JP4120668B2 - 乗り物外装用成形体の製造方法 - Google Patents

乗り物外装用成形体の製造方法

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Description

本発明は、例えば、自動車のドア、フード等に用いられる乗り物外装用成形体の製造方法に関する。
この種に関連する技術として、一般的に使用される自動車内装用成形体の製造方法の概要が図9に示されている。図9に示すように、この製造方法は、成形体に所望の角度に屈曲させた屈曲部36を形成させるために使用されるものである。詳細には、植物繊維10にバインダ樹脂を混合して成形用マット18を作成するマット作成工程と、マット作成工程で作成された成形用マット18に熱プレスを行って所望の角度に屈曲させた屈曲部36を有する成形体38を作成する本プレス工程からなる製造方法である。しかしながら、この製造方法では、本成形上型32と本成形下型34のプレスにより成形体38に屈曲部36が形成されるが、屈曲部36と屈曲部36との間の絞り部37が成形時の圧力によって引き裂かれ、絞り部37の板厚が局所的に薄くなる、あるいは透け、毛羽立ち、ささくれが生じる、など成形性が悪化することが知られている(図9の最右図を参照)。また、成形用マット18が比較的厚い場合には、成形時に成形用マット18の中心部まで熱が伝わる時間が遅くなるので、時間が掛かる分だけ成形用マット18の表面の繊維が炭化して表面の成形性が悪化することも知られている。
上記の問題を解決する手段として、特許文献1に記載の製造方法が知られている。詳細には、まず、最終形状となる成形体のコーナー部(屈曲部)に相当する部分の近辺がその他の部分よりも量的に余裕をもたせた形状となるように、成形用マットに予備プレス(予備成形)を行い予備成形体が作成される。この予備プレスを行う際には、量的に余裕をもたせる手段として予備成形体に合わせた専用の予備成形型が使用される。次に、予備成形体に本プレス(本成形)を行い成形体が作成される。この本プレスを行う際には、予備成形体のうちコーナー部に相当する部分の近辺は他の部分より量的に余裕をもたせてあるので本プレス時に圧力の影響を受けても引き裂きや透け等による成形性の悪化が防止される。
特開昭63−160801号公報
ところで、近年、植物繊維を利用した自動車のドア、フード等のいわゆる外装用部材として使用される成形体の登場が期待されている。外装用部材の中でも特に、自動車外装用の部材は自動車内装用の部材と同様に、屈曲部を有する部位が多く存在する。従って、自動車外装用として使用される成形体にも、引き裂きや透け等による成形性の悪化を防止する技術が必要となる。そこで、上記の特許文献1に記載された製造方法を自動車外装用として使用される成形体の製造の際に適用すれば、成形性の悪化が防止されることが考えられる。しかし、自動車の外装部位には、平面的な箇所に部分的に鋭い角度を有する屈曲部があることが多く、自動車の内装部位に比べて成形性の悪化による弊害が生じやすい。また、自動車の外装部位は、内装部位に比べてその形状が多種多様にわたるため、様々な使用形態に対応させた成形体が必要となる。この点において、特許文献1に記載された製造方法では、予備プレスの段階で成形体の形状に対応させるために予備成形体に合わせた専用の予備成形型をそれぞれ用意しなければならない。すなわち、自動車の外装部位の様々な使用形態に対応させるために、その部位ごとに合わせた予備成形型を用意する必要があり、予備プレスの段階で汎用性に欠けるという問題があった。
本発明は上記のような問題に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、成形性の悪化を防止すると共に、予備成形体を作成する段階で汎用性を持たせることにある。
本発明は前記課題を解決するために、次の手段をとる。
まず、第1の発明は、植物繊維とバインダ樹脂とを混合して成形用マットを作成するマット作成工程と、前記マット作成工程で作成された成形用マットに予備プレスを行って本プレス前に作成される予備成形体を作成する予備プレス工程と、前記予備プレス工程で作成された予備成形体に本プレスを行って所望の角度に屈曲させた屈曲部を有する成形体を作成する本プレス工程と、を備えた、乗り物外装用成形体の製造方法であって、前記予備プレス工程において作成される予備成形体は、前記本プレス工程で作成される成形体の屈曲部に対応する部分が、他の部分よりも密度が高くなっている、乗り物外装用成形体の製造方法である。
次に、第2の発明は、上述した第1の発明に係る乗り物外装用成形体の製造方法において、前記マット作成工程では、前記本プレス工程で作成される成形体の屈曲部に対応する部分に対して、他の部分よりも量的に多くの繊維を配置して成形用マットを作成する、乗り物外装用成形体の製造方法である。なお、量的に多く配置する繊維は、天然繊維または化学繊維のいずれであってもよい。
次に、第3の発明は、上述した第2の発明に係る乗り物外装用成形体の製造方法において、前記成形用マットの表面は、その他の部分の繊維に比して細い繊維を配置する、乗り物外装用成形体の製造方法である。
この成形用マットの表面に配置する「細い繊維」としては、コットン、ヘンブ、ラミー、カボック等の繊維を用いることが好ましい。また、天然繊維としては、特にラミー繊維を用いることが好ましい。なぜなら、ラミー繊維は、通常の植物繊維に比して繊維としての強度が高いからである。また、「細い繊維」の中でも繊維長の長い繊維を用いることが好ましい。なぜなら、成形体の絞り部において、ささくれの発生を回避しやすくなるからである。
次に、第4の発明は、上記した第1の発明から第3の発明のいずれかに係る乗り物外装用成形体の製造方法において、前記予備プレス工程において作成される予備成形体は、平板形状である、乗り物外装用成形体の製造方法である。
次に、第5の発明は、上記した第1の発明から第4の発明のいずれかに係る自動車外装用成形体の製造方法において、前記予備プレス工程の後に、予備成形体の表面に粉体の樹脂を配置する配置工程を設けた、自動車外装用成形体の製造方法である。
まず、第1の発明によれば、予備プレス工程の段階で、成形体の屈曲部に対応する部分の密度を他の部分の密度よりも高くすることにより予備成形体を作成する段階で汎用性を持たせることができる。つまり、予備成形体を作成する段階で最終的に作成される成形体に合わせた型をそれぞれ用意する必要がない。また、屈曲部の部分の密度が高くなっているので本プレス時に圧力の影響を受けにくくなり、引き裂きや透け等による成形性の悪化が防止される。
次に、第2の発明によれば、屈曲部に対応する部分をより簡便な方法で高密度にすることができる。また、繊維の密度が高くなることにより、繊維相互間の絡みつきが強固となり、成形時の透け等を防止できることにより、より成形性が高いものとなる。
次に、第3の発明によれば、太い繊維をマット表面に配置する場合に比して成形体の表面の平滑性を良好なものとすることができる。
次に、第4の発明によれば、予備プレス工程で作成される予備成形体をシンプルな形状にすることができる。また、予備成形工程で成形用マットの容積を小さくすることができるため、予備成形工程から本成形工程への搬送性を向上することができる。
次に、第5の発明によれば、粉体の樹脂が本プレス工程時に成形体の表面に配置されることにより、成形体表面の樹脂の充填率を高めることができる。その結果、成形体の表面平滑性、意匠性を向上させることできる。また、耐水性、強度も向上させることができるので、風雨にさらされ、衝突時の強度が求められる乗り物用として好ましい。乗り物の中でも特に「自動車外装用」として用いることが好ましい。
本発明に係る自動車外装用成形体の製造方法は、植物繊維とバインダ樹脂とを混合して成形用マットを作成するマット作成工程と、前記マット作成工程で作成された成形用マットに予備プレスを行って本プレス前に作成される予備成形体を作成する予備プレス成形工程と、前記予備プレス工程で作成された予備成形体に本プレスを行って所望の角度に屈曲させた屈曲部を有する成形体を作成する本プレス成形工程とからなる。
ここでいう、「乗り物外装用」とは、例えば自動車では、自動車の構成部材のうち、主に外気に触れるドア、バンパー、フード等の部材に使用されるという意味である。また、本発明に係る製造方法によって成形された自動車外装用成形体は、本プレス工程で作成される成形体それ自体、又はこの成形体から更に一般的な方法による塗装等の二次的な工程を経たものも含むものである。なお、本発明に係る製造方法は、自動車の構成部材のうち交換可能な部材に使用されることが好ましい。なぜなら、外部の見えやすい箇所に用いる場合には、色や形状を部分的に変化させることによって意匠性を簡単に向上させることができるし、耐久性の求められる箇所に用いる場合には、損傷したときに迅速に対応できるからである。
本発明に係る自動車外装用成形体の製造方法において、マット作成工程では、本プレス工程で作成される成形体の屈曲部に対応する部分に対して、他の部分よりも量的に多くの繊維を配置して成形用マットを作成することがより好ましい。また、この前記他の部分よりも量的に多く配置される繊維は、天然繊維であることが好ましい。
[植物繊維について]
本発明に係る製造方法では、原料として植物繊維を使用する。本発明における植物繊維とは、針葉樹、熱帯樹などの樹木やケナフ、イネ、サトウキビなどの草類から物理的処理又は化学的処理によって得られる繊維のことを指している。例えば、ケナフは、1年草で栽培が容易であり、良質な長繊維をより多く入手しやすいため、好適な資源である。このため、ケナフ繊維、特にケナフの靭皮繊維が好ましい。
[バインダ樹脂について]
本発明に係る製造方法では、植物繊維中にバインダ樹脂を混合させる。本発明におけるバインダ樹脂とは、植物繊維どうしを結合させる樹脂のことを指している。例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアクリル酸エステルなどの熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、ポリウレタンなどの熱硬化性樹脂を使用することができる。この樹脂は、粒状であってもよいし、繊維状であってもよい。
[マット作成工程]
本発明に係る製造方法では、植物繊維中にバインダ樹脂を混合して成形用マット18を作成する。図1は、マット作成工程の一実施形態の概要を説明するための説明図である。図1に示すように、マット作成工程は、繊維積層工程、交絡工程、及び付与工程から構成される。図1を参照しながらマット作成工程について下記に説明する。
まず、植物繊維10を積層させる繊維積層工程と繊維積層工程で作成された積層繊維12を交絡させる交絡工程により繊維マット14を作成する。次いで、繊維マット14にバインダ樹脂を付与する付与工程により成形用マット18を作成する。
繊維積層工程では、例えば、フリース法、エアーレイ法等のいわゆる乾式手法を用いることができる。
交絡工程では、例えば、ニードルパンチング等の機械的な手法を用いてケナフ繊維を交絡させることができる。このニードルパンチングで交絡させると、繊維マットは密に交絡されるため、繊維密度の高い繊維マットが成形されやすくなる。また、ケナフ繊維などの天然繊維はバインダ樹脂と良好な状態で混合させることができる。
付与工程では、例えば、繊維マット14にバインダ樹脂を含有させた水系分散体を付与することにより成形用マット18を作成することができる。詳細には、水系分散体をスプレーやエアロゾル等によって繊維マットに付与することができる。水系分散体の溶媒としては、水の他に、水と混和する極性溶媒を含んでいてもよい。極性溶媒としてはアルコール類、アセトン、酢酸エチル等が挙げられる。好ましくは水のみである。また、バインダ樹脂を含有させた水系分散体に繊維マット14を浸漬(含浸処理)させてもよい。
[予備プレス工程]
本発明に係る製造方法では、マット作成工程で作成された成形用マット18に予備プレスを行って本プレス前に作成される予備成形体28を作成する。図2は、予備プレス工程の一実施形態の概要を説明するための説明図である。図2を参照しながら予備プレス工程について下記に説明する。
予備プレス工程は、例えば、適宜のプレス手段20によって成形用マット18を加圧することにより行われる。詳細には、プレス手段20の予備成形上型22及び予備成形下型24の間で成形用マット18を加圧することにより予備成形体28を成形する。成形用マット18は、あらかじめ所定の温度まで加熱することもできるし、プレス手段20の加圧と同時に加熱することもできる。また、予備プレス工程において加熱しない場合であってもよい。
上記のようなプレス手段20は、成形用マット18に圧力を均一に加えることが好ましい。例えば、成形用マット18に圧力が均一にかかりやすいロールプレスを用いることができる。
[本プレス工程]
本発明に係る製造方法では、予備プレス工程で作成された予備成形体28に本プレス成形を行って所望の角度に屈曲させた屈曲部36を有する成形体38を作成する。図3は、本プレス工程の一実施形態の概要を説明するための説明図である。図3を参照しながら本プレス工程について下記に説明する。
本プレス工程は、例えば、適宜のプレス手段30によって予備成形体28に熱をかけながら加圧することにより行われる。詳細には、プレス手段30の本成形上型32及び本成形下型34の間で加圧することにより成形体38を成形する。なお、予備成形体28は、あらかじめ所定の温度まで加熱しておいてもよい。
図3に示すように、本成形上型32は、図3で見て下側へ向けて略凹形状に形成され、本成形下型34は略凸形状に形成されている。そして、成形体38に屈曲部36を成形させるために、本成形上型32の凹幅Mは、本成形下型34の凸幅Nよりも広く形成されている。
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。なお、図4は、本実施例により作成される成形体38が適用される自動車80の外観を示す斜視図である。
[実施例1]
まず、屈曲部36が直角に屈曲された成形体38を作成する製造方法について説明する。図5は、実施例1に係る製造方法の概要を説明するための説明図である。図5を参照しながら順を追って各工程について説明する。
[マット作成工程]
繊維積層工程では、100%ケナフ由来の繊維を原料として使用した。詳細には、ケナフの靭皮から得られたケナフの靭皮繊維11をエアーレイ法によって積層させた。このとき、本プレス工程で作成される成形体38の屈曲部36に対応する部分の密度が他の部分の密度よりも高くなるようにケナフの靭皮繊維11を量的に多く積層させた。図5の最左図には、ケナフの靭皮繊維11の上側中央付近にケナフの靭皮繊維11が量的に多く配置された使用形態が示されている。このようにマット作成工程で、他の部分よりも量的に多くの繊維を配置することにより、予備プレス工程において簡便な方法で成形体の屈曲部に対応する部分28aの密度を高くすることができる。
交絡工程では、ニードルパンチングによって交絡・圧縮して繊維マット14を作成した。
付与工程では、所定量のフェノール樹脂を含浸処理により成形マット18を作成した。このような工程を経ることにより、ケナフの靭皮繊維11から成形用マット18を作成した。
[予備プレス工程]
予備プレス工程では、所定のプレス手段20の予備成形上型22及び予備成形下型24の間で成形用マット18を加圧することにより平板状の予備成形体28を成形した。図5に示すように、マット作成工程で量的に多く積層されたケナフの靭皮繊維11は、予備プレス工程を経て斜線で示した成形体の屈曲部に対応する部分28aとなる。この部分28aの密度は、予備成形体28の他の部分28bの密度よりも高くなっている。このことから、成形体の屈曲部に対応する部分28aの密度を他の部分28bの密度よりも高くすることで、本プレス工程の段階でこの部分28aに圧力がかかっても成形性の悪化が防止されると共に製造方法としての汎用性を持たせることが可能となる。また、予備成形体28が平板形状に形成されるので、予備成形の段階では同じ型で対応することができる。本プレス工程の段階で予備成形体の取扱いが容易になると共に、本プレス工程において熱の伝達が均一かつスムーズに行われやすくなる。
また、屈曲部に対応する部分28aの密度を他の部分28bの密度よりも高くする手段として、マット作成工程で量的に多くの植物繊維(ケナフの靭皮繊維11)を配置することでより簡便に高密度とすることができる。この工程では、複数の成形用マットを積層してもよい。なお、実施例1の予備プレス工程においては、加熱しない条件でロールプレスにより予備成形を行った。
[本プレス工程]
本プレス工程では、所定のプレス手段30の本成形上型32及び本成形下型34の間で加圧することにより屈曲部36を有する本成形体38を成形させた。実施例1の本プレス工程においては、プレス手段30の加圧と同時に加熱しながら本成形を行った。この本プレス工程により作成された成形体38は、直角に屈曲された屈曲部36と絞り部37を有する。実施例1においては、予備プレス工程Bの段階を経て屈曲部に対応する部分28aの密度が他の部分28bの密度よりも高くなっているので、成形性の悪化が防止される。そして、本プレス工程のときに加圧成形されるので、成形体38の屈曲部36及び絞り部37の部位の密度が高くなり、これらの部位の強度が強くなる。
以上より、実施例1に係る製造方法によれば、成形性の悪化が防止されると共に、製造方法としての汎用性を持たせることが可能となった。
そして、図4に示すように、実施例1に係る製造方法により作成された成形体38は、例えば、直角に屈曲させた部位を有する自動車80のドア82やバンパー84に使用することができる。
[実施例2]
次に、屈曲部36が鋭利に屈曲された成形体38を作成する製造方法について説明する。図6は、実施例2に係る製造方法の概要を説明するための説明図である。図6を参照しながら順を追って各工程について説明する。
[マット作成工程]
繊維積層工程では、100%ケナフ由来の繊維を原料として使用した。詳細には、ケナフの靭皮から得られたケナフの靭皮繊維11をエアーレイ法によって積層させた。このとき、本プレス工程で作成される成形体38の屈曲部36に対応する部分の密度が他の部分の密度よりも高くなるようにケナフの靭皮繊維11とは異なるラミー繊維13が表面に配置されるよう量的に多く積層させた。図6の最左図には、ケナフの靭皮繊維11の上側中央付近にラミー繊維13が量的に多く配置された使用形態が示されている。このようにマット作成工程で、他の部分よりも量的に多くの繊維を配置することにより、予備プレス工程において簡便な方法で成形体の屈曲部に対応する部分28aの密度を高くすることができる。
交絡工程では、ニードルパンチングによって交絡・圧縮して繊維マット14を作成した。すなわち、実施例2では、ケナフの靭皮繊維11とラミー繊維13とを部分的に混合して繊維マット14を作成した。
付与工程では、交絡工程で作成された繊維マット14に、所定量のポリ乳酸をバインダ樹脂として含有する水系分散体をスプレー塗付して成形用マット18とした。このような工程を経ることにより、ケナフの靭皮繊維11から成形用マット18を作成した。
[予備プレス工程]
予備プレス工程では、所定のプレス手段20の予備成形上型22及び予備成形下型24の間で成形用マット18を加圧することにより平板状の予備成形体28を成形した。図6に示すように、マット作成工程でケナフの靭皮繊維11と量的に多く積層されたラミー繊維13との混合部位は、予備プレス工程を経て斜線で示した成形体の屈曲部に対応する部分28aとなる。この部分28aの密度は、ケナフの靭皮繊維11にラミー繊維13が混合されることにより他の部分28bの密度よりも高くなっている。このことから、成形体の屈曲部に対応する部分28aの密度を他の部分28bの密度よりも高くすることで、本プレス工程の段階でこの部分28aに圧力がかかっても成形性の悪化が防止されると共に製造方法としての汎用性を持たせることが可能となる。また、予備成形体28が平板形状に形成されるので、予備成形の段階では同じ型で対応することができる。さらに、本プレス工程の段階で予備成形体の取扱いが容易になると共に、本プレス工程において熱の伝達が均一かつスムーズに行われやすくなる。
また、引き裂き力が強く、細い繊維であるいラミー繊維13が成形用マットの表面に配置されることで成形体38の強度を向上させることができる。また、成形体38の絞り部37ではささくれの発生を回避しやすくなる。さらに、成形体38の耐水性向上や成形体表面の意匠性向上などの効果も期待できる。なお、実施例2の予備プレス工程Bにおいては、加熱する条件すなわちホットプレスにより予備成形を行った。
[本プレス工程]
本プレス工程では、所定の圧力でプレス手段30の本成形上型32及び本成形下型34の間で加圧することにより屈曲部36を有する本成形体38を成形させた。実施例2の本プレス工程においては、あらかじめ予備成形体28を加熱した後で本成形を行った。この本プレス工程により作成された成形体38は、鋭利(図6で見て山型形状)に屈曲された屈曲部36と絞り部37を有する。実施例2においては、予備プレス工程の段階を経て屈曲部に対応する部分28aの密度が他の部分28bの密度よりも高くなっているので、成形性の悪化が防止される。そして、本プレス工程のときに加圧成形されるので、成形体38の屈曲部36及び絞り部37の部位の密度が高くなり、これらの部位の強度が強くなる。
以上より、本実施例2に係る製造方法においても、成形性の悪化が防止されると共に、製造方法としての汎用性を持たせることが可能となった。
そして、図4に示すように、実施例2に係る製造方法により作成された成形体38は、例えば、鋭利に屈曲させた部位を有する自動車80のフード86、フェンダー87に使用することができる。
[実施例3]
続いて、予備プレス工程の後で、予備成形体28の表面に粉体の樹脂を配置する配置工程を設けた製造方法について説明する。図7は、実施例3に係る製造方法の概要を説明する説明図である。図7を参照しながら順を追って各工程について説明する。なお、予備プレス工程までの一連の工程は、実施例1の製造方法と同様であるのでその内容の説明は省略する。
[配置工程]
配置工程では、図7に示すように、予備プレス工程で作成された予備成形体28の表面に粉体形状のポリプロピレン29を一様に配置した。詳細には、粉体形状のポリプロピレン29を予備成形体28の上から機械的に散布した。
[本プレス工程]
本プレス工程では、所定のプレス手段30の本成形上型32及び本成形下型34の間で加圧することにより直角に屈曲させた屈曲部36を有する本成形体38を成形させた。実施例3の本プレス工程においては、ホットプレスにより本成形を行った。このとき、加熱温度を粉体形状のポリプロピレン29が溶融する温度に設定して圧力を加えた。すると、図7の最右図に示すように、ポリプロピレン29の一部が予備成形体28の表面からケナフの靭皮繊維11と混合して、成形体38の表面層がやや厚くなり、光沢が出るようになる。これにより、成形体の38の意匠性、表面平滑性を向上させることができる。また、表面に樹脂が配置されることにより、成形体38の表面における耐水性向上の効果も期待できる。
本発明は上記実施の形態の構成に限定されることはなく、その他種々の形態で実施ができるものである。
例えば、上記実施形態では、平板形状の予備成形体28を成形する方法を示したが、この方法に限定されるものではない。すなわち、図8に示すように、予備成形体28は、その圧縮率を部分的に異ならせることにより凹凸あるものとし、圧縮率の高い部分(28a)を成形体38の屈曲部37に対応させることもできる。つまり、予備成形体は、成形体の屈曲部に対応する部分を他の部分よりも密度が高くなっている構成とすれば、どのような方法を採用してもよいものである。
また、本実施形態では自動車外装用として用いた例について説明したが、鉄道車両の扉やボディに用いてもよい。つまり、乗り物であれば、自動車に限らずどのようなものに用いてもよい。
さらに、成形体の屈曲部に対応する部分の密度を高める手段として、屈曲部に対応する部分のみ複数のマットを積層して予備成形体を作成する方法、を用いることもできる。この場合、マット作成工程における作業を容易とすることができる。同じように、屈曲部に対応する部分のみ樹脂の充填率を高める方法、屈曲部に対応する部分のみ樹脂繊維マットを積層する方法、を用いることもできる。
マット作成工程の概要を説明するための説明図である。 予備プレス工程の概要を説明するための説明図である。 本プレス工程の概要を説明するための説明図である。 本発明に係る製造方法により作成される成形体が適用可能な自動車の外観を示す斜視図である。 実施例1に係る製造方法の概要を説明するための説明図である。 実施例2に係る製造方法の概要を説明するための説明図である。 実施例3に係る製造方法の概要を説明するための説明図である。 変形例に係る製造方法の概要を説明するための説明図である。 従来の製造方法の概要を説明する説明図である。
符号の説明
10 ケナフ繊維
11 ケナフの靭皮繊維
12 積層繊維
13 ラミー繊維
14 繊維マット
18 成形用マット
28 予備成形体
28a 成形体の屈曲部に対応する部分
28b 他の部分
29 ポリプロピレン
36 屈曲部
37 絞り部
38 成形体
M 凹幅
N 凸幅

Claims (5)

  1. 植物繊維とバインダ樹脂とを混合して成形用マットを作成するマット作成工程と、前記マット作成工程で作成された成形用マットに予備プレスを行って本プレス前に作成される予備成形体を作成する予備プレス工程と、前記予備プレス工程で作成された予備成形体に本プレスを行って所望の角度に屈曲させた屈曲部を有する成形体を作成する本プレス工程と、を備えた、乗り物外装用成形体の製造方法であって、
    前記予備プレス工程において作成される予備成形体は、前記本プレス工程で作成される成形体の屈曲部に対応する部分が、他の部分よりも密度が高くなっている、乗り物外装用成形体の製造方法。
  2. 請求項1に記載の乗り物外装用成形体の製造方法であって、
    前記マット作成工程では、前記本プレス工程で作成される成形体の屈曲部に対応する部分に対して、他の部分よりも量的に多くの繊維を配置して成形用マットを作成する、乗り物外装用成形体の製造方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の乗り物外装用成形体の製造方法であって、
    前記成形用マットの表面は、その他の部分の繊維に比して細い繊維を配置する、乗り物外装用成形体の製造方法。
  4. 請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の乗り物外装用成形体の製造方法であって、
    前記予備プレス工程において作成される予備成形体は、平板形状である、乗り物外装用成形体の製造方法。
  5. 請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の乗り物外装用成形体の製造方法であって、
    前記予備プレス工程の後に、予備成形体の表面に粉体の樹脂を配置する配置工程を設けた、乗り物外装用成形体の製造方法。
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