手段で生成する粉末がある。本発明の方法の顕著な特徴は、非常に規則的および不規則的な形の粒子を含む広範囲の形状の粒子をコーティングできることである。本方法は、完全な球形、広範の特徴的な晶癖(例えば、球形、八面体、三斜晶系など)を有する高度に規則的であるが非球形の結晶、および従来法のサイズ低下方法により生成されるものに、典型的な高度に不規則的な粒子をコーティングするのに使用できる。本方法は、超臨界状態から直接固体粒子または物品の表面へ目的のコーティング物質の「濃縮」、沈殿または結晶化をしてコーティングの制御された沈積を行うため、多孔性の固体粒子または物品は、コーティングされる物質の孔や裂け目に充分に貫通する従来の溶媒で生成する粘性の高いコーティング溶液について心配しなくてよいため、本明細書に記載の方法によりコーティングされる追加の基質候補である。本出願に開示したコーティング技術の特徴は、コンフォメーショナルコーティング(conformational coating)を沈積することができるこの技術の能力である。すなわち、内部の孔や裂け目を含む、粒子または物品の表面に沿ったコーティングである。さらに。異なるコーティング物質よりなるコーティングは、コーティングしたい固体粒子または物品の外部および内部表面の上に層として沈積することができ、該コーティングは、分子的大きさから肉眼で見える大きさまでの範囲の厚さ、好ましくは単分子層の厚さから約100μmまでの厚さ、好ましくは約40μmまでの厚さを有する。
本発明の1つの応用において、例えば目的の温度で固体にすることができない活性物質のコーティングを行うには、多孔性固体粒子が使用される。これらの状況において、活性物質は通常、液体の状態であるか、または例えばSCFに対して親和性を有さない溶媒中に溶解される。活性物質は、多孔性固体粒子に吸収される。多孔性固体粒子に吸収される液体の量は、少なくとも約30分〜4時間の限定された時間、粒子の構造の完全性が維持される量である。多孔性粒子は、本発明の方法を用いてコーティングされる。活性物質を含有する液体がSCFに対する親和性または混合性がないことは、液体を多孔性物質内に維持し、基質の多孔にSCFが深く侵入することを防ぐ。本発明の方法を用いて多孔性物質がコーティングされると、活性物質は固体基質に捕捉され、コーティングの溶解とともにそこから放出される。
本明細書に開示のコーティング法のさらなる特徴は、固体基質の上のコーティングとして、実際は異なる成分の複雑な混合物であり1つの成分材料ではないコーティング材料の候補物質の特定の画分を沈積するのに、この方法が使用できることである。コーティング材料のこのタイプの正確な沈積は、他のコーティング技術では事実上不可能である。ほとんどではないにしても多くの市販のコーティング材料候補は、種々の物質の複雑な混合物であることは公知である。非限定的な例には、脂肪や蝋のような天然の材料、硬化脂肪のような天然の物質から得られる材料、およびパラフィン蝋のような合成材料がある。基本的にしばしば単一成分物質として売られる他の物質は、しばしば不純物として分類される種々の他の成分を5〜10%まで含有し、商業的使用のための完全に純粋な物質の産生は、商業的コーティング法にとっては一般に極端にコストのかかる方法である。前記したような多くの材料中に存在する種々の物質は、何らかの意味でコーティング材料の性質に影響する。従って、予定の応用には好ましくないと考えられるコーティング材料候補の種々の成分を選択的に除去するために、特定のセットの操作条件下でSCF前抽出工程が実施され、こうしてコーティング材料として使用できる正確に精製された材料が提供される。驚くべきことに、この工程は、基質上にコーティング材料が沈積する直前に実施するのが便利であり、従って基質への沈積のときにコーティング材料が正しく精製されることは問題がない。別の可能性は、特定のセットのSCF操作条件を用いて、複雑な混合物から特定の成分を選択的に抽出し、次に該成分を基質上に沈積させ、こうして特定の選択された成分のみでできたコーティングを産生することである。
本発明の方法の一般的概略
本明細書に開示の方法によるコーティングの沈積は、目的のコーティング材料が溶解されるSCFの温度や圧力を変化させることを特徴とする。この変化は制御された方法で行われ、その結果目的のコーティング材料は、コーティングされる基質の表面上に結晶化するか、またはそこに沈殿する。本明細書に開示の方法は、最初SCFに溶解していた材料の迅速な沈殿(その後に結晶化が起きることも起きないこともある)による、活性物質または担体材料の組合せを含有した独立した小さい粒子の形成には基づいていない。このタイプの構成(もし起きれば)は、目的のコーティング材料の沈積についての正しくない系の操作条件の結果である。本明細書に開示の方法は、エマルジョンの液滴上、所定容量の気体状粒子上、またはあらかじめ成形した固体粒子または物品の外部表面および内部表面上における、コーティング材料の制御された沈積に基づく。
固体粒子の場合、使用されるSCF系に溶解したコーティング分子を、コーティングされる表面へ引きつけてガイドするために、先ず溶解した溶質の固体表面に対する分子的相互作用または引力が用いられる。従来の液体/固体系および気体/固体系のこの現象は、吸着として知られている。溶解したコーティング材料を含有するSCFは、従来型でない溶液ではあるが、溶質がSCFに溶解しているから、コーティング材料が分子的に溶解している溶液、即ち、多くの有用な機能を果たすことができ、多くの異なる組成、厚さおよび性質を有するコーティングを形成する溶質の吸着が起きる溶液と見なすことができる。SCFに溶解しているコーティング材料は、その分子の大きさが、特定の固体粒子または物品の内孔または裂け目もしくはヒビの中に浸透でき、従ってそこに沈積されるなら、SCFが浸透するスペース内に自由に浸透できる溶質である。多くの固体に特徴的な内孔、ヒビおよび裂け目に粘性のコーティング溶液を浸透させる問題に関する心配はない。
従って、固体物質が本発明の方法に従ってコーティングされるとき、連続相(最初はコーティング材料が溶解しているSCFよりなる)の温度および/または圧力をオートクレーブ中で制御された方法で変化させて、本明細書に開示の方法の間、特定のコーティング材料の吸着を起こさせるか、および/またはゆっくり増強する。これは、特定の速度で1つまたは両方の変数を、両方変数の特定の値まで低下させることを含む。コーティングされる表面によるコーティング材料の分子の吸着は、本明細書に開示の方法の成否に決定的に重要である。これを起こすことができないとき、コーティング材料は、コーティングされる基質の表面に沈積されないであろう。コーティングされる基質へのコーティング材料の吸着がいったん起きると、SCF中に元々溶解している目的のコーティング材料のすべての分子が、コーティングされる固体表面に沈積されるまで、オートクレーブ内部でTおよび/またはPの連続的な制御した低下により、コーティング材料のさらなる沈積を起きるであろう。最初SCFに溶解しているコーティング材料の量に依存して、分子的な厚さまたは肉眼で見える厚さのコーティングを産生することができる。コーティング工程の間または後にコーティング材料が結晶化する能力に依存して、コーティングは結晶性または非結晶性となる。さらに、均一なフィルムまたはコーティングが形成されずに、何か別の形態のコーティングが形成されるように、コーティングされる基質上にコーティング材料が沈積するように、コーティング条件を調整することも好ましいと考えられる。そのような場合、「コーティング」によっては、従来のフィルムコーティングとは構造的に有意に異なった、基質とコーティング材料とのユニークな形態的組合せが形成されるであろう。
重要なことは、コーティング操作の間にオートクレーブ内の温度と圧力が低下すると、オートクレーブ内で連続相を形成し、最初沈積される基質の溶媒として作用するSCF材料は、一般にSCF状態から液体と気体相の2成分混合物に変化し、系が完全に減圧されると、この物質は気体相のみとなる。コーティングされる基質へのコーティング材料の制御された沈積は、使用されるコーティング材料および懸濁媒体(元々はSCF)中の溶解度に依存して、この連続した相変化の種々の段階で起きる。しかし、温度と圧力が変化するときのコーティング材料の溶解度の最も意味のある変化は、SCF状態と液体および気体の2成分混合物との間の境界に存在する条件またはそれに近い条件で起きる。この領域の温度と圧力の変化速度を制御することは特に重要である。
本明細書に開示のコーティング技術の多様性と、正確に定義された成分の溶液を産生するSCFの能力のために、ある型のある基質上にあるコーティング材料を沈積するのに必要な特異的TおよびP操作条件は変化し得るけれども、コーティングされる基質とコーティング材料の夫々の組合せについて当業者により定義することができる。コーティングされる活性物質が液体のとき、同様の注意が適用されるが、攪拌の速度は、コーティングされる液滴のサイズに影響を与える。
本発明の方法を実施するために、コーティングされる基質(すなわち、コーティング工程で使用される条件下で、使用されるSCFに基本的に不溶性であり、該SCFに影響されないことがあらかじめ証明されている、乳化可能な液体またはあらかじめ成形した粒子または物品)の測定した重量を、攪拌機と規定速度で回転する回転翼の付いたオートクレーブ内に入れる。オートクレーブを密封し、攪拌機をスタートさせる。コーティングされる物質が固体粒子の場合、絶えず攪拌が必要であるが、粒子の構造的完全性を乱すことを避けるために、回転は比較的穏和である必要がある。攪拌速度は通常、200〜400rpmである。コーティングされる物質が液体の形のときも、超臨界流体とそこに不溶性の液体の活性物質との間に形成されるエマルジョンの液滴のサイズを変化させることがあるため、攪拌速度の制御は必要である。液体の攪拌速度は普通、600〜1000rpmの範囲である。コーティングされるこの活性物質は、最初気オートクレーブ内で体状環境中にあるため、攪拌機はこの時点では活性物質に対して何の影響もない。しかし、外からオートクレーブに物質(例えば、CO2)を導入して、系をいったん加圧し、次にオートクレーブ内の温度および/または圧力を変化させて超臨界条件にすると、攪拌機と回転翼による攪拌のため、オートクレーブ内の物質は、SCF中に懸濁される。SCFに懸濁される活性物質は、攪拌のため通常の液体または液体溶液に懸濁されているように挙動する。
次の工程は、コーティングされる物質が、独立のコーティング材料としてまたは分子的に多孔性の袋に含有されたコーティング材料としてオートクレーブに入れられるときに、目的のコーティング材料のSCF溶液をオートクレーブに供給するかまたはコーティング材料をオートクレーブ内に入れることにより、SCF内に溶解した溶質としてオートクレーブに目的のコーティング材料を導入することである。何らかの方法でコーティング材料をオートクレーブに入れる場合、SCF状態を形成するためのオートクレーブの内部の加圧により、オートクレーブ内に存在するコーティング材料はSCF内に溶解する。コーティング材料が可溶化されていることを確認するために、コーティング工程を続ける前に系を一定時間(例えば、1時間)平衡化させる。
オートクレーブのSCF相にある濃度のコーティング材料が確立されたなら、最初のSCF中に存在するコーティング材料の溶解度を徐々に低下させ(この工程の間中攪拌は続ける)るように、制御された方法でオートクレーブ内の温度および/または圧力を変化させる。原則として、このような変化では、制御された方法で温度または圧力を低下させる。この変換の方法には関係なく、オートクレーブの懸濁相中のコーティング材料の溶解度が低下するにつれて、コーティングされる基質の表面に対するこのコーティング材料の親和性が増加し、そこに吸着されるコーティング材料が増える。懸濁相中の目的のコーティング材料の溶解度は充分に遅い速度で低下するなら、コーティング材料は懸濁相から、コーティングされる基質の表面に完全に移動し、コーティングを形成する。このコーティングは、コーティングされる基質の形態に沿って起き、いわゆるコンフォメーショナルコーティングが形成される。不規則な形の粒子や物品はこのようにコーティングされ、従ってこの方法は基質が規則的な形(例えば、球形または球形様)を取る必要がない。さらに、このコーティングの厚さは、分子的大きさから肉眼で見える大きさまで変化してよい。もちろん、目的の基質への目的のコーティング材料の沈積が完了するまでに、系の操作変数は変化し、懸濁液体はSCFではなくなり、気体状態と平衡にある液体に変化している。これらの異なる相が存在する具体的な条件を示す相模式図が、種々のSCFについて確立されている。
目的のコーティング材料の沈積がいったん完成したら、系を減圧し、オートクレーブからコーティングされた粒子または物品を単離する。
本発明の装置の好適な実施態様の完全な略図を図1に示す。図1において、加圧した気体ビンは、弁1に連結されており、これは気体を冷却器C−1に運び、ここで気体は液化される。濃縮された液化気体は、貯蔵器R−1中に保存される。液化気体は、弁2を用いて貯蔵器R−2に供給することができる。貯蔵器R−1中に存在する気体相はまた、弁V3を介して貯蔵器R−2に移動することもできる。
貯蔵器R−2は反応フラスコとして使用され、磁気伝導式攪拌子が取り付けてある。
液化気体はまた、冷却器C−2を介してポンプP−1に移動される。P−1から、液体は弁4と冷却器C−1を介して貯蔵器に戻される。
あるいは、ポンプP−1から、液体は熱交換器H−1により加熱され、弁V5を介して貯蔵器R−2に供給されるか、または弁V−6を介して貯蔵器R−3に供給されるか、または弁V−7を介して貯蔵器R−3に供給される。
貯蔵器R−2中に存在する液体、溶液、流体、臨界未満の流体または超臨界流体を取り出し、弁V−8を介してポンプP−2により移動される。逆に、ポンプP−2に保存された物質は、弁V−8を介して貯蔵器R−2に戻される。ポンプP−2はまた熱交換器H−2を介して貯蔵器R−2から材料を、弁V9を介して貯蔵器R−3に移動するのにも使用できる。おそらく弁V10は、ポンプP−2回路と貯蔵器R−2の間の圧力を平衡化するのに使用することもできるであろう。
貯蔵器R−2は、粒子のコーティング、物質の溶解、粒子形成、エマルジョン、粒子の反応、コアセルベーション、沈殿、共沈殿、結晶化、脱溶媒、重合、界面重合、重縮合などのための、反応フラスコとして使用することができる。貯蔵器R−3中で同じ操作を行うことができるか、両方の貯蔵器を同時に使用するか、互いに交代で使用するか、または組合せて使用することができる。貯蔵器R−3とその加熱または冷却ジャケットは、内部の温度と濃度勾配が形成されるように設計され、従って必要な場合には、実験条件の間に流体中で内部を乱流にすることができる。
貯蔵器R−2の内容物は、弁V11を介して、圧力制御弁V12に供給される。同様に、貯蔵器R−3もまた、V13またはV14を介して圧力制御弁V12に分岐させる。弁V12は、操作の間圧力を制御するのに使用される。V12から、熱交換器H−3を介して、流体は分離器S−1中で減圧される。分離器S1から、気体相はV15を介して貯蔵器R−1に循環される。すべての容器は圧力ゲージ(PJ)、大気への排出弁(Vair)、および/または排液弁(Vdrain)が取り付けてある。
各貯蔵器と分離器は、分離した冷却ジャケットと加熱ジャケット(TC)が取り付けてあり、装置の異なる場所で異なる温度を得ることができる。装置はまた、容器内部を見るためのいくつかの窓、および必要な安全弁、そして図には示していないがろ過装置が取り付けてある。
実施例1
天然の食品グレードの硬化油脂由来の不活性な賦形剤である1.3gのゲルシア50/02(Gelucire 50/02)(供給源:ガテフォセ社(Gattefosse S.A.)、F−69800、サン・プリースト(Saint Priest)、フランス)を、コーヒー用ろ紙から作成したシールした袋に入れて、次にこの袋をオートクレーブ(容量1.5リットル)中の攪拌器の心棒に取り付ける。次に、3.0gのHPMCP−55(供給源:イーストマン(Eastman)、キングスポート(Kingsport)、テネシー州、米国)を独立の粉末としてオートクレーブに入れる。オートクレーブを密封し、攪拌(430rpm)を開始し、オートクレーブにCO2を添加してオートクレーブの内部を加圧する。オートクレーブがCO2で加圧されると、オートクレーブの内容物の温度は35℃に上昇する。この時点でオートクレーブの内部の圧力は110バールになり、従ってオートクレーブ内のCO2はSCF状態になる。最初袋の中にあったゲルシア50/02(Gelucire 50/02)がSCFで溶解して、超臨界CO2中にHPMCP−55の粒子が懸濁しているオートクレーブの容量内に拡散するのに充分な時間を与えるために、この条件下で系を1時間平衡化させる。次に密封したオートクレーブの温度を、35℃から基本的に線形速度で17分かけてゆっくり27℃に低下させて、こうして超臨界CO2懸濁相を液体CO2と気体CO2の混合物とすると、前記HPMCP−55粒子は前者に懸濁される。次にオートクレーブをゆっくり大気圧まで減圧し、ゲルシア50/02(Gelucire 50/02)の成分でコーティングされたHPMCP−55粒子が得られる(ゲルシア50/02(Gelucire 50/02)は成分の混合物であり、使用されるSCF法は、最初のゲルシア50/02(Gelucire 50/02)試料のある成分のみを選択的に溶解し、この場合、該成分は、コーティングされた粒子を示差走査熱量測定法で測定すると35〜40℃の範囲の融点を有する)。コーティングされたHPMCP−55粒子をpH10の緩衝液に入れて顕微鏡で観察すると、SCFコーティング法により該粒子の種々の表面に沈積したゲルシア50/02(Gelucire 50/02)から抽出されたコーティング成分の存在のため、コーティングされたHPMCP−55粒子はコーティングされていないHPMCP−55粒子より有意に遅い速度で溶解することがわかる。
実施例2
天然の食品グレードの硬化油脂由来の不活性な賦形剤である1.3gのゲルシア50/02(Gelucire 50/02)(供給源:ガテフォセ社(Gattefosse S.A.)、F−69800、サン・プリースト(Saint Priest)、フランス)を、コーヒー用ろ紙から作成したシールした袋に入れ、次にこの袋をオートクレーブ(容量1.5リットル)中の攪拌器の心棒に取り付ける。
次に、3.0gのウシ血清アルブミン(BSA)(供給源:シグマ(Sigma)、セントルイス、ミズーリ州、米国)を独立の粉末としてオートクレーブに入れる。オートクレーブを密封し、攪拌(440rpm)を開始し、オートクレーブにCO2を添加してオートクレーブの内部を加圧する。オートクレーブがCO2で加圧されると、オートクレーブの内容物の温度は35℃に上昇する。この時点でオートクレーブの内部の圧力は110バールになり、従ってオートクレーブ内のCO2はSCF状態になる。最初袋の中にあったゲルシア50/02(Gelucire 50/02)がSCFで溶解して、超臨界CO2中にBSAの粒子が懸濁しているオートクレーブの容量内に拡散するのに充分な時間を与えるために、この条件下で系を1時間平衡化させる。次に密封したオートクレーブの温度を、35℃から基本的に線形速度で17分かけて冷却することにより27℃に低下させて、超臨界CO2懸濁相を液体CO2と気体CO2の混合物とすると、前記BSA粒子は前者に懸濁される。次にオートクレーブをゆっくり大気圧まで減圧し、ゲルシア50/02(Gelucire 50/02)の成分でコーティングされたBSA粒子が得られる(ゲルシア50/02(Gelucire 50/02)は融解する成分の混合物であり、使用されるSCF法は、最初のゲルシア50/02(Gelucire 50/02)試料のある成分のみを選択的に溶解し、この場合、該成分は、コーティングされた粒子を示差走査熱量測定法で測定すると35〜40℃の範囲の融点を有する)。コーティングされたBSA粒子を水に入れて顕微鏡で観察すると、開示されたSCFコーティング法により該粒子の種々の表面に沈積したゲルシア50/02(Gelucire 50/02)からの成分を抽出することにより得られるコーティング材料の存在のため、コーティングされたBSA粒子はコーティングされていないBSA粒子より遅い速度で溶解することがわかる。
図2Aは、光学顕微鏡で観察した出発物質(BSA)を示す。BSAは薄い透明プレートとして現れることがわかる。図2Bは、コーティング材料として使用したゲルシア50/02(Gelucire 50/02)で処理した後のBSA試料を示す。試料はゲルシアの薄い層で覆われており、光に対して不透明になる。
実施例3
天然の食品グレードの硬化油脂由来の不活性な賦形剤である1.3gのゲルシア50/02(Gelucire 50/02)(供給源:ガテフォセ社(Gattefosse S.A.)、F−69800、サン・プリースト(Saint Priest)、フランス)を、コーヒー用ろ紙から作成したシールした袋に入れ、次に、この袋をオートクレーブ(容量1.5リットル)中の攪拌器の心棒に取り付ける。
次に、3.0gのヘモグロビン(Hb)(供給源:シグマ(Sigma)、セントルイス、ミズーリ州、米国)を独立の粉末としてオートクレーブに入れる。オートクレーブを密封し、攪拌(460rpm)を開始し、オートクレーブにCO2を添加してオートクレーブの内部を加圧する。オートクレーブがCO2で加圧されると、オートクレーブの内容物の温度は35℃に上昇する。この時点でオートクレーブの内部の圧力は110バールになり、従ってオートクレーブ内のCO2はSCF状態になる。最初袋の中にあったゲルシア50/20(Gelucire 50/02)がSCFで溶解して、超臨界CO2中にHbの粒子が懸濁しているオートクレーブの容量内に拡散するのに充分な時間を与えるために、この条件下で系を1時間平衡化させる。次に密封したオートクレーブの温度を、35℃から基本的に線形速度で17分かけてゆっくり27℃に低下させて、こうして超臨界CO2懸濁相を液体CO2と気体CO2の混合物とすると、前記Hb粒子は前者に懸濁される。次にオートクレーブをゆっくり大気圧まで減圧し、ゲルシア50/02(Gelucire 50/02)の成分でコーティングされたHb粒子が得られる(ゲルシア50/02(Gelucire 50/02)は成分の混合物であり、使用されるSCF法は、最初のゲルシア50/02(Gelucire 50/02)試料のある成分のみを選択的に溶解し、この場合、該成分は、コーティングされた粒子を示差走査熱量測定法で測定すると35〜40℃の範囲の融点を有する)。コーティングされたHb粒子を水に入れて顕微鏡で観察すると、SCFコーティング法により該粒子の種々の表面に沈積したゲルシア50/02(Gelucire 50/02)コーティングの存在のため、コーティングされたHb粒子はコーティングされていないHb粒子より有意に遅い速度で溶解することがわかる。
実施例4
天然の食品グレードの硬化油脂由来の不活性な賦形剤である1.3gのゲルシア50/02(Gelucire 50/02)(供給源:ガテフォセ社(Gattefosse S.A.)、F−69800、サン・プリースト(Saint Priest)、フランス)を、コーヒー用ろ紙から作成したシールした袋に入れ、次に、この袋をオートクレーブ(容量1.5リットル)中の攪拌器の心棒に取り付ける。
次に、3.0gのエリトロシンE(供給源:シグマ(Sigma)、セントルイス、ミズーリ州、米国)を独立の粉末としてオートクレーブに入れる。オートクレーブを密封し、攪拌(440rpm)を開始し、オートクレーブにCO2を添加してオートクレーブの内部を加圧する。オートクレーブがCO2で加圧されると、オートクレーブの内容物の温度は35℃に上昇する。この時点でオートクレーブの内部の圧力は110バールになり、従ってオートクレーブ内のCO2はSCF状態になる。最初袋の中にあったゲルシア50/02(Gelucire 50/02)がSCFで溶解して、超臨界CO2中にエリトロシンEの粒子が懸濁しているオートクレーブの容量内に拡散するのに充分な時間を与えるために、この条件下で系を1時間平衡化させる。次に密封したオートクレーブの温度を、35℃から基本的に線形速度で17分かけてゆっくり27℃に低下させて、超臨界CO2懸濁相を液体CO2と気体CO2の混合物とすると、前記エリトロシンE粒子は前者に懸濁される。次にオートクレーブをゆっくり大気圧まで減圧し、ゲルシア50/02(Gelucire 50/02)の成分でコーティングされたエリトロシンE粒子が得られる(ゲルシア50/02(Gelucire 50/02)は成分の混合物であり、使用されるSCF法は、最初のゲルシア50/02(Gelucire 50/02)試料のある成分のみを選択的に溶解し、この場合、該成分は、コーティングされた粒子を示差走査熱量測定法で測定すると35〜40℃の範囲の融点を有する)。コーティングされたエリトロシンE粒子を水に入れて顕微鏡で観察すると、SCFコーティング法により該粒子の種々の表面に沈積したコーティングの存在のため、コーティングされたエリトロシンE粒子はコーティングされていないエリトロシンE粒子より有意に遅い速度で溶解することがわかる。
実施例5
天然の食品グレードの硬化油脂由来の不活性な賦形剤である1.3gのゲルシア50/02(Gelucire 50/02)(供給源:ガテフォセ社(Gattefosse S.A.)、F−69800、サン・プリースト(Saint Priest)、フランス)を、コーヒー用ろ紙から作成したシールした袋に入れ、次に、この袋をオートクレーブ(容量1.5リットル)中の攪拌器の心棒に取り付ける。
次に、主にショ糖を含有する市販のビタミンC製剤である3.0gのジューバミン(Juvamine)(供給源:エスイーディー(SED)、パリ、フランス)を独立の粉末としてオートクレーブに入れる。オートクレーブを密封し、攪拌(440rpm)を開始し、オートクレーブにCO2を添加してオートクレーブの内部を加圧する。オートクレーブがCO2で加圧されると、オートクレーブの内容物の温度は35℃に上昇する。この時点でオートクレーブの内部の圧力は110バールになり、従ってオートクレーブ内のCO2はSCF状態になる。最初袋の中にあったゲルシア50/02(Gelucire 50/02)がSCFで溶解して、超臨界CO2中にジューバミン(Juvamine)の粒子が懸濁しているオートクレーブの容量内に拡散するのに充分な時間を与えるために、この条件下で系を1時間平衡化させる。次に密封したオートクレーブの温度を、35℃から基本的に線形速度で17分かけてゆっくり27℃に低下させて、こうして超臨界CO2懸濁相を液体CO2と気体CO2の混合物とすると、前記ジューバミン(Juvamine)粒子は前者に懸濁される。次にオートクレーブをゆっくり大気圧まで減圧し、ゲルシア50/02(Gelucire 50/02)の成分でコーティングされたジューバミン(Juvamine)粒子が得られる(ゲルシア50/02(Gelucire 50/02)は成分の混合物であり、使用されるSCF法は、最初のゲルシア50/02(Gelucire 50/02)試料のある成分のみを選択的に溶解し、この場合、該成分は、コーティングされた粒子を示差走査熱量測定法で測定すると35〜40℃の範囲の融点を有する)。コーティングされたジューバミン(Juvamine)粒子を水に入れて顕微鏡で観察すると、SCFコーティング法により該粒子の種々の表面に沈積したゲルシア50/02(Gelucire 50/02)成分のコーティングの存在のため、コーティングされたジューバミン(Juvamine)粒子はコーティングされていない粒子より有意に遅い速度で溶解することがわかる。
図3は、水中で5分後のゲルシア50/02(Gelucire 50/02)の薄い層で覆われたジューバミン(Juvamine)試料を示す。コア物質が溶解しても、覆われた結晶と同じ形を有するゲルシアの殻が残ることがわかる。図の中央部では、針の機械的作用により顕微鏡下でこのような殻が破壊された。残った物質から、殻はゲルシアの非常に薄い層で形成されていることがわかる。
実施例6
5.0gの蜜蝋を、コーヒー用ろ紙から作成したシールした袋に入れ、次にこの袋をオートクレーブ(容量1.5リットル)中の攪拌器の心棒に取り付ける。次に、2.0gのBSA(供給源:シグマ(Sigma)、セントルイス、ミズーリ州、米国)を独立の粉末としてオートクレーブに入れる。オートクレーブを密封し、攪拌(440rpm)を開始し、オートクレーブにCO2を添加してオートクレーブの内部を加圧する。オートクレーブがCO2で加圧されると、オートクレーブの内容物の温度は35℃に上昇する。この時点でオートクレーブの内部の圧力は110バールになり、従ってオートクレーブ内のCO2はSCF状態になる。最初袋の中にあったゲルシア50/02(Gelucire 50/02)がSCFで溶解して、超臨界CO2中にBSAの粒子が懸濁しているオートクレーブの容量内に拡散するのに充分な時間を与えるために、この条件下で系を1時間平衡化させる。次に密封したオートクレーブの温度を、35℃から基本的に線形速度で17分かけてゆっくり27℃に低下させて、こうして超臨界CO2懸濁相を液体CO2と気体CO2の混合物とすると、前記BSA粒子は前者に懸濁される。次にオートクレーブをゆっくり大気圧まで減圧し、蜜蝋の成分でコーティングされたBSA粒子が得られる(蜜蝋は成分の混合物であり、使用されるSCF法は、最初の蜜蝋試料のある成分のみを選択的に溶解し、この場合、該成分は、コーティングされた粒子を示差走査熱量測定法で測定すると35〜45℃の範囲の融点を有する)。コーティングされたBSA粒子をガラススライドに載せて、スライド上の粒子に水滴を滴下し、顕微鏡で観察すると、SCFコーティング法により該粒子の種々の表面に沈積した蜜蝋成分のコーティングのため、コーティングされたBSA粒子はコーティングされていないBSA粒子より有意に遅い速度で溶解することが立証される。実際、5〜10分の観察時間ではBSAはほとんど溶解しないようであった。
図4は、蜜蝋の薄い層で覆われたBSAを示す。この試料が水滴の上に浮かんでいることがわかる。これにより、処理試料と出発物質との間に存在する強力な湿潤性の差が証明される。実際未処理の出発物質は、完全に水溶性であり、従って、水滴の表面上に留まることはできない。
実施例7
2.0gのパラフィン蝋52−54(供給源:アールピープロラボ(RP Prolabo)、パリ、フランス)を、コーヒー用ろ紙から作成したシールした袋に入れ、次にこの袋をオートクレーブ(容量1.5リットル)中の攪拌器の心棒に取り付ける。次に、3.0gのBSA(供給源:シグマ(Sigma)、セントルイス、ミズーリ州、米国)を独立の粉末としてオートクレーブに入れる。オートクレーブを密封し、攪拌(440rpm)を開始し、オートクレーブにCO2を添加してオートクレーブの内部を加圧する。オートクレーブがCO2で加圧されると、オートクレーブの内容物の温度は35℃に上昇する。この時点でオートクレーブの内部の圧力は110バールになり、従ってオートクレーブ内のCO2はSCF状態になる。最初袋の中にあったパラフィン蝋52−54がSCFで溶解して、超臨界CO2中にBSAの粒子が懸濁しているオートクレーブの容量内に拡散するのに充分な時間を与えるために、この条件下で系を1時間平衡化させる。次に密封したオートクレーブの温度を、35℃から基本的に線形速度で17分かけてゆっくり27℃に低下させて、こうして超臨界CO2懸濁相を液体CO2と気体CO2の混合物とすると、前記BSA粒子は前者に懸濁される。次にオートクレーブをゆっくり大気圧まで減圧し、パラフィン蝋52−54の成分(パラフィン蝋52−54は成分の混合物であり、使用されるSCF法は、最初のパラフィン蝋52−54試料のある成分のみを選択的に溶解する)でコーティングされたBSA粒子が得られ、この場合、該成分は、コーティングされた粒子を示差走査熱量測定法で測定すると50〜52℃の範囲の融点を有する。コーティングされたBSA粒子をガラススライドに載せて、スライド上の粒子に水滴を滴下し、顕微鏡で観察すると、SCFコーティング法により該粒子の種々の表面に沈積したパラフィン蝋52−54成分の存在のため、コーティングされたBSA粒子はコーティングされていないBSA粒子よりもはるかに濡れにくいことが立証される。
実施例8
ダイナサン(Dynasan)114として市販されている5.0gのミリスチン酸のトリグリセリド(供給源:フルス社(Huls Aktiengellschaft)、D−W−4370マール(Marl)、ドイツ)を、コーヒー用ろ紙から作成したシールした袋に入れ、次にこの袋をオートクレーブ(容量1.5リットル)中の攪拌器の心棒に取り付ける。次に、1.5gのウシ血清アルブミン(BSA)(供給源:シグマ(Sigma)、セントルイス、ミズーリ州、米国)を独立の粉末としてオートクレーブに入れる。オートクレーブを密封し、攪拌(440rpm)を開始し、オートクレーブにCO2を添加した後、オートクレーブの内部を加圧する。オートクレーブがCO2で加圧されると、オートクレーブの内容物の温度は35℃に上昇する。この時点でオートクレーブの内部の圧力は110バールになり、従ってオートクレーブ内のCO2はSCF状態になる。最初袋の中にあったダイナサン(Dynasan)114がSCFで溶解して、超臨界CO2中にBSAの粒子が懸濁しているオートクレーブの容量内に拡散するのに充分な時間を与えるために、この条件下で系を1時間平衡化させる。次に密封したオートクレーブの温度を、35℃から基本的に線形速度で17分かけて冷却することにより27℃に低下させて、こうして超臨界CO2懸濁相を液体CO2と気体CO2の混合物とすると、前記BSA粒子は前者に懸濁される。次にオートクレーブをゆっくり大気圧まで減圧し、使用されたダイナサン(Dynasan)114試料の成分(これは成分の混合物を含み、使用されるSCF法は、最初のダイナサン(Dynasan)114試料のある成分のみを選択的に溶解する)でコーティングされたBSA粒子が得られ、この場合、該成分は、コーティングされた粒子を示差走査熱量測定法で測定すると50〜55℃の範囲の融点を有する。
コーティングされたBSA粒子を水に入れて顕微鏡で観察すると、開示されたSCFコーティング法により該粒子の種々の表面に沈積したダイナサン(Dynasan)114成分の存在のため、コーティングされたBSA粒子はコーティングされていないBSA粒子より濡れにくいことがわかる。
実施例9
5.0gのステアリン酸(供給源:メルク(Merck)、シュカルト(Schuchardt)、ドイツ)を、コーヒー用ろ紙から作成したシールした袋に入れ、次にこの袋をオートクレーブ(容量1.5リットル)中の攪拌器の心棒に取り付ける。次に、3gのウシ血清アルブミン(BSA)(供給源:シグマ(Sigma)、セントルイス、ミズーリ州、米国)を独立の粉末としてオートクレーブに入れる。オートクレーブを密封し、攪拌(450rpm)を開始し、オートクレーブにCO2を添加してオートクレーブの内部を加圧する。オートクレーブがCO2で加圧されると、オートクレーブの内容物の温度は35℃に上昇する。この時点でオートクレーブの内部の圧力は110バールになり、従ってオートクレーブ内のCO2はSCF状態になる。最初袋の中にあったステアリン酸がSCFで溶解して、超臨界CO2中にBSAの粒子が懸濁しているオートクレーブの容量内に拡散するのに充分な時間を与えるために、この条件下で系を1時間平衡化させる。次に密封したオートクレーブの温度を、35℃から基本的に線形速度で17分かけて冷却することにより27℃に低下させて、こうして超臨界CO2懸濁相を液体CO2と気体CO2の混合物とすると、前記BSA粒子は前者に懸濁される。次にオートクレーブをゆっくり大気圧まで減圧し、使用されたステアリン酸試料の成分(これは成分の混合物を含み、使用されるSCF法は、最初のステアリン酸試料のある成分のみを選択的に溶解する)でコーティングされたBSA粒子が得られ、この場合、該成分は、コーティングされた粒子を示差走査熱量測定法で測定すると50〜55℃の範囲の融点を有する。コーティングされたBSA粒子を水に入れて顕微鏡で観察すると、開示されたSCFコーティング法により該粒子の種々の表面に沈積したステアリン酸成分の存在のため、コーティングされたBSA粒子はコーティングされていないBSA粒子より濡れにくいことがわかる。
実施例10
2.0gのステアリルアルコール(供給源:ジャンセン(Janssen)、ベルギー)を、コーヒー用ろ紙から作成したシールした袋に入れ、次にこの袋をオートクレーブ(容量1.5リットル)中の攪拌器の心棒に取り付ける。次に、3gのウシ血清アルブミン(BSA)(供給源:シグマ(Sigma)、セントルイス、ミズーリ州、米国)を独立の粉末としてオートクレーブに入れる。オートクレーブを密封し、攪拌(440rpm)を開始し、オートクレーブにCO2を添加してオートクレーブの内部を加圧する。オートクレーブがCO2で加圧されると、オートクレーブの内容物の温度は35℃に上昇する。この時点でオートクレーブの内部の圧力は110バールになり、従ってオートクレーブ内のCO2はSCF状態になる。最初袋の中にあったゲルシア50/13(Gelucire 50/13)がSCFで溶解して、超臨界CO2中にBSAの粒子が懸濁しているオートクレーブの容量内に拡散するのに充分な時間を与えるために、この条件下で系を1時間平衡化させる。次に密封したオートクレーブの温度を、35℃から基本的に線形速度で17分かけて冷却することにより27℃に低下させて、こうして超臨界CO2懸濁相を液体CO2と気体CO2の混合物とすると、前記BSA粒子は前者に懸濁される。次にオートクレーブをゆっくり大気圧まで減圧し、使用されたステアリルアルコール試料の成分(これは成分の混合物を含み、使用されるSCF法は、最初のステアリルアルコール試料のある成分のみを選択的に溶解する)でコーティングされたBSA粒子が得られ、この場合、該成分は、コーティングされた粒子を示差走査熱量測定法で測定すると52〜62℃の範囲の融点を有する。コーティングされたBSA粒子を水に入れて顕微鏡で観察すると、開示されたSCFコーティング法により該粒子の種々の表面に沈積したステアリルアルコール成分の存在のため、コーティングされたBSA粒子はコーティングされていないBSA粒子より濡れにくいことがわかる。
実施例11
2.0gのパラフィン蝋52−54(供給源:アールピープロラボ(RP Prolabo)、パリ、フランス)を、コーヒー用ろ紙から作成したシールした袋に入れ、次にこの袋をオートクレーブ(容量1.5リットル)中の攪拌器の心棒に取り付ける。次に、3.0gのヘモグロビン(Hb)(供給源:シグマ(Sigma)、セントルイス、ミズーリ州、米国)を独立の粉末としてオートクレーブに入れる。オートクレーブを密封し、攪拌(240rpm)を開始し、オートクレーブにCO2を添加してオートクレーブの内部を加圧する。オートクレーブがCO2で加圧されると、オートクレーブの内容物の温度は35℃に上昇する。この時点でオートクレーブの内部の圧力は110バールになり、従ってオートクレーブ内のCO2はSCF状態になる。最初袋の中にあったパラフィン蝋52−54がSCFで溶解して、超臨界CO2中にHbの粒子が懸濁しているオートクレーブの容量内に拡散するのに充分な時間を与えるために、この条件下で系を1時間平衡化させる。次に密封したオートクレーブの温度を、35℃から基本的に線形速度で17分かけてゆっくり27℃に低下させて、こうして超臨界CO2懸濁相を液体CO2と気体CO2の混合物とすると、前記Hb粒子は前者に懸濁される。次にオートクレーブをゆっくり大気圧まで減圧し、パラフィン蝋52−54の成分(パラフィン蝋52−54は成分の混合物であり、使用されるSCF法は、最初のパラフィン蝋52−54試料のある成分のみを選択的に溶解する)でコーティングされたHb粒子が得られ、この場合、該成分は、コーティングされた粒子を示差走査熱量測定法で測定すると50〜52℃の範囲の融点を有する。コーティングされたHb粒子を水に入れて顕微鏡で観察すると、SCFコーティング法により該粒子の種々の表面に沈積したパラフィン蝋52−54成分の存在のため、コーティングされたHb粒子はコーティングされていないHb粒子よりも濡れにくいことがわかる。多くの平板状および針状の結晶パラフィン52−54を、基本的に垂直方向にHb粒子から離れて伸びるような方法でHb粒子に結合させた。
実施例12
2.0gのパラフィン蝋52(供給源:アールピープロラボ(RP Prolabo)、パリ、フランス)を、コーヒー用ろ紙から作成したシールした袋に入れ、次にこの袋をオートクレーブ(容量1.5リットル)中の攪拌器の心棒に取り付ける。次に、ビタミンCと主にショ糖との市販の混合物である3.0gのジューバミン(Juvamine)(供給源:エスイーディー(SED)、パリ、フランス)を独立の粉末としてオートクレーブに入れる。オートクレーブを密封し、攪拌(440rpm)を開始し、オートクレーブにCO2を添加してオートクレーブの内部を加圧する。オートクレーブがCO2で加圧されると、オートクレーブの内容物の温度は35℃に上昇する。この時点でオートクレーブの内部の圧力は110バールになり、従ってオートクレーブ内のCO2はSCF状態になる。最初袋の中にあったパラフィン蝋52がSCFで溶解して、超臨界CO2中にジューバミン(Juvamine)の粒子が懸濁しているオートクレーブの容量内に拡散するのに充分な時間を与えるために、この条件下で系を1時間平衡化させる。次に密封したオートクレーブの温度を、35℃から基本的に線形速度で17分かけてゆっくり27℃に低下させて、こうして超臨界CO2懸濁相を液体CO2と気体CO2の混合物とすると、前記ジューバミン(Juvamine)粒子は前者に懸濁される。次にオートクレーブをゆっくり大気圧まで減圧し、パラフィン蝋52−54の成分(パラフィン蝋52−54は成分の混合物であり、使用されるSCF法は、最初のパラフィン蝋52−54試料のある成分のみを選択的に溶解する)でコーティングされたジューバミン(Juvamine)粒子が得られ、この場合、該成分は、コーティングされた粒子を示差走査熱量測定法で測定すると50〜52℃の範囲の融点を有する。コーティングされたジューバミン(Juvamine)粒子を水に入れて顕微鏡で観察すると、SCFコーティング法により該粒子の種々の表面に沈積したパラフィン蝋52−54成分の存在のため、コーティングされたジューバミン(Juvamine)粒子はコーティングされていないジューバミン(Juvamine)粒子よりも濡れにくいことがわかる。ジューバミン(Juvamine)試料のコーティングされた粒子の内容物が完全に水に溶解すると、ジューバミン(Juvamine)の主な成分であるショ糖のコーティングされていない結晶の外面形態と外部構造を保持する水不溶性のコーティング材料の脆い殻が残る。
実施例13
5.0gの蜜蝋(供給源:アピスセンターリーゲオイス(APIS Centre Liegeois)、ヴィセ(VISE)、ベルギー)を、コーヒー用ろ紙から作成したシールした袋に入れ、次にこの袋をオートクレーブ(容量1.5リットル)中の攪拌器の心棒に取り付ける。次に、1.9gのヘモグロビン(Hb)(供給源:シグマ(Sigma)、セントルイス、ミズーリ州、米国)を独立の粉末としてオートクレーブに入れる。オートクレーブを密封した後、攪拌(220rpm)を開始し、オートクレーブにCO2を添加してオートクレーブの内部を加圧する。オートクレーブがCO2で加圧されると、オートクレーブの内容物の温度は35℃に上昇する。この時点でオートクレーブの内部の圧力は110バールになり、従ってオートクレーブ内のCO2はSCF状態になる。最初袋の中にあった蜜蝋がSCFで溶解して、超臨界CO2中にヘモグロビンの粒子が懸濁しているオートクレーブの容量内に拡散するのに充分な時間を与えるために、この条件下で系を1時間平衡化させる。次に密封したオートクレーブの温度を、35℃から基本的に線形速度で17分かけてゆっくり27℃に低下させて、こうして超臨界CO2懸濁相を液体CO2と気体CO2の混合物とすると、前記ヘモグロビン粒子は前者に懸濁される。次にオートクレーブをゆっくり大気圧まで減圧し、蜜蝋の成分でコーティングされたヘモグロビン粒子が得られる(蜜蝋は成分の混合物であり、使用されるSCF法は、最初の蜜蝋試料のある成分のみを選択的に溶解する)。コーティングされたヘモグロビン粒子を水に入れて顕微鏡で観察すると、SCFコーティング法により該粒子の表面に沈積した蜜蝋成分の存在のため、コーティングされたヘモグロビン粒子はコーティングされていないヘモグロビン粒子より濡れにくいことがわかる。図5は、水滴の表面に静止している前記コーティングされたヘモグロビン粒子を示す。コーティングされていない出発物質(ヘモグロビン)は、水滴にすぐに溶解するため、このような挙動はしなかった。
実施例14
5.0gの蜜蝋(供給源:アピスセンターリーゲオイス(APIS Centre Liegeois)、ヴィセ(VISE)、ベルギー)をコーヒー用ろ紙から作成したシールした袋に入れ、次にこの袋をオートクレーブ(容量1.5リットル)中の攪拌器の心棒に取り付ける。次に、ビタミンCと主にショ糖との市販の混合物である2.0gのジューバミン(Juvamine)(供給源:エスイーディー(SED)、パリ、フランス)を独立の粉末としてオートクレーブに入れる。オートクレーブを密封し、攪拌(440rpm)を開始し、オートクレーブにCO2を添加してオートクレーブの内部を加圧する。オートクレーブがCO2で加圧されると、オートクレーブの内容物の温度は35℃に上昇する。この時点でオートクレーブの内部の圧力は110バールになり、従ってオートクレーブ内のCO2はSCF状態になる。最初袋の中にあった蜜蝋がSCFで溶解して、超臨界CO2中にジューバミン(Juvamine)の粒子が懸濁しているオートクレーブの容量内に拡散するのに充分な時間を与えるために、この条件下で系を1時間平衡化させる。次に密封したオートクレーブの温度を、35℃から基本的に線形速度で20分かけてゆっくり25℃に低下させて、こうして超臨界CO2懸濁相を液体CO2と気体CO2の混合物とすると、前記ジューバミン(Juvamine)粒子は前者に懸濁される。次にオートクレーブをゆっくり大気圧まで減圧し、蜜蝋の成分でコーティングされたジューバミン(Juvamine)粒子が得られる(蜜蝋は成分の混合物であり、使用されるSCF法は、最初の蜜蝋試料のある成分のみを選択的に溶解する)。コーティングされたジューバミン(Juvamine)粒子を水に入れて顕微鏡で観察すると、SCFコーティング法により該粒子の表面に沈積した蜜蝋成分の存在のため、コーティングされたジューバミン(Juvamine)粒子はコーティングされていないジューバミン(Juvamine)粒子より濡れにくいことがわかる。ジューバミン(Juvamine)試料のコーティングされた粒子の内容物が完全に水に溶解すると、ジューバミン(Juvamine)の主な成分であるショ糖のコーティングされていない結晶の外面形態と外部構造を保持する水不溶性のコーティング材料の脆い殻が残る。図6において左の部分は、未処理の出発物質を示し、そして蜜蝋でコーティングされた試料は、図の右の部分に示す。これは顕微鏡下で得られた図である。水滴を同時に両方の試料を覆うような方法で垂らすと、15秒後には、右の結晶では同じ速度で試料を溶解しないのに、左の結晶が溶解していることがわかる(図7)。図8は、水滴下2分後の同じ試料を示し、出発結晶が完全に溶解(左)し、コーティングされた結晶(右)は完全には溶解していないことが明らかである。
実施例15
5.0gの蜜蝋(供給源:アピスセンターリーゲオイス(APIS Centre Liegeois)、ヴィセ(VISE)、ベルギー)を、コーヒー用ろ紙から作成したシールした袋に入れ、次にこの袋をオートクレーブ(容量1.5リットル)中の攪拌器の心棒に取り付ける。次に、12gのアセトアミノフェンを独立の粉末としてオートクレーブに入れる。オートクレーブを密封した後に攪拌(220rpm)を開始し、CO2を添加してオートクレーブの内部を加圧して、オートクレーブの内容物の温度が35℃に上昇する。この時点でオートクレーブの内部の圧力は110バールになり、従ってオートクレーブ内のCO2はSCF状態になる。最初袋の中にあった蜜蝋がSCFで溶解して、超臨界CO2中にアセトアミノフェンの粒子が懸濁しているオートクレーブの容量内に拡散するのに充分な時間を与えるために、この条件下で系を1時間平衡化させる。次に密封したオートクレーブの温度を、35℃から基本的に線形速度で17分かけてゆっくり27℃に低下させて、こうして超臨界CO2懸濁相を液体CO2と気体CO2の混合物とすると、前記アセトアミノフェン粒子は前者に懸濁される。次にオートクレーブをゆっくり大気圧まで減圧し、蜜蝋の成分でコーティングされたアセトアミノフェン粒子が得られる(蜜蝋は成分の混合物であり、使用されるSCF法は、最初の蜜蝋試料のある成分のみを選択的に溶解する)。コーティングされたアセトアミノフェン粒子を水に入れて顕微鏡で観察すると、SCFコーティング法により該粒子の表面に沈積した蜜蝋成分の存在のため、コーティングされたアセトアミノフェン粒子はコーティングされていないアセトアミノフェン粒子より濡れにくいことがわかる。アセトアミノフェンのコーティングされた粒子を経口で味をみると、有意な味のマスキング効果が得られる。
実施例16
5.0gの白色蜜蝋(供給源:コオペラション・ファーマシューチク・フランセーズ(Cooperation Pharmaceutique Francaise)、メルン(Melun)、フランス)を、コーヒー用ろ紙から作成したシールした袋に入れ、次にこの袋をオートクレーブ(容量1.5リットル)中の攪拌器の心棒に取り付ける。次に、ビタミンCと主にショ糖との市販の混合物である2.0gのジューバミン(Juvamine)(供給源:エスイーディー(SED)、パリ、フランス)を独立の粉末としてオートクレーブに入れる。オートクレーブを密封し、攪拌(440rpm)を開始し、オートクレーブにCO2を添加してオートクレーブの内部を加圧する。オートクレーブがCO2で加圧されると、オートクレーブの内容物の温度は35℃に上昇する。この時点でオートクレーブの内部の圧力は110バールになり、従ってオートクレーブ内のCO2はSCF状態になる。最初袋の中にあった白色蜜蝋がSCFで溶解して、超臨界CO2中にジューバミン(Juvamine)の粒子が懸濁しているオートクレーブの容量内に拡散するのに充分な時間を与えるために、この条件下で系を1時間平衡化させる。次に密封したオートクレーブの温度を、35℃から基本的に線形速度で20分かけてゆっくり25℃に低下させて、こうして超臨界CO2懸濁相を液体CO2と気体CO2の混合物とすると、前記ジューバミン(Juvamine)粒子は前者に懸濁される。次にオートクレーブをゆっくり大気圧まで減圧し、白色蜜蝋の成分でコーティングされたジューバミン(Juvamine)粒子が得られる(白色蜜蝋は成分の混合物であり、使用されるSCF法は、最初の白色蜜蝋試料のある成分のみを選択的に溶解する)。コーティングされたジューバミン(Juvamine)粒子を水に入れて顕微鏡で観察すると、SCFコーティング法により該粒子の表面に沈積した白色蜜蝋成分の存在のため、コーティングされたジューバミン(Juvamine)粒子はコーティングされていないジューバミン(Juvamine)粒子より濡れにくいことがわかる。ジューバミン(Juvamine)試料のコーティングされた粒子の内容物が完全に水に溶解すると、ジューバミン(Juvamine)の主な成分であるショ糖のコーティングされていない結晶の外面形態と外部構造を保持する水不溶性のコーティング材料の脆い殻が残る。
実施例17
5.0gの白色蜜蝋(供給源:コオペラション・ファーマシューチク・フランセーズ(Cooperation Pharmaceutique Francaise)、メルン(Melun)、フランス)を、コーヒー用ろ紙から作成したシールした袋に入れ、次にこの袋をオートクレーブ(容量1.5リットル)中の攪拌器の心棒に取り付ける。次に、2.0gのキシリトール(供給源:ロケット・フレレス・レストレム(Roquette Freres Lestrem)、フランス)を独立の粉末としてオートクレーブに入れる。オートクレーブを密封し、攪拌(440rpm)を開始し、オートクレーブにCO2を添加してオートクレーブの内部を加圧する。オートクレーブがCO2で加圧されると、オートクレーブの内容物の温度は35℃に上昇する。この時点でオートクレーブの内部の圧力は110バールになり、従ってオートクレーブ内のCO2はSCF状態になる。最初袋の中にあった白色蜜蝋がSCFで溶解して、超臨界CO2中にキシリトールの粒子が懸濁しているオートクレーブの容量内に拡散するのに充分な時間を与えるために、この条件下で系を1時間平衡化させる。次に密封したオートクレーブの温度を、35℃から基本的に線形速度で20分かけてゆっくり25℃に低下させて、こうして超臨界CO2懸濁相を液体CO2と気体CO2の混合物とすると、前記キシリトール粒子は前者に懸濁される。次にオートクレーブをゆっくり大気圧まで減圧し、白色蜜蝋の成分でコーティングされたキシリトール粒子が得られる(白色蜜蝋は成分の混合物であり、使用されるSCF法は、最初の白色蜜蝋試料のある成分のみを選択的に溶解する)。コーティングされたキシリトール粒子を水に入れて顕微鏡で観察すると、SCFコーティング法により該粒子の表面に沈積した白色蜜蝋成分の存在のため、コーティングされたキシリトール粒子はコーティングされていないキシリトール粒子より濡れにくいことがわかる。
実施例18
5.1gの白色蜜蝋(供給源:コオペラション・ファーマシューチク・フランセーズ(Cooperation Pharmaceutique Francaise)、メルン(Melun)、フランス)を、コーヒー用ろ紙から作成したシールした袋に入れ、次にこの袋をオートクレーブ(容量1.5リットル)中の攪拌器の心棒に取り付ける。次に、2.0gの塩化カリウム(供給源:コオペラション・ファーマシューチク・フランセーズ(Cooperation Pharmaceutique Francaise)、メルン(Melun)、フランス)を独立の粉末としてオートクレーブに入れる。オートクレーブを密封し、攪拌(440rpm)を開始し、オートクレーブにCO2を添加してオートクレーブの内部を加圧する。オートクレーブがCO2で加圧されると、オートクレーブの内容物の温度は35℃に上昇する。この時点でオートクレーブの内部の圧力は110バールになり、従ってオートクレーブ内のCO2はSCF状態になる。最初袋の中にあった白色蜜蝋がSCFで溶解して、超臨界CO2中に塩化カリウムの粒子が懸濁しているオートクレーブの容量内に拡散するのに充分な時間を与えるために、この条件下で系を1時間平衡化させる。次に密封したオートクレーブの温度を、35℃から基本的に線形速度で20分かけてゆっくり25℃に低下させて、こうして超臨界CO2懸濁相を液体CO2と気体CO2の混合物とすると、前記塩化カリウム粒子は前者に懸濁される。次にオートクレーブをゆっくり大気圧まで減圧し、白色蜜蝋の成分でコーティングされた塩化カリウム粒子が得られる(白色蜜蝋は成分の混合物であり、使用されるSCF法は、最初の白色蜜蝋試料のある成分のみを選択的に溶解する)。コーティングされた塩化カリウム粒子を水に入れて顕微鏡で観察すると、SCFコーティング法により該粒子の表面に沈積した白色蜜蝋成分の存在のため、コーティングされた塩化カリウム粒子はコーティングされていない塩化カリウム粒子より濡れにくいことがわかる。
実施例19
0.842gのミバクト(Myvacct)7−07(供給源:イーストマン化学会社(Eastman Chemical Company)、キングスポート(Kingsport)、TN37662、米国)を、コーヒー用ろ紙から作成したシールした袋に入れ、次にこの袋をオートクレーブ(容量1.5リットル)中の攪拌器の心棒に取り付ける。次に、5gのアセトアミノフェンを独立の粉末としてオートクレーブに入れる。オートクレーブを密封し、攪拌(440rpm)を開始し、オートクレーブにCO2を添加してオートクレーブの内部を加圧する。オートクレーブがCO2で加圧されると、オートクレーブの内容物の温度は35℃に上昇する。この時点でオートクレーブの内部の圧力は115バールになり、従ってオートクレーブ内のCO2はSCF状態になる。最初袋の中にあった蜜蝋がSCFで溶解して、超臨界CO2中にアセトアミノフェンの粒子が懸濁しているオートクレーブの容量内に拡散するのに充分な時間を与えるために、この条件下で系を1時間平衡化させる。次に密封したオートクレーブの温度を、35℃から基本的に線形速度で17分かけてゆっくり27℃に低下させて、こうして超臨界CO2懸濁相を液体CO2と気体CO2の混合物とすると、前記アセトアミノフェン粒子は前者に懸濁される。次にオートクレーブをゆっくり大気圧まで減圧し、ミバクト(Myvacct)7−07の成分でコーティングされたアセトアミノフェン粒子が得られる(ミバクト(Myvacct)7−07は成分の混合物であり、使用されるSCF法は、最初のミバセット(Myvacet)7−07試料のある成分のみを選択的に溶解する)。コーティングされたアセトアミノフェン粒子を水に入れて顕微鏡で観察すると、SCFコーティング法により該粒子の表面に沈積したミバセット(Myvacet)7−07成分の存在のため、コーティングされたアセトアミノフェン粒子はコーティングされていないアセトアミノフェン粒子より濡れにくいことがわかる。
実施例20
4.87gの白色蜜蝋(供給源:コオペラション・ファーマシューチク・フランセーズ(Cooperation Pharmaceutique Francaise)、メルン(Melun)、フランス)を、コーヒー用ろ紙から作成したシールした袋に入れ、次いで、この袋をオートクレーブ(容量1.5リットル)中の攪拌器の心棒に取り付ける。次に、2.0gの硫酸ゲンタマイシン(供給源:コオペラション・ファーマシューチク・フランセーズ(Cooperation Pharmaceutique Francaise)、メルン(Melun)、フランス)を独立の粉末としてオートクレーブに入れる。オートクレーブを密封し、攪拌(210rpm)を開始し、オートクレーブにCO2を添加してオートクレーブの内部を加圧する。オートクレーブがCO2で加圧されると、オートクレーブの内容物の温度は45℃に上昇する。この時点でオートクレーブの内部の圧力は200バールになり、従ってオートクレーブ内のCO2はSCF状態になる。最初袋の中にあった白色蜜蝋がSCFで溶解して、超臨界CO2中に硫酸ゲンタマイシンの粒子が懸濁しているオートクレーブの容量内に拡散するのに充分な時間を与えるために、この条件下で系を1時間平衡化させる。次に密封したオートクレーブの温度を、45℃から基本的に線形速度で65分かけてゆっくり20℃に低下させて、こうして超臨界CO2懸濁相を液体CO2と気体CO2の混合物とすると、前記硫酸ゲンタマイシン粒子は前者に懸濁される。次にオートクレーブをゆっくり大気圧まで減圧し、白色蜜蝋の成分でコーティングされた硫酸ゲンタマイシン粒子が得られる(白色蜜蝋は成分の混合物であり、使用されるSCF法は、最初の白色蜜蝋試料のある成分のみを選択的に溶解する)。コーティングされた硫酸ゲンタマイシン粒子を水に入れて顕微鏡で観察すると、SCFコーティング法により該粒子の表面に沈積した白色蜜蝋成分の存在のため、コーティングされた硫酸ゲンタマイシン粒子はコーティングされていない硫酸ゲンタマイシン粒子よりはるかに濡れにくいことがわかる。
実施例21
1.0295gのインウィター(Inwitor)960F(供給源:ヒュルスフランス(Huels France)、49100アンガース(Angers)、フランス)を、コーヒー用ろ紙から作成したシールした袋に入れ、次にこの袋をオートクレーブ(容量1.5リットル)中の攪拌器の心棒に取り付ける。次に、2.0811gのD,L−メチオニン(供給源:シグマ(Sigma)、セントルイス、ミズーリ州、米国)を独立の粉末としてオートクレーブに入れる。オートクレーブを密封し、攪拌(440rpm)を開始し、オートクレーブにCO2を添加してオートクレーブの内部を加圧する。オートクレーブがCO2で加圧されると、オートクレーブの内容物の温度は45℃に上昇する。この時点でオートクレーブの内部の圧力は195バールになり、従ってオートクレーブ内のCO2はSCF状態になる。最初袋の中にあったインウィター(Inwitor)がSCFで溶解して、超臨界CO2中にD,L−メチオニンの粒子が懸濁しているオートクレーブの容量内に拡散するのに充分な時間を与えるために、この条件下で系を1時間平衡化させる。次に密封したオートクレーブの温度を、45℃から基本的に線形速度で27分かけてゆっくり27℃に低下させて、こうして超臨界CO2懸濁相を液体CO2と気体CO2の混合物とすると、前記D,L−メチオニン粒子は前者に懸濁される。次にオートクレーブをゆっくり大気圧まで減圧し、インウィター(Inwitor)の成分でコーティングされたD,L−メチオニン粒子が得られる。コーティングされたD,L−メチオニン粒子を水に入れて顕微鏡で観察すると、SCFコーティング法により該粒子の表面に沈積したインウィター(Inwitor)成分の存在のため、コーティングされたD,L−メチオニン粒子はコーティングされていないD,L−メチオニン粒子より濡れにくいことがわかる。興味ある味のマスキングが得られる。
実施例22
0.9576gのインウィター(Inwitor)960F(供給源:ヒュルスフランス(Huels France)、49100アンガース(Angers)、フランス)を、コーヒー用ろ紙から作成したシールした袋に入れ、次にこの袋をオートクレーブ(容量1.5リットル)中の攪拌器の心棒に取り付け、次に2.0085gのキシリトール(供給源:ロケットフレレス(Roquette Freres)、レストレム(Lestrem)、フランス)を独立の粉末としてオートクレーブに入れる。オートクレーブを密封し、攪拌(440rpm)を開始し、オートクレーブにCO2を添加してオートクレーブの内部を加圧する。オートクレーブがCO2で加圧されると、オートクレーブの内容物の温度は45℃に上昇する。この時点でオートクレーブの内部の圧力は150バールになり、従ってオートクレーブ内のCO2はSCF状態になる。最初袋の中にあったインウィター(Inwitor)がSCFで溶解して、超臨界CO2中にキシリトールの粒子が懸濁しているオートクレーブの容量内に拡散するのに充分な時間を与えるために、この条件下で系を1時間平衡化させる。次に密封したオートクレーブの温度を、45℃から基本的に線形速度で27分かけてゆっくり27℃に低下させて、こうして超臨界CO2懸濁相を液体CO2と気体CO2の混合物とすると、前記キシリトール粒子は前者に懸濁される。次にオートクレーブをゆっくり大気圧まで減圧し、インウィター(Inwitor)の成分でコーティングされたキシリトール粒子が得られる。コーティングされたキシリトール粒子を水に入れて顕微鏡で観察すると、SCFコーティング法により該粒子の表面に沈積したインウィター(Inwitor)成分の存在のため、コーティングされたキシリトール粒子はコーティングされていないキシリトール粒子より濡れにくいことがわかる。
実施例23
4.9804gのシンクロワックス(Syncrowax)BB4(供給源:クロダ(Croda)、ノースハンバーサイド(North Humberside)、英国)を、コーヒー用ろ紙から作成したシールした袋に入れ、次にこの袋をオートクレーブ(容量1.5リットル)中の攪拌器の心棒に取り付ける。次に、2.0397gのD,L−メチオニン(供給源:シグマ(Sigma)、セントルイス、ミズーリ州、米国)を独立の粉末としてオートクレーブに入れる。オートクレーブを密封し、攪拌(440rpm)を開始し、オートクレーブにCO2を添加してオートクレーブの内部を加圧する。オートクレーブがCO2で加圧されると、オートクレーブの内容物の温度は45℃に上昇する。この時点でオートクレーブの内部の圧力は190バールになり、従ってオートクレーブ内のCO2はSCF状態になる。最初袋の中にあったシンクロワックス(Syncrowax)がSCFで溶解して、超臨界CO2中にD,L−メチオニンの粒子が懸濁しているオートクレーブの容量内に拡散するのに充分な時間を与えるために、この条件下で系を1時間平衡化させる。次に密封したオートクレーブの温度を、45℃から基本的に線形速度で27分かけてゆっくり27℃に低下させて、こうして超臨界CO2懸濁相を液体CO2と気体CO2の混合物とすると、前記D,L−メチオニン粒子は前者に懸濁される。次にオートクレーブをゆっくり大気圧まで減圧し、シンクロワックス(Syncrowax)の成分でコーティングされたD,L−メチオニン粒子が得られる。コーティングされたD,L−メチオニン粒子を水に入れて顕微鏡で観察すると、SCFコーティング法により該粒子の表面に沈積したシンクロワックス(Syncrowax)成分の存在のため、コーティングされたD,L−メチオニン粒子はコーティングされていないD,L−メチオニン粒子より濡れにくいことがわかる。興味ある味のマスキング効果が得られる。
実施例24
0.4567gの白色蜜蝋(供給源:コオペラション・ファーマシューチク・フランセーズ(Cooperation Pharmaceutique Francaise)、メルン(Melun)、フランス)を、コーヒー用ろ紙から作成したシールした袋に入れ、次にこの袋をオートクレーブ(容量1.5リットル)中の攪拌器の心棒に取り付ける。次に、2.0053gのD,L−メチオニン(供給源:シグマ(Sigma)、セントルイス、ミズーリ州、米国)を独立の粉末としてオートクレーブに入れる。オートクレーブを密封し、攪拌(440rpm)を開始し、オートクレーブにCO2を添加してオートクレーブの内部を加圧する。オートクレーブがCO2で加圧されると、オートクレーブの内容物の温度は45℃に上昇する。この時点でオートクレーブの内部の圧力は185バールになり、従ってオートクレーブ内のCO2はSCF状態になる。最初袋の中にあった白色蜜蝋がSCFで溶解して、超臨界CO2中にD,L−メチオニンの粒子が懸濁しているオートクレーブの容量内に拡散するのに充分な時間を与えるために、この条件下で系を1時間平衡化させる。次に密封したオートクレーブの温度を、45℃から基本的に線形速度で27分かけてゆっくり27℃に低下させて、こうして超臨界CO2懸濁相を液体CO2と気体CO2の混合物とすると、前記D,L−メチオニン粒子は前者に懸濁される。次にオートクレーブをゆっくり大気圧まで減圧し、白色蜜蝋の成分でコーティングされたD,L−メチオニン粒子が得られる。コーティングされたD,L−メチオニン粒子を水に入れて顕微鏡で観察すると、SCFコーティング法により該粒子の表面に沈積した白色蜜蝋成分の存在のため、コーティングされたD,L−メチオニン粒子はコーティングされていないD,L−メチオニン粒子より濡れにくいことがわかる。興味のマスキングが得られる。
実施例25
0.1752gのオクタデカノール(供給源:ジャンセン(Janssen)、ベアーズ(Beerse)、ベルギー)を、コーヒー用ろ紙から作成したシールした袋に入れ、次にこの袋をオートクレーブ(容量1.5リットル)中の攪拌器の心棒に取り付ける。次に、2.000gのアセチルサリチル酸(供給源:シグマ(Sigma)、セントルイス、ミズーリ州、米国)を独立の粉末としてオートクレーブに入れる。オートクレーブを密封し、攪拌(440rpm)を開始し、オートクレーブにCO2を添加してオートクレーブの内部を加圧する。オートクレーブがCO2で加圧されると、オートクレーブの内容物の温度は45℃に上昇する。この時点でオートクレーブの内部の圧力は160バールになり、従ってオートクレーブ内のCO2はSCF状態になる。最初袋の中にあったオクタデカノールがSCFで溶解して、超臨界CO2中にアセチルサリチル酸の粒子が懸濁しているオートクレーブの容量内に拡散するのに充分な時間を与えるために、この条件下で系を1時間平衡化させる。次に密封したオートクレーブの温度を、45℃から基本的に線形速度で27分かけてゆっくり27℃に低下させて、こうして超臨界CO2懸濁相を液体CO2と気体CO2の混合物とすると、前記アセチルサリチル酸粒子は前者に懸濁される。次にオートクレーブをゆっくり大気圧まで減圧し、オクタデカノールの成分でコーティングされたアセチルサリチル酸粒子が得られる。コーティングされたアセチルサリチル酸粒子を水に入れて顕微鏡で観察すると、SCFコーティング法により該粒子の表面に沈積したオクタデカノール成分の存在のため、コーティングされたアセチルサリチル酸粒子はコーティングされていないアセチルサリチル酸粒子より濡れにくいことがわかる。
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Claims (10)

  1. 活性物質をコーティング材料内に捕捉する方法であって、
    − 固体状態であるかまたは固体基質に吸収されている活性物質を、実質的に膨潤を起こさないか、または活性物質が固体状態の場合は活性物質に溶解作用を及ぼさない条件下で、コーティング材料をその中に溶解して含有する超臨界CO 2 中に懸濁することと;
    − 制御された条件下で超臨界CO 2 の温度および/または圧力を徐々に低下させて、超臨界CO 2 中のコーティング材料の溶解度を低下させ、コーティング材料を活性物質上に沈積させることとを具備したことを特徴とする方法。
  2. 前記活性物質は、固体粒子の形であるかまたは多孔性固体基質に吸収された液体中に溶解されており、該固体粒子または該多孔性固体基質粒子は、コーティング材料を溶解して含有する超臨界CO 2 に接触させる間、絶えず攪拌されることを特徴とする、請求の範囲第1項に記載の方法。
  3. 前記活性物質が固体粒子であるとき、コーティング材料が固体粒子に沈積される条件は、超臨界CO 2 中の該固体粒子の可溶化を回避することにより、該方法の間ずっと固体粒子の物理的完全性を維持するように選択されることを特徴とする、請求の範囲第1項または2項に記載の方法。
  4. 前記活性物質上に沈積されるコーティング材料が制御された方法で硬化される工程を更に含むことを特徴とする、請求の範囲第1項〜3項までのいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記活性物質とコーティング材料は、オートクレーブに入れられ、次に超臨界CO 2 中にコーティング材料を溶解するのに必要な温度と圧力条件下で、超臨界CO 2 をオートクレーブに充填することを特徴とする、請求の範囲第1項〜4項までのいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記活性物質は、オートクレーブに入れられ、コーティング材料を溶解して含有する超臨界CO 2 をオートクレーブに充填することを特徴とする、請求の範囲第1項〜4項までのいずれか1項に記載の方法。
  7. 超臨界CO 2 に溶解したコーティング材料を活性物質に沈積させることにより、活性物質をコーティング材料内に捕捉するための装置であって、
    − 超臨界条件下で気体を収容して維持することができる貯蔵/反応室と;
    − 前記貯蔵/反応室と流体でつながっている圧力反応室(この反応室は、溶解したコーティング材料を含有する超臨界CO 2 が反応室内に導入されたとき、活性物質を攪拌する攪拌手段を含む)とを具備したことを特徴とする装置。
  8. 前記コーティング材料を超臨界CO 2 に溶解するための超臨界気体凝縮器に流体でつながっている貯蔵手段をさらに含むことを特徴とする、請求の範囲第7項に記載の装置。
  9. 前記圧力反応室中の温度および圧力を制御する手段を更に含んでなる、請求の範囲第7項または8項に記載の装置。
  10. 前記攪拌手段は、磁気伝達式攪拌子を含んでなる、請求の範囲第7項に記載の装置。
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