JP4118694B2 - 地盤改良工法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、地盤改良工法に関し、特に、スラグを主成分とする地盤改良層を形成することにより、上部構造物を築造する地盤の不同沈下を抑制するようにした地盤改良工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、地盤上に築造される上部構造物には、柔構造のもの(鉄骨、木材等によって、柱、梁、床等を構成したもの)と、剛構造のもの(鉄筋、鉄骨等とコンクリートによって、柱、梁、床、壁等を構成したもの)とがある。
そして、上部構造物の構造に関わらず、上部構造物を築造する場合、上部構造物の重量によって地盤の沈下が生じるため、地盤が軟弱な場合には、上部構造物の重量に耐えるように、地盤改良層を形成するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来、地盤改良層は、上部構造物を築造する地盤の土質や上部構造物の構造種別(柔構造と剛構造の別)とは関係なく、単に、上部構造物を築造する地盤のN値と上部構造物の重量に基づいて、均一な層厚の地盤改良層を、セメントミルクを注入したり、地盤層の土砂を地盤改良材と置換すること等により、形成するようにしていた。
【0004】
しかしながら、上部構造物の重量によって生じる地中応力の分布は、上部構造物を築造する地盤の土質や上部構造物の構造種別によって、上部構造物の平面内でも均一とはならないため、地盤改良層を均一な層厚に形成しても、地盤の不同沈下が生じるという問題があった。
例えば、図1(A)に示すように、上部構造物Bを築造する地盤Gの土質が砂地盤で、上部構造物Bの構造種別が柔構造の場合、上部構造物Bの周辺部の地表面G.Lに近いところでは、土かぶり圧が小さいため、上部構造物Bの重量がかかかった上部構造物Bの周辺部の砂が、外周上方に向かって滑動しようとするのに十分抵抗することができず、一方、中心付近では、上部構造物Bの重量によって地中応力が生じるため、砂の滑動に対する抵抗が大きくなる。その結果、地中応力の分布が、上部構造物Bの中心及びその周辺位置で最小、端部及びその周辺位置で最大となり、地盤Gの不同沈下が発生する。
一方、図2(A)に示すように、上部構造物Bを築造する地盤Gの土質が粘土地盤で、上部構造物Bの構造種別が柔構造の場合、粘土の流動性が小さいため、図1(A)に示すのとは逆に、地中応力の分布が、上部構造物Bの中心及びその周辺位置で最大、端部及びその周辺位置で最小となり、地盤Gの不同沈下が発生する。
【0005】
なお、地盤改良層を、地盤の不同沈下が生じないような均一で、かつ層厚を著しく増大したものとすることも理論的には可能であるが、この場合には、地盤改良層を構築するためのセメントミルクや地盤改良材等の材料費や施工費が上昇するという問題があった。
【0006】
本発明は、上記従来の地盤改良工法の有する問題点に鑑み、スラグを主成分とする地盤改良層を形成することにより、上部構造物を築造する地盤の不同沈下を抑制するようにした地盤改良工法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の地盤改良工法は、膨張性及び固化性を有するスラグを主成分とする地盤改良層を形成するようにした地盤改良工法であって、上部構造物を築造する地盤の土質と、該地盤上に築造する上部構造物の構造とを勘案して、地盤層の土砂をスラグを主成分とする地盤改良材と置換して形成した地盤改良層から地盤に複数本の杭を、該杭の先端を結んだ面が凸面又は凹面となるように打設するようにしたことを特徴とする。
【0008】
この地盤改良工法は、スラグを主成分とする地盤改良層を形成することによって、強固なスラグ層地盤を造成することができ、一般の土砂よりも内部摩擦抵抗が大きいスラグ層による大きな水平抵抗力により、上部構造物を安定して支持できる利点に加え、上部構造物を築造する地盤の土質や上部構造物の構造種別に応じて、上部構造物の重量によって生じる地中応力の分布に従って、地盤改良層から地盤に複数本の杭を、これらの杭の先端を結んだ面が凸面又は凹面となるように打設するようにすることにより、地中応力の分布を吸収して、上部構造物を築造する地盤の不同沈下を抑制するようにする。
そして、膨張性及び固化性を有するスラグを用いることにより、製鋼スラグ等の膨張及び固化性により、一層強固なスラグ層地盤を得ることができる。また、製鋼スラグ等は、エージング処理を必要としないため、製鋼スラグ等を低コストで利用することができ、さらに、産業廃棄物である製鋼スラグ等の有効利用を図ることができ、循環型社会形成の促進に寄与することができる。
【0009】
この場合において、膨張性及び固化性を有するスラグとしては、製鋼スラグ(転炉スラグ及び/又は電気炉スラグ(酸化スラグ及び/又は還元スラグ)をいい、ここでは、特に、エージング処理を行っていない製鋼スラグのほか、エージング処理を部分的に行うことにより膨張性を調整した製鋼スラグ等の膨張性を消失させていない製鋼スラグをいう。)、ゴミ焼却スラグ、汚泥スラグの1種若しくは2種以上の混合物を用いることができる。
さらに、膨張性及び固化性を有するスラグは、単独で用いるほか、これに、膨張性を消失した製鋼スラグ、高炉スラグ、フェロアロイスラグ、水砕スラグ、銅製錬スラグ、赤泥、フライアッシュ、ゴミ焼却灰、ガラス破砕物、廃石膏、コンクリート廃材等の産業廃棄物、石膏、生石灰、セメント、砕石、土砂、粘土等の建築用材料、人工材料、鉱物の1種若しくは2種以上を混合した、膨張性及び固化性を有するスラグの膨張性及び固化性を利用できるものを用いることができる。
【0010】
これにより、製鋼スラグ等の膨張及び固化性により、一層強固なスラグ層地盤を得ることができる。また、製鋼スラグ等は、エージング処理を必要としないため、製鋼スラグ等を低コストで利用することができ、さらに、産業廃棄物である製鋼スラグ等の有効利用を図ることができ、循環型社会形成の促進に寄与することができる。
【0011】
また、スラグを主成分とする地盤改良材に、地盤改良材と置換する地盤層の土砂を添加することができる。
【0012】
これにより、地盤改良材と置換することにより発生した地盤層の土砂を利用することができ、残土の発生量を抑制することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の地盤改良工法の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1に、本発明の地盤改良工法の第1実施例を示す。
【0015】
図1(A)(参考例)に示すように、上部構造物Bを築造する地盤Gの土質が砂地盤で、上部構造物Bの構造種別が柔構造の場合、上部構造物Bの周辺部の地表面G.Lに近いところでは、土かぶり圧が小さいため、上部構造物Bの重量がかかかった上部構造物Bの周辺部の砂が、外周上方に向かって滑動しようとするのに十分抵抗することができず、一方、中心付近では、上部構造物Bの重量によって地中応力が生じるため、砂の滑動に対する抵抗が大きくなる。その結果、地中応力の分布が、上部構造物Bの中心及びその周辺位置で最小、端部及びその周辺位置で最大となり、地中応力の分布と同傾向の地盤Gの不同沈下が発生することとなる。
なお、図において、Pは上部構造物Bの総重量(KN)、Aは基礎の底面積(m)、qは1m当たりの接地圧(KN/m)を示す。
【0016】
そこで、図1(B)(参考例)に示すように、スラグを主成分とする地盤改良層Sを形成するようにする。
そして、地盤改良層Sを、上部構造物Bを築造する地盤Gの土質(本参考例においては、砂地盤)と、この地盤G上に築造する上部構造物Bの構造種別(本参考例においては、柔構造)とを勘案して、地盤改良層Sの底面が凸面、すなわち、地中応力の分布に従って、上部構造物Bの中心及びその周辺位置で最小厚さ、端部及びその周辺位置で最大厚さとなるように、地盤Gの土砂をスラグを主成分とする地盤改良材と置換することにより、形成するようにする。
なお、地盤改良層Sを、図1(B’)に示す変形参考例のように、地中応力の分布に従った近似形状に形成することもでき
【0017】
このように、スラグを主成分とする地盤改良層Sを形成することによって、地中応力を補うことができ、強固なスラグ層地盤を造成することができるとともに、地中応力の分布を吸収して、上部構造物Bを築造する地盤Gの不同沈下を抑制することができるものとなる。
【0018】
この場合において、スラグを主成分とする地盤改良材としては、スラグの膨張性を利用しながら併せて固化性を利用できるものを好適に用いることができる。
このため、スラグ5としては、スラグの膨張性を利用しながら、併せて固化性も重要視するため、遊離CaOや遊離MgO等の膨張、固化成分を含有する膨張性及び固化性を有するスラグを用いるようにする。
この膨張性及び固化性を有するスラグとしては、製鋼スラグ(転炉スラグ及び/又は電気炉スラグ(酸化スラグ及び/又は還元スラグ)をいい、ここでは、特に、エージング処理(具体的には、特に限定されるものではないが、例えば、約100℃の蒸気中で100時間程度保持したり、長期間屋外に野積みすることによる安定化処理)を行っていない製鋼スラグのほか、エージング処理を部分的に行うことにより膨張性を調整した製鋼スラグ等の膨張性を消失させていない製鋼スラグをいう。)、ゴミ焼却スラグ、汚泥スラグの1種若しくは2種以上の混合物を用いることができる。
さらに、膨張性及び固化性を有するスラグは、単独で用いるほか、これに、膨張性を消失した製鋼スラグ、高炉スラグ、フェロアロイスラグ、水砕スラグ、銅製錬スラグ、赤泥、フライアッシュ、ゴミ焼却灰、ガラス破砕物、廃石膏、コンクリート廃材等の産業廃棄物、石膏、生石灰、セメント、砕石、土砂、粘土等の建築用材料、人工材料、鉱物の1種若しくは2種以上を混合した、膨張性及び固化性を有するスラグの膨張性及び固化性を利用できるものを用いることができ、特に、エージング処理前の製鋼スラグと、エージング処理後のスラグに強アルカリ物質を添加して用いることが好ましい。
ここで、強アルカリ物質としては、石膏、水砕スラグ、高炉スラグ、セメント、廃コンクリート等があるが、例えば、地下水位上方では製鋼スラグ+石膏又は酸化スラグ、地下水位下方では製鋼スラグ+水砕スラグ又は生石灰の配合が好適である。
また、スラグを主成分とする地盤改良層Sの上部は、早期に固化するスラグ、下部は固化が遅く、膨張率の大きいスラグを用い、これにより、地盤改良層Sの上部を早期に固化させ、下部は時間差をもって膨張させながら固化するようにして、大きな支持力を有する地盤改良層Sを得ることができる。
なお、上記事項は、後述のように、地盤改良材と置換する地盤層の土砂を、スラグを主成分とする地盤改良材に添加する場合も同様である。
このように、膨張性及び固化性を有するスラグを用いることによって、置換時の地盤Gの緩みを一般の土砂よりも比重の重いスラグで圧密することにより防止することができ、また、スラグが膨張、固化するとともに、一般の土砂よりも内部摩擦抵抗が大きいスラグによる大きな水平抵抗力により、上部構造物Bを安定して支持できるものとなる。
【0019】
また、スラグを主成分とする地盤改良材に、地盤改良材と置換する地盤層の土砂を、地盤改良材としての機能を失しない範囲、例えば、10〜70重量%程度の範囲で添加することにより、地盤改良材と置換することにより発生した地盤層の土砂を利用することができ、これにより、残土の発生量を抑制して、施工コストを低減することができる。
地盤改良材に、地盤層の土砂を添加する方法としては、地盤層の土砂を別の場所に搬出してから、土砂をスラグを主成分とする地盤改良材に添加、混合するようにするほか、ベースマシンに取り付けられる公知の攪拌翼を用いて、地盤層の土砂を別の場所に搬出することなく現地で土砂にスラグを主成分とする地盤改良材を攪拌、混合することもできる。
【0020】
ところで、上記参考例においては、スラグを主成分とする地盤改良層Sの厚さが、上部構造物Bの中心及びその周辺位置で最小厚さ、端部及びその周辺位置で最大厚さとなるようにすることにより、地中応力の分布を吸収するようにしているが図1(C)に示す実施例のように、地盤改良層Sの厚さは均一としたままで、地盤改良層Sから地盤Gに複数本の杭Hを、これらの杭Hの先端を結んだ面が凸面、すなわち、地中応力の分布に従って、上部構造物Bの中心及びその周辺位置で最小深さ、端部及びその周辺位置で最大深さとなるように打設することによっても、同様の作用を奏するものとなる。
なお、杭Hを、図1(C’)に示す実施例のように、地中応力の分布に従った近似形状に打設することもでき、本発明はこれを排除するものでない。
【0021】
なお、上記実施例の地盤改良材等の構成は、特に矛盾を生じない限りにおいて、以下に記載する本発明の地盤改良工法の他の実施例にもそのまま適用できるものである。
【0022】
図2〜図3に、本発明の地盤改良工法の第2実施例を示す。
図2(A)(参考例)に示すように、上部構造物Bを築造する地盤Gの土質が粘土地盤で、上部構造物Bの構造種別が柔構造の場合、粘土の流動性が小さいため、図1(A)に示すのとは逆に、地中応力の分布が、上部構造物Bの中心及びその周辺位置で最大、端部及びその周辺位置で最小となり、地中応力の分布と同傾向の地盤Gの不同沈下が発生することとなる。
【0023】
そこで、図2(B)(参考例)に示すように、スラグを主成分とする地盤改良層Sを形成するようにする。
そして、地盤改良層Sを、上部構造物Bを築造する地盤Gの土質(本参考例においては、粘土地盤)と、この地盤G上に築造する上部構造物Bの構造種別(本参考例においては、柔構造)とを勘案して、地盤改良層Sの底面が凹面、すなわち、地中応力の分布に従って、上部構造物Bの中心及びその周辺位置で最大厚さ、端部及びその周辺位置で最小厚さとなるように、地盤Gの土砂をスラグを主成分とする地盤改良材と置換することにより、形成するようにする。これにより、地中応力を補うことができる。
なお、地盤改良層Sの底面の凹面の形状は、地中応力の分布にできるだけ近似した形状にすることが望ましいが、図2(B)に示すように、なだらかな曲面にするほか、図2(C)に示すように、水平面と傾斜面を組み合わせた擂り鉢状面等、任意の形状に設定することができる。
【0024】
そして上記第1実施例と同様、図3(A)に示す実施例のように、地盤改良層Sの厚さは均一としたままで、地盤改良層Sから地盤Gに複数本の杭Hを、これらの杭Hの先端を結んだ面が凹面、すなわち、地中応力の分布に従って、上部構造物Bの中心及びその周辺位置で最大深さ、端部及びその周辺位置で最小深さとなるように打設するようにしたり、さらに、杭Hを、図3(A’)に示す実施例のように、地中応力の分布に従った近似形状に打設することができるものであって、基本的な作用等も、上記第1実施例と同様である。
【0025】
図4に、本発明の地盤改良工法の第3実施例を示す。
上部構造物Bを築造する地盤Gの土質が砂地盤で、上部構造物Bの構造種別が剛構造の場合、図1(A)に示すのとは逆に、地中応力の分布が、上部構造物Bの中心及びその周辺位置で最大、端部及びその周辺位置で最小となり、地中応力の分布と同傾向の地盤Gの不同沈下が発生することとなる。
【0026】
そこで、図4(A)(参考例)に示すように、スラグを主成分とする地盤改良層Sを形成するようにする。
そして、地盤改良層Sを、上部構造物Bを築造する地盤Gの土質(本参考例においては、砂地盤)と、この地盤G上に築造する上部構造物Bの構造種別(本参考例においては、剛構造)とを勘案して、地盤改良層Sの底面が凹面、すなわち、地中応力の分布に従って、上部構造物Bの中心及びその周辺位置で最大厚さ、端部及びその周辺位置で最小厚さとなるように、地盤Gの土砂をスラグを主成分とする地盤改良材と置換することにより、形成するようにする。
【0027】
そして、本実施例の場合も、上記第1実施例と同様、図4(B)に示す実施例のように、地盤改良層Sの厚さは均一としたままで、地盤改良層Sから地盤Gに複数本の杭Hを、これらの杭Hの先端を結んだ面が凹面、すなわち、地中応力の分布に従って、上部構造物Bの中心及びその周辺位置で最大深さ、端部及びその周辺位置で最小深さとなるように打設するようにすることができるものであって、基本的な作用等も、上記第1実施例と同様である。
【0028】
図5に、本発明の地盤改良工法の第4実施例を示す。
上部構造物Bを築造する地盤Gの土質が粘土地盤で、上部構造物Bの構造種別が剛構造の場合、図1(A)に示すのと同様に、地中応力の分布が、上部構造物Bの中心及びその周辺位置で最小、端部及びその周辺位置で最大となり、地中応力の分布と同傾向の地盤Gの不同沈下が発生することとなる。
【0029】
そこで、図5(A)(参考例)に示すように、スラグを主成分とする地盤改良層Sを形成するようにする。
そして、地盤改良層Sを、上部構造物Bを築造する地盤Gの土質(本参考例においては、粘土地盤)と、この地盤G上に築造する上部構造物Bの構造種別(本参考例においては、剛構造)とを勘案して、地盤改良層Sの底面が凸面、すなわち、地中応力の分布に従って、上部構造物Bの中心及びその周辺位置で最小厚さ、端部及びその周辺位置で最大厚さとなるように、地盤Gの土砂をスラグを主成分とする地盤改良材と置換することにより、形成するようにする。
なお、地盤改良層Sを、図5(A’)に示す参考例のように、地中応力の分布に従った近似形状に形成することもでき
【0030】
そして、上記第1実施例と同様、図5(B)に示す実施例のように、地盤改良層Sの厚さは均一としたままで、地盤改良層Sから地盤Gに複数本の杭Hを、これらの杭Hの先端を結んだ面が凸面、すなわち、地中応力の分布に従って、上部構造物Bの中心及びその周辺位置で最小深さ、端部及びその周辺位置で最大深さとなるように打設するようにしたり、さらに、杭Hを、図5(B’)に示す実施例のように、地中応力の分布に従った近似形状に打設することができるものであって、基本的な作用等も、上記第1実施例と同様である。
【0031】
【実施例】
以下、地盤改良材の違いによる杭の支持力(第2限界荷重:杭先端直径の10%相当の杭先端沈下量が生じたときの荷重)の経時的な変化を、地盤改良材として膨張性及び固化性を有する製鋼スラグと一般的に用いられるセメントミルクとを用いて行った現場規模実験の結果を、表1に示す。
なお、行った現場規模実験は、以下のとおりである。
【0032】
[現場規模実験]
・杭No.1
杭種:鋼管杭 杭長11m 本体直径φ318 螺旋状の突条の直径φ440 先端閉塞
掘削孔(φ700)に地盤改良材として膨張性及び固化性を有する製鋼スラグ(−10mm)を投入して掘削孔を埋めるとともに、投入した地盤改良材中に鋼管杭を回転させながら圧入した。
・杭No.2
杭種:PHC丸杭 杭長11m 本体直径φ450 先端開放
掘削孔(φ700)にPHC丸杭を建て込み、杭孔とPHC丸杭の隙間にセメントミルクを注入して、ソイルセメント層を形成した。
【0033】
【表1】
Figure 0004118694
【0034】
表1に示すように、地盤改良材として膨張性及び固化性を有する製鋼スラグを用いた杭No.1は、第2限界荷重の値及びその3ヶ月養生/1ヶ月養生の値が共にソイルセメント層を形成した杭No.2のそれより大きな値を示しており、これにより、製鋼スラグが膨張、固化することによって、杭の支持力を高めることができることを確認した。
【0035】
以上、本発明の地盤改良工法について、複数の実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、各実施例に記載した構成を適宜他の実施例に適用することができる等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【0036】
【発明の効果】
本発明の地盤改良工法によれば、スラグを主成分とする地盤改良層を形成することによって、強固なスラグ層地盤を造成することができ、一般の土砂よりも内部摩擦抵抗が大きいスラグ層による大きな水平抵抗力により、上部構造物を安定して支持できる利点に加え、上部構造物を築造する地盤の土質や上部構造物の構造種別に応じて、上部構造物の重量によって生じる地中応力の分布に従って、地盤改良層から地盤に複数本の杭を、これらの杭の先端を結んだ面が凸面又は凹面となるように打設するようにすることにより、地中応力の分布を吸収するとともに、掘削した地盤の緩みを一般の土砂よりも比重の重いスラグで圧密することにより防止し、さらに、スラグの膨張及び固化性を利用して支持力を増大させて、上部構造物を築造する地盤の不同沈下を抑制することができ、産業廃棄物であるスラグを有効利用できることと相俟って、材料費を含む施工費を軽減することができる。これによって、上部構造物を確実に支持できる経済的な地盤を低廉に造成することができる。
そして、膨張性及び固化性を有するスラグを用いることにより、製鋼スラグ等の膨張及び固化性により、一層強固なスラグ層地盤を得ることができる。また、製鋼スラグ等は、エージング処理を必要としないため、製鋼スラグ等を低コストで利用することができ、さらに、産業廃棄物である製鋼スラグ等の有効利用を図ることができ、循環型社会形成の促進に寄与することができる。
【0037】
この場合、スラグに膨張性及び固化性を有するスラグを用い、さらに、このスラグとして、製鋼スラグ、ゴミ焼却スラグ、汚泥スラグの1種若しくは2種以上の混合物を用い、また、膨張性及び固化性を有するスラグは、単独で用いるほか、これに、膨張性を消失した製鋼スラグ、高炉スラグ、フェロアロイスラグ、水砕スラグ、銅製錬スラグ、赤泥、フライアッシュ、ゴミ焼却灰、ガラス破砕物、廃石膏、コンクリート廃材等の産業廃棄物、石膏、生石灰、セメント、砕石、土砂、粘土等の建築用材料、人工材料、鉱物の1種若しくは2種以上を混合した、膨張性及び固化性を有するスラグの膨張性及び固化性を利用できるものを用いることにより、製鋼スラグ等の膨張及び固化性により、一層強固なスラグ層地盤を得ることができる。また、製鋼スラグ等は、エージング処理を必要としないため、製鋼スラグ等を低コストで利用することができ、さらに、産業廃棄物である製鋼スラグ等の有効利用を図ることができ、循環型社会形成の促進に寄与することができる。
【0038】
また、スラグを主成分とする地盤改良材に、地盤改良材と置換する地盤層の土砂を添加することにより、地盤改良材と置換することにより発生した地盤層の土砂を利用することができ、残土の発生量を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の地盤改良工法の第1実施例を示し、(A)は地盤の不同沈下の原理の説明図、(B)は地盤改良層の参考例の説明図、(B’)は地盤改良層の参考例の説明図、(C)は杭を併用する場合の実施例の説明図、(C’)は杭を併用する場合の実施例の説明図である。
【図2】 地盤改良工法の参考例を示し、(A)は地盤の不同沈下の原理の説明図、(B)、(C)は地盤改良層の説明図である。
【図3】 本発明の地盤改良工法の第2実施例を示し、(A)は杭を併用する場合の実施例の説明図、(A’)はその変形実施例の説明図である。
【図4】 本発明の地盤改良工法の第3実施例を示し、(A)は地盤改良層の参考例の説明図、(B)は杭を併用する場合の実施例の説明図である。
【図5】 本発明の地盤改良工法の第4実施例を示し、(A)は地盤改良層の参考例の説明図、(A’)はその変形参考例の説明図、(B)は杭を併用する場合の実施例の説明図、(B’)はその変形実施例の説明図である。
【符号の説明】
B 上部構造物
G 地盤
S 地盤改良層
H 杭

Claims (4)

  1. 膨張性及び固化性を有するスラグを主成分とする地盤改良層を形成するようにした地盤改良工法であって、上部構造物を築造する地盤の土質と、該地盤上に築造する上部構造物の構造とを勘案して、地盤層の土砂をスラグを主成分とする地盤改良材と置換して形成した地盤改良層から地盤に複数本の杭を、該杭の先端を結んだ面が凸面又は凹面となるように打設するようにしたことを特徴とする地盤改良工法。
  2. 前記スラグが、製鋼スラグ、ゴミ焼却スラグ、汚泥スラグの1種若しくは2種以上の混合物からなることを特徴とする請求項1記載の地盤改良工法。
  3. 前記スラグ、膨張性を消失した製鋼スラグ、高炉スラグ、フェロアロイスラグ、水砕スラグ、銅製錬スラグ、赤泥、フライアッシュ、ゴミ焼却灰、ガラス破砕物、廃石膏、コンクリート廃材等の産業廃棄物、石膏、生石灰、セメント、砕石、土砂、粘土等の建築用材料、人工材料、鉱物の1種若しくは2種以上を、膨張性及び固化性を有するスラグに混合した、膨張性及び固化性を有するスラグの膨張性及び固化性を利用できるものであることを特徴とする請求項1又は2記載の地盤改良工法。
  4. スラグを主成分とする地盤改良材に、地盤改良材と置換する地盤層の土砂を添加することを特徴とする請求項1、2又は3記載の地盤改良工法。
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