JP4121778B2 - 口栓部挿入冶具の加工方法及び該口栓部挿入冶具を使用した口栓部結晶化方法。 - Google Patents
口栓部挿入冶具の加工方法及び該口栓部挿入冶具を使用した口栓部結晶化方法。 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スーパーエンジニアリングプラスチックである、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(Polyetheretherketone、以下PEEKという。)の加工方法に関するもので、特に、高い温度(100〜250℃)環境下で使用する際に経時的寸法変化の少ないPEEKの加工成形品を製造する加工方法に関するものである。また、口栓部結晶化したポリエステル製ボトルのプリフォームを作製するための、前記加工方法を適用して加工したPEEK樹脂製の口栓部挿入冶具を使用する口栓部結晶化方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate)を材料とする延伸ポリエステルボトル、いわゆるペットボトルに代表されるポリエステル樹脂製ボトルの成形加工は図1に示すように、ポリエステル樹脂を射出成形によりプリフォームを成形する工程(a)〜(e)と、プリフォームをブロー成形してポリエステル樹脂製ボトルを形成する工程(f)〜(h)よりなる。
【0003】
ポリエステル樹脂を射出成形によりプリフォーム(パリソンとも言う)を形成する工程を図1の(a)から(e)に沿って説明する。
まず、(a)にてコア型2(内金型)の支持部1に取付支持されたコア型2 (内金型)のネック2aに半円状の1対の対向するネック型3、ネック型3を図中の矢印(以下実際の矢印は左右方向)のように所定の間隙を以って近接させ、続いてプリフォーム成形用のキャビティ部(B)のキャビティ11 (外金型)内に設けた型部11a内に(b)のように前記コア型2と型部11aとの間に空間部31を形成する。
次に(c)にて射出ノズル11cより溶融したポリエステル樹脂をコア型2とキャビティ11の型部11aとの間の空間部31に、流路11bを通して射出し、冷却して樹脂を固化させることにより胴部32a、底部32b、口部32c、ネジ部32dを備えたプリフォーム32が形成される。続いて(d)にてコア型2とともにプリフォーム32をキャビティ11の型部11a内より引抜き、続いて、支持部1に取付けられたコア型2のネック型3,にて支持された状態のプリフォーム32内から引き抜き、ネック型3を左右方向に開放して、プリフォーム(パリソン)を得る。
【0004】
プリフォーム(パリソン)をブロー成形してポリエステル樹脂製ボトルを成形する工程(f)〜(h)を図1に沿って説明する。
加熱部(図示せず)にてプリフォームの胴部32a、底部32bをブロー成形温度まで加熱した後(f)に示したようにプリフォーム支持部4にて支持された状態のプリフォーム32をブロー成形用のボトル成形用金型内に装填して、支持部4とアシストプラグ5を固定した後、(g)にてアシストプラグ5を伸張させながらその先端部にてプリフォーム32の内低部を押しながらブローエアをブローエアノズル4aからアシストプラグ5とプリフォーム32の間に導入して、プリフォーム32をボトル成形部21aの内面に密着するように膨張させてポリエステル樹脂製ボトル(P)を成形し続いて、冷却してポリエステル樹脂製ボトルPを固化させ最後に(h)に示すようにブロー成形用のボトル成形用金型を開放してポリエステル樹脂製ボトルPの成形を完了する。
【0005】
上記の工程に代表されるような工程を経て製造される、ポリエステル樹脂製ボトルは、透明性、耐衝撃性、ガスバリア性及び軽量性などに優れている。このため、ポリエステル樹脂製ボトルの用途拡大は目覚ましいものがある。特に飲料用容器としては急速に浸透しつつあり、以前には、使用されることのなかった内容物充填時に加熱殺菌を要する内容物のものや、店頭で加温販売されるものなど、加温状態にさらされる用途にも使用範囲をひろげてきた。
【0006】
上記のプリフォームをブロー成形してポリエステル樹脂製ボトルを形成する工程の説明に示したように、これらの加温を伴う用途に使用されるポリエステル樹脂製ボトルの胴部については、作製時に結果として二軸分子配向が行われる。しかし、口栓部についてはこのような延伸プロセスがないため、加温時に、熱変形を生じ内容物の漏れや、外気の流入による内容物の劣化を生じる。
【0007】
これら、加温時の口栓部変形の対策として口栓部を結晶化温度以上に加熱し、ガラス転移点以下まで徐冷することにより、口栓部の結晶化度を上げ熱的、機械的強度の向上を図ることが一般的である。
【0008】
ポリエチレン樹脂の結晶化は体積の収縮を伴い、また、ガラス移転点以上に温度を上げるため、軟化、変形を伴う。これらの変形は結晶化する前のプリフォームの設計に勘案されると共に、加熱前から冷却後もしくは、加熱後から冷却後などのタイミングで口内径(図2:φ2)を規制し、変形をコントロールする目的で口栓部に口栓部挿入冶具(図2:104)を挿入する。口内径を規制するための口栓部挿入冶具(図2:104)は高い耐熱性を要求されることから、金属材料が使用される。
【0009】
結晶化時の加熱,冷却のプロセスを通して、プリフォームの口内径(図2:φ2)は、収縮し口栓部挿入冶具(図2:104)の口内径規制部(図2:φ1)に密着することにより決定する。また、口内径(図2:φ2)の増減は、口外径、ネジ山径、ネジ谷径、カブラ径(図3に1例を示す)にも影響を及ぼすため、口栓部寸法精度において非常に重要である。従って、口栓部挿入冶具(図2:104)の寸法精度はボトルの口栓部寸法にストレートに影響する。特に口内径、口外径はキャッピングの際、キャップとの密着性を保つため寸法精度は、ボトルの機密性能に直接影響する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記口栓部挿入冶具に使用する金属材料は熱伝導が大きいため、温度が変化しやすく、結晶化度のバラツキが大きくなりがちである。また、この対策として温調機構を設けるなど、装置が複雑化、高価格化する傾向がある。その上、熱サイクルから長期の使用に対して酸化物や,金属の粉体を生じ装置やプリフォームの口栓部を汚染する等外観上、機能上、また衛生上、問題を有する。
【0011】
そこで、上記金属材料に代えて、エンジニアリング・プラスティック材料に着目し、熱伝導が小さいことにより、加熱及び冷却時の温度の均一性が取りやすく、結晶化度の安定性が向上する点、材質自体が、食品衛生上好ましい等のメリットが多い。特に、現実に使用する条件を考慮すると使用可能な材料は多くはなく、加工精度、安定性からポリエーテルエーテルケトン樹脂(Polyetheretherketone)に着目したものである。
【0012】
上記のポリエーテルエーテルケトン樹脂は、ヒドロキノンのカリウム塩と4,4-ジフルオロジフェニルケトンとの置換反応から得られる高分子である。該樹脂は、難燃性で熱安定性が良く、一般に加工性が良いと言う性質を持ち、ガラスや炭素などの繊維状充填剤及び粉砕ガラスや雲母などの粒子状充填剤とさまざまな割合で混合され、または、単独で射出成形樹脂として使用される。
【0013】
また、PEEK樹脂を押出成形した素材は、250℃での連続使用に耐える耐熱性があり、耐薬品性、耐摩擦摩耗性、機械加工性等において非常にバランスのとれた熱可塑性スーパーエンジニアリングプラスチックである。
【0014】
その用途としては、各種製造ライン用部品、半導体・液晶製造装置部品、検査装置部品、製造用治具、原子力関連部品、電子部品、各種精密機器部品、食品加工ライン関連部品、化学プラント関連部品、溶接機器関連部品、メッキ加工機器関連部品、金属表面処理関連部品、絶縁材、断熱材等の広い範囲に使用されている。
【0015】
PEEK樹脂成形加工品は、高い温度(100〜250℃) 環境下にさらされる部品等を加工する際には、ガラス転移点以上、使用可能温度以下で加熱、徐冷(アニール)した後に加工することによって、射出成形時の大きな歪を取り除いて後、加工することが一般的である。
【0016】
しかし、 上記のPEEK樹脂成形加工品は、上記アニール処理を施した後使用しても、実際の使用に当たって時間を経るに従って結晶化したプリフォームの寸法のバラツキが大きくなっていくことが判明した。これは、口栓部挿入冶具の寸法のバラツキが増加していることに起因することが判明したものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、プリフォームの口栓部結晶化工程において、口内径を規制する口栓部挿入冶具(図2:104)を精度良く加工し、経時的な寸法変化をなくすことによって、寸法精度の高い口栓部結晶化プリフォームを安定的に供給する手段を提供するものである。
【0018】
上記課題は下記の本発明によって解決される。すなわち、口内径を規制する口栓部挿入治具を作製する材料として、難燃性で耐熱性に優れ、寸法安定性も良いPEEK樹脂を使用する。この材料は、食品衛生法にも適合したものがあるので食品包材の安全性の観点からも非常に優れている。
【0019】
しかし、PEEK樹脂で作製した口栓部挿入冶具であって、使用可能温度以下であっても、使用時間を経過するに従って寸法に狂いを生じてくる。一般的に使用温度が高く、かつ寸法精度が要求される場合には、ポリエーテルエーテルケトン樹脂PEEK樹脂を射出成形した材料を加工前にアニール(使用温度範囲内で、使用が想定される温度と同等かそれ以上の温度で加温する操作)した後に切削加工して使用する。しかし、効果は、必ずしも充分ではなく、長期の使用で寸法変化を生じることが判明した。
【0020】
そこで、その加工条件を変更し、寸法変化の挙動を詳細に検討した結果、PEEK樹脂の使用時の経時変形を抑える加工方法を見出したものである。また、同加工方法にて作製した口栓部挿入冶具を使用してプリフォームの口栓部結晶化を行うことにより、結晶化装置での長期の使用にあたっても、寸法の安定した口栓部結晶化プリフォームを生産することを可能としたのである。
【0021】
すなわち口栓部挿入冶具作製時に材料の円柱材の中心に穴あけ加工をした後、ガラス転移点以上、使用可能温度以下で加熱、徐冷してアニール処理を施し、予備加工として最終仕上がり寸法より0.01mm〜1.00mm好ましくは、0.10mm〜0.30mm大きく切削加工し予備加工品とし、次に、同予備加工品を180℃〜250℃の環境に6時間以上更に好ましくは24時間以上保存する(さらに、望ましくは、220℃から250℃で24〜48時間保存)エイジング処理を行い、常温まで冷却後、仕上げ加工として最終仕上がり寸法に切削加工することによって口栓部挿入冶具とした。また、同方法によって作製された口栓部挿入冶具は、結晶化装置上での長期の使用に際してもほとんど寸法変化を生じなくなる。これは、エイジング処理による寸法変化の防止効果は、最表面より進行しあまり内部までは進行しないと推定される。一般的なアニール処理後の加工では、熱処理による寸法変化の防止効果に最も有効な改質された層が削り取られるため効果が低いものと思われる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明について実施の形態を説明する。本発明の口栓部挿入冶具を作製する素材としては、ヒドロキノンのカリウム塩と4,4-ジフルオロジフェニルケトンとの置換反応から得られる高分子ポリエーテルエーテルケトン樹脂(Polyetheretherketone)等が上げられる。また、このPEEK樹脂を基盤として開発されら他の結晶性芳香属ポリマー(例えば、ポリエーテルケトン(PEK))等も使用可能である。これらPEEK樹脂等は、ガラスや炭素などの繊維状充填剤及び粉砕ガラスや雲母などの粒子状充填剤とさまざまな割合で混合され、または、単独で射出成形樹脂として使用される。一例として、PEEK樹脂を単独で押出し成形した商品名「ポリペンコPEEK PK-450」(日本ポリペンコ株式会社製)の直径40mmの円柱材を使用することが出来る。
【0023】
次に口栓部挿入冶具作製について説明する。口栓部挿入冶具の加工は、材料の円柱材の中心に直径13mmの穴あけ加工をした後、材料成形時の歪を取るためにアニール処理(2時間で150℃まで昇温し、150℃で2時間キープした後、4時間かけて250℃まで昇温し、24時間キープした後36時間かけて室温まで戻す)をした。次に予備加工として最終仕上がり寸法より0.01mm〜1.00mm、好ましくは0.10mm〜0.30mm大きく切削加工し予備加工品とし、次に、同予備加工品を180℃〜250℃の環境に6時間以上、好ましくは24時間以上保存する(さらに、望ましくは、220℃から250℃で24〜48時間保存)エイジング処理を行い、常温まで冷却後、仕上げ加工として最終仕上がり寸法に切削加工することによって口栓部挿入冶具とした。
【0024】
予備加工後のエイジング処理の温度と口栓部挿入冶具の寸法安定性の関係を、予備加工時仕上がり寸法より0.03mm大きく加工し24時間のエイジング処理を実施した場合を例示して示す。エイジング処理温度が180℃以下の場合には、結晶化装置での二ヶ月の使用に対して口内径規制部寸法(図2:φ1)が0.06〜0.08mmの増加を示した。この結果は、エイジング処理を行わなかった場合とほとんど差がなく、エイジング処理の効果を生じるには、エイジング処理温度が180℃以上であることが必要と推定される。エイジング処理温度が180℃〜220℃の場合には、結晶化装置での二ヶ月の使用に対して口内径規制部寸法(φ1)が0.02〜0.05mmの増加を示し、24時間の熱処理では効果は充分ではなかった。しかし、エイジング処理時間を48時間に延ばした場合には充分な効果を得られた。また、260℃以上では、予備加工した口栓部挿入冶具の熱軟化による変形が大きく仕上げ加工に適さなかった。
【0025】
次に、予備加工後のエイジング処理時間と口栓部挿入冶具の寸法安定性の関係を予備加工時仕上がり寸法より0.03mm大きく加工しエイジング処理温度250℃の場合を例示して示す。結晶化装置での2ヶ月間の使用で、口内径規制部寸法(図1:φ1)の増加量は、エイジング処理時間6時間以下の場合0.02〜0.05mm、6時間から24時間の場合で0.01〜0.03mm、エイジング処理時間24時間以上の場合は、0.01mm以下を示した。24時間以上エイジング時間を延ばしても、寸法安定性の効果は変わらなかった。
【0026】
また、予備加工時の仕上がり寸法との差が口栓部挿入冶具の寸法安定性に及ぼす影響について、250℃24時間のエイジング処理の場合を例として示す。予備加工時の仕上がり寸法との差が0.01mm以下では再加工は現実的に困難であり、予備加工時の仕上がり寸法との差が0.3mm以上の場合には、二ヶ月の結晶化装置での使用での口内径規制部寸法(図2:φ1)の増加が0.03mmとやや大きなものが認められた。1.00mm以上のものは、エイジング処理の寸法安定性向上効果はほとんど認められなかった。
【0027】
次に、口栓部を結晶化したプリフォーム及びポリエステル樹脂製ボトルの作製手順の概略について説明する。まず、ポリエステル樹脂を前述した手順にて、プリフォームに射出成形する。次に、プリフォーム口栓部の結晶化を行い口栓部結晶化プリフォームとする。最後に該結晶化プリフォームの胴部をブロー成形にて所定の形状に成形してポリエステル樹脂製ボトルとする。このポリエステル樹脂製ボトルは内容物充填に供することになる。なお、射出成形したプリフォームをポリエステル樹脂製ボトルにブロー成形した後に、ポリエステル樹脂製ボトル口栓部を結晶化する手順でも差し支えはなく、各プロセスに大きな変更はない。しかし、結晶化装置が大きくなる点、プリフォームの口栓部結晶化まで、とブロー成形工程が、別の場所で行われる場合が多い点から、一般にプリフォーム口栓部を結晶化した後、ブロー成形にてポリエステル樹脂製ボトルを形成するの一般的である。以下各工程を詳細に説明する。
【0028】
口栓部を結晶化するプリフォームの材料としては、ポリエステル樹脂を使用する。ポリエステル樹脂としては、飽和ジカルボン酸と飽和二価アルコールとからなる熱可塑性樹脂が使用できる。飽和ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン-1,4- 又は2,6-ジカルボン酸、ジフェニルエーテル-4,4′- ジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸類、ジフェノキシエタンジエタンジカルボン酸類等の芳香族ジカルボン酸類、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、デカン-1,10-ジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸等を使用することができる。また飽和二価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ドデカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール類、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、2,2-ビス(4′- β- ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、その他の芳香族ジオール類等を使用することができる。好ましいポリエステルは、テレフタル酸とエチレングリコールとからなるポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate)である。
【0029】
上記ポリエステル樹脂は、固有粘度が 0.5〜1.5 、好ましくは0.55〜0.85の範囲の値を有する。またこのようなポリエステルは、溶融重合で製造され、 180〜250 ℃の温度下で減圧処理または不活性ガス雰囲気で熱処理されたもの、または固相重合して低分子量重合物であるオリゴマーやアセトアルデヒドの含有量を低減させたものが好適である。
【0030】
本実施例においては、上記ポリエステル樹脂として新光合繊株式会社社製 SHINPET 5511H(ポリエチレンテレフタレート樹脂)を使用し、口栓部の寸法は結晶化時の収縮を考慮した寸法で設計した射出成形用金型を使用する。例えば口内径(図4:φ2)の場合、成形されたボトルの口内径20.60mmとするには、口内径(φ2)20.80mmのプリフォームを射出成形にて形成する。
【0031】
結晶化のプロセスの一例を図4に従って説明する。(K)口栓部挿入冶具104をプリフォーム口栓部に挿入後(L)、自転させながら赤外線ヒーターにて130秒かけて190から193℃に加熱し(M)、60秒間放冷後、15℃に冷却したエアーをあてて110秒で60℃まで冷却した。(N)その後、口栓部挿入冶具104を取り除き(O)。口栓部結晶化プリフォーム109とした。この口栓部結晶化プリフォームはブロー成形工程に供されポリエステル樹脂製ボトルに成形される。
【0032】
【実施例1】
口栓部挿入冶具の材料として、PEEK樹脂単体を押出し成形した日本ポリペンコ株式会社製 商品名 ポリペンコPEEK PK-450の直径40mmの円柱材を使用した。
【0033】
サンプル1として円柱材の中心に旋盤によりφ13mm穴あけ加工をした後、材料成形時の歪を取るためにアニール処理(2時間で150℃まで昇温150℃で2時間キープ(150℃付近に本材料のガラス転移点が存在するため)、4時間かけて250℃まで昇温24時間キープした後36時間かけて室温まで戻す)をしたの後、口内径規制部寸法(図2:φ1)20.60mm±0.0015mmにて旋盤による切削加工にて作製した。
【0034】
サンプル2として円柱材の中心にφ13mm穴あけ加工をした後、材料成形時の歪を取るためにアニール処理(2時間で150℃まで昇温150℃で2時間キープ、4時間かけて250℃まで昇温24時間キープした後36時間かけて室温まで戻す)をした。予備加工として、仕上げ寸法より0.2mm大きく(口内径規制部寸法(図2:φ1)20.80mm)旋盤による切削加工を行い。同予備加工品を250℃にて24時間のエイジング処理を行った。室温に冷却した後、仕上がり寸法にて(口内径規制部寸法20.60mm±0.0015mmにて)旋盤にて再度切削加工することによって口栓部挿入冶具を作製した。
【0035】
本実施例においては、上記ポリエチレンテレフタレート樹脂として新光合繊株式会社社製 SHINPET 5511Hを使用し、口栓部の寸法は結晶化時の収縮を考慮した寸法で設計した射出成形用金型を使用し、口内径(図2:φ2)20.80mmのプリフォームを射出成形にて形成した。
【0036】
結晶化は、サンプル1もしくはサンプル2の口栓部挿入冶具105をプリフォーム口栓部に挿入後(L)、自転させながら赤外線ヒーターにて130秒かけて193℃に加熱し(M)、60秒間放冷後、自転させながら15℃に冷却したエアーをあてて110秒で60℃まで冷却した(N)。その後、口栓部挿入冶具104を取り除き(O)。口栓部結晶化プリフォームとした。
【0037】
口栓部挿入冶具の口内径規制部寸法(図4:φ1)の測定は、ノギスを使用した。また、プリフォーム口栓部の寸法測定には、特殊工機株式会社製のプリフォーム口栓部測定装置PFM-2000を使用して評価した。
【0038】
サンプル1をPETボトルプリフォームの結晶化装置にて実際に使用した際の口内径規制部寸法(図4:φ1)の94個分の分布変化を図5に示す。使用期間が長くなるにつれて口内径規制部寸法(図4:φ1)が増加していく様子がわかる。この寸法変化にしたがって結晶化後のプリフォームの口内径(図4:φ2)も増加し、この影響で、口外径、ネジ山径、カブラ径も増加する。本実施例において、結晶化後のプリフォームの口内径(図4:φ2)は結晶化装置使用二ヶ月後で、平均で0.06mm増加し、標準偏差0.005、から標準偏差0.006に変化した。
【0039】
サンプル2をPETボトルプリフォームの結晶化装置にて実際に使用した際の口内径規制部寸法(図4:φ2)の94個分の分布変化を図6に示す。このように寸法変動は大きく抑えられる。結果、結晶化後のプリフォーム寸法精度も大幅に向上するものである。本実施例において、結晶化後のプリフォームの口内径((図4:φ2)は結晶化装置使用二ヶ月後で、平均で0.00mm、標準偏差0.005、から標準偏差0.005とサンプル2と比較しても著しく寸法変化が小さく寸法精度も良好であった。
【0040】
これらの結果からわかるように予備加工後に適切なエイジング処理を行った後に仕上げ加工を行ったサンプル2は、一般的な加工方法にて加工されたサンプル1と比較して使用に際して経時的に寸法変化が少ない。結果、このマンドレル(サンプル2)を使用した結晶化済みプリフォームの口栓部寸法も安定したものとなった。
【0041】
【発明の効果】
本発明の請求項1に係る加工方法によって加工されたPEEK口栓部挿入冶具(図2:104)は長期間の使用においてもほとんど寸法変化を起こさず。従って、請求項2により口栓部挿入冶具を用いて口栓部を結晶化したプリフォームは、長期間の生産においても口栓部の寸法変化が少ない。従って、密閉不良の少ない寸法精度の優れたポリエステル樹脂製ボトルを安定して生産できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】典型的なポリエステル樹脂製ボトルの製造プロセスを図示したものである
【図2】プリフォーム口栓部に口栓部挿入冶具を挿入した際の一例を示す図である。
【図3】ポリエステル樹脂製ボトルプリフォームの口栓部の寸法名称を図示したものである。
【図4】プリフォーム口栓部結晶化プロセスを図示したものである。
【図5】サンプル1を使用して結晶化した際の口内径規制部寸法の経時変化を示すグラフである。
【図6】サンプル2を使用して結晶化した際の口内径規制部寸法の経時変化を示すグラフである。
【符号の説明】
101 プリフォーム
102 プリフォーム口栓部
104 口栓部挿入冶具
104 口栓部挿入冶具の口栓部挿入位置
105 口栓部結晶化用赤外線ヒーター
106 反射板
107 冷却エアーノズル
108 口栓部結晶化プリフォーム
109 胴部遮蔽
φ1 口内径規制部寸法
φ2 プリフォームの口内径
A コア型部
B プリフォーム成形用キャビティ部
C ブロー成形用キャビティ部
1 支持部
2 コア型
2aコア型ネック部
2 ネック型
3 支持フレーム
4 アシストプラグ
11プリフォーム成形用キャビティ
11aプリフォーム成形用キャビティ型部
11bプリフォーム成形用キャビティ流路
11cプリフォーム成形用キャビティ射出ノズル
21 ブロー成形用キャビティ
31 成形用空間
32 プリフォーム
32a プリフォーム胴部
32b プリフォーム底部
32c プリフォーム口部
32d プリフォームネジ部
Claims (2)
- ポリエーテルエーテルケトン樹脂の加工方法において、材料の円柱材の中心に穴あけ加工をした後、ガラス転移点以上、使用可能温度以下で加熱、徐冷してアニール処理を施し、予備加工として最終仕上がり寸法より0.01mm〜1.00mm大きく切削加工して予備加工品を作製し、次いで、該予備加工品を180℃〜250℃の環境下に6時間〜48時間保存し、次に、常温まで冷却してエイジング処理を施した後、該予備加工品を本加工として最終仕上げ寸法に切削加工することを特徴とする口栓部挿入冶具の加工方法。
- ポリエーテルエーテルケトン樹脂の加工方法において、材料の円柱材の中心に穴あけ加工をした後、ガラス転移点以上、使用可能温度以下で加熱、徐冷してアニール処理を施し、予備加工として最終仕上がり寸法より0.01mm〜1.00mm大きく切削加工して予備加工品を作製し、次いで、該予備加工品を180℃〜250℃の環境下に6時間〜48時間保存し、次に、常温まで冷却してエイジング処理を施した後、該予備加工品を本加工として最終仕上げ寸法に切削加工して製造した口栓部挿入冶具を、ポリエステル樹脂製プリフォームの口栓部に挿入し、次いで該ポリエステル樹脂製のプリフォームの口栓部を加熱処理し、その口栓部を結晶化させることを特徴とする口栓部結晶化方法。
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