JP4116923B2 - 緑化用構造体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、緑化用構造体に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
例えば、積載過重に制限のある屋上の緑化や軟弱な地盤上での緑化において使用される土壌として軽量土壌が知られている。
【0003】
この軽量土壌は、ゼオライトやパーライト等の多孔質物質を自然土壌に混合させて成るものや、該多孔質物質のみから成るものなどがある。尚、パーライトとは、ガラス質火成岩の一種である真珠岩を粉砕し1000℃前後の高温で焼成発泡させて得られる多孔質物質である。
【0004】
即ち、多孔質物質は非常に軽量であるために積載荷重が制限される屋上や軟弱な地盤上の緑化に用いるのに好適であり、その上、該多孔質物質内には空隙部が無数に存在するために、秀れた保水性,保肥性及び排水性を発揮できる土壌である。
【0005】
しかしながら、この軽量土壌は、前述したように、非常に軽量であり、且つ、砂のようにさらさらしていることから、風が吹くと飛散し易いという問題点がある。
【0006】
特に、強い風が吹くことの多い屋上においてこの軽量土壌を用いた場合には、該軽量土壌が強風によって飛散し易く、そのため、屋上に軽量土壌を敷設する際には、風によって飛散してしまうであろう量の軽量土壌を考慮して該軽量土壌を予め厚めに敷設したり、あるいは、屋上に敷設した軽量土壌が飛散して層厚が薄くなる度に新たな軽量土壌を敷設しなければならないなどの問題点がある。
【0007】
従って、軽量であり且つ保水性や排水性等に秀れる軽量土壌を、結局のところ、十分に有効利用できていない現状である。
【0008】
ところで、従来から、例えば特開2003−33112号公報(発明の名称:屋上緑化システム)に見られるような、火山灰風化土等の土壌中に該土壌を固定するための土壌固定材を添加することで、該土壌を固めて侵食に耐える土壌を作る技術が提案されている。
【0009】
しかしながら、この技術によれば、土壌中に化学合成により製造された土壌固定材により土壌を固めるために、植物の植生を極めて良好に行うことができるとは言い難い。
【0010】
そのため、軽量でありながら極めて飛散しにくく、且つ、植物の植生に最適となる軽量土壌が望まれている。
【0011】
本発明は、秀れた保水性,保肥性を発揮できることは勿論、軽量でありながら強風によっても飛散することがなく、更に、植物の植生に最適な緑化用軽量土壌を有する緑化用構造体を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0013】
植物 12 が植生され所定部位を緑化する際に使用される軽量土壌1をパネル体2に積層して成る緑化用構造体であって、前記軽量土壌1は、多孔質物質を主材とし粘性を有する植物性の有機系安定材が混合されたものであり、前記多孔質物質は炭化物及びパーライトを含み、この炭化物及びパーライトは体積比で炭化物45乃至55,パーライト35乃至45の割合で混合され、前記有機系安定材蒟蒻いも類から生成される澱粉のりを主成分とした植物性のものであり、前記パネル体2は、複数の粒状の炭化物とセメントと水とを含む混合物をポーラス状に成形して成るものであることを特徴とする緑化用構造体に係るものである。
【0014】
また、請求項1記載の緑化用構造体において、前記軽量土壌1にはゼオライトが適宜な量混合されていることを特徴とする緑化用構造体に係るものである。
【0015】
また、請求項1,2いずれか1項に記載の緑化用構造体において、前記有機系安定材は前記多孔質物質1mに対して10乃至50kg混合されていることを特徴とする緑化用構造体に係るものである。
【0016】
また、請求項1〜3いずれか1項に記載の緑化用構造体において、前記軽量土壌1には中和材が混合されていることを特徴とする緑化用構造体に係るものである。
【0017】
また、請求項1〜いずれか1項に記載の緑化用構造体において、前記混合物には中和材と高分子吸水材と増粘材とが混合されていることを特徴とする緑化用構造体に係るものである。
【0018】
また、請求項4,5いずれか1項に記載の緑化用構造体において、前記中和材として過燐酸石灰,硫安若しくは硫酸カリウムが採用されていることを特徴とする緑化用構造体に係るものである。
【0019】
また、請求項1〜6いずれか1項に記載の緑化用構造体において、前記パネル体2は屋 上に敷設配設されるものであることを特徴とする緑化用構造体に係るものである。
【0020】
【発明の作用及び効果】
本発明の軽量土壌1は、多孔質物質に粘性を有する有機系安定材が混合されて形成されているから、該多孔質物質はこの粘性を有する有機系安定材によって連結された状態となり、よって、多孔質物質自体は軽量であっても粘性を有する有機系安定材(以下、単に有機系安定材という。)によって保持されているため、例えば強い風が吹いても該多孔質物質はほとんど飛散しない。
【0021】
従って、例えば、強い風が吹く屋上に本発明の軽量土壌1が配設されても、この軽量土壌1は強風によって極めて飛散しにくく、よって、従来のように、予め強風によって飛散するであろう軽量土壌の量を考慮して該軽量土壌を厚めに配設する必要がなく、また、屋上に配設した軽量土壌が、強い風によって飛散する度に、該飛散した分の軽量土壌を新たに配設する手間も要しない。
【0022】
また、本発明では、安定材として有機系のものを採用しているため、該安定材は土壌中で分解され、残存し続けることを防止することができることは勿論、本発明の有機系安定材は植物性であるため、植物の生育を阻害することなく該植物を良好に植生することができ、また、使用者に対しても悪影響(人体的な悪影響)を与えることなく、よって、安心して取り扱うことができる。
【0023】
また、多孔質物質は、無数の空隙部を有しているため良好な吸着性を発揮でき、よって、水分及び肥料分を吸着保持して秀れた保水性及び秀れた保肥性を発揮する。
【0024】
また、この無数の空隙部により、秀れた通水性や通気性も発揮する。
【0025】
また、保水性,保肥性,排水性に秀れるパネル体2上に、同じく保水性,保肥性,排水性に秀れ且つ飛散する心配のない軽量土壌1が配設されることとなるため、屋上における緑化部位自体を非常に薄層化できる上に、極めて良好に且つ手間をかけずに植物 12 を植生することができ、しかも、コスト安に緑化部位を形成することができる。
【0026】
即ち、排水層2として保水性,排水性に秀れるパネル体2を採用することで、雨が降らなかったり、しばらくの間、給水が行われなくとも、パネル体2内に保持された水分がパネル体2上の軽量土壌1に供給され、これにより、軽量土壌1に植栽された植物 12 を良好に植生することができる。
【0027】
また、過剰な降雨・散水等により軽量土壌1内の水分が過剰となっても、該軽量土壌1は排水性に秀れ、パネル体2もまた排水性に秀れるため、前記過剰な水分は緑化部位外に良好に排水されて植物 12 を良好に植生することができる。
【0028】
また、軽量土壌1は、軽量である上に施工厚さを薄く設定でき、また、パネル体2も軽量である上に薄く設定できるために、屋上3における緑化部位の形成を秀れた施工作業性をもって極めて簡易に行うことができる。
【0029】
本発明は上述のように構成したから、秀れた保水性,保肥性,通水性及び通気性を発揮できることは勿論、軽量であるため特に屋上の緑化や軟弱地盤での緑化においての使用に秀れ、しかも、強風によっても飛散することがなく、更に、植物の植生に最適であり、よって、薄層で十分且つ良好に緑化することが可能な極めて実用性,施工作業性に秀れた画期的な緑化用軽量土壌を有する緑化用構造体となる。
【0030】
【発明の実施の形態】
図面は本発明の一実施例を図示したものであり、以下に説明する
【0031】
実施例の軽量土壌1は、多孔質物質に植物性の有機系安定材が混合されて成る構成としている。
【0032】
多孔質物質としては、炭化物,パーライト及びゼオライトの混合物を採用し、体積比で炭化物45乃至55,パーライト35乃至45の割合で混合された該炭化物及びパーライトの混合物にゼオライトが適宜な量混合されて形成されている。尚、本実施例の多孔質物質は、炭化物とパーライトとの混合物にゼオライトが適宜な量混合されて成る構成としたが、このゼオライトの混合量は零に設定しても良い。
【0033】
具体的には、本実施例では、多孔質物質は、体積比で炭化物50,パーライト40,ゼオライト10の割合で形成されたものを採用している。
【0034】
この炭化物の混合割合は、従来の軽量土壌に比べて非常に高い混合割合であり、これにより、炭化物が発揮する吸着性により、極めて秀れた保水性,保肥性等を発揮する軽量土壌となる。
【0035】
炭化物としては、木質系廃材より作成した炭化物が採用されている。
【0036】
パーライトは、ガラス質火成岩の一種である真珠岩を粉砕して1000℃前後の高温で焼成発泡させて得られるもので、非常に軽量であることから、軽量土壌1の軽量化に貢献している。
【0037】
ゼオライトは、天然ゼオライト,人工ゼオライト若しくは合成ゼオライトのいずれを採用しても良い。
【0038】
有機系安定材は、蒟蒻いも等から生成される澱粉のりを主成分として形成されている。
【0039】
具体的には、有機系安定材は、炭水化物,タンパク質,脂質,灰分及び水から成る粘性を有した植物性の有機系安定材(植物性バインダー)が採用されている。
【0040】
更に具体的には、この有機系安定材は、炭水化物が50%(重量)乃至60%(重量),タンパク質が15%(重量)乃至25%(重量),脂質が1%(重量)乃至10%(重量)並びに灰分及び水が適宜な量混合されることにより形成されている。
【0041】
また、有機系安定材は、従来廃棄処分していた材料を再利用したもので形成される構成としている。
【0042】
本実施例では、有機系安定材として、炭水化物が58.5%(重量)、タンパク質が18.7%(重量)、脂質が3.8%(重量)、灰分が7.2%(重量)及び水が11.8%(重量)の割合で構成されたものが採用されている。
【0043】
有機系安定材の成分組成を、上述した割合に設定したのは、多孔質物質を有機系安定材により確実に保持でき、且つ、取り扱いをし易くし、且つ、植物を良好に植生できるようにするためである。
【0044】
また、本実施例では、有機系安定材として植物性の有機系安定材を採用したため、植物12の生育を阻害することなく該植物12を良好に植生でき、また、使用者に対しても悪影響(人体的な悪影響)を与えることなく、よって、安心して取り扱うことができる。
【0045】
本実施例の軽量土壌1には、中和材が混合されている。
【0046】
軽量土壌1に中和材が混合されているのは、軽量土壌1中がアルカリ化することを防止するためである。
【0047】
即ち、本実施例の軽量土壌1は、前述したように、保水性,保肥性を高めるために炭化物を従来に比して高い割合で(多量に)混合した構成としているが、軽量土壌に炭化物を多量に混合させると、該炭化物の作用により軽量土壌はアルカリ化してしまうという問題が生じる。
【0048】
そのため、従来においては、軽量土壌に混合される炭化物の量がある程度の量に限られ、よって、該軽量土壌が発揮し得る保水性,保肥性等もある程度の高さに限られていた。
【0049】
本実施例は、軽量土壌1に中和材が混合されることで、該軽量土壌1中に炭化物を高い割合で(多量に)混合しても、炭化物によるアルカリ化現象を中和材の中和作用により防止できるため、該炭化物を高い割合で(多量に)混合でき、よって、秀れた保水性,保肥性等を発揮できる軽量土壌となる。
【0050】
本実施例では、中和材として過燐酸石灰が採用されている。尚、本実施例では、中和材として過燐酸石灰を採用したが、軽量土壌1内を中性化し得るものであれば適宜採用しても良く、例えば硫安や硫酸カリウム等を採用しても良い。
【0051】
過燐酸石灰は、多孔質物質、即ち、炭化物,パーライト及びゼオライトの混合物1mに対して1kg乃至10kg混合されている。
【0052】
また、過燐酸石灰の混合量は、多孔質物質が強アルカリ状態の場合には、多孔質物質1mに対して5kg程度、多孔質物質がアルカリ状態の場合には、多孔質物質1mに対して3kg程度とすると良い。
【0053】
本実施例の軽量土壌1には、肥料分が混合されている。
【0054】
具体的には、本実施例では、軽量土壌1に混合した際に直ぐに栄養分を土壌内に供給する性質を有する肥料分と、軽量土壌1に混合した後、時間が経つにつれて栄養分が徐々に土壌中に供給される性質を有する肥料分の二種類の肥料分を採用している。
【0055】
更に具体的には、即効性を有する肥料分として、例えば市販のちから1号(商品名):日本肥糧株式会社製が採用され、また、時間が経つにつれて栄養分を土壌中に徐々に供給する肥料分として、例えば市販のミクレア(商品名):日東化学工業株式会社製が採用されている。
【0056】
また、本実施例では、多孔質物質1mに対してミクレアが2kg、ちから1号が3kg混合されている。
【0057】
本実施例では、図1に示すように、屋上3に配設敷設した排水層2上に軽量土壌1が配設された構成としている。
【0058】
この排水層2としては、本出願人が出願した特願2003−95713に記載のパネル体2を用いた構成としている。
【0059】
このパネル体2は、複数の粒状の炭化物とセメントと水から成り、該炭化物がセメントにより結合されることでポーラス状に形成されたものである。
【0060】
また、このパネル体には、中和材と高分子吸水材と増粘材とが混合された構成としている。
【0061】
また、本実施例のパネル体2は、少なくとも炭化物とセメントとの混合割合が前記炭化物の量1mに対してセメントの量が50kg乃至200kgとなるように設定されている。
【0062】
具体的には、パネル体2は、炭化物の量1mあたりセメント50乃至2000kg、中和材の量0.8kg乃至7.0kg、高分子吸水材の量0.1kg乃至2.0kg、増粘材の量0乃至0.8kgの割合で混合して成る混合物を所定形状に成形して成る構成としている。
【0063】
中和材は、過燐酸石灰が採用されている。尚、過燐酸石灰以外にも、パネル体2内がアルカリ性若しくは酸性となった際に、これを中和し得るもの、例えば、硫安や硫酸カリウムを採用しても良い。
【0064】
高分子吸水材は、合成樹脂系の吸水材(例えば栗田工業株式会社製の商品名:グラスパワーG−300)を採用している。
【0065】
増粘材は、水溶性セルロース等(例えば信越化学工業株式会社製の商品名:SFCA2000等)を採用している。この増粘材は用途に応じて加える。
【0066】
また、パネル体2は、透水係数が1.0×10cm/s乃至1.0×10−3cm/sとなるようにポーラス状に形成されている。
【0067】
また、パネル体2は、圧縮強度が10t/m以上となるようにポーラス状に形成されている。
【0068】
本実施例では、パネル体2の厚さは5cm以下に設定されている。
【0069】
また、パネル体2は、一辺が数十cm乃至数百cmの平面視四角形状に設定されている。
【0070】
前述したパネル体2は屋上3の緑化部位に配設される。
【0071】
即ち、本実施例における屋上3の緑化は、先ず屋上3において緑化しようとする部位をコンクリートや合成樹脂のパネル等により形成した枠で囲繞して仕切壁5を形成する。
【0072】
仕切壁5の所定箇所には、緑化部位に過剰な水分が供給された際、この過剰な水分を緑化部位外へ排出するための水抜き孔30を設けている。
【0073】
そして、この仕切壁5内に防水シート9を敷設し、この防水シート9上にパネル体2を配設する。
【0074】
このパネル体2の上部には、該パネル体2内に軽量土壌1が侵入してパネル体2が目詰まりの発生を防止するためのフィルタ6が配設されている。
【0075】
そして、このフィルタ6上に軽量土壌1が配設され、この軽量土壌1で植物12を植生することで屋上3を緑化する。
【0076】
本実施例では、軽量土壌1の厚さは5cm以下に設定されている。尚、本実施例では、軽量土壌1の厚さを5cm以下に設定した構成としたが、5cm以上に設定しても良い。即ち、植物12として芝等の地被植物を植栽する場合には、軽量土壌1を5cm以下に設定して緑化部位を薄く形成すると良く、また、所定の高さを有する樹木等を植栽する場合には、該樹木等を支承し得る程度の厚さ、即ち、例えば5cm以上の厚さに軽量土壌を設定して緑化部位を形成しても良い。
【0077】
尚、図中符号11は、排水口(ドレインパイプ),13は屋上3の周囲に設けられる壁部,14は手摺りである。
【0078】
本実施例によれば、炭化物,パーライト及びゼオライトの混合物に粘性を有する植物性の有機系安定材が混合されていることで、該炭化物,パーライト及びゼオライトの夫々が該有機系安定材によって付着されて夫々が連結され、粘性が付与された状態となる。
【0079】
また、炭化物等の多孔質物質は、各々が微小な空隙部を無数に有することから、良好な吸着性を有し、よって、水分及び肥料分を吸収して秀れた保水性及び秀れた保肥性を発揮する。
【0080】
また、この無数の空隙部により秀れた通水性,排水性を発揮する。
【0081】
また、本実施例の軽量土壌1には、炭化物が多量に混合されているため、前述の保水性,保肥性を極めて良好に発揮できる。
【0082】
また、軽量土壌1には、中和材である過燐酸石灰が混合されているため、炭化物が多量に混合されていても、該中和材の中和作用により、軽量土壌1がアルカリ化することを防止する。
【0083】
また、本実施例では、排水層としてポーラス状に形成されたパネル体2を採用しており、このパネル体2には、多孔質物質である炭化物が含まれ、該炭化物は無数の空隙部を有しているため、この空隙部が水分を保持する作用を発揮して良好な保水性を発揮する。
【0084】
また、パネル体2は、前述のように、ポーラス状であるため、多数の通水可能な空隙部を有し、よって、良好な排水性を発揮する。
【0085】
また、パネル体2は、パネル状に形成されていることから、単に敷設したい部位に配するだけで排水層2を形成できるため、施工作業性に秀れる。
【0086】
また、パネル体2は、炭化物をセメントで固化した構成であるため、耐荷重性にも秀れる。
【0087】
本実施例の軽量土壌1は上述のように構成したから、保水性,保肥性及び排水性に秀れ、しかも、軽量でありながら強風が吹いてもほとんど飛散することがない極めて実用性に秀れた画期的な軽量土壌となる。
【0088】
そのため、強風が吹く屋上3に軽量土壌1が配設されても該軽量土壌1は飛散しないため、従来のように、風により飛散するであろう量の軽量土壌を考慮して、予め軽量土壌を厚めに敷設したり、屋上に敷設した軽量土壌が飛散する度に該飛散した分の軽量土壌を補充したりする必要がなく、よって、緑化部位を薄層化でき、また、維持管理を容易に行うことができる。
【0089】
また、本実施例の軽量土壌1は、乾燥時における比重が0.3程度であり、また、湿潤時における比重は0.9程度であり非常に軽量である。よって、強風が吹く屋上3や、軟弱な地盤での使用に好適となる。
【0090】
また、本実施例の軽量土壌1は、炭化物が従来に比して多量に混合されており、これにより、1mあたり600リットル以上の秀れた保水能力を有するため(含水率は60%以上となる。)、灌水の回数も少なくて済み、よって、一層維持管理性に秀れる。
【0091】
また、炭化物及びゼオライト自体が肥料を保持する性質を有しているため、秀れた保肥性を発揮することができる。
【0092】
また、本実施例の軽量土壌1は、透水係数が2.93×10−3cm/sであり、通水性,排水性にも秀れる。
【0093】
また、本実施例の軽量土壌1は、前述のように、粘性を有する植物性の有機質安定材が混合されているため、植物12の生育を阻害することがなく該植物12を良好に植生することができ、また、使用者に対しても悪影響を与えることがないため、いわば自然土壌のように安心して取り扱える緑化用軽量土壌となる。
【0094】
また、本実施例の軽量土壌1は、前述のように、粘性を有する植物性の有機質安定材が混合されていることで粘性を有するため、従来に比べて植栽自由性が高まる。即ち、植物を支持する力が、軽量土壌に粘性が付与されることで向上するため、自然土壌や従来の軽量土壌等を用いた場合に比してより薄層状態で植物を植栽することができる。
【0095】
また、有機系安定材は、従来廃棄処分していた材料を再利用したものであるため、資源リサイクル性に秀れる。
【0096】
また、多孔質物質である炭化物は木質系の廃材より生成するため、この点においても資源リサイクル性に秀れる。
【0097】
また、本実施例の軽量土壌1は、廃材等を利用して製造される上、使用する軽量土壌の量が少量で済むため、非常にコスト安に屋上3を緑化することができる。
【0098】
また、本実施例の軽量土壌1には、中和材である過燐酸石灰が混合されているため、該軽量土壌1に、秀れた保水性,保肥性,排水性を付与し得る炭化物が多量に混合されても、従来のように、軽量土壌1がアルカリ化してしまうことがなく、これにより、炭化物を多量に混合させた構成にでき、よって、秀れた保水性,保肥性及び排水性に極めて秀れた緑化用軽量土壌となる。
【0099】
また、本実施例では、排水層2として炭化物やセメント等から成るポーラス状のパネル体2を採用することで、保水性,保肥性,排水性に秀れるパネル体2上に、同じく保水性,保肥性,排水性に秀れ且つ飛散する心配のない軽量土壌1が配設されることとなるため、屋上における緑化部位自体を非常に薄層化できる上に、極めて良好に且つ手間をかけずに植物12を植生することができ、しかも、コスト安に緑化部位を形成することができる。
【0100】
即ち、排水層2として保水性,排水性に秀れるパネル体2を採用することで、雨が降らなかったり、しばらくの間、給水が行われなくとも、パネル体2内に保持された水分がパネル体2上の軽量土壌1に供給され、これにより、軽量土壌1に植栽された植物12を良好に植生することができる。
【0101】
また、過剰な降雨・散水等により軽量土壌1内の水分が過剰となっても、該軽量土壌1は排水性に秀れ、パネル体2もまた排水性に秀れるため、前記過剰な水分は緑化部位外に良好に排水されて植物12を良好に植生することができる。
【0102】
また、軽量土壌1は、軽量である上に施工厚さを薄く設定でき、また、パネル体2も軽量である上に薄く設定できるために、屋上3における緑化部位の形成を秀れた施工作業性をもって極めて簡易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施例の使用状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 軽量土壌
パネル体

Claims (7)

  1. 植物が植生され所定部位を緑化する際に使用される軽量土壌をパネル体に積層して成る緑化用構造体であって、前記軽量土壌は、多孔質物質を主材とし粘性を有する植物性の有機系安定材が混合されたものであり、前記多孔質物質は炭化物及びパーライトを含み、この炭化物及びパーライトは体積比で炭化物45乃至55,パーライト35乃至45の割合で混合され、前記有機系安定材蒟蒻いも類から生成される澱粉のりを主成分とした植物性のものであり、前記パネル体は、複数の粒状の炭化物とセメントと水とを含む混合物をポーラス状に成形して成るものであることを特徴とする緑化用構造体
  2. 請求項1記載の緑化用構造体において、前記軽量土壌にはゼオライトが適宜な量混合されていることを特徴とする緑化用構造体
  3. 請求項1,2いずれか1項に記載の緑化用構造体において、前記有機系安定材は前記多孔質物質1mに対して10乃至50kg混合されていることを特徴とする緑化用構造体
  4. 請求項1〜3いずれか1項に記載の緑化用構造体において、前記軽量土壌には中和材が混合されていることを特徴とする緑化用構造体
  5. 請求項1〜いずれか1項に記載の緑化用構造体において、前記混合物には中和材と高分子吸水材と増粘材とが混合されていることを特徴とする緑化用構造体
  6. 請求項4,5いずれか1項に記載の緑化用構造体において、前記中和材として過燐酸石灰,硫安若しくは硫酸カリウムが採用されていることを特徴とする緑化用構造体
  7. 請求項1〜6いずれか1項に記載の緑化用構造体において、前記パネル体は屋上に敷設配設されるものであることを特徴とする緑化用構造体
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