JP4114516B2 - 遊技機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ遊技機等の遊技機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、パチンコ機の遊技盤においては、遊技盤のほぼ中央に表示器を備えたセンターフレームが配設されている。そして、近年、遊技者に対して遊技球の挙動を楽しませるため、センターフレームの下方に転動部(一般にステージとも言う)を形成し、遊技球を左右方向に転動させるようにしたものがある。また、転動方向における転動部の略中央部分には遊技球を排出させるための排出部が形成されている。なお、一般に転動部における転動面の幅は、遊技球が転動中に転動面から容易に逸脱しないように転動に必要な十分なスペースを確保するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の遊技機では、限られたスペースの中で転動面を形成するため、転動面を複雑な形状にしようとしても設計上の制約を受けることがあり、遊技球の挙動を十分に楽しませることができず、興趣を低下させる恐れがあった。
【0004】
そこで、本発明の課題は、転動部の設計上の自由度を高めることができるとともに、興趣を飛躍的に向上させることができる遊技機を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段1は、遊技球を左右方向に転動させるための転動部を備える遊技機であって、前記転動部は、前記遊技球の転動通路を形成する転動面と、該転動面の途中に設けられた排出部とを具備し、前記排出部における前記転動通路の幅が、他の部分における前記転動通路の幅よりも狭くなっていることを特徴とする。
【0006】
前記手段1によると、遊技球は転動面上(転動通路)を左右方向に転動する。ここで、排出部における転動通路は他の部分よりも狭いため、少なくとも排出部の前方のスペースが増える。このため、設計の自由度が拡張され、例えば排出部から排出された遊技球に別の動きをさせるための機構や構造を配設することが可能になる。なお、排出部以外の転動通路の幅は排出部よりも広く、従来の遊技機と同等の広さが確保されるため、遊技球の逸脱を抑制することが可能である。
【0007】
手段2は、前記手段1の構成に加え、前記排出部の幅が、前記遊技球の直径よりも狭くなっていることを特徴とする。特に、前記排出部の幅が、前記遊技球の半径よりも狭くなっていることが好ましい。
【0008】
前記手段2によると、遊技球の速度が低下した場合に、転動面の前縁から容易に排出させることができる。特に、排出部における転動通路の幅が遊技球の半径よりも狭い場合には、遊技球は排出部を通過する際、その重心が転動通路の外側に位置するようになる。したがって、速度の低下した遊技球を、排出部から確実に排出することができる。一方、遊技球の速度が高い場合(勢いの強い場合)には、転動面を伝って排出部を通過させることが可能である。
【0009】
手段3は、前記手段1または前記手段2の構成に加え、前記転動面は、上下方向に略円弧状に湾曲した形状をなし、転動方向における前記転動面の略中央部分に前記排出部が形成されていることを特徴とする。
【0010】
前記手段3によると、遊技球は、略円弧形状に湾曲した転動面に従い、孤を描きながら左右方向に繰返し転動する。そして、排出部は、転動面の略中央部分、すなわち略円弧形状の最下点に形成されているため、遊技球を、その速度が最高の状態で排出部に至らせることが可能となる。
【0011】
手段4は、前記手段1乃至前記手段3のいずれかの構成に加え、前記転動面の前方に第二転動面が並設されていることを特徴とする。
【0012】
前記手段4によると、排出部における転動通路の幅が、他の部分よりも狭くなっていることから、遊技球を左右方向に排出することが可能となる。このため、左右方向における勢いを維持したまま、換言すれば左右方向への運動エネルギーを維持したまま、転動面から第二転動面に遊技球を移動させることができる。このため、第二転動面において遊技球を左右方向に大きく転動させることが可能になる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をパチンコ遊技機に具体化した一実施形態について、図1乃至図10に基づき説明する。図1はパチンコ遊技機の構成を示す概略正面図であり、図2乃至図4はパチンコ遊技機における本体枠の構成を示す正面図、斜視図、及びA−A断面図である。図1に示すように、パチンコ遊技機2の遊技盤3には、誘導レール4によって遊技領域5が区画形成されている。誘導レール4は、発射ハンドル6の操作に対応して、発射装置(図示しない)から発射された遊技球7を、遊技領域5の上部に導くためのものである。遊技領域5には、普通入賞口8、始動口9、及び大入賞口10が夫々設けられている。また、遊技領域5の略中央部分には、特別図柄表示装置12(以下単に「表示装置12」という)が組み込まれた本体枠13が配設されている。そして、この本体枠13により特別遊技領域14が区画形成されている。
【0014】
普通入賞口8、始動口9、及び大入賞口10は、遊技盤3の払出し装置(図示しない)に接続されている。払出し装置は、遊技球7の各入賞口8,9,10への入賞に伴い所定数の賞球を払い出す払出しモータ15(図10参照)を備えている。なお、始動口9は、遊技球7の通路の入口を狭めたり拡げたりするための羽根16、及び通路内に遊技球7が入球したことを検出する始動口用スイッチ17(図10参照)等から構成されている。また、大入賞口10は、始動口9の下方に位置しており、横長空間である入賞領域(図示しない)、開閉部材としてのシャッタ18、これを開閉させるためのソレノイド19(図10参照)、及び入賞領域に入賞した遊技球7を計数するためのカウントスイッチ20等から構成されている。つまり、ソレノイド19はシャッタ18に駆動連結されており、通電に伴う励磁によりシャッタ18を前方へ倒して入賞領域を開放し、通電停止に伴う消磁によりシャッタ18を起立させて入賞領域を閉鎖する。なお、大入賞口10は、大当たり遊技状態の発生に伴い、閉鎖状態から開放状態に切替えられる。
【0015】
この他、パチンコ遊技機2には、遊技効果を高めることを目的として、スピーカ21(図10参照)と、装飾用発光素子としての複数のランプ22が組み込まれている。スピーカ21は、遊技の進行状態に合わせて効果音を発したり、その効果音の種類を変えたりする。ランプ22としては、例えば風車ランプ、飾りランプ、袖ランプ、サイドランプ等既知のものが挙げられ、これらは遊技の進行状態に合わせて光放射の態様を変える。
【0016】
表示装置12は、液晶ディスプレイ(LCD)を備えている。なお、LCDに代えて、CRT、ドットマトリックス、発光ダイオード(LED)、エレクトロルミネセンス(EL)、蛍光表示管等が用いられてもよい。表示装置12の画面には、例えば、互いに左右方向に配置された三つの図柄列(左図柄列、中図柄列、右図柄列)が表示される。各図柄列は、複数種類の図柄からなり、数字、キャラクタ、及びそれらを組合せたもの等がある。
【0017】
表示装置12では、各図柄列での図柄の変動が、遊技球7の始動口9への入賞に基づき一斉に開始される。図柄の変動は所定の停止順、例えば左図柄列、右図柄列、中図柄列の順に停止される。そして、全図柄列の変動が停止したとき、表示されている図柄(停止図柄)の組合せが、予め定められた大当たりの組合せ、すなわち同一種類の停止図柄が大当たりラインに沿って並んでいる組合せ(例えば「7」,「7」,「7」)となる場合がある。大当たりの組合せが成立すると、大入賞口10の入賞領域が開放し、遊技者は多くの賞球を獲得することが可能になる。
【0018】
本体枠13(一般にセンターフレームとも言う)は、図2乃至図4に示すように、天井部23、側部24、及び下部25から構成され、中央に窓部13aが形成されている。また、本体枠13の後部には、窓部13aに表示装置12を取付けるための取付部材(図示しない)が設けられている。天井部23には保留ランプ26a及び風車26bを含む天飾り26が設けられ、その上面には遊技球7を特別遊技領域14に入球させるための入口部27が形成されている。また天飾り26の左右両側には肩飾り28が設けられている。そして、入口部27から入球された遊技球7は、天飾り26及び肩飾り28の内部に形成された通路29に従って左右斜め下方へ案内されるようになっている。
【0019】
本体枠13における下部25の上面には転動部30が形成されており、その転動部30において、遊技球7の挙動すなわち左右方向への転動を視認することができるようになっている。さらに、左右両側部24には、通路29と転動部30とを連通するための誘導器31が設けられている。
【0020】
転動部30及び誘導器31の具体的な構成について、図5乃至図8に基づき説明する。ここで、図5は転動部30及び誘導器31の構成を示す斜視図であり、図6は転動部30の構成を示す平面図であり、図7は同じく正面図である。また、図8は図6に示す転動部30の断面図であり、(a)はA−A断面、(b)はB−B断面、(c)はC−C断面を示している。
【0021】
転動部30は、上下方向に略円弧状に湾曲し前方に向って階段状に形成された横長の部材である。この転動部30は、互いに前後方向に並設された後側転動面35及び前側転動面36を具備している。図6に示すように、後側転動面35は、後縁が直線状で、前縁が円弧状の平面形状をなしており、転動通路T1を形成している。また、転動通路T1は、転動方向(紙面左右方向)における中央部分の幅L1が最も狭く、端部に向う程広くなっている。なお、中央部分の幅L1は遊技球7の直径Dよりも狭くなっている。
【0022】
また、図8(a),(b)に示すように、後側転動面35は後方に向って下り傾斜した傾斜面となっており、後側転動面35の後縁にはガイド壁39が立設されている。ただし、図8(c)に示すように、後側転動面35の中央部分は、前方に向って僅かに下り傾斜した斜面となっており、遊技球7をこの斜面から前方に排出することを可能にしている。つまり、この斜面により遊技球7を排出するための後側排出部40が構成されている。なお、後側転動面35における後方への傾斜度合は、端部側が最も大きく中央部分に向って徐々に弱くなるように連続的に変化している。具体的な数値を挙げると、後側転動面35の傾斜は、水平線に対する後方下り傾斜をプラスとした場合、図8(a)に示すA−A断面では7.7°、図8(b)に示すB−B断面では6.4°、図8(c)に示すC−C断面では−4.0°となっている。また、ガイド壁39の表面には、摩擦係数の小さな樹脂製のシール部材38が貼着されており(図6参照)、遊技球7が持つ運動エネルギーの損失を抑制している。ここで、後側転動面35が本発明の転動面に相当し、後側排出部40が本発明の排出部に相当する。
【0023】
前側転動面36は、後縁及び前縁がともに後方に向って略円弧状に湾曲した形状をなしているが、前縁の方が後縁(後側転動面35の前縁に一致)よりも曲率半径が小さくなっている。つまり、前側転動面36における転動通路T2は、中央部分の幅L2が最も狭く、端部に向う程幅広くなっている。なお、中央部分の前縁には窪み36aが形成され、転動通路T2の幅L2は遊技球7の半径よりも狭くなっている。したがって、従来の転動部(すなわち後側転動面の前縁を端部に合わせて直線状に形成し、且つ前側転動面の前縁を端部に合わせて直線状に形成したもの)に比べ、前側転動面36における中央部分の前方に、空間Sが形成されることになる。本実施形態では、この空間Sに後述する制動室43、誘導部44、及び第二転動部47が配置されている。
【0024】
また、図8(a),(b),(c)に示すように、前側転動面36は後方に向って下り傾斜した傾斜面となっており、特にその傾斜度合は、中央部分((C)参照)が最も大きく、端部側に向かうほど小さくなるように連続的に変化している。具体的な数値を挙げると、前側転動面36の傾斜は、水平線に対する後方下り傾斜をプラスとした場合、図8(a)に示すA−A断面では4.6°、B−B断面では5.6°、C−C断面では16°となっている。なお、前側転動面36の中央部分は後方に向って下り傾斜しているものの、その幅L2が遊技球7の半径よりも狭いため、前側転動面36の中央部分を通過する遊技球7を前縁から排出することが可能である。つまり、この中央部分により遊技球7を排出するための前側排出部41が構成されている。ここで、前側転動面36も本発明の転動面に相当し、前側排出部41も本発明の排出部に相当する。なお、後側転動面35を転動面とした場合、前側転動面36は本発明の第二転動面としても機能している。
【0025】
また、後側転動面35と前側転動面36とを比較すると、中央部分(図8(c)参照)では後側転動面35の方が高いが、端部付近(図8(a),(b)参照)では逆に前側転動面36の方が高くなっている。すなわち、上下方向に湾曲する二つの転動面35,36の曲率半径は、後側転動面35の方が前側転動面36よりも大きくなっている。換言すれば、後側転動面35の方が前側転動面36より傾斜が緩やかになっている。
【0026】
前側転動面36の前方には、制動室43及び二つの誘導部44が形成されている。制動室43は、遊技球7が一つ収容される程度の大きさの空間であり、上面及び前面が開放されるとともに、底面43aが前方に向って下り傾斜している。また、誘導部44は、前側転動面36から排出される遊技球7を制動室43の上面(開放部分)に導くための部材であり、制動室43に向って傾斜した傾斜面45と、傾斜面45の前縁から立設された前壁部46とから構成されている。さらに、制動室43及び誘導部44の前方には、上下方向に円弧状に湾曲した第二転動部47が形成されている。なお、転動方向における第二転動部47の中央部分には排出部47aが形成されており、この排出部47aと制動室43の底面43aとが連続した面になっている。
【0027】
一方、誘導器31は、入口部27から入球した遊技球7を、転動部30に誘導するためのものである。この誘導器31は、図5に示すように、互いに対向して配置された梯子部材50と壁材51とから構成されている。梯子部材50は、鉛直方向に立設された一対の支柱52、及びこれらの間に架設された複数の横桟53等を備えている。なお、梯子部材50の下端にはガイド片55が延設されており、出口32から排出される遊技球7の方向を規制している。また、一対の支柱52と各横桟53とによって囲まれた開口部分は遊技球7が通り抜けない大きさになっている。
【0028】
誘導器31における壁材51の表面には、奥側に向って略円弧状に窪んだ窪み59が上端から下端まで連続して形成されている。また、その窪み59内には、前方に突出する略三角形状の突起部60が上下方向に所定の間隔で形成されている。この突起部60の間隔は、梯子部材50における横桟53の間隔と等しくなっている。
【0029】
梯子部材50及び壁材51は、遊技球7の直径Dよりも狭い間隔で、且つ梯子部材50における横桟53と、壁材51における突起部60とが互い違いになるように配置されている。このため、誘導器31を通過する遊技球7は、互い違いに形成された横桟53と突起部60とに交互に衝突しながら落下する。つまり遊技球7は減速されながら落下することになり、転動部30における後側転動面35の端部へ減速された状態で導かれる。なお、誘導器31の出口32はガイド壁39の延長上に位置している。また、出口32の床面は、後側転動面35の端部より高くなっている。すなわち、出口32と後側転動面35との間に段部42が形成されている。
【0030】
ところで、図10に示すように、パチンコ遊技機2には主制御基板63が組込まれ、この主制御基板63に、各種スイッチ、保留ランプ26a、及びソレノイド19等が接続されている。また、主制御基板63には、表示制御基板66を介して表示装置12が接続され、音声制御基板64を介してスピーカ21が接続されている。さらに主制御基板63には、ランプ制御基板65を介してランプ22が接続され、払出し制御基板67を介して払出しモータ15が接続されている。
【0031】
各制御基板63〜67は、所定の制御プログラムや初期データを予め記憶した読出し専用メモリ(ROM)、このROMに記憶された制御プログラムに従って各種演算処理を実行する中央処理装置(CPU)、及びCPUによる演算結果を一時的に記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)等を備えている。
【0032】
次に、転動部30における遊技球7の動きについて図5及び図9に基づき説明する。入口部27から入球した遊技球7は、誘導器31による誘導通路を通って、転動部30の後側転動面35の端部に案内される。ここで、誘導器31の出口32は、ガイド壁39の延長上に配置されているため、出口32から放出される遊技球7はガイド壁39に沿うように導かれる。これにより、遊技球7がガイド壁39に勢いよく衝突することが防止され、ガイド壁39での跳ね返りによる転動方向の変化が抑制される。
【0033】
後側転動面35に導かれた遊技球7は、後側転動面35の転動通路T1の形状に従って孤を描きながら左右方向に繰り返し転動する。つまり、遊技球7はエネルギー保存の法則に基づいた揺動運動を行う。この際、後側転動面35は後方に向って下り傾斜しているため、遊技球7は、この傾斜面に従って後方へ転動する力が加えられ、その結果、ガイド壁39に沿って転動するようになる。これにより、後側転動面35の前縁からの遊技球7の逸脱が抑制される。
【0034】
また、後側転動面35において遊技球7同士が衝突した場合には、一方または双方の遊技球7の転動方向が変化し、後側転動面35の前縁に向って転動する。後側転動面35の前縁には壁部が形成されていないため、転動方向が変化した遊技球7は、比較的容易に後側転動面35から逸脱し、前方へ放出される。つまり、後側転動面35上に多くの遊技球7が溜まることがなくなる。
【0035】
後側転動面35では、遊技球7は転動通路T1及びガイド壁39に沿って転動するが、中央部分の後側排出部40は前方に向う僅かな下り傾斜となっているため、遊技球7の速度が低下すると、転動方向が前方寄りに変化する。しかも後側排出部40の幅L1は遊技球7の直径Dよりも狭いため、遊技球7は速度の低下に伴い容易に排出される。
【0036】
ここで、後側排出部40は前側転動面36の前側排出部41よりも高いため、後側排出部40から排出された遊技球7は、前側排出部41へ移動する。この際、遊技球7の勢いが強い場合には、遊技球7は前側転動面36の形状に従って孤を描きながら左右方向に転動し、前側転動面36の端部付近に至る。なお、前側転動面36の前側排出部41は、前方に向って上り傾斜しているため前側転動面36に移動した遊技球7は、前方への転動が抑制される。このため、前方への勢いが強い遊技球7であっても、そのまま前側転動面36の前縁から排出されてしまうことを防止できる。ところで、前側転動面36に移動した遊技球7は、左右方向への運動に対して前方への運動が加わるため、遊技球7はそれらの運動の合成方向である、斜め前方へ転動することになる。つまり、前側転動面36上を転動する際、遊技球7は前側排出部41から端部付近に向う程、後側転動面35から離れるようになる。しかし、本実施形態では前側転動面36の幅が、端部付近に向う程広くなっているため、遊技球7が端部付近に至るまで、前側転動面36からの遊技球7の逸脱が効果的に抑制される。
【0037】
一方、端部側では前側転動面36が後側転動面35よりも高く、しかも前側転動面36は後方に向って下り傾斜していることから、前側転動面36の端部付近に到達した遊技球7は、前側転動面36から後側転動面35へ移動する。つまり、遊技球7が二つの転動面35,36の間で往復動することになる。なお、遊技球7の勢いが弱い場合等、遊技球7が端部付近まで到達しない場合には、前側排出部41から排出される。特に、前側排出部41の幅は遊技球7の半径よりも狭いため、遊技球7が前側排出部41を通過する際、その重心が前側排出部41の前縁よりも前方に位置することになる。したがって、遊技球7の速度が低い場合には、遊技球7は前側排出部41から確実に排出される。なお、遊技球7の速度が高い場合には、前側排出部41を通過する場合もあり、この場合には前側転動面36上を左右方向に繰返し転動する。
【0038】
前側転動面36の前側排出部41から排出された遊技球7は、誘導部44の傾斜面45に導かれて制動室43に投入される。ここで、誘導部44の前縁には前壁部46が立設されているため、前側排出部41から排出される遊技球7の勢いが強い場合でも誘導部44から逸脱することなく、制動室43の上面に案内される。また、制動室43の上部側における側壁43bが上方に向って拡開されているため、例えば制動室43の左右に配置された誘導部44によって二つの遊技球7が略同時に誘導された場合でも、互いに衝突する恐れが少なくなり滑らかに投入される。なお、前側排出部41から排出される遊技球7の位置が制動室43の位置に合致している場合には、誘導部44を介することなく制動室43に直接投入される。
【0039】
制動室43の上面から投入された遊技球7は、制動室43によって転動が抑えられる。つまり、制動室43の横幅が遊技球7の直径Dと略一致しているため、遊技球7は制動室43の内部で左右方向に転動することなく、一瞬停止状態となる。その後、遊技球7は制動室43の底面43aの傾斜に従って前方に放出される。ところで、制動室43及び誘導部44の前方には、第二転動部47が形成されており、第二転動部47の排出部47aと制動室43の底面43aとが互いに連続する面となっているため、制動室43から放出された遊技球7は、第二転動部47の排出部47aを横切って始動口9(図1参照)の方向に流下する。このように、遊技球7は制動室43によって放出方向が規制されることから、転動部30において転動した遊技球7の殆ど全てが、始動口9に入賞することになる。
【0040】
このように上記のパチンコ遊技機2では、各転動面35,36における排出部40,41の転動通路T1,T2の幅が他の部分の転動通路T1,T2の幅よりも狭いことから、排出部41の前方のスペースを増加させることができる。つまり、転動部30全体を大型化することなく、制動室43、誘導部44、及び第二転動部47等を、前側排出部41の前方に形成することができる。したがって、遊技者に前側排出部41から排出される遊技球7の挙動を十分に楽しませることができる。
【0041】
また、上記のパチンコ遊技機2によれば、遊技球7を排出させるために開口等を設ける必要がないことから、遊技球7を滑らかに転動させることが可能になり、後側排出部40による速度の低下を抑制できる。このため、左右方向に大きく転動させることが可能となり、遊技球7の挙動を十分に楽しませることができる。また、極めて簡単な構造で容易に遊技球を排出させることができる。
【0042】
さらに上記のパチンコ遊技機2では、後側転動面35の後側排出部40から前側転動面36へ、遊技球7が略左右方向に排出されるため、左右方向における勢いを維持したまま、前側転動面36(本発明の第二転動面に相当)に遊技球7を移動させることができる。このため、前側転動面36において遊技球7を左右方向に大きく転動させることができる。
【0043】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0044】
すなわち、上記実施形態のパチンコ遊技機2では、転動部における転動面として後側転動面35及び前側転動面36を示したが、転動面の数は特に限定されるものではなく、一つのみであってもよく、三つ以上を並設したものであってもよい。
【0045】
また、上記実施形態のパチンコ遊技機2では、前側転動面36の前方の空間Sに、制動室43及び誘導部44等を形成するものを示したが、空間Sに配設される機構や構造は、前側排出部41から排出される遊技球7の挙動に関連するものであれば特に限定されるものではなく、例えば風車や入賞口であってもよい。
【0046】
上記実施形態では、遊技機として、表示装置12を備えたパチンコ遊技機2を示したが、表示装置12を備えないパチンコ遊技機は勿論、パチンコ遊技機以外の遊技機、例えばアレパチ、アレンジボール等であっても適用することができる。
【0047】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、転動部における排出部の転動通路の幅が他の部分の転動通路の幅よりも狭いことから、排出部の前方のスペースを増加させることができ、例えば排出部から排出された遊技球に別の動きをさせるための機構や構造を配設することが可能となる。このため、限られたスペースの中で、設計上の自由度を高めることができ、遊技者に対して転動部における遊技球の挙動を十分に楽しませることができることにより、興趣を飛躍的に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるパチンコ遊技機を示す概略正面図である。
【図2】パチンコ遊技機における本体枠の構成を示す正面図である。
【図3】本体枠の構成を示す斜視図である。
【図4】図2に示す本体枠のA−A断面図である。
【図5】本体枠における要部の構成を示す斜視図である。
【図6】転動部の構成を示す平面図である。
【図7】転動部の構成を示す正面図である。
【図8】転動部の構成を示す縦断面図である。(a)はA−A断面、(b)はB−B断面、(c)はC−C断面を示している。
【図9】転動部における遊技球の動きを説明するための説明図である。
【図10】パチンコ遊技機の電気的構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
2 パチンコ遊技機(遊技機)
7 遊技球
30 転動部
35 後側転動面(転動面)
36 前側転動面(転動面,第二転動面)
40 後側排出部(排出部)
41 前側排出部(排出部)
D 直径
L1,L2 幅
T1,T2 転動通路
Claims (1)
- 遊技球を左右方向に転動させるための転動部を備える遊技機であって、
前記転動部は、
前記遊技球の転動通路を形成し、前後方向に並設された少なくとも二つの前側転動面及び後側転動面と、
前記前側転動面における転動方向の中央付近に形成されるとともに、前方に向って上り傾斜した傾斜面からなり、前記前側転動面から遊技球を排出可能な排出部と
を備え、
転動方向における前記転動部の中央付近では、前記後側転動面が前記前側転動面よりも高くなり、
前記転動部の端部付近では、前記前側転動面が前記後側転動面よりも高くなり、
前記排出部における前記転動通路の幅が、前記遊技球の半径よりも狭く、且つ他の部分における前記転動通路の幅よりも狭くなっている
ことを特徴とする遊技機。
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