JP4117022B2 - Fe−Ce−Oグラニュラ薄膜の製造方法 - Google Patents
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Description
従来、Fe−Ce−OやCo−Ce−Oなどの金属―酸化物グラニュラ薄膜は、スパッタ法などのドライプロセスによって作製されてきた。(特許文献1参照)
したがって、本発明はこれらの従来技術の問題点を解消して、保磁力が小さく優れた軟磁気特性を有するFe−Ce−Oグラニュラ薄膜を、簡単な装置により低コストで製造することを目的とする。
1.(1)二価鉄塩、(2)セリウム塩、(3)酸化防止剤、及び(4)鉄と錯体を形成するがセリウムとは錯体を形成しない錯化剤を含む水溶液をめっき浴として使用し、電析により形成することを特徴とするFe−Ce−Oグラニュラ薄膜の製造方法。
2.(1)二価鉄塩が硫酸第一鉄及び塩化第一鉄から選択されたものであることを特徴とする1に記載のFe−Ce−Oグラニュラ薄膜の製造方法。
3.(2)セリウム塩が塩化セリウム及び硝酸セリウムから選択されたものであることを特徴とする1又は2に記載のFe−Ce−Oグラニュラ薄膜の製造方法。
4.(3)酸化防止剤がアスコルビン酸及びアスコルビン酸金属塩から選択されたものであることを特徴とする1〜3のいずれかに記載のFe−Ce−Oグラニュラ薄膜の製造方法。
5.(4)錯化剤が硫酸アンモニウムであることを特徴とする1〜4のいずれかに記載のFe−Ce−Oグラニュラ薄膜の製造方法。
6.めっき浴中に、(1)二価鉄塩10〜50mM、(2)セリウム塩1〜10mM、(3)酸化防止剤0.01〜10g/L、及び(4)錯化剤10〜50mMを含有することを特徴とする1〜5のいずれかに記載のFe−Ce−Oグラニュラ薄膜の製造方法。
7.めっき浴の温度が30〜80℃であることを特徴とする1〜6のいずれかに記載のFe−Ce−Oグラニュラ薄膜の製造方法。
8.電析の電流密度が0.1〜50mA/cm2であることを特徴とする1〜7のいずれかに記載のFe−Ce−Oグラニュラ薄膜の製造方法。
9.めっき浴中の溶存酸素量が4mg/L以上であることを特徴とする1〜8のいずれかに記載のFe−Ce−Oグラニュラ薄膜の製造方法。
10.1〜9のいずれかに記載された製造方法により製造された保磁力が40〜90Oeで、飽和磁力が20〜160emu/gであることを特徴とするFe−Ce−Oグラニュラ薄膜。
また、100℃以下の低温で成膜が可能であるため基板に耐熱性が必要とされず、従来技術では使用することのできなかった基板にもFe−Ce−Oグラニュラ薄膜を形成することが可能となる。さらに、電析浴に接している部分には均一に成膜することができるため、複雑な表面形状を有する基板、微細パターンや大面積の基板にも成膜することができる。
めっき浴中の(1)二価鉄塩の含有量は、1〜100mM程度、特に10〜50mM程度とすることが好ましい。
めっき浴中(2)セリウム塩の含有量は、0.1〜50mM程度、特に1〜10mM程度とすることが好ましい。
めっき浴中の(3)酸化防止剤の含有量は、0.01〜10g/L程度、特に0.1〜1g/L程度とすることが好ましい。
めっき浴中の(4)錯化剤の含有量は、1〜100mM程度、特に10〜50mM程度とすることが好ましい。
また、電析の電源としては直流電源を使用し、電流密度を0.1〜50mA/cm2程度、特に1〜10mA/cm2程度とすることが好ましい。
以下の例では、図2に示す構成を有する電析装置11を使用して、Fe−Ce−Oグラニュラ薄膜を形成した。この電析装置11は、めっき浴13を収容した電析槽12、陰極側に配置した基板14、参照電極15、対極16、ガルバノスタット17、クーロンメータ18を具備する。また、図示はしないが、酸素バブリングと窒素バブリングによりめっき浴中の溶存酸素量を調整することができる。
この電析装置11において、被めっき対象物としてCu基板14を、対極(アノード)16としてFeシートを、またAg/AgClからなる参照電極15を使用した。
硫酸第一鉄10mM、塩化セリウム4mM、L−アスコルビン酸0.2g/L、硫酸アンモニウム40mMを含有する水溶液をめっき浴とし、液温60℃、4mA/cm2の定電流密度で電析を行ない、Fe−Ce−Oグラニュラ薄膜を形成した。
下記の表1に示す組成のめっき浴を使用した以外は、実施例1と同様にして電析を行ない、Fe−Ce−Oグラニュラ薄膜を形成した。
表1に示した電析めっき浴成分から、L−アスコルビン酸を除いためっき浴を使用して、実施例1と同様に電析を行なったところ、めっき浴中のFe2+イオンが酸化してFe3+イオンとなり、電析めっき浴が不安定となり、成膜が行えなくなったり、沈殿物が浴中に生成した。したがって、L−アスコルビン酸もしくは、L−アスコルビン酸ナトリウムなどの酸化防止剤が本発明の電析めっき浴では必要であることが判明した。
表1に示した電析めっき浴成分から、硫酸アンモニウムを除いためっき浴を使用して、実施例1と同様に電析を行なったところ、析出した膜は粉状で密着性が悪かった。また、ESCAによって測定したFeの化学結合状態からは、Feが水酸化物もしくは酸化物として析出していることが確認された。
すなわち、硫酸アンモニウムを加えることで、膜は平滑で密着性の高いものとなり、またESCAの測定からFeが金属として存在していることが確認された。
図4によれば、Fe濃度が100vol.%以外の膜は、電気抵抗も数キロΩと高く、かつFe濃度60vol.%の膜は、保磁力が50Oeと非特許文献1で示されているCo−Ce−O薄膜の160Oeに比較して1/3以下であり、良好な軟磁気性を示した。本発明により得られたFe−Ce−Oグラニュラ薄膜は、本発明者らの知る限りにおいて、電析により得られたグラニュラ薄膜のうち最も小さな保磁力が実現できたものである。
2 絶縁マトリックス
11 電析装置
12 電析槽
13 めっき浴
14 基板
15 参照電極
16 対極
17 ガルバノスタット
18 クーロンメータ
Claims (10)
- (1)二価鉄塩、(2)セリウム塩、(3)酸化防止剤、及び(4)鉄と錯体を形成するがセリウムとは錯体を形成しない錯化剤を含む水溶液をめっき浴として使用し、電析により形成することを特徴とするFe−Ce−Oグラニュラ薄膜の製造方法。
- (1)二価鉄塩が硫酸第一鉄及び塩化第一鉄から選択されたものであることを特徴とする請求項1に記載のFe−Ce−Oグラニュラ薄膜の製造方法。
- (2)セリウム塩が塩化セリウム及び硝酸セリウムから選択されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のFe−Ce−Oグラニュラ薄膜の製造方法。
- (3)酸化防止剤がアスコルビン酸及びアスコルビン酸金属塩から選択されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のFe−Ce−Oグラニュラ薄膜の製造方法。
- (4)錯化剤が硫酸アンモニウムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のFe−Ce−Oグラニュラ薄膜の製造方法。
- めっき浴中に、(1)二価鉄塩10〜50mM、(2)セリウム塩1〜10mM、(3)酸化防止剤0.01〜10g/L、及び(4)錯化剤10〜50mMを含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のFe−Ce−Oグラニュラ薄膜の製造方法。
- めっき浴の温度が30〜80℃であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のFe−Ce−Oグラニュラ薄膜の製造方法。
- 電析の電流密度が0.1〜50mA/cm2であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のFe−Ce−Oグラニュラ薄膜の製造方法。
- めっき浴中の溶存酸素量が4mg/L以上であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のFe−Ce−Oグラニュラ薄膜の製造方法。
- 請求項1〜9のいずれかに記載された製造方法により製造された保磁力が40〜90Oeで、飽和磁力が20〜160emu/gであることを特徴とするFe−Ce−Oグラニュラ薄膜。
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