JP4120492B2 - 記録媒体カートリッジ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カートリッジ筺体内に、情報記録媒体と、インナーロータと、シャッタと、を重ねて収納し、インナーロータを回転させると該インナーロータに重ね合わせて配置したシャッタが、前記カートリッジ筺体に設けた開口部を閉塞する第1の位置と、開口部を開放する第2の位置との間で移動するようにした記録媒体カートリッジに関し、特にシャッタの移動時にインナーロータとの間に発生する摩擦抵抗を低減できるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
図25〜図27に示すように、記録媒体カートリッジ101として、カートリッジ筺体102内に、情報記録媒体103と、インナーロータ104と、シャッタ105と、を重ねて収納し、インナーロータ104を回転させると該インナーロータ104に重ね合わせて配置したシャッタ105が、前記カートリッジ筺体102に設けた開口部106を閉塞する第1の位置(図25)と、開口部106を開放する第2の位置(図26)との間で移動するようにしたものが知られている。
(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−332054号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記記録媒体カートリッジ101は、図27に示すように、インナーロータ104とシャッタ105の重合面107は、平坦面に形成されていたために、両者は重合面107の略全域において密着し、摩擦抵抗が大になり、シャッタ105を円滑に移動させる上での障害になっていた。
【0005】
本発明の目的は、インナーロータとシャッタの重合面の接触面積を減少させ、両者間に発生する摩擦抵抗を減少させてシャッタを円滑に移動させることのできる記録媒体カートリッジを提供することにある。
【0006】
また、本発明の他の目的は、前記リブを設けたことによりインナーロータとシャッタの間に発生する隙間から塵埃等が前記開口部を介して情報記録媒体側に侵入するのを防止することのできる記録媒体カートリッジを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、カートリッジ筺体内に、情報記録媒体と、インナーロータと、シャッタと、を重ねて収納し、インナーロータを回転させると該インナーロータに重ね合わされたシャッタが、前記カートリッジ筺体及びインナーロータに設けた開口部を閉塞する第1の位置と、前記開口部を開放する第2の位置との間で回動する記録媒体カートリッジにおいて、
前記シャッタのインナーロータとの重合面には、両者の接触面積を減少させる第1のリブを、シャッタの回転軌跡に沿って略同心円状に複数条形成し、これら複数条の第1のリブの前記インナーロータの開口部の端部には、これら複数条の第1のリブ間の隙間を塞ぐ第2のリブを前記インナーロータの開口部の周縁部に沿って形成すると共に、前記第1のリブの前記インナーロータの開口部と反対側の端部間を、開放端とすることにより、
前記シャッタの回動時において該シャッタの付着している塵埃等を前記第1のリブの前記開口部と反対側の端部間の開放端から前記複数条の第1のリブ間に導入すると共に、導入した塵埃等が前記開口部からカートリッジ筺体内に侵入するのを前記第2のリブで防止した。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の記録媒体カートリッジを、(1)記録媒体カートリッジの概略構成、(2)カートリッジ筺体の構成、(3)情報記録媒体の構成、(4)インナーロータの構成、(5)シャッタの構成、(6)シャッタ駆動機構の構成、(7)記録媒体カートリッジの組立方法、(8)作用、(9)他の実施例、の各項に分けて順に説明する。
【0012】
(1)記録媒体カートリッジの概略構成
図1は記録媒体カートリッジを上面側から見た斜視図、図2は記録媒体カートリッジを下面側から見た斜視図、図3はシャッタを開いた状態の斜視図、図4は分解斜視図、図5は裏返して分解した状態の斜視図である。
【0013】
図1〜図5に示したように、記録媒体カートリッジ1は、カートリッジ筐体2内に、情報記録媒体3と、インナーロータ4と、シャッタ5と、を重ね合せた状態で収納し、インナーロータ4を回転させることにより、シャッタ5をシャッタ駆動機構7によりカートリッジ筐体2に設けた開口部6を閉塞する第1の位置と、開口部6を開放する第2の位置との間で移動させるようになっている。
【0014】
図6に示すように、インナーロータ4のシャッタ5との重合面には、両者の接触面積を減少させる複数の第1のリブ81…81が設けられている。第1のリブ81…81は、0を越え、0.05mm以下の高さに形成されている。
【0015】
第1のリブ81…81は、シャッタ5の回転軌跡に沿って略同心円状に複数条形成されている。
【0016】
第1のリブ81…81の前記インナーロータ4の開口部42の端部には、これら複数条の第1のリブ81,81相互間の隙間G1を塞ぐ第2のリブ82が前記開口部42の周縁部に沿って形成されている。
【0017】
図7に示すように、前記インナーロータ4の上面には前記第1のリブ81…81及び第2のリブ82を介してシャッタ5が重ね合わされる。そして、前記インナーロータ4のシャッタ5の間には、図8に示すように、前記第1のリブ81…81及び第2のリブ82の高さと略同じ高さの隙間G2が形成されている。
【0018】
インナーロータとシャッタの間に発生する隙間を必要最小限に抑えるためには、0.05mm以下の高さで充分であり、この高さ以上になると塵埃などの進入の恐れがあり好ましくない。また、シャッタの移動時においてインナーロータとの間に発生する摩擦抵抗を減少させてシャッタを円滑に移動させるためには、リブの高さが0を越える高さが必要である。
【0019】
(2)カートリッジ筐体の構成
図2に示すように、カートリッジ筺体2は、上シェル21と下シェル22からなっている。下シェル22は、左右一対の下シェル構成体23,24に分割されていて、これら左右一対の下シェル構成体23,24の間に開口部6が設定される。
【0020】
下シェル22を構成する左右一対の下シェル構成体23,24は、前記シャッタ駆動機構7を構成する一対の駆動軸部10を備えている。
【0021】
図9に示すように、上シェル21は、正面側が円弧形状とされた略四角形をなす薄い皿状部材からなり、外周縁部には周壁21aが設けられている。
【0022】
周壁21aは、前縁部21bと、一対の側縁部21c,21dと、後縁部21eからなっている。後縁部21eの中央部には、下シェル22との位置決めを行う位置決め用の凹部21fが設けられている。
【0023】
前記周壁21aの内側、詳しくは、前縁部21bと一方の側縁部21cのコーナー部分、一方の側縁部21cと後縁部21eのコーナー部分、後縁部21eと他方の側縁部21dのコーナー部分にはそれぞれ、円弧状リブ14が設けられている。
【0024】
円弧状リブ14の内側には、リング状リブ15が設けられている。このリング状リブ15の内側は、ディスク3の収納部16になっている。
【0025】
リング状リブ15の外側には、後に詳しく説明するインナーロータ4のリング部の先端が嵌合するリング状の凹部17が設けられている。リング状の凹部17の底面の前後対称位置(180°位相をずらした位置)にはインナーロータ4を下シェル22から離間する方向に移動させるためのリフトアップ用の凸部18が設けられている。リフトアップ用の凸部18は、後に説明するインナーロータ4のリング部41の先端面に設けたインナーロータ側のリフトアップ用の凸部46が乗り上げることにより、インナーロータ4を上シェル21から離間する方向に移動させるようになっている。
【0026】
図10に示すように、下シェル22は、中央の開口部6で左右一対の下シェル構成体23,24に2分割された状態になっている。下シェル22は、上シェル21と同様に正面側が円弧形状とされた略四角形をなす薄い皿状部材からなり、外周縁部には周壁22aが設けられている。
【0027】
周壁22aは、前縁部22bと、一対の側縁部22c,22dと、後縁部22eからなっている。後縁部22eには、上シェル21との位置決めを行う位置決め用の凸部22fが設けられている。
【0028】
前記周壁22aの内側、詳しくは、前縁部22bと一方の側縁部22cのコーナー部分、一方の側縁部22cと後縁部22eのコーナー部分、後縁部22eと他方の側縁部22dのコーナー部分には、円弧状リブ19が設けられている。
【0029】
下シェル22の円弧状リブ19の内側は、インナーロータ4の肉厚方向の略半分及び一対のシャッタ5を収納する収納部になっている。
【0030】
上,下シェル21,22は、位置決め用の凹部21fに位置決め用の凸部22fを嵌合した状態で、互いの周壁21a,22aを突き合せた状態で重ね合わされている。
【0031】
下シェル22の中央部に設けられた開口部6は、ディスク回転駆動機構のターンテーブルと光学ピックアップ装置の光学ヘッドを情報記録媒体3に臨ませる記録/再生用開口部6aと、ディスク回転駆動機構のターンテーブルを臨ませる中央開口部6bとからなっている。
【0032】
また、図2、図3に示すように、上,下シェル21,22の一方の側縁部21d,22dの略中央部には、インナーロータ4の外周面のギヤ43の一部を露出させるための開口窓30が設けられている。この開口窓30は、上シェル21に設けた上シェル側切欠き部30aと、下シェル22に設けた下シェル側切欠き部30bとによって形成されている。更に、上,下シェル21,22の一方の側縁部21d,22dには、その接合面に沿って前後方向に延びるガイド溝31が設けられている。このガイド溝31は、記録媒体カートリッジ1をディスク記録再生装置に装着する際の誤挿入防止等を目的として設けられたものである。このガイド溝31は開口窓30に連通している。
【0033】
図4に示すように、下シェル22の前縁部22bと一方の側縁部22dとのコーナー部には、ロック部材32が回動可能に収納されるロック収納部33が設けられている。このロック収納部33は、下シェル22のインナーロータ等の収納部に連通されていると共に、一方の側縁部22dに設けられた開口穴34を介してガイド溝31に連通されている。更に、下シェル22のロック収納部33には、ロック部材32を回動自在に支持する支持軸35が、上シェル21側へ突出するように設けられている。
【0034】
ロック部材32は、支持軸35に回動自在に嵌合されて平面方向へ揺動可能とされたレバー状部材によって形成されている。ロック部材32の長手方向の一端には複数の歯を有するストッパ部36が設けられ、長手方向の他端には操作部37が設けられている。更に、ロック部材32には、ストッパ部36と対向するよう同方向に突出されたバネ片38が一体に設けられている。
【0035】
前記ロック部材32は、ストッパ部36をインナーロータ等の収納部側に向けた状態で支持軸35に嵌入され、バネ片38が前縁部22bの内面に当接される。このバネ片38のバネ力によってストッパ部36がインナーロータ等の収納部側に付勢されると共に、操作部37が開口穴34を内側から貫通してガイド溝31内に突出される。また、下シェル22の一方の側縁部22cと後縁部22eのコーナー部分に設けた誤消去防止部材取付部91には、光ディスク等の記録媒体に記録された情報の誤消去を防止するための誤消去防止部材92が取り付けられている。
(3)情報記録媒体の構成
情報記録媒体3として、オーディオ情報としての音楽信号やビデオ情報としての映像信号及び音楽信号等の各種の情報信号が予め記録された再生専用型の光ディスク、或いはオーディオ情報やビデオ情報等の情報信号が1度だけ記録可能な追記型若しくは何度でも繰り返して記録可能な書換え型が記録可能型の光ディスクとして知られているが、実施例では記録可能型の光ディスク(以下、情報記録媒体を単に光ディスクと称する)が使用されている。
【0036】
図4に示したように、光ディスク3は、中央部にセンタ穴3aが設けられた厚みの薄い円板状の記録部材からなる。
【0037】
光ディスク3は、チャッキングプレート押さえ3bにより上シェル21の内面に昇降可能に支持されたチャッキングプレート3cによりディスク記録再生装置のターンテーブルにチャッキングされて回転方向に一体化されて所定速度(例えば、ゾーン毎の角速度一定:ZCAV)で回転される。
【0038】
光ディスク3の一面には、記録再生装置に内蔵される光学ピックアップ装置の光学ヘッドが対向される情報記録の可能な情報記録領域29aと、情報記録の不可能な非記録領域29bとが設けられている。非記録領域29bは、光ディスク3の中央部のセンタ穴3aの外側に所定幅で設けられた内側の非記録領域29bと、光ディスク3の外周縁に所定幅で設けられた外側の非記録領域29bとからなる。この内外側の非記録領域29b,29b間に情報記録領域29aが設けられている。
【0039】
光ディスク3は、次に説明するインナーロータ4のリング部41内に回転自在に収納される。なお、光ディスク3の基板の材質としては、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリメタクリレート(PMMA)等の合成樹脂が好適であるが、他の合成樹脂を用いることができることは勿論のこと、合成樹脂以外でも、ガラス材やアルミニウム合金等の各種の材料を用いることができる。
【0040】
情報記録媒体としては、光ディスクに限定されるものではなく、薄い円盤の表面に、磁性薄膜層を形成して特定位置の磁化状態により情報を記憶するようにした磁気ディスク、同様に形成した磁性薄膜層に光ヘツドと磁気ヘツドを使用して情報を書き込み又は読み出すようにした光磁気ディスクその他の記憶媒体を適用することができる。
【0041】
(4)インナーロータの構成
インナーロータ4は、図4に示すように、円盤状の薄い板材からなる平面部40と、この平面部40の外周縁に連続して設けられたリング部41とを有している。そして、前述したように、インナーロータ4の平面部40の上面に前記第1のリブ81…81及び第2のリブ82が設けられている。
【0042】
また、前記インナーロータ4の平面部40の中央部には、開口部42が形成されていると共に、下面側(リング部41と反対側の面)には前記シャッタ駆動機構7の枢支部8を構成する一対の軸部8aが設けられている。これら一対の軸部8aは、開口部42を中心にして点対称となるように設けられている。
【0043】
前記開口部42は、前記下シェル22の開口部6と同様に、ディスク回転駆動機構のターンテーブルと光学ピックアップ装置の光学ヘッドを情報記録媒体3に臨ませる記録/再生用開口部42aと、ディスク回転駆動機構のターンテーブルを臨ませる中央開口部42bとからなっている。
【0044】
図5に示すように、リング部41は、上シェル21の内面に設けられたリング状リブ15の外径よりも稍大径の円筒状に形成され、前記リング状リブ15の外周に回転自在に嵌合され、その先端部が前記リング状リブ15の外側に設けられたリング状の凹部17に挿入されるようになっている。
【0045】
また、リング部41の外周面には、周方向の所定範囲に渡って多数の歯を有するギア部43が設けられている。このギア部43は、インナーロータ4の回転角度よりも少々大きい角度範囲となるように設定されている。即ち、図12に示すように、下シェル22の開口部6に対してインナーロータ4の開口部42が最大に傾いて、次に説明する一対のシャッタ部材5a,5bが完全に閉じた状態になると、ギア部43の周方向の一端が開口窓30の一端に位置(露出)し、次に説明するストッパ部44aに設けた突起係合凹部44が開口窓30の中央に位置(露出)する。また、図11に示すように、インナーロータ4が所定角度回転して開口部42と開口部6が重なり合った状態となり、一対のシャッタ部材5a,5bが完全に開いたときに、ギア部43の周方向の他端が開口窓30に位置(露出)する。
【0046】
インナーロータ4のギア部43の両側には、インナーロータ4の回転移動量を制限するストッパ部44a,44bが半径方向外側へ突出するように設けられている。
【0047】
このようにギア部43及びストッパ部44a,44bがリング部41の外周面から外側へ突出しているため、上シェル21及び下シェル22の対応する部分には、ストッパ部44a,44b等との接触を回避してその通過を許容するための逃げ溝45a,45bがそれぞれ設けられている。
【0048】
図11に示すように、インナーロータ4の開口部42と下シェル22の開口部6が重なり合った状態になると、ストッパ部44aの一端部が逃げ溝45aの一端部に設けたストッパ係合部45cに係合してインナーロータ4の更なる回転を阻止する。また、図12に示すように、インナーロータ4の開口部42が下シェル22の開口部6に対して最大に傾いた状態になると、ストッパ部44bの一端部が開口部6の一端部に設けたストッパ係合部45dに係合してインナーロータ4の更なる回転を阻止する。
【0049】
更に、リング部41の先端面には、周方向の2箇所にリフトアップ用の凸部46が設けられている。これらインナーロータ側のリフトアップ用の凸部46は、図12に示すように、インナーロータ4の開口部42が下シェル22の開口部6に対して最大に傾いた状態において、図22(A)に示すように、上シェル21のリング状の凹部17内に設けたリフトアップ用の凸部18に乗り上げるようになっている。
【0050】
図5に示すように、前記一対の軸部8a,8aの近傍には、下シェル22に設けたリブ状の凸部20a(図4参照)と略同じ高さの台形状の嵌合解除用の凸部48、48が設けられている。これら嵌合解除用の凸部48、48は、シャッタ部材5a,5bが開口部6を閉じている図12の位置(第1の位置)から開口部6を解放する図11の位置(第2の位置)に移動する際に、前記リブ状の凸部20aを次に説明する一対のシャッタ部材5a,5bの溝状の凹部20bから抜き出すためのものである。
【0051】
嵌合解除用の台形状の凸部48、48は、図12に示す位置において、前記リブ状の凸部20aの端部に設けた第2,第4の背高部20e,20gの側方に位置している。
【0052】
(5)シャッタの構成
図13及び図14に示すように、シャッタ5は、略半円形に形成された一対のシャッタ部材5a,5bによって構成されている。前記一対のシャッタ部材5a,5bは、前記下シェル22の開口部6の周縁部に設けたリブ状の凸部20aの第1〜第4の背高部20d〜20g(図10参照)の高さと略同じ板厚の板体によって形成されている。
【0053】
前記一対のシャッタ部材5a,5bは、前記インナーロータ4に設けた軸部8aを挿入して枢支部8を構成する軸受部8bと、前記下シェル22の内面に設けた駆動軸部10を挿入する長孔9と、を備えている。これらの長孔9は、それらが設けられているシャッタ部材5a,5bの軸受部8bを中心に放射方向へ延びるように形成されている。前記長孔9の外側の端部には、周囲に切り込みを入れることによって形成された弾性片54と、ボス状の駆動軸部10を逃がすための凹部53とが設けられている。また、シャッタ部材5a,5bの円弧側辺には閉鎖用の凸片55が設けられている。
【0054】
前記一対のシャッタ部材5a、5bの弦側辺の略中央部には、弦線と直交する方向に所定の長さで形成された段部50が設けられており、この段部50を介してその両側に凸側接合部50aと凹側接合部50bとが形成されている。更に、シャッタ部材5a,5bの各接合部50a,50bには、弦の延在方向と直交する方向に突出する薄肉の庇状の重合部51a,51bがそれぞれ設けられている。かくして、一対のシャッタ部材5a,5bにおいて、互いの凸側接合部50aの端面と凹側接合部50bの端面とがそれぞれ対向され、凸側接合部50aの庇状の重合部51aが凹側接合部50bの庇状の重合部51bにそれぞれ重なり合わされる。このシャッタ部材5a,5bの弦側辺の凸側接合部50b側の端部である軸組付部50cには、軸受部8bがそれぞれ設けられている。
【0055】
シャッタ部材5a、5bの弦側辺の凹側接合部50b側の端部には、それぞれ下シェル22の開口部の周縁部に設けたリブ状の凸部20aの端部に設けた第2の背高部20e又は第4の背高部20gを導入する切欠部50dが設けられている。
【0056】
前記シャッタ部材5a,5bは、軸受部8bにインナーロータ4の平面部40の軸部8aを嵌合させることにより、インナーロータ4の平面部40にそれぞれ回動自在に取り付けられる。この際、一対のシャッタ部材5a,5bは、互いの弦側辺を対向させて取り付けるようにする。その結果、図15に示すように、一対のシャッタ部材5a,5bをそれぞれ外側へ離反させるように回動させたとき、各シャッタ部材5a,5bは、インナーロータ4の開口部42を挟んで、その両側部上に重なるように載置される。一方、一対のシャッタ部材5a,5bをそれぞれ内側へ回動させて互いの接合部50a,50bをそれぞれ当接させることにより、図16に示すように、開口部42が一対のシャッタ部材5a,5bによって閉じられる。
【0057】
シャッタを閉じた状態において、前記シャッタ部材5aの凸片55は、下シェル22の第1の背高部20dに当接し、シャッタ部材5bの凸片55は、下シェル22の第3の背高部20fに当接して、これらの間の隙間を塞ぐようになっている。
【0058】
また、前記シャッタ部材5a,5bの下シェル22との摺接面(シャッタ部材5a,5bの内面)には、下シェル22の開口部の周縁部に設けたリブ状の凸部20aと係合して、防塵部を構成する溝状の凹部20bが設けられている。溝状の凹部20bには、シャッタ部材5a,5bが開口部42を閉じている状態において、下シェル22のリブ状の凸部20aが嵌合するようになっている。
(6)シャッタ駆動機構の構成
図17はシャッタ駆動機構7の分解斜視図である。前記シャッタ駆動機構7は、インナーロータ4にシャッタ5を回動可能に取り付けている枢支部8と、該枢支部8を中心に放射方向にシャッタ5に形成された長孔9と、カートリッジ筺体2の下シェル22の内面に設けられ、且つ前記長孔9に挿入されていてインナーロータ4を回転させると前記長孔9内を変移しながら前記枢支部8を中心にしてシャッタ5を回動させる駆動軸部10と、を備えている。前記枢支部8は、インナーロータ4に設けられた軸部8aと、シャッタ5に設けられた軸受部8bと、からなっている。
【0059】
そして、図18に示すように、シャッタ5がカートリッジ筐体2に設けた開口部6を閉塞する第1の位置にある状態から、インナーロータ4を一方向(図18の反時計方向)に回転させるとシャッタ駆動機構7を構成する長孔9と駆動軸部10によりシャッタ5は、枢支部8を中心にして回動して、図19に示すように、カートリッジ筐体2に設けた開口部6を開放する第2の位置に回動移動する。逆に、シャッタ5が第2の位置にある状態から、インナーロータ4を他方向(図19の時計方向)に回転させるとシャッタ駆動機構7によりシャッタ5は、カートリッジ筐体2に設けた開口部6を閉塞する第1の位置に回動移動するようになっている。
(7)ディスクカートリッジの組立方法
次に、ディスクカートリッジ1の組み立て方法を図5を参照して説明する。先ず上シェル21の内面の中央部にチャッキングプレート3c及びチャッキングプレート押さえ3dを取り付ける。次に、上シェル21の中央部のディスク収納部16内に光ディスク3を載置する。
【0060】
次に、光ディスク3を覆うようにインナーシェル4のリング部41を上シェル21のリング状リブ15の外側に嵌合させる。これにより、インナーシェル4と上シェル21との間に光ディスク3が回転自在に収納される。このとき、インナーシェル4の開口部42が延在する方向を上シェル21の前後方向に一致させ、ギア部43の一端を開口窓30に臨ませる。
【0061】
次に、シャッタ5をインナーシェル4に組み付ける。これは、一対のシャッタ部材5a,5bの互いの弦側を対向させ、この状態で軸受孔8bにインナーシェル4の平面部40の支持軸8aをそれぞれ嵌合させる。そして、各シャッタ部材5a、5bを互いに離反させ、インナーシェル4の開口部42の両側部上にそれぞれ重ね合わせる。これと同時に、又は前後して、ロック収納部33の支持軸35にロック部材32を取り付ける。この際、ロック部材32のバネ片38を上シェル21の前縁部21aの内面に当接させ、このバネ片38のバネ力によって入力部37を開口穴34からガイド溝31内に突出させる。
【0062】
次に、シャッタ5を含むインナーシェル4の上に下シェル22を被せ、この下シェル22を上シエル21に重ね合わせる。この際、一対のシャッタ部材5a、5bを上述した位置に配置しておくことにより、下シェル22に設けた一対のボス状の凸部10,10を一対の長孔9,9にそれぞれ対向させることができる。従って、一対の長孔9,9の位置を気に掛けることなく、下シェル22を上シェル21に重ね合わせるだけで一対のボス状の凸起10,10を一対の長孔9,9に係合させることができる。
【0063】
その後、複数本の固定ネジを用いて下シェル22を上シェル21に締め付け固定する。これにより、ディスクカートリッジ1の組立作業が完了する。
(8)記録媒体カートリッジの作用
次に、記録媒体カートリッジの作用をディスク記録再生装置の構成と共に説明する。ディスク記録再生装置60は、図20に示すように、中空の筐体からなる外装ケース61と、この外装ケース61内に収納された記録再生装置本体(図示省略)等を備えて構成されている。外装ケース61は、上面及び前面に開口されたケース本体62と、このケース本体62の上面を閉じるように上部に着脱可能に取り付けられたケース蓋体63と、ケース本体62及びケース蓋体63の前面を閉じるように前部に着脱可能に取り付けられた前面パネル64等を備えている。
【0064】
ケース本体62の4箇所には、下方に突出する脚体62aが設けられている。これらの脚体62aによってディスク記録再生装置60が支えられている。前面パネル64は、横長とされた板状部材からなり、その上部には横長のカートリッジ出入口65が設けられている。カートリッジ出入口65は、記録媒体カートリッジ1の正面側の大きさ略同程度の大きさに形成されている。このカートリッジ出入口65は、その内側に配置された開閉扉66によって常時は閉じられている。
【0065】
この開閉扉66を記録媒体カートリッジ1の前部で押圧し、所定の位置まで差し込む。これにより、図示しないローディング機構によって記録媒体カートリッジ1が自動的に取リ込まれる。そして、ローディング機構で搬送された記録媒体カートリッジ1は、ディスク記録再生装置60内の所定位置で位置決めされて固定される。これと同時に又は前後して、ディスク記録再生装置60に設けられているシャッタ開閉機構によってシャッタ5が操作され、開口部6,42が開放される。
【0066】
これを具体的に説明すると、記録媒体カートリッジ1が所定の位置まで挿入されると、図21に示すように、ディスク記録再生装置60に内蔵されたシャッタ開閉機構のラック棒70が、記録媒体カートリッジ1の一方の側面部に設けたガイド溝31内に入り込む。これにより、ガイド溝31内に突出されているロック部材32の操作部37が、バネ片38の付勢力に抗してラック棒70の押圧力によりロック収納部33内に押し込められて、ロック部材32によるインナーロータ4のロックが解除されると共に、前記ラック棒70に弾性片70bを介して設けた回転操作突起70cがインナーロータ4に設けた突起係合凹部44に係合して、インナーロータ4を回転させる。更に、ラック棒70が相対的に前進することにより、そのギア部70aの先端がインナーロータ4のギア部43に噛み合わされる。
【0067】
このギア部43がラック棒70のギア部70aに噛み合うことにより、ラック棒70の移動量に応じてインナーロータ4が回転される。
【0068】
図21は、ラック棒70のギア部70aがインナーロータ4のギア部43に噛み合う前の状態を示すものである。この状態では、一対のシャッタ部材5a,5bの凸側接合部50a及び凹側接合部50bは互いに突き当てられて密着されている。このとき、インナーロータ4の開口部42は、下シェル22の開口部6に対して傾斜された位置にあるため、両開口部6,42の重なり合った中央部分のみが開口されるが、その開口部は一対のシャッタ部材5a,5bによって閉じられている。従って、開口部6,42の重複部分から塵埃がディスク収納部内に入り込む虞れがない。
【0069】
更に、開口部6と開口部42とが鋭角で接近している部分には、一対のシャッタ部材5a,5bの軸取付部50cが介在されており、これら軸取付部50cがリブ状の凸部20aの第2,第4の背高部20e,20gの内側に位置して隙間を消滅させている。また、第1,第3の背高部20d,20fの内側には閉鎖用の突片55が介在されて隙間を消滅させている。更に、一対のシャッタ部材5a,5bに設けた長孔9は、シャッタ部材5a,5bが重なっている下シェル22によって閉じられている。更にまた、開口部6を囲むように下シェル22の開口部の周縁部に設けたリブ状の凸部20aがシャッタ部材5a,5bに設けた溝状の凹部20bに嵌まり込んでクランク状の防塵部が形成されて、開口部6,42を介して塵埃がディスク収納部内に侵入するのを防止する。
【0070】
この状態から、記録媒体カートリッジ1の挿入動作に対応してラック棒70がガイド溝31内に入り込み、そのギア部70aとインナーロータ4のギア部43との噛み合いが開始されると、インナーロータ4が時計方向に回転される。この場合、インナーロータ4が回転動作を開始する初期状態では、図21及び図22(A)に示すように、インナーロータ4のリフトアップ用の凸部46が上シェル21のリフトアップ用の凸部18に乗り上げてインナーロータ4との間で一対のシャッタ部材5a、5bを挟持した状態となっているため、インナーロータ4の回転動作には比較的大きな力が必要とされる。リフトアップ用の凸部18,46相互の乗り上げによる大きな摩擦力に抗してインナーロータ4を回転させることにより、図22(B)に示すように、リフトアップ用の凸部18,46相互の係合が外れ摩擦力が消滅する。そのため、これ以後のインナーロータ4の回転動作は、極めて軽く且つスムースに行うことができる。
【0071】
インナーロータ4を回転により、インナーロータ4の底面に設けた嵌合解除用の台形状の凸部48,48が下シェル22のリブ状の凸部20aの第1,第3の背高部20d,20fに乗り上げて、下シェル22に対してインナーロータ4が持ち上げられた状態になると共に、シャッタ部材5a,5bも上昇して、リブ状の凸部20aから溝状の凹部20bが抜け出た状態になるのである。
【0072】
そして、インナーロータ4の更なる回転により、シャッタ部材5a,5bは、図21の状態から、図23のシャッタの半開状態を経て、図24に示すように、各シャッタ部材5a,5bがインナーロータ4の開口部42の両側部に移動して、前記開口部6,42が完全に開放された状態になる。インナーロータ4の回転によりシャッタ部材5a,5bが移動する際に前記第1のリブ81…81及び第2のリブ82によりインナーロータ4とシャッタ部材5a,5bの間の摩擦抵抗は抑制され、シャッタ部材5a,5bは円滑に移動する。
【0073】
そして、前記開口部6,42が完全に開放された状態になると、ディスク収納部内に収納されている光デイスク3の一部が開口部6,42によって露出される。そして、前記記録再生装置本体62による情報信号の再生又は記録が実行される。
【0074】
情報信号の再生又は記録の後、ディスク記録再生装置60に設けられるカートリッジ排出ボタン(図示せず)を操作することにより、ローディング機構の作動を介して記録媒体カートリッジ1がディスク記録再生装置60から排出される。
【0075】
(9)他の実施例
前記実施例においては、インナーロータ4に第1のリブ81…81と第2のリブ82を設けた場合を示したが、インナーロータ4に第1のリブ81…81のみを設けても良い。また、第1のリブ81…81と第2のリブ82をシャッタ部材5a,5bに設けても良い。また、第1のリブ81…81及び第2のリブ82の形状、本数は問わず、要はインナーロータ4とシャッタ部材5a,5bとの間に発生する摩擦抵抗を抑制し、或いは第1のリブ81、81相互間の塵埃等が開口部側に侵入するのを防止できるものであれば良い。
【0076】
【発明の効果】
本発明の記録媒体カートリッジには次に述べるような効果がある。
(1)シャッタとインナーロータとの重合面に、両者の接触面積を減少させる第1のリブを設けたので、シャッタの移動時においてインナーロータとの間に発生する摩擦抵抗を減少させてシャッタを円滑に移動させることができる。第1のリブを、インナーロータの表面にシャッタの回転軌跡に沿って複数条形成したので、シャッタが前記開口部を閉塞する第1の位置にある場合においても、或いは、シャッタが開口部を開放する第2の位置にある場合においても、第1のリブにシャッタを接触させることができる。
(2)シャッタの回転軌跡に沿って略同心円状に複数条形成し、これら複数条の第1のリブの前記インナーロータの開口部の端部には、これら複数条の第1のリブ間の隙間を塞ぐ第2のリブが前記インナーロータの開口部の周縁部に沿って形成すると共に、前記第1のリブの前記インナーロータの開口部と反対側の端部間は、開放端としたので、シャッタの移動時において該シャッタの付着している塵埃等を前記第1のリブの前記インナーロータの開口部と反対側の端部間の開放端から前記複数条の第1のリブ間に導入、捕捉すると共に、導入、捕捉した塵埃等が前記開口部からカートリッジ筺体内に侵入するのを前記第2のリブで確実に防止する。
【図面の簡単な説明】
【図1】記録媒体カートリッジを上面側から見た斜視図。
【図2】記録媒体カートリッジを下面側から見た斜視図。(シャッタ閉状態)
【図3】記録媒体カートリッジを下面側から見た斜視図。(シャッタ開状態)
【図4】図1の分解斜視図。
【図5】図2の分解斜視図。
【図6】インナーロータの斜視図。
【図7】シャッタを重ね合せた状態の斜視図。
【図8】図7のA−A断面図。
【図9】上シェルの内面側の平面図。
【図10】下シェルの内面側の平面図。
【図11】下シェルにインナーロータを組み付けて両者の開口部の位置を合わせた状態の平面図。
【図12】下シェルにインナーロータを組み付けて両者の開口部の位置をずらした状態の平面図。
【図13】シャッタ部材を内面側から見た斜視図。
【図14】シャッタ部材を外面側から見た斜視図。
【図15】下シェルにインナーロータを組み付けて両者の開口部の位置を合わせた状態の平面図。
【図16】下シェルにインナーロータを組み付けて両者の開口部の位置をずらした状態の平面図。
【図17】シャッタ駆動機構部分の分解斜視図。
【図18】シャッタが閉じられた状態を下面側から見たカートリッジの要部の底面図。
【図19】シャッタが開かれた状態を下面側から見たカートリッジの要部の底面図。
【図20】ディスク記録再生装置の斜視図。
【図21】カートリッジ筐体とシャッタ機構との動作関係を示し、シャッタ部材で開口部を完全に閉じた状態を示す説明図。
【図22】(A)はインナーロータのリフトアップ用の凸部が上シェルのリフトアップ用の凸部に乗り上げた状態を示す断面図、(B)はインナーロータと上シェルのリフトアップ用の凸部の係合が外れた状態を示す断面図。
【図23】図21の状態からインナーロータを回転させて一対のシャッタ部材を半開きにした状態を示す説明図。
【図24】図23の状態からインナーロータを更に回転させて一対のシャッタ部材が完全に開いた状態を示す説明図。
【図25】従来例の記録媒体カートリッジを下面側から見た斜視図。(シャッタ閉状態)
【図26】従来例の記録媒体カートリッジを下面側から見た斜視図。(シャッタ開状態)
【図27】従来例の問題点を示す断面図。
【符号の説明】
1…記録媒体カートリッジ、2…カートリッジ筐体(シェル)、3…光ディスク(情報記録媒体)、4…インナーロータ、5…シャッタ、5a,5b…一対のシャッタ部材、6…開口部、7…シャッタ駆動機構、81…第1のリブ、82…第2のリブ。
Claims (3)
- カートリッジ筺体内に、情報記録媒体と、インナーロータと、シャッタと、を重ねて収納し、インナーロータを回転させると該インナーロータに重ね合わされたシャッタが、前記カートリッジ筺体及びインナーロータに設けた開口部を閉塞する第1の位置と、前記開口部を開放する第2の位置との間で回動する記録媒体カートリッジにおいて、
前記シャッタのインナーロータとの重合面には、両者の接触面積を減少させる第1のリブを、シャッタの回転軌跡に沿って略同心円状に複数条形成し、これら複数条の第1のリブの前記インナーロータの開口部の端部には、これら複数条の第1のリブ間の隙間を塞ぐ第2のリブを前記インナーロータの開口部の周縁部に沿って形成すると共に、前記第1のリブの前記インナーロータの開口部と反対側の端部間は、開放端になっていることを特徴とする記録媒体カートリッジ。 - 請求項1の記録媒体カートリッジにおいて、
前記第1のリブは、0を越え、0.05mm以下の高さに形成されていることを特徴とする記録媒体カートリッジ。 - 請求項1の記録媒体カートリッジにおいて、
前記第1のリブの前記開口部の端部には、これら複数条の第1のリブ間の隙間を塞ぐ第2のリブが前記開口部の周縁部に沿って形成されていることを特徴とする記録媒体カートリッジ。
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