JP4118643B2 - 換気構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、居室空間を有する建築物の換気構造に関し、特に集合住宅等における各居室空間の換気を行う換気構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、集合住宅などの居室空間を有する建築物における換気構造としては、例えば特許文献1に記載された発明が案出されている。
図6に示すように、かかる発明の換気構造101では、主給気ダクト112と主排気ダクト113とが、建築物110を水平方向に貫通するように設けられ、主給気ダクト112の給気口112a,112bおよび主排気ダクト113の排気口113a,113bが建築物110の対向する二つの外壁にそれぞれ開口するようにして設けられている。
また、主給気ダクト112から分岐した分岐給気ダクト114と、主排気ダクト113から分岐した分岐排気ダクト116とが、居室空間111と連通するように設けられている。
【0003】
そして、風の方向に応じて給気口112a又は112bから主給気ダクト112に外気が流入し、この外気が分岐給気ダクト114を通じて居室空間111内に供給される。無風状態の時には、センサ117がこれを検知し、ファン119を作動させてダクト118から主給気ダクト112に外気を流入させる。
次いで、居室空間111内の空気は、分岐排気ダクト116に押し出されて主排気ダクト113に流入し、排気口113b又は113aから屋外に排出される。
このようにして、自然風を利用して居室空間111内の換気を行うようになっている。
【0004】
【特許文献1】
特許2897873号公報(図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の換気構造101では、主給気ダクト112と主排気ダクト113とを建築物101の対向する外壁間を貫通するようにして設ける必要があるため、ダクトの延長が長くなり、その設置に多くの費用を要するという問題点があった。
【0006】
本発明の課題は、居室空間を有する建築物において、換気効率に優れ、かつ構造が簡単で設置やメンテナンスに要する費用が小さい換気構造を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、例えば図1に示すように、居室空間11を有する建築物10の該居室空間11内の換気を行うための換気構造1であって、
前記建築物10の一方の側面から前記居室空間11に連通する第一の給排気ダクト12と、
前記建築物10の他方の側面から前記居室空間11に連通する第二の給排気ダクト13と、
前記第一の給排気ダクト12及び第二の給排気ダクト13内に設けられ、これらの内部を通過する気流の風量を調整する風量調整ダンパ14(14')と
が備えられていることを特徴とする。
ここで、居室空間11とは、一つの部屋から構成されたものであっても良く、互いに通気可能な二つ以上の部屋から構成されたものであっても良い。
また、居室空間とは、入居者が継続的に使用する部屋に限らず、建築物におけるあらゆる部屋を指すものとする。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、建築物周囲の風向きに応じて、風上側の第一の給排気ダクト又は第二の給排気ダクトを通じて、風量調整ダンパにより風量を調整された外気を居室空間に流入させるとともに、居室空間内の空気を風下側の第二の給排気ダクト又は第一の給排気ダクト内へと押し出して屋外へ排出することができる。
このように、第一の給排気ダクト及び第二の給排気ダクトは、給気ダクトと排気ダクトの役目を兼ね備えるので、給気ダクトや排気ダクトを建築物の対向する外壁間を貫通するようにして設ける場合に比して、その延長を大幅に短縮することができる。
したがって、自然風を利用する換気構造を簡単な構造とし、低コストで設置、保守することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、例えば図1に示すように、請求項1に記載の換気構造1において、
前記建築物10の少なくとも一方の側面から前記居室空間11に連通する補助排気ダクト16と、
前記第一の給排気ダクト12及び/又は第二の給排気ダクト13内に設けられ、これらの内部を通過する気流の風量を検知するセンサ15と、
前記補助排気ダクト16内に設けられ、前記センサ15により検知された風量が所定値より小さい時に前記補助排気ダクト16を通じて前記居室空間11から建築物10の外部に空気を排出させるファン17と
が備えられていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果が得られるとともに、センサにより第一の給排気ダクト及び/又は第二の給排気ダクト内を通過する気流の風量が所定値より小さいことが検知された時、すなわち居室空間を換気するのに十分な強さの自然風が吹いていない時には、ファンが作動し、居室空間の空気が補助排気ダクトを通じて建築物の外部へと排出されるとともに、第一の給排気ダクト及び第二の給排気ダクトを通じて、建築物の外部から居室空間へと外気が誘引される。
したがって、自然風が弱い時や無風状態の時にも、居室空間の換気を適切に行うことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を具体的に説明する。
【0012】
本実施の形態の換気構造1は、図1に示すように、集合住宅である建築物10の各住戸の居室空間11の換気を行うため、これら各住戸の天井裏に設置されたものである。
ここで、居室空間11は、互いに通気可能な二つ以上の部屋(例えばアンダーカット付きドアやがらり付きドアなどで区画された二つ以上の部屋)から構成されたものである。
【0013】
この換気構造1は、建築物10の一方の側面(例えば北側の外壁面)から居室空間11に連通する第一の給排気ダクト12と、建築物10の他方の側面(例えば南側の外壁面)から居室空間11に連通する第二の給排気ダクト13とを備えている。
【0014】
第一の給排気ダクト12及び第二の給排気ダクト13の各吸気口付近には、これら第一の給排気ダクト12及び第二の給排気ダクト13の内部を通過する気流の風量を調整する風量調整ダンパ14又は14'が備えられている。
【0015】
図2は、風量調整ダンパの一例14を示す斜視図であり、図3は、風量調整ダンパ14の構造を模式的に示した断面図である。
風量調整ダンパ14は、図2、図3に示すように、可撓性を有する略扇型の4枚の風量調整羽根14a、ストッパ14b、がらり14c等から構成されている。
【0016】
風量調整ダンパ14は、風量調整羽根14aの付け根が第一の給排気ダクト12又は第二の給排気ダクト13の居室空間11側に向かって凸となるように設けられている。
屋外から給排気ダクト12,13に、建築物10の居室空間11に向かう方向(図3中、矢印で示す方向)に空気が流入する時には、風量調整ダンパ14において給排気ダクト12,13と風量調整羽根14aとの間の隙間14dを気流が通過する。この時、風量調整羽根14aは気流の圧力によって隙間14dを塞ぐ方向に撓むようになっている。気流が強くなると、風量調整羽根14aに働く圧力も増加して隙間14dが更に小さくなることにより、屋外から給排気ダクト12,13に流入する外気の風量が抑制されるようになっている。
【0017】
図4は、風量調整ダンパの他の一例14'を示す斜視図であり、図5は、風量調整ダンパ14'の動作を示す断面図である。
風量調整ダンパ14'は、図4に示すように、給排気ダクト12,13に連接されることで給排気ダクト12,13の一部を構成する円筒状の枠部材141、枠部材141の内径に対応して円板状に形成される主羽根142とを備えている。
【0018】
主羽根142は、枠部材141の軸心方向に直交する主羽根回動軸143を介して枠部材141の内部に取付けられ、この主羽根回動軸143を中心に円滑に回動可能となっている。
枠部材141の上部内面には主羽根ストッパ145が設けられ、主羽根142が枠部材141の内部空間を閉塞した状態で、図4,図5において主羽根142の時計回りの回動を規制するようになっている。
【0019】
主羽根142の主羽根回動軸143より居室空間11側を上動作部142a、屋外側を下動作部142bとする(図4、図5参照)と、上動作部142a側が下動作部142b側よりもわずかに重くなるように、主羽根回動軸143は主羽根142の重心から僅かにずらした位置に設定されている。
従って、主羽根142が風の抵抗をほとんど受けない無風時および小気流量時の状態では、主羽根142が反時計回りに回動しようとするが、主羽根142がほぼ水平となる位置でこの回動を規制するように、枠部材141の内面には例えばビス等の微風量時ストッパ146が設けられている。
また、図4,図5に示すように、主羽根142の上動作部142aの下面には、給排気ダクト12,13内を屋外側から居室空間11側へ流れる気流を受ける受風部144が突設されている。
【0020】
上記の通り、無風時および小気流量時の状態では上動作部142aが下がるように、主羽根142の上動作部142aは下動作部142bよりもわずかに重く設定されている。これは、主羽根142に対する主羽根回動軸143の位置をわずかに主羽根142の中心からずらすことにより実現しても良いし、あるいは上動作部142aに図示しない重りを設けることにより実現しても良い。
【0021】
このように構成された風量調整ダンパ14'の動作について、図5を参照して説明する。なお、ここでは、屋外側(図5中、右側)からの風を順気流、居室空間11側(図5中、左側)からの風を逆気流と呼ぶ。また、風量の大きさについての記載は、順気流についてのものとする。
【0022】
給排気ダクト12,13内部が無風・微風の時には、主羽根142の上動作部142a側が下動作部142b側よりも重いため、主羽根142が反時計回りに回動しようとするが、図5(a)に示すように、微風量時ストッパ146によって、この回動が規制される。
【0023】
給排気ダクト12,13内部が小風量から中風量の時には、図5(b)に示すように、主羽根142の上動作部142aの下面と受風部144との間に風が溜まり、上動作部142aが上昇を開始する。
さらに、主羽根142の上動作部142aが上昇した状態においては、図5(c)に示すように、枠部材141の内部において主羽根142の上部空間は風上側から風下側にかけて狭くなる。これにより、前記上部空間を通過する風の流速は風上側から風下側に向かうにつれて次第に大きくなり、上動作部142aに下動作部142bよりも大きな揚力が作用する。
このように、給排気ダクト12,13内部を流れる風量が増加して、小風量から中風量に移行すると、前記揚力が主羽根142を回動させる臨界気流量に達し、主羽根142は枠部材141を閉じる方向に回動する。
【0024】
給排気ダクト12,13内部を流れる風量がさらに増加すると、図5(d)に示すように、主羽根142が時計回りに回動して主羽根ストッパ145にぶつかりそうになり、主羽根142の上下を通過する気流量が著しく少なくなる。すると、上動作部142a、下動作部142bが受ける揚力が小さくなるとともにこれら揚力差も小さくなり、主羽根142が少し反対側に回動して主羽根142の上下を通過する気流量がわずかに増加する。そして、再び上動作部142aが揚力を受けて主羽根142が枠部材141を閉じる方向にわずかに回動して主羽根142の上下を通過する気流量が少なくなる。以後、徐々に減衰しながらこれらの動作が繰り返されて気流量が安定する。
【0025】
以上のような風量調整ダンパ14,14'を用いることにより、強風時でも給排気ダクト12,13に流入する外気の量が多くなり過ぎることがなく、居室空間11内の冷暖房効率を落とさずに一定レベルの換気を行い続けることができる。
【0026】
また、風量調整ダンパは、上記構成のものに限るものではなく、給排気ダクト12,13を通過する気流の風量を調整可能なものであれば、どのような構造のものであってもよい。
【0027】
また、換気構造1は、建築物10の一方の側面(例えば北側の外壁面)から居室空間11に連通する補助排気ダクト16と、第二の給排気ダクト13内に設けられ、この内部を通過する気流の風量を検知するセンサ15と、補助排気ダクト16内に設けられ、センサ15により検知された風量が所定値より小さい時に補助排気ダクト16を通じて前記居室空間11から建築物10の外部に空気を排出させるファン17とを備えている。
【0028】
以上、本実施の形態に記載の換気構造1によれば、建築物10周囲の風向きに応じて、風上側の第一の給排気ダクト12又は第二の給排気ダクト13を通じて、風量調整ダンパ14(14')により風量を調整された外気を居室空間11に流入させるとともに、居室空間11内の空気を風下側の第二の給排気ダクト13又は第一の給排気ダクト12内へと押し出して屋外へ排出することができる。
このように、第一の給排気ダクト12及び第二の給排気ダクト13は、給気ダクトと排気ダクトの役目を兼ね備えるので、給気ダクトや排気ダクトを建築物の対向する外壁間を貫通するようにして設ける場合に比して、その延長を大幅に短縮することができる。
したがって、自然風を利用する換気構造を簡単な構造とし、低コストで設置、保守することができる。
【0029】
また、センサ15により第一の給排気ダクト12及び/又は第二の給排気ダクト13内を通過する気流の風量が所定値より小さいことが検知された時、すなわち居室空間11を換気するのに十分な強さの自然風が吹いていない時には、ファン17が作動し、居室空間11の空気が補助排気ダクト16を通じて建築物10の外部へと排出されるとともに、第一の給排気ダクト12及び第二の給排気ダクト13を通じて、建築物10の外部から居室空間11へと外気が誘引される。
したがって、自然風が弱い時や無風状態の時にも、居室空間11の換気を適切に行うことができる。
【0030】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内おいて、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
例えば、上記実施の形態では、給気量を調整する風量調整ダンパを第一の給排気ダクトと第二の給排気ダクトの双方に設けているが、排気量を調整する風量調整ダンパを第一の給排気ダクトと第二の給排気ダクトの双方に設けても良いし、給気量と排気量の双方を調整可能な風量調整ダンパを第一の給排気ダクトと第二の給排気ダクトの少なくとも一方に設けても良い。
その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【0031】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、建築物周囲の風向きに応じて、風上側の第一の給排気ダクト又は第二の給排気ダクトを通じて、風量調整ダンパにより風量を調整された外気を居室空間に流入させるとともに、居室空間内の空気を風下側の第二の給排気ダクト又は第一の給排気ダクト内へと押し出して屋外へ排出することができる。
このように、第一の給排気ダクト及び第二の給排気ダクトは、給気ダクトと排気ダクトの役目を兼ね備えるので、給気ダクトや排気ダクトを建築物の対向する外壁間を貫通するようにして設ける場合に比して、その延長を大幅に短縮することができる。
したがって、自然風を利用する換気構造を簡単な構造とし、低コストで設置、保守することができる。
【0032】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果が得られるとともに、センサにより第一の給排気ダクト及び/又は第二の給排気ダクト内を通過する気流の風量が所定値より小さいことが検知された時、すなわち居室空間を換気するのに十分な強さの自然風が吹いていない時には、ファンが作動し、居室空間の空気が補助排気ダクトを通じて建築物の外部へと排出されるとともに、第一の給排気ダクト及び第二の給排気ダクトを通じて、建築物の外部から居室空間へと外気が誘引される。
したがって、自然風が弱い時や無風状態の時にも、居室空間の換気を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る換気構造の一例を示す断面図である。
【図2】本発明に係る換気構造に用いられる風量調整ダンパの一例を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る換気構造に用いられる風量調整ダンパの一例の構造を模式的に示す断面図である。
【図4】本発明に係る換気構造に用いられる風量調整ダンパの他の一例を示す斜視図である。
【図5】本発明に係る換気構造に用いられる風量調整ダンパの他の一例の動作を示す断面図である。
【図6】従来の換気構造の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 換気構造
10 建築物
11 居室空間
12 第一の給排気ダクト
13 第二の給排気ダクト
14(14') 風量調整ダンパ
15 センサ
16 補助排気ダクト
17 ファン
Claims (2)
- 居室空間を有する建築物の該居室空間内の換気を行うための換気構造であって、
前記建築物の一方の側面から前記居室空間に連通する第一の給排気ダクトと、
前記建築物の他方の側面から前記居室空間に連通する第二の給排気ダクトと、
前記第一の給排気ダクト及び第二の給排気ダクト内に設けられ、これらの内部を通過する気流の風量を調整する風量調整ダンパと
が備えられていることを特徴とする換気構造。 - 請求項1に記載の換気構造において、
前記建築物の少なくとも一方の側面から前記居室空間に連通する補助排気ダクトと、
前記第一の給排気ダクト及び/又は第二の給排気ダクト内に設けられ、これらの内部を通過する気流の風量を検知するセンサと、
前記補助排気ダクト内に設けられ、前記センサにより検知された風量が所定値より小さい時に前記補助排気ダクトを通じて前記居室空間から建築物の外部に空気を排出させる排気ファンと
が備えられていることを特徴とする換気構造。
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