JP4115080B2 - プリント基板の加工方法およびプリント基板加工機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント基板に保持された1対の位置決めピンを、テーブルのワーク載置面に設けた1対の凹部に係合させて、前記プリント基板を加工するようにしたプリント基板の加工方法およびプリント基板加工機に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリント基板加工機では、プリント基板を確実かつ容易に位置決めするため、通常、テーブルのワーク載置面に、共通の中心線をテーブルの移動方向と平行にした穴と溝とを形成しておく。そして、プリント基板に1対の位置決めピンを保持させておき、位置決めピンの一方を穴に、他方を溝に係合させることにより、プリント基板をX、Y方向に位置決めする。
【0003】
また、貫通穴あるいは外形を加工する場合は、プリント基板を複数枚重ねておき、1回の工程で複数枚のプリント基板を同時に加工することにより、作業能率を向上させている。
【0004】
さらに、加工内容が同一のプリント基板を加工する場合には、1個のテーブルに対して複数の主軸を備える、多軸のプリント基板加工機のテーブル上にプリント基板を並列に配置し、複数のプリント基板を同時に加工することにより作業能率を向上させている。なお、多軸のプリント基板加工機の場合、主軸の間隔は固定のものが多いが、特開昭64−58405号公報に開示されているように、主軸の間隔を可変にした主軸間隔可変形のプリント基板穴明機もある。
【0005】
プリント基板には製造過程に起因する変形が発生している場合が多いが、多軸のプリント基板加工機によりプリント基板を加工する場合であっても、主軸毎にプリント基板位置決め用の穴と溝がテーブルに設けられている場合は、加工精度が低下することはほとんどない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、同一の穴明けパターンがピッチLで並列に複数列配置されるプリント基板、すなわち、あるパターン上の穴の座標が(x1、y1)とすると、隣接するパターンの穴の座標が総て(x1、y1+L)である1枚のプリント基板(以下、「多面付け基板」という)を加工する場合、主軸が2本の主軸間隔可変形のプリント基板加工機で加工をすると作業能率を向上させることができる。
【0007】
しかし、2本の主軸の回転中心(以下、「主軸の中心」という)をテーブルの移動方向に対して直角に配置することは困難であり、通常、一方の主軸の中心に対して他方の主軸の中心はX軸方向にαだけずれている。この結果、一方の主軸の回転中心を座標x1に位置決めすると、他方の主軸の回転中心は座標x1+αに位置決めされる。したがって、主軸が2本の主軸間隔可変形のプリント基板加工機により多面付け基板を加工する場合、加工精度を向上させるためには、テーブルをそれぞれの主軸毎に位置決めしなければならず、加工速度を向上させることができなかった。
【0008】
本発明の目的は、上記従来技術における課題を解決し、主軸が2本の主軸間隔可変形のプリント基板加工機により多面付け基板を加工する場合であっても、加工精度が優れ、かつ加工能率を向上させることができるプリント基板の加工方法およびプリント基板加工機を提供するにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、請求項1の発明は、プリント基板に保持された1対の位置決めピンをテーブルのワーク載置面に設けた1対の凹部に係合させ、前記テーブルをX方向に、工具を回転自在に保持する2本の主軸をY方向に移動させることにより、前記プリント基板を加工するようにしたプリント基板の加工方法において、前記プリント基板のX方向の加工の基準線が、前記2本の主軸の中心線に対して直角になるように、前記凹部の他方を前記凹部の一方に対して移動させた後、前記プリント基板を加工することを特徴とする。
【0010】
また、請求項2の発明は、テーブルのワーク載置面に、穴と、幅方向の中心線が前記穴と予め定める関係にある溝とを配置しておき、プリント基板に保持された1対の位置決めピンの一方を前記穴に、他方を前記溝に係合させることにより、前記プリント基板を位置決めするようにしたプリント基板加工機において、前記溝をその中心線と直角の方向に移動可能に構成したことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0012】
図1は、本発明に係るプリント基板穴明機の斜視図である。同図において、テーブル2は、ベット1上に固定された直線案内装置30に支持され、図示を省略するモータに回転駆動される送りねじ3により、矢印X方向に位置決め自在である。テーブル2の上面には、プリント基板12と、主軸11および主軸16の中心を測定するためのアライメント測定器20が載置されている。アライメント測定器20の測定の中心は、X軸上に配置されている。
【0013】
コラム4は、テーブル2を跨ぐようにしてベット1に固定されている。
【0014】
クロススライド5はコラム4の側面に固定された直線案内装置31に支持され、モータ7に回転駆動される送りねじ6により、Y方向に位置決め自在である。クロススライド25は、直線案内装置31に支持され、モータ27に回転駆動される送りねじ26により、Y方向に位置決め自在である。
【0015】
ハウジング8はクロススライド5の側面に固定された直線案内装置32に支持され、モータ10に回転駆動される送りねじ9により、Z方向に位置決め自在である。ハウジング8の側面には、光軸がZ方向であるカメラ21が配置されている。ハウジング13はクロススライド25の側面に固定された直線案内装置33に支持され、モータ15に回転駆動される送りねじ14により、Z方向に位置決め自在である。
【0016】
第1の主軸11は、ハウジング8に支持され、図示を省略する工具を回転自在に支持している。第2の主軸16は、ハウジング13に支持され、図示を省略する工具を回転自在に支持している。
【0017】
図2は、テーブル2の平面図、図3は、図2のE−E断面図、図4は図2のF−F断面図である。
【0018】
テーブル2の上面の一方の側には、基準ブッシュ22が固定されている。基準ブッシュ22の中心部には、中心がO5である基準穴17が形成されている。中心O5はX軸上に配置されている。
【0019】
テーブル2の上面の他方の側には、1対のピンガイド23が配置されている。ピンガイド23は、プリント基板12に固定された中心がO4である位置決めピン18Pの外径よりも僅かに大きい間隙23a(以下、「溝23a」という)を形成するようにして、ガイド24に固定されている。ガイド24は、テーブル2の内部に配置された直線案内装置34に支持され、図示を省略する駆動手段によりY方向に位置決め自在である。溝23aの基準位置は、幅方向の中心線がX軸に一致する位置である。
【0020】
次に、図5を参照しながら、この実施の形態の動作を説明する。なお、プリント基板12の表面には、中心がA〜Dである4個の基準マーク19a〜19dが配置されている。
【0021】
先ず、主軸11の中心O1をアライメント測定器20、すなわちy1=0に位置決めし、中心O1の座標O1(x1,0)を求める。次に、主軸25の中心O2をアライメント測定器20に位置決めし、中心O2の座標O2(x2,0)を求める。そして、中心O2の中心O1に対する角度θ1をθ1=(x2−x1)/Lとして求める。ただし、Lは並列に配置された加工パターンのピッチである。また、角度θ1は、図示のように、直線O1O2がY軸に対して右下がりに交差する場合を正とする。
【0022】
次に、プリント基板12に固定された位置決めピン17Pを基準穴17に、位置決めピン18Pを溝23aに係合させる。すると、位置決めピン17Pの中心は、中心O5に一致する。次に、テーブル2とハウジング8およびハウジング13をXY方向に移動させ、カメラ21により中心A〜Dの各XY座標を求めてから、直線ABのX軸に対する角度θ2を求める。なお、角度θ2は、図示のように、X軸に平行な中心Aを通るX軸に平行なX1軸に対して右上がりに交差する場合を正とする。
【0023】
ここで、プリント基板が変形しておらず、直線ABと直線ADが直交しているとすると、直線ADは、Y軸に対して角度θ2だけ傾いている。そこで、直線案内装置36を動作させ、直線ABが直線O1O2に直交するように、中心O4を中心O5を回転の中心として角度θ3(θ3=θ1−θ2)だけ移動させる。なお、角度θ3は、中心O4を時計回りに回転させる場合が正である。この結果、プリント基板12上の並列に配置されたパターンのX座標を結ぶ直線は直線O1O2と平行になる。したがって、例えば主軸11に対してテーブル2を位置決めすると、同時に主軸16に対してもテーブル2を正確に位置決めできたことになる。したがって、主軸毎にテーブル2を位置決めする必要がない。そして、加工プログラム上の加工位置を角度θ3だけ補正して加工をする。
【0024】
なお、直線ABを加工の基準とするのは、通常、AB間の距離がAD間の距離よりも長く、測定誤差を小さくできるからである。
【0025】
また、この実施の形態ではプリント基板12に変形がないとして説明したが、変形がある場合も、上記と同様にして、中心O5を回転の中心として中心O4を角度θ3だけ回転させればよい。
【0026】
また、この実施の形態ではアライメント測定器20を設けたが、例えば主軸11と主軸16により、プリント基板12の製品として使用しない位置に、それぞれ穴を1個づつ加工し、加工した穴の中心座標をカメラ21により測定して主軸11と主軸16のずれを測定するようにすれば、アライメント測定器20を設ける必要がない。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、プリント基板に保持された1対の位置決めピンをテーブルのワーク載置面に設けた1対の凹部に係合させ、前記テーブルをX方向に、工具を回転自在に保持する2本の主軸をY方向に移動させることにより、前記プリント基板を加工するようにしたプリント基板の加工方法において、前記プリント基板のX方向の加工の基準線が、前記2本の主軸の中心線に対して直角になるように、前記凹部の他方を前記凹部の一方に対して移動させた後、前記プリント基板を加工するから、主軸が2本の主軸間隔可変形のプリント基板加工機により多面付け基板を加工する場合であっても、加工精度が優れ、かつ加工能率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプリント基板穴明機の斜視図である。
【図2】本発明に係るテーブルの平面図である。
【図3】図2のE−E断面図である。
【図4】図2のF−F断面図である。
【図5】本発明の動作を説明するための図である。
【符号の説明】
2 テーブル
12 プリント基板
17 基準穴
17P 位置決めピン
18P 位置決めピン
23a 溝
AB 加工の基準線
O1 主軸11の中心
O2 主軸16の中心
Claims (2)
- プリント基板に保持された1対の位置決めピンをテーブルのワーク載置面に設けた1対の凹部に係合させ、前記テーブルをX方向に、工具を回転自在に保持する2本の主軸をY方向に移動させることにより、前記プリント基板を加工するようにしたプリント基板の加工方法において、
前記プリント基板のX方向の加工の基準線が、前記2本の主軸の中心線に対して直角になるように、前記凹部の他方を前記凹部の一方に対して移動させた後、前記プリント基板を加工することを特徴とするプリント基板の加工方法。 - テーブルのワーク載置面に、穴と、幅方向の中心線が前記穴と予め定める関係にある溝とを配置しておき、プリント基板に保持された1対の位置決めピンの一方を前記穴に、他方を前記溝に係合させることにより、前記プリント基板を位置決めするようにしたプリント基板加工機において、
前記溝をその中心線と直角の方向に移動可能に構成したことを特徴とするプリント基板加工機。
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